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高齢化社会と自治体の対応

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Academic year: 2021

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高齢化社会と自治体の対応

著者 坂田 期雄

学位授与大学 東洋大学

取得学位 博士

学位の分野 社会福祉学

報告番号 乙第95号

学位授与年月日 1997‑03‑10

URL http://id.nii.ac.jp/1060/00004051/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

第 五 部  寝 た き り ︑ 痴 呆 性 老 人 の 在 宅 介 護

(3)

急 増 す る 寝 た き り,   だ 呆 性 老 人

1

(1)

1  急 増 す る 寝 た き り ︑ 痴 呆 性 老 人

寝たきりと痴呆性老人数の予測

寝たきりは二〇二〇年には三倍に︵六八万人←約二〇〇万人︶

これからの高齢化社会の中で非常に重要な問題は︑︒寝たきり老人″や︒痴呆性老人″を﹁誰がどうやって介護し

ていくか﹂ということである︒

厚生省の調べによると

A寝たきり老人Vは︑

特別養護老人ホームー五万人

昭和六三年には  六八万人   一

病院に       一〇万人︸

在宅に      四三万人

だが︑厚生省推計によると

昭和七五年︵西暦二〇〇〇年︶には︑一一九万人〜一〇六万人

昭和九五年︵西暦二〇二〇年︶には一九七万人〜一五九万人

189

(4)

寝 たき り 老 人 数 の 推移 及 び 将 来 推 計

人00

150

100

50

0

昭 利5;i'r‑  5(j 5;i 60 c: 70 75  圓 85 'JO 95

( 汗)    七 務 庁 長官 守 句 と人 対 策 皇 「 長 々什 合 冊呆 関 係 資 料」 に よ る。

資 料  リ 里 右 大臣 官 田 妙 計 情 報 乱 「厚't 行八 怯混 足 立」 (昭 和53.ri6.r)9年度 ) 及 び卜 里 宵 大 リ町丿 丿政 策課 頂 べ。

厚 生 竹 大卜'‑'iT回 統 諭mi 乱「 皿 牛。行政 糊 七 八介( 昭 和59卜 )J   等に よ り拉 計。 推 計 の 柚l (m 巾 の 乱 線 部分 ) は65 慌以 上 の 者 の寝 た き り 老人 の 出 現 率を5.0 % と し て捌 計し た も の 及 び 年 始5

侃階 級 別 出 現 率 が60‑I"以 降 も 一 定 と 仮定 し て 椎。計 し た も のを 示 す。

となる︒

さらに日本大学人口研究所の推計︵六一年一二月︶によ

ると

昭和八〇年︵西暦二〇〇五年︶に︑  一三七万人

昭和一〇〇年︵西暦二〇二五年︶には 二〇三万人

で︑厚生省推計よりやや高めの見通しとなっている︒い

ずれにしても︑寝たきり老人は︑西暦二〇二〇年頃に

は︑現在の約三倍に増えると見通されている︒

痴呆性老人も三倍から四倍へ︵六二万人←一八五万

人︶

A痴呆性老人Vは︑厚生省資料によると︑

昭和六一年度  六二万人

だが

昭和七五年度︵二〇〇〇年︶に  一一二万人

昭和九〇年度︵二〇一五年︶には  一八五万人

と推計されている︒

しかし︑この数字には︑病院や老人ホームなどの施設

に収容されていろ痴呆性老人は含まれていたいニJ ≫I

190

(5)

忽 川 す る 寝 た き り,  玩 呆 仕 と 人

1

で︑昭和六三年変に厚生省の国立精神保健研究所か中心になって調査をしたところ︑大まかな概算だが︑

O老人病院に収容        三万三︑〇〇〇人

O特別養護︑養護老人ホームに  四万九︑〇〇〇人

O精神病院に      三万三︑〇〇〇人

O一般病院に      九万五︑〇〇〇人︵入院患者の九・五%︶

計       二二万人

となった︒

つまり︑我が国の痴呆性老人数は︑前述の在宅五九万人とあわせると

昭和六〇年度   約八〇万人

とみられ

昭和九〇年度︵二〇一五年︶には   二五〇万人

に達すると見通されている︒

厚生省は︑これまで︑在宅と施設け容の痴呆性老人数はほぼ四対一の割合と見ていたが︑この調査結果では入院し

ている痴呆性老人数が従来の予想以上に多く︑在宅と施設収容との割合は三対一程度となる︒

なお︑日大人口推計研の推計では︑

昭和六一年    六九万人から

″ 八〇年︵二〇〇五年︶    一四三万人

″ 一〇〇年︵二〇二五年︶  二二三万人

191

(6)

