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平成 21 年度経済産業省委託調査

平成

平成

平成

平成 21

21

21

21

年度資源循環推進調査委託費

年度資源循環推進調査委託費

年度資源循環推進調査委託費

年度資源循環推進調査委託費

3R

Rシステム

システム

システム

システム化可能性調査事業

化可能性調査事業

化可能性調査事業

化可能性調査事業

-製鋼

製鋼

製鋼スラグ

製鋼

スラグ

スラグの

スラグ

の全量高炉循環

全量高炉循環

全量高炉循環

全量高炉循環システム

システム構築

システム

システム

構築

構築

構築に

に係

係る

る調査

調査

調査

調査

成果報告書

成果報告書

成果報告書

成果報告書

平成

平成

平成

平成 22

22

22

22

年 3333 月

受託者

受託者

受託者

受託者 JFE

JFE

JFE

JFEテクノリサーチ

テクノリサーチ

テクノリサーチ

テクノリサーチ株式会社

株式会社

株式会社

株式会社

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目 次 1. 緒言 1.1 背景

1.2 調査目的

1.3 検討委員会の設置及び運営

2. 高炉循環システム実用化検討 2.1 製鋼スラグの高炉循環システムにおける技術課題

2.1.1製鋼スラグ高炉循環システムについて

(1)製鋼スラグ (2)製鋼スラグの高炉循環システムフロー 2.1.2製鋼スラグ高炉循環システムにおける技術的課題と対応 (1)鉄鋼メーカーへのヒアリング (2)製鋼スラグ高炉循環システム構築における技術的課題と対策のまとめ 2.2 製鋼スラグからのリン分離・回収技術に関する技術調査 2.2.1文献調査 (1)文献データベースによる検索調査 (2)技術動向分析 2.2.2ヒアリング調査 (1)ヒアリング先及びヒアリング項目 (2)ヒアリング結果 2.2.3技術比較検討 (1)対象技術の抽出と技術比較検討 (2)技術比較検討の総括 (3)実用化検討を実施する技術 2.3 製鋼スラグの高炉循環システムの可能性調査 2.3.1製鋼スラグ高炉循環システムフローのケース設定 (1)ケースⅠ (2)ケースⅡ 2.3.2製鋼スラグ高炉循環システムケーススタディ (1)進め方 (2)物質収支の検討 (3)エネルギー収支及び CO2排出量試算 (4)経済性の検討 1 1 1 3 3 3 4 6 6 8 10 10 10 10 14 14 14 20 20 22 22 24 24 24 24 25 25 25 31 42

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2.3.3製鋼スラグ高炉循環システムの可能性検討 2.4 製鋼スラグから分離したリンの資源化可能性と課題

2.4.1リン資源需給状況 2.4.2リン資源の利用面からの潜在ニーズと課題

(1)肥料又は肥料原料 (2)その他の原料 (3)まとめ 2.4.3リン資源利用可能性サンプル試験 (1)サンプル試作 (2)肥料試験 (3)まとめ 2.4.4リン資源化実現に向けた課題の整理 2.5 鉄及び他の資源循環について 2.5.1 2.5.2マンガン 3. 開発事業計画立案 3.1 開発基本方針 3.1.1開発目標 3.1.2開発対象となる基本プロセス

3.2 事業計画 3.2.1応用研究 3.2.2実用化研究 4. 検討委員会開催状況 5. 結言 別添資料 ・肥料試験結果報告書 43 45 45 51 51 59 61 62 62 64 65 65 67 67 67 69 69 69 70 70 70 72 73

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1 1. 緒言 1.1 背景 我が国の鉄鋼業においては、従来より環境に配慮した活動として、副産物の有効利 用や高度リサイクルシステムの構築が重要な視点として取組まれてきている。特に、 高炉スラグは強い水硬性を有しており、セメント混和材として付加価値の高い高炉セ メント原料など、幅広い用途に使用されている。一方、製鋼スラグは、土木、地盤改 良用、肥料等に利用されてはいるが、焼石灰成分の未滓化による free CaO に起因す る膨張性、高 pH 水の溶出などのため、高炉スラグのような付加価値の高い用途には 利用され難く、使用範囲が限定されている状況である。こうした中で、従来より、製 鋼スラグは Fe、CaO 源の循環利用を目的として製銑プロセスでの効果的な処理、利 用の研究開発が実施されてきたが、製鋼スラグ中に含有するリンが、還元雰囲気の高 炉で溶銑に移行するため、循環利用は鉄鋼製品の品質への影響から十分実施されてい ないのが現状である。 ところで、一昨年、各種の製造原料需給が逼迫し、その価格が高騰するなど需給が 不安定な状況があった。肥料や各種化学製品の原料として必須であるリンについても、 世界的な肥料需要の伸び等により、2008 年度は輸入価格が前年の価格の 3 倍以上に 急騰し、リン資源を全量海外に依存する我が国では入手困難が顕在化した。 リンは有用な資源である反面、環境中に放出されると水域の富栄養化の原因となる 場合があるため、我が国では従来から排水処理におけるリン除去技術と除去したリン の有効利用技術が検討されてきた経緯があるが、これに加え、上記背景のもと、近年、 未利用資源に対する関心が高まっており、製鋼スラグ中のリン成分の有効活用が検討 されるようになってきた。このような中で、スラグの有効利用とリンの分離回収利用 の双方に効果のある技術の研究開発が注目されている。 1.2 調査目的 本調査事業は製鉄プロセスでの3Rを促進するとともに、我が国のリン資源確保に 貢献する技術として期待される「製鋼スラグからのリン分離技術」と、これを適用し た「製鋼スラグ高炉循環システム」の開発に関して、その実施の判断に資することを 目的に、これら技術について調査し、実現性と実施時の効果を評価することを目標と する。 1.3 検討委員会の設置及び運営 本調査では、関係する分野の専門的知見を有する専門家により調査方法及び調査内 容の検証、関係する専門的知見の提供を目的に検討委員会を設置し、開催した。表 1.1に検討委員会委員名簿を示す。

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表 1.1 平成 21 年度「製鋼スラグの全量高炉循環システム構築に係る調査」 検討委員会委員名簿 委員会は 3 回開催することとし、各回の主な審議議題は表 1.2 のとおりである。 表 1.2 検討委員会の主な議題 審議議題 第1回 ・実施計画書承認 ・調査及び分析方法の検証 第2回 ・各委員の関連する専門的知見の提供 ・調査中間結果の妥当性検討 第3回 ・調査結果及び事業成果の妥当性検討 役割 (敬称略) 氏名 所属及び役職 委員長 月橋 文孝 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授 委員 後藤 逸男 東京農業大学 応用生物科学部 教授 委員 長坂 徹也 東北大学大学院 環境科学研究科 教授 委員 山田 一郎 JA全農 営農技術センター 技術主管 委員 用山 徳美 日本肥料アンモニア協会 (日本燐酸㈱ 技術室長) 委員 岸本 康夫 JFEスチール㈱ スチール研究所 製鋼研究部長

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3 2. 高炉循環システム実用化検討 2.1 製鋼スラグの高炉循環システムにおける技術課題 2.1.1製鋼スラグ高炉循環システムについて (1)製鋼スラグ 鉄鋼プロセスから副生する主要な鉄鋼スラグは高炉スラグと製鋼スラグである が、国内の最近の生成量は表 2.1 に示すとおりである。1 また、組成の一例を表 2.2 に示す。2 共に CaO、SiO2が主成分となっているが、成分割合は大きく異なって いる。即ち、高炉では鉄分は還元されて銑鉄となり、鉄鉱石、炭材中の脈石分に起 因して SiO2、MgO などの酸化物成分が高炉スラグに移行する。安定した高炉操業 のために炉内の溶融物の流動性を確保する必要があり、高炉スラグは塩基度(= CaO/SiO2)が約 1.3 程度に維持されるように石灰石を投入して調整されている。こ のため、高炉スラグは CaO、SiO2、Al2O3等を主体とする組成となる。製鋼工程で は銑鉄が酸化精錬処理される際、塩基性の精錬剤として CaO 等が添加されるため、 生成する製鋼スラグには CaO の他、溶銑成分の酸化により生成した SiO2や一部酸 化した鉄分及びメタル鉄を含む組成となっている。一般的に塩基度が 3 から 4 では CaOが 51~59%、SiO2が 13~19%、T-Fe が 10~18%、MnO が 4~6%、P2O5

