・・⊥ ユ ー
設備投資の経済性計算における 不確実性の処理について
、井 上 康 男
Ⅰ ほ じ め に
従来の諸文献は設備投資の経済性計算の諸方法を論ずる際軋便宜上投資計算
の将来の資料が確実に予測出来るものとして論を進めている。しかし実際上は 計静資料の予測が正確ではなく不確実である場合が多∨、のである。たとえば投 資計静の資料となる将来の売上高ほ長期および短期の景気変臥技術の進歩,
消費者のし好の変化,他社の販売政策,自社の販売政策等によって変動する。
重た将来の費用とか現在の設備投資額も物価の値上り,値下りによって変化す る。したがっ設備投資の経済性計算龍おいてほとくに各年の営業上の純収入の 予測における不確実性が重要な問題となってくる。このように計算資料の予測 の不確実であることが設備投資の経済性計療における注目すべき弱点である。\
企業経営者は企業をより良く運営して行くためには,将来に対して封画を立 てることが必要であるが,上に.述べたように.将来の予想は往々にして不確実性 が伴うものであり,この不確実性の欠陥を何とかして克服することが必要と.な
それ故このような設備投資計算紅おけ芦計算潜料の不確実性の欠陥を克服す ぁために従来から種々の解決策が研究されてきた。たとえばジョエル・ディ・−
ン(JoelDean)はその著昏「資本予算」1951年において不確実性に対する処理 方法として次の4っをあげている。
(1)将来の予測に閲しで慎重な推測と判断を行なう。
(2)割引率をふくらませる。
(3)設備の経済寿命を短かく評価して,将来の純収入の生ずる年数を短かく
欝37巻 解4号
ー 2 −
する。
(4)将来の純収入の見積りに0.9,0.85,0.8,‥・一のように,遠い将来にな る程小さい実現確率を乗じて不確実性の危険を減少せしめる。
そしてこれらの4つの方法の中,どれが−・番優れているかについて,彼はこ の中どれを選んだらよいかは不確実性の性格によって左右される。すなわち4 つの方法の申の各々が或る特殊の設備投資に対してほ特に適当しているのであ る。どの方法もそれを適用するのに最も適した設備投資計画が存在するのであ ると主張している。そしてたとえば将来の純収入め金額がいくらであるかとい うことよりもむしろ主として将来の純収入が存在するかどうかが不確実である ときには,特定の年に純収入が生ずるであろう確率を表わす確率乗数を将来の 純収入に乗ずる第4番目の方法が最も適当な方法である。このように将釆の純 収入の金額よりもその生起する可能性に重点が置かれるのほ.生産方法や製品の 型に関して急速な陳腐化が予想される時,消費者の将来のし好の傾向を予測す
るこ.とが出来ない時,新製品の将来の発展が予測不能の時等に生ずるとしてい
(1) る。このようなディーンの主張す・る不確実性の処理方法紅対して市橋英世教授
(2)
は次の如く反論していられる。
(1)ディー・ソの欝1の方法は勘に.よる判断が入ってくるから適当ではない云
(2)割引率の水増し分をいくらかに決めるぺきか全く基準となるべきものが ない。
(3)経済的寿命を過小評価するこ.とは,保守的な決定に導き経営活動の終極 性が失われる。
(4)一腰紅収益に展現確率を乗じて二減額する方法ほそ・の論鱒が明確でない0 さて以上ほ設備投資計算における不確実性の処理に関して主張されでいる色
々な見解の申のはんの一滴を示したに.過ぎない。この他に.不確実性の処理匿 しては従来から種々に・なる見解が主張されて来ている。そうするとこれらの諸
(1)JoelDean,CapitalBudgeting,1951,Columbia University Press,pp・29 ̄∂⊥
(2)市橋英世,不確実性と投資決定,大阪府立大学経済研究,算30号,昭和39年3月,1
7頁.
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設備投資の経済性計算における不確実性の処理について −β一
液の中どの方法が不確実性を処理する上に最も優れたものなのであろうか。
のことに関しては現在のとこ.ろ定説は存在していない。それ故筆者は以下に いてこ.れらの諸方法の中経営の実務紅おいで比較的紅実践可能なものを選び し七これを批判し検討してみたいと思う。そしてそのことによって設備投資 面における不確実性の処理の問題に関する実践的な解決発としてどの方法が も優れいるかの問題について何等かの手がかりをつかみたいと考えるのであ 1。これが本論稿の研究の目的である。
ⅠⅠ不確実性の処理に関する諸方法
設備投資計算に・おける不確実性の処理方法として選者はこの節で9っのもの 示してみたいと思う。まだこの他に色々な方法が考えられるが,それらが果 て実践的かどうかというこ・とになると疑問に思うので,筆者ほ実践的な方法 してここで9っのものをとりあげてみることに.したのである。
以下これらの方法の各々について順次検討して行くことたしよう。
(1)将来の資料を慎蛮に見積ることによって不確実性の危険を避ける方法 これは予測に力を入れて二,将来の資料を慎重に見陰るこ:とに.よって不確実性 危険を避けようとするものである。たとえば設備の建設費について言うなら
;従来の経験によると多くの場合に・おいて見積より実際が約15%増しの建設 転.なっているとすると,予測に二・あたって−は設備の建設費見積を15%増しにす めである。さらにまた別の例をあげるならば,たとえばジョー・ヂ・ターボ−
(3)
有名な「設備投資政策J1958年という著書の申で次の如く述べてごいる。
「不確実性による修正
ある会社の経営者は特に危険であると思われる投資計画の優先順位(投資利 率)を下軋引下げて.修正する、という方法を実務上行なっている。この方法はあ る椿類の経済性計簸法化おいては(または結果としてこは)適当であるかもしれな
、。しかしながらこの方法をMAPI投資利益率(緊急度利益率Urgencyrating)
GeoIgeTerborgh,BusinessInvestmentPolicy,AMAPIStudyand Manual,
MAPI,1958,pp.201−202.