と見通している︒

八五歳を過ぎると︑五人に一人が痴呆性老人

またこれを年齢別にみると︑

八〇歳を過ぎるとI〇人に一人

八五歳を過ぎると五人に一人

が痴呆性老人になる︑という︒ぼけと隣りあわせに生きる時代がやってきているといわれる︒

㈲ 痴呆性の症状と種類

これから増加するアルツハイマー型

いずれの推計によっても︑痴呆性老人の数は︑あと三〇年余りの間に︑今の三倍から四倍に急増する︒

痴呆性の症状にはいろいろあるが︑永年連れ添ってきた夫や妻さえ忘れてしまう︒人生の日記帳を失ったボヶ老人

が︑家族に与える悲しみは大きい︒﹁私はだれ︑ここはどこ﹂といった問いをまじめに発するのが老人痴呆症の特徴︵︱︶だといわれる︒

痴呆性の種類としては︑

① 脳卒中による脳血管性痴呆⁝⁝約六割

② 原因不明の脳の変性疾患によるアルッハイマー型老年痴呆⁝⁝約二割

③ 風邪や骨折がきっかけで寝たきりになり︑頭を使わなくなって生じる廃用症候群⁝⁝約二割

このうち︑我が岡では①が多く︑欧米では②が多いとされている︒①の脳卒中型は︑これまでの老人は塩分と米の

192

(7)

急 増 す る 寝 たき り, 痴 呆 性老 人

1

摂取量が多いことか原囚ともされてきたが︑最近では食生活の改善も進み︑野菜︑魚︑肉などをほどよく食べている

ため︑次第に減少してきている︒

しかし︑②のアルッハイマー型が︑①に代わって増えてきている︒東京都の調査宍三年瓦月︶でも︑痴呆症の中

で︑アルッハイマー型老年痴呆の割合は︑七年前の一二・六%から倍近い二三・一%に急増している︵一方①の脳血

管性痴呆は︑三一・四名と五ポイソト減っている︶︒

このアルッハイマー型は︑身体に何の異常心ないがそこらを徘徊したり︑奇声を発したり︑また失語︑失認などが

特徴だが︑その原囚はよくわからない︒神経細胞のつなぎ目で情報の担い手となっているアセチルコリンという物質

が減ると発生するという説からウイルス説︑免疫説など諸説がある︒どんな物質にも溶けないPHFと呼ぶ神経繊維

が記憶や思考に関係するところにたまり︑脳細胞か通常のI〇倍のスピー

ドで死んでいくためという学説もある︒ガソに続く﹁二I世紀の病﹂とも

いわれている︒

なお︑長寿についての基礎科学研究事業を行っている﹁ヒューマンサイ

エンス振興財団﹂が︑専門家四二二人を対象に行ったアンケート調査結果

によると︑回答者の八五%が将来はアルッハイマー型の比率が欧米並みに

高くなると予測︒その理由として︑食生活︑生活様式が欧米化する︑アルッ

ハイマー型は地域︑民族を超えて一定のはず︑などをあげている︒また︑

治療法については八割の人が﹁老化のメカニズムの解明が老人性痴呆の解

る 

     

阿I

193

(8)

︵4

︵5

駿

︵I︶ 

︵2

︵3

︵4︶ 

︵5︶ 

︵6︶ 

194

(9)