が 2~3%であり、塩基度が 4 から 5 では CaO が 47~51%、SiO2が 12~15%、 T-Feが 14~20%、MnO が 5~6%、P2O5が 1~2%である。3 表 2.1 鉄鋼スラグの生成量1 (単位:千トン) 平成 18 年度 平成 19 年度 平成 20 年度 高炉スラグ 24,769 25,437 22,877 製鋼スラグ(転炉系) 10,265 10,631 10,195 高炉銑 84,919 87,867 78,497 参考 粗鋼(転炉鋼) 86,924 90,548 79,793 表 2.2 製鋼スラグ(転炉系)の化学組成例2 (単位:%)

CaO SiO2 T-Fe MgO MnO Al2O3 P2O5 S

高炉スラグ 41.7 33.8 0.4 7.4 0.3 13.4 <0.1 0.8 製鋼スラグ(転炉系) 45.8 11.0 17.4 6.5 5.3 1.9 1.7 0.06 鉄鋼スラグは従来から各種用途に活用されている。図 2.1 に鉄鋼スラグの利用状 況を示す。高炉スラグはセメント原料利用が 66%を占め、その 40%は輸出用であ る。その他の利用は道路用資材、コンクリート骨材などである。製鋼スラグは土木 1 鐵鋼スラグ協会「鉄鋼スラグ統計年報(平成 20 年度実績)」平成 21 年 8 月 2 鐵鋼スラグ協会パンフレット「鉄鋼スラグ製品の特性と有用性」FS111、平成 21 年 3 日本鉄鋼協会「鉄鋼便覧(第 4 版)」表 8・37、平成 14 年 7 月

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(高炉スラグ) (製鋼スラグ) 図 2.1 鉄鋼スラグの利用状況1 用資材、道路用資材が中心でこれらの利用が 68%を占めている。 高炉スラグは水硬性を有し、微粉砕することでよりその効果が高められるため、 水砕処理された高炉スラグは比較的付加価値の高いセメント原料として広く流通 している。 一方、製鋼スラグは未滓化状態の石灰分(CaO)を含んでおり、化学的に不安定で、 膨張やアルカリ水の溶出等の懸念があり、使用時に不都合な現象を生じることがあ り、必ずしも有効利用が進んでいない状況である。このため、従来から、製鋼スラ グが高炉スラグに比べ塩基度が高い特性に着目し、CaO 源として高炉へ再投入し、 高炉副原料である石灰石使用量の低減を図る等の実用化が検討されてきた。しかし ながら、鉄鉱石の不純物として持ち込まれるリンが製銑-製鋼の過程で製鋼スラグ 中に P2O5換算で%オーダーまで濃縮されているため、このままで製鋼スラグを多 量に高炉投入することは溶銑中のリン濃度の上昇をもたらし、結果的に鋼の品質を 低下させる原因となる。そのため、製鋼スラグの高炉循環はこれまでは試験的或い は極少量に止まっている。 製鋼スラグを高炉循環するためには、製鋼スラグ中のリン濃度を極力低下させる 必要がある。そこで、製鋼スラグ中のリンを分離処理し、リン含有率の低いスラグ (以下、リン低減スラグと言う。)とリン含有率の高いスラグ(以下、リン濃縮ス ラグと言う。)に分離し、リン低減スラグは CaO 源として高炉に投入して製鉄プロ セス内で循環利用し、リン濃縮スラグはリン資源として、例えば肥料への利用など が可能となる様なシステムの構築が注目されるようになってきた。 (2)製鋼スラグの高炉循環システムフロー 図2.2 は製鋼スラグからリンを分離除去したリン低減スラグを高炉へ全量循環利 用を想定したプロセスフローである。すなわち、溶銑に対して行う脱リン処理など の溶銑予備処理や転炉での製錬によりリンが移行している製鋼スラグからリンを 分離するプロセス(破線部)を付加して、リン低減スラグの循環利用とリン濃縮ス セメント 66% 地盤改良材 1% 道路 15% 他利用 2% コンクリート 骨材 11% 土木 5% 地盤改良材 5% 土木 45% セメント 5% 加工用原料 2% 再利用 12% 埋立等 3% 他利用 5% 道路 23%

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図 2.2 製鋼スラグ高炉循環システムフローの想定 高炉 焼結 (鉄鉱石) (石灰石) (コークス) (焼結鉱等) (高炉スラグ) 利用:セメント原料等 (焼石灰・ドロマイト) 転炉 (転炉スラグ) (溶銑) 二次精錬 ((((鋼鋼鋼鋼)))) (スクラップ・合金鉄等) (製鋼スラグ) 溶銑 予備処理 (脱リンスラグ) 利用:肥料等 (改質製鋼スラグ) (リン濃縮スラグ) リン分離回収

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ラグの利用を実現するフローの例である。 このシステムの実用性を評価するために想定されるメリットとデメリットをま とめると表 2.3 のようになる。次節以降、これら高炉循環システム構築の得失を精 査し、実用化検討を行う。 表 2.3 製鋼スラグ高炉循環のメリットとデメリット メリット デメリット ・製鋼スラグが石灰石の代替となることで 石灰石の使用量削減 ・従来の製鋼スラグ中の鉄分の循環利用促 進による鉄源の節約 ・リンを分離濃縮したリン資源回収による 付加価値創出及び国内リン資源確保へ の寄与 ・製鋼スラグが結果的に高炉スラグに転化 する事による鉄鋼スラグの安定的利用 の拡大 ・高炉の操業条件変更 ・製鋼工程の操業条件変更 ・リン分離処理装置の新設及び運転費に よるコスト増 2.1.2製鋼スラグ高炉循環システムにおける技術的課題と対応 (1)鉄鋼メーカーへのヒアリング 技術的課題抽出のために鉄鋼メーカーへのヒアリングを行った。ヒアリング項目 を以下に示す。 鉄鋼メーカーへのヒアリング項目 1.製鋼スラグの現状 ①現状の製鋼スラグの利用状況 ②製鋼スラグの利用における今後の方向性 2.製鋼スラグの製鉄プロセス内での再利用の可能性について ①製鋼スラグを高炉等に循環利用することで製鋼スラグの場外搬出量を低減す る操業について ②製鋼スラグの循環利用を進める上での含有するリンの対策について 3.製鋼スラグ中のリンのリン資源としての活用について リン濃度の高いスラグのニーズがあった場合、リン分離回収を進める可能性 鉄鋼メーカー3 社に対して直接面談又は書面によるヒアリングを実施した。回答 結果をまとめると表 2.4 のとおりとなる。

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表 2.4 ヒアリング結果

No.1 No.2 No.3 質問事項 A社 B社 C社 現 状 の 利 用 状 況 土工用 肥料 肥料 主に土工用 製 鋼 ス ラ グ の 利用 今後の方向性 リン分離後 全 量 高 炉 循 環 とリン資源化 低 リ ン 濃 度 ス ラグの活用(シ リ カ 含 有 の 効 果) 他 材 料 と の ハ イブリッド化 高炉循環操業 リンを除去し、 全 量 石 灰 石 代 替として利用 ニーズ調査中、 リ ン 低 含 有 部 分の使用検討 - 製 鋼 ス ラ グ の 製 鉄 プ ロ セ ス での利用 リン対策 リ ン 分 離 技 術 採用 ニーズ調査中 脱 リ ン プ ロ セ ス で の 分 離 性 向上 リン資源化 リ ン 高 濃 度 化 技術の実用化 ニーズ調査中、 リ ン 高 含 有 部 分の外販 - 各社とも、製鋼スラグの処理と利活用については高い関心があった。具体的な方 向性としては A 社は全量高炉循環システムを想定している。B 社はニーズを見極 めた上、何らかの方法で高リンスラグと低リンスラグを分離し、別々の活用を考え ている。C 社は、脱リンプロセスでのリン除去性能の向上と、他の材料と混合する ことによる新たな用途を目指している。 そこで、製鋼スラグの全量高炉循環システムを具体的に想定している A 社に対 して、システム実用化時に想定される技術的課題について更にヒアリングを行った。 ヒアリングで得られた知見を次節でまとめる。

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(2) 製鋼スラグ高炉循環システムにおける技術的課題と対策のまとめ ①現状の製鋼スラグの循環利用状況 ⅰ)製鋼(転炉)スラグの現状の処理フロー (メタル分)→ スクラップ材へ 図 2.3 現状の転炉スラグ処理フローの例 ・高炉循環の方法について 鉄鋼製品の品質に影響を与えない範囲で、細かい粒度(10mm 以下)のものは焼 結鉱原料へ、塊状(10mm 以上)のものは直接高炉に投入。 ⅱ)現状の課題 ・場外搬出(外販等)分の用途が、主に、埋め戻し材等であり、高炉スラグに比べ 製鋼スラグの付加価値は低い。 →場外搬出分を高炉に循環使用(製鋼スラグの高炉全量循環)により、製鋼ス ラグを結果的に高炉スラグに転換する。 ②製鋼スラグの高炉循環に伴い想定される課題 ・高炉操業:転炉スラグは SiO2を含むため、石灰石代替で高炉に投入する場合 に高炉内の塩基度(=CaO/SiO2)を維持するためには余剰の SiO2 に見合った CaO(石灰石にて充当)を必要とし、結果的に従来よりも高炉のスラグ比が増大 する。このため、単位溶銑当たりのエネルギー原単位が上昇する。 転炉 (転炉スラグ) ヤード放流冷却 破砕(<40mm) 0~10mm 磁選 焼結原料 場外搬出(外販等) 高炉直接投入 分級 10mm以上 高炉循環

