背 景
近時の医学系カリキュラムの動向と解剖実習の 位置づけ
「医学教育モデルコアカリキュラム」(以下,コア カリ)の導入により,医師養成過程(医学部医学科 あるいは医科大学医学科,以下,医学科)では学習 到達目標のある程度の標準化が求められている1)。 愛媛大学医学部医学科を含めて各大学でコアカリ対 応が進む中,標準化は数年以内に実施・到達(不完 全であれ)されると考えられる。
「ファカルティ・デベロップメント」(以下,FD) も最近の大学教育にまつわるキーワードである。
FDとは一般に,組織としての教育機関の教育能力 の向上を図る活動と定義され,FDは,教官個人を 対象にしたものと,大学・学部・学科といった組織 を対象とした活動とに分かれる(阿部ら,2000)。
当講座では医学部・医学科におけるFD活動とは別 個に,教官個人の教育能力と講座で担当している科 目のカリキュラムの改善を目指して,幾つかの試み を行っている(小林ら,2002a,小林ら,2002b)。
学生教育のコアカリの中で当講座が担当するのは
「肉眼解剖学」であり,それを修得するための「解 剖実習」である。「解剖実習」とは,死体解剖保存
法(昭和24年6月10日公布,法律第204号)ならび に献体法(昭和58年5月25日公布,法律第56号)に 基づき,篤志献体されたご遺体を解剖させていただ き,「医学又は歯学の教育として行われる身体の正 常な構造を明らかにする」(献体法より引用)カリ キュラムである。医学科のカリキュラムには他の学 部学科と異なり,ほとんど全ての科目が集中的に開 講され,ほぼ全ての履修科目が必修で選択の余地が ほとんどない,という特徴がある。その中にあって 解剖実習は,履修期間も割り当てコマ数も非常に多 く,ある意味では医学教育を象徴するカリキュラム である。なによりも,ご遺体という(バーチャル・
リアリティーの対極にある)極めて現実的な対象を 扱っていることで,医学生に 生と死 の意味を深 く考えさせる重大な機会を与えている。このこと は,医学生が将来医師として人の生死に深く関与す ることを生業としてゆく上でも,非常に重要な体験 となる。解剖実習のあり方についてはこれまでに 様々な議論がなされており(平野,1988,坂井ら,
1992,川淵ら,2002,中島,2002),解剖学会でも 学会を挙げてその改善に取り組んでいる2)。また,
アメリカにおける教育カリキュラムに関する論文の 中 で も 解 剖 学 の 教 員 不 足 は 指 摘 さ れ て い る が
(Barzansky and Etzel 2003),このことは我々を 含めて国内の医学科のほとんどで以前から大きな問
−−実習スケジュールの変更がどの様にアンケート結果に現れたか?−−
小林 直人,齋藤正一郎,脇坂 浩之,松田 正司
An Analysis of Questionnaires on our Curriculum of the Anatomical Dissection Course
in the Ehime University School of Medicine
−−Curriculum Renovation and the Response of the Medical Students−−
N. K
OBAYASHI,S. S
AITO,H. W
AKISAKA,S. M
ATSUDA17 大学教育実践ジャーナル 創刊号 2003
題となっている。少ないマンパワーをどう活かして 学生の学習効率を上げるかが緊急の課題であり,
FD活動による教授法やカリキュラムの改善が期待 される。
カリキュラムの評価の問題点
カリキュラム(の改訂の結果)の「よしあし」を 評価するのは一般に困難である。
例えば,筆記試験の成績を一つの判断材料にする ことが考えられる。しかし,試験の問題が全く同じ であるならともかく,内容を変えた場合にその難易 度を一定に保つのは現実的に困難である。逆に,同 一の問題では,いわゆる「過去問」を下の学年の学 生が入手することによって自然に成績が上昇してゆ くはずであり,カリキュラム自体の教育効果・学習 効果の変化の判断材料としては客観性に乏しくなら ざるを得ない。試験問題とその正答の公開は,近年 情報公開の一つであると考えられており,学生は
「公式に」過去の試験問題を入手できることになる ため,この問題は今後ますます難しくなるのは明ら かである。また,経験的に,入学年度による学生の
「雰囲気」や「カラー」の違いも学生の成績に大き く影響し,年度間のカリキュラムの比較を困難に する。
カリキュラムに対する学生の満足度を知るため,
学生による授業評価アンケートがしばしば行われて いるが(阿部,2000,川淵ら,2002,松野ら,2002),
その妥当性や有効性については議論がある。特に,
学生アンケートで高く評価されるのは必ずしも教官 側が意図した「良い」講義・「良い」カリキュラム であるとは限らない,という指摘がある。むしろ,
試験が易しい・不合格者が少ない,といった科目の 方が学生アンケートによって高く評価されるのも,
少なからず経験される事実である。
愛媛大学医学部医学科では学士編入生の受け入れ に伴い,2001年度よりカリキュラムが大きく変更に なった。我々はこれを契機に,カリキュラムの改編 によって予測される状況と学生アンケートの結果と の比較から,アンケートという方法論の妥当性を検 討できないかと考え,今回の考察を行った。
