Title
A Study on the Effects of Modified Atmospheres on the Color
Development of Heat Treated Cherry Tomato( 内容の要旨 )
Author(s)
MD. SAYED ALI
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第353号
Issue Date
2005-03-14
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2694
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本掴)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 MD.SAYEDALI(バングラデシュ人民共和国) 博士(農学) 農博甲第353号 平成17年3月14日 学位規則第4粂第1項該当 連合農学研究科 生物生産科学専攻 岐阜大学 AStudyontheE蝕ctsofModi丘edAtmosphereson theColorDevelopmentofHeatTreatedCherry Tomato (ミニトマトの果皮色進行におよぼす修正ガスの影響) 主査 岐阜大学 教 授・前 澤 重 椙 副査 岐阜大学 教 授 後 藤 清 和 副査 静岡大学 助教授 山 脇 和 樹 副査 信州大学 助教授 濱 渦 康 範 論 文 の 内 容 の 要 旨 トマトはクライマクテリック果実であり、消費者や流通業者の要望に合わせて種々の熱
度で収摸されている。収穫後に常温に静直されると速やかに過熱状態になる。そのため流
通中に品質が低下したり、品質保持期間が短くなり廃棄されてしまうことがある。修正空 気包装(MAp)は、果実周辺の酸素及び二酸化炭素濃度を変化させることにより果実の熟 成を抑制する有効な技術である。すなわち、プラスティックフイルムで包装貯蔵すると通 常空気に比べて酸素濃度は低下し、二酸化炭素濃度と湿度は増加したMA環境が創出され る。収穫後果実を熱処理すると、その成熟過程を遅らせたり、低温障害の発生を抑制した り、病原菌の活性を制御することができる。このような長所熱処理は青果物の品質管理に 活用されはじめている。近年、青果物の品質管理において収穫後技術を組み合わせる試み が多用され、多くの研究者達により興味深い結果が報告されている。MAPと熱処理の同 時活用は流通中の青果物損失を低減する手法として期待される。そこで本研究では、修正 ガス環境と熱処理がトマト果実の品質変化に及ぼす影響を調べるため、熱処理した緑熟果 トマトを包装貯蔵し、果皮色(a*/b*値)変化から赤色到達日を比較評価した。 ミニトマト`ココ,の緑熟果を39℃の温水で90分間熱処理し、こ酸化炭素透過係数が 同じで酸素透過係数が異なる3種のプラスティックフイルム(高、中、低透過フイルム) で包装し15℃で貯蔵し、フイルム内ガス組成とトマトの果皮色を調べた。対照区は熱処 理を施さない無処理果の無包装区とした。高・中・低透過フイルムで包装貯蔵して定常状 態になった熱処理トマトおよび無処理トマトの周辺酸素濃度は18・2,15・2,12・2kPaであり、 二酸化炭素濃度は全て約3.5kPaであった。赤色値到達日は対照区(未処理果・無包装)で7日目であったが、熱処理果・無包装区は8日目であり、果皮色遅延に及ぼす熱処理効 果は1日であった。また、未処理果を高透過フイルムで包装したところ赤色値到達日は対 照区と同じ7日目であったが、熱処理果・高透過フイルム区における赤色値到達日は9日 日であり、果皮色遅延に及ぼす熱処理と包琴の組み合わせ効果は2日であった。同様に未 処理果の中および低透過フイルム包装区における赤色到達日はそれぞれ8および9日であ ったが、熱処理果はそれぞれ11および13日であった。これらの結果は、熱処理と低酸 素環境を組み合わせるとそれぞれ単独の場合に比べて相乗的に尭皮色遅延効果を発拝する ことを示唆している。 次に、熱処理とフイルム包装の組合せがトマト果実の着色遅延に及ぼす影響を別の視点 から調査した。まず、サイズの異なるフイルム内で貯蔵した熱処理果および未処理果の着 色遅延効果を定量的に把捉した。さらにMA状態における酸素、二酸化炭素、湿度が果皮
色変化に及ぼす効果を調べた。,その結果、0、5%二酎ヒ鱒素、50、99%の湿度条件
