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多角数ゼータの整数における値について

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Academic year: 2021

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(1)

著者 福井 幸大, 櫻本 篤司

雑誌名 福井大学教育・人文社会系部門紀要

巻 4

ページ 43‑66

発行年 2020‑01‑17

URL http://hdl.handle.net/10098/10821

(2)

*1 福井大学大学院教育学研究科学校教育専攻

*2 福井大学教育・人文社会系部門教員養成領域

福井 幸大

*1

  櫻本 篤司

*2

 

   

内容要約:多角数ゼータとは,多角数のべき乗の無限和として定義される複素関数で ある.本論文では,多角数ゼータの整数における値を与える公式を示し,零点につい て調べる.

1 はじめに

ゼータ関数とは自然数の(−s)乗の無限和 ∑

n=1

1

ns であり,sが正の偶数,0以下の整数の場合 の値は明らかになっている.しかし,零点に関するリーマン予想は現在も未解決で,多くの数 学者により研究されている([3]).ゼータ関数にはフルヴィッツゼータ関数や多重ゼータ関数な ど類似の関数が多くある.本論文では多角数の(−s)乗の無限和で与えられる多角数ゼータを扱 う.多角数とは,点を多角形の形に並べた時に必要な点の個数である.例えば三角数の場合は以 下のようになり,点の個数は左から順に1,3,6,10,· · · となる.

本論文では,多角数ゼータの整数における値を与える公式を示し,三角数ゼータ,四角数ゼータ の整数の零点について明らかにしている.

論文の構成は次のようになっている.2節では,ゼータ関数やフルヴィッツゼータ関数を定義 し,その性質を挙げる.次の3節では,多角数ゼータを定義し,その解析接続を与える.さらに,

その極や留数を求める.4節では,多角数ゼータの整数における値をゼータ関数やフルヴィッツ ゼータ関数で表し,三角数ゼータ,四角数ゼータの整数の零点を明らかにする.

*1福井大学大学院教育学研究科学校教育専攻

*2福井大学教育・人文社会系部門教員養成領域

福井 幸大*1 櫻本 篤司*2

(3)

2 準備

この節では,ベルヌーイ数,ゼータ関数,フルヴィッツゼータ関数を定義し,それらの性質を 挙げる.

定義2.1. (ベルヌーイ数)次の関係式によって定まる数Bn (n= 0,1,2,· · ·)をベルヌーイ数と

いう. ∑n

i=0

(n+ 1 i

)

Bi=n+ 1 (n= 0,1,2,· · ·). (2.1) (2.1)において,n= 0,1,2,· · · と順に代入して計算すると,ベルヌーイ数の値を求めること ができる.B0, B1, B2,· · · , B10の値を表にまとめると,次のようになる.

n 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

Bn 1 1 2

1

6 0 1

30 0 1

42 0 1

30 0 5

66 この表からも推測されるが,ベルヌーイ数について次の命題が成り立つ.

命題2.1. ([1,命題1.4]) nを3以上の奇数とするときBn = 0である.

また,ベルヌーイ数の間には次の関係式が成立する.

命題2.2. ([1,定理1.6]) 正の整数nに対して

n k=0

(1)k (n+ 1

k )

(n+k+ 1)Bn+k = 0 が成り立つ.

定義2.2. (ゼータ関数) Re(s)>1を満たす複素数sに対して ζ(s) =

n=1

1 ns と定め,ζ(s)をゼータ関数という.

偶数におけるゼータ関数の値は,次のようにベルヌーイ数を用いて表すことができる.

定理2.1. ([1,系4.12])正の整数nに対して

ζ(2n) = (−1)n+122n1π2nB2n

(2n)! . (2.2)

(4)

例 2.1. ζ(2) =π2

6 , ζ(4) = π4

90, ζ(6) = π6 945.

ゼータ関数ζ(s)はRe(s)>1を満たす複素数sに対して定義されているが,複素平面全体に 解析接続することができる.

定理 2.2. ([1,定理5.4(1)])ζ(s)は全複素平面の有理型関数に解析接続され,= 1で正則で,

s= 1で1位の極をもち,留数は1である.

ゼータ関数の0以下の整数における値もベルヌーイ数を用いて表すことができる.

定理 2.3. ([1,定理5.4(2)])正の整数nに対して ζ(1−n) =−Bn

n . (2.3)

例 2.2. ζ(0) =−1

2, ζ(1) =1

12, ζ(2) = 0, ζ(3) = 1 120. 命題2.1と定理2.3より,次が成り立つ.

