Title
双子のパラドックスを解く鍵はガリレイ変換にあった
Author(s)
仲座, 栄三
Citation
琉球大学工学部紀要(75): 1-6
Issue Date
2014-10
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12000/30354
Rights
琉球大学工学都紀要第75号.2014年
双子のパラドックスを解く鍵はガリレイ変換にあった
仲 座 栄 三 事
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Key
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Galu曲n甘 岨sfonnad叩t
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solvetheτW恒ParadoxinE血stein'srelati吋tyEizoNAKAZA
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旬、IlCt According to Einstein's Special Theory of Relativity,
“
for回 observerin a s同.ticsystem,
血
e time inside a system moving with a const皿tspeed is slower th阻 血otin a static sys旬m."This int町P問tationh副 givenrise to various paradoxes including the Twin Paradox. H町e,白eTwin Para血xis resolved. The k町t
o
the solution was to∞
rrect our earlier interpretation ofthe Galilei Tr皿sformation.The wrong泊terpretationof也eGali1ei Transfonnation w田 broughtin白 血e Specia1τ
'heory of Relativity by Einstein as such. Correcting our earlier interpretation of由e Ga1i1ei Trans加 mationis∞
nnected to the correct interpretation of the relativity theory岨d由.t way the Twin Paradox h田 b国nsolved E町Wo吋s: GaIile田 佐 阻 曲rm
副0,0Twin par,吋o,xspecial四lativity, 盟 国 同tn,四lativeveloci町1
.
序論 アインシュタインの特暁相対性理論" ,によれば"r
静 止系内の観測者に対して一定速度で運動している移動系 内の時聞は,静止系内の時間よりも遅れる」こうした解 釈が,双子のパラドックスをはじめとする様々なパラド ックスを派生させてきた ここに,双子のパラドックスカ靖斡是される 僻署長の鍵 は,ガリレイ変換に対する我々のこれまでの解釈を正す ことにあった ガロレイ変換に対する誤った解釈は,アインシュタイ ンによって特婚相対性理論へとそのまま持ち込まれた ガリレイ変換に対するこれまでの我々の解釈を正すこと が,相対性理論に対する正しい解釈九と繋がり,そのこk
で双子のパラドックスは餌訣されるとととなった. 2, i!Jt干のパラドッウス アンシュタイン,:1:, 1905年に発表した特努嗣削主輸 の中で,次のような冒の説明を与えている " , 「一つの置線上に離れて静止している2
人の観測者A
及びBが,正確で同じ精度の時許をそれぞ'tI;j守っている 互いにそれらの時計の時刻を合わせた後に,観調陪Aが, その直線上を,静止している観担措B
<1>位置まで一定の 受付 '"14年6月24日j 受理 '"'4年7月316 *工学割甥膨複鶴史工学科 ( D略即値箪m
'
"
白V畳E略 - 事& M主砲抽.... F岡崎"'1>事国軍略面晴晴"'..両町四) 速度で移動して来た目このとき,観掴措A
の時計f;j観測 者 B町時許よりも遅れている」 相対性原理に担胤ぽ,上回説明を逆にして,r
観調府A カ司静止したままで,観視陪Bが観測者Aの元に移動して きた」と判断することも評される.この場合,観測者A
の時計に対して観調陪 Bの時計の方が量動Lることになる このことは,先に述べた「観測者 Bの時計に対して,観 掴盾Aの時計が遅れる」とする主張に反する. 以上のように,時間に関する主張が相矛盾することは3 アインシュタインの特顎持日対性理論に関わる双子のパラ ドックスとして知られている アインシュタインの相対 世霊園駒市とよる時聞の遅れの実証として,物理学は数多く の実験データまでも示して来たそれにも拘わらず,こ の問題は未解決舟まま今固まで残されてきた 8, 4, 1> 双子のパラドックは,すでに解決された問題であると する考えもある 例えば,地球から打ち上げられたロケ ットに乗る者民地球に帰還するのに旅の途中で必ずロ ケットをUターンさせなければならず,そのようなイベ ント位地球主の観調情には存在しない.従って,r
ロケッ ト内町観測者の方が移動していたのであって,ロケット 内の観掴賭の方が歳を取らない」とする考え方である. しかしながら,上述のUターンという操作に基づく考 え方は,逆にロケット内の観国盾官ミら見ると,ロケット 内で加速キ輔速の操作をするたび:
l
:
:
:
,地球が決まって加 速ヰ椋速を行い,U
ターンしたのであって,地章治宝ロケ ットに向かって帰還したのであると反論される.したが って,上述した「ロケットの方が移動していた」とする 説明出島ずしも正しくない2
相対性理論に拘る専門書などには,ロケットが行きと
帰りで飛行軌道を乗り換えたのであるとする説明が与え
られている場合もある.しかしながら,それとて,地球
人こそが慣性軌道を乗り換えたのであるとする主張で反
駁されてしまう.
