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1 1 環境と経済

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(1)

環境 経済評価 環境の経済評価

Valuing the Environment Valuing the Environment

報告日:2008年7月2日 報告者:寺脇 拓

1. 意義と目的 1. 意義と目的

2 1. 意義と目的

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

1 1 環境と経済

1.1 環境と経済

• 環境経済学の目的は 環境からの便益と経済からの

• 環境経済学の目的は、環境からの便益と経済からの 便益をバランスさせることである。

‡ 自然資源を用いて作られる財を消費することから得られる便 益。

‡ 環境の同化能力(assimilative capacity)を享受することか ら得られる便益。

ら得られる便益。

> これら二つの便益の間にはトレードオフの関係がある。

• この目的を達成するためには この目的を達成するためには

1. 通常の財と同じように、環境質を財として扱う。

2. その財の価値を金銭ベースで考える。銭

3 1. 意義と目的

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

自然(生態系) 同化能力 自然資源

トレード・オフ どうバランスさ

せるか?

せるか?

便益

生産物 人々

経済システム

生産物 人々

図1: 環境と経済

4 1. 意義と目的

(2)

1 2 外部性による市場の失敗

1.2 外部性による市場の失敗

• 外部性が存在するとき 外部性が存在するとき、市場メカニズムの下では厚 市場メカニズムの下では厚 生損失 (welfare loss) が発生する。

‡ 市場均衡(market equilibrium)は点Bで表される。

‡ 一方で、社会最適点(social optimum) は点Aで示される。

‡ 厚生損失は面積Cで表される。

‡ 社会的に効率な生産水準を達成するために(社会厚生を最大 にするために)、線分ADで表されるピグー税(Pigovian tax) を生産一単位当たりに課すことが提案される。

• このモデルは生産活動に伴って発生する社会への負 の影響(外部不経済)が金銭単位で計測されることを 前提とし いる

前提としている。

5 1. 意義と目的

限界社会的費用曲線(MSC=MPC+MEC) 価格

需要曲線

限界私的費用曲線(MPC) 需要曲線

A p

ps

B C

限界外部費用曲線(MEC)

pp B

D

数量 厚生損失

A B C

社会最適点 市場均衡点

図2: 外部性による市場の失敗

qs qp 数量 AD ピグー税

6 図2: 外部性による市場の失敗

1. 意義と目的

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

1 3 費用便益分析

1.3 費用便益分析

• 費用便益分析 (cost-benefit analysis) の基本ルール

• 費用便益分析 (cost benefit analysis) の基本ル ル

‡ 総便益(B)から総費用(C)を差し引いた純便益(NB)が0よりも 大きいときそのプロジェクトは採択され、0よりも小さいと き棄却される

き棄却される。

採択される 棄却される

• あるプロジェクトが環境に正、あるいは負の影響を 与えるときには、その影響の大きさ(E)も純便益に加

棄却される

与えるときには、その影響の大きさ(E)も純便益に加 えられる。

採択される

‡ Eはそのプロジェクトが環境に正の影響を与えるとき正、負 の影響を与えるとき負の値をとる

棄却される

7

の影響を与えるとき負の値をとる。

1. 意義と目的

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

環境の価値失われた

便益

便益 便益

費用 便益

費用

プロジェクトは採択される プロジェクトは棄却されるかもし れない

a. 環境への負の影響がないケース b.環境への負の影響があるケース

8 図3: 費用便益分析と環境の価値

1. 意義と目的

(3)

2. 理論的基礎 2. 理論的基礎

9 2. 理論的基礎

2 1 支払意思額

2.1 支払意思額

• 限界支払意思額(marginal willingness to pay:

• 限界支払意思額(marginal willingness to pay:

MWTP)

‡ 個人が財やサービスを追加的に一単位手に入れる代わりに支 払ってもよいと考える金額の大きさ。

‡ その財を追加的に一単位手に入れることによって得られる便 益、すなわち限界便益(marginal benefit)を表す。

益、すなわち限界便益(marginal benefit)を表す。

‡ 環境に対するMWTPも同様に、個人が環境質レベルの追加的 な上昇に対して支払ってもよいと考える金額を意味し、それ は環境質レベルの追加的な上昇が個人に与える限界便益を表 は環境質レベルの追加的な上昇が個人に与える限界便益を表 す。

• ( ( 総 総 ) ) 支払意思額 支払意思額 (total willingness to pay: WTP) ( g p y )

