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医療保障における経済的理由による受給権の制限と仮の救済 (加藤秀治郎教授退職記念号) 利用統計を見る

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(1)

医療保障における経済的理由による受給権の制限と

仮の救済 (加藤秀治郎教授退職記念号)

著者

上田 真理

雑誌名

東洋法学

58

3

ページ

101-150

発行年

2015-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00007005/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止

(2)

目次 はじめに Ⅰ   問題の所在 Ⅱ   住民型医療保険の適用除外 Ⅲ   医療受給権の制限に対する仮の救済 おわりに はじめに   女性、若者といった不利な立場にある労働者が不安定な低賃金雇用に従事し、社会保険や租税の制度によって、 かえって生活が困窮する状態になることが近年明らかにされてい ( 1) る 。社会保障法においても問題になるのは、被用 者 は 本 来 健 康 保 険 法 に 加 入 し て い る は ず で あ る が、 住 民 と し て 国 民 健 康 保 険 法 (以 下、 国 保) が 適 用 さ れ、 雇 用 に おける不利が社会保障制度においても助長され、増幅されていることである。本稿の課題は、国保に加入している 《 論    説 》

医療保障における経済的理由による受給権の制限と仮の救済

 

  

 

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被用者を対象とした医療保障をめぐる有効な権利保護を解明することにある。   本 稿 で は、 次 の 問 題 関 心 か ら 検 討 を す す め る。 一 つ に、 被 用 者 に は 被 用 者 医 療 保 険 が 適 用 さ れ る の が 原 則 で あ る。 保 険 料 負 担 の 面 で は 事 業 主 が 納 付 義 務 を 負 い (健 保 一 六 一 条 二 項) 、 事 業 主 が 折 半 で 負 担 義 務 を 負 う こ と は (同 条 一 項 本 文) 、 国 保 と 比 べ て 大 き な 相 違 で あ る。 国 保 に 加 入 し て い る 被 用 者 に 保 険 料 が 過 重 な 負 担 で あ る な ら、 そ れは本来健保に加入していれば事業主が負担義務を負う保険料分を、被用者に事実上転嫁しているからである。そ もそも、労働法では非正規・不安定雇用者を拡大しなが ( 2) ら 、健康保険法の適用対象をほぼフルタイムの労働者に限 定したままであり、それが被用者医療保険の被保険者の範囲だけではなく、それに付随する被扶養者の範囲を縮小 している。結果として、国保に加入している被用者に、低賃金でも健康保険と比較すれば数倍の保険料を過重に負 担させる一方、国保は傷病手当金の支給を保険者に義務付けていない上に、療養の給付を受ける場合には一部負担 金 の 負 担 も 配 慮 が な い な ど、 何 重 も の 不 利 な 状 況 が 生 じ て い る。 二 つ に、 福 祉 国 家 が 健 康 権 (憲 法 二 五 条) を 具 体 化する核心制度は公的医療保険 (被用者医療保険及び国保) であり、健康権による医療ニーズは、公的医療保険にお いて福祉国家がすべての市民に平等に保障しなければならず、所得保障によるスタンダードよりも一層平等を志向 するものであ ( 3) る 。健康が生活の基底にあることを考慮に入れると、福祉国家は生活困窮者にも、平均的収入の稼得 者に合理的に提供される水準に基本的にそった療養給付を提供する責任を負 ( 4) う 。三つに、そうした点からも国保に おける保険料滞納による療養給付の制限には問題が多 ( 5) い 。そもそも国保の保険料賦課が低所得層に過重であり、加 えて失業者は基本手当の受給者も、貯蓄がなければ国保保険料が負担できないとする分析結果があ ( 6) る 。医療保険に おいて給付と負担は双務契約、つまり「保険料の納付を約して給付を受ける」関係にはない。したがって、給付請 求 権 は 保 険 料 納 付 義 務 と 必 ず し も 厳 密 に 結 び つ く わ け で は な い。 保 険 料 滞 納 者 へ の 保 険 者 の 療 養 給 付 の 支 給 義 務

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(国 保 三 六 条 一 項 本 文) は 完 全 に 消 滅 す る と は い え な い。 保 険 料 の 滞 納 者 は、 療 養 給 付 請 求 権 を フ ル に 行 使 で き な い としても、しかしだからといって、いかなる療養給付も請求できないのか、検討が必要である。全ての市民に医療 を保障する目的を果たすのに、強制加入の対象者の範囲を拡大するならば、そこには低所得者も含み、場合により 保険料を全部又は一部支払うことができない事情も生じうることを想定しなければならない。国保と生活保護法を 画定する基準も明確にされなければならない (国保六条九号) 。   本 稿 で は、 ド イ ツ 法 を 比 較 対 象 に、 健 康 権 の 救 済 方 法 を 明 ら か に す る。 ド イ ツ に は 日 本 の 生 存 権 (憲 法 二 五 条) に 匹 敵 す る 定 め は な い が、 基 本 法 二 〇 条 一 項 (社 会 国 家 原 理) と 結 び つ い た 一 条 一 項 (人 間 の 尊 厳) か ら、 人 間 の 尊 厳に値する生活の最低条件を求める権利を市民は有し、それには十分な衣食住と並んで「十分な医療上の療養給付 の確保」が含まれることが確立してい ( 7) る 。またすべての市民に五編 (医療保険) が適用されるわけではないが (Ⅰ、 Ⅱ 章 で 後 述) 、 す べ て の 市 民 に 保 障 さ れ る 医 療 上 の 最 低 条 件 を 定 め る の が 五 編 (医 療 保 険) で あ り (五 編 に 依 拠 し た 医 療 扶 助(生 活 保 護(一 二 編) 四 八 条) 、 健 康 権 の 核 心 部 分 で あ る 医 療 の 最 低 保 障 の 内 容 は 原 則 と し て 五 編 に よ る 保 障 水準が決めている。平等な医療の最低条件をすべての市民に整備するからこそ問題になるのは、五編による保障を 受けない薬剤・治療方法であり、また保障方法が明確ではない少数の市民に、経済的な理由により受給が制限され る場合に、司法がいかに実効的な権利救済をおこなうのか、である (Ⅲ章で後述) 。   近年、医療をめぐり新たに展開しているのが、一つに、被用者等の被用者医療保険の加入者でもなく、稼働能力 の な い 生 活 保 護 受 給 者 (社 会 法 典 一 二 編) で も な い 市 民 を、 二 〇 〇 七 年 四 月 一 日 か ら 医 療 保 険 に 加 入 さ せ、 ド イ ツ 型 の 皆 保 険 制 度 を 目 指 し た (公 的 医 療 保 険 競 争 促 進 法[ GKV-Wettbewerbsstärkungsgesetz ]( BGBl. 2007 I S. 3 ( 8) 78 ) 。 ド イツ医療保険改革の評価は他日を期し、本稿では、保険料滞納に対する諸問題に検討対象を限定し、日本では「無

