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ポリビニルアルコールとメタアクリル 酸エステルのクラフト重合
森田栄太郎・桃原恭幸
Graft Copolymerization of Methyl Methacrylate on PolyvinylalcohoL
Eitaro MORITA&Kyok6 MOMOHARA
Methyl methacrylate was copolymerized on polyvinylalcohol with ceric ammonium nitrate as initiator. Consequently the graft polymer and the homopolymer of methyl methacrylate were obtained. The degree of grafting and the degree of polymerization of the monomer were exanlined to the amount of the initiator.
1.緒言 2・1重合
ある種の有機化合物は第ニセリウムイオンと反 三ッロフラスコを使用して・窒素気流中で撹絆 応して,水素原子が引抜かれてラジカルができる しながらつぎのようにして重合を行った。ポリビ ことが知られている。おもにアルコール類につい ニルアルコール2・09を蒸留水100mlに溶解し・
て研究されているが,1)もし,このラジカル生成 窒素を通じて窒素置換を行ったのち・メタアクリ の段階に,単量体が存在していて付加反応を起す ル酸メチル10m1と硝酸セリウム(W)アンモニ なら,単量体の重合は開始されるであろう。また ウム0・2〜2・09を加え・45DCの恒温槽中で窒素 単量体の存在下で,セリウムイオンによって上記 を通じながら3・5時間撹拝した。燈赤色のセリウ
の水素引抜きの反応がセルロースのような高分子 ムィオンが黄色に変化し・固状のポリマーが析出 に起れば,セルロースに単量体がグラフト重合す するのが認められた。そこで少量のハイドロキノ
ることが推定される。2)Schwab等3)はこの方 ンを加えて重合を停止させてから・ メタノール 法を紙に適用して,種々の単量体が紙にグラフト 500mlを加えてポリマーを完全に沈澱させてロ別 重合することを知った。また,井手等4)はセリ し・含水メタノール・ついでメタノールでよく洗
ウム塩を使用して第二次酢酸セルロースにアクリ 瀧し・減圧下で乾燥した。
ル酸エステルをグラフト重合して,酢酸セルロー 別に・ポリビニルアルコールを使用しないで・
スの性状の変化を研究している。 メタアクル酸メチルのみを前記と同様に操作して 筆者らはポリビニルアルコールを幹にして,こ 重合させた。この場合にもメタノールに不溶なポ
れに種々の単量体をグラフトしてグラ7トポリマ リマーがえられたので・この重合方法では・グラ
_をえ,これらの性状を知ろうとして,まず予備 フトポリマーと同時にメタアクリル酸メチルから 実験として,硝酸セリウム(のアンモニウムを なるホモポリマーが同時に生成することは明らか 使用して,ポリビニルァルコールへのメタアクリ である。
ル酸メチルのグラフト重合を試みて,明らかに両 2 2 グラフトポリマーの分離
成分を含むグラフトポリマーをえたので,この実 2°1の重合方法でえたグラフトポリマーとホモ
験結果について報告する。 ポリマーの混合物からグラフトポリマーを分離す
るには,溶媒に対する溶解度の差異を利用するこ 2・実験および結果 とにした。溶媒については種々検討したが,ベン
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ゼンによるのが便利であった。ソックスレー抽出
器を使用して,ポリマーの混合物をベンゼンで抽 表一1 出したさいのベンゼン可溶物の重量の抽出時間に
対する変化は図一1に示した通りで,ベンゼン可 溶物の重量は約10時間で一定になった。この結果 から,混合ポリマーからグラフトポリマーとホモ ポリマーを分離するには,ベンゼンで15時間抽出 して,可溶部と不溶部に分ち,それぞれからベン ゼンを蒸発し去ったのち,減圧下で乾燥すること にした。
3.0
実 験 番 号 1・
21314
5ポリビニルアルコール(g) 12.0 2.0 2.0 2.0 2.
メタアクリル酸メチル(ml) 10 10 10 1011
水 (ml) 100 100 100 100 10
硝酸セリウムアンモニウム(g) 0.25 0.501.0511.341.9 重合時間 (hr) 3.5 3.5 3.5 3.5 3.