‡ 個人が財やサービスのある特定量の増加に対して支払っても よいと考える所得の大きさ。

10

‡ 財のある特定量の増加によって得られる便益(benefit)を表す。

2. 理論的基礎

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

MWTP

限界支払意思額曲線

1200 限界支払 額曲線

環境質が2から6に上昇 することによ て得られ 1000

900

することによって得られ 700 る便益

500

環境質が2から 6に上昇すること 400

環境質レベル

0 6

6に上昇すること に対するWTP 2

図4: 環境質の増加に対するWTP (1)

環境質レベル

0 2 6

11 図4: 環境質の増加に対するWTP (1)

2. 理論的基礎

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

MWTP

限界支払意思額曲線 限界支払 額曲線

環境質がqq00からqq11に上 昇することによって得ら れる便益

環境質がq0から q1に上昇するこ

環境質レベル

0 q q1

とに対するWTP

図5: 環境質の増加に対するWTP (2)

環境質レベル

0 q0 q1

12 図5: 環境質の増加に対するWTP (2)

2. 理論的基礎

(4)

■MWTPとWTPの数学的表現

■MWTPとWTPの数学的表現

‡ 限界支払意思額(MWTP)

所 得 と 環 境 の 間 の 限界効用の比

U:(間接)効用関数

環境質レベル

限界代替率

q:環境質レベル

y:所得

‡ 支払意思額(WTP)

‡ 支払意思額(WTP)

• 変化前の環境質レベル(q0)から変化後のレベル(q1)までMWTPを積分 することによって計算される。

13

2. 理論的基礎

2 2 支払意思額と受取意思額

2.2 支払意思額と受取意思額

• WTPに対する数学的表現

• WTPに対する数学的表現

• 受取意思額(willingness to accept compensation:

• 受取意思額(willingness to accept compensation:

WTA)

‡ 環境改善を諦める代わりに最低限補償して欲しいと思う金額。

‡ 環境改善を諦める代わりに最低限補償して欲しいと思う金額。

• 理論的にも実証的にも WTA は WTP よりも大きくなる

• 理論的にも実証的にも WTA は WTP よりも大きくなる。

‡ 無差別曲線が原点に対して凸で環境サービスが正常財である 限り、理論上WTAはWTPよりも大きくなる。

14 2. 理論的基礎

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

所得

D WTA

y

U(q1, y) WTP

A B

0 環境質

0 q q

U(q0, y) WTP

C

図6: WTPとWTA 0 環境質

0 q0 q1

15 図6: WTPとWTA

2. 理論的基礎

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

2 3 WTP と WTA のどちらを選択すべきか?

2.3 WTP と WTA のどちらを選択すべきか?

• ある農村地域において、都市住民のゴミを処理する焼 ある農村 域 お 、都市住民 を処 する焼 却場の建設が検討されている状況を考える。

> この焼却場におけるゴミの焼却に伴う大気汚染は WTPで測られるべきか?WTAで測られるべきか?

> 所有権の所在による選択。

1. 都市住民にゴミ処理サービスを受ける権利がある場合

‡ 基準となる水準は大気汚染がある状態。

‡ 農村住民のWTPで計測するのが自然。

2. 農村住民にきれいな空気を享受する権利がある場合

‡ 基準となる水準は大気汚染がない状態。

‡ 農村住民のWTAで計測するのが自然。

16

> しかし、一般に所有権の所在は明確でない。

2. 理論的基礎

(5)

WTP

所有権

都市住民 農村住民

所有権

17 図7: WTPとWTAのどちらを選択すべきか?(1)

2. 理論的基礎

WTA

所有権

都市住民 農村住民

所有権

18 図8: WTPとWTAのどちらを選択すべきか?(2)

2. 理論的基礎

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

2 4 市場財と非市場財

2.4 市場財と非市場財

• 市場で取引される財

• 市場で取引される財

‡ 市場需要曲線が得られる。

‡ それは限界支払意思額曲線の代理として使われうる。

‡ それは限界支払意思額曲線の代理として使われうる。

‡ 完全競争市場においては、財の価値はその価格によって評価 される。

‡ ある数量の財を消費することから得られる純便益は消費者余 剰(consumer surplus)で計測される。

• 市場で取引されない財

• 市場で取引されない財

‡ 多くの環境財は非市場財(nonmarket goods)である。

‡ 市場需要曲線が得られず 価格も観察されないため 特別な

‡ 市場需要曲線が得られず、価格も観察されないため、特別な 手法が必要となる。

19 2. 理論的基礎

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

価格

需要曲線 需要曲線

財をq’単位消費するときの純便益

消費者余剰 p’