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保険の子」として顕在化した問題をどのように捉えるべきか、そしてその解決方法について、ドイツ法からの重要 な示唆を得ることにしたい。いま一つに、日本では国籍を理由に医療扶助が適用されないが、ドイツでは庇護申請 者 に つ い て、 連 邦 憲 法 裁 判 所 二 〇 一 二 年 七 月 一 八 日 判 9) 決 を 基 に、 庇 護 申 請 者 給 付 法 ( Asylbewerberleistungsgesetz ) 改 正 法 (二 〇 一 五 年 三 月 一 日 施 行 予 定) ( BGBl.2014IS.2187 ) が 成 立 し て い る。 連 邦 社 会 裁 判 所 は、 庇 護 申 請 者 給 付 法 による受給権を有していない市民に緊急の治療を提供した場合でも、医療機関は医療費の償還を生活保護実施主体 に 請 求 で き な い、 と し た の に 対 し 10) て 、 改 正 法 は 庇 護 申 請 者 給 付 法 の 実 施 主 体 に 救 急 医 療 の 費 用 引 き 受 け を 定 め (改 正法六a条) 、結果として受給権者の適切な療養を確保することになってい ( 11) る 。 注 ( 1)   国 保 の 保 険 料 額 は 保 険 料 の 均 等 割 の 影 響 に よ り 低 所 得 層 の 子 が い る 世 帯 で は 高 く、 相 対 的 貧 困 率 を 上 げ る(阿 部 彩「格 差・ 貧 困 と 公 的 医 療 保 険: 新 し い 保 険 料 設 定 の マ イ ク ロ シ ュ ミ レ ー シ ョ ン」 『季 刊 社 会 保 障 研 究』 四 四 巻 三 号(二 〇 〇 八 年) 三 三 二 頁 以 下) 。駒村康平他「社会移転が相対的貧困率に与える影響」樋口美雄他『貧困のダイナミズム』 (二〇一〇年、慶應義塾大学出版会) 八一頁以下、大沢真理「逆機能する税・社会保障システム」 DIO293 号(二〇一四年)一一頁。 ( 2)   総務省統計局「労働力調査の結果を見る際のポイント」 No.16 (二〇一三年) 。 ( 3)  

Ebsen, Armut und Gesudnheit, SDSRV H. 56, 2007, 133, 147.

( 4)   Ebsen,ebenda. ( 5)   さ し あ た り 寺 内 順 子「C 君、 あ な た の も と に も う 保 険 証 は 届 き ま し た か」 『教 育』 五 九 巻 五 号(二 〇 〇 九 年) 二 一 頁 以 下、 全 日 本 民 主 医 療 機 関 連 合 会「国 保 な ど 経 済 的 事 由 に よ る 手 遅 れ 死 亡 事 例 調 査 報 告」 (二 〇 一 四 年) 参 照。 厚 生 労 働 省「国 民 健 康 保 険

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(市 町 村) の 財 政 状 況(速 報) 」 に よ る と、 国 保 の 被 保 険 者 資 格 証 明 と 短 期 被 保 険 者 証 を 交 付 さ れ て い る 世 帯 は、 二 〇 一 二 年 度 で、 そ れ ぞ れ 二 七・ 七 万 世 帯 と 一 一 七 万 世 帯 で あ る。 さ ら に、 伊 藤 周 平「国 民 健 康 保 険 料 の 滞 納 問 題 と 医 療 保 障 ― 保 険 料 滞 納 者 の 医 療 を受ける権利の観点から」 『都市問題研究」六〇巻四号(二〇〇八年)二八頁以下参照。 ( 6)   福田直人「失業時所得保障制度の比較研究―日独比較を中心に―」 『社会政策』四巻一号(二〇一二年)一二三頁以下。 ( 7)   BVerfG Urt.v.09.02.2010 E 125, 175, 223; BSG Urt. v. 22. 04. 2008 E 100, 221; BSG Urt.v. 18. 01. 2011 E 107, 217; BSG Urt.v. 06. 03. 2012 E 110, 183. なお、ある治療方法が公的医療保険による療養給付の範囲に含まれない場合に、必要があればすべてを保険者 が 提 供 し な け れ ば な ら な い と い う わ け で は な い が、 と く に 資 力 の な い 市 民 に 二 編 に よ り 医 療 上 の 需 要 を 充 足 す る の か 否 か は 争 い が あ る 。 学 説 と し て 、 Ebsen, a.a.aO., S.133ff.; Neumann, Das medizinische Existenzminimum zwischen Sozialhilfe und Krankenversicherung, R sD E H. 68, 2009, 133, 142. ( 8)   た だ し、 二 〇 一 三 年 八 月 一 日 か ら「医 療 保 険 に お け る 保 険 料 債 務 者 の 社 会 的 過 剰 な 要 求 の 排 除 の た め の 法 律( Gesetz zur Beseitigung sozialer Überforderung bei Beitragsschulden in der Krankenversicherung )」 ( BGBl. I2013, 2423 ) に よ り、 五 編 に 二五六a条を導入し、保険料債務の軽減及び免除を定めている。ドイツ医療保険改革の評価は他日を期したい。 ( 9)   BVerfGE 132,134. 本 件 で は 庇 護 申 請 者 給 付 法 三 条 に よ る 支 給 額 が、 国 籍 を 有 し な い、 ド イ ツ 国 内 の 居 住 者 に 対 し、 基 本 法 一 条 一項と二〇条一項と一致しないとしていた。 ( 10)   公 的 医 療 保 険 も 生 活 保 護 法 も 庇 護 申 請 者 に 適 用 さ れ ず、 ま た E U 加 盟 国 出 身 者 で も 治 療 を 受 け る た め に 入 国 し て い る 場 合 に は 医 療 保 障 は 極 め て 制 限 さ れ て い る(一 二 編(生 活 保 護) 二 三 条 三 項 二 文) 。 何 ら の 医 療 受 給 権 を 有 さ な い 市 民 の 医 療 費 を だ れ が 負 担するのかは争われてきたが、連邦社会裁判所二〇一三年十月三十日判決( SozR 4-3500 §25 Nr.3 )は、庇護申請者については救助 者( Nothelfer ) と し て 医 療 を 提 供 し た 病 院 の 費 用 償 還 請 求(一 二 編 二 五 条 の 準 用) を 否 定 す る。 し か し、 庇 護 申 請 者 給 付 法 改 正 法 六 a 条 に、 救 急 医 療 を 受 け た 場 合 に は、 医 療 従 事 者 に そ の 治 療 費 の 償 還 が な さ れ な け れ ば な ら な い 旨 が 定 め ら れ た( BT-Drucks. 18/2592, S. 25 )。 ( 11)  