介護 の 人 変 な 苫 労 と家 族の 扶 養 ≫.能 の 低 下 2

2  介 護 の 大 変 な 苦 労 と 家 族 の 扶 養 機 能 の 低 下

1

基 本 的 に は ﹁ 施 設 福 祉 ﹂ か ら ﹁ 在 宅 福 祉 ﹂ へ

このような状況からみて︑これからの高齢化社会の中で︑今後急速にふくれあがる寝たきりや痴呆性老人を︑誰

が︑どこで︑どのように介護していくかが極めて京大な問題とたってくる︒

老後の一番の不安・心配︱﹁寝たきり︑痴呆性にならないこと﹂

﹁老後の心配は何か﹂とのアンケートに︑いつもトでフは﹁病気にならないか﹂であり︑つづいて﹁ボヶ︑寝たき

りになった時︑だれが而倒をみてくれるか﹂ということである︒高齢化社会に向かって︑多くの人の一番の不安・心

配がここに集まっている︵前述のように八〇歳以上ではI〇人に一人︑八五歳以上では五人に一人が痴呆性老人であ

る︶︒だから︑どうせ死ぬなら寝たきりや痴呆にならないでポ″クリ死にたいと︑ポ″クリ寺への参詣があとを絶だな

ト︒ボヶ保険の加入者も増えている︑という︒

そこで︑今後︑この急増する寝たきりや痴呆汁尼人について︑多くの人がこんな不安を持だないですかようにする

には︑行政としては︑介護の負担︑責任をどこで誰にどのように持ってもらうようにしたらよいのか︒もしこれをす

195

(10)

べて行政が施設で受け入れるとすると︑それは財政的にもまたマンパワーの面からみても到底不可能である︒そこ

で︑基本的には︑﹁施設福祉﹂から﹁在宅福祉﹂へ︑地域で支えあう﹁地域ケア﹂へという方向がとられなければな

らない︒

︵1︶ 塩見戎三︑オピュオソア″プ︑産経新聞六三年六月五日

2 在宅福祉の困難性

介護が取り残されてきた︑介護の大変な苦労

しかし︑これは言うべくして実際には極めてむずかしい︑多くの困難な問題が横たわっている︒

これまで︑我が国の高齢者対策は︑﹁年金﹂﹁医療︵治療︶﹂とか﹁医療保障﹂の面ではかなり高い水準にある

が︑﹁介護﹂という面についての援護の施策が大きく取り残されている︒今日︑国民の生活水準はかなりゆたかにな

ってきたといえるが︑しかし︑一たびその家族の中に寝たきりや痴呆性老人が生ずると︑その家庭は途端に非常な苦

しみの中に突き落とされる︒

﹁在宅で︑家族の暖かい介護のもとに﹂と言えば聞こえはよいが︑現状は︑特定の家族の肩だけにその重い負担が

全部ずっしり負わされるという状況になっている︒

寝たきりや痴呆性老人を抱える家族の苦労がどんなに大変なものか︑それは実際に経験した人でなければとても分

からない︒現往︑介護者の九割は︑嫁︑妻︑娘という女性であり︑彼女達は︑自分の職業も財産形成も犠牲にし︑そ

の長年月にわたる寝たきり介護は︑宗族崩壊にもつながりかねない状態の中にある︒

196

(11)

2  介護 の 大 変な 苫 労と 家 族 の 扶 養 機 能の 低 下

率      

へ      

〇  

ま  

二Iま   主9

後1 上口   

三  

性  業I ー%性 ︵1

︒      ︵2︶︵3︵1

調

197

(12)

さらにこ9調査で注目されることは︑寝たきり老人を抱える家族への彫響は生活の全般にわたっておおいかぶさっ

てきていることである︒たとえば回答のなかで﹁外出ができない﹂﹁自分の時間が持てない﹂﹁睡眠中起こされる﹂

といった答えが六割近くを占めており︑さらに﹁お年寄りの話相手に時間が取られるのが辛い﹂という悩みをもらす

人もかなりにのぼっている︒

北海道の調査によると︑これら寝たきり老人の世話をしている三︑九六二人の介護人のうち九割以上が女性である

が︑介護するようにたってから八割以上のAが何等かの障害を訴えている︒

また︑昭和六一年七月︑全国社会福祉協議会と全国民生委員児童委付協議会が︑全国の民生委員を動員して行った

二仕宅痴呆性老人の介護者実態調査﹂ ︵調査対象︑三万一︑四三七件︶によると︑次のような状況が報告されてい

る︒

① 介護者の三分の一は六〇歳以上︑介護者が高齢化

介駿を受けているお年寄りの六割が女性︑また七七%が七五歳以上だが︑介護をする側の年齢は︑

三〇代     五・九%

四〇代    一九・一%

五〇代    三二・〇%

六〇代    二〇・〇%

七〇代以上  一四・四%

五〇代が最も多いが︑六〇歳以上が三四%と三分の一を占め︑介護者の高年齢化の状況がみられる︒

② 世話は︑嫁がトップ四六%

m

(13)