命題 2.3. nを正の整数とするとき,ζ(−2n) = 0である.

ここで,ゼータ関数に関する評価式を示しておく.

命題 2.4. Re(s)>1のとき,

|ζ(s)−1|<

(

1 + 2

Re(s)1 ) 1

2Re(s). 証明. Re(s) =aとおく.

|ζ(s)−1|=

��

��

n=2

1 ns

��

��

n=2

��

�� 1 ns

��

��=

n=2

1 na

= 1 2a +

n=3

1 na

< 1 2a +

2

1 xa dx

= 1 2a +

[

1

(a1)xa−1 ]

2

= 1

2a + 1

(a1) 2a1

= (

1 + 2 a−1

) 1 2a.

2 準備

この節では,ベルヌーイ数,ゼータ関数,フルヴィッツゼータ関数を定義し,それらの性質を 挙げる.

定義 2.1. (ベルヌーイ数)次の関係式によって定まる数Bn (n= 0,1,2,· · ·)をベルヌーイ数と

いう. ∑n

i=0

(n+ 1 i

)

Bi=n+ 1 (n= 0,1,2,· · ·). (2.1) (2.1)において,n= 0,1,2,· · · と順に代入して計算すると,ベルヌーイ数の値を求めること ができる.B0, B1, B2,· · · , B10の値を表にまとめると,次のようになる.

n 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

Bn 1 1 2

1

6 0 1

30 0 1

42 0 1

30 0 5

66 この表からも推測されるが,ベルヌーイ数について次の命題が成り立つ.

命題2.1. ([1,命題1.4])nを3以上の奇数とするときBn = 0である.

また,ベルヌーイ数の間には次の関係式が成立する.

命題2.2. ([1,定理1.6])正の整数nに対して

n k=0

(1)k (n+ 1

k )

(n+k+ 1)Bn+k = 0 が成り立つ.

定義2.2. (ゼータ関数) Re(s)>1を満たす複素数sに対して ζ(s) =

n=1

1 ns と定め,ζ(s)をゼータ関数という.

偶数におけるゼータ関数の値は,次のようにベルヌーイ数を用いて表すことができる.

定理2.1. ([1,系4.12])正の整数nに対して

ζ(2n) = (−1)n+122n1π2nB2n

(2n)! . (2.2)

(5)

次にフルヴィッツゼータ関数を定義する.

定義2.3. (フルヴィッツゼータ関数) Re(s)>1を満たす複素数sと正の実数aに対して ζ(s, a) =

n=0

1 (n+a)s と定める.

a= 1, 1

2 の場合,ζ(s, a)ζ(s)を用いて表すことができる.

命題2.5.  

(1) ζ(s,1) =ζ(s).

(2) ζ( s,1

2

)= (2s1)ζ(s).

証明. (1)は自明であるから,(2)のみを示す.

ζ( s,1

2 )=

n=0

1 (n+12)s

= 2s

n=1

1 (2n+ 1)s

= 2s (

n=1

1 ns

n=1

1 (2n)s

)

= 2s (

ζ(s)− 1 2sζ(s)

)

= (2s1)ζ(s).

フルヴィッツゼータ関数ζ(s, a)において,aは正の実数としているが,整数でなければ負の実 数でも定義が可能である.この論文では,ζ(s, a)aの条件を= 0,1,2,· · · とする.

3 多角数ゼータ 3.1 定義

定義3.1. (多角数)mを3以上の整数とし,

a1= 1, an+1−an= (m2)n+ 1 (n= 1,2,· · ·)

によって定まる数列{an}に属する自然数を,m角数または位数mの多角数という.

(6)

n番目のm角数は m−2

2 n2−m−4

2 nである.

定義 3.2. (多角数ゼータ)mを3以上の整数とする,Re(s)>1

2 を満たす複素数sに対して Zm(s) =

n=1

(m−2

2 n2−m−4 2 n

)s

と定め,Zm(s)をm角数ゼータという.また,m角数ゼータをまとめて多角数ゼータとよぶ.

例 3.1. 四角数ゼータZ4(s)は Z4(s) =

n=1

(n2)s

=

n=1

n2s=ζ(2s) (3.1)

となり,ゼータ関数ζ(s)を用いて表すことができる.

3.2 解析接続

この小節では,多角数ゼータZm(s)の解析接続を与える.Zm(s)の解析接続については黒川

([4])も簡潔に述べているが,ここでは証明を加えておく.

命題 3.1. mを3以上の整数とする.Re(s)> 1

2 をみたす複素数sに対して Zm(s) = 1 +

(m−2 2

)s k=0

(s+k−1 k

) (m−4 m−2

)k

(ζ(2s+k)−1) (3.2) が成り立つ.