Beschlussempfehlung u. Bericht des Ausschusses für Arbeit und S

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Ⅰ   問題の所在 1   労働者家族の被用者保険からの「排除」 :「被扶養者」限度内就労と狭すぎる被保険者概念   稼 働 年 齢 の 低 賃 金 労 働 者・ 失 業 者 は、 一 方 で 被 用 者 医 療 保 険 か ら の 適 用 除 外 に よ り (国 保 六 条 一 号 の 非 該 当 性) 、 他 方 で、 生 活 保 護 法 の 適 用 抑 制 に よ り (国 保 六 条 九 号 の 非 該 当 性) 、 国 保 に 加 入 し て い る。 し か し、 本 来、 被 用 者 に は 健 保 な ど が 適 用 さ れ、 生 活 困 窮 者 に は 生 活 保 護 法 が 国 保 よ り も 優 位 す る (国 保 五 条、 六 条) 。 被 用 者 の 国 保 適 用 除 外の非該当性について、順に、問題状況をみていこう。   労 働 者 が、 被 扶 養 者 (健 保 七 条) と し て 認 定 さ れ る 上 限 を 超 え な い 就 労 (「被 扶 養 者 限 度 内 就 労」 と 呼 ぶ) に つ け ば、 医 療・ 年 金 に つ い て 保 険 料 を 支 払 う こ と な く、 一 定 の 療 養 給 付・ 基 礎 年 金 を 受 け る 権 利 が 成 立 す る こ と が あ る。 だ が、 「被 扶 養 者 限 度 内 就 労」 に つ く と、 賃 金 が 低 く 抑 え ら れ、 結 果 と し て 安 い 労 働 力 を 提 供 す る こ と に な る 。 こ の よ う な 「 被 扶 養 者 限 度 内 就 労 」 と 、 被 用 者 保 険 の す べ て に お け る 「 排 除 」 構 造 の 解 決 は 緊 急 の 課 題 で あ る。   被用者保険各法では被保険者の範囲が狭く設定され、被用者でも被用者保険法上は非就業者とされ、住民として 扱われることが問題になってきた。被用者の一部を、日本型福祉社会によりモデルとされた家族政策を通じて、被 扶養配偶者として優遇してきた。しかし、低賃金雇用が女性だけではなく、若者に拡大した結果、健保被保険者に なる若年男性労働者が減少し、ひいては被扶養者になる女性労働者というモデルも成立が困難になってきている。 健康保険の被保険者の範囲が狭いことが、被扶養者の範囲をも狭くする。非正規雇用者世帯の「子」は被扶養者た る 地 位 を 取 得 で き な い。 と く に「子」 に つ い て、 国 保 に 加 入 さ せ た 上 で、 「無 保 険 の 子」 に 対 す る 救 済 措 置 は と ら れ た が (国 保 九 条 一 〇 項 但 書) 、 そ も そ も 世 帯 主 の 非 正 規 雇 用 者 が 健 康 保 険 法 の 被 保 険 者 の 地 位 に あ る な ら ば、 子 は

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事 実 上 の 無 保 険 状 態 に な ら な い の で あ る。 「子」 に 無 保 険 状 態 を 強 い て い る 一 要 因 は、 行 政 の 実 務 基 準 に あ り、 か つその事後審査による追認にあ ( 1) る 。   保 険 料 の 負 担 だ け で は な く、 受 給 権 の 内 容 を み て も、 傷 病 手 当 金 の 受 給 権 を 被 用 者 が 有 す る こ と は (健 保 九 九 条 一 項、 二 項) 安 定 的 雇 用 の 要 素 で あ る。 社 会 法 は 被 用 者 に 二 つ の 意 味 で の イ ン ク ル ー ジ ョ ン (包 摂) を 求 め る。 一 つ に、 労 働 市 場 へ の 参 画 に よ り 生 活 を 確 保 す る 機 会 を 求 め る こ と と、 二 つ に、 労 働 市 場 か ら 排 除 さ れ た 原 因 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 (傷 4 4 病、障害、労災、失業、高齢など)から生じる、労働者としての生活保障 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 への包摂である。反対にいえば、職場に 何らかに関わる原因で雇用を喪失し、所得を失っている場合に、労働者の生活保障システムから排除されないこと である。その点で労働と社会保障は相互依存関係にあり、社会保障は質の良い雇用の前提条件にな ( 2) る 。そもそも、 ディーセント・ワークを求める労働権には、職場での適切な労働条件の整備・集団法上の権利行使という狭義の労 働権だけではなく、職業生活において傷病、障害、失業、高齢などの要保障事故が将来に生じうることに自らも準 備する権利もまた含まれ、そのような被用者保険へ包摂される地位の付与は広義の労働権の要素と考えられ ( 3) る 。   以 上 の 立 場 に 立 脚 す れ ば、 給 付 内 容 を 雇 用 条 件 に よ り (例 え ば 一 定 の 収 入、 労 働 時 間 の 設 定) 区 別 す る こ と は 許 容 されるにしても、例えば被用者に健保が適用されるのか否かにより傷病手当金の有無といった区別が合理的である と評価され、憲法一四条に合致するには、労働条件から判断すれば給付への需要が小さいことが明白である場合に 限られる、と厳格に解されなければならない。   日本では非正規雇用者も被用者でありながら、そもそも被用者医療保険に事実上加入していない使用が常態化し て い る が、 ド イ ツ 社 会 法 典 四 編 (社 会 保 険 総 則) の「違 法 な 就 業 関 係 ( illegale Beschäftigungsverhältnisse ) 」 (一 四 条 二 項 二 文) 概 念 を 手 掛 か り に 改 善 す る 方 法 を 検 討 し た い (Ⅱ 章) 。 賃 金 代 替 機 能 を 果 た す 傷 病 手 当 金 が 生 計 の 維 持 に