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→ 製鋼スラグ減少によるメリットとトータルでの評価が必要。 ・焼結工程①:転炉スラグの投入量が増えると、SiO2分の増加により原料が加 熱されにくくなり、焼結鉱の品質が低下する可能性がある。 → 小型の焼結試験により想定される原料配分で確認する。 ・焼結工程②:焼結工程経由の高炉投入に制限が生じる場合は、微細状態のもの は既設造粒装置によりペレット化して高炉投入。 → 造粒装置能力による制約有り。造粒設備増強の必要性検討。 ③課題に対する検討 ヒアリング調査から想定される課題に対しての対応をまとめると表2.5 となる。 表 2.5 製鋼スラグの高炉循環実施に際して想定される課題の抽出 課題 対象となる 工程 想定される 課題 課題解決のための対策 実施方法 高炉操業 高 炉 内 塩 基度 維持 → エ ネ ル ギー 原単位増 製鋼スラグ循環利用時のメリ ット(①場外搬出量低減、②石灰 石低減、③リン資源利用)と デメリット(高炉エネルギー消 費量増)との総合評価から許容 される循環量を把握。 本調査にて分離技術の絞 込み後、想定する具体的 工程で収支試算、得失検 討を実施。 焼結工程 原 料 成 分 変化 に よ る 加 熱阻 害 小型焼結試験によって許容さ れる原料成分範囲を把握 今後の開発計画に反映 高炉投入ペ レット製造 ペレット量増 ・ペレット製造能力の検討 ・焼結工程条件からペレット製 造量を試算し、ペレット製造 設備を検証 今後の開発において焼結 工程条件を勘案してペレ ット製造能力を試算。

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2.2 製鋼スラグからのリン分離・回収技術に関する技術調査 2.2.1文献調査 (1)文献データベースによる検索調査 文献調査の対象となる技術はⅰ)製鋼スラグのリン資源活用、ⅱ)製鋼スラグの高 炉循環利用、に関するものとした。文献検索システム及び検索条件は以下である。 ア)検索システム:JDreamⅡ(運営:JST((独)科学技術振興機構)) イ)データベース:JSTPlus ウ)期間:1982 年~ エ)言語:制限なし オ)対象:原著論文、解説 カ)検索式: (a)リン資源としての活用に関する技術 製鋼スラグに含有するリンの資源化に関する内容と、そのための製鋼スラグ からのリン分離に関する記事を検索するために、以下の検索式を用いた。 L1=(製鋼製鋼製鋼スラグ製鋼スラグスラグスラグ+鉄鋼スラグ※+転炉スラグ+脱リンスラグ+溶銑予備処理 スラグ+溶銑処理溶銑処理溶銑処理溶銑処理*スラグスラグスラグスラグ)*リンリンリンリン*(分離分離+除去分離分離 除去除去除去+濃縮濃縮濃縮濃縮+回収回収回収回収+資源資源資源資源+資 源化+再資源化+資源再生資源再生資源再生資源再生+利用利用利用+リサイクル利用 リサイクルリサイクルリサイクル+3R+肥料肥料肥料肥料) 太字 太字太字 太字:シソーラス用語 ※:シソーラス用語である製鋼スラグ、高炉スラグを含まない。 (b)高炉循環利用に関する技術 以下のL2とL3の合算から重複を除いた。 L2=(製鋼製鋼製鋼製鋼スラグスラグスラグスラグ+鉄鋼スラグ+転炉スラグ+脱リンスラグ+溶銑予備処理ス ラグ+溶銑処理溶銑処理溶銑処理溶銑処理*スラグスラグスラグスラグ)*高炉高炉高炉高炉*(カルシウムカルシウム+カルシウムカルシウムカルシウム カルシウムカルシウムカルシウム化合物化合物化合物化合物+石灰石灰石灰石灰 石 石 石 石+石灰石石灰石石灰石石灰石*代替) L3=(製鋼製鋼スラグ製鋼製鋼スラグスラグ+鉄鋼スラグ+転炉スラグ+脱リンスラグ+溶銑予備処理ススラグ ラグ+溶銑処理溶銑処理溶銑処理溶銑処理*スラグスラグスラグスラグ)*高炉高炉高炉高炉*(循環+返送+リユース+リサイクルリサイクルリサイクルリサイクル+ 資源再生 資源再生 資源再生 資源再生) (2)技術動向分析 ①リン資源としての活用に関する技術 ヒット数:108 件 ヒットした 108 件につき、抄録を入手し、内容を分類した。結果を表 2.6 に示 す。分野名「製鋼プロセス」は、製鋼スラグからのリン分離除去以外で、溶銑予 備処理による溶銑からのリン分離がヒットしたものである。また、「その他」に 該当する出力は合金鉄関係や汚泥焼却灰からの溶融処理によるリン分離回収な どであり、直接的には製鋼スラグからのリン回収には関係のないノイズであると 判断される。これら以外が製鋼スラグ等の利用に関連している。

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表 2.6 文献内容の分類 分野 内容 件数 水処理 製鋼スラグを用いた排水処理(リン除去) 11 植物プランクト ン繁殖 CO2 固定化を目的にした製鋼スラグの海 水への栄養供給 9 製鋼スラグ をそのまま 使用するも の その他直接利用 上記以外製鋼スラグの直接利用(セメント 原料等) 5 リン回収 製鋼スラグからのリン分離回収 14* 製銑工程へ循環 製鋼スラグの高炉循環利用 4 製鉄工程循 環 製鋼工程内循環 製鋼プロセス内でのスラグの循環使用 2 溶銑からの リン分離 製鋼プロセス 溶銑予備処理や脱リン処理など製鋼プロ セスの操業に関する解析、実験、計算等 60 その他 3 計 108 製鋼スラグ等を直接利用する技術としては、排水処理への適用に関連したもの が 11 件あった。これは排水中のリンを製鋼スラグによってリン鉄のような形態 で固形化し、除去しようというものである。また、海水中の植物プランクトンに CO2を固定化させるために、植物プランクトンの栄養源として製鋼スラグの適用 を想定したものが 9 件あった。これら以外ではセメント原料等が 5 件あった。 製鋼スラグの製鋼プロセス内及び高炉への循環利用(製鉄工程循環)に関する ものが 6 件あったが、この内高炉への循環利用に関するのは 4 件であった。 製鋼スラグからのリン回収に関するものは 14 件(*)であるが、同一の論文の 日本語版と英語版が重複して出力しているものがあり、実際は 13 件であった。 ②高炉循環利用に関する技術 ⅰ)L2:製鋼スラグ等を石灰石代替で高炉に投入 出力数は8件 出力した文献のうち、石灰石代替に転炉スラグの効果に言及しているものが1 件あった。 ⅱ)L3:製鋼スラグ等を高炉でリサイクル 出力数は 14 件 出力した文献のうち、3 件が製鋼スラグの高炉循環使用に関するものであった。 上記 4 件(L2:1 件、L3:3 件)に、前述の L1 で出力した製鋼スラグの高炉循 環に関する 4 件を加えた 8 件が高炉循環利用に関する技術の文献数である。これ らの文献は製鋼スラグ中の鉄、マンガン等の有用成分の再利用やスラグ排出量の 抑制を目的に製鋼スラグの高炉投入に関し、銑鉄組成への影響やコスト低減効果

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についての実証的な研究が多い。ただし、リンに言及しているのは脱リン処理剤 としての製鋼スラグの利用に関するもの(2 件)であり、リン資源に着目したもの は無かった。 (3)出力情報 「製鋼スラグからのリン分離技術」(13 件)及び「製鋼スラグの高炉循環利用に関 する技術」(8 件)については標題及び著者名、資料名などの検索時出力情報を以下 に示す。 【該当した文献】 1.製鋼スラグからのリン分離技術 (1)磁気による分離 1-1)松八重(横山)一代, 久保裕也, 長坂徹也、“磁気分離法による溶銑脱リンスラグか らのリン回収法で生成する残渣スラグのリサイクル効果”、鉄と鋼、Vol.95, No.3, Page.306-312 (2009.03.01) 1-2)横山一代, 久保裕也, 長坂徹也, 森一広, 岡田秀彦, 竹内秀次、“強磁場を利用し た製鋼スラグからのリンの分離回収”、鉄と鋼、Vol.92, No.11, Page.683-689 (2006.11.01)

