• 検索結果がありません。

多発性骨髄腫の猫の一例

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "多発性骨髄腫の猫の一例"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

68

麻布大学雑誌 第 29 巻 2017 年

第 92 回麻布獣医学会 一般学術演題 4

多発性骨髄腫の猫の一例

○馬場 寛,市川 陽一朗 いちかわ動物病院

【はじめに】猫において多発性骨髄腫は,正確な発生 頻度が分かっておらず,稀な腫瘍と位置付けられて いる。多発性骨髄腫の診断には,モノクローナルガ ンモパチー,骨髄での形質細胞の増加,ベンス・ジ ョーンズ尿蛋白の出現,X線上の骨融解所見,内部臓 器における形質細胞浸潤の

5

項目のうち

2

項目を満た すことが必要とされている。今回,多発性骨髄腫を 疑い,治療を行った猫の一例について報告する。

【症例】日本猫,未去勢オス,10歳,体重

4.2kg

【症状および診断】嘔吐・下痢の消化器症状を主訴に 来院。血液検査ではモノクローナルガンモパチーを 伴う高グロブリン血症(A/G=0.38),黄疸,貧血が認 められ,超音波検査にて,肝臓,脾臓の腫大を認め た。細胞診を行い,肝臓はアミロイド症,脾臓は形 質細胞腫を疑う所見が得られた。尿検査では,比重 の低下は認められなかったが,尿蛋白が出現していた。

レントゲン検査では,著変は認めなかった。以上の 所見から,本症例を多発性骨髄腫と診断した。

【治療】第

1

病日からプレドニゾロン

2mg/kg SIDで

処方,第

9

病日に腹水を認めたため,第

10

病日より メルファラン

2mg/m

2

EOD

を併用した。第

24

病日に は腹水は消失,A/G

0.58

まで回復した。第

51

病日 になり,尿糖が出現したため,プレドニゾロンを漸 減し休薬,第

60

病日には尿糖は消失した。その後は 一般状態も落ち着いていたので,第

109

病日にメル ファランの休薬を行った。

119

病日,貧血の進行とグロブリンの上昇を認 めたため,メルファラン

2mg/m

2

3

日に

1

回で再開。

143

病日には病態の進行は無いものの,白血球数 の減少が認められ,メルファランを

4

日に

1

回に減量

した。第

175

病日に,病態の改善はあるものの,白 血球数の改善がなかったため,メルファランを

5

日に

1

回にさらに減量した。第

208

病日以降は,グロブリ ン値,貧血,白血球数をモニターし,メルファラン を適宜調節することで,第

830

病日を過ぎた現在も,

一般状態の優良なコントロールができている。

【考察】猫の多発性骨髄腫は,予後や治療に関する情 報が少ないため予後の判定が難しい。一部の報告で は,腎障害,骨病変,高カルシウム血症,貧血,過 粘稠症候群,感染症などの合併症を呈す。特に腎障 害は,腫瘍化した形質細胞が産生する免疫グロブリ ン由来のアミロイド沈着によるものが予想されてお り,多くは進行性であることで予後不良につながっ ていると考えられる。また,化学療法を実施した猫 において,治療反応率

71%,中央生存期間は 252

だという報告例も上がっている。しかしながら,本 例は貧血の他,肝臓のアミロイド沈着を認めたもの の,メルファラン単剤で良好な状態を

2

年以上維持で きている。これは,早期に診断し,治療を開始でき たことで,免疫グロブリンの産生が抑えられ,重篤 な合併症が引き起こされなかったことが大きいと考 えられる。

猫の多発性骨髄腫において,長期的に生存してい るという報告例が見当たらないが,本例は治療反応 も良く,2年以上も生存している。これは珍しい症例 なのかもしれないが,情報の少なさ故,同じような 症例が多数存在する可能性はある。今後も,より多 くの症例が集まることで,正確な予後や診断,病態 の解明,適切な治療に関する情報が集約されること を期待したい。

参照

関連したドキュメント

第1四半期 1月1日から 3月31日まで 第2四半期 4月1日から 6月30日まで 第3四半期 7月1日から 9月30日まで

7.法第 25 条第 10 項の規定により準用する第 24 条の2第4項に定めた施設設置管理

全国の緩和ケア病棟は200施設4000床に届こうとしており, がん診療連携拠点病院をはじめ多くの病院での

年度まで,第 2 期は, 「日本語教育の振興」の枠組みから外れ, 「相互理解を進 める国際交流」に位置付けられた 2001 年度から 2003

EUで非原産材料の糸から製織した綿製織物(第 52.08 項)を使用し、英国で生産した 男子用シャツ(第 62.05

の他当該行為 に関して消防活動上 必要な事項を消防署 長に届け出なければ な らない 。ただし 、第55条の3の 9第一項又は第55 条の3の10第一項

第1回 平成27年6月11日 第2回 平成28年4月26日 第3回 平成28年6月24日 第4回 平成28年8月29日

(1982)第 14 項に定められていた優越的地位の濫用は第 2 条第 9 項第 5