新旧のカリキュラムの比較
まず,アンケートを行った2001年度と2002年度の 解剖実習(骨学実習・肉眼解剖実習・脳実習を含 む。三者を総称する場合には以下,実習と略す)の カリキュラムを比較してみる(図1)。実習が行わ れるのは両年度とも2回生の夏学期であり,実習の 回数はほぼ同じ(38回ないし39回)で,同じ実習書 を用いているため毎回要求されている作業量もほぼ 同 じ で あ る3)。し か し な が ら 全 体 の 実 習 期 間 は,2001年度では11週間(期間中にゴールデンウィ ークを含まない)であったのに対し,2002年度は14 週間であった(ゴールデンウィークを含む)。すな わち,従来は4月初旬から7月下旬まで実習を行っ ていたが,2001年度だけは他の科目との関係で5月 中旬から7月下旬までの期間に解剖実習を行った。
このため,特に解剖実習が集中する8週間のうち,3 週は実習が週5回(午前1回と午後4回)・2週は 週4回(午後4回),となった。これに対し,2002 年には2回生夏学期の科目の一部を1回生に繰り上 げて開講したため,2002年度には実習開始が4月に 戻り,実習(骨学実習と解剖実習)は毎週3回になっ た(集中して行う脳実習は例外)。また,実習はす べて午後に行われるようになった。なお,我々は割 り当てられた時間枠のほとんどを実習に費やしてい るため講義の数は多くなく,両年度とも講義回数は 22コマであった。2003年度は2002年度と同じカリ
キュラムが実施される。
両年度を比較すると,この他にも細かい改善点が あった。上級生の中から試験等によって選ばれ後輩 の実習の指導をする「学生TA(ティーチング・ア シスタント)」の制度を1997年から導入していた が,2002年には学生TAの数をやや増員して学生 のサポート体制を強化した。学生が実習期間中に毎 週提出する「解剖実習レポート」を2001年度から開 始したが,2年目の2002年度にはその内容を見直し 課題を改善したため,量的には課題が減少した。ま た,2002年度に初めて,副教材としての「解剖実習 ハンドブック」(約100ページ)を作成し学生に配布 した。
この学年(2回生)では実習期間中(4月〜7月 中旬),解剖実習の無い曜日には組織学実習が行わ れており,学生たちは毎日午後のかなり遅い時刻ま で,どちらかの実習をしていたことになる。2001年
18 大学教育実践ジャーナル 創刊号 2003
度には,例年と比較してあまりの過密スケジュール のために学生が苦情を申し立てたため,同時進行す る科目との間でカリキュラムの調整を要した。これ に対する反省から,2002年度には同時進行する組織 学などの他科目とのカリキュラム進行の調整をより 綿密にした結果,前年の様な苦情は出なかった。
今回我々は,カリキュラム改編前後の連続した二 つの年度に同一内容の学生アンケートを行い,両者
の結果を比較した。その結果,アンケートに現れた 学生の感想や意見は,客観的なカリキュラムの変化 を忠実に反映していた。これは,アンケートという 調査方法の妥当性を示す一つの例と考えられる。さ らに,学生のアンケートからどの様なことが具体的 にカリキュラムの改善に役立てられるかという問題 を考察したい。
図1 両年度の実習カリキュラムの比較
2001年度 2002年度
実習期間 5月14日" 4月8日
〜7月27日# 〜7月12日#
【11週間】 【14週間】
ゴールデンウィークを含まない ゴールデンウィークを含む
!カリキュラムの詳細は,愛媛大学のホームページ上のシラバスデータベースシステムで閲覧できる。
実習回数 骨学実習 4回* 骨学実習 4回*
(1回は筆記試験) (口頭試問1回を含む)
解剖実習 30回 解剖実習 31回
(口頭試問4回を含む) (口頭試問4回を含む)
脳の実習 4回 脳の実習 4回
(口頭試問1回を含む) (口頭試問1回を含む)
合計 38回 合計 39回
(注:カリキュラム上では実習1回は2コマとなる)
*)骨学実習は,2001年度はすべて午前(2コマ),2002年度はすべて午後(2コマ)に実施した。
週ごとの実習回数 週5回 4週** 週5回 1週**
(骨+解剖****+脳) 週4回 2週 週4回 なし
週3回 2週 週3回 10週
週2回 1週 週2回 1週
週1回 1週*** 週1回 2週***
週0回 1週*** 週0回 なし
合計 11週 合計 14週
**)2001年度では,このうち3週は骨学実習1回(午前)+解剖実習4回(午後)。2001年度の残りの1週と 2002年度の1週は,脳実習4回と解剖実習1回(この回は全実習の最終回に当たり,学生自身が納棺献花し,
黙$して全ての課程を終える)。
***)この期間中に実習が週1ないし0回になるのは,実習の代わりに集中講義が行われる週,およびゴール デンウィーク(ただし2002年度のみ)だけである。
****)解剖実習だけをとってみると,2001年度は週4回が5週・週3回が2週・それ以外が2週(合計9 週),2001年度は週3回が8週・それ以外が3週(合計11週)。
19 大学教育実践ジャーナル 創刊号 2003