証明.

Zm(s) =

n=1

(m−2

2 n2−m−4 2 n

)s

= 1 +

(m−2 2

)−s n=2

n−2s (

1−m−4 m−2· 1

n )−s

.

m≥3, n2のとき,

��

��m−4 m−2· 1

n

��

��1

2 であるから (

1−m−4 m−2 · 1

n )−s

=

k=0

(−s k

) (

−m−4 m−2 · 1

n )k

=

k=0

(−s k

) (1)k

(m−4 m−2

)k nk 次にフルヴィッツゼータ関数を定義する.

定義2.3. (フルヴィッツゼータ関数) Re(s)>1を満たす複素数sと正の実数aに対して ζ(s, a) =

n=0

1 (n+a)s と定める.

a= 1, 1

2 の場合,ζ(s, a)ζ(s)を用いて表すことができる.

命題2.5.  

(1) ζ(s,1) =ζ(s).

(2) ζ( s,1

2

)= (2s1)ζ(s).

証明. (1)は自明であるから,(2)のみを示す.

ζ( s,1

2 )=

n=0

1 (n+12)s

= 2s

n=1

1 (2n+ 1)s

= 2s (

n=1

1 ns

n=1

1 (2n)s

)

= 2s (

ζ(s)− 1 2sζ(s)

)

= (2s1)ζ(s).

フルヴィッツゼータ関数ζ(s, a)において,aは正の実数としているが,整数でなければ負の実 数でも定義が可能である.この論文では,ζ(s, a)aの条件を= 0,1,2,· · · とする.

3 多角数ゼータ 3.1 定義

定義3.1. (多角数)mを3以上の整数とし,

a1= 1, an+1−an = (m2)n+ 1 (n= 1,2,· · ·)

によって定まる数列{an}に属する自然数を,m角数または位数mの多角数という.

(7)

と展開することができ,

Zm(s) = 1 +

(m−2 2

)−s n=2

n−2s

k=0

(−s k

) (1)k

(m−4 m−2

)k

n−k

= 1 +

(m−2 2

)s n=2

k=0

(−s k

) (1)k

(m−4 m−2

)k n2sk

となる.ここで,二重級数 ∑

n=2

k=0

(−s

k

)(1)k(m−4m−2)kn2skが絶対収束することを示す.まず,

��

�� (−s

k )����=

��

��−s(−s−1)· · ·(−s−k+ 1) k!

��

��

=|s| · |s+ 1| · · · |s+k−1| k!

≤|s|(|s|+ 1)· · ·(|s|+k−1) k!

= (1)k−|s|(−|s| −1)· · ·(−|s| −k+ 1) k!

= (1)k (−|s|

k )

となるから,Re(s) =a(>12)とおくと

��

��

� (−s

k )

(1)k

(m−4 m−2

)k

n−2s−k

��

��

��

�� (−s

k

)����·��n−2s−k��

(1)k (−|s|

k ) 1

n2a+k. さらに,2a+k >1より ∑

n=2

1

n2a+k =ζ(2a+k)−1>0であるから,命題2.4より

n=2

1

n2a+k =|ζ(2a+k)−1|

<

(

1 + 2

2a+k−1 ) 1

22a+k

(

1 + 2 2a1

) 1

22a+k = 2a+ 1 (2a1)22a+k. よって,

n=2

��

��

� (−s

k )

(1)k

(m−4 m−2

)k

n2sk

��

��

n=2

(1)k (−|s|

k ) 1

n2a+k

<(1)k (−|s|

k

) 2a+ 1 (2a1)22a+k

(8)

となり,

k=0

n=2

��

��

� (−s

k )

(1)k

(m−4 m−2

)k

n−2s−k

��

��

<

k=0

(1)k (−|s|

k

) 2a+ 1 (2a1)22a+k

= 2a+ 1 22a(2a1)

k=0

(−|s| k

) (

1 2

)k

= 2a+ 1 22a(2a1)

( 11

2 )−|s|

= 2a+ 1 22a−|s|(2a1) 従って,二重級数 ∑

n=2

k=0

(s k

)(1)k(mm42)kn2sk は絶対収束するから

Zm(s) = 1 +

(m−2 2

)−s k=0

(−s k

) (1)k

(m−4 m−2

)k n=2

n−2s−k

= 1 +

(m−2 2

)s k=0

(−s k

) (1)k

(m−4 m−2

)k

(ζ(2s+k)−1).