総支出

0 q’ 数量

総支出

0 q 数量

図9: 通常の市場財を消費することから得られる便益

20 図9: 通常の市場財を消費することから得られる便益

2. 理論的基礎

(6)

3. 評価手法 3. 評価手法

21 3. 評価手法

3 1 総経済価値

3.1 総経済価値

• 直接利用価値(direct use value)

‡ 自然資源を原材料として現在利用することから発生する価値。

• 間接利用価値(indirect use value)

‡ 劣化を伴わずに自然資源を現在利用することから発生する価値

‡ 劣化を伴わずに自然資源を現在利用することから発生する価値。

• オプション価値(option use value)

‡ 自然資源の将来利用可能性を保持することから発生する価値。

‡ 自然資源の将来利用可能性を保持することから発生する価値。

• 代理価値 (vicarious value)

‡ 現代の他の人々が環境を利用することに対して見出される価値。

• 遺贈価値 (bequest value)

‡ 将来世代の利用のために自然資源を保全することから発生する価 値。

値。

• 存在価値(existence value)

‡ 自然資源が存在する事実のみに見出される価値。

22 3. 評価手法

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

直接利用価値 直接利用価値

例:木材収入

間接利用価値

環 境

利用価値

間接利用価値

例:レクリエーション、炭素固定

オプ 価値

境 の総 経

オプション価値

例:将来の個人的なレクリエーション利用

経 済価 値

代理価値

例:他人のレクリエーション利用

遺贈価値

例:将来世代のレクリエーション利用

非利用価値

図10 森林資源の総経済価値

存在価値

例:生物の生息地

23 図10: 森林資源の総経済価値

3. 評価手法

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

3 2 選好独立アプロ チ

3.2 選好独立アプローチ

• 代替費用法 (replacement cost methods)

• 代替費用法 (replacement cost methods)

‡ 被害を受けた(環境)資産を回復させる費用、あるいはその代 替物をつくる費用により、その環境被害の価値(あるいは環 境回復の価値)を計測する手法

境回復の価値)を計測する手法。

‡ 例:森林の水源涵養機能の価値を同量の水を蓄えるダム建設 費用で評価する。

• 回避支出法 (avertive expenditure methods)

‡ 汚染を回避するための支出でもって、その環境被害の負の価汚染を回避するための支出でも て、その環境被害の負の価 値を計測する手法。

‡ 例:騒音の負の価値を遮音材の購入費用で評価する。

• 用量反応法 (dose-response methods)

‡ 汚染が人体の健康や作物生産に与える生理学的な影響を予測 し その影響による経済(金銭)損失を計測する手法

24

し、その影響による経済(金銭)損失を計測する手法。

3. 評価手法

(7)

3 3 選好依存アプロ チ

3.3 選好依存アプローチ

• 顕示選好法(revealed preference approaches:

• 顕示選好法(revealed preference approaches:

RP)

‡ 環境サービスに関連する市場における人々の実際の行動を観 察することによって、その価値を計測する手法。

• 表明選好法(stated preference approaches: SP)

‡ 環境サービスに対する人々の選好を直接質問することによっ て、その価値を計測する手法。

• 利点と欠点

• 利点と欠点

‡ 顕示選好法によって得られる評価額は、表明選好法によって 得られるものよりも一般に信頼性が高い。

‡ 顕示選好法によって評価される環境サービスには限りがある 一方で、表明選好法はあらゆる環境サービスの価値を計測す ることができる。

25

ることができる。

3. 評価手法

代替費用法 代替費用法 選好独立アプローチ

回避支出法

顕示選好法(RP) 用量反応法

選好依存アプローチ

顕示選好法(RP)

ヘドニック法(HPM)

表 選 法

トラベルコスト法(TCM)

表明選好法(SP)

仮想評価法(CVM)( ) コンジョイント分析(CA)

26 図11: 評価手法

3. 評価手法

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

3 4 ヘドニック法 (1)

3.4 ヘドニック法 (1)

• ヘドニック法 (hedonic pricing methods)

• ヘドニック法 (hedonic pricing methods)