方 法
アンケートの内容
アンケート項目を選定し文言を決めるに当たって は,先述の提言で提案されている文言1)や,北海道 大学で実施されている学生アンケートの文言(阿 部,2000)を参考にした。アンケートの形式は「5 段階評価,自由回答付き」,回答した学生の氏名を 書いてもらう「記名式」とした。客観的回答の質問 項目は,実習全体に関して8問,各教官(2001年度 は4名,2002年度は助手が一人留学したため残りの 3名)の指導に関して5問ずつ,実習中に提出を義 務づけているレポートに関して3問,であった(図 2)。アンケート用紙はA3一枚に片面印刷し,裏 側は自由記入欄とした。
アンケートの対象は2001年度と2002年度の2回 生,ともに7月にアンケートを行った。2001年7月 は脳実習中に,2002年7月は脳実習試問後に実施し た。2002年度は脳実習の試問後にも2週間夏学期が 残っていたので,実習後すぐに夏休みに入った2001 年度より遅くまで回収ができたからである。
実習中の2回生の全てに用紙を配布し,実習室に 置いた箱に回収した。回収数と回収率は,2001年度 が86名分(87.8%,98枚配付),2002年度が86名分
(96.6%,89枚配付)であった。なお,その中で自 由回答欄(アンケート用紙の裏面)に記載があった のは,2001年度が46枚(53.5%),2002年度が35枚
(40.7%)であった。記名式でのアンケートを行っ たことと用紙の配布回収を教官自身が行ったことに より,アンケートの回答を義務づけられていると学 生が捉えている可能性は否定できない。
統計学的な解析は,パーソ ナ ル コ ン ピ ュ ー タ
(Apple社,Power Macintosh)と統計解析ソフト ウエア(Abacus Concept社,Stat View4.11・日 本語版)を用いて行った。アンケート結果のコンピュ ータ入力は技官が行い,教官はなるべく回収したア ンケート用紙を見ないように心がけた。
結果と考察
アンケートの集計結果:客観的評価
2002年 は2回 生 の カ リ キ ュ ラ ム の 見 直 し に よ
り,2001年度と同じ実習回数であるにも関わらず全 体の期間は延長(3週増)し,実習期間が(2000年 度以前と同じく)ゴールデンウィークを挟むように なった。これにより,実習はほぼ全て午後週3回だ けになった。従って「スケジュールの過密さ」につ いては,2002年には客観的に軽減(更なる改善の余 地は残しているとしても)したことに否定の余地は ないであろう。このようなカリキュラムの改編は,
アンケート結果にどの様に反映されているのであろ うか。
実習全体に関する8項目の質問のうち,「実習で 要求される作業量は適切でしたか?」という項目と
「実習のスケジュールには満足しましたか?」とい う項目の評価点数が,2001年度から2002年度にかけ て顕著に向上した(図3,★印と★★印,t検定で 有意差あり)。この2項目は,2001年度は2.3から 2.6と「普通」を大きく下回っていたのに対し,2002
年度には「普通」を大きく通り越して3.9から4.0と 平均してほぼ「良い」という評価になった。この二 つの項目以外の6項目も全て評価が向上した。
また,各教官に対する評価の点数も,2001年度か ら2002年度にかけて全ての教官・全ての項目で向上 した。具体的には,5項目の単純平均値で,教官A が4.5から4.8,教 官Bが4.1か ら4.4,教 官Cが3.8 から4.3,となった(点数の高い順)。また,各項目 ごとに検討すると,「質問しやすい雰囲気」の評価 が高い教官や「知識や技量」の評価が高い教官がい ることが示され,各教官個人の個性もアンケートの 結果に反映されていた。
これに対し,レポートに関する評価は二つの年度 でまったく同じ点数であった。このことは,2002年 度の学生が特に甘い評価をしたのではない,という ことを示していると考えられ,今回のアンケート結 果の客観性や妥当性を支持するものである。例年レ ポート提出に関して学生から要望の強い図書館の蔵 書や開館時間については両年度で変わっていないの で,これらに対する学生の評価が変わらないのはむ しろ当然である。また,学生と教官の資質にも大き な違いはないはずなので,「実習室での考察」「臨床 的な動機づけ」のような学生の能力に直接関係する 項目に関する採点が変化していないことも理解しや すい。ただ,他の項目が全体的に評価が高いのに対 して評価結果が両年度で「同じ」ということは,こ れらの質問項目に対して相対的には低い評価がされ
20 大学教育実践ジャーナル 創刊号 2003
図2 当講座による学生アンケート(2001年度/2002年度)の内容
番号 名前
学生による実習・教官に対する評価を真摯に受け止め,今後の教育に役立てたいと思います。記名方式ですが,
このアンケートの回答内容は成績評価には一切反映しません。
各質問について,1.から5.の選択肢の中で当てはまると思うものに○をつけて下さい。
ご協力に感謝します。 愛媛大学医学部解剖学第一講座
「正統解剖実習に対する学生評価票」 解剖実習全体について答えて下さい
!シラバスは,実習の目標,内容,推薦参考書,評価方法を適切に示してましたか?