また,

(−s k

)

(1)k= −s(−s−1)· · ·(−s−k+ 1)

k! (1)k

= s(s+ 1)· · ·(s+k−1) k!

= (s+k−1)· · ·(s+ 1)s k!

=

(s+k−1 k

)

(3.3) より

Zm(s) = 1 +

(m−2 2

)−s k=0

(s+k−1 k

) (m−4 m−2

)k

(ζ(2s+k)−1) が成り立つ.

定義 3.3. kを0以上の整数とし,s∈C\ {−k21}に対して φk(s) =

(s+k−1 k

)

(ζ(2s+k)−1) と定める.

定理2.2よりφk(s)はC\ {−k21}で正則である.

と展開することができ,

Zm(s) = 1 +

(m−2 2

)−s n=2

n−2s

k=0

(−s k

) (1)k

(m−4 m−2

)k

n−k

= 1 +

(m−2 2

)s n=2

k=0

(−s k

) (1)k

(m−4 m−2

)k n2sk

となる.ここで,二重級数 ∑

n=2

k=0

(−s

k

)(1)k(m−4m−2)kn2skが絶対収束することを示す.まず,

��

�� (−s

k )����=

��

��−s(−s−1)· · ·(−s−k+ 1) k!

��

��

=|s| · |s+ 1| · · · |s+k−1| k!

≤|s|(|s|+ 1)· · ·(|s|+k−1) k!

= (1)k−|s|(−|s| −1)· · ·(−|s| −k+ 1) k!

= (1)k (−|s|

k )

となるから,Re(s) =a(>12)とおくと

��

��

� (−s

k )

(1)k

(m−4 m−2

)k

n−2s−k

��

��

��

�� (−s

k

)����·��n−2s−k��

(1)k (−|s|

k ) 1

n2a+k. さらに,2a+k >1より ∑

n=2

1

n2a+k =ζ(2a+k)−1>0であるから,命題2.4より

n=2

1

n2a+k =|ζ(2a+k)−1|

<

(

1 + 2

2a+k−1 ) 1

22a+k

(

1 + 2 2a1

) 1

22a+k = 2a+ 1 (2a1)22a+k. よって,

n=2

��

��

� (−s

k )

(1)k

(m−4 m−2

)k

n2sk

��

��

n=2

(1)k (−|s|

k ) 1

n2a+k

<(1)k (−|s|

k

) 2a+ 1 (2a1)22a+k

(9)

命題3.2. kを0以上の整数とし,n= [k

2 ]   とおく.

(1) kが奇数のとき,φk(−n) = (−1)n (n!)2

2(2n+ 1)! と定めれば,φk(s)は整関数となる.

(2) kが偶数のとき,φk(s)はs=2n−12 で1位の極をもち,留数は(1)n 1 24n+1

(2n n

) で   ある.

証明.  

(1) k= 2n+ 1であるから φk(s) =

(s+ 2n 2n+ 1 )

(ζ(2s+ 2n+ 1)1)

= (s+ 2n)(s+ 2n1)· · ·(s+n)· · ·s

(2n+ 1)! (ζ(2s+ 2n+ 1)1)

= (s+ 2n)· · ·(s+n+ 1)(s+n−1)· · ·s

(2n+ 1)! {(s+n)ζ(2s+ 2n+ 1)(s+n)}

= (s+ 2n)· · ·(s+n+ 1)(s+n−1)· · ·s (2n+ 1)!

{1

2(2s+ 2n)ζ(2s+ 2n+ 1)(s+n) }

(3.4) となる.ζ(s)s= 1を1位の極にもち,留数は1であるから,(s1)ζ(s)はs= 1に おける値を1と定めれば正則となる.従って,(2s+ 2n)ζ(2s+ 2n+ 1)はs=−nにお ける値を1と定めればs=−nで正則となり,(3.4)の右辺はs=−nで正則であること がわかる.このとき,φk(s)のs=−nにおける値は,(3.4)より

n(n−1)· · ·1·(1)· · ·(−n) (2n+ 1)!

(1 2 0

)

= (1)n (n!)2 2(2n+ 1)!. φk(s)は=−nで正則だから,φk(−n) = (−1)n (n!)2

2(2n+ 1)! と定めれば整関数となる.

(2) k= 2nであるから,φk(s) =(s+2n1 2n

)(ζ(2s+ 2n)1)である.ζ(2s+ 2n)はs=2n21

を1位の極にもち,留数は1だから lim

s→−2n21

{ s−

(

2n1 2

)}

φk(s)

= lim

s→−2n−12

1

2(2s+ 2n1)

(s+ 2n1 2n

)

(ζ(2s+ 2n)1)

= lim

s→−2n21

1 2

(s+ 2n1 2n

)

{(2s+ 2n1)ζ(2s+ 2n)(2s+ 2n1)}

= 1 2

(n−12

2n )

.