(2)マイクロ波による加熱還元

2-1)森田一樹、“マイクロ波加熱とは-多様な応用展開-マイクロ波熱炭素還元による廃 棄物・スラグの資源化”、金属、Vol.76, No.8, Page.882-887 (2006.08.01)

2-2)K.Morita, M.Guo, N.Oka, N.Sano、“Resurrection of the iron and phosphorus resource in steel-making slag.”、J Mater Cycl Waste Manag 、Vol.4, No.2, Page.93-101 (2002)

2-3)K.Morita, N.Sano、“New iron and steelmaking process for environmental protection. New roles of steelmaking slags.”、Glob Symp Recycl Waste Treat Clean Technol 1999 Vol 2、Page.1583-1592 (1999)

(3)アーク炉による還元

3-1)M.Dziarmagowski、“Investigations on the Reduction Level of the Converter Slag during its Melting in an Electric ARC Furnace.”、Arch Metall、Vol.47, No.3, Page.287-295 (2002)

(4)プラズマトーチによる還元

4-1)竹内秀次, 佐野信雄, 松下幸雄、“Fe-Si 合金利用による転炉スラグの鉄およびり んの個別回収”、鉄と鋼、Vol.66, No.14, Page.2050-2057 (1980.12.01)

(5)黒鉛るつぼによる還元

5-1)J-Y.Ryu, R.J.Fruehan,A.T.Morales、“Kinetics of Phosphorus Vaporization From Slag.”、Iron Steelmak、Vol.26, No.1, Page.59-68 (1999.01)

(17)

using tin.”、Aust Jpn Extr Metall Symp 1980、Page.487-495 (1980) (6)シリコン及びアルミによる還元

6)E.B.Cruz, J.B.F.Neto, F.B.Neto, E.Ukai, J.P.Tosetti 、“ Pyrometallurgical stabilization of steelmaking slags. ”、 Steelmak Conf Proc 、 Vol.84th, Page.317-327 (2001)

(7)予備精錬によるスラグ中のリンの濃化

7) ХАРЛАШИН П С, НОСОЧЕНКО О В, ЗГУРЬЕВ И И, ИВАНОВ Е А, ГНЕДАШ А В、“ Переработка высокофосфористого чугуна в 350-т конвертере с использованием кусковой извести.”(タイトル和訳:塊状石灰 を利用した 350t 転炉での高リン銑鉄の予備処理)、Stal' No.4, Page.19-20 (1991.04)

(8)リン回収技術紹介

8-1)D.Evans, T.Hartwell, N.Jones, C.Byrne、“Recycling steelmill byproducts-some practical developments and outstanding issues”、Ironmak Steelmak、Vol.31, No.6, Page.435-438 (2004.12)

8-2) 梅垣高士, 金村聖志、“廃棄物中のリン分の利用”、J Soc Inorg Mater Jpn 、Vol.8, No.293, Page.262-267 (2001.07.01)

2.製鋼スラグの高炉循環利用

①R.R.Syrtlanov, S.S.Bakuma, Yu.A.Lekontsev, S.D.Abramov, S.V. Shavrin, E.A.Vasin, V.A.Zavidonskii、“Aspects of the smelting of high-vanadium pig iron.”、Metallurgist、Vol.43, No.7-8, Page.310-314 (1999.07)

②瀬村康一郎、“高炉系スラグ極少化のための重要技術課題とその要素技術の方向 4 トータルシステム技術 4. 加古川製鉄所における溶銑予備処理と転炉スラグリ サイクルについて (日本鉄鋼協会 S)”、製鋼スラグ極少化に向けての開発動向と 課題 製鋼スラグ極少化研究会最終報告書 平成 11 年、Page.123-126 (1999) ③D.R.Fosnacht, M.G.Ranade, S.R.Balajee, K.B.Downing 、“A product driven

primary operating strategy for Inland Steel Company.”、Steelmak Conf Proc、 Vol.72, Page.293-304 (1989)

④森下仁, 山田純夫, 数土文夫, 馬田一、“底吹き転炉による高りん低けい素溶銑のス ラグミニマム吹錬”、川崎製鉄技報、Vol.15, No.2, Page.93-99 (1983.06)

⑤ВОЛОВИК Г А, КОВШОВ В Н, ЕГОРОВ Н А, ЕМЕЛЬЯНОВ В А, ТКАЧ А Я, ПЕТРЕНКО В А、“О технологической целесообразности использования конвертерного шлака в доменной шихте, содержащей окатыши.”(タイト ル和訳:ペレットを含む高炉装入原料に転炉スラグを使用する生産技術上の合目 的性)、Metall Gornorudn Prom-st'、No.3, Page.8-10 (1984.07)

⑥R.Dippenaar 、“ Industrial uses of slag (the use and re-use of iron and steelmaking slags)”、Ironmak Steelmak、Vol.32, No.1, Page.35-46 (2005.02)

(18)

⑦R.Bredehoeft、“Recycling und Abfallwirtschaft bei der ThyssenKrupp Stahl AG.”、Stahl Eisen、Vol.122, No.7, Page.71-75 (2002.07.15)

⑧月橋文孝、“和文標題:リサイクリング 鉄鋼スラグリサイクルの現状と課題”、資 源と素材、Vol.113, No.12, Page.989-994 (1997.12)

2.2.2ヒアリング調査 (1) ヒアリング先及びヒアリング項目 製鋼スラグからのリン分離技術についてヒアリングを行った。ヒアリング先は前 記の鉄鋼メーカーへのヒアリングと文献検索の結果から、2大学と1鉄鋼メーカー を選定し、実施した。 ヒアリング項目は以下を想定した。 ①技術の概要 ・原理概要 ・リン分離性能(リン濃縮生成物のリン含有率、リン回収率など) ・投入エネルギー(実験時、実操業時試算) ・実設備のイメージ(既存製鋼プロセスとの関係等) ②技術的課題と今後の展開 (2)ヒアリング結果 製鋼スラグからのリン分離技術について研究者及び開発者に行ったヒアリング から得られた内容(要旨)を以下に示す。

(19)

【No.4】 【技術対象】マイクロ波加熱による製鋼スラグからのリン分離回収技術 【ヒアリング先分類】大学研究者(材料系 教授) 【要旨】 1.製鋼スラグからのマイクロ波によるリン回収技術について (1)研究開発の経緯 ・1996 年から 5 ヵ年、スラグ発生量削減を目的に研究実施。 ・酸化物であるスラグを還元(還元材:炭素)し、鉄、リンをメタルにして回収。 ・加熱源として、放射性廃棄物処理向けに研究(米国研究機関)されていた閉じた空間 への適用に向いているマイクロ波を利用。 (2)マイクロ波加熱の特長 ・短時間での加熱が可能であり、バッチ処理に適する。 ・加熱したいものだけ加熱できる。 ・炭材を入れて加熱すると、炭材付近の固体表面で還元してメタル相ができ、表面電 流によるジュール熱での加熱の効果が加わる。粉体の加熱に向いている。 ・容易に 2000℃位まで上昇する。 ・一般的に温度が高くなる程、エネルギーの吸収率が高まる。加熱されやすい部分が 高温になり易いので加熱の不均一が増大する傾向。 (3)リン分離性能 ・加熱後のメタル中のリン含有率は6~7%。 ・スラグ中のリン分の約半分はメタルに移行する。SiO2を投入し、組成を酸性側に 振ると更にメタルに移行するリンの割合は高まる。 ・リンの損失分が 2 割ぐらいある。気散していると考えられる。炭材付近では高温に なり易く、還元が進み、メタルが更に加熱され、リン(単体)が容易に蒸発すると考 えられる。 (4)エネルギー効率 ・マイクロ波を発生するマグネトロン部の効率が 40~50%、加熱部で数十%、よっ てトータルでは数%(10%以下)程度と推定。 ・加熱方法の工夫:SiC で容器の内壁を作る。加熱開始直後、対象物の温度が低いう ちは SiC が温度上昇して対象物を加熱する。対象物が高温になると自分自身の吸 収率が上昇し、昇温する。 (5)実設備のイメージ(既存製鋼プロセスとの関係等) ・マイクロ波が到達する距離は数十 cm。大きな塊の加熱には不向き。実プロセスで は薄く広げた状態に上から照射する方式。よって、全スラグを対象とするよりも、 一部を抜き出しての処理が適当を思われる。炉材の乾燥に使っている鉄鋼メーカー の例あり。 また、温暖化ガス排出抑制を目的に主要工程である高炉での加熱にマイクロ波を 用いる考えがある。