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必要である場合に、 (継続) 支給決定の (仮の) 義務付けにも注目したい (Ⅲ章四節) 。 2   国保保険料滞納による不利益変更   被用者医療保険では唯一の保険料債務者は事業主である。確かに、事業主と被保険者の内部関係において事業主 は 被 保 険 者 の 負 担 す る 保 険 料 を 控 除 す る 権 限 を 有 し て い る が (健 保 一 六 七 条 一 項) 、 保 険 者 と の 関 係 に お い て 被 保 険 者は保険料に関しては直接の義務を有していない。他方で、給付に関しては、保険者は被保険者に給付義務を負っ ている。こうした法律関係において事業主が手続を懈怠し、保険料を滞納する場合、被保険者の保険者に対する請 求権に不利な効果は生じな ( 4) い 。   そ れ で は、 国 保 は ど う で あ ろ う か。 被 用 者 医 療 保 険 の 場 合 に は、 事 業 主 が 保 険 料 負 担 義 務 (健 保 七 二 条) 及 び 納 入 義 務 を 負 う の に 対 し (健 保 七 六 条) 、 住 民 型 医 療 保 険 の 国 保 に よ る 保 険 料 負 担 義 務 を 負 う の は 世 帯 主 で あ る (国 保 七 六 条 一 項 本 文) 。 療 養 の 給 付 に つ い て は、 保 険 者 は 被 保 険 者 の 疾 病・ 傷 病 に 対 す る 現 物 給 付 義 務 を 負 う (国 保 三 六 条 一 項 本 文) 。 例 外 と し て、 当 該 被 保 険 者 の 属 す る 世 帯 の 世 帯 主 が 資 格 証 明 書 の 交 付 を 受 け て い る 間 は、 逸 脱 が 許 される (同条同項但書) 。   以上を基に、健康保険法と対比すれば国保には二つの問題が生じうる。一つは、世帯主が保険料納付義務を果た さない場合に、療養給付請求権は成立しないのかが問題になる。二つは、保険料滞納の制裁は、被保険者資格を喪 失 し て い な い に も か か わ ら ず 有 効 期 間 を 付 す (付 款) (短 期 被 保 険 者 証 の 交 付) 、 又 は 方 法 の 変 更 (資 格 証 明 書 の 交 付) (国保三六条一項但書、九条三項ないし六項) による特別療養費の支給 (五四条の三) という形での不利益変更による。 被保険者資格証明書の交付により、最低限度の療養給付の確保はなされない。保険料を滞納しようともすべての市

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民に対する一定の療養給付の提供義務から保険者は免れないことは、日本では確認されていないことになる。 3   滞納は誰に生じるのか   ( 1)「唯一の保険料債務者」としての被用者   ド イ ツ で は 二 つ の 保 障 方 法 に よ り す べ て の 市 民 に 医 療 を 確 保 す る こ と を 目 指 し て い る (図 1) 市 民 が 何 に 依 っ て生計を維持しているのかにより強制加入対象を確定し、また保険料の負担及び納付義務者を決めている。まず、 五 編 の 医 療 保 険 の 適 用 に よ る 場 合 に は、 そ の 核 心 部 分 で あ る 被 用 者 医 療 保 険 の 強 制 加 入 対 象 は、 一 定 の 低 所 得 者 (月 額 四 五 〇 ユ ー ロ 未 満) 又 は 短 期 不 安 定 雇 用 者 (五 編 七 条 一 項 一 文 に よ る 僅 少 労 働 者(四 編 八 条 又 は 八 a 条) ) を 除 き、 使 用 関 係 の あ る 者 が 被 保 険 者 に な る (社 会 法 典 五 編 五 条 一 項 一 号) 。 後 述 す る よ う に、 被 用 者 と し て の 被 保 険 者 資 格 を有する場合には、保険料納付関係に被保険者は関与しておらず、保険者に対する納付義務を負うのは事業主であ る (四 編 二 八 e 条) 。 違 法 に 手 続 を 懈 怠 す る 事 業 主 も、 「偽 装 的」 個 人 自 業 主 も、 保 険 者 の 保 険 料 徴 収 権 か ら 免 れ る ことは少な ( 5) い 。   また、雇用保険の基本手当に匹敵する失業手当Ⅰの受給者は、賃金補償給付受給による生活者として被保険者に な る (五 条 一 項 二 号) 。 保 険 料 負 担 義 務 者 は、 連 邦 雇 用 エ ー ジ ェ ン シ ー で あ る (二 五 一 条 四 a 項) 。 さ ら に、 日 本 と ち が っ て、 失 業 手 当 Ⅱ と い う 生 活 保 護 を 受 け る 生 活 困 窮 者 も、 強 制 加 入 対 象 で あ る (五 条 一 項 二 a 号) 。 医 療 保 険 料 は 連 邦 エ ー ジ ェ ン シ ー が 納 付 義 務 を 負 い (二 五 二 条 一 項 二 文) 、 連 邦 が 負 担 義 務 を 負 う (二 五 一 条 四 項 一 文) 。 失 業 手 当 Ⅱ受給者は保険料を負担することなく、病気及び要介護の要保護事故に対し、公的医療保険・介護保険に包摂され ( 6) る 。以上の被保険者は、保険者に対する保険料納付義務を負わないので保険料の滞納を理由とする受給権の制約は