こうして,信じ難いことではあるが,特殊相対性理論
にまつわる双子のパラドックスは,その謎が未だ解けぬ
ままに残されていたと言える.
本論の主たる目的は,ガリレイ変換に対する従来の解
釈を正し,さらにアインシュタインの特殊相対性理論に
対する解釈を正すことで,双子のパラドックスの謎を解
くことにある.
3.ガリレイ変換の正しい解釈
いま,図-1 に示すように,観測者 A 及び B の座す慣性
系が,それぞれ存在すると仮定する.このとき,観測者
A は,観測者 B の座す系が,
x軸と
X軸を平行にした状
態で,一定の速度 v で遠ざかっているものと観測してい
る.
相対性原理によれば,観測者 B からは,逆に,観測者
Aの座す系が一定の速度
−vで遠ざかっているものと観測
される.このようなとき,観測者 A 及び B に観測される
力学は,いずれも静止系から観測される力学と呼ぶこと
ができる.
観測者 A は,適切な座標変換の導入によって,観測者
B と併走する移動座標系を構築できる.観測者 A がその
移動座標系へ乗り移れば,観測者 B は静止して観測され
る.観測者 A が,その移動座標系を通じて観測する力学
現象を,相対論的力学と呼ぶ.
従来,観測者 A は,相対論的力学を論ずるとき,ガリ
レイ変換を導入してきた.ガリレイ変換は,一般に以下
のように与えられる.
vt x X= −(1)
y Y=(2)
z Z=(3)
t T=(4)
ここに,
(
x,y,z)
及び
tは観測者 A の空間座標及び時間
を表す.また,
(
X,Y,Z)
及び
Tは観測者 B の空間座標及
び時間を表す.
式(1)~(4)に示すように,ここで導入されるガ
リレイ変換は,観測者 A が,変換によって,観測者 B の
系に乗り換えることを表す.すなわち,観測者 A の視点
は観測者 B の視点そのものに入れ替わっている.
その結果,ガリレイ変換を経た観測者 A は,そこに,
観測者 B が観測する力学と同じ静止論的力学を観測する
ことになる.また,ガリレイ変換を経た観測者 A に観測
される光の速さは,相対性原理によって,等方的で一定
値 C となって現れる.すなわち,観測者 A は,相対論的
力学をまったく観測していない.これが,ガリレオ変換
に対する我々の従来の解釈の誤りである.
本来,観測者 A の目的は,ガリレイ変換を通じて,相
対論的力学を観測することであった.ガリレイ変換は,
正しくは,次のように与えられなければならない.
vt x x′= −(5)
y y′=(6)
z z′=(7)
t t′=(8)
ここに,
(
x
′ ,
,
y
′
z
′
)
及び
t′
は,観測者 A が設定する移動
座標系の空間座標と時間である.これを図-2 に示すよう
に,観測者 A
′の系とする.
式(5)~(8)に示す変換を経て,観測位置を移動
図‐1 従来のガリレイ変換
図‐2 相対論的運動の観測のための正しい座標変
換(速度
vは,観測者 B 及び
A′の観測者 A
に対する移動速度,C 及び
C′は各観測者に観
測される光の速さを表す.