!実習で要求される作業量(予習,レポート提出,試験勉強など)は適切でしたか?
!実習の内容は意欲的で価値あるものでしたか?
!実習のスケジュールには満足しましたか?
!実習の履修目標を達成できましたか?
!教員による指導体制は十分でしたか?
!質問,発言,自習などにより,あなたはこの実習に積極的に参加しましたか?
!試験問題は講義・実習内容や求められた自己学習内容によくマッチしていましたか?
1.大変良い 2.良い 3.普通 4.悪い 5.大変悪い
「正統解剖実習指導教官に対する学生評価票」 各教官について答えて下さい
!教育に対する熱意が感じられましたか?
!学生を理解し尊重していて,質問がしやすい雰囲気でしたか?
!具体的な技術や実習の意義についてわかりやすく指導しましたか?
!知識が豊富で技量も優れていましたか?
!知的好奇心や医療に対する意欲が刺激されましたか?
1. 大変良い 2. 良い 3. 普通 4. 悪い 5. 大変悪い
「レポートについて,答えて下さい」
!実際に御遺体を解剖している場で,課題について考察できましたか?
!臨床的な事項は,解剖をする上での動機付けになったと思いますか?
!図書館にある図書は十分でしたか? 開館時間は十分だと思いますか?
1. 大変良い 2. 良い 3. 普通 4. 悪い 5. 大変悪い
!レポート課題について,わからなかったとき,だれに相談・質問しましたか?(複数回答可)
A. 教官 B. 同級生 C. TA D. その他の先輩 E. それ以外
!実習室備え付けの参考書をどの程度利用しましたか?
1. 毎回 2. 半分くらい 3. 数回程度 4. 利用しなかった 5. 自分には必要ない
「ハンドブックについて,答えて下さい」(2002年度のみ実施)
!シラバスやコアカリキュラム,法規についてのページ(第1章,第5章)を読みましたか?
!正統解剖実習についてのページ(第3章)を予習に役立てましたか?
1. 精読してメモを記入した 2. よく読んだ 3. 一応目を通した 4. ざっと眺めた程度 5. あることを知らなかった
!「ハンドブック」についてのご意見ご要望があれば,具体的に書いて下さい。
!その他,実習全般について,自由なご意見を用紙の裏に書いて下さい。
21 大学教育実践ジャーナル 創刊号 2003
ている,と考えることもできる。
アンケートの集計結果:自由回答
アンケートの中で自由回答欄に記載があったのは,
2001年度 が46枚(53.5%),2002年 度 が35枚(40.7
%)であった。「自由回答」(複数回答)の主なもの は,2001年度では「スケジュール(週4回実習+毎 週レポート提出)がきつい(40名/46名)」という ものがほとんどであった。これに対し,2002年度に はカリキュラムそのものに対する否定的意見として は,「予習の時間がとれない」が35枚の中で2例あ るだけにとどまった。そのほかに,図3で示したよ うな自由回答があった。
2001年度に比べ2002年度に自由回答の数自体が 減った,という現象は注目に値するであろう。2001 年度では約半数の学生が,5段階評価(番号に丸を 付けるだけでよい)に加えて自由筆記の欄にほぼ同 様の内容を書き込んだということは,学生の生の 声・正直な印象を表しているということであろう。
つまり,それだけ キツい しんどい カリキュ ラムであったと,反省しなければならない。これに 対し,2002年度には自由回答自体の数が減ったが,
このことは,自由回答に書かれうる学生の苦情(カ リキュラムに対する不満)が減少したことを反映し ていると考えられる。また,学生アンケートでは否 定的な意見や不満の方が表出しやすい,ということ も言えるだろう。
自由回答に関してこの他に興味深いことは,副教 材(「解剖実習ハンドブック」)についての自由意見 や最終回のレポートの欄外に書かれた自由意見(と もに,数は多くはないが)には,それらを肯定的に 捉える意見・それらの改善についての具体的で建設 的な意見が多い,という事実である(図3,「自由 回答」の主なもの)。学生が積極的に書いたこのよ うな意見は,後述するように教官にとってカリキュ ラムの改善や教材の作成などに際して有意義な情報 であると思われる。
実習最終試問と筆記試験の成績は向上したか?