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生じないのはもとより、公的医療保険による受給権が保障されている。   他 方、 被 用 者 保 険 の 各 号 に 該 当 し な い の は、 例 え ば、 重 度 障 害 者・ 高 齢 者 の 生 活 保 護 (社 会 法 典 一 二 編) に よ る 生 活 扶 助 受 給 者、 庇 護 申 請 者 給 付 法 二 条 に よ る 受 給 権 者 で あ る (五 編 五 条 八 a 項 二 文) 。 障 害 の あ る 児 童 が、 施 設 で のケアを受けている場合も (八編三三条ないし三五条、三五a条二項三号又は四号) ここに含まれる (八編四〇条) 。   二 〇 〇 七 年 三 月 三 一 日 ま で は、 何 ら か の 公 的 医 療 保 険 に 加 入 し て い な い し、 生 活 保 護 (一 二 編) に よ る 医 療 扶 助 等を受給していない者も存在していたが、同年四月一日から五編は、医療保障が事実上及んでいなかった人を強制 加 入 対 象 に し て い る (五 条 一 項 一 三 号、 以 下「一 三 号 被 保 険 者」 と よ ぶ。 ) 。 五 編 は、 「病 気 に な っ た 場 合 の 保 障 を『他 の 方 法 で 請 求 す る 権 利 ( anderweitig Anspruch auf Absicherung im Krankenheitsfall ) 』 を も っ て い な い 者」 を「一 三 号 被 保 険 者」 と す る。 こ こ で の「他 の 方 法」 に は、 社 会 保 険 だ け で は な く (被 用 者 医 療 保 険(五 編) 、 芸 術 家 社 会 保 険、 基 本 手 当 等 の 賃 金 補 償 給 付 受 給、 求 職 者 基 礎 保 障 給 付(失 業 手 当 Ⅱ) 受 給、 さ ら に 被 扶 養 者、 任 意 被 保 険 者) 、 児 童 青 少 年 福 祉 法 (八 編) に よ る 医 療 扶 助 の 受 給 者 (八 編 四 〇 条) 、 庇 護 申 請 者 給 付 法 に よ る 受 給 者 な ど の 特 別 法 に よ る 医 療 保 障 も 含 ま れ て い る。 そ う し た 被 用 者 保 険 各 法 (日 本 で は 国 保 六 条 一 号) や 生 活 保 護 (同 条 九 号) な ど の 方 法 で 保 障されないすべての市民に対する医療保障を目指してドイツも「一三号被保険者」を導入し ( 7) た 。一三号は、他の保 障方法をもたないすべての住民に、他の保障方法を「補足する社会保険」として機能する点で、日本の国保五条に 匹敵する。もっとも、ドイツは、日本と異なり、被用者医療保険法の適用が広いこと及び最低生活保障が機能して い る こ と に よ り、 無 保 険 者 は 多 く な い。 「一 三 号 被 保 険 者」 に は、 例 え ば 小 規 模 の 個 人 事 業 主 が 該 当 す る が、 低 所 得者、保険料納付が困難な者、又は保険関係が不明な者が、一三号の導入により顕在化している。保険料の滞納も 想 定 さ れ る。 そ こ で、 「一 三 号 被 保 険 者」 の 導 入 と 同 時 に、 滞 納 に よ る 請 求 権 の 停 止 と そ の 制 約 を 定 め 8) た (五 編

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一六条三a項) 。ここで注目したいのは、形式的には「一三号被保険者」になっ ているが、実質的には被保険者証が交付されず、救急医療を必要とする事態に 陥る、又は慢性疾患に罹患し、医療保険に加入しようとしたが、保険者に拒否 さ れ る 場 合 に、 仮 の 義 務 付 け に よ る 救 済 が 確 立 し (Ⅲ で 後 述) 、 医 療 保 険 者 が 治療の支払義務を負うことが確認されている点であ ( 9) る 。   ( 2)公的医療保険と生活保護の「費用の押し付け合い」   ドイツでは、生活困窮者に最低所得保障が社会法典二編又は一二編により確 保され、それらの市民は公的医療保険又は医療扶助の受給権者であり、その内 容 は 健 康 権 の 核 心 制 度 で あ る 公 的 医 療 保 険 (五 編) の 水 準 に よ り、 医 療 上 の 知 見の一般的水準に応じた給付が提供される (五編一二条) 。しかも、保険料負担 を個人が負うことはない。他方で、国保のように、勤労収入がない又は失業・ 傷 病 に よ る 保 障 を 受 け て い な い に も か か わ ら ず、 強 制 加 入 の 対 象 に な っ た 上 で、保険料を自ら納付する義務を負う市民は、二〇〇七年三月三一日までは存 在 し な か っ た。 そ れ 以 降 は、 「一 三 号 被 保 険 者」 と し て 強 制 加 入 の 対 象 に な る 住民には、経済的に厳しい状況の人が含まれることになっている。   二 〇 〇 七 年 四 月 一 日 以 降、 生 活 保 護 か ら 公 的 医 療 保 険 へ の 費 用 の「押 し 戻 し」を引き起こしている。というのも、五編は、稼働能力のない生活保護受給 図 1  ドイツの医療の保障方法(2007年 4 月 1 日以降) 5 編以外の法令 1 号ないし12号 13号(新設) 被用者 個人自営 業者など 庇護申請者給付法 被扶養者(10条) 配偶者、 子など 5 編(医療保険) 失業者、求 職者など 生活保護(12編) 庇護申請 者 生活保護(重度障害 者、高齢者)

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者 (社 会 法 典 一 二 編) を「一 三 号 被 保 険 者」 と し な い 旨 を 定 め、 強 制 加 入 対 象 か ら 除 外 し て い る (五 条 八 a 項) 。「一 三 号 被 保 険 者」 条 項 の 導入は、生活保護実施主体に、生活保護を支給しなければ当該住民を 国 保 被 保 険 者 に す る「逃 げ 道」 と な る (押 し 付 け) 機 能 を も つ 危 険 が あるからである。ここに住民型医療保険と生活保護の「費用の押し付 け合い」が生じる理由がある。   ドイツでは国保五条の機能に匹敵する「一三号」の導入は改めて低 所得層の「漏給」の問題に直面させ、生活保護を支給しない形で保護 実施主体が公的医療保険に責任を「押し戻す」ことを排除する方法が 争訟を通じて模索されている。   ( 3)検討課題   以 上 の 問 題 状 況 を 踏 ま え、 社 会 法 典 五 編 (一 六 条 三 a 項 及 び 五 条 一 項、 同 条 八 a 項) か ら、 医 療 保 険 の 保 険 料 滞 納 を 生 じ さ せ な い 方 法 が 二つ確認できる。一つは、被用者には原則として労使折半に基づく被 用者保険を適用し、その人的対象を拡大することである (図 2の(ⅰ) 該当者の拡大) (五条一項一 ( 10) 号 ) 。いま一つは、最低生活を保障すること に よ り、 強 制 保 険 の 適 用 対 象 者 か ら 除 外 す る こ と で あ る (日 本 の 国 保 (ⅰ)  被用者保険被保険者(日本:国保 6 条 1 号、健保 3 条、ドイツ: 5 編 5 条 1 項 1 号ないし12号) (ⅱ) 生活保護受給者(日本:国保 6 条 9 号、ドイツ: 5 編 5 条 8 a 項) (ⅲ) 住民型保険被保険者(日本:国保 5 条、ドイツ: 5 編 5 条 1 項13号) 図 2  医療保障の適用対象 被用者 日本 (ⅰ)健保 (ⅱ)生活保護 (ⅰ)5 編 1 号 ないし12号 民間医療保険 拡大 縮小 ドイツ 非被用者 被用者 非被用者 (ⅲ)13号 (ⅲ)国保(5 条) (ⅱ)生活保護