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(6)技術的課題 ・スケールアップが課題となる。基礎研究はほぼ完了しており、技術的には実現可能 な状況だが、スケールアップ時の加熱方法など冶金工学というより伝熱工学的な検 討などが必要。 ・メタルはマイクロ波を反射してしまうと考えられているが、実際のメタルの加熱に ついてはまだ、未解明な部分がある。また、照射するマイクロ波の最適な波長など も把握しきれてはいない。 ・人への安全性の確保も実設備では重要な課題となる。 (3)他の資源の回収の可能性 ・Fe:還元して得られたメタルを溶融状態で K2CO3を添加して、K3PO4として除去 し、Fe 分を転炉の前工程に戻す。K3PO4は肥料として活用。 ・Cr:分離可能を確認している。 ・Mn:一般的な冶金の手法で分離可能と推測。 (4)今後の展開 鉄鋼スラグからのリン回収技術の実用化研究(プロジェクト)が計画された場合、参画 する可能性について: ・スケールアップについては企業による開発の段階にある。大学が中心となる段階で はない。ただし、前記のような加熱方法やマイクロ波自体の研究には基礎研究の余 地がある。 2.その他製鉄業における省資源、3Rの方向性など ・肥料としての性能を高めたスラグ(結晶化の制御による) ・MgO レンガの廃棄物の有効利用法(溶銑予備処理フラックスなど)

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【No.5】 【技術対象】強磁場による製鋼スラグからのリン分離技術 【ヒアリング先分類】大学研究者(環境・材料科学系 教授) 【要旨】 1.分離原理 溶銑予備処理で生成する脱リンスラグ中には 5%-P2O5以上のリン分を含んでいる が、結晶規模で見るとリンの存在は不均一であり、リン分濃度が高いリン濃縮相とリン 分濃度が低いマトリックス相に分離している。リン濃縮相は 3CaO-P2O5-2CaO-SiO2 固溶体であり、マトリックス相は FeO-CaO-SiO2-MnO-MgO系である。この2相は強 磁場下で分離が可能であり、実際の脱リンスラグを用いた実験ではリン濃縮相を 60% 以上の収率で回収した。また、マトリックス相は 92%が分離されていた。 2.技術の特長 (1)常温処理 ・高温の溶融状態での処理を必要とせず、常温での操作であり、低エネルギー消費、装 置の長寿命化、部分的或いは小規模の適用等が期待される。 ・強磁場発生装置は既に鉱物(カオリン等)からの不純物の分離等に適用されている例4 ある。超伝導磁石であれば、初期の電気エネルギーだけでその後の動力はかなり小さ い。冷却動力が主となると考えられる。 (2)生成物の用途 ・リン濃縮相はリン酸カルシウム及びケイ酸カルシウムが主体であり、リン酸系肥料原 料に適する。 ・マトリックス相は高炉循環或るは溶銑予備処理のフラックス代替等、製鉄プロセスで の副原料使用量低減効果が期待される。 3.今後の展開 実用化に向け、磁気分離回収率の向上を図る。 ・製鋼プロセスでのリン濃縮相及びマトリックス相の粗大化促進 ・磁場の最適化

4 例えば Christian ら、「Conceptual Design of a Novel Industrial-Scale HTS

Reciprocating High Gradient Magnetic Separator」、IEEE Transactions on Applied Superconductivty、Vol.14、No.2、June 2004

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【No.6】 【技術対象】固体還元と酸化精錬による製鋼スラグからのリン分離技術 【ヒアリング先分類】鉄鋼メーカー(A 社)開発者 【要旨】 1.処理フロー 想定している製鋼スラグの基本的処理フローを以下に示す。原則として、現状の製鋼 プロセスには改造等を加えず、分離されたスラグを新たな処理システムで処理する。 2.開発フローの特長 (1)高炉循環用生成物のリン濃度の低減化 高炉に全量循環可能なレベルまでリンを除去する。 (2)リン資源の高付加価値化 回収リン含有物の利用促進のため、高濃度のリン含有物を生成するとともに、利用上 不適当な物質を分離する。 (3)固体還元 製鋼スラグ中のリンを鉄分と共に還元してメタル側に移行させる処理を、完全な溶融 状態より数百℃程度低い温度域で処理することで省エネルギーを図る。 (4)鉄源の有効利用 製鋼スラグ中に多量に含有する鉄分を回収する。 3.開発計画の概要 (1)要素研究の実施 固体還元処理及び酸化精錬処理の要素実験実施中。製鋼スラグから低リンスラグ及び リン濃縮スラグを生成した。リン濃縮スラグは P2O5換算で 30%までリンが濃縮してお り、わが国が輸入するリン鉱石並みの品質となる可能性を示している。 (2)実用化計画 鉄源リサイクル 高炉 溶銑予備処理 (脱リン) 転炉 固体還元 酸化精錬 メタル(Fe 等) 低 P、Fe スラグ リン濃縮スラグ 製鋼スラグ メタル(Fe、P 等) 鋼 リン資源

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今後進めるべき研究としては

①1 バッチスラグ量数十 kg 規模でのプロセスの有効性確認 ②生成物の利用上の課題の克服

更に、実用化のために

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2.2.3技術比較検討 (1)対象技術の抽出と技術比較検討 製鋼スラグからのリン分離回収技術について文献調査及びヒアリング調査から 整理する。 JDreamⅡを用いて検索した文献調査の結果から、13 件の文献が検出された。 (2.2.1(2)①) これら13 件を抄録内容からリン分離方法別に分類した。(表2.7) 更に、 これらの文献の原著を入手し、技術内容を整理した。この内、「予備処理によるス ラグ中のリンの濃化」に関する論文(p.13、7)P.S ハルラシンら「塊状石灰を用いた 350t転炉での高リン銑鉄の予備処理」)はリン含有率の高い鉄鉱石を原料とした溶 銑からのリン除去に関するものであった。溶銑中のリン濃度が高いため分離される 脱リンスラグ中のリンが高濃度(8%-P2O5以上)となるものであり、操作技術とし ては通常の溶銑予備処理での脱リン操作と同様であったため、目的としている「製 鋼スラグからのリン分離技術」から除くこととした。 また、「黒鉛るつぼによる還元」は別々の2研究グループの論文であったが、基 本的なリンの分離プロセスが原理的に同じものと考えられたので1技術とした。 表 2.7 文献調査からの製鋼スラグからのリン分離技術の抽出 技術数 分離方法 出力 件数 抄録より 原文より 磁気による分離 2 1 1 マイクロ波による加熱還元 3 1 1 アーク炉による還元 1 1 1 プラズマトーチによる還元 1 1 1 黒鉛るつぼによる還元 2 2 1 シリコン及びアルミによる還元 1 1 1 予備精錬によるスラグ中のリンの濃化 1 1 リン回収技術紹介 2 - - 計 13 8 6 上記、公刊論文以外の技術として、現在、基礎実験実施中のリン分離回収につい て鉄鋼メーカーにヒアリングしたが(前記 p.18【No.6】)、これは通常の製鋼工程か ら生成する製鋼スラグ(脱リンスラグ又は転炉脱炭スラグ)を高温還元し、得たメタ ルを酸化精錬することでリン鉱石並みの高濃度のリンを含有する生成物を得るも のである。 以上、文献調査からの 6 技術とヒアリング調査からの 1 技術の全 7 技術を製鋼 スラグからリン分離回収に関する対象技術として、技術の現状を整理した(表 2.8)。 技術検討の目的は製鋼スラグのリサイクルを進める上での核となる技術を見極め ることであり、リン分離性能、課題、実現性等を検討項目とした。

