第 回 岐 阜 歯 科 学 会 例 会
)開催日 平成 年 月 日(土)
)会 場 朝日大学 号館 階第 大講義室
)時 間 : 〜
(担当分野:朝日大学歯学部口腔機能修復学講座歯科補綴学分野 可撤性義歯学)
特別講演
座長 永原 國央 教授
障害者歯科学と Special Needs Dentistry
―その課題と将来展望―
○玄 景華
(朝日大学歯学部口腔病態医療学講座 障害者歯科学分野 教授)
「障害者歯科学」とは,精神や身体の障害について,
また障害者にみられる歯科疾患の特質,原因と症状に ついて研究し,あわせて診断,予防と治療法の研究と 開発を行い,それを教育と歯科診療に具体化させてい く歯科学の一分野である.障害者歯科自体の歴史は古 いが,実際には昭和 年の国際障害者年が始まった後 に各都道府県の歯科医師会を中心に障害者歯科セン ターが設立された.朝日大学歯学部において,正式に
「障害者歯科学」が始まったのは平成 年度からであ る.当時の 学年に半期講義として,担当教員 名で 対応したのが最初である.その後, 年のあいだに
「障害者」の名称や定義などが社会の変化に伴い変遷 した.障害のある人や家族からさまざまな要望(ディ マンズ;Demands)を出されることが多いが,その 要望に応えるだけでは本質的な解決にならない.障害 のある人に特有であって潜在化している問題点(ニー ズ;Needs)をみつけだし,それを解決することが重 要であり,ニーズとは専門的視点から観察,分析する ことで明らかになってくる問題点のことである.その ために,歯科保健や歯科治療を行うときに特別な配慮 や工夫,知識と技術をもって対応することが必要とな る人たちが対象になる.すなわち,歯科的なスペシャ ルニーズのある人に対して,それに合わせた対応(ス ペシャルケア)を行うのが「Special Needs Dentistry」
といえる.
本学では平成 年 月に附属病院に障害者歯科が開 設された.平成 年までに登録した初診患者数は , 名で,毎年平均で 名前後の障害者が来院している.
年度別の再診患者数は昨年度が , 名と, 年前の 平成 年度の , 名と比較して 倍以上にも増加し
ている.年齢層は 歳未満が圧倒的に多く 割強を占 めている.障害として自閉症や精神遅滞,脳性麻痺な どの発達障害児や,脳血管障害後遺症,循環器系疾患 や認知症などの高齢者の患者も多く来院している.全 身麻酔での歯科治療や訪問診療も行っている.また,
摂食・嚥下障害に対する評価や対応も増加する傾向に あり,特に小児領域では近隣の病院小児科よりの紹介 依頼が多い.年間 名前後の紹介患者を認め,内視鏡 検査や VF 検査などで嚥下機能の評価と訓練内容の立 案などの指導を行っている.「朝日大学附属病院摂食・
嚥下障害研究会」を主管しており,毎月症例検討会を 中心に幅広く啓蒙活動を行っている.その他に東海障 害者歯科臨床研究会(日本障害者歯科学会関連団体)
を主管し,岐阜県歯科医師会や愛知県歯科医師会の障 害者歯科ネットワーク事業の運営なども担当してい る.当科の障害者歯科の 本柱として,障害者の歯科 治療,摂食・嚥下リハビリテーションと口腔ケアを挙 げている.基本的には障害者のニーズにあわせた対応 を可能な限りレベルの高い診療を追求する一方で,障 害者歯科診療のリスクをいつも配慮しながら医療安全 にも目を離さずに対応している.
現在までに障害者歯科で行った研究や発表につい て,その一部を報告するとともにその課題についても 検討する.