重合温度(℃)
[ンベン可溶物(9)
45
P.48
45P2.6112.6545 45 Q,582.01
4
ゼンベン不溶物 (9) 3.80
17・4118・13
7,055.6
λ 9
v 丸2.5 8
v 7
6
硲2.0 5
4
0_」_L> 10 20 30 40 2
抽出時間(hr.) 1 図一1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0,2
0.1
〆ノ\
! \ ダ/ \
/ \ / \
/ 一 こ\l
GP
0 0.20.40.60.81.01.21.41.6 1.82.0
ベンゼ河溶部と不溶部については,それぞれ 一→禦嵩会(,)
赤外吸収スペクトルをとって検討した。可溶部の 図_2 1,モノマ_の重合率 GP,グラフトポリ 赤外吸収スペクトルは市賑のポリメタアクリル酸 マー(9)
・チルのそれと同一であった・不溶部の赤外吸収 皿・㌻二3グラフト効率PMホモボ スペクトルは・ポリメタアクリル酸メチルのそれ 皿,グラフト率
と同様に1718cm−1にレCOによると推定され
る吸収帯が,また3340cm−1にレOHによると 硝酸セリウムアンモニウムの量に対して,表一 推定される吸収帯が認められた。後者はポリニル 1の値を図示すると,図一2のようになる。図一
ビアルコールのそれ (3460cm『1)に相当するも 2で,曲線一1はモノマーのメタアクリル酸メチ のと考えられる。そして不溶部の赤外吸収スペク ルの重合率,曲線一皿は重合したモノマーのうち
トルは,ポリビニルアルコールよりはむしろポリ グラフト重合に関与したモノマーの割合,曲線一 メタアクリル酸メチルのそれに近かった。ベンゼ 皿はグラフトポリマー中のポリビニルアルコール ン不溶部の赤外吸収スペクトルは,これがグラフ 部分とメタアクリル酸メチル部分の割合で,かり トポリマーであることを示している。 につぎのようにして算出した。1=(GP+PM−
2・3重合実験の結果 PA)/M,1=(GP−PA)/(GP+PM−PA),
2・1および2・2の重合実験の結果をつぎの表一 皿=(GP−PA)/PA,ただし, GP:ベンゼン不 1にまとめて表示した。 溶物の重量,PM:ベソゼン可溶物の重量, PA:
使用したポリビニルアルコールの重量,M:使用
37 したモノマーの重量。 ルホオキシッドのようなポリビニルアルコール,
モノマーの重合率は,開始剤として使用する硝 ポリメタアクリル酸メチルの両者に共通な溶剤に 酸セリウムアンモニウムの量に関係があり,開始 しか溶解しなかった。
剤の使用量が増加するに従って大となり,ついで 2・4・2粘 度
減小する。硝酸セリウムアンモニウムを19使用 ジメチルスルホオキレヅドを溶媒して・30°C した場合のモノマーの重合率は90%以上である。 で測定した粘度は・表一3に示した通りである。
重合したモノマーのうちグラフト重合に関与する
ものの割合は,モ・マーの重合率に対して大きく 表一3 は変化せず,多くの場合その率は65〜70%の間に
ある。グラフト重合に関与するモノマーの量は,
モノマーの重合率の高いほど大となり,この実験 では多くの場合(皿)の値は1以上で,メタアク
リル酸メチル成分の多いグラフトポリマーが得ら
れた。
2・4 グラフトポリマーの性状
グラフトポリマーについて簡単な二,三の物理
ポ リ ビニル
ア ル コ ー ル
ポリメタアクリル 酸メチル グラフトポリマー
濃度Cl溶媒落下 9/ml 秒数
0.4000
0.4000
0.4000 136 136 136
溶液落下 秒数
203 153 172
ηsp/c
1.270
0.318
0.671
的頗を測定した.グラフトポリマーの性質は, グラフトポリマーは幹ポリマーのポリドニルア レ 幹ポリ_とモ・マ誠分との割合およびモノマ コールより分子量は大竺るはずであるカミ・粘度 一成分の継などによって誤力・あるものと考え ηsp/cは反対に低い・局度紛岐し耀造となる
られるが,つぎに記した試験醜肌た試料はポ ためであろう・
リビニ,レァルコール部分と.タアクリル酸・チル 2 4°3吸湿性
部分の量比は2.7で,・タアクリル酸・チ・レ部分 室温で・水を入れたデシケーレー中1こ試料を入 の多いものである。すなわち,2・3の実験2の条 れて・醒となるまで吸湿させて・そのさいの重 件種合したものである.比較対照謝こ使肌 量の増加を測定した・その結果(1)ポリビニルァ たポリ.タアクリル酸.チルは調重合実験のさ ルコール12・5%・(2)ポリメタアクリル酸メチル いのベンゼ河酬である。 3・5%・(3)グラフトポリマー4・2%・(4)ポリビニル アルコールとポリメタアクリル酸メチルのグラフ 2・4・1 溶解性
トポリマーと同一組成の混合物7.2%となった。
数種の溶剤に対する溶解性を定性的に試験した
結果は表_2の通りである.グラフトポリーは す紡ち・グラフトポリ の吸湿性はそれ同 多くの搬酬に不溶で,ピリジン,ジ・チ,レス ー繊の混合ポリ のそれより小である・
3.結 語 表一2
溶 剤 ポリビニル Aルコール
グラフト
│リマー ポリメタ
̲メチルAクリル
メ タ ノ ー ル 不溶 不溶 不溶
酢酸エ チ ル
N ロ ロ ホルム
不溶
s溶
i不溶鴛s溶 不溶
n
ベ ン ービ ン 不溶 [不溶 溶
石油工一テル 不溶 不溶 不溶
酢 酸 不溶 不溶 溶
ピ リ ジ ン 溶 溶 溶
ジメチルスルホオキシド
@ 水
溶溶 溶不溶
この重合実験でグラフトポリマーが生成してい ることは,前記の赤外吸収スペクトル,種々溶剤 に対する溶解性,粘度測定の結果などから明らか である。すでに,Mino等1)3)が示しているよう に,第ニセリウムイオンによってポリビニルアル
コールは酸化され,その結果生ずるアルゴール・
ラジカルにメタアクリル酸メチルが付加して,グ ラフトポリマーが生成するものと推定する。
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文 献
1)G.Mino, S. Kaizerman, E. Rasmussen,
J.Am. Chem. Soc.,81,1491(1959)
2)G.Mino, S. Kaizerman, J. Polymer Sci.,
31, 242 (1959)
3) E.Schwab, V. Stannett, J.J. Hermans,
Tappi,44,251(1961)
4、 井手,半田,中塚,高分子化学,21,57(1964)