)
琉球大学工学部紀要 2014 年
NAKAZA:A Key in the Galilean transformation to solve the Twin Paradox in Einstein's relativity
琉 球 大 学 工 学 部 紀 要 第75号.2014年 座標系に移した観視
i
者 A (すなわち,観担g
者約には, 観測l者Bが静止して観測される.一方で,観.IJIU.者Aの系 ヰ脅翻l膚Bの慣性系で観測されている等方的で一定の速 さCで伝播する光の速度は,観測者A'には,方向によっ て異なって観測される 例えば,
x'軸方向に伝播する光の速さは,観調者 A' には, C-vやC+vとなって観測される.また,
y'軸方 向に伝播する光の速さは,C1rとなって観測される.こ こに,係数yは1I,[i二布である 6 式 (5) - (8) の変換を経て,観測者A'の立場とな った観調.'F昔Aに観測される光の速度は,等方的でなく, そして一定値Cでもない.観測者A'に観測される光の速 度に関するこのような議論を経て,“変換式として近似的 に式 (5) - (8) を用いる"とする論理の展開には, 相対論的力学という物理的意味が存在する これに対し,観視l
者A'に種世則される光の速度の議論を 経ない,従来のガリレイ変換の導入は,観測者Bが認識 している静止系の力学を論じているに過ぎず,論理的展 開に物理的意味が存在しない 4 特殊相対性理論の正しい解釈 座標変換を経て,観測の立場を移動座標系に移した観 測者A
(すなわち観測者A')に観測される光の速さが, 等方的で一定値Cとなっているような座標変換は存在し ないのか?この闘いに答えるのが,ローレンツ変換であ る.ローレンツ変換は,正しくは次式で与えられる. x'=r(xー
吋
)
(9) y'=y (10) z =z (11) ピ=
r
(
t
-
苦
)
(12) 観測者Aが,式 (9)- (12)の変換を経て設定する 移動座標系を,以下,観測者A
"
の系と呼ぶ. 一方,観担g
者B
の座標系から観.IJIr盾A
"
の系へのローレ ンツ変換は,次のように与えられる. x'=rX (13) y'=Y (14) z'=z (15) 日 {[1計
一
手
ト
16) 式 (9) - (12)に示すローレンツ変換によって,視 点を移動座標系へと移した観測者 A('すなわち観測者A'う に観測される光の速さは,等方的で一定値Cとなって観 測される.また,移動系に座す観測者A吻もは,観祖u
昔, Bは静止して観測される 式 (9) - (16) に示す座標変換に対し,アインシュ タインは,次のような変換式を与えた"2 X=r(x-vt) (1η Y=y (18) z=z (19) T斗苦)
(2ω これらの式の左辺に見るように,観測者Aによる変換 先の座標は観測者Bの系の座標として設定されている. ガリレイ変換に対する我々の従来の解釈の誤りは,こう してアインシュクインによって彼の相対性理論へとその まま持ち込まれたその結果,アインシュダインには, 次に示す時間の短縮定理が導かれた " 2 T=仔
ω
この瞬間,双子のパラドックスが派生されることとなっ た. アインシュタインの変換式 (17) - (20)を正当化す る術は存在しないなぜなら,観測者 A~i噂翻盾 B の系 へと乗り換える変換は,従来の角献によるガリレイ変換 で十分であるからである.また,観測者Bの系ではもと もと光の速さは等効力で一定値Cと観測されているため, ローレンツ変換を必羽生としないからである. アインシュタインは,r
泊恵度不変の房裡Iを相対性理 論構築の前提として導入した.しかし,観測者Aに対し ても,観視l
者Bに対してもa観測される光の速さが等方 的で一定値となっていなければならないことは相対性原 理が要求することである その上で,ローレンツ変換を 必要とする理由は,空間座標の単純な平行移動を与える ガリレイ変換を経た観測者A'に非等方的に観測される光 の速さを,観測者Bと同様に,等方的で一定値Cとして 観測するためにあった 6 したがって,相対性理論を導 くにあたって,光速度不変の原理の導入を,なんら必要 としない 6 アインシュタインによって導かれた関係式 (21)は, 正しくは,式 (9) - (16) により,次のように与えら れなければならない. t'=