学生の学習到達目標の一つである試験の成績につ いて,学年の平均値で検討した。2001年度は実習試 問の成績の平均が73.8点,筆記試験の平均は67.4 点,2002年度では,前者が79.8点,後者は76.1点で あった(点数はすべて100点満点に換算)。教官とし
ては,このような結果から,平成14年度の方が試験 の成績が良かったのはカリキュラムの改編が一因を なしている,と考えたい。特に,口頭試問について は試験の形式も問題の内容も同一であり,出題され る問題があらかじめ学生にアナウンスされていると いう点でも両年度で条件が全く同じである。した がって,この場合にはいわゆる「過去問」の効果は 考えにくく,その年度の学生がカリキュラムの内容 をどれだけ修得できたかをストレートに表している と考えられる。
ただし,初めに考察したように,科目の最後に行 われる筆記試験の結果は,そのカリキュラムのよし あしを判断する客観的な材料の一つであるが,「過 去問」の効果,筆記試験の時期の違い,レポート問 題の質の向上,など2002年度の学生に有利な条件が あったことは指摘しておかなくてはならない。
アンケートの客観性・妥当性
以上,2001年度と2002年度の結果を比較すると,
カリキュラムに比較的余裕があった後者の方が,「要 求された作業量」「カリキュラム」に関して評価(学 生の満足度とも読み替えられるだろう)が有意に高 く,カリキュラムの過密さに対する不満が低く,最 終的な成績も良い,ということが示された。
2002年度には,前年に比べて全体の期間が延長し たことで実習の過密度がやや和らぎ,少なくとも教 官側の身体的・精神的負担が減った,という印象は 実習期間中から指摘されていた。2001年度の実習カ リキュラムに対する学生の評価が低かったのは,実 習が週4回となる週が多かったこと,途中にゴール デンウィークが入らなかったため(特に)実習初期 の精神的・身体的なストレスから回復する時間的余 裕がなかったこと,が大きな要因であろう。これに 対して2002年度で評価が高かった理由としては,時 間的な余裕が学生にとって身体的・精神的な面での 余裕をもたらし,学習効率が高かったことが挙げら れるであろう。さらに,教官においても余裕があり,
よりきめ細かい指導ができたことも一因だったかと 思われる。特に,各教官に対する評価が高かったの は,この「教官にとっての余裕」が大きく影響した ものと考えられる。
これらから分かることは,アンケートに答えた学 生が非常に 正直に 反応したということである。
「要求された作業量」や「カリキュラム」に関する
22 大学教育実践ジャーナル 創刊号 2003
評価が2002年度に向上することは,いわば予想でき たことである。また,2つの学年の間で変化しない はずの図書館についての項目の評価が実際に変わっ ていない。予想通りの結果が得られたということ は,このアンケート結果が客観的な事実を良く反映
した,ということを示している。換言すれば,今回 のアンケートの有効性や実効性を示す根拠と言えよ う。さらに,カリキュラムに対して信頼がおけるア ンケート結果が得られたことは,他のアンケート項 目(例えば各教官の指導に対する評価)に対する回 図3 「正統解剖実習に対する学生評価票」とその回収結果
2001年度 2002年度 アンケート回収数 86枚/98人 86枚/89人 同 回収率 87.8% 96.6%
「解剖実習全体について,答えて下さい。」 平均 3.4 平均 4.1
!シラバスは,…を適切に示してましたか? 3.6 4.0
!実習で要求される作業量は適切でしたか? 2.6* 3.9**
!実習の内容は意欲的で価値あるものでしたか? 4.0 4.6
!実習のスケジュールには満足しましたか? 2.3* 4.0**
!実習の履修目標を達成できましたか? 3.3 3.8
!教員による指導体制は十分でしたか? 3.9 4.4
!…,あなたはこの実習に積極的に参加しましたか? 3.5 3.8
!試験問題は…によくマッチしていましたか? 3.7 4.1
「レポートについて,答えて下さい。」 平均 3.5 平均 3.5
!御遺体を解剖している場で,…考察できましたか? 3.6 3.6
!臨床的な事項は…動機付けになったと思いますか? 4.2 4.1
!図書館の図書や開館時間は十分だと思いますか? 2.7 2.8
「強い肯定(5点)肯定(4点)普通(3点)否定(2点)強い否定(1点)」として換算し,各学年での平均 点を算出した。従って,最高は5点・最低は1点となる。「★」と「★★」は二つの年度の比較で顕著に評価が 変化したものを示す。
「自由回答」の主なもの(複数回答)
2001年度:
スケジュール(週4回実習+毎週レポート提出)がきつい(40/46),
レポート課題は考えながら解剖するきっかけになった(8),
前半に比べて後半は余裕があり楽しかった(5),医学への意欲が向上した(4),
図書館の蔵書や開館時間が不備(4),もっと講義・実習講義をして欲しい(4),
スタッフが少ない(3),レポートの答えか模範回答が欲しい(3),
女子更衣室が狭い(2),出欠の扱いが厳しすぎる(1),等 2002年度:
予習の時間がとれない(2/35),臨床的事項も扱ったので興味が持てた(6),
もっと予習をしてくれば良かった(5),教官が学生のことを真剣に考えていた(5),
実習室にもっと教科書・アトラスをおいて欲しい(5),
講義を増やして欲しい(4),TAが多くて質問しやすかった(4),
神経解剖学は集中講義を聴いてから実習するので良い(4),ビデオを改善して欲しい(4),
もっとたくさんTAに来て欲しかった(2),等
23 大学教育実践ジャーナル 創刊号 2003
答の信頼性も担保してくれるであろう。
アンケートの回答と試験の成績は相関するか?
