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資源の有効利用とリサイクルに関する技術開発

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Academic year: 2021

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(1)

資源の有効利用とリサイクルに関する技術開発 

−触媒を用いた家具廃材の低温分解法に関する研究− 

蓮尾東海*1  原田智洋*1  世利桂一*2  原田達朗*3  辻本敬吾*3  

Development of the Utilization and Recycling Method of Biomass Resources

-Research on the Low-Temperature Decomposition Method of the Woody Waste using Catalyst- Haruumi Hasuo, Tomohiro Harada, Keiichi Seri, Tatsuro Harada, Keigo Tsujimoto

 

高効率バイオマスガス化発電の実現を目指した高発熱量ガスの製造を目的として,低温ガス化触媒の開発を行っ た。600℃,導入バイオマス中炭素に対する導入酸素のモル比(以下[O2]/[C])=0.22の条件でのセルロースのモデル ガス化反応において,K2CO3/Al2O3触媒は高いガス化率(90mol%以上)を示し,水素,及びメタン生成量が大幅に向上 するためガスエンジンに利用可能な発熱量7.0MJ/Nm3を達成した。更に,実用化の際に問題とされるタールの生成も 今回の条件では確認されず,K2CO3/Al2O3触媒が低温ガス化触媒として有効であることが示された。また,K2CO3/Al2O3 触媒は[O2]/[C]を減少しても高い水素回収率を維持し,[O2]/[C]=0の条件では水素濃度38mol%を示した。このこと よりカリウム担持触媒は水蒸気ガス化反応に対して高い活性を有し,反応ガスに水蒸気を導入することによる水素 リッチガスの製造も期待できる。 

  1  背景 

近年,石油資源の枯渇に伴うエネルギー問題,及び 化石燃料の使用による温暖化ガスの排出等の地球環境 問題の深刻化に伴い,再生可能で地球規模でCO2バラン スを崩さない(カーボンニュートラル)バイオマスエネ ルギーが注目されている。中でも木質系バイオマスは

①資源量が多い,②間伐材,建築廃材,農業廃棄物な どの処理問題の理由により,多くの利用法が研究・検 討されている。 

転換技術の一つとしてガス化発電が挙げられるが,

従 来 の 大 型 の 設 備 で は , 原 料 で あ る バ イ オ マ ス の 収 集・輸送に膨大な費用を要する。バイオマスを有効に 利用するには,今後集積量に見合った小規模分散型,

いわゆるオンサイト型のガス化発電技術の開発が重要 となる。オンサイト型ガス化発電の実現には,生成ガ ス発熱量を少なくとも6.3MJ/Nm3以上に向上させる必要 がある。発熱量の向上にはガス化温度の低下(低温ガス 化)が有効であるが,温度低下によるガス化率の低下,

生成ガス中のタールによるタールトラブル等の問題が 懸念される。これらの問題を解決するためには低温で もタール等重質炭化水素を効率よくガス化する触媒の 開発が重要となる。 

本研究では,600℃以下の低温での高発熱量燃料ガス の製造を目指し,流動媒体としてカリウム担持触媒を 用いた流動床ガス化を検討している。これまでに,カ リウム系触媒が低温ガス化に有効で,また担体として はアルミナが適していることを明らかにしている1,2) 本年度は,K2CO3/Al2O3触媒について担持量,反応条件 の影響を検討した。   

  2  実験  2-1  触媒調製 

  ガス化に用いた触媒は,金属塩としてK2CO3,Ni(NO3)2 を用い水溶液から蒸発乾固法により所定量担持した後,

乾燥,600℃-3h焼成することにより調製した。ここで 活性金属の担持量は金属換算で行い,カリウムについ ては0.25,0.75,1.5×10-3mol/g,Niについては1.5×

10-3mol/gとなるように調整した。また,使用したアル ミナ担体は粒径106-212μmに選別したものを用いた。 

2-2  流動床ガス化装置によるガス化反応 

  ガス化反応は,モデル反応としてセルロースを用い,

流動床型ガス化実験装置で行った(図1参照)。反応器は 石英ガラス製の反応管(内径20mm),ガラスフィルター,

試料供給管(内径8mm)で構成され,バイオマス及びセル ロースの供給は反応器上部のフィーダーにより試料供 給管を通して流動媒体中に連続供給した。 

*1  化学繊維研究所 

*2  インテリア研究所 

*3  西日本環境エネルギー(株)   

(2)

                       

今回の実験では供給時間を30分とし,5分毎にサンプリ ングを行った。生成ガスはフィルター,冷却管を通し た後テドラーバックに捕集し,ガスクロマトグラフに より分析を行った。CO,CO2,CH4はメタンコンバート後 FID-GC( 活 性 炭 ) , C2 以 上 の 炭 化 水 素 は FID-GC(Unipak-S),H2,N2,O2はTCD-GC(Molecular Sieve  13),により定性・定量を行った。ガス化率,タール収 率,チャー収率は以下の定義により算出した。 