節37巻 第4号
−・−∵ 4∴−
に通好するならば,それほ2重の予防手段を講じるこ.とに.なると思われる。すな /、{
わちある投資計画が急激な陳腐化の可能性があるために極端な程度の危険性を 持っていると考えられるならば,新MAPI方式ほ当該投資計画の使用年数を適 正に短縮することに・よって−,すで紅それに対して予防捨置を講じているであ為
う。また分析の担当者は新設備から生ずる将来の絶対的粗収入に関して腰準型 の代りにB型を採用し,さらに.使用年数末の残存価額を低く評価することも行 なうであろう。それ故MAPI利益率によっで優先順位を決定する際に.さらに修 正を行なうことは修正の行き過ぎとなるであろう。このことほ大いに注意、しな ければならない事柄である。
またもう1つ述べておかなければならないことがある。それはとうである。
もL・投資討画に・おける予測資料が異常な程度に.不確実であるため危険であるな らば,我々は予測資料が悲観的に.悪化する可能性が存在すると同時に.,その反 面予測されたよりもー層有利に展開するという可能性も存在することを考慮す ベきである。それ故予測を合理的に行なって,予測資料が変動する可能性の る上下の限界の幅の中間より低めに見積を行なうならば,将来の状況が感く るという不確実性の存する反面,予期したよりもー層良好になるという不確 性の可能性も存在するものである。したがってての両方の可能性は相殺し合う であろう。それ故不確実性は必ずしも当該投資計画のMAPI利益率を下町引 下げて修正するととに対する理由にほならないのである」と。
すなわちターボーほ不確実性の問題に.関して,将来の収入・支出に関する 料を予想される変動の幅の中間よりも下紅低めに,慎重に見積るならばMAP 利益率に関してほこれを不確実性の故に修正する必要ほないとする。つまり
確実性の問題ほ屑来の資料を低めに慎重に見積ることによって解決出来ると
てこいるのである。このタ・−ポ−の見解ほ不確実性の問題を予測を慎重に行な ことに.よって解決しようとす・る方法の一層例であると言うことが出来るであ う。
ところでこのような方法の弱点はいくら将来の資料を慎重紅見積っても
り見積り外れの事態が生ずる危険は残るということである。この点にこの
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S 設備投資の経済性計罫における不確実性の処理について −5−
/
髄カの限界が存す−るのである。
(2)将来の純収入を現在価値に割引くための割引率を遠い将来になる程大に する方法 、
この方法隠資漆価値法(現在価値法)において:適用されるものである。す・な ちこの方法に・よると遠い将来の純収入になればなる程その実現の可能性が小 さくなるから,近い将来の純収入よ・りも遠い将来の純収入に対してはより一層 なる割引率を適用して現在価値紅割引くことによって将来における不確実性
対処せんとするものである。この場合割引率は投資の種類,時間の遠近によ て種々に変化増減せしめることが出来る。
しかしながら聾者はすでに述べた如く資本価値法は・そ・の性格上実物投資に対 ては正しい経済性計算法ではないと考える。また割引率を遠い将来になる程
、くらに水増しすべきかを決定す−る適正な客観的基準がないこともこの方法の 昏点であると思うのである。
(3)投資の有利性を判断サーるための判定数値を不確実性を加味しで修正する 方法
説明の便宜上投資の有利性を判断するための,判定数値が投資利益率であると 定しよう。そうするとこの方法はある設備投資案の投資利益率の計算におい
.たとえ
A=RxMxT ただし
A=不確実性に対して.諷整を施した後の投資利益率 M=販売に関係した不確実性に.対する調整係数 T=生産技術紅関係した不確実性の調整係数 R=不確実性に対して諷整前の投資利益率 とえほし、ま或る投資計画軋ついて
R二80%
M=こ=0.85 T=0.90
解37巻 鐸4号
・−− 6 −
とすれば
不確実性に対する調整後の投資利益率A=30%×0.85×0.90ニ22・05勿 となるのである。
との方法に.おいてほ調整係数を如何に決定すべきかに・関して問題が残る。
(4)不確実性の程度に.したがって異なる切拾率を採用する方法
この方法ほ各設備投資案を不確実性乃至危険の程度の差異にしたがって,名 グルーープに分類して,異なったグル十プの投資案の投資利益率の判定に対し ほ異なった切拾率を使用サーる李のである。
不確実性による危険の程度の異なるグル十プほたとえ.ほ次の如くである。
危険度大 新製品開発投資 危険度中 現在製品の拡大投資 危険度小・…合理化および取替近代化投資
次にアメリカのコソソリデヱ.−デイツド電機株式会社に.おける例をあげる と,この会社ほ設備投資の経済性引算の方法として二役資利益率法を採用してい るが,不確実性把.よる危険の程度を考慮して,一腰の設備投資に比較して∴工 拡張投資および新製品投資においてほ切捨率を各々前者ほ5%増し,後者は1
%喝しとして:いる。そ・の切捨率紅関する最近の資料を示ずと次の如く コソソ.リデェ−ティッド電機株式会社
現在の:最
低切捨率 l云譜輩投資暦苦暴投資の 事 業 ′ 部
この方法においてはこの切捨率の水増し分を如何にして決定するかの客碗 基準に関して問題が生ずる。
(4)R.F.VandellandR.F..Vancil,CasesinCapitalBudgeting,RichardD■
1962,pp.75−78.