(10)

ここで, (n−12

2n )

= (n12)(n32)· · ·12·(12)· · ·(−n+12) (2n)!

= (1)n{(2n1)(2n3)· · ·3·1}2 22n(2n)!

= (1)n{2n(2n1)(2n2)· · ·3·2·1}2 24n(n!)2(2n)!

= (1)n (2n)!

24n(n!)2

= (1)n 1 24n

(2n n

)

より,

lim

s→−2n−12

{ s−

(

2n1 2

)}

φk(s) = (1)n 1 24n+1

(2n n

)

となる.従って,φk(s)はs=2n21を1位の極にもち,留数は(1)n 1 24n+1

(2n n

) で ある.

Zm(s)は(3.2)により解析接続することができる.

定理 3.1. Zm(s)はD=C\ {−2n−12 |n= 0,1,2,· · · }に解析接続される.s=2n−12 は1位 の極であり,留数は(1)n 1

24n+1 (2n

n

)(m−2 2

)n12(m−4 m−2

)2n

である.

証明. (3.2)より

Zm(s) = 1 +

(m−2 2

)s k=0

(m−4 m−2

)k

φk(s) (3.5)

であり,命題3.2よりφk(s) (k= 0,1,2,· · ·)はDにおいて正則である.

ここで,∑

k=0

(m−4 m−2

)k

φk(s)はDにおいて広義一様収束であることを示す.KDに含ま れるコンパクト集合とし,Kにおける級数 ∑

k=0

(m−4 m−2

)k

φk(s)の収束を調べる.Kは有界であ るから,ある正の整数Nが存在して,任意のs∈Kに対しRe(s)>−Nとなる.k≥2N+ 2 のとき,s∈Kに対してRe(2s+k)≥k−2N 2であるから,命題2.4より

|ζ(2s+k)−1|<

(

1 + 2

Re(2s+k)−1 ) 1

2Re(2s+k) 3 2k−2N 命題3.2. kを0以上の整数とし,n=

[k 2 ]   とおく.

(1) kが奇数のとき,φk(−n) = (−1)n (n!)2

2(2n+ 1)! と定めれば,φk(s)は整関数となる.

(2) kが偶数のとき,φk(s)はs=2n−12 で1位の極をもち,留数は(1)n 1 24n+1

(2n n

) で   ある.

証明.  

(1) k= 2n+ 1であるから φk(s) =

(s+ 2n 2n+ 1 )

(ζ(2s+ 2n+ 1)1)

= (s+ 2n)(s+ 2n1)· · ·(s+n)· · ·s

(2n+ 1)! (ζ(2s+ 2n+ 1)1)

=(s+ 2n)· · ·(s+n+ 1)(s+n−1)· · ·s

(2n+ 1)! {(s+n)ζ(2s+ 2n+ 1)(s+n)}

= (s+ 2n)· · ·(s+n+ 1)(s+n−1)· · ·s (2n+ 1)!

{1

2(2s+ 2n)ζ(2s+ 2n+ 1)(s+n) }

(3.4) となる.ζ(s)s= 1を1位の極にもち,留数は1であるから,(s1)ζ(s)はs= 1に おける値を1と定めれば正則となる.従って,(2s+ 2n)ζ(2s+ 2n+ 1)はs=−nにお ける値を1と定めればs=−nで正則となり,(3.4)の右辺はs=−nで正則であること がわかる.このとき,φk(s)のs=−nにおける値は,(3.4)より

n(n−1)· · ·1·(1)· · ·(−n) (2n+ 1)!

(1 2 0

)

= (1)n (n!)2 2(2n+ 1)!. φk(s)は=−nで正則だから,φk(−n) = (−1)n (n!)2

2(2n+ 1)!と定めれば整関数となる.

(2) k= 2nであるから,φk(s) =(s+2n1 2n

)(ζ(2s+ 2n)1)である.ζ(2s+ 2n)はs=2n21

を1位の極にもち,留数は1だから lim

s→−2n21

{ s−

(

2n1 2

)}

φk(s)

= lim

s→−2n−12

1

2(2s+ 2n1)

(s+ 2n1 2n

)

(ζ(2s+ 2n)1)

= lim

s→−2n21

1 2

(s+ 2n1 2n

)

{(2s+ 2n1)ζ(2s+ 2n)(2s+ 2n1)}

=1 2

(n−12

2n )

.