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六 条 九 号 に 匹 敵 す る、 五 編 五 条 八 a 項 及 び 五 編 一 六 条 三 a 項 二 文 後 段) (図 2の(ⅱ) 該 当 者 の 拡 大) 。 前 者 は、 い う ま で も な く、 日 本 で は、 国 保 加 入 者 の 過 半 数 は 被 用 者 又 は 失 業 者 で あ 11) り 、 健 保 が 正 規 の 被 用 者 医 療 保 険 で あ る の に 対 し、国保は自営業者等というより、いわば「非正規」被用者医療保険になっている現状を解決する上で、極めて重 要な方法である。後者については、日本で保険料滞納の問題として顕在化しているのは、保護の「漏給」層の医療 受給権であり、国保と医療扶助は並列する排他的関係であるため、国保の適用除外基準が問題になる (図 2の(ⅱ) と(ⅲ) の 画 定) (国 保 六 条 九 号 及 び 同 号 括 弧 書 き) 。 ド イ ツ 社 会 法 典 五 編 が、 市 民 に 要 保 護 性 が 生 じ る 時 点 を も っ て 保 険 料 滞 納 に よ る 制 裁 規 定 を 適 用 し な い 旨 を 定 め る の は (一 六 条 三 a 項 二 文 後 段) 、 日 本 に 重 要 な 示 唆 を 与 え る。 保 険 料 滞 納 に よ る 給 付 の 停 止 が 要 保 護 性 を も っ て 終 了 す る こ と は、 日 本 の 国 保 六 条 九 号 が「生 活 保 護 法 (昭 和 二 十 五 年 法 律 第 百 四 十 四 号) に よ る 保 護 を 受 け て い る 世 帯 (そ の 保 護 を 停 止 さ れ て い る 世 帯 を 除 く。 ) に 属 す る 者」 に 該 当 す れ ば 国 保 の 強 制 加 入 か ら 除 外 さ れ る 定 め に 匹 敵 し、 医 療 扶 助 に よ る 保 障 を 受 け る こ と に よ る (Ⅱ 章) 。 こ れ ら の 二 つの方法は、要するに、被用者又は生活困窮者を、可能な限り「唯一の保険料債務者」にしないことにある。   経 済 的 理 由 に よ る 医 療 受 給 権 の 制 約 は、 ド イ ツ で は 仮 の 権 利 保 護 が 確 立 し て い る (Ⅲ 章) 。 社 会 保 険 に 分 類 さ れ る領域のなかで生命・健康の侵害可能性が最も高くまた直接的である医療保険において、日本で仮の権利保護によ る救済すら確立していないのは、社会法における重大な欠陥である。以下、順に検討する。 (参照条文)社会法典五編(医療保険) 五条   保険加入義務 Versicherungspflicht 一項   次の各号に該当する者は、保険加入義務者である。

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   一号   報酬を対価として就業する労働者、職員及びその職業教育のための就業者    … (省略) …    一三号   疾病時の保障を他の方法での請求権をもたない者が、次の各号のいずれかに該当する場合    a)最後に公的医療保険被保険者であった者、又は    b) 従来公的又は私的医療保険の被保険者でなかった者、ただしその者が五項又は六条一項又は同 条二号に掲げられた人に含まれる又は自らの職業の業務の遂行に際して国内にいればそれらに 含まれていたであろう者 … (省略) … 八a項   本条一項一号ないし一二号に基づく保険加入義務者、任意加入者又は一〇条に基づく被扶養者として加 入 す る 者 は 一 三 号 被 保 険 者 に よ る 強 制 加 入 対 象 で な い。 社 会 法 典 一 二 編 (社 会 扶 助) 三、 四、 六、 七 章[順 に、 生計扶助、高齢者及び重度障害者基礎保障、障害者に対する統合扶助、介護扶助、筆者補足]に基づく継続給 付の受給者 ( Empfänger ) に対して準用する。   一六条 一項、二項    …省略… 三a項   芸術家社会保険法による被保険者に対する給付請求権は、保険料の負担額を二カ月間滞納し、催告にも かかわらず支払わない場合には、芸術家社会保険法一六条二項の詳細な規定に基づき停止する。一文は、同法 典の諸規定に基づく構成員が、二カ月の保険料を滞納し、催告にもかかわらずそれを支払わない場合にも準用

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  し、二五条及び二六条による疾病の早期発見のための診断、急性疾患の治療及び痛みの発作並びに妊娠及び母 性の治療の必要がある場合は除く、但し、滞納し、停止期間にかかる保険料負担分がすべて支払われた場合、 又は被保険者が社会法典二編又は一二編の要保護状態にいたる場合には、停止は終了する。 注 ( 1)   上田真理「変容する失業と被用者保険」 『社会保障法』二九号(二〇一四年、法律文化社)一〇五頁以下。 ( 2)  

Eichenhofer, Recht des aktivierenden Wohlfahrtsstaates, 2014, S

. 70. ( 3)   Eichenhofer, a.a. O., S. 90. 木下秀雄「おわりにかえて」脇田滋他編『常態化する失業と労働・社会保障』 (二〇一四年、日本評 論社)三二九頁。なお詳細な検討は他日を期したい。 ( 4)   ドイツ法について、上田真理「雇用の変化と社会保険」脇田滋他編、前掲書、六四頁以下。 ( 5)   日 本 の 問 題 に つ い て、 脇 田 滋「社 会 保 障 制 度 を め ぐ る た た か い と 連 動 し て」 中 村 和 雄・ 脇 田 滋『 「非 正 規」 を な く す 方 法』 (二〇一一年、新日本出版社)一六三頁以下。 ( 6)  

BVerfG Urt.v. 09. 02. 2010 E 125, 175, 228; BSG Urt. v 26. 05.