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25 設備投資の経済性計静紅おける不確実性の処理に・ついて −・7、−
(5)確率に基く期待値による方法
この方法は将来の状況の生起に閲しで慎重度予測に.よって主観的乃至客観的 率がはぼ決定出来る場合次のような計簸を行なうのである。以下具体的計算 例を以てこ・の方法を示してみよう。
いまある会社において2っの競合する投資案AおよびBが存在し,その中ど れを選択すべきかに閲しで検討中であるとする。
この両案に.対して投資利益率法紅よって経済性計算を行なったところ,投資 案Aの投資利益率は・10%であった。そうしてこの値ほ確実と考えノられるd
次軋投資案B庭・関しては将来の状況の予想が異なるのに・したがって投資利益 率が15%の場合(確率50%),20%の場合(確率25%),および−5%の場合
(確率25%)の8っの数値が予想される。とのような資料の下に・おいて両投資 案の申どちらが有利であろうか。
それはこの場合次のような計算俊行なうのである。すなわち
投資利益率×確率 期待値 楽観的予想 …20%×25% ニ 5%
最も生起する見込の強い予患・15%×.50% = 7.5%
悲観的予想 −5%/25% =−・1.25%
11.25%
こ.の期待値11.25%をB投資実の投資利益率とするのである。それはA案の 投資利益率よりも大である。それ故B案が採用されることとなるのである。
またこのとき次のような計算せ行なうことも考えられる。すなわち楽観的予 患よりも悲観的予想濫.血層大なるクェ.イト(確率)を賦与するのである。この
ように将来の予測を慎重妃行なって,見積り間違いにより誤った投資を行う損 失を最小にしようというのである。
上例においては将来の情況に.ついて最小限皮8っの場合およびその確率を想 定し,そ・れに基いて投資案の判定数値の期待値を計算し,この期待値をこの投
実の数値とした。
次に.もう−LV3アメリカのマギ−(JohnF.Magee)が示した計算例を掲げてみ
解甲巻 第4替
∴βⅦ・
(5)
よう。
彼は不確実性を伴う投資計算において:は,樹枝的計画図(Decisiontree)
描いてみるこ.、とが役に立つと言って:いる。
いま或る会社が10年間の売上予想期間を持つ新製品を生産するため把.,大夫 模工場と小規模工場とのいずれを建設すべきか検討中であるとする。との決定 は結局新製品に対する需要が将来どの位の大きさになるかによって左右さ る。ここで彼の示した樹枝的計画図を示してみると次の第1図の如くである。
この図は決定(行動)の選択と種々なる生起事象とを結び付ける
(6) 第1図 樹枝的計画図
ものである。
岨且1
l
1瑚ヽ年1日カド勅封■庄入 う
叔机の2咋滞血判1!■】ガドル
ニて▼■〕FqRロト1qlい−■山
赦餌場く その
後場く続くぷ望−−
l ニ ̄1二 こ÷∵ゝ 脚;01
l I I I
I I
_______._____
・・ ∴ 、
鋸Ⅲ肋抑70ガドルの純収入
怒措 トだブ.J。が lJ小1二槻1!.没
確率−・014
\ 即日Wlよ叫5カいレの純収入
路掛川7 娘初の2拝聞聞耳
=ルの純収 萌しトり㍍登 − ̄ ̄ ̄ ̄‖
、 仙パ膵描一顎  ̄
砿.¢二す14【
8il防砂椚(〉〟ドルの純収入
入】1日
l い「」l
1
1 】
1
裁判川虹∴1班 l 紳○㍉−
D=決定時克 ○=址起小数
1叫凋1¢咋40〟ドルの純収入
この会社ほ決定時点1(現在時点)紅おいて大規模工場建設と小規模工場渾 設とのいずれかを決定しなけれほならない。そしてもしも小工場を選んだ場合
(5)JohnFIIMagee,Decision Trees董or Decision Making,HBR,July
1964,pp.126w138
(6)John F.Mage9,Ibid.,p.131
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設備投資の経済憾計算紅おける不確実性の処理紅づいて −・クー
炭初の需要が高いならば,経営者は将来の決定時点2に・おいて工場の拡張を考
慮することが出来る0
現在経営者が知っている情報は以下の通りである。すなわち先ず新製品の将 来の需要予測であるが,それは次の如くである。
確率 需要が最初(の2年間)高く,その後も高く続く予想 60%
需要が最初高く,そめ後低く続く予噂 10%
需要が最初低く,その後も低く続く予想 30% 40%
需要が最初低く,その後高くなる予想 0彩
レたがって需要が最初高い確率ほ70%(60+10)である。また需要が最初( 一
望年間)高いとき,それがその後も続く確率ほ86%(60÷70)である。
次に行動の選択と将来の生起事象の各々の組合せの各場合における毎年の純
入は.第1図の右側の宋尾に示されている。
最後に現在時点1に.おいて大工場建設は8百万ドル,小工場建設は1.8百万 ドルの投資支出を要し,2年後の決定時点2紅おいては小工場の拡張は2.2百
ドルの投資支出を必要とする。
上掲の樹枝的計画薗は将来の計画を整理して分り易ぐす・ること紅よって−,経 者の決定を助けるのである。
壱ギL−は上述の資料を用いて,確率に基く期待値による方法の計算賠果を以 の如く示している。
決定時点2での分析
8年間の純収 期待値
入合計(2)
(1)×(2)行動の選択 生起事象 確率(1)
拡 張 高い平均需要 0.86 低い平均需要 014
560万ドル 481.6万ドル 40 5.6 計 487.2 差引投資支出 220.0 純 利 益 一面盲方ドル
240万ドル 206.4カドル 320 44.8
討 251.2 差引投資支出0 純 利 益 251.2万ドル 拡張しない 高い平均需要 0.86
低い平均需要 0」14
Jl
第37巻 欝4号
ー∫∂ −