と家 族 の 扶 養機 能の 低下 介 護 の 大 変 な苫 労

2

介護者の八〇%は女性だが︑続柄は︑嫁が四六%と圧倒的に多く︑次いで配偶者二二%︑娘一五%の順となってい

る︒

安田生命が︑昭和六一年八月︑首都圏に住七三〇歳から四〇歳の主婦七〇〇人を対象に行ったアソケー﹃ト調査で

も︑﹁親が寝たきりになった場合︑誰が世話をすべきか﹂の質問に︑夫の親の介護は四一%が﹁自分達夫婦﹂で行う

と答えたが︑妻の親については五三%が﹁ほかの兄弟︑姉妹﹂に期待している︒

③ 代わりの介護者がいない

介護疲九から一時的にも解放されることが︑家族にとって唯一の﹁徨い﹂なのに︑代わりの介護者がいない人達が

コ五・二%もいる︒﹁地域社会の中でボケ老人を抱えた家族の孤立化が進んでいる﹂︵小笠原祐次・日本福祉大助教授︶

と分析されている︒

なお︑フラソスベでド販売が︑六〇年一〇月に開いた﹁介 1 者の集い﹂でも︑参加者が一番訴えたことは︑介護の

爪労働もさることながら︑︻以い物や川1 で出かげろ時︑話し相手になってくれるAがトないか︼ ﹁二︑三時間でも

代わって介駿してくれるシステムがほしい﹂ということであった︒

④ ﹁家計が苦しい﹂と四分の一が訴え

現在の生活状態について万⁚しい﹂が九・円%︑﹁やや苫しい﹂が一六こI%︑合計で四分の一を占め︑﹁普通﹂

に六三・六%︑その他に﹁︒ゆとりがある﹂人だった︒

⑤ 介護期間﹁四年以上﹂が四〇%

介 1 の川問に四○%が川年りVにに批び︑その巾には互〜一〇年︵二三%︶︑一〇年以上︵六%︶という人もあり︑

長期問介護している家族が多いことを示している︒

199

(14)

⑥ 

駿

姿

駿

︑が

⑦ 

 1

る    

足     

︑がい  

﹂ 

﹂ ヶI

∽ るI

2 ㈲

(15)

2  介 護 の 大 変な 苫労 と 家 族 の 扶 養 機能 の 低 下

寝 た きり 老 人に つ い て 家 族 の 介 助 を 必 要 と す る も の

介助を必要とす る も の の 乱 合 入    浴

厦 内 移 動 片 内 歩 行 衣 服の 片晩 排    泄 食    市 体 位 交 換 90.0

%57.272.476.761.751.

 536,  2

︵I

︵2

(li ) 厚 生 省 大 臣官 りJ統 計i」'f!S

「 国 民 生活 基il 調 介」 (昭 和61 年 )

剛 ﹂ 

障I

便

3 最近における家族の扶養機能の低下

さらに︑憂慰されるのは︑最近の我が国の人目構成の変化などからみて︑家族の扶養機能というものが次第に低下

してきているということである︒すなわち︑

① 子供の数が﹁五人﹂から

   二人以下﹂に

子供の数が二人巾心となり︑庁のようにヤ均五人の子供時代に比べると扶善能力がぐっと違ってきた︒場合によっ

] 卵

(16)

ては夫婦でそれぞれの両親四人の面倒を見なければならない場合心出てこよう︒     ︒︒

② 介護する側か高齢化

また︑平均年齢が仲びて八〇成︑九〇次代の寝たきり老人が増えてくると︑これを介護する子供といってもその年

齢は六〇以︑七〇歳という非常な高齢になる︒

前述の比会福祉協議会の消去でも︑介護者の三分の一は六〇歳以上となっているが︑全円精神障害者家族会述合会

がまとめた実態訓査︵六一年一月︶によると︑在宅患者の宗族で︑五〇以未満の大はわずか一二%︑七〇歳以上で二四

%にのぼっている︒

③ 最近の核家族化

背のような大家族世帯と違って︑戦後︑核家族化か進み︑現在では老親と子供夫婦とは別々に住んでいる場合が多

い︒

④ 女性の職場進出

かつては︑どの家にも女性が家を守るという形でいたが︑最近は女性O職場進出︑社会参加が進み︑日中は女性の

いない家族が多くなってきた︒いわゆる専業主婦が少なくなり︑これが家庭での介護機能をますます弱体化してい

る︒

⑤ 貧困な住宅事情

子供の側に︑寝たきりやボヶの老親を介 1 したいという気持ちがあっても︑東京圏をはじめ大都市での住宅事情で

は︑親を受け入れる部屋︑場所小現実にはほとんどない︒

⑥ 介護の困難さ

202

(17)