(11)

となる.また,Kはコンパクトだからr= max{|s| |s∈K}とおくと,(3.3)より

��

��

(s+k−1 k

)����=

��

��(s+k−1)(s+k−2)· · ·s k!

��

��

(|s|+k−1)(|s|+k−2)· · · |s| k!

(r+k−1)(r+k−2)· · ·r k!

=

(r+k−1 k

)

= (1)k (−r

k )

. よって,

k=2N+2

��

��

(m−4 m−2

)k

φk(s)

��

��

k=2N+2

��

��

(s+k−1 k

)����|ζ(2s+k)−1|

<

k=2N+2

(1)k (−r

k ) 3

2k−2N

= 3·22N {

k=0

(−r k

) (

1 2

)k

2N+1 k=0

(1)k (−r

k )1

2k }

= 3·22N {

2r

2N+1

k=0

(1)k (−r

k ) 1

2k }

<∞

となり,級数 ∑

k=0

(m−4 m−2

)k

φk(s)はKにおいて一様収束する.よって,この級数はDにおい て広義一様収束するので,(3.5)の右辺はDにおいて正則である.従って,(3.5)はZm(s)の解 析接続である.

nを0以上の整数とし,Zm(s)の孤立特異点s=2n21 について考える.

Zm(s) = 1 +

(m−2 2

)s{(m−4 m−2

)2n

φ2n(s) + ∑

k0 k̸=2n

(m−4 m−2

)k

φk(s) }

であり,1 +(m−2 2

)s

k0 k̸=2n

(m−4 m−2

)k

φk(s)はs=2n−12 で正則で,φ2n(s)はs=2n−12

を1位の極にもつから,Zm(s)はs=2n−12 を1位の極にもつ.またその留数は命題3.2(2) より

(m−2 2

)2n21(m−4 m−2

)2n

(1)n 1 24n+1

(2n n

)

= (1)n 1 24n+1

(2n n

) (m−2 2

)n−12(m−4 m−2

)2n

である.

(12)

定義 3.4. D=C\ {−2n21 |n= 0,1,2,· · · }において Zm(s) = 1 +

(m−2 2

)−s k=0

(m−4 m−2

)k

φk(s) (3.6)

と定める.

4 整数における値 4.1 正の整数における値

Z4(s)はZ4(s) =ζ(2s)であるからゼータ関数を用いて表すことができる.= 4の場合,s が正の整数のときのZm(s)の値は,上道・櫻本([2])の結果を利用することにより,ゼータ関数,

フルヴィッツゼータ関数を用いて表すことができる.

定義 4.1. l, nは非負整数で,l+n≥2を満たすとする.

このとき,a, b∈Z\ {0}, b /∈(−a)Nに対して,Fl,n(a, b)を Fl,n(a, b) =

k=1

1 kl(ak+b)n により定める.

lまたはnが0の場合,Fl,n(a, b)は以下のようになる.

Fl,0(a, b) =ζ(l), F0,n(a, b) = 1

an

k=1

1

(k+ab)n = 1 anζ(

n,b a

) 1 bn. nを正の整数とするとき,Zm(n)はFl,n(a, b)を用いて表すことができる.

Zm(n) =

k=1

(m−2

2 k2−m−4 2 k

)n

= 2n

k=1

1

kn{(m2)k(m4)}n

= 2nFn,n(m2,−m+ 4).

特に,mが偶数のときは

Zm(n) =Fn,n

(m−2

2 ,−m−4 2

) となる.

となる.また,Kはコンパクトだからr= max{|s| |s∈K}とおくと,(3.3)より

��

��

(s+k−1 k

)����=

��

��(s+k−1)(s+k−2)· · ·s k!

��

��

(|s|+k−1)(|s|+k−2)· · · |s| k!

(r+k−1)(r+k−2)· · ·r k!

=

(r+k−1 k

)

= (1)k (−r

k )

. よって,

k=2N+2

��

��

(m−4 m−2

)k

φk(s)

��

��

k=2N+2

��

��

(s+k−1 k

)����|ζ(2s+k)−1|

<

k=2N+2

(1)k (−r

k ) 3

2k−2N

= 3·22N {

k=0

(−r k

) (

1 2

)k

2N+1 k=0

(1)k (−r

k )1

2k }

= 3·22N {

2r

2N+1

k=0

(1)k (−r

k ) 1

2k }

<∞

となり,級数 ∑

k=0

(m−4 m−2

)k

φk(s)はKにおいて一様収束する.よって,この級数はDにおい て広義一様収束するので,(3.5)の右辺はDにおいて正則である.従って,(3.5)はZm(s)の解 析接続である.

nを0以上の整数とし,Zm(s)の孤立特異点s=2n21について考える.