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表 2.8 リン分離回収技術比較検討表 検討項目 リン分離回収技術 高温還元 常温 溶融還元式 固体還元式 強磁場による分離 マイクロ波 黒鉛ルツボ アーク炉 プラズマトーチ シリコン、アルミによる還元 固体還元+酸化精錬 リン分離原理 スラグを構成する CaO-P2O5-SiO2相(リン濃縮相) と CaO-SiO2-FeO相(マトリ ックス相)を磁場分離。事前に 30µmまで粉砕必要。徐冷によ る濃縮相粗大化により粉砕負荷 軽減。 マイクロ波により短時間で加熱 溶融し、炭材で還元。 ・黒鉛ルツボの誘導加熱でスラグ を加熱、溶融、還元。スズ浴の存 在でリンのメタルへの溶け込み を抑制。(Shiomi ら) ・想定プロセス:還元炉(二槽式 底部黒鉛板):(一次)FeO、MnO 還元、(二次)P2O5還元(Ryu ら) ・アーク加熱により転炉スラグ+ 還元材(5%)でスラグ還元 ・溶融した Fe-Si 合金に転炉ス ラグを追装。 ・プラズマトーチにより加熱溶 融し、炭材で還元。 ・Fe-Si 合金によりリンのメタル への溶け込みを抑制。 ・黒鉛ルツボの誘導加熱で溶融 中の転炉スラグ中へのシリコ ン、アルミ添加によりスラグ中 のメタル、リンを還元。 ①加熱+炭材でスラグ還元、ス ラグ中 P2O5から(一部気化した リンが Fe 相へ吸収)Fe 相に P 濃縮。 ②メタル相を酸化精錬し、リン を酸化物(スラグ)へ。 一部ガス化 P 揮発 一部ガス化 P 揮発 一部ガス化 P 揮発 一部ガス化 P 揮発 スラグ→メタルへの還元 残部スラグ相→還元 Fe 相溶解 残部スラグ相→還元 Fe 相溶解 残部スラグ相→還元 Fe 相溶解 リン単体で気相へ 65% →乾式回収 残部スラグ相→還元 Fe 相溶解 ↓ 酸化物として CaO-P2O5-SiO2相 に存在 ↓ ↓ ↓ メタル相への還元 35% ↓ 低 P スラグ、Fe-P 生成 粉砕・磁選 粉砕・磁選 粉砕・磁選 粉砕・磁選 ↓ メタル中に P 濃化 粉砕・磁選 リン挙動 メタル中に P 濃化 Fe-P脱リン処理→P 濃化スラグ メタル中に P 濃化 メタル中に P 濃化 Fe-P脱リン処理→P 濃化 リン濃度 (%-P2O5) 初期リン濃縮相のリン濃度相当 4分で 1600℃、鉄分ほぼ還元 スラグ中 4→2%-P2O5 メタル中 →7~8%-P 還元後 P2O5は 80~90%除去 還元率 P 80% Fe 99%以上 Mn 99%以上 気化:P 単体 メタル中:1%-P 程度 FetO、P2O5の還元可能 スラグ中に約 0.2%-P メタル中に約 2%-P 程度 P濃化物質 P2O5=20%~(30%) リン分離 性能 リン回収率 50%~60% スラグ側に 10~15%残 メタル側に 55~60%移行 気化 25~30% スラグ中の P2O5含有量の約 50 ~60%が気化。30%がメタル溶 け込み。(Ryu ら) スラグ側に 10~19%残 メタル側に 30~50%移行 気化 40~60% 95%以上還元 気化分 65%/メタル移行分 35% Si、Al を還元材としたとき 気化分 19~25% メタル側に 60 移行 スラグ側に 10~20%移行 スラグからの除去は 80%以上 (スラグ組成、温度に依存) 肥料、土壌改良資材 肥料:CaO-SiO2スラグ、 K3PO4 高炉循環:CaO-SiO2スラグ 風砕(Ryu ら) - リン除去スラグ:高炉スラグ並 み リン除去スラグ:精錬用、建設 資材 ・リン濃化物:肥料/肥料原料 ・低 P スラグ→高炉循環(高付加 価値スラグ) リン資源化 溶銑:Fe-C-P 基礎~応用研究 基礎~応用研究 基礎~応用研究 基礎研究 基礎研究 基礎~応用研究 基礎~応用研究 開発段階 リン分離性能 ・スラグ種類による分離性の違い ・冷却速度とリン濃縮相サイズ の関係(事前粉砕レベル) ・乾式と湿式の分離特性 ・溶融までの高速加熱 →反応速度高い ・高温までの加熱によりリン還元 反応が高効率で進行 ・高温までの加熱によりリン還元 反応が高効率で進行 ・高温までの加熱によりリン還 元反応が高効率で進行(プラズ マでの気化脱りん促進) Si、Al の添加による還元反応促 進。 ・スラグからの P 還元とスラグ 性状の関係は不明確。 ・P 濃縮は実績のある所内脱リ ンプロセス利用可能 エネルギ効率 微粉砕機動力、超伝導磁石冷却 動力 エネルギ効率 10%以下 熱損失大きい 熱損失大きい 熱損失大きい 熱損失大きい 溶融に対しては低温処理可能 課題 耐久性 スケールアップ実験必要 容器本体加熱による容器の溶損 が大 電極からのアーク加熱により電 極、容器耐火物の溶損が大 局所加熱による耐火物等の容器 溶損が大 溶融状態までの加熱必要で耐火 物の損耗大 ダスト還元設備実績有。補修頻 度少 技術的可能性 分離特性と必要設備に依存 大型設備開発、熱負荷、溶融ス ラグ用耐火物開発必要 原理的には可能 気化する P 分の回収技術の確立 が必要 原理的には可能 気化する P 分の回収技術の確立 が必要 スラグ中の鉄分のほぼ全量を還 元 気化する P 分の回収技術の確立 が必要 Si、Al を還元材として Fe85~ 95%、Mn50~65%回収 スラグからの Fe、P 分離率高い、 メタルと P 分離の実証が必要 経済性 運転費安価 設備費大、エネルギー効率低 設備費大、エネルギー効率低 設備費大、エネルギー効率低 設備費大、エネルギー効率低 設備及び還元材コスト大、エネ ルギー効率低 設備、運転費は処理温度に依存 実現性 事業化可能性 事前処理手段としての可能性 スラグの一部を対象に、予熱手 段、気化脱リン促進手段として の利用可能性 実設備の可能性未、より規模の大 きな実験が必要 実設備の可能性未、より規模の大 きな実験が必要 可能性低い。プラズマによる気 化脱りん促進の可能性 可能性低い。 検討中(NEDO 事業実施中)

久保ら(2009) 森田ら(2002)、 Shiomiら(1980) Dziarmagowski(2002) 竹内ら(1980) Cruzら(2001) 鉄鋼メーカーへのヒアリング

代表文献他

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(2)技術比較検討の総括 ①製鋼スラグからのリン分離の原理としては、 (ⅰ)常温で強磁場下において磁化率の差からリン濃縮相を分離する磁気分離法 (ⅱ)高温で炭素、合金等の還元材を用いてリンをメタル相に濃縮する高温還元法 の 2 種類に大別される。 更に、(ⅱ)高温還元法は (a)処理温度の高い、溶融還元式 (b)処理温度が比較的低い、固体還元式 がある。 ②溶融還元式では加熱方法に電力を使用するものが多い。試料量が数 kg 規模の基 礎から応用段階の研究のため、容易に加熱可能な電気エネルギーを使用している と考えられるが、実設備化時の加熱方法の選定が応用段階での課題となる。マイ クロ波加熱方式は生成するスラグの一部を対象にした実設備化の可能性を示唆 している。 ③溶融還元法式の研究開発目的は製鋼スラグに含有するメタル分の還元回収にあ ると考えられる。このため、リンについては気化或るはカルシウム化合物として スラグに移行させることを想定しており、積極的にリン資源としての回収を狙っ てはいない。ただし、マイクロ波加熱方式ではメタルからリンを分離し、リン資 源の利用に言及している。また、「固体還元+酸化精錬」は気化するリンを Fe 相に吸収し、その後メタル相から分離回収することで、積極的にリンを回収する プロセスを想定している。 ④リン濃化物のリン濃度は磁気分離法で初期リン濃縮相のリン濃度相当、溶融還元 式でリンが移行したメタル中のリン濃度が 1~5%程度、「固体還元+酸化精錬」 では 20%以上となる可能性を示唆している。 ⑤溶融還元法では操作温度が高く、耐火物の溶損が著しい。このため、これらの方 式で設備化した場合、耐火物の保護方法や補修等のために設備費や運転費の増大 が予想される。更に、高温では熱損失の割合が大きくなるのでエネルギー効率は 一般的に低下する。 「磁気分離法」は常温での操作であり、上記の問題はない。また、「固体還元 +酸化精錬」方式では還元時、他の高温還元法に比べ低温で処理するため、熱損 失、運転費(耐火物コストなど)が小さくなる可能性がある。 (3)実用化検討を実施する技術 前述の技術比較から、今後、鉄鋼業における3Rの普及に繋がる可能性があり、 原理の確認がなされ、現状、開発が実施されていて、リン資源としての利用促進を 明確に目的としている技術として以下の 2 技術に着目し、実用化について更に検討 することとした。 ・固体還元+酸化精錬:原理的検討がほぼ終了しており基礎研究から応用研究に