2011 E 108, 235. ( 7)   政 府 は、 公 的 医 療 保 険 の 強 制 加 入 対 象 を 拡 大 し、 病 気 の 場 合 に す べ て の 市 民 に 保 障 す る こ と を 目 的 と し た が( BT-Drucks. 16/3100, S.94 )、 二 〇 〇 七 年 当 時 無 保 険 者 は 二 一 万 一 〇 〇 〇 人( Statistisches Bundesamt, Pressemitteilung, Nr. 45 v. 02. 02. 2008 )、ドイツ全体では住民の 3パーミルと推定された。 ( 8)   「一 三 号 被 保 険 者」 の 創 設 時 に は、 保 険 料 滞 納 は そ れ ほ ど 大 き な 問 題 に な る と 認 識 さ れ て い な か っ た よ う で あ る が、 そ も そ も 保 険 者 に 届 け て い な い 又 は 当 時 無 保 険 者 で あ る 人 が、 「一 三 号 被 保 険 者」 と し て 医 療 保 険 に 戻 る も の の、 保 険 料 が 支 払 わ れ な い た め、 二 〇 〇 八 年 時 点 で 医 療 保 険 者 に 数 百 万 ユ ー ロ の 保 険 料 滞 納 が 生 じ た( Felix, Das Gesetz zur Beseitigung sozialer

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Überforderung bei Beitragsschulden in der Krankenversicherung – ein gelungener Weg aus der “Schuldenfalle ” in der GKV?, NZS 2013, 921 )。 ( 9)   Gress/Anke/Wasem, Auswirkungen der Maßnahmen gegen Nichtversicherung im GKV-WSG-Eine Zwischenbilanz, Sozialer Fortschritt 2009, S. 147ff.. ( 10)   日 独 の 適 用 対 象 者 に つ い て、 上 田 真 理「被 用 者 保 険 法 に お け る 保 険 関 係 の 成 立 及 び 存 続 に 関 す る 法 的 課 題」 『東 洋 法 学』 五 六 巻一号(二〇一二年)一一四、 一一八頁以下。 ( 11)   厚 生 労 働 省 保 険 局『平 成 二 四 年 度 国 民 健 康 保 険 実 態 調 査 報 告』 (二 〇 一 四 年、 一 四 頁) で は、 国 保 の 世 帯 主 年 齢 が 二 〇 歳 台 の 加 入 者 は 被 用 者 が 二 〇 歳 か ら 二 四 歳 六 五・ 二 %、 二 五 歳 か ら 二 九 歳 が 七 二・ 一 % も 占 め て お り、 非 正 規 雇 用 者 の 増 加 に よ る も の と 推 測 さ れ る。 ま た、 中 川 秀 空「国 民 健 康 保 険 に お け る 最 近 の 動 向」 調 査 と 情 報 六 四 九 号(二 〇 〇 九 年) に よ れ ば、 六 〇 歳 未 満 の 世 帯 主 の 職 業 を 平 成 一 九 年 度 と 一 二 年 度 を 比 較 す る と、 自 営 業 者 三 〇 ・ 六 % か ら 二 三・ 七 % に 減 少 し、 被 用 者 が 四 五・ 八 % か ら 五〇 ・ 六%、無職者が一六・七%から二〇 ・ 三%に増加している。 Ⅱ   住民型医療保険の適用除外 1   被用者医療保険の優先   ( 1)「違法な就業関係」の要件 (四編一四条二項二文)   被用者医療保険では、給付は保険者と被保険者の関係において、負担は保険者と事業主の法関係において問題に なるので、そもそも給付と負担の法律関係は分離している (医療保険の法律関係における「給付と負担の分離原 ( 1) 則 」) 。   五 編 は、 健 保 の「納 付 義 務」 (一 六 一 条 二 項) に 匹 敵 す る、 保 険 者 に 対 す る 保 険 料 の 支 払 い 責 任 (五 編 二 五 二 条 以 下) と、健保の「負担義務」 (一六一条一項本文) に匹敵する、経済的にそれをだれが負担するのか (五編二四九条以

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下) を 区 別 し て い る。 保 険 料 の 負 担 義 務 と 納 付 義 務 は 常 に 一 致 す る わ け で は な い。 被 用 者 に つ い て は、 保 険 料 の 納 付 義 務 者 は 事 業 主 で あ る (五 編 二 五 三 条 に よ る 四 編(社 会 保 険 総 則) 二 八 e 条 の 適 用) 。 被 用 者 医 療 保 険 が 適 用 さ れ る 場合には、保険料納付義務者は事業主であるため、被保険者の保険者に対する医療受給権は保険者との関係におい ては保険料の滞納を理由とする制約が問題にならない。   事 業 主 の 届 出 義 務 違 反 に つ い て は、 一 九 八 〇 年 代 か ら「事 業 主 の 被 用 者 保 険 か ら の 逃 亡」 が 問 題 に な り、 一 九 九 〇 年 代 か ら 闇 労 働 ( Schwarzarbeit ) の 克 服 と し て 課 題 に な っ て い る。 こ れ を 一 層 発 展 さ せ、 「違 法 な 就 業 及 び 闇 労 働 の 克 服 を 促 進 す る た め の 法 律」 (二 〇 〇 二 年 八 月 一 日 施 行) ( BGBl. 1 2002, 2787 ) に よ り、 四 編 は 一 四 条 二 項 に「手取報酬が合意されている場合には、就業者の収入はそれにかかる租税並びにその法律上の負担分に応じた社 会 保 険 及 び 雇 用 保 険 の 保 険 料 を 含 め、 報 酬 と み な す」 と す る 一 文 に 続 き、 「違 法 な 就 業 関 係」 に つ い て、 租 税 及 び 社会保険及び雇用保険の保険料が支払われていない場合、 「手取報酬が合意されているとみなす」 、と二文を挿入し ている。   ま ず、 「手 取 報 酬 の 合 意」 (四 編 一 四 条 二 項) と い う の は 何 で あ ろ う か。 被 用 者 保 険 の 保 険 料 に 係 る 法 律 関 係 を、 保険者に対する外部関係と、被用者と事業主の内部関係に区別すれば、外部関係において唯一の保険料債務者は事 業 主 で あ る (四 編 二 八 e 条 一 項、 日 本 で は 健 保 一 六 一 条 二 項) 。 労 働 者 の 保 険 料 負 担 分 を 使 用 者 は 労 働 者 に 請 求 す る が (二八g条一文) 、それは、事業主が報酬から控除する権利を有することによる (二八g条二文、健保一六七条一項) 。   以上を基に検討すれば、本来、法律が定める保険料額の負担割合を被保険者及び事業主は負担し、事業主は被保 険者が負担すべき報酬に係る保険料分を報酬から控除するのが原則である。問題は、被保険者が負担すべき保険料 分を控除しないで支払われている報酬をいかに解するのか、である。ドイツ社会法典四編は、これを違法な「手取