したがって決定時点2において.は拡張が採用される。とのときの純利益は 267.2万ドルである。
そうすると決定時点1(現在時点)での決定は次の如く行なわれる。
大工場建設の純利益の期待値
=(10万ドル×.0.6)+(2.8百万ドル×0.1) +(1百万ドル×0.8)
−・3百万ドル=8.6百万ドル 小工場建設の純利益の期待値
=(3.6百万ドル滴×0.7)+(4百万ドル×0.3)−1.3百万ドル
=2.4百万ドル
瀦 2.672百万ドル+(0.45百万ドル×2年)≒3.6百万ドル
それ故現在時点1においてこは大規模工場の建設案が採用されることとなる、ゐ
である。彼は以上のように逆行計算を行っている。
マギーは最後紅こ.のように樹枝的計画図を描くことほ経営者にとって非常に・
役に.立つと主張している。
以上確率に.基く期待値による方法の具体的計算例紅ついて述べた。
さてこの方法の弱点は将来の状況の生起する確率が判明しない時,この計
∴を行なうことが出来ないということである。また第2に期待値は将来生起する と予想されるものの確率に.よる加重平均値である。したがってそれほ生起する と予想される資料そのものではなくて,いろいろな確率を有する資料の平均イ
であるから,生起する予想とは異なった予測値である。つまりそれは将来具体 的に生起する可能性にはある意味に・おいて:はど遠い数値である。こ.の点に期待
値を使用する問題点が存在するのである。
(6)数用関数による方法
この方法ほ.不確実性に.対処するために効用関数というものを使用するので る。効用とは或る貨幣額について封画決定者が有する心理的な値うちである 下に.おいてぼ米国のハロルド・ビヤマン(HaroldBierman)の所説を述べでみよ
(7)Harold Bierman,JI ,Topicsin Cost Accounting and Decisions,
Book Company,Inc,.,1963,Pp.174−188.,
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29 設備綾資の経済性計鮮紅おける不確実性の処理紅ついて
−ヱJ・−
さてある決定者が次の2っのくじ引AおよびBのいずれを選択すべきか瞼討 申であるとする。
くじ引A くじ引B
1,000万円あたる確率0.5 Ⅹ刀円あたる確率1.0 0万円あたる確率0.5
この決定者に.とってAとBとの中どちらを選んでも無差別であるため降は,
くじ引BのⅩほ如何なる値をとるぺきか。くじ引Aの期待値は500万円である。
この決定者はⅩが500万円よりも大きいならばBを選択す・るであろう。またⅩ は確実に㌧入手し得る金額であるから,決定者はⅩが500万円より少々小さくて もAよりもBの方を選ぶであろう。それ放こ.の決定者紅とつてAとBとが無差 別であるために.はⅩは500万円よりも小さい或る値をとる。
したがっていまとの決声名の有する数用をUで表わすと次の式が成立する。
ぴ(Ⅹ万円)ニ0.5こ7(0万円)+0.5ぴ(1,000万円)
ここ.でぴ(Ⅹ万円)はこの決走者に対するこの場合のズ方円の数用を表わす。
いま任意に0刀円の数用を0,1,000万円の数用を50,上述の効用等値の等式 を満足するズ万円の値が300万円であると仮定すれは
ぴ(800万円)=0.5(0)+0.5(50)=25
すなわちこの決定者にとってこの場合300方円の効用ほ25であるということ になる。最初の出発点においてぴ(0万円)=0,ひ(1,000方円)=50として,上 述した所と同一・の手続を繰り返して行くと,われわれはこの決定者に対してこ の場合に全体の数用関数を決定することができる。この決定者がある叫・つの会 社であるとすると,この会社の想定される効用関数ほたとえば次の第2図のよ うなもので表わすことが出来る。
第2図に.おいて小額の利益に対しては効用関数ほ境線を描く。つまり金額の 期待値がそのまま投資の判定数値となる。多額の利益に対してこは限界致用は逓 減する。・そして効用関数ほ最後に上限に・近づく。この反対に置失が増加すると 限界非効用ほ逓増する。しかし損失がある金額以上に.なると非致用は逓減し下
艮に.近づく。
葬37巻 欝4号
(8) 第2図 ある会社の効用関数
・−−J2−−
ところで上述の例において0万円の効用の0.5と1,000万円の効用の0.5とを合 計したものが300万円の数用に.等しい理由は後者が確実紅入手することのでき
る金額であるからである。
そこ.で次のような計算を行なってみる。
0.5×1,000万円=500万円 0・5× 0万円岩
500万円
くじ引Aの貨幣金額の期待値 500万円 確実に入手し得る,効用の等しい金額 300方円 危険等紅対する割引 200万円
このととから分るように決定者はこの場合紅不確実性紅対処するために不確 実性の危険等に対して200万円の評価減をなしたのである占
このよう紅効用関数を用いて:将来の不確実性に対処しよう、とする方法は原則 として−鹿に.次のような計簸過程をふむのである。
① 各生起事象の有する金額(たとえば0方円と1,009万円)の効用を計穿す る。
⑧ 各効用紅その確率を乗じて効用の期待値を封算する。
⑨ この期待効用と同一・の効用を有する金額を見出す。この金額は確実視し得
る金額である。
④ 各生起事象の金額の期待値を計静する。これと第8項の確実視し得る金額
(8)Harold Bierman,Ibid.,P.176.
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31 改備投資の経済性計算龍應ける不確実性の処理について
 ̄ ̄エ3 ̄こ
との差は主として危険に対する割引額でる。
っまり数用関数は不確実なものを確実なもの紅修正する転換機械の役目をな ものである。
それでは次に.この効用関数を用いた設備投資計算の具体例を2っ述べてみよ
う?