仔=日
T ω ) 3NAKAZA: A Key in the Galilean transform.ation to solve the Twin Paradox in回nstein's四lati'叫'y 4 存
y
制 撤 る す 日山師一-鮎 杭M
付 加 齢 ツ 軸 に ドr H
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て B 者 匂 和 帰 制 品 μ J ω 相 似 制 倒 憎 た し 観 し 在 は ザ ニ ー 「LττV包
3) 1-笠 芋
I C. こ こ に , 州 諸 揃 陪A'"こ観測される速度を表す したがって,観視l
者A
"
に観測される速度ずは,観温情A
に対して,次のように観測される目 u = 4 Z L ( M ) 1+ vv_ C. ここに,速度Uは,移動座標系の観測者A 速度vザ,を,観J
1
lU.者Aの速度に変換した値である アインシュタインの特殊相対性理論の中で,式包4) に対応する関係式が与えられている.しかしながら,ア インシュタインの場合,式包4)と具なり,次式を与え ている " 2 v+V U~ ーーでァ (25) 1+ V~ C. アインシュタインは,観視府N'
の座す移動座標系をそ のまま観調l
者Bの座す座標系と誤って認識しているので, 式(25)に至ってしまったのは当然といえる 物理学は,式包5)の存在と従来のニュートン力学に おける速度合成則との違いを説明するのに苦心を強いら れてきたことは否めない.しかしながら,式ω)
及び 式 (24)によれば,観測者Bの空間や時間の尺度とは異 なる観.iJI~者 N'の空間と時間を以て測定した速度 v' と,そ うでない尺度で測られた速度vやv
との合成を考えれば, ニュートン力学における速度合成則との違いは容易に説 明される 互いにまったく同じ空間及び時間の尺度を用いている 観測l
者A及。浦湖者Bのそれぞれに観測されている速度 によれば,次なる関係が与えられ,ニュートン力学にお ける速度合成刷そのものとなっていることを確認できる. u~v+V (2惜) アインシュタインの後,ブランク (1906)7は,相対論 的漣動方程式を誘導している.この方程式もここに示す 移動座標系を用いて書き直す必要があるが,ここまでの 議論の後において,そのことは自明のことであるので割 愛する. ところで,式 (22)から得られる結論は,一見,時間 の遅れを支持する物理的観測結果とされるロッシ依田副 皿d凪且 1941)3の実験結果に反するように恩われる.し か し 式 (9)~ (12)に示す変換を経て,相対論的力 学を論ずる観測者Aからは,ロッシの与えたミューオン の寿命の延びは相対速度の存在による相対論的慣性質量 の増加(すなわち,相対論的エネルギーの増加)による 効果として説明される. 地上の観測者Aに観測されるミューオンの相対論的慣 性質量は,次のように与えられるm=r
町(
2
η
ここに.mは相対論的慣佐賀量, moは静止慣性質量を表 すすなわち,飛来するミューオンの相対論的慣性質量 を観揖する地上の観調者Aの主張は,次のようである. 「ミューオンの相対論的慣性質量m が静止慣性質量町 の 1/2に減じるまでに要した時間は,静止慣性質量町が 示す半減期のちょうどy倍であった」 5,物理学はこれまで何を実証してきたか? 式 。2)に示されるように,一つの慣性系(観視府A) から一定速度vで移動していると観測される慣性系内に 静置されている時計(観視情Bの時計)は,それを観測 している観測者Aの時計とまったく同じテンポで時を刻 むことが示された. しかしながら,物理学の世界においては,観測措Aに 対して一定速度で移動している観測者Bの時計が,アイ ンシュタインの相対性理論(式。1))から予測される量 だけ実際に遅れていると説明される 4,8, 9, 10 その結果,式包2)が導く結論は,物理学の教えに反 することになる.このことについて説明しなければなら ない 本論によれば,観調情A (例えば,地上の観湖盾)に 対して一定速度vで移動する飛行機やロケット内の観測 者Bを取り巻く時閣及び空間,そして力判明象を観測 するには,すべて式(9)~ (12)で示される関係を通じ て行われる. その際,地上の観測者Aの時計ι