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あり、技術的実現性が見通せる。既存の製鋼プロセスから切り離してスラグを 処理する方式であり、普及しやすい。また、比較的低い温度域での操作で省エ ネルギー型である。 ・強磁場による分離:基礎実験で分離性能が定量的に把握されている。常温での 分離操作であり、エネルギー消費や維持管理の面から有利である。必要量に対 応したシステムの構築に向いている。

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2.3 製鋼スラグの高炉循環システムの可能性調査 2.3.1製鋼スラグ高炉循環システムフローのケース設定 (1)ケースⅠ 固体還元と酸化精錬を適用したプロセスである。脱リンスラグ及び転炉スラグが 混合している製鋼スラグを製鋼工程ラインから切り離して処理することを想定し ている。図 2.4 にプロセスの基本フローを示す。本プロセスからは発生する生成物 は、以下の 3 種である。 ①低リンスラグ:固体還元処理において Fe、P、Mn 等の還元されやすい成分が 除去された残渣のスラグであり、CaO 源として焼結後、高炉 に投入(循環)する。 ②メタル:酸化精錬でより酸化されやすい P 等が除去され、メタル状の Fe が多 く、鉄源として溶銑に投入され、鉄鋼製品として利用される。 ③リン濃縮スラグ:酸化精錬時にスラグとして分離されたもので、リンが濃縮 されている。 (2)ケースⅡ 溶銑脱リンを積極的に行っているプロセスでの比較的リン含有率の高い脱リン スラグを対象として、リン濃縮相(リン分多、鉄分無し)とマトリックス相(鉄分多、 リン分無し)を常温の強磁場下で分離する。図 2.5 にプロセスの基本フローを示す。 得られる生成物は以下である。 ①リン濃縮スラグ:主にリン濃縮相を中心とする磁場に作用しなかったもの。 ②低リンスラグ:主にマトリックス相を中心する着磁物。 図 2.4 [ケースⅠ] 高温プロセス (低 P・Fe スラグ) (Fe、P) (製鋼スラグ =脱リンスラグ +転炉スラグ) P濃縮プロセス 酸化精錬 リン濃縮スラグ: リン資源 メタル: 鉄源リサイクル 低リンスラグ: 高炉リサイクル→高炉スラグ Fe、P 回収分離 プロセス 固体還元 図 2.5 [ケースⅡ] 常温プロセス (低 P スラグ) (高 P スラグ) (脱リンスラグ) リン濃縮スラグ: リン資源 Fe、P 回収分離 プロセス 粉砕・磁気分離 低リンスラグ: 高炉リサイクル→高炉スラグ

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2.3.2 製鋼スラグ高炉循環システムケーススタディ (1)進め方 ①物質収支 想定したフローを構成する各プロセスでの処理においての主要成分毎の移行 量を試算し、システム全体としての物質収支を試算する。 ②エネルギー収支及び CO2排出量試算 各ケースを実施した場合に想定される消費エネルギー低減量及び新規に必要 とする或るは増大する消費エネルギー量を概算してシステム採用のメリットを 検討する。 ③経済性の検討 上記消費エネルギーコストに加え、リン資源としての価値等も考慮の上、経済 性について検討する。 (2)物質収支の検討 図 2.6 に現状の一般的な製鋼プロセスにおける、スラグ量、スラグ中リン分、ス ラグ中鉄分等の収支を示す。数値は粗鋼 1 トン当たりの量を示すものである。溶銑 中に含有するリンのうち約 28%は溶銑脱リン工程で脱リンスラグ中に移行し、約 59%は転炉スラグに移行し、トータルで製鋼スラグ中に 87%(0.99 kg-P/t)が分離 されている。残りの 13%は粗鋼中に残留するが、品質条件である 0.02%以下(残留 リン量=1.14-0.99=0.15kg-P/t、0.15÷1t×1000=0.15%)を確保している。 製鋼スラグ中の平均リン濃度は約 0.85%-P(=1.9%-P2O5)であり、その他の成分 である CaO は 30%、Fe 分は 25%程度である。 現状の操業では高炉スラグが約 310kg/t-steel、製鋼スラグが約 117kg/t-steel 生 成しているとした。注) 注) 粗鋼、溶銑、高炉スラグの生成比率は一般的な値として、 粗鋼生産量:溶銑量:高炉スラグ生成量=1:1.033:0.31 ・・・5 とした。また、粗鋼生産量と製鋼スラグ生成量の比率は 2007 年度の国内総量(表 2.1 参照)から求めた。即ち、粗鋼(転炉鋼)生産量が 90,548 千トン、転炉スラグ生 成量が 10,631 千トンより、 粗鋼生産量:製鋼スラグ生成量=1:0.117 とした。 また、鉄鉱石は焼結鉱及びペレット、塊鉱石として高炉に装入されるが、製鋼ス ラグは主に焼結を介しての高炉循環となるので、循環量との比較のために現行の焼 結鉱の原単位(約 1200kg/t-銑鉄6=約 1240kg/t-粗鋼)を記載した。 図 2.7 はケースⅠにおける物質収支を示すものである。図 2.6 で示した現状のプ 5例えば、「鉄鋼プロセス工学入門」(http://www.jfe-21st-cf.or.jp/jpn/index2.html)) 6重見「製銑ハンドブック」地人書館、p.7、昭和 54 年 12 月

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ロセスで生成する製鋼スラグが還元処理され、鉄、リン、マンガンは完全に還元し てメタル側に移行するとする。次の酸化精錬によるリン濃縮処理では、酸素を供給 してリンをスラグ側へ移行し濃縮させる。このとき、リンとマンガンは別々に利用 できることが望ましいので、ここでは精錬によりリンとマンガンを別々に選択分離 できるとする。その他、試算に際しての仮定を以下にまとめる。 還元処理 ⅰ)スラグ中の鉄、リン、マンガンは全て還元し、メタル側に移行する。 ⅱ)還元剤として添加した炭素分はメタル中に4%残留する。 酸化精錬によるリン濃縮処理 ⅲ)マンガンがスラグに移行する際、リンはスラグ側に移行しない。 ⅳ)処理後のメタル中のリン、マンガン濃度は仮定による。 ⅲ)添加するフラックス剤は無視する。 図 2.8 はケースⅡにおける物質収支を示すものである。これは、文献7で報告さ れている脱リンスラグ発生量(34.7kg/t-溶銑)、実験試料スラグ性状(表 2.9)及び磁 気分離実験結果(表 2.10)に基づき試算した。 表 2.9 実験に使用した脱リンスラグの性状(文献7 Tabel 1. を転記) 組成(%)

FetO P2O5 CaO SiO2 MnO MgO

平均 18.1 6.6 45.9 20.3 2.5 5.5 相比率 (%) リン濃縮相 0.6 11.8 60.5 26.7 0.2 0.3 56.2 マトリックス相 40.5 0.2 27.2 12.0 5.7 12.5 43.8 表 2.10 強磁場による分離結果(文献7 Tabel 3. を転記) 組成(%) スラグ分 配比(%) リ ン 濃 縮相 の 分 配 比(%) マトリックス相 の 分配 比

(%) FetO P2O5 CaO SiO2 MnO MgO

リン回収スラグ 37.2 60 8 4.4 10.7 57.3 25.3 0.8 1.4 残留スラグ 62.8 40 92 26.2 4.4 39.1 17.3 3.7 8.1 7松八重、久保、長坂、”磁気分離法による製銑脱リンスラグからのリン回収法で生成す る残渣スラグのリサイクル効果”、鉄と鋼、Vol.95、(2009)、No.3

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次に、リン資源等の外部利用の普及を考慮し、輸送が簡便となるように集中的な 発生源として製鉄所単位での生成量の試算を行うこととする。想定する製鉄所の規 模は、我が国の平均的な一貫製鉄所として、年間粗鋼生産高 800 万トンと設定し た。 表 2.11 に単一製鉄所からの生成物の物質量を示す。 表 2.11 高炉循環システム採用時のスラグ類の生成量試算(粗鋼 800 万 t/年規模) 現行 ケースⅠ ケースⅡ 原単位 (kg/t-粗鋼) 生成量 (万 t/年) 原単位 (kg/t-粗鋼) 生成量 (万 t/年) 原単位 (kg/t-粗鋼) 生成量 (万 t/年) 製鋼スラグ* 117 93.6 117 93.6 Fe 29.3 23.4 脱リンスラグ 35.8 28.6 Fe 5.0 4.0 転炉スラグ 81.2 65.0 Fe 24.2 19.4 低リンスラグ 73.6 58.9 22.5 18.0 CaO 35.1 28.1 8.8 7.0 石灰石換算 62.7 50.1 15.7 12.6 Fe分 4.58 3.66 循環スラグ** 104 83.2 CaO 27.5 22.0 石灰石換算 49.1 39.3 Fe 28.8 23.0 高 Mn スラグ 5.6 4.5 リン濃縮スラグ 8.1 6.5 13.3 10.6 リン 0.95 0.76 0.62 0.50 P2O5換算 2.2 1.74 1.42 1.14 メタル分 32.0 25.6 Fe 27.0 21.6 高炉スラグ 310 248 349 279 387 310 *(ケースⅠ)脱リンスラグ及び転炉スラグ **(ケースⅡ)低リンスラグ及び転炉スラグ ケースⅠでは一製鉄所当たり 1 年間で CaO が 48%の低リンスラグが約 59 万ト ン、リン濃度が 27%-P2O5のリン濃縮スラグが 6.5 万トン生成すると試算されてい る。石灰石の代替となる低リンスラグの石灰石代替量は約 50 万トンである。また、 鉄源として循環利用が可能なメタル分が約 26 万トン(内、鉄分約 22 万トン)生成す