.障害者の行動調整法および対応
①統合失調症患者における行動調整法の応用に関す る臨床的研究
②認知症高齢者の特性に配慮した歯科医療の在り方 に関する研究
③自閉症児への行動評価に関する研究
.障害者への外科治療の応用
①重度歯肉増殖症に対する内斜切開による歯肉切除 術の有用性に関する臨床的研究
②重度障害児に対する歯牙再植術の応用に関する臨 床的研究
③障害者に対する口腔外科処置の工夫に関する研究
.障害者の全身管理および全身麻酔
①笑気鎮痛における障害者の循環動態への影響に関 する研究
②高齢者および障害者への全身麻酔法の臨床的研究
③障害者および有病者歯科診療の安全性に関する臨 床的研究
.障害者の症例分析
①稀少症例に関する口腔内状況の分析
②重度心身障害に対する歯科的アプローチ法に関す る臨床的研究
③重度免疫不全患者の歯科的対応に関する臨床的研 究
.障害者の福祉医療および地域での医療連携
①岐阜県における障害者歯科医療ネットワーク設置 に関する研究
②知的障害者更生施設における歯科診療システムの 確立に関する研究
③介護保険の要介護状態区分による口腔内状況と口 腔ケアの問題点に関する研究
.摂食・嚥下障害への対応および基礎研究
①認知症高齢者における摂食・嚥下機能障害と口腔 内状況との関連に関する研究
②精神障害者における摂食・嚥下機能障害と口腔内 状況との関連に関する研究
③内視鏡 TV システムを用いた急性期摂食・嚥下障 害における回復期過程の検討に関する研究
④知的障害者入所更生施設における重度知的障害者 の摂食・嚥下機能障害の臨床的研究
⑤舌突出時の嚥下諸器官の筋電図による研究
⑥障害者の口腔ケアシステム化とその問題点に関す る研究
.その他
①障害者歯科領域における歯科心身症的アプローチ の応用に関する研究
②障害児の早期咬合治療導入に関する臨床的研究 現在,障害者歯科学関連の研究はそのアプローチ法 の難しさもあって,非常に遅れている分野の つであ り,多くの課題が残されている.一方で,摂食嚥下リ ハビリテーション学の研究は急速に進められており,
臨床を通じて評価や診断法,各種のリハビリテーショ ンの効果等への EBM の確立に努めていきながら,基 礎講座や他の臨床講座と連携を取りながら研究を進め ていきたい.
岐阜歯科学会専門部会活動報告
座長 柏俣 正典 教授
平成 年度専門部会「口腔領域における再生医療 技術の基礎研究部会」活動報告
マウス脂肪組織由来幹細胞(ASC)の免疫抑制効 果についての検討
○近藤 信夫)・神谷 真子)・髙山 英次) 亀山 泰永)・江㞍 貞一)・柏俣 正典) 林 徹)・小山 典子)・土井 豊) 永山 元彦)・若松 紀子)・田村 康夫) 北井 則行)
()朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座 口腔生化学分野)
()朝日大学歯学部生物学)
()朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座 口腔解剖学分野解剖学)
()朝日大学歯学部口腔感染医療学講座 歯科薬理学分野)
()朝日大学歯学部口腔機能修復学講座 歯科理工学分野)
()朝日大学歯学部口腔病態医療学講座 口腔病理学分野)
()朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座 小児歯科学分野)
()朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座 歯科矯正学分野)
緒言
間葉系幹細胞は,脂肪細胞や骨細胞などへの多分化 能を有すると同時に免疫抑制能を併せ持つことが報告 されているが,その制御機構には不明な点が多い.本 研究では,マウス脂肪組織由来幹細胞(ASC)を採 取培養し,ASC の多分化能を確認すると共に,未分 化な ASC が様々な刺激で活性化した脾細胞のイン ターフェロン(IFN)-
γ
産生や,活性化マーカー発現 に及ぼす影響を検討した.材料と方法
①マウス ASC の採取: 週齢(雄)BALB/c 系統 マウスの鼠頚部から皮下脂肪組織を採取し,コラゲ ナーゼ処理と遠心分離を行い,細胞成分を回収した.
所定の方法で 世代継代した細胞が分化能を有する ASC であることを確認するために骨分化培地または 脂肪分化培地にて培養し,アリザリンレッドおよびオ イルレッド染色を施してそれぞれの形態変化を観察し た.
② T リンパ球特異的に抗体刺激した脾細胞の IFN-γ 産生,活性化抗原発現及びそれに対する ASC の作
用:(雄)BALB/c 系統マウスの脾臓を摘出し,こ れ に Dynabeads Mouse T-Activator CD /CD Ⓡを 混 合して T リンパ球特異的に抗体刺激を加え,BALB/
c ASC 存在下,非存在下で共培養の後,上清中の IFN-γ 濃度を ELISA 法にて測定した.また同様の脾細胞の うち,CD ,CD ,CD 抗原陽性細胞を FACS を用 いて比較した.
