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相関分析についての一考察
・〝大学入学試験に関連して−
木村 等・広瀬文子
大学人学者の選抜方法に関して,学力試験の妥当性と信病性,あるヤ、は,高 等学校の調査書の効用とその活用方法等紅ついては,いろいろ議論されてきた
ことである。国立教育研究所紅よる報告も大学入学後の成績は,入学試験の成 績との相関よりも,高等学校の成績との相関の方が大きいことから,大学の入 学試験においてほ.,高等学校の調査書を重視すべきであることを述べている。
この問題について,我々ほ,≠一夕に問題があると考える。すなわち,入学試 験の成績は,合格最低点でキれていて,それより下位の点は存在しない0とこ ろが,高等学校の成績については.,ある点で,はっきり,きれるということは なく,比較的下位のものも数ほ少ないが合格している。このような状況のもと では,比較的広い範囲に.ばらまかれている高等学校の成績との相関が大きくな るのは当然でほ.ないかと考えて,実験的に確かめてみることにした。
いま,受験者全員が入学した場合にほ,入学試験成績と大学における学業成 績とほ,相関があると仮定する。つまり,受験者の全員合格する入学試験にお
いてほ,−・般紅,入学試験成績の長い者ほ,大学学業成績も良いし,また,入 学試験成績のよくない者ほ,大学学業成績もよくないと考える。そこで,ここ では,入学試験成績Ⅹ及び,大学学業成績Yが,いずれも平均50.0標準偏 差10.0であって,相関係数が0.7の二次元正規分布をなすものとする。いま,
Ⅹに.ついて,上位10%のみをとり,下方をきりとって相関係数を求めてみる と,0.3739を得た。同様に,ある年の本学部の合格率27.15%を用いて,Ⅹの 分布の上位27.15%について相関係数を求めると,0・4412であった。このよう に入学試験の点数が上の方できりとられる程,相関ほ小さい。
つぎに.,同じ年の本学部の合格者紅ついて,高等学校の成績評価の分布をみ
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弟43巻 簡1・2・3号
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ると,A‥44.0%,B:4孔4%,C:11・6%である。二一腰に,高等学校におい てほ,上位10%がA,つぎの20彩がB,つぎの40%がC,つぎの20%が D,残りの10%がEと評価されているようである。そこで,期待値の計算に
おいて,Ⅹの積分の範囲を上位10%,つぎの20%,そのつぎの40%の3つの 部分にわけ,合格者の比率が44.0%,44.4%,11.6%になるように,それぞれ にク、エイトをつけて計算する。このようにして,相関係数を求めると,0.畠522 を得た。すなわち,上位27.15%で下位をきりとってし、まえば相関係数は 0.4412であったのに対して,下僚の借もある程度存在するようにして,相関係数 を求めると,0・5522であって,相関係数ほ大きくなる0もちうん,入学試験の 成績,大学入学後の成績が,正規分布をすると考えることは,無理であるかも しれない。したがって,実際のデータ紅ついてほ上の計算の通りではないであ ろう。しかしながら,考え方としてほ,同じよう紅考えてよいのではなかろう か。すなわち,入学試験成績キ,大学学業成績との間の柏関が小さいというこ とは,本来,相関が小さいのでほなく,デー・夕に・制約があるためである○我々 のもっ七いるデータほ,入学試験についてほ,大学学業成績に対応するものとし て,上位何%かを残して,下位をきりとってしまったものである。この上位の部 分だけについて相関を求めているために,相関が小さくなるのである。これに 反して,大学人学者の高校学業成績においてほ,本学部の例でも,A,B,C の各クラスのものが存在する0このことは,程度の差ほあっても,どの大学に
もいえるヱとではないだろうか。すなあち,成績が上位だけに限られることな く,比較的下位のものもある程度存在し,デー・タの巾が広くな云たため紅,大 学学業成績との相関が大きくなるのではなかろうか。このことから考えて,入 学者という限られた部分について,高校学業成績と大学学業成績との間の相関 が,入学試験成績と大学学業成績との問の相関より大きいということから,直 ちに,大学人学者の選抜のために.ほ,高等学枚の学業成績の方が,入学試験よ りも,良いと判断するこ・とほ,誤りであろう。一・般的にいえば,実証分析にお いてほ,デー・夕を分析することによって,叫・般法則を求めようとするのである が,そ・こでは,機械的に理論を適用すれば,事がたりるのでほなく,データに
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相関分析紅ついての一湾察
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ついての充分な吟味を必要とするのである。大学の入学試験について考えるた めには,′大学における成績をどう考えるかという問題も一・つの困難な問題であ
るが,ここでほそ・のことについてはふれず,デー・タについての吟味の必要性を
指摘す
ちなみに,上の問題をモンテカルロ法で取り扱ってみる。すなわち,正規乱 数Ⅹを発生さぜ,Ⅹが正規分布においてニ,上位10%に入るものについての
′ み,大学学業成績にあたるデータYを正規乱数によって−Ⅹ,Yの相関係数が,
0・7であるようにつくる。このようにして定まった入学試験成績と大学学業成 績にあたる乱数の細200終に対して−の相関係数を求めると,その100回での平 均では0.3807という値を得た。また,Ⅹが上位27.15%に入るものについてほ,
同様にして,相関係数の平均を求めると,0.4434を得た。これほいずれも,期 待値を積分によっで求めたものとの差ほ,0.007をこえていない。
つぎに,高校学業成績と大学学業成績との関連については,つぎのように取 り扱った。正規分布において,上位10%すなわち,Ⅹ≧1.281の部分をA,つ ぎの20%すなわち,1・281:>Ⅹ≧0・524卯β分をB,つぎの40%すなわち,
0.524:>Ⅹ≧−0.524の部分をCと1する。そして,正規乱数ⅩをA,B,Cの 各クラスに含まれる比が,44.0%,44.4%,11.6%となるようにつくる。そ・し
て,おのおののⅩに対して,正規乱数Yを,Ⅹとの相関が0.7であるように,
ⅩとYのデータの組をつくり,そのデータの粗200終に.ついて相関係数を100 回計算して平均す−ると,0.5569を得た。これも,積分によって求めた相関係数 の値0.5522との差ほ,0.0047にすぎない。このように,モンテカルロ法ほ,
このような問題に対して充分有効であると考えられる。