学生アンケートの有効性に疑問を投げかけるもの として,「成績の悪い学生がアンケートでも悪い評 価をするのではないか(成績の悪い学生の声は聞く 必要がないのではないか)」という指摘がある。こ の問題について検討するため,各学生の試験(実習 の最後に行われる口頭試問と,科目の最後に行われ る筆記試験)の成績とアンケートでの評価との相関 関係を統計学的に調べた。各項目の評価を1点から 5点で点数化し,全ての項目の評価を単純に平均し て各学生の評価の点数とした。これと試験の成績の 相関を示したのが図4である。このような検討は,
アンケートを「記名式」で行ったからこそ可能になっ た。
2001年度の口頭試問とアンケート結果の相関は
「R=0.265(P=0.015)」(図4A),2002年度の口 頭試問とアンケート結果(教官に対する評価を含む 平均)の相関は「R=0.210(P=0.052)」(図4B)
であった。また,2002年度の筆記試験とアンケート 結果の相関は「R=0.228(P=0.035)」(図4C)
であった。なお,口頭試問と筆記試験の成績は非常 に強い相関(R=0.712,P<0.0001)を示した。
全体として,アンケートでの評価と試験の成績と の間には弱い相関があった。これは,実習について 満足感の高い学生の方がアンケートでも高めの評価 をする傾向があり,その様な学生の方が最終的な試 験の成績も良い,ということであろう。しかし,グ ラフを読む限りでは,特に成績の良い学生ばかりが アンケートで高い評価をするわけではないこと,逆 に成績の悪い学生がアンケートで低い評価をするわ けではないこと,がわかる。この傾向は各年度とも,
各教官に対する評価を除いても(図4A)あるいは 含めても(図4B),また,口頭試問で検討しても
(図4B)筆記試験で検討しても(図4C),ほぼ 同じであった。
アンケートを取ることの効果−1−:カリキュ ラムの編成に役立つ
医学生にとって解剖実習は,実習回数が多く各回 の作業量も極めて多いだけでなく,ご遺体を扱うと いう衝撃的な経験により,身体的にも精神的にも非 常に過酷である。我々のカリキュラムでは,2回生
の前期(夏学期)に解剖実習と組織学実習が平行し て開講されており,この期間には講義数が少なく毎 日午後が実習というタイトな進行になる。さらに,
2回生になって専門教育課程が始まると同時に解剖 実習が開始されるが,学生の多くはこの時期に共通 教育が行われる松山市内の城北キャンパス付近から 専門教育が行われる郡部の重信キャンパス付近へと 引っ越していて,学業のみならず日常生活において も大きな変化が起こっており,その負荷は大きい。
今回の検討から,学生にとって実習の密度は週4 回では過密であり,体力的にも週3回が限度である ことがよく分かる。また,数字には直接表れてはい ないが,2002年度では実習期間中にゴールデンウィ ークが挟まれていることも,専門教育課程に上がっ たことによる環境の変化に対して順応するための,
時間的余裕を与えるものであろう。
学年全体の事情(学習カリキュラムだけではなく,
学生生活全般を含む事情)がこのように数値に反映 されているということは,カリキュラム編成に際し て大変重い意味を持つと考えられる。医学科のよう にほぼ全ての科目がある期間に集中的に開講されて いる場合,カリキュラムの編成は一つの科目の都合 ではできないので,解剖実習にとって最適なカリ キュラム編成は,現実的には容易ではない。しかし,
多くの科目でこのような学生の声・学生の反応を踏 まえたデータが提示されれば,学生の学習効率の面 で無理のないカリキュラム編成が可能になると期待 される。
アンケートを取ることの効果−2−:サブノー ト・補助教材の向上のために役立つ
当講座では2002年度から,学生用の補助教材とし て100ページほどの「解剖実習ハンドブック」を作 り配布している。2002年度にはこれについてのアン ケートも実施し,おおむね好評を得たが,複数年度 の間の比較はまだできていない。
「解剖実習ハンドブック」に関する自由回答は,
全体からすれば数は少ないものの,編集時に教官が 気がつかなかった改善点を指摘した効果的・建設的 なものが目立ち,改訂の際に大いに参考になった。
実例を挙げると,「よかった」という回答が自由回 答31枚中15名と半数を占めた他,「目次が欲しい」
(同,3)「(学生が記入するための)余白が欲しい」
(同,2)「(講義や実習中に配布した一部の)プリ
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55 60 65 70 75 80 85 90 95 2.5
3 3.5 4 4.5
2.75 3 3.25 3.5 3.75 4 4.25 4.5 4.75 5
65 70 75 80 85 90 95
2.75 3 3.25 3.5 3.75 4 4.25 4.5 4.75 5
40 50 60 70 80 90 100
ントを綴じ込んで欲しい」(同,1)などは具体的 に改訂作業の方針を示唆しており,全て次年度(平 成15年度)のバージョンに生かされた。