それに対して一定 速度vで移動していると観測されている飛行税枠ロケッ ト内の観調暗Bの時計とは,まったく同じ速さで時を刻 むことが,本論の相矧生理論構築の前提剣牛である この前提条件の下で,例えば,新繭内の観浪渚Bに よって 1(8)間隔で発せられる光のパルスが,地上の観測 者Aにいかように観測されるのかについて,以下に具体 的に説明しよう このとき,地上の観測者Aは,式 (9)~ (12)で示さ れる関係を以て構築される移動座標系内の観説者A
"
を 通じて,新珊内の観測者Bの世界を互いに静止した状 態で泊り,まったく同じ物理法員JIに員u
って観測できる 式 。2) に基づき,地上の観祖謄 Aの時聞と移動座標 系内の観測者A"
の時間には,次なる関係が成立してい る. t'=品 倒
琉 球 大 学 工 学 部 紀 要 第75号.2014年 したがって,観視盾Bの時計が示す単位時間と同じ単 位時聞を以て,観測情
A
:
'
が,観測者Bの発する 1(0)間 隔の光のノ勺レスを測定すると,観測者A
:
'
には当然なが ら1(0)間隔の光のパルス市灘測される.その時,式ω)
もしくは式(28)の関係から,観源措 Aには, IXγ(0) 間 隔の光のノ勺レスが観測されることになる.このような観 測事実が,時間延長と呼ばれる. また,観測者Bの目前に静止している 2点 健 度 vの 方向に平行に位置する2点)聞の距離を,観測者 B と同 己単位長さを以て,観測者A
:
'
が測定し,長さ Iρ と観測 したとする このとき,式(9)に基づき,観視情Aには それが, LOIγ の長さとなって〔短縮して),観測される. このことの正しさは,r
ー官財目対住理論における日食にお ける太陽の周りの光の屈折ですでに実証されている」と いう判断も与えられる 本論が,宜しいものと主張する相対性理論は,ある観 測者に対して一定速度で移動する観調l情と光や電磁波な どで通信を行えば,これらの聞には必ず,式(9)~ (12) に基づき,両者聞に式(22)で示される時間の遅れが生 じることを主張している 従来の物理学が教えるように地上の観調者Aの時計 に対して一定速度で移動している新T
機やロケット内の 観測者Bの時計が,式。1) に基づいて,実際に短縮し ているのであれば,以下のような判断が与えられる. 地上の観調者A に対して一局車度vで移動していると 観測される新7
機やロケット内の観測者Bの時計は,観 視府A の時計が示す単位時間 1(0) の1/γ倍の単位時 間に短縮しているので,観測者Bが単位時間間隔で発す る光のパルスを,地上の観測者Aは,自らの時計の指し 示す時聞を基に,単位時間間隔で発する光として観測す る.したって,観担者A及び Bそれぞれが有する時計の 指し示す時刻は,両者まったく同じとなる. しかしながら,観.1IlU'者Aと観置帰Bの持つ時計とには, 式 。1)に基づく単位時間の相違があるため,観視j者 A は,観測直を式(21)に基づいて変換し,観測者Bの発 する光のパルス間隔が, (観測者Aの時間に換算すると) 先に測定された値の1/γ倍の時間間隔で発せられたもの であることを知る. このように,アインシュタインの費帝釈にしたがう従来 の物理学による説明では,観視j者A と観置情 Bとの聞に 時間の相違があることは,式。1)を通じてのみ知るこ とになる.したがって,直主量的な観測値のみからは,星 の光の時間延長も観測されないこ在になる 出品:10副K
国自宅 (1972)は,4
台のセシウム原子時計 を飛行機に実装し,地上に静置した時計との差を以て, 費桁機で一定時間移動してきた時計の方が理論的に予測 される時間晦れと同程度にす苛もていたことを示し,r
時計 の遅れの問題が実証された」と論じた これに対し, Kelly (2閣泊)は,出島10andK国血Eの実 験は,.