ガス化率(mol%)=[生成ガス中の炭素]/[全導入炭素] 

×100 

タ ー ル 収 率 (mol%)=[ 全 導 入 炭 素 - 回 収 ガ ス 中 の 全 炭 素]/[全導入炭素]×100 

チャー収率(mol%)=100-(ガス化率+タール収率)    生成ガスの発熱量は,酸化剤として空気を用いたと 仮定して,各ガス生成量,ガス化率より換算した。 

 

3  結果及び考察 

3-1  各種触媒を用いたガス化反応おける経時変化  図2に各種触媒を用いた600℃での炭素転化率,及び ガス組成の経時変化を示す。Al2O3触媒(a)とK2CO3/Al2O3 触媒(b)を比較すると,K2CO3の担持により炭素転化率が 62mol%から93 mol%へと大幅に向上し,H2及びCH4の生成 量が大幅に増加している。生成ガス中の酸素濃度は両 触媒とも同程度である事より,K2CO3/Al2O3触媒におけ るH2およびCO2生成量の増加は生成水等によるチャーや タール分の水蒸気ガス化に起因すると考えられる。比 較としてNi/Al2O3触媒(c)を用いて同様にガス化反応を 行 っ た 所 , 炭 素 転 化 率 は 75mol% と Al2O3触 媒 よ り も 15mol%程度向上しているが,K2CO3/Al2O3触媒よりも低 く,また後発熱量ガスであるCH4の生成量も低い。この

事より, 

                                                               

K2CO3/Al2O3触媒は,600℃以下の低温ガス化反応に適 していると考えられる。 

3-2  K2CO3/Al2O3触媒のおけるK2CO3担持量の影響  次にK2CO3/Al2O3触媒についてK2CO3担持量の影響を調 べた。K2CO3担持量0.25mmol/gから1.5mmol/gまで変化さ せたところ,担持量の減少に伴い水素,二酸化炭素,

メタン及びC2以上の炭化水素ガスが減少し,ガス化率 が低下した(図3参照)。また,チャー収率は担持量の増 加 に 伴 い 減 少 す る が , タ ー ル は 担 持 量 0.25 及 び

N

2

図 2 各触媒よるガス化反応経時変化 

Feeder

N

2

/O

2

Product Thermo

−couple

Cellulose

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0

0 5 10 15 20 25 30 35

Reaction time/min

d io te /mmo mi

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

C o nv e rs io n /m o l%

Catalyst

図 1  流動床型ガス化実験装置図 

P ro uct n  ra l・ n

-1

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0

0 5 10 15 20 25 30 35

Reaction time/min

P r ucti n  r l n

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

C o nv ers io n /mo l%

od o at e/mmo ・mi

-1

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0

0 5 10 15 20 25 30 35

Reaction time/min

od ti at mm ・ m

-1

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

C o nv er si o n /mo l%

P r u c on  r e / ol in

CO CH4 CO2

H2 C2〜 C conv.

(a) Al2O3 (b) K2CO3/Al2O3 ) Ni/Al2O3

(a)

(b)

(c)

(c

(3)

0.75mmol/gで増加し,担持量1.5mmol/gで再び0mol%と   

                                             

なった。ここでのタール量はガスと共に系外へ排出さ れた量として算出されているので,タール量は触媒の タール吸着能と分解ガス化能両方に起因すると考えら れる。アルミナ,及びカリウム担持触媒の酸性度を調 べるためアンモニアの昇温脱離試験を行ったところ,

K2CO3の担持により大幅に吸着量が減少する事が明らか   

                   

 

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

K-Loading/mmol・g-cat-1

P ro duct  G as /m mo l・ g

-1

                         

と な っ た ( 図 4 参 照 ) 。 こ の 事 か ら , 少 量 担 持 (0.25,  0.75mmol/g)でのタール量増加は,担持による触媒のタ ール吸着量の減少に起因し,担持量が1.5mmol/gになる とタール吸着量は更に減少するが,タール分解速度が 速いためタールが生成しなかったと推察される。 

3-3  K2CO3/Al2O3触媒のおけるガス化条件の影響  図 5 に K2CO3/Al2O3触 媒 ( 担 持 量 1.5mmol/g) に お け る [O2]/[C]の影響を示す。[O2]/[C]の減少に伴いCO2生成 量は大幅に減少するがH2生成量は増加した。また,ガス 化率は無酸素反応で70mol%程度まで減少するが水素回 収率(図中H conv.)は大きな減少はなく約80mol%を維持 している事は特異的である。これは高[O2]/[C]で支配的 だった酸化反応が減少し,水蒸気ガス化反応の進行に よる水素生成量の増加に起因しており,特に水蒸気ガ ス化反応活性が高いカリウム触媒では,セルロース中 の含有水や反応生成水による水蒸気ガス化が効率良く 進行したためと推察される。 