‡ 周辺環境質の差がもたらすその地域の地価(あるいは賃金率) の差を用いて、その環境質の価値を計測する手法。

‡ ある財の特性に対する消費者の選好がその財の価格に反映さ れるという、キャピタリゼーション仮説(capitalization hypothesis)yp )に基づく。

‡ ヘドニック関数(線形の場合)

p:地価。

zi:i番目の周辺特性。

β i番目の周辺特性の係数パラメ

βi:i番目の周辺特性の係数パラメータ。

‡ ある環境質レベルを表す変数を で表すとすると、上記の線 形モデルにおいては、そのレベルが から に上昇すること

27

の価値は で表される。

3. 評価手法

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

地点Aの周辺特性 A B 地点Bの周辺特性

地点Aの周辺特性 地点Bの周辺特性

駅から1km 地価: 100,000円/m2 地価: 120,000 円/m2 駅から1km 駅から1km

NO2濃度を0.1ppm減少させることの価値

駅から1km

公園から100m

2濃度を pp 減少させる との価値 20,000円/m2

公園から100m

×

コンビニから50m NO2濃度: 0.15ppm NO2濃度: 0.05

× × ×

ppm

コンビニから50m

28 図12: ヘドニック法の基本的な考え方

3. 評価手法

(8)

■ヘドニック法の理論モデル

■ヘドニック法の理論モデル

‡ 効用最大化問題

x:価格を1とする合成財。

z:居住地の特性変数のベクトル。

y:所得。

p:住宅地価(ヘドニック地価関数)。

> これを解くことにより、ある環境特性 に対する潜在価格 (implicit price)が得られる。

> 全ての消費者が同質であるとき、これは に対する限界支払 意思額と一致する。

> 詳しくは建設政策研究センター(1998、pp.18-23)を参照。

29

3. 評価手法

3 4 ヘドニック法 (2)

3.4 ヘドニック法 (2)

• 手順

• 手順

1. 様々な地点における地価と地価を規定するであろう周辺特性 のデータのセットを収集する。

2. 回帰分析を用いてヘドニック地価関数を推定する。

3. 推定されたヘドニック関数を用いて、他の全ての周辺特性を 一定として ある環境特性の変化に伴う地価の変化を計算し 一定として、ある環境特性の変化に伴う地価の変化を計算し、

それをその環境変化の価値額として用いる。

• 応用例

‡ 周辺環境質の評価

• NO2濃度・SO2濃度(金本他1989)、騒音・振動(肥田野他 1996) 水田 樹園地の居城環境保全機能(浅野1998)など 1996)、水田・樹園地の居城環境保全機能(浅野1998)など。

‡ 都市整備効果の計測

• 北陸自動車道(肥田野・林山1997)、瀬戸大橋(井原・山村1998)、

30

• 北陸自動車道(肥田野 林山1997)、瀬戸大橋(井原 山村1998)、

高規格幹線道路網(萬他2000)、広域農道(蘭2002)など。

3. 評価手法

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

3 4 ヘドニック法 (3)

3.4 ヘドニック法 (3)

• 食品属性評価への応用

• 食品属性評価への応用

‡ 1928年、Waughはボストン産アスパラガスの価格と品質と の関係を分析し、次の結果を得た。

p:アスパラガス価格を平均価格で割ったもの。

茎の緑の部分の長さ(インチ)

x1:茎の緑の部分の長さ(インチ)。

x2:茎の数。

x33:茎の直径のばらつき。茎の直径のばら き。

> この結果から、緑の長さが5インチのものと比較して、8イ ンチのものは38.5セント価格が高いことを明らかにした。

食 安全分 応 例 表 が牛乳 乳製

‡ 食品安全分野の応用例としては、HACCP表示が牛乳・乳製 品の価格形成に与える影響を分析した細野(2003)、非遺伝 子組み換え表示が豆腐の価格に与える影響を分析した竹下 (2003)などがあげられる

31

(2003)などがあげられる。

3. 評価手法

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

3 5 トラベルコスト法 (1)

3.5 トラベルコスト法 (1)

• トラベルコスト法 (travel cost methods)

• トラベルコスト法 (travel cost methods)