ここでは,教官側にとってより有効な教材を作成 するためのアイデアを得られるという面と,学生に とって教官側への働きかけがカリキュラムの改善に 確実に反映されるという「信頼感」を生むという面 との,二つの(異なる,そして望ましい)側面を強 調しておくべきであろう。ただし,全体としては提 案の回答数が少なかったことは,一連の講義の最後 に行われるアンケートに回答したとしても,当然の ことながら自分自身が受ける講義にはもはや反映さ れない,上の学年に進級してしまう自分たちにはメ リットがない,という学生一般の感覚も浮き彫りに するものであろう。また,カリキュラムの「改善」
とはある科目の単位取得が楽になることを意味する
ものではない,ということを学生にも自覚してもら う必要がある。このような問題の解決には,組織全 体を巻き込むFD活動が不可欠であろう。
アンケートを取ることの効果−3−:教官の「意 欲」の向上に役立つ
我々は,2001年度からはじめた実習に関するアン ケートで,カリキュラム全体に関してだけではな く,各教官の指導(熱意,学生の理解,技術,知識,
知的刺激)についても学生に5段階評価してもらっ ている(図2)。これらについては結果は非公開と しているが,講座の教官の間では回覧している。3 ないし4人の教官についての評価はそれぞれ異なっ ており,客観性があると考えられた。学生が各教官 に対する個別の評価を避けてどの教官に対しても同 じように採点している場合には評価の妥当性が疑わ 図4 学生の試験の成績とアンケートの評価との相関
「評価の平均点」の最高は5点,最低は1点。全ての 項目に重みの違いはつけず,単純に平均して算出した。
2001年は解剖実習全体に関するアンケート全8問の平 均,2002年は各教官に対する評価を含む全26項目の平 均。矢印は平均値を示す。
「実習成績」と「筆記試験成績」はそれぞれ,実習の 最後に行われる口頭試問の成績(A,B)と科目の最後 に行われる筆記試験の成績(C)で,共に満点は100点 である。
2001年度
評価の平均点(→は全平均)
4A 実習成績
2002年度
評価の平均点 評価の平均点
4B 実習成績 4C 筆記試験成績
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れるが,今回はその様なことはなかった。また,2001 年度から2002年度にかけて,全ての教官について評 価は向上した。この時,学生の評価の高い方からの 順番は変わらなかったが,このことはアンケート結 果の再現性を示しているものと考えられる。
我々にとって,今回の各教官に対する評価は,(学 生が真摯に記入してアンケート全体の妥当性が確保 されていると考えられ,そしてある程度以上の良い 評価であったので)教官の教育意欲をひき出す効果 があり,両年度の間に評価の点数が向上したことで それがさらに効果的になった。主観的な表現が許さ れるとすれば,その様な経験があれば,一部の項目 で低く評価されたものがあっても,教官はそれを建 設的に受け止め,次に向けて改善の努力をすること ができるであろう。
逆に考えると,いきなり低い評価を与えられると,
(たとえそれが妥当なものであったとしても)その 教官はそれを建設的・肯定的に受け止められず,以 降学生アンケートの結果を受容できなくなってしま う可能性がある。特に学生によるアンケートの結果 を広く公表する際には,特に評価が低かった科目や 教官のデータをどう扱うか,慎重になる必要があ る。本来,その様な科目や教官について,最も改善 される余地があり改善されなければならないからで ある。
前述のように,最終回のレポートには少数ながら
(86人中14名)自由記入の意見が寄せられていた。
うち5名は「実習室では作業に精一杯で(実習内容 に関連する)レポート課題についての考察はできな かった」となっており,2002年度でも実習カリキュ ラムに十分な余裕はないことを示している。ただ,
非常に肯定的で教官を良い意味で刺激する意見も あったので,ここで一例だけ紹介する(カッコ内は 筆者らが補足):
「苦労して(課題に)回答してから(返却された レポートとともに配布された)プリントで復習した りご遺体を見たときの,『うろこの落ちるような理 解度』はすてがたい。」
学生へのフィードバック
「アンケート(2001/2002年度 人体構造学Iに ついて)の結果に対する講座としての考え」という 形で,副教材である「解剖実習ハンドブック」の巻 末に掲載している。そこでは,昨年までのアンケー
トの内容とともに,集計結果とそれに対する教官側 の考え,学生の声がカリキュラムの改善に具体的に どう反映されたか,などを掲載してフィードバック している。
アンケート結果を学生に公表していることには,
今のところはっきりとした学生からの反応はない。
学生が読むのは前の学年のアンケート結果について であるために実感がない為なのか,アンケート結果 がカリキュラムに具体的に生かされた経験がないこ とからの無関心によるのか,今のところ判断できな い。
我々は,大学から社会への情報発信の一環とし て,このアンケートの集計結果を当講座のホームペ ージの中で公開しており,学生にはその旨「解剖実 習ハンドブック」の中でも紹介している4)。また,
我々が行っているカリキュラム改善の為のその他の 試みについても同様に公開している。
結 語
学生アンケートの結果を教官側も真摯に受け止 め,それに対する見解を学生にフィードバックし,