Zm(s) = 1 +

(m−2 2

)s{(m−4 m−2

)2n

φ2n(s) + ∑

k0 k̸=2n

(m−4 m−2

)k

φk(s) }

であり,1 +(m−2 2

)s

k0 k̸=2n

(m−4 m−2

)k

φk(s)はs=2n−12 で正則で,φ2n(s)はs=2n−12

を1位の極にもつから,Zm(s)はs =2n−12 を1位の極にもつ.またその留数は命題3.2(2) より

(m−2 2

)2n21(m−4 m−2

)2n

(1)n 1 24n+1

(2n n

)

= (1)n 1 24n+1

(2n n

) (m−2 2

)n−12(m−4 m−2

)2n

である.

(13)

例 4.1. Z3(n) = 2nFn,n(1,1), Z5(n) = 2nFn,n(3,1), Z6(n) =Fn,n(2,1).

Zm(1)は次の定理を利用して求めることができる.

定理4.1. ([2,定理2.4]) a, bは正の整数で,b≤a−1を満たすとする.

F1,1(a,−b) =1

blog 4a π 2bcot

a 2 b

a1

j=1

cos2bjπ

a log sin 2a. この定理とZm(1) = 2F1,1(m2,−m+ 4)より,次が得られる.

定理4.2. mは3以上の整数で,= 4とする.

Zm(1) = 2

m−4log{4(m2)} − π

m−4cot(m4)π m−2

+ 4

m−4

m3 j=1

cos2(m4)jπ

m−2 log sin 2(m2). 具体的な値としては,以下が得られている.

例 4.2. ([2,例4.1,4.2,4.3])Z3(1) = 2, Z4(2) = π2

6 , Z5(1) = 3 log 3 π

3, Z6(1) = 2 log 2.

次に,2以上の整数nに対してZm(n)を求める.

命題4.1. ([2,命題3.1]) l, nが非負整数で,l+n≥1を満たすとき Fl+1,n+1(a, b) = 1

bFl+1,n(a, b)−a

bFl,n+1(a, b) である.

この命題より,Fl,n(a, b)はF1,1(a, b)とゼータ関数,フルヴィッツゼータ関数を用いて表すこ とができる.

命題4.2. a, b∈Z\ {0}, b /∈(−a)Nとする.

正の整数l, nに対して,以下が成り立つ.

Fl,n(a, b) =

(l+n−2 l−1

) (−a b

)l1 1

bn−1F1,1(a, b)

(l+n−2 l

) (−a b

)l 1 bn +

l j=2

(l+n−1−j l−j

) (−a b

)l−j 1 bnζ(j) +

n k=2

(l+n−1−k n−k

) (−a b

)l−k (1)k bn ζ(

k, b a

). (4.1)

(14)

証明. (4.1)の右辺をSl,n(a, b)とおき,(4.1)をl+nに関する帰納法で示す.

(i) l+n= 2のとき

このときはl=n= 1であり,

S1,1(a, b) = (0

0 )

F1,1(a, b) (0

1 ) (−a

b )1

b =F1,1(a, b).

よって,l+n= 2のとき(4.1)は成立する.

(ii) l+n=Nのとき成り立つと仮定し,l+n=N+ 1のときを考える.

1) l≥2, n2のとき

命題4.1と帰納法の仮定より Fl,n(a, b) = 1

bFl,n1(a, b)−a

bFl1,n(a, b)

= 1 b

{(l+n−3 l−1

) (−a b

)l−1 1

bn2F1,1(a, b)

(l+n−3 l

) (−a b

)l 1 bn1 +

l j=2

(l+n−2−j l−j

) (−a b

)lj 1 bn−1ζ(j) +

n1 k=2

(l+n−2−k n−1−k

) (−a b

)lk (1)k bn−1 ζ(

k, b a

)}

−a b

{(l+n−3 l−2

) (−a b

)l2 1

bn1F1,1(a, b)

(l+n−3 l−1

) (−a b

)l1 1 bn +

l1

j=2

(l+n−2−j l−1−j

) (−a b

)l1j 1 bnζ(j) +

n k=2

(l+n−2−k n−k

) (−a b

)l1k(1)k bn ζ(

k,b a

)}

=

{(l+n−3 l−1

) +

(l+n−3 l−2

)} (−a b

)l1 1

bn1F1,1(a, b)