③ siRNA による MHC Class I 発現の抑制 : MHC Class I mRNA に対する siRNA(Ambio Co. LTD)を 所定の方法で ASC にトランスフェクションし,定量 的 PCR で発現抑制を確認した後,活性化脾細胞の IFN-γ産生抑制実験を行なった.
④ MLRs(Mixed lymphocyte reactions)で 誘 導 さ れる IFN-
γ
産生と ASC の作用:BALB/c 系統マウス と C BL/ J 系統マウスの脾細胞を摘出し,BALB/c 系統マウス ASC 存在下,非存在下で 時間共培養の 後,上清中の IFN-γ濃度を測定した.結果と考察
a.ASC は T リンパ球を標的とする抗体刺激で活性 化されたマウス脾細胞の IFN-γ産生を有意に抑制し
たが,活性化の指標となる CD 抗原陽性細胞の割合 に顕著な変化はみられなかった.このことから,ASCs は抗体刺激そのものをブロックするのではなく,活性 化された脾細胞の IFN-γ産生を特異的に抑制するこ とが示唆された.
b.この IFN-γ産生の抑制には ASCs と活性化脾細 胞との細胞接触が重要で,ASC の分泌する液性因子 にも部分的に抑制効果があることが示された.
c.ASC の発現する MHC class I 抗原に対する siRNA を用いて,内在性発現を抑制すると,ASC の免疫抑 制作用が低下した.従って,ASC の免疫抑制作用に は MHC Class I 抗原が関与することが示唆された.
d.異種マウス脾細胞の混合反応(MLR)で誘導さ れた IFN-
γ
産生に対する ASC の抑制効果は,抗体刺 激に対するそれにくらべ,著しく感受性が高かった.このことから ASC はアロ抗原に対する免疫反応をよ り特異的に抑制することが示された.
以上の事実から,他家からの移植手術に伴う急性免 疫拒絶反応を抑制する目的で ASC を応用することは 極めて有効であることが示唆された.
岐阜歯科学会開催予定
第 回例会 平成 年 月 日(土)
担当分野:歯科補綴学分野(可撤性義歯・総義歯学)
平成 年度総会および第 回例会 平成 年 月 日(土)
担当分野:インプラント学分野,障害者歯科学分野
第 回例会 平成 年 月 日(土)
担当分野:小児歯科学分野
平成 年度 岐阜歯科学会役員一覧
平成 年 月 日現在
〈理 事〉
明 坂 年 隆 安 藤 隆 磯 崎 篤 則 江 㞍 貞 一
柏 俣 正 典 勝 又 明 敏 北 井 則 行 倉 知 正 和
玄 景 華 近 藤 信 夫 硲 哲 崇 式 守 道 夫
澁 谷 俊 昭 住 友 伸一郎 髙 井 良 招 田 沼 順 一
田 村 康 夫 智 原 栄 一 土 井 豊 中 嶋 正 人
永 原 國 央 平 田 健 一 藤 原 周 堀 田 正 人
都 尾 元 宣 村 上 幸 孝 村 松 泰 徳 山 内 六 男
吉 田 隆 一 足 立 正 孝
〈執 行 部〉
会 長 土 井 豊
副 会 長 平 田 健 一
副 会 長 澁 谷 俊 昭
副 会 長 永 原 國 央
常任理事(庶務部) 田 沼 順 一 幹 事 江 原 道 子
常任理事(事業部) 堀 田 正 人 幹 事 小 竹 宏 朋
常任理事(編集部) 柏 俣 正 典 幹 事 東 幸 雄
常任理事(経理部) 吉 田 隆 一 幹 事 河 野 哲
堀 口 敬 司
常任理事(県歯連携) 磯 崎 篤 則 幹 事 廣 瀬 晃 子
監 事 足 立 正 徳
監 事 小 林 剛 宏
〈顧 問〉
宮 田 侑(学校法人朝日大学理事長)
高 木 幹 正(岐阜県歯科医師会会長)