では組合せ効果は観察されなかったが、3から15%の酸素濃度範囲においては組合せ効 果が観察され、低い酸素濃度はその効果が高いことが示された。よって、熱処理とフイル ム包装の組合せ効果に優先的に作用している要素は酸素濃度であることが示唆された。 本研究により、熱処理とMAP包装を組み合わせることによって、熱処理あるいはMAP 包装単独の効果を支配している要因以外の因子が発現される可能性が示唆された。 審 査 結 果 の 要 旨 本論文では,トマト果実を対象として高品質保持技術の確立を目指し,これまでに 品質保持効果が明らかにされている収穫後の温水処理とプラスティックフイルム包装を組合せて処理し,●届質保持効果に及ぼす両手法の関連性を明らかにした。
39℃の温水で90分間熱処理した緑熟果のミニトマト`ココ'について,ニ酸化炭 素透過係数が同じで酸素透過係数が異なる3種のプラスティックフイルム(高,中,低透過フイルムトで包装し,15℃貯蔵してフイルム内ガス組成とトマトの果皮色を
調べた。高・中・低透過フイルムで包装貯蔵して定常状態になった熱処理トマトおよ び無処理トマトの周辺酸素濃度は18.2,15.2,12.2kPaであり,二酸化炭素濃度は全て 約つ・5kPaであった。凄色値到達日は対照区(未処理果i■無包装)で7日日セあったが,熱処理果・無包装区は8日目セあり,果皮色遅延に及ぼす熱処理効果は1日であ
った。また,未処理果を高透過フイルムで包装したところ赤色値到達日は対照区と同 じ7日日であったが,熱処理果・高透過フイルム区における赤色値到達日は9日目で あり,果皮色遅延に及ばす熱処理と包装の組み合わせ効果は2日であった。同様に未 処理果の中および低透過フイルム包装区における赤色到達日はそれぞれ8および9日 であったが,熱処理果はそれぞれ11および13日であった。これらの結果から,熱処理と低酸素環境を組み合わせると,それぞれ単独の場合に比べて相乗的に果皮色遅
延効果を発揮することが示唆された。次に,MA包装が熱処理したミニトマトの果皮
色遅延に及ぼす要因を評価するため,39℃の温水で90分間熱処理した緑熟果のミニ トマトをサイズの異なるポリエチレンフィルムで包装して15℃で10日間貯蔵した。その結果,フイルムサイズが果皮色変化に及ぼす影響は熱処理果と無処理果で異
なることが示唆された。次に,酸素濃度が果皮色抑制に及ぼす影響を検討したところ,
無処理果の果皮色抑制は酸素濃度に依存したが,熱処理果では,酸素濃度が9%以下 になると酸素濃度依存性が観察されなかった。さらに,二酸化炭素濃度および相対湿度は果皮色変化の抑制に殆ど影響を与えないことが朗らかになった。よって,フイル
ム包装において熱処理果の着色遽延を優先的誘導している要因は酸素濃度であること
が示唆された。以上の成果は,トマト果実の今後の品質保持技術の改善に必要な熱処 理および低酸素処理の関連について重要な知見を提示している。 以上について,審査員全点一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位論 文として十分価値があるものと認めた。 学位論文の基礎となる学術論文1.Md.SaYed Ali,KoheiNakanoand ShigenoriMaezaふa:Combined efftct ofheat
treatment and modiBed atmosphere
packaging onthe color development of cherry
tomato.posthaJVeStBiologyandTbchnology 34(1):113-116,2004.
2・Md.SaYedAli,TuanQuocNguyen,KoheiNakanoandShigenoriMaezawa:Delayof
COlor development of cherry tomato uslng heat treatment and modi鮎d atmosphere packaging・JapaneseSocietyofAgricultural恥chnologyMan喝ementll(2):75-82, 2004.
既発表および関連する学術論文
1・Md・SaYedAli,K・NakanOandS・Maezawa:Measurlng町StemOftherespirationrateof &esh,Pr94ucQ gndqrcoptit)u叫声唾叩g鱒inCO20rO2COnQemtration.Res.Bull.Fac. Agr.G血Univ.(65):49-57,2000.2・Md・SaYed Ali,KoheiNakano and ShigenoriMaezawa:Respiralory response of broccoliunder diffbrent decreaslng rateS Of surrounding O2・Japanese Society of AgriculturalTechnologyManagement12(1):2005(inpress).