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報 酬 の 合 意」 (一 四 条 二 項) と み な す わ け で あ る。 す な わ ち、 「労 働 の 対 償 と し て 受 け る す べ て の も の」 が 報 酬 で あ り (一 四 条 一 項 一 文) 、 そ こ か ら 被 保 険 者 が 負 担 す べ き 保 険 料 分 が 控 除 さ れ て い な い の で あ れ ば、 そ れ は「被 保 険 者 は保険料分を負担せず、事業主が全額負担する」といった「労使の内部関係における保険料の負担割合の変更」と 解 さ れ、 保 険 者 と 事 業 主 の 外 部 関 係 に 影 響 を 与 え る も の で は な い。 換 言 す れ ば、 「手 取 報 酬 の 合 意」 は、 内 部 関 係 において使用者は、本来賃金から被用者の保険料負担分を控除する権利又は償還請求権 (四編二八g条、日本では健 保一六七条一項) を有しているが、それを使用者は最初から放棄する約定を含む、と解され ( 2) る 。   二〇〇二年に一四条二項二文が導入される以前は、事業主が被用者の保険料負担分までの「引き受け意思」を有 し て い た の か 否 か が 確 認 さ れ な け れ ば な ら な い と 解 さ れ て お り、 そ の 引 き 受 け 意 思 の 認 定 は 困 難 で あ っ た。 そ れ を、一四条二項二文に手取報酬の合意は違法な就業での賃金の合意であると定めることにより、そうした困難な認 定は不要になってい ( 3) る 。   も っ と も、 「違 法 な 就 業 関 係」 を 社 会 法 典 四 編 は 定 義 し て い な い。 こ れ を 連 邦 社 会 裁 判 所 二 〇 一 一 年 一 一 月 九 日 判決は「主として使用者の客観的義務に違反する行為」と定式化し、新局面にいたってい ( 4) る 。禁止された使用関係 だけではなく使用者が被保険者の保険料を負担・納付する義務の違反を「違法な就業関係」と定めている。   「違 法 な 就 業 関 係」 と し て 捉 え よ う と し て い る の は、 日 本 の 実 務 で は「四 分 の 三 ル ー ル」 を 内 部 基 準 に し、 慣 行 により加入しないことを許容してきた事態であり、まさにそのような事業主の義務の不履行それだけで「使用」が 違法になり、それが「違法な就業」とドイツでは認定されるわけであ ( 5) る 。   次 に、 「違 法 な 就 業 関 係」 に 対 す る 効 果 を み れ ば、 四 編 一 四 条 に よ れ ば、 違 法 に 保 険 料 を 支 払 っ て い な い 場 合 に は、 そ れ は 手 取 報 酬 で の 合 意 で あ り、 「違 法 な 就 業 関 係」 と み な し、 手 取 報 酬 と 擬 制 さ れ た 内 容 を 基 に、 租 税 及 び

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各 種 被 用 者 保 険 料 を 算 定 し、 そ れ を 加 算 し、 本 来 約 定 さ れ る べ き 報 酬 (つ ま り「仮 定 さ れ た 報 酬( hypothetisches Bruttoentgelt )」 ) が 確 定 さ れ る。 そ れ を 基 礎 に 保 険 者 は 保 険 料 債 権 を 行 使 す る。 ド イ ツ で は、 「違 法 な 就 業」 の 責 任 は 厳 し く 問 わ れ 6) る 。 事 業 主 に「未 必 の 故 意」 が 認 定 さ れ る と、 保 険 料 債 権 の 消 滅 時 効 は 三 〇 年 に な る (四 編 二 五 条 一項二 ( 7) 文 ) 。   日 本 に は「違 法 な 就 業 (使 用) 」 の 定 め は な い が、 健 保 は 一 定 の 被 用 者 に 対 す る 強 制 加 入 が 原 則 で あ り、 健 保 に 加入しない旨の労使の約定は許されるものではない。そうすると、被保険者が本来負担すべき保険料を控除しない 額 の 賃 金 が、 使 用 者 と 合 意 さ れ て い る と す れ ば、 そ れ は、 「手 取 報 酬」 が 合 意 さ れ て い る、 と 解 さ れ る べ き で あ ろ う。つまり、それは健保一六七条一項により使用者が保険料を賃金から控除する権利を放棄する意思表示と解され る。そうであれば、本来の被用者負担分を含む名目賃金の額を、当該手取報酬を前提に算定し、その名目賃金に係 る保険料を事業主は納付する義務を負うと解さざるをえないだろう。   ( 2)「違法な使用」の争訟例   違法な使用の型としては、次のものがある。   (ⅰ) 「偽装的な個人事業主」型   「偽 装 的 な 個 人 事 業 主」 の 扱 い に 対 し て も、 遡 及 的 に 使 用 関 係 の 成 立 を 認 定 し、 保 険 加 入 義 務 が あ る こ と、 事 業 主 に 保 険 料 納 付 義 務 が あ る こ と を 確 認 し て い る。 例 え ば、 ノ ル ト ラ イ ン・ ヴ ェ ス ト フ ァ ー レ ン ( NRW ) 州 社 会 裁 判所決 ( 8) 定 では、本件のG氏及びI氏を「個人事業主」と扱っていることが四編一四条二項の「違法な就業関係」で あるとし、被用者医療保険・被用者年金保険・雇用保険における加入義務があり、保険料の遡及的納付を事業主に

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義 務 づ け て い る。 す な わ ち、 四 編 一 四 条 二 項 二 文 の 適 用 下 で 報 酬 は、 手 取 報 酬 か ら 適 切 に 算 定 ( hochzurechnend ) さ れ る。 そ の 