(a)いまある会社の致用関数が次の通りであると仮定する0 効 用 墜実な貨幣金額.
−800
−200
0
200 300 800
・1,000
1,200 ′ 2,000
−・80
−50
0
25 40 48 50 52 60
そしで或る投資案についてこその翌年におけるその設備から生ずる営業上の純
収入の予想が8つあってニ,その確率が次の如くであるとする。
効用の期待値 純収入 確 率 純収入の
0万円 0.25
0
1,000 0・50 50 2,000 0。25 60
_
この効用の期待値40を確実な貨幣金額に変換するのである。確実な貨幣金額 800万円である。
このことは単純な予想純収入金額の期待値がそのまま翌年の確実性を持った 幣金額に.ほならないことを意味している。
詔37幾 筋4号
るの けつ お8 にの 年額 翌金
純収入
予想 の確率 期待値 0万円 0.25 0万円 1,000 0.50 500 2,000 0.25 500
純収入の期待値 1,000万円 \  ̄ ̄ l 純収入の期待値 1,000万円
確実な金額 300 会社が評価した主として
不確実性に対する割引額 700万円
(b)いま次のような設備投資案があるとする。
期間末 現金の流れ
0
(700万円)の支出1 0万円(確率0.5)かまたは1,000万円(確率0.5)
の純収入 2 鱒1年末に同じ
そして設備投資引算法として資本価値法を考えることにする。通常の資本価 値法に・おいてごは一腰に資本コストが割引率として使用されるとするのが多数説 である。資本コストほ普通株のコストを含むことによっで正常な危険に対する 危険準備のための評価を含んでいる。
いま通常の方法にしたがって毎年の純収入として二期待値500万円を採用し,
また資本コストを10%とすれぼ,この投資案の資本価値は180万円となる。し かしこの答えは適当ではない。その理由ほ第1年および第2年の純収入の計欝 において単純な期待値を使用するところ紅問題点があるからである。
そこで効用関数を適用する方法においてはこの問題を以下のよう紅解決する のである。すなわち先ず各年の純収入を割引く割引率ほ危険を含まない長期国 債の利子(これをここ.では仮りに5%としよう)を採用する。∴その理由はこの 方法によると効用関数によって不確実性を処理するから,割引率そのもの匿よ
って∴危険紅対する準備をする必要はないからである。
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設備投資の経済性計算における不確実性の処理について
−ヱ5−−
さてこの問題においては次の4つの事象が生起する可能性がある。
生 起 事 象 期 間l− 1 1 2 圭 3 1 4
各事象の生起確率は各々0.25である。
こ「の各生起事象の資本価値を効用関数による手法を適用することによって訂 すると次の如くなる。
(2) (3)
効用待値資本価期待値
(1)
資本価値
(1×3)
(割引率5%) 効 用場 隠 率 (2×3)
生起事象
−700万円 −80 0.25 −ト20 −175万円
252 20
0…25
5 631 2 3 4
4
5214 290
3
230万円 207 16 ,0251,159 56 0け25
※と.の効用の値は第2図から得られたと仮定する。
効用の期待値は3である。いまぴ(40万円)=8と仮定すれば,確実な資本価 直の金額は40方円となる。したがって:こ.の投資案の資本価値(または放用)は
0万円(または0万円の効用)よりも大である。それ放この投資案は合格圏内
入るのである。
さらに次の資料に対して割引率を0.05として資本価値を引算してこみよう。
年 数 純収入の期待値
0
(700)
1 500
2
500 そうすると計算の結果は以下の如くなる。ーJ6−−
算37巻 節4号資本価値の期待値 230万円 資本価値の確実視される金額一旦一 不確実性の危険等に対する割引額 190万円
上述せるところから分るように・この効用関数ほ刷将来の不確実性に対する決
定者の主観的準備(低く評価すること。これによって:不確実性の数値を確実性
を持った数倍へ転換するの■である)と(ロ)種々なる額の貨幣金額の大小に対す 決定者の心理的価値感情との両者を含んでいるのである。
ところでらの効用関数による解法の弱点は次の如くである。先ず第i紅会社 め効用関数を測定することが困難なこ・とである。算2に効用関数は各年度毎ま た各投資案毎に異なるのが当然であるが,こ.のこ.とを実行するのは非常に困難 であることである。
(7)ゲ−ムの理論を導入する方法
この方法は主として将来の予想される状況に閲し,確率の判明しない場合に 適用される。
次に具体的計算例をあげて:こ.の方法の内容の説明を行なってみよう。
今ある会社が工場を拡張して乗用自動車,プルド・−ザ−・, 芝生刈込革めいず れかを製造販売しようとしている。将来の資料は次のように予測された。
資料の状勢a,b,Cの発生が予想される確率ほ各々同値であるとする。
この方法によれば上記の資料に次のようなミデマックスの原則を適用し五
慎重の原則にのっとり,プルトー・ザーを選択採用するのである。
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設備投資の経済性計静における不確実性の処理について −ヱ7−
(a) (b) (c)
乗用 自 動車 80 ⑳ 40
プルド・−・ザ・−
40 60 ⑲芝生刈込車 50 ⑳ 60
羊・の方法は慎重の原則を採用することによって予測の確実性を高めようとし いる。しかしそれは一面的な見解であって,代案選択の計画決定紅あたって 払 あまりにも不利過ぎる利益数値を計辞しないように・しなければならない。
定の正確性は予想利益を高過ぎて見積ってもいけないが,また利益数値をあ りにも低過ぎて見積らないこノとにも依存しているからである。予測される数 直は高過ぎもなく,また同時紅低過ぎもないように見積らなけれげならないの