r
何ら時計の遅れの問題を実証していなし、Jr
デー タを都合よく解釈しているIとする旨の異論を与えてい る. 出品10皿d K園出gの後,さらに詳しい実験が, Al1ey (1勿 坊 や V品副 (1抑9) らによって,たてつづけに行 われ"r
アインシュタインの言う時間の遅れが正しいこと を実証した」旨が報じられた 10, 11 出 池 田d
K!閣時らの実験では,新子開始直前と新T
後にそれぞれの時計が指し示す時刻の比較が行われた これに対l..-, Al1可やV出国tらの実験では,新7
物体内の 時計と地上の時計との時刻の差が通信のやり取りで比較 されている. 本論によれば,ある観測点と,それに対して一定速度 で移動している観測点との聞で,光や電磁波等を用いて 遥信を行えば,両者聞に必ず式 (22) に示す時間差が現 れる.したがって,助副e皿dKea血畠らの後に行われた 詳細な実験の多くは,r
時計の遅れの問題白を実証したの ではなく,むしろ本論の示す式 (22) の正しさを示すも のであった,と判断されるー 次に, HaI晶10血dK国血gらが,地上に静置しであった 時計と,一定時間飛行してきた時計との時刻の直接的比 較を行ったとする実験結果の信ぴょう性について検討し てみよう. 地上に静置してあった時計が,実験の前後で1(0)聞を 要するものであったと仮定する.この時,H
成10血d k副 ngの実験結果によれば,.
r
飛行後の時計は,式。1) から宇醐リされるように町(0)の紐晶時聞を指示していた」 と述べていることになる. しかし,その主張は,時間の遅れに関する矛盾を含ん でいる.なぜなら,飛行している時計が地上に静置して いる時計よりも遅れているのであれば,緒子している時 許の刻む単位時聞は1/γ(0)である.また,実際に要し た観測時間は tXI/γ(のである.これらの時聞は,いず れも観視措Aの時計の単位時間によって表されている. したがって,稲子した時計が指し示す時刻の数値は, tと なっていなければならないすなわち,地主に残された 時計も飛行してきた時計もまったく同じ時刻の数値tを 指し示していなければならない. この点は,s
帥 (1971)12及 び 原 因 。 叫 )13の主 張「それぞれの時計の単位時間よれば,両時計の指し示 す時刻は,まったく同じ数値である」の正しいことが示 される.しかし,本論による相対性理論の構築は,彼ら が拠った従来の理論とは異なることに注意が必要である. ここに示される時刻に関l..-,凪帥皿dK副理は,r
両 時計聞に時刻の差が表れていたJと述べているのである から,自己矛盾を示していることになる. 飛f
苛幾やロケットなどを用いた実験によって,r
時間の 遅れに係る問題」を議論するためには,江湖子の前後で 両者の時計の指し示す時刻がまったく同じとなっている こと,(g澗T
中に指し示す時刻を光や電磁波などを用い て比較するとき,両者聞に式。2) で示す時刻の遅れが 感知されていること,などが明らかにされなければなら ない, 以上のことより,これまで物理学で行われてきた高精 度の実験は,本論が示す (9)~ (12),そして式 (22) 5NAKAZA: A Key in the Galilean transform.ati叩 tosolve the T叫nParadox in回nstein's relati吋ty の正しさを証明するものであったと解釈することは可能 であるが,アインシュダインの主張する時間の遅れや, それに付随する双子のパラドックスを角鞍するものでは なかったと結論される 6 結論 アインシュタインの相対位謹論から派生された双子の パラドックスが,ついに紐解かれた.この問題解決に幾 多もの割臨者が現れてははかなく消えていったその解 決の鍵は,これまでの挑戦者が想定したローレンツ変換 後に展開される論理にあったのではなく,その前身とし て我々が何の疑いもなくこれまでに導入してきたガリレ イ変換にあった. ガリレイ変換を用いて相対論的力学を議論しようとす る我々の理解はこれまで誤っていた.その誤りは,その ままアインシュタインによって彼の相対性理論へと持ち 込まれることとなったー ガリレイ変換に対する我々の従来の解釈が誤っている ことに気づくことは,まさに“コロンブスの卵"といえ よう ガリレイ変換の修在を経て,アインシュタインが 導入したローレンツ変換が修正された.この時点で,双 子のパラドックスは解決された. ここで導入された新しい相対性理論の概念に従えば, アインシュタインの与えた特殊相対性理論の解釈を,正 す必要がある.ここで述べたこ止は,アインシュタイン の特殊:相対性理論に関することであるが,一般想定性理 論に対しても同様なことが言える.それらを論じること は蛇足かもしれないが,別の機会に触れたい 参考文献
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