‡ あるレクリエーションサイトへの旅行費用と訪問回数の負の 相関を用いて、旅行費用を価格、訪問回数を数量とするレク リエ シ ン需要関数を推定する手法

リエーション需要関数を推定する手法。

‡ 環境のレクリエーション機能の評価に用いられる。

• 手順

• 手順

1. あるレクリエーションサイトに対する訪問者の旅行費用と訪 問頻度を調べるための調査票を作成する。

問頻度を調 る 調 票を作成する。

2. その調査票を使って対象となるサイトでアンケート調査を行 い、データを収集する。

デ を 析

3. そのデータを用いて、回帰分析によりレクリエーション需要 関数を推定する。

4. 各訪問者の純便益(消費者余剰)を計算する。

32

4. 各訪問者の純便益(消費者余剰)を計算する。

3. 評価手法

(9)

A

旅行費用: 600 円 4単位買う

B B

旅行費用 1 200 円 2単位買う

旅行費用: 1,200 円

33 図13: トラベルコスト法の基本的な考え方

3. 評価手法

旅行費用

レクリエーション需要曲線 需要曲線

B Aさんのそのサイトからの

レクリエーション便益 A

1200

A B

レクリエ ション便益 Bさんのそのサイトからの レクリエーション便益 600

0 2 4 訪問頻度訪問頻度

0 2 4

34 図14: レクリエーション需要曲線と消費者余剰

3. 評価手法

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

3 5 トラベルコスト法 (2)

3.5 トラベルコスト法 (2)

• 応用例

• 応用例

‡ 自然公園、観光農園などの評価に利用されており、その事例 は膨大。

‡ 参考:竹内(1999)、栗山・庄子(2006)。

• 歴史遺産評価への応用

‡ 京都の歴史的文化財(青山他2003)、兼六園(玉井・岩井 2006)など。

35 3. 評価手法

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

3 6 仮想評価法 CVM (1) 3.6 仮想評価法 –CVM- (1)

• 仮想評価法 (contingent valuation method: CVM)

• 仮想評価法 (contingent valuation method: CVM)

‡ 環境改善に対するWTPや環境悪化に対するWTAを直接人々に 質問することによって、環境の価値を直接導く手法。

• 手順

1. 人々の環境変化に対するWTP(WTA)を引き出すための調査票 を作成する

を作成する。

2. その調査票を使ってアンケート調査を行い、データを収集す る。

る。

3. そのデータを用いて、WTPの分布を推定する。

4. WTPの平均値、および中央値を計算する。

36 3. 評価手法

(10)

現状

現状 仮想状態 現状 仮想状態

現状 仮想状態 仮想状態

1. 想定される環境変化を人々に伝え

2. 仮想状態を避けるためのWTPを質問

る。 するする。

37 図15: CVM質問

3. 評価手法

3 6 仮想評価法 CVM (2) 3.6 仮想評価法 –CVM- (2)

• 応用例

• 応用例

‡ 環境保全プロジェクトの効果算定、あるいは開発プロジェク トに伴う環境への悪影響の評価など。

‡ 表明選好法であるCVMは、基本的にあらゆる環境財・サービ スの評価を可能にするため、その研究事例は膨大である。

‡ 参考:栗山(1999) 寺脇(2002)

‡ 参考:栗山(1999)、寺脇(2002)。

• 食品安全評価への応用

‡ 非遺伝子組み換え食品(澤田2004) 有機農産物(椹木他

‡ 非遺伝子組み換え食品(澤田2004)、有機農産物(椹木他 2002)など。

• 歴史遺産評価への応用 史遺産評価 用

‡ 京町屋(青山他2003)、高山(岩本他 2006)、五箇山合掌造り (垣内・吉田2002)など。

38 3. 評価手法

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

3 7 コンジョイント分析 (1)

3.7 コンジョイント分析 (1)

• コンジョイント分析 (conjoint analysis)

• コンジョイント分析 (conjoint analysis)

‡ 様々な属性レベルをもつ選択肢(財や政策)間の選好を質問す ることによって、その属性に対する効用関数を推定する方法。

‡ 人々の効用は財そのものからではなく、財の特性から得られ るとする考え方(特性アプローチcharacteristic approach) に基づく。

‡ ランカスター型の(間接)効用関数(線形の場合)