ある。
このようなゲ・−・ムの理論によく似たものにハ・−ウィッツの方法およびテプラ ス・の方法がある。
(9)
ハーー・ウィッツは1951年に悲観楽観の判定基準を説いている。この彼の悲観楽 の判定基準の方法紅よっで上述の資料に基いて計算を行なえば次のようにな
選 択 案 悲磯(min) 楽観(max)
乗用 自 動車 20 80 プルドー∵ヂ・− 25 60 芝生刈込車 20 60
ことで悲観楽観係数を,経営者の心理によって決定する。この係数紅よって 観および楽観に重みをイ引サるのである。
いま経営者が熟考の結果,楽観係数ふ,すなわち楽観係数を・およ び悲観係数を −と 決定したとする。そうすると計算の結果は次のようにな
り,最大の値40を持つ乗用自動車が選択決定される。
東用自動車 一珊十−×20=40
9)Leonid Hu工:Wicz,Optimality Criteria for Decision Making underIgnorance,
Cowles Commission Discussion Peper,Statistics No‖ 370,1951
節37巻 欝4弓
/−J∂′−−
プルド・−ダー ×60+ー×25瑚・6
芝生刈込車 ×60十×20〒33・8 ハ−・ウィッツの判定基準を仙般公式で表わせは,次のようになる。
max〔αmaX(a,b,C)十(1−α)min(a,b,C)〕
α(1>α>0)…楽観係数
さらに.またデブクスの原則によって上述の資料紅対して封算を行なえぼ次の ようになる。
乗用 自動車 (80+・20十40)ヰす =46・6 ブルドーザー (40十60十25)÷3 =41.6 芝生刈込車 (50一+20+60)÷3 ニ43.3 したがってラプラスの方法によれは乗用自動車の製造販売が最適のものとし て採用される。
(8)ペニヨンの方法
不確実性に対する解決方法の中特異なものとしてニペニヨンの方法があげらか
(10ヽ
る。次に∈・の方法について説明を行なってこみよう。
いまある会社が証券に投資すべきかまたほ工場設備に投資すべきかについて 検討中であるとする。この場合将来に.おいて:2っの市場状勢の発展(不景気と 好景気)が予想される。不景気の予想確率ほR′=0.6であり,好景気の予想確 率はP′=0.4である。次に不景気の場合工場投資は.1%,証券投資は4%の投 資利益率を有し,好景気の場合工場投資は17%,証券投資は5%の投資利益率 を有すると予想される。
この関係を表示すると次の如くなる。
将来の市場状勢の発展 不景気 好景気 証券投資
工場投資 選択的
代 案
(10)EdwardG.Bennion,CapitalBudgetingandGameTheory,HarvardBu$ine$
Review,Vol.34,No.6,1956,pP.115−123.
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設備投資の経済性計算にぬける不確実性の処理について −J9−
予想確率 R′=0.6 P′=0.4
以上の資料に基いて次のような計算を行なう。ただしRおよぴPは各々不景 および好景・気に関する確率の或る値を表わすものとする。
Ⅰ: 4R+5P=証券の投資利益率の期待値
t
II:1R十17P=エ場の投資利益率の期待値 次の場合に両者の期待値は一一激する。
ⅠⅠⅠ: 4R十5P=1R+17P これを解いて
ⅠⅤ: R=4P
R+P=l,これよりR=1−Pであるから
Ⅴ: トー・P=4P それ故
ⅤⅠ: P==0.2,R=0.8
以上の計算はR=0.8,P=0.2であるならば会社は証券投資を行なってごもま たユ場投資を行なっても同値であることを意味してこいる。こ.のRおよびPを無 差別確率という。
この計算の結果次の表が得られる。
将来の市場状勢の発展 不景気 好景気
i
証券投資 工場投資 選択的
代 案
予想確率 R′=0.6 P′=On4 無差別確率 R=0.8 P=0巾2
そして:投資の判断に率いては予想確率が無差別確率よりも大なる市場状勢の 発展を採用するのだある。すなわちこの場合好景気の方が採用される。それゆ
工場投資の方が有利ということになるのである。
今度はさらに複雑な計算に.進んでみよう。いま或る会社が精油所の建設を検
第37巻 第4号
・−r2α−
討中であるが,その規模を如何にすべきかについてニ8っの代案(大・中・小乗 模の3つの工場建設案)が生じているものとする。
そ中予測資料は次の表の如ぐである。
19EFまでの経済成長の年率の予測 低率 中率 高率 2.5% 5.0% 7.5%
経済成長率 †
予想確率 エ′=0…333〟′=0.333月7=0.333
︑ノ ︶
大 中 .一...\ ′し
Z Y X
精油所の規模 投資計画中の
注 マスの申の数値は各規模別の投資利益率を′
表わす。
上の資料紅皐って無差別確率を求めると次のようになる。
無差別確率 エ=0.301 〃=0.114 月■=0.585 予想確率 エ′=0.338 〝岩0.883 月7ニ0.833
したがって∴経済成長率は低率および中率のいずれかを採るぺきであるという ことに.なる。
そうすると規模Zは投資案の候補者中から脱落し,規模yとズが残ることとな る。ところで今度はこのズとy両者の優先順位を決めるため紅,経済成長率匿 閲し低率と中率のいずれを採用すべきであろうか。このため次のような無差別 確率ん」昭,ガを求めるのである。
3.7エ+11.0〟+11.0ガニ8.8エ+8.8〃+8.8月
(yの利益率の期待値) (ズの利益率の期待値)
無差別確率′:エ=0.43(〟+ガ)
さてこの式に.エ=0.333,〟=0.338,ガ=0.333という数値をあてはめて:み と
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設備投資あ経済性計算肥満ける不確実性の処理について −2ユーー㌧
