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ビーグル犬の洞結節動脈に関する解剖学的ならびに実験病理学的研究 - 不整脈発生との関連から -

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Academic year: 2021

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Title

ビーグル犬の洞結節動脈に関する解剖学的ならびに実験病

理学的研究 - 不整脈発生との関連から -( 内容の要旨 )

Author(s)

泉澤, 信行

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 甲第005号

Issue Date

1994-03-14

Type

博士論文

Version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2059

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及 び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 貞 泉 帝 信 行 (千葉県) 博士(獣医学) 獣医博甲第 5 号 平成6年3月14日 学位規則第4条第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 東京農工大学 ピーグル犬の洞結節動脈に関する解剖学的なら びに実験病理学的研究 一不整脈発生との関連から-主査 東京農工大学 教 授 副査 東京農工大学 教 副査 帯広畜産大学 教 副査 岩 手 大 学 教 副査 岐 阜 大 学 教 授 授 授授 治 司 夫 助 幹 啓 孝 恒 幸 堆 生 木 瀬 田 田 桐 鈴 広 岡 上 論 文 の 内 容 の 要 旨 洞結節(洞房結節)動脈は,右冠状動脈あるいは左冠状動脈回旋枝から起始する心房枝の 一分枝である.この動脈は洞結節への血液供給を介して洞結節の機能調節にかかわってい ることが推察されるにもかかわらず,イヌにおける不整脈の発生と洞結節動脈を含む壁内 冠状動脈の器質的傷害との間の関連性については未だに不明な点が少なくない・その主た る要因としてイヌの心臓,殊に冠状動脈の走行に関する詳細な解剖学的検索が十分でない ことが指摘される.このような背景から本研究では,実験動物として医薬品の薬物動態, 薬理作用ならびに毒性試験等に多用されているど一グル犬を対象として死後冠状動脈造影 法を用いて洞結節動脈を含めた心房枝の走行ならびに分布について解剖学的に検索した・ 次に壁内冠状動脈に器質的傷害を惹起するとされている薬物,ミノキシジル(MX)をビーグ ル犬に投与し壁内冠状動脈の器質的傷害と不整脈発生との関連性を追求する実験を試みた・ 第Ⅰ章ではビーグル犬において洞結節動脈を構成する心房枝の由来,走行ならびに分布 を明らかにする目的で,死後冠状動脈造影法を用いて心房内の血管走行を詳細に検索した・ ビーグル犬20頑および雑種犬15頭を検索した結果,主要な心房枝は右冠状動脈から起始す る3本(右側近位心房枝‥Rl,右側中間心房枝‥R2,右側遠位心房枝:R3)と左冠状動脈回旋枝

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から起始する2本(左側近位心房枝:Ll,左側遠位心房枝:L2)の計5本からなっていた.ビー グル犬の洞結節動脈は20頑中19頑において右冠状動脈から起始する1本の心房枝からなっ ており(R3:14頑,R2:5頭),1頭のみがLlからなる洞結節動脈を有していた.一方,雑種犬 では洞結節動脈を構成する心房彼の敬および種類は各個体により様々であった.また,ビ ーグル犬20頑中19頭において洞結節動脈から分岐する動脈枝が心房中隔を走行した後に房 室接合部領域に達していることが明らかになった. 以上の所見から,(1)ピーグル犬では洞結節動脈を構成する心房枝の数および種類がほぼ 一定しているとみなされた.また,(2)洞結節動脈は洞結節のみならず房室接合部領域への 血液供給をも担っているとともに,洞・房室両結節が血液循環を介して相互に機能的関連性 を有している可能性が示唆された. 第Ⅱ章では,壁内冠状動脈,特に右心房に分布する小動脈に重篤な中膜の変性・壊死なら びに線維化を惹起するとされている址Ⅹを10頭のビーグル犬に経口投与した.これらのピー グル犬について経時的な心電図検査および血清CPE活性の測定を行い,投与開始後4日目 (25mg/kg/day投与,2頑)あるいは14日目(0:対照例,10,25および50mg/kg/day投与,各群 2頑,計8頑)に剖検に供して心臓の詳細な組織学的検査を実施した.M‡投与群の心拍数は初 回投与後速やかに上昇し,3ないし4日間にわたり200拍/分以上の高値を維持した.またM‡ の投与開始後,各例に程度差はあったが房室ブロック(A†B)およ心室早期収縮(VPC)の発生 あるいは発生頻度の増加がMX投与全例に認められた.血清CPE活性は一般に撼Ⅹ投与開始後 比較的速やかに上昇し一過性のピークを示した後,漸次低下した. 病理学的にMX投与開始後4日目に剖検した2頭では,壁内冠状動脈において中膜平滑筋の 変性・壊死を特徴とした血管病変が認められた.また,MX投与開始後14日目の剖検例では壁 内冠状動脈の中膜に平滑筋細胞の消失と広範な線推化が認められた.このような血管病変 の局在性は右心房に分布する心房枝:Rl,R2およびR3に発生し,さらにR3の分枝である洞結 節動脈,RlおよびR3の心房中隔への分枝において頻繁に観察された. 本実験における特徴的な所見は,血管病変が心房枝の主幹のみならず心房中隔への分枝 にも及んでいた例においてAVBおよびVPCの発生頻度が高かったことである.このような所 見は,心房中隔への分枝の傷害がAVBおよびVPCの発生に密接にかかわっていたことを示唆 していた.また解剖学的にRlおよびR3の心房中隔への分枝は房室接合部領域に血液を供給 する動脈枝であることから,RlおよびR3の器質的傷害は,局所循環障害をもたらし,房室 間の刺激伝導あるいは房室結節の機能に影響を及ぼすことが考えられる.即ち,これらRl およびR3の傷害はA帽およびVPCの病理発生に重要な役割を演じているものと思考された. 結果として本研究において,ビーグル犬の心臓では洞結節動脈を含む冠状動脈の心房枝 の血管走行の恒常性が明らかになった.また肌の投与により冠状動脈の心房枝の器質的傷 害とその傷害に起因すると考えられる不整脈を実験的に作出することができた.加えて, ビーグル犬へのMX投与はAVBあるいはVPCの不整脈の発生例として,有用な実験モデルとな りうることを示唆していた.