U:効用。

zi:財、あるいは政策のi番目の属性。

財の価格 あるいは政策に対する支払い(税金など)

p:財の価格、あるいは政策に対する支払い(税金など)。

βi:i番目の属性の係数パラメータ。

‡ ある属性 に対するMWTPは、その属性レベルの追加的上昇

39

‡ ある属性 に対するMWTPは、その属性レ ルの追加的上昇 に対して受け入れられる価格上昇額 で表される。

3. 評価手法

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

属性 A B C

CPU Pentium 4 Pentium M Celeron M

ハードディスク 40GB 60GB 80GB

メモリー 1GB 256MB 512MB

重量 6kg 3kg 1kg

重量 6kg 3kg 1kg

Silver Blue Purple

価格 $50 $150 $100

図16 ラップトップコンピ タに対する選好

40 図16: ラップトップコンピュータに対する選好

3. 評価手法

(11)

3 7 コンジョイント分析 (2)

3.7 コンジョイント分析 (2)

• 手順

• 手順

1. 様々な財や政策に対する人々の選好を引き出すための調査票 を作成する。

2. その調査票を使ってアンケート調査を行い、データを収集す る。

3 そのデータを用いて 回帰分析により効用関数を推定する 3. そのデータを用いて、回帰分析により効用関数を推定する。

4. 各属性に対する限界支払意志額を計算する。

• 応用例

• 応用例

‡ 環境保全プロジェクトの効果算定、環境配慮商品の評価など。

‡ CVM同様 基本的にあらゆる環境財・サービスの評価を可

‡ CVM同様、基本的にあらゆる環境財 サ ビスの評価を可 能にするため、その研究事例は膨大である。

‡ 参考:栗山・庄子(2006)。

41 3. 評価手法

Q: あなたにとって最もよいプランはどれですか?

保護される動物の

種の数 100 200 150

プランA プランB プランC 属性

保全される植物の

種の数 500 300 1000

水質 税金の上昇額

非常に良い

2000円

非常に悪い

1000円

やや良い

3000円 税金の上昇額 2000円 1000円 3000円

□ □ □ □ □

□ □ □ □ □

図17 選択質問

42 図17: 選択質問

3. 評価手法

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

3 7 コンジョイント分析 (3)

3.7 コンジョイント分析 (3)

• 食品安全評価への応用

• 食品安全評価への応用

‡ HACCPラベル、エコラベル、地場農産物、トレーサビリ

ティ、BSEなど(澤田2004) 。

• 歴史遺産評価への応用

‡ 日本では三谷(2004)以外ほとんど例がみられないが、欧米 は歴史遺産保全プ ジ クトの評価 の応用が多く見られ では歴史遺産保全プロジェクトの評価への応用が多く見られ る。

43 3. 評価手法

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

■コンジョイント分析におけるMWTPの導出

■コンジョイント分析におけるMWTPの導出

‡ 線形の効用関数を仮定する。

> これを全微分する。

> 効用を一定としたときの、ある属性 と価格 との間の関係を

みるため として上の式を整理する

みるため、 、 として上の式を整理する。

> に対する限界支払意思額は で表される。

44 3. 評価手法

(12)

3 8 RP と SP の混合 仮説的トラベルコスト法

3.8 RP と SP の混合 -仮説的トラベルコスト法-

• 仮説的トラベルコスト法(hypothetical travel cost

• 仮説的トラベルコスト法(hypothetical travel cost methods)

‡ トラベルコスト調査においてある仮想的な状況の下での訪問 回数を質問することによって、現状についてだけでなく潜在 的なレクリエーション需要関数をも推定し、それらの変化か らその仮想的な状態変化がもたらす便益(費用)を計測する手 法

法。

‡ トラベルコスト法とCVMの混合。

‡ 参考:大石 渡邉(2002)

‡ 参考:大石・渡邉(2002)

45 3. 評価手法

旅行費用

環境が改善された場合の潜在的 なレクリエーション需要曲線

A円の旅行費用をもつ人がこの環境 改善から受ける便益

改善から受ける便益

現状のレクリエーション需要曲線 A

0 訪問頻度訪問頻度

0

46 図14: レクリエーション需要曲線と消費者余剰

3. 評価手法

環境の経済評価 2008年度演習I(10)

引用文献 引用文献

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‡ 垣内恵美子・吉田謙太郎(2002)「CVMによる「文化資本」

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50 References

参照

関連したドキュメント

■詳細については、『環境物品等 の調達に関する基本方針(平成 27年2月)』(P90~91)を参照する こと。

■詳細については、『環境物品等 の調達に関する基本方針(平成 30年2月)』(P93~94)を参照する こと。

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