0.333>0.43(0.333+0.338)
なる。したかって経済成長率に関してはエが採用され,規模Ⅹが優先させら ることになる。
その順位ほ次のとおりである。
順位 1:ズ 2 : y 3 :Z
ペニヨンの説く手法は以上の如きものである。
われわれは設備投資討画においで慎重を期すために代案申のどれを選んでも 同値となる無差別確率を判断の基準として採取すべきである。それ故予想確率 が無差別確率よりも大きい市場状勢の発展を選択することが,設備投資紅閲し あやまちを犯さないよう紅するためには適当である。この方法は以上のよう 考え方に立脚していると思われる。
(9)幅を付けて投資利益率等を報告する方法
これは経営者紅将来に対する予測の不確実性を理解させるために,たとえば 資利益率法に.おいては.,或る投資案の投資利益率が何%から何%までの問に 在すると,その範囲を示す方法である。
なわちある投資案の投資利益率は12%から18%までの間紅あると表現する。
してこの投資案とたとえば2%から28%までの間の投資利益率を有する他の 資案とを比較するのである。両投資実において最も可能性の多い唯一・の投 利益率ほ同一・の15%であるとして:も,その不確実性の範囲を知ることによっ
,両投資其のいずれを選ぶべきかについて一層有数な判断の資料が与えられ ることに.なるのである。またこの場合にさらに各投資実について将来の予測事
払おける最悪の場合の最大の損失を経営者に通知することも有用である。そ てこれらの資料の判定に関しては経営者の判断が入ってくるのである。した
;ってここの場合における経営者の判断は出来る限り客観的な立場から見てこ妥当 ものでなけれほならない。
さて∴以下においではこの方法をもっと詳細に述べた米国のヘルツ(David B.
第37巻 欝4号
−−・22−
(11)
HeI■tz)の計算例を示してみよう。
いまある会社が設備投資の経済性計算法として投資利益率法を採用 合的代案であるズおよびyの中いずれを選択すべきかを瞼討中であるとす 最も確率の大きい将来の予想資料を基礎として計算するとズの投資利益率ほ9.
%,yの投資利益率は10.8%である。通常の方法はこ.の数値のみを報告するの であるが,こ.こに説明する方法はたとえば次に掲げるように.幅を付けて報告 るのである。
ズの投資利益率:
最も大きい確率の投資利益率は 9.2%
1/20の確率で投資利益率は 0%
1/10 〝 4〜5%
2/10 〝 8〜10%
1/50 〝
∂0%
yの投資利益率:
最も大きい確率の投資利萄率は 10・3%
1/10の確率で投資利益率は l/10 〝
2/10 〝 1/100 〝
この関係を函示すると次の第3図の如くなる。
0%
8〜5%
9〜11%
80%
(12) 3 図
Y 案 第
三蓑爪遠
V20の確率 2/10の砧奉 150の戚櫛 1/1りの孤軍 打10の確率
1/100の確率仙 DavidB.HertzリRiskAnalysisinCapitalInvestment,HBR,January・Feb・
Ⅰ・uaI・y1964,pp.95−106.
仕21David B.Hertz,Ibid.,p.96
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設備投資の経済性計算における不確実性の処理について −23−
上述の場合この方法によると経営者はyの方が明らかに有利であるとほ断定 し得ないであろう。というのほ・ズの方が大なる利益を獲得する確率が大きい場
が多く,しかも損失の危険が少ないからである。
以上のようにこの方法は川経営者に一層多くの判断の資料を与え,また(ロ)計 算もさ程困難でほないから,通常の最も確率の大なる資料のみによって判定を 行なう方法よりも優れている0
そ・
匿どのように・して計算するかを説明しよう。
たとえば将来の予測資料が広告宣伝費,市場の状況,市場占有皮,営業儲,新 しい投下資本であるとするとき,これらの資料の各々の帝大の確率がすべて 60%であるとすれほ,全体として:の最大の確率は(0・6×0・6×0・6〉く≠6×0・6)
=0.08となる。この確率の値は小さいものである。それ放これらの5っの確率 の組合せをもっと詳しく知ることが経営者にとって大切である。
そこで次のような方法を行なうのである。
抑 価格や成長率等将来の予測資料の各要素について種々なる生起の領域と生 起の確率とを見横る。
画 各要素についてランダムに値を1っずつ選び,各要素について選ばれたこ の値を各々組合せて,これに.基いて:投資利益率を計算する。たとえ.は価格の
領域における最低の値と成長率その他の要素に・おける最高の値とが組合わさ
れるかもしれない。この場合各要素は各々独立であると仮定されている。
ケう このようにして種々なる投資利益率とその予想確率とを計算する。
以上の各段階の内容を具体的に例示すると次の如くなる。
いまある会社がある設備投資計画を検討中であるとする。将来の予測資料の 要素は次の通りである。
⑪市濁の大きさ㊤売価⑨市場の成長率④市場占有度⑤必要とされる 設備投資額⑥設備の残存価額⑦運転費用⑧固定費⑨設備の使用年数
これに対して二上述の方法を適用するのである。その計算過程を図示すると次 の罪4図の如くなる。
ー24− 琴37巻 欝4号
(1:;) 第 4 図
そうしていまここにA,B2っの競合的代案があるとすると,投資の判断 おいてはたとえば次のような表を経営者把・呈示するのである。
a3)David B・Hertz,Ibid.,P.102
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設備投資の経済性計静紅おゆる不確実性の処理紅ついて
−2β−
設備代案の比較 ′
A 案 B 案 10,000,000円 10,000,000円
10年 10年
1,300,000円 1,400,OqO円
(1)投 資 案