学生からの提案を受け入れてカリキュラムや教材の 具体的な改善に役立て,その事実を再び学生にフィ ードバックする,という地道な努力の積み重ね(こ れを我々は実践しようと試みており一部は既に実現 していることである)によって初めて,学生と教官 との間に「相互信頼感」が成立し,安易な意味では なく真に「良い」すなわち学生にとっての学習効果 の高いカリキュラム・講義や実習の実現が,可能に なるはずである。学生と教官との間の「相互信頼感」
が既に成立している場合(我々のケースは比較的良 い状態にあると考えている)には,学生がアンケー トに真摯に回答し,したがってその結果も客観性を 帯びて,カリキュラムを検討・立案する上での有効 な判断材料・判断基準となる,と考えられる。今回 の我々の経験は,条件が整えば学生アンケートが客 観的で妥当な評価と建設的で有意義な情報をもたら すことを示している。逆に,現実的にその様な状況 が成立していないと,記名式で教官個人の評価を含 むようなアンケートからは有効な回答は得られない であろう。
学生アンケートのシステムを生かすためには,前 年の学生アンケートの結果を積極的に学生にフィー
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ドバックする努力に加え,アンケートをいつ実施し てその結果をいつ公表するか,という実施時期の問 題を工夫する必要がある。また,学生の要望も考慮 したカリキュラム作りを実際に行ってその実績を教 官側と学生側の双方に提示し,学生が「自らの声に よってカリキュラムを改善できた」という実感を持 つことができるようにする必要がある。
謝 辞
解剖実習室の管理と解剖実習の実施に関して稲葉 正一技官(愛媛大学医学部解剖実習室)に,統計処理 に関して山宮公子技官(愛媛大学医学部解剖学第一講 座)に,深く感謝いたします。また,アンケートに真 摯に答えてくれた学生諸氏に謝意を表します。
参考文献
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(注)
1)「21世紀における医学・歯学教育の改善方策につ いて −学部教育の再構築のために−」,医学・歯 学教育のあり方に関する調査研究協力者会議 報 告,平成13年3月27日
2)近年,解剖学会の学術集会では必ず解剖実習や解 剖学教育を扱ったシンポジウムが開かれている:
日本解剖学会第107回全国学術集会,浜松,2002年3 月:シンポジウム「新しい医学教育をささえる解剖学」
日本解剖学会第106回全国学術集会,高知,2001年4 月:シンポジウム「21世紀の大学教育と解剖学教育」
日本解剖学会第105回全国学術集会,横浜,2000年3 月:シンポジウム「解剖学実習の充実と改善策を探る」
また,以下の地方会で開かれたシンポジウムでは,
当講座からも演題(小林ら,2002b)を発表している:
日本解剖学会第56回中国・四国支部学術集会,宇 部,2001年10月:シンポジウム「医歯学系教育カリ キュラム改革に伴う解剖学教育の現状」
3)1回の実習の時間は,カリキュラム上では2コマ になる。午前中の実習(2001年度の骨学実習のみ)
は時間通りに終えるが,午後の実習は午後5時まで は続けるよう指導している。実際には午後6時以降 まで続くことが多く,学生によっては毎回夜8時頃 まで実習を続けている者もある。
4)学生アンケートに関するページのURLアドレス は以下の通りである:
http : //www.m.ehime-u.ac.jp/school/anatomy1/
csl06.html
また,カリキュラム改善のためのその他の試みにつ いては,以下を参照されたい:
http : //www.m.ehime-u.ac.jp/school/anatomy1/
csl01.html
抄 録
愛媛大学医学部医学科では,学士編入学生の受け入 れに伴って2001年度よりカリキュラムが大きく変更に なり,解剖実習の時間数は合計39回(78コマ,1コマ
=90分;この他に講義が22コマ)へ減少した。これを 契機に,限られた時間内で学習効率の良い解剖実習を 実現すべく,我々はいくつかの改善の試みを行ってき た。その一環として,実習全般および各教官の指導に ついて,実習終了後に学生アンケートを行い,カリキュ ラム改善の貴重な資料としている。今回,実習日程の 変更がアンケート結果に如実に現れたので,学生アン 27 大学教育実践ジャーナル 創刊号 2003
ケートの妥当性を示す結果として報告する。
従来は4月初旬から7月下旬まで実習を行っていた が,2001年度だけは他の科目との関係で5月中旬から 7月下旬までの期間に解剖実習を行った。このため,
期間の半分は実習が週4回となった。2002年度には実 習開始が4月に戻り,期間が2週間延長されたため,
解剖実習は毎週3回になった。アンケートは,両年度 とも同一の内容で5段階評価で行い,記名式で回収し た。両年度のアンケートを比較すると,特に「要求さ れた実習作業量」や「実習スケジュールへの満足度」
についての回答が格段に向上した。これは,実習が週 4回となる週が無くなって,身体的・精神的な余裕が できたことによるものであろう。学生はアンケートに 非常に真摯に回答しており,学生アンケートがカリ キュラムの改善に大きく貢献することを示している。
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