{(l+n−3 l

) +

(l+n−3 l−1

)} (−a b

)l 1 bn +

l−1 j=2

{(l+n−2−j l−j

) +

(l+n−2−j l−1−j

)} (−a b

)lj 1 bnζ(j) + 1

bnζ(l) +(

−a b

)ln(1)n bn ζ(

n,b a )

+

n1 k=2

{(l+n−2−k n−1−k

) +

(l+n−2−k n−k

)} (−a b

)l−k (1)k bn ζ(

k, b a

). 例 4.1. Z3(n) = 2nFn,n(1,1), Z5(n) = 2nFn,n(3,1), Z6(n) =Fn,n(2,1).

Zm(1)は次の定理を利用して求めることができる.

定理4.1. ([2,定理2.4])a, bは正の整数で,b≤a−1を満たすとする.

F1,1(a,−b) =1

blog 4a π 2bcot

a 2 b

a1

j=1

cos2bjπ

a log sin 2a. この定理とZm(1) = 2F1,1(m2,−m+ 4)より,次が得られる.

定理4.2. mは3以上の整数で,= 4とする.

Zm(1) = 2

m−4log{4(m2)} − π

m−4cot(m4)π m−2

+ 4

m−4

m3 j=1

cos2(m4)jπ

m−2 log sin 2(m2). 具体的な値としては,以下が得られている.

例 4.2. ([2,例4.1,4.2,4.3])Z3(1) = 2, Z4(2) = π2

6 , Z5(1) = 3 log 3 π

3, Z6(1) = 2 log 2.

次に,2以上の整数nに対してZm(n)を求める.

命題4.1. ([2,命題3.1])l, nが非負整数で,l+n≥1を満たすとき Fl+1,n+1(a, b) = 1

bFl+1,n(a, b)−a

bFl,n+1(a, b) である.

この命題より,Fl,n(a, b)はF1,1(a, b)とゼータ関数,フルヴィッツゼータ関数を用いて表すこ とができる.

命題4.2. a, b∈Z\ {0}, b /∈(−a)Nとする.

正の整数l, nに対して,以下が成り立つ.

Fl,n(a, b) =

(l+n−2 l−1

) (−a b

)l1 1

bn−1F1,1(a, b)

(l+n−2 l

) (−a b

)l 1 bn +

l j=2

(l+n−1−j l−j

) (−a b

)l−j 1 bnζ(j) +

n k=2

(l+n−1−k n−k

) (−a b

)l−k (1)k bn ζ(

k, b a

). (4.1)

(15)

ここで,(p q

)+( p q1

)=(p+1 q

)より

Fl,n(a, b) =

(l+n−2 l−1

) (−a b

)l1 1

bn1F1,1(a, b)

(l+n−2 l

) (−a b

)l 1 bn +

l1

j=2

(l+n−1−j l−j

) (−a b

)l−j 1

bnζ(j) + 1 bnζ(l) +(

−a b

)l−n(1)n bn ζ(

n,b a

)+

n1 k=2

(l+n−1−k n−k

) (−a b

)l−k (1)k bn ζ(

k, b a )

=

(l+n−2 l−1

) (−a b

)l−1 1

bn1F1,1(a, b)

(l+n−2 l

) (−a b

)l 1 bn +

l j=2

(l+n−1−j l−j

) (−a b

)lj 1 bnζ(j) +

n k=2

(l+n−1−k n−k

) (−a b

)lk (1)k bn ζ(

k,b a )

となり,(4.1)は成立する.

2) l= 1, n=Nのとき 命題4.1より

F1,n(a, b) =1

bF1,n1(a, b)−a

bF0,n(a, b) であるから,帰納法の仮定とF0,n(a, b) = 1

anζ( n, b

a ) 1

bn より F1,n(a, b) = 1

b

{(n−2 0

) 1

bn2F1,1(a, b) (n−2

1

) (−a b

) 1 bn1 +

n−1

k=2

(n−1−k n−1−k

) (−a b

)1k(1)k bn1 ζ(

k,b a

)}

−a b

{ 1 anζ(

n,b a

) 1 bn

}

= 1

bn1F1,1(a, b)(n2)(

−a b

) 1 bn +

n1 k=2

(−a b

)1k(1)k bn ζ(

k,b a )

+(

−a b

) 1 anζ(

n,b a

)(

−a b

) 1 bn

= 1

bn1F1,1(a, b)(n1)(

−a b

) 1 bn +

n k=2

(−a b

)1k (1)k bn ζ(

k, b a

).

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