(2)耐 用 年 数
(3)予想される年当り純収入
(4)予想される年当り純収入の変動 1/50の確率でこの値よりも
大きくなるかもしれない
1/50の確率でこの値よりも
悪くなるかもしれない
(51期待される投資利益率や
(6)投資利益率の変動の幅 1/50の確率でこ.の値よりも大
きくなるかもしれない
1/50の確率でこの倍よりも小
さくなるかもしれない
(7)投資の危険 損失の機
1,700,000円 3,400,000円
0円 (600,000円)榊 5.0%
6 8%
7nO% 15.5%
3・0%
(4.0%)糊無視し得る 1/10の確率
\この損失の予想される大きさ 〝 200,000円 場確率をウェイトとして封訝した平均の利益率(または最も確率の大なる利益率)
醐カツコほマイナスを表わす■。
以上のような表示方法は通常の確率の最も大きい(または期待値の)投資利 率のみをただ1っ表示する方法よりも・一層有用な資料を経営者に与えるもの である。
しかしながらこの方法における弱点は将来における確率が全然判明しないと き,この計算を行なうことが出来ないという点である。さらにまた会社内にお 沢山の投資案があって,それらの問に序列を付さなければならないとき,
山の各投資案を比較しなけれはならない。その場合に.このような幅のある投 利益率では序列を付けるのにとう判断してよいか分らなくなって,大変困る 合が生じてくるということである。そして.そ・羊.には経営者の判断が多分に入 込んでくるのである。
欝37巻 第4弓
ⅠⅠⅠ種々の解決方法に対する批判
−⊥26−−
以上において設備投資決定にあたって二不確実性を如何に処琴するかについて
種々の方法があることを述べた。それではこれらの方法の中どの方法が最も優 れたものであろうか。このことに関してほ西ドイツのヘルム−ト・コッホが従 来の解決策に対=する批判を行なって.いるので,先ず結論虹入る前に彼の所説な
(14)
険討してみよう。
彼ほ不確実性に関する従来の処理方法として④将来の純収入を現在価値に割 引くための割引率を遠い将来になる程大紅する方法⑧確率に基く期待値による
方法⑨ゲ−・ムの理論を導入する方法の3つを考察し,こ.れらの方法に・対して次
ヽ のように.批判している。
すなわちこれらの従来の解法は,企業経営者が予測の多義性に直面した計画
決定において企業の繁栄を高める目的と予測の確実性の度合いを高める目的と
を向価値のものとして並列的に対等に取扱って計算しているが,このような計 算方法ほ適当ではない。予測確実性の目的は企業繁栄の自的に従属し,そ・れに 奉仕す・るものであり,2次的なものである。
前者は後者に従属するものであるの紅,従来の解法は結果的には両目的を 列同等のものとして取り扱っているから正しくないのである。また慎重の原則 にしたがってきわめて保守的な計画を立てても,矢張り新情勢の出現によって
損失が発生する可能性ほ存在するのである。
したがって不確実性に対・す・る解決策は属目的を同価値として周列に取扱って
計算した従来の解法ではなくて,企業の繁栄(利益)を高める目的を欝1の根 本目的とし,予測確実性の度合を高める目的は結局企業の繁栄(利益)を高
る目的に従属し奉仕するものであるということを明りょ、うに打ち出した計欝
法を採用することが必要であるとするのである。
このようにフッホは企業繁栄の目的と予測の確実性の目的とを同列のもの
u劇HelmutKoch,ZurDiskussioninderUngewiszheits・・theorie,ZfhF1960,He
2,S.49−75.
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45 設備投資の経済性計算紅おける不確実性の処理紅ついて −27−
置く従来の解法紅反対する。
彼は予測の確実性の目的卑捨てて,その代わりに・予測の不確実性が少なくと
も企業を損失または著るしい利益の減少におとし入れないようにする確実性の
目的を採用する。そして企業繁栄の目的を根本とし,また予測の多義性が長年
匿わたって企業を損失または不当に低い利益に導かないようにすることを確実
粧するという目的は,根本目的である企業繁栄の目的を前に延長させたもので
あるとしてご,その前段階に置くのである。
コッホの主張によれば経営計画は次のようにして二決定されるぺきである。す なわち先ず将来に・対する予測が多義的で幾通りもの情勢の発展が考えられると きにおいて1その資料め情勢の中発生する確率の最も木きいものを決定するこ 辛が出来る場合を考え・る0
この場合企業経営者は,この鱒率の最大な資料の情勢を基礎として将来の計 画を立てるのである。・そしてこの将来の計画において,いくつかの競合する代 案(たとえば設備投資案)が存在する場合,利益数値最大の代案を選択決定す る。しかし万一・,この確率の最大である資料の情勢が,将来実際にほ発生せず,
予測が聞達っていた場合に損失または着るしい利益減少が生ずるかも知れない
から,こ・れを防ぐようにしなければならなし「。
したがって企業経営者は,これに.対処するために保険に加入して保険会社に 償険料を支払うとか,将来の原料不足に対処してあらかじめ適正な原料または
商品の準備的在庫高を購入し確保しておくとか,情勢の変化に直ちに会社の榛 制を順応させ,組織変えをするをめに必要な現金預金を計画的に準備しておく とかして,予測の番狂わせに対して,損失の回避または最小限皮の希望利益確 保の目的(これを以下簡単に損失回避保障目的と総称する∈・とに・すろ)を維持 しなければならない。こ.のためには樺々の費用が発生するから,それだけ利益 が減少する。以上の損失回避保障目的の処置は常に必らず各選択案に付属させ られ,それに含められて,検討されるこ.とになる。
それ放企業経営者は,最も確率の大せい将来の資料の情勢に基いて:計画を立 てるのであるが,その際生ずる多くの選択案の中から,前段階として,もしも