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書 圭 結 果 の 要 旨 ピーグル犬は実験動物として医薬品の薬物動態、薬理作用ならびに毒性試験等に供用さ れている。著者はど-グル犬について、冠状動脈の心房枝の一つである洞結節(洞房結節) 動脈の解剖学的ならびに実験病理学的検索を行った。この研究は不整脈の発生メカニズム の一端を形態学的に解明するための試みである。解剖学的検索は洞結節動脈に注目しなが ら、主として死後冠状動脈造影法によって追究し、ビーグル犬の洞結節動脈の走行を明ら かにした。実験病理学的検索では、壁内冠状動脈に器質的傷専を惹起させる薬物、ミノキ シジル(MX)をピーグル犬に投与した。その結果、洞結節を含む冠状動脈心房枝の管壁 に顕著な病変を認め、実験的に不整脈を発生させた。 先ずど-グル犬20頭および雑種犬15頑の解剖学的所見をみると、雑種犬例における 洞結節動脈を含む冠状動脈心房枝の走行は、各個体差が著しく、所見は多種多様で、一定 性がみられなかった。これに反して、ピーグル犬例での所見ではほぼ恒常性を示し、特徴 的であった。このことは本研究における新知見として大いに注目された。即ち①主な心房 枝は、右冠状動脈から起始する近位心房枝(Rl)、中間心房枝(R2)および退位心房 枝(R3)と左冠状動脈回旋枝から起始する近位心房枝(Ll)および通位心房枝(L2) の計5本から成り立っていた。洞結節動脈は20頭中19頭において右冠状動脈由来の心 房枝(R3:14頑、R2:5頭)、1頭のみが左冠状動脈のLlより成り立っていた。 更に②注目される所見としてピーグル犬20頭中19頑において、洞結節動脈からの分枝 は心房中隔を走行した後に房室接合部領域に達していることが明らかにされた。また③R l心房枝は単独に房室接合部へ走行していることが認められた。 MXを実験的に投与して観察した8頭のピーグル犬では、投与後3ないし4日間にわた り洞性頻脈がみられ、かつ各例に程度差はあったが、房宝ブロック(AVB)および心室 早期収縮(VPC)の発生あるいは発生頻度の増加が全8頭に認められた。 病理学的所見では、MX投与開始後4日目例の壁内冠状動脈において中膜平滑筋の変性 ・壊死を特徴とした血管病変が認められた。またMX投与開始14日目例の壁内冠状動脈 では、中膜の平滑筋細胞消失および広範な線維化が認められた。このような血管病変の発 生はRl、R2およびR3に局在する傾向を示し、特にAVBおよびVPCの不整脈発生 頻度と呼応して、洞結節動脈および心房中隔への分枝血管において頻繁に観察されていた。 以上のことを総合すると次のようなことが言える。 ①ビーグル犬の心臓では洞結節動脈を含む心房枝の血管走行に恒常性が認められる。 ②ピーグル犬の洞結節動脈は洞結節のみならず、房室接合部領域への血液供給をも担って おり、洞・房室結節が血液循環を介して相互に機能的関連牲を有していることが窺える。 ③右冠状動脈由来の心房枝(Rl)および洞結節動脈(R2およびR3)の器質的傷専は、 心筋の局所循環障書(心筋虚血)をもたらし、房室間の興奮伝導あるいは房室結節領域の

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従って、本研究ではど-グル犬の洞結節動脈の解剖学的特徴を明らかにし、MXの実験 的投与により冠状動脈心房枝に器質的傷書を惹起させ、その傷専に起因すると考えられる AVBあるいはVPCを実験的に発症させることに成功している。 平成6年1月18日における発表会および論文提出、ならびに既発衰論文(学術誌掲載 4編)を5人の学位論文審査委貝が慎重審議した結果、迎合獣医学研究科の学位論文とし て十分にふさわしいことを認めた。

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