                     

図 3  K2CO3担持量の影響  H2 CO CO2 CH4 C2〜

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

K-loading/mmol・g-cat-1

C o nv ers io n/mo l%

C conv. H conv. Carbon Tar

100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 600 Temp./℃

P res .  /hP a

Al

2

O

3

K

2

CO

3

 0.75mmol/g K

2

CO

3

 1.5mmol/g K

2

CO

3

 0.25mmol/g

図 4  K2CO3触媒の昇温脱離試験結果 

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18

0 0.1 0.2 0.3

[O2]/[C]

 Pr o du c t g as / m m o l・ g

-1

H2 CO CO2 CH4 C2〜

0 30 60 90 100

0 0.1 0.2 0.3

[O2]/[C]

C o nv ers io n/m ol %

図 5  [O2]/[C]比の影響  10 20 40 50 70 80

C conv. H conv. Carbon Tar

(4)

                           

次に,反応温度の影響を調べたところ,ガス化温度 の低下に伴い各ガス成分ともに減少し,ガス化率,水 素回収量も大幅に低下した(図6参照)。特に水素生成量 が大きく減少していることより,水蒸気ガス化活性も 低下していると考えられる。今回検討したカリウム系 触媒によるガス化では600℃程度が適していると考え られる。 

3-4  生成ガス発熱の試算 

ガス化実験の生成ガス組成より酸化剤として空気を 用いたと仮定 した際の生成 ガス発熱量(HHV)を試算し た結果を表1に示す。今回,90mol%以上のガス化率を示 したガス化温度600℃,[O2]/[C]=0.22の条件より生成し たガスの発熱量は7.0MJ/Nm3と目標値である6.3MJ/Nm3 以上を達成した。更に[O2]/[C]比を低減することにより 9MJ/Nm3以上の高発熱量ガスの製造が可能であることが 示された。また,一般にスケールアップによりガス発 熱量は向上するため更なる発熱量向上が期待できる。 

               

4  まとめ,および今後の方針 

触媒を用いたバイオマスの低温ガス化による燃料ガ スの製造を目的とし,比較的廉価なカリウム担持触媒

による流動床ガス化を行った。その結果,以下のこと   

                  0

2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

450 500 550 600 650 700

Reaction Temp./℃

P rod uct  G as / m mo l・ g

-1

H2 CO CO2 CH4 C2〜

0 30 60 90 100

450 500 550 600 650 700

Reaction Temp./℃

Cn ve rs io n / m o l%

     

が明らかとなった。 

①カリウム系触媒は低温ガス化触媒として有効であり,

特 にガ ス 化 温 度600℃ で は ガ ス化 率90mol%以上 を 達 成した。 

②K2CO3担持アルミナ触媒を用いることにより,水素お よびメタン収率が大幅に向上し,ガスエンジンに利 用可能な7MJ/Nm3以上の高発熱量ガスの製造が可能と なった。 

今回行った木質バイオマスのガス化において,生成 ガスの発熱量は6.3MJ/ Nm3以上を達成したが,実際の流 動床では流動化可能なガス流量,反応温度維持のため の熱収支等を考慮する必要がある。また,更なる高効 率ガス化のためには触媒の開発,反応条件の最適化と あわせて,導入空気量の低減,タール+チャー/触媒の 接触効率の向上を可能にする反応炉の改良が必要であ ると考えられる。新規ガス化炉の開発に関しては西日 本環境エネルギー㈱と共同研究を開始しており,現在,

3kg/hスケー ルのガス化実 験装置による 反応条件等の 検討を開始している。このガス化炉は従来の流動床よ りも気-固接触効率が高く,更に導入空気量を低減でき るため,高ガス化率,高発熱量ガス製造が期待できる。 

 

5  参考文献 

1)蓮尾東海,他3名:福岡県工業技術センター平成14年 度研究報告,P.33 

2)蓮尾東海,他3名:福岡県工業技術センター平成15年 度研究報告,P.13 

Catalyst [O

2

]/[C] 発熱量(MJ/Nm

3

)

Al

2

O

3

0.22 4.8

K

2

CO

3

/Al

2

O

3

0.22 7.0

Ni/Al

2

O

3

0.22 5.8

K

2

CO

3

/Al

2

O

3

0.16 8.1 K

2

CO

3

/Al

2

O

3

0.11 8.9 K

2

CO

3

/Al

2

O

3

0 13.7

Reaction Temp.:600℃、Metal Loading:1.5mmol/g 表 1  生成ガスの発熱量 

図 6  ガス化温度の影響  10 20 40 50 70 80

C conv. H conv. Carbon Tar

参照

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