2  介駿 の 大変 な 苫 労 と 家 族 の 扶養 殷 能 の 低 下

これについてぱ︑既に前述したとおりである︒

等の状況から︑在宅福祉は非常にむずかしい︑またその困難な状況が一層強まってきている︒そのため︑どうしても

病院や施設へ送り込まざるを得ないという状況が広がってきている︒

東京都が行った﹁高齢化社会に関する世論調査﹂︵六一年九月︶でも︑﹁自分が寝たきりになった時に希望する介護

方法﹂としては︑在宅希望が四九%︑施設三九%︑また︑﹁家族が寝たきりになった時﹂も︑家庭での介護希望が六

四%︑施設希望二五%と︑いずれも在宅介護を望んでいる人が多い︒

ところが︑いざ介護をする家族の立場に立つと︑﹁世話をする人手がない﹂﹁寝かせておく部屋がない﹂ ﹁時間の

余裕がない﹂などの理由で︑回答者のほぼ半数の人が﹁在宅介護はできない﹂と答えている︒

このように︑在宅福祉といっても︑﹁在宅﹂の持つ家族の機能が失われていげば︑在宅福祉も結局は単なる画に描

いた餅に終わってしまうおそれがある︒昔ながらの家族観を基盤にした家族中心の日本的在宅福祉を押し通そうとし

てもムリがある︑大きな限界がある︒

そこで︑このような問題を乗り越えるには︑特定の家族だけにその負担をすべて負わせないよう︑それを広く地域

やあるいは行政の手で分担︑分け合うというシステム︑体制を作っていくことが是非とも必要となる︒

203

(18)

(1)

II−jI

昌  在 宅 介 護 支 援 サ ー ビ ス

介護者から︑どんなサービスが望まれているか

さてそこで︑寝たきりや痴呆性老人を日夜家庭で介護している人達に今後も引き続き在宅という形で介護を行って

もらうためには︑行政や地域コミュニテ″は︑どのような援助の手を差しのべたらよいのか︑どんなサービスが望ま

れているか︒

前節で紹介されたいくつかの実態調査結果からみると

① 働きながら痴呆性老人の介護をする家族のため︑毎日痴呆性老Λが通う託老所︑デイケア︵昼間介護︶の充実

② 寝たきり老人を短期間預ってもらえるショートステイ︵短期滞在︶の拡充

③ 夜間だけ預るナイトケア︵夜間介護︶の創設

④ 医師の巡回診療

⑤ 訪問看護指導

⑥ 巡回入浴サービス

⑦ ホームヘルパーや家事援助サービスの充実︵家1  空ける時に面倒をみてくれる留守番サービス︶

204

(19)

在 宅 介 護 支 援 サービ ス 5

このほか︑

⑧ 介護家族に介護手当の支給を

⑨ 痴呆性老人介護休暇制度の導入を

などがあげられている︒

その具体的内容については︑後述の各項目を参考とされたい︒

㈲ 在宅福祉サービスを定着させるための課題

① 在宅介護支援の拠点づくりを

在宅福祉を定着させるためには︑まず何よりも各種の支援サービスがばらばらに行われるのでなく︑総合的に行わ

れるよう︑各地域内にサービスのセンターとしての ″拠点″をつくることである︒

その拠点となるものは︑デイーサービスーセソクーとか特別養護老人ホームがその役割を持つこととなると思われ

るが︑これを中学校区単位かできれば小学校区単位に一か所ずつ整備することであろう︒

デイーケアーセソターは︑後述のように近時︑各地域でようやく整備が始められたが︑まだまだ緒についたばかり

であり︑地域的にはむしろほとんどのところがいまだにない状況である︒したがって︑今後はまずこの点から整備を

手がけていくことが何よりも先決であろう︒

人I

ど 

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