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る。更に Mn 濃度が 58%-MnO の高 Mn スラグが 4.5 万トン生成する。 ケースⅡでは CaO が 39%、リンが 2%-P の低リンスラグが 18 万トン、また、 リン濃度が約 11%- P2O5のリン濃縮スラグが約 11 万トン生成すると試算された。 (3)エネルギー収支及び CO2排出量試算 【ケースⅠ】 高炉循環システム採用時のエネルギー収支を検討する。表 2.12 に本調査で検討 するケースⅠにおけるエネルギー使用量及び CO2排出量が低減或いは増加する因 子を列挙する。 表 2.12 ケースⅠにおけるエネルギー収支及び CO2排出量増減因子 ①低減する項目関係 ・石灰石石灰石石灰石の石灰石ののの採掘関係採掘関係採掘関係採掘関係 高炉循環する低リンスラグ中の CaO は 35.1kg/t-steel であるがこれは石灰石 62.7kg/t-steelに相当する。1ヶ所の製鉄所で見積もると年間で石灰石 50 万トン に相当し、この分の石灰石使用量が削減となる。(表 2.11 参照) 削減する石灰石に関するエネルギー消費量及び CO2排出量の原単位を表 2.13 に示す。 増減項目 増減因子 備考 採掘時エネルギー 石灰石採掘時エネルギーの低減 高炉循環による石 灰石使用量削減 分解反応熱(吸熱) 石灰石使用時の吸熱量の低減 高炉投入エネルギー 回収鉄分利用で高炉投入炭素分低 減によるエネルギー低減 鉄鉱石採掘時エネルギー 回収鉄分利用によ る鉄鉱石使用量削 減 鉄鉱石輸送時エネルギー 回収鉄分利用による鉄鉱石低減 高炉スラグ増量によるセメント製造時の CO2削減 高炉セメント生産量増加による CO2発生抑制 リン鉱石採掘時エネルギー リン鉱石採掘時エネルギーの低減 低減する 項目 回収リン資源化に よるリン鉱石削減 リン鉱石輸送時エネルギー リン鉱石輸送エネルギーの低減 処理熱源 還元処理加熱用 製鋼スラグ加熱用熱源(新規) 金属分離 磁選機用 金属/非金属分離磁選機動力(新規) 焼結熱源 焼結機投入量増加による熱源(増) 増加する 項目 高炉熱源 高炉投入量増加による熱源(増)

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表 2.13 石灰石の採掘に係る CO2排出原単位8 石灰石1t当たり使用量 容量 エネルギー エネルギー種別当た りの CO2排出原単位 石灰石1t当 たりの CO2 排出量 軽油 0.489 L 18.7 MJ 2.64 kg-CO2/L 1.291 kg/t A重油 0.05 L 2.0 MJ 2.7 kg-CO2/L 0.135 kg/t 電力 2.27 kWh 20.4 MJ 0.33 kg-CO2/kWh 0.749 kg/t 火薬 0.1 t 0.060 kg/t その他 0.078 kg/t 合計 41.1 MJ 合計 2.31 kg/t ・石灰石分解石灰石分解石灰石分解反応石灰石分解反応反応反応熱熱熱 熱 石灰石は焼結機内で以下の反応により分解するが、この反応は吸熱反応である。 低リンスラグ中の Ca 分は既に CaO となっており、石灰石に置き換わる事で吸 熱量が削減される。 CaCO3(石灰石) → CaO + CO2 - 168kJ/モル・・・9 より石灰石が CaCO3単体と見なして、吸熱量を 1.68GJ/t-石灰石とする。 ・回収鉄分利用回収鉄分利用回収鉄分利用回収鉄分利用によるによるによるによる高炉投入高炉投入高炉投入高炉投入エネルギーエネルギーエネルギーエネルギー 高炉法で鉄鉱石から溶銑を単位重量生成するのに必要なエネルギー量は概略 値として約 14.0GJ/t-銑鉄とする。また、このときの CO2発生量は 1.57t-CO2 /t-溶銑とする。(数値は鉄鋼メーカー推定値) ・鉄鉄鉄鉱石鉄鉱石鉱石鉱石のの採掘のの採掘採掘採掘とととと輸送輸送輸送 輸送 製鋼スラグの還元処理及び酸化精錬処理で得られるメタル中の鉄分のリサイ クルによる高炉溶銑の減量は希釈用溶銑中の鉄分を差し引いた 125kg/t-steel-98kg/t-steel=27kg/t-steel である。表 2.14 に鉄鉱石の採掘時のエネルギー消費量及び CO2排出量原単位を 示す。また、表 2.15 に鉄鉱石の海上輸送に係るエネルギー原単位を示す。 表 2.14 鉄鉱石の採掘に係るエネルギー原単位及び CO2排出量量原単位 項目 原単位量 備考 エネルギー原単位 0.89 GJ/t-鉄鉱石 ① =③÷71.6(A 重油:kg-CO2/GJ10) 1.4 GJ/t-Fe ② =①÷0.65(鉄鉱石中 Fe 分含有率) CO2排出量原単位 64 g/kg-鉄鉱石 ③ 11 0.098 t/t-Fe ④ =③÷0.65(鉄鉱石中 Fe 分含有率) 8安達ら、「石灰石鉱山における採掘プロセスの CO2排出量に関するインベントリ分析」、 資源と素材、Vol.117、p.520-326(2001) 9大谷「鉄冶金熱力学」日刊工業新聞社、昭 55、p.208 10NEDOホームページ:http://www.nedo.go.jp/nedata/16fy/14/e/0014e001.html 11京都大学環境保全センター他、「京都大学マイボトル・モニター実験報告書」平成 21 年 12 月 (http://eprc.kyoto-u.ac.jp/old/research/mybottle/mybottle_full.pdf)

表 1.1  平成 21 年度「製鋼スラグの全量高炉循環システム構築に係る調査」  検討委員会委員名簿      委員会は 3 回開催することとし、各回の主な審議議題は表 1.2 のとおりである。  表 1.2  検討委員会の主な議題  審議議題  第1回  ・実施計画書承認  ・調査及び分析方法の検証  第2回  ・各委員の関連する専門的知見の提供  ・調査中間結果の妥当性検討  第3回  ・調査結果及び事業成果の妥当性検討 役割 (敬称略) 氏名 所属及び役職  委員長  月橋  文孝  東京大学大学院
図 2.2  製鋼スラグ高炉循環システムフローの想定 焼結 高炉 (鉄鉱石) (石灰石) (コークス) (焼結鉱等) (高炉スラグ)  利用:セメント原料等  (焼石灰・ドロマイト) 転炉 (転炉スラグ) (溶銑) 二次精錬  (((( 鋼鋼鋼 鋼))))    (スクラップ・合金鉄等) (製鋼スラグ) 予備処理 溶銑 (脱リンスラグ)  利用:肥料等 (改質製鋼スラグ) リン分離回収 (リン濃縮スラグ)
表 2.4  ヒアリング結果
表 2.6  文献内容の分類  分野  内容  件数  水処理  製鋼スラグを用いた排水処理(リン除去)  11  植物プランクト ン繁殖  CO 2 固定化を目的にした製鋼スラグの海水への栄養供給  9 製鋼スラグをそのまま使用するも の  その他直接利用  上記以外製鋼スラグの直接利用(セメント 原料等)  5  リン回収  製鋼スラグからのリン分離回収  14 * 製銑工程へ循環  製鋼スラグの高炉循環利用  4 製鉄工程循 環  製鋼工程内循環  製鋼プロセス内でのスラグの循環使用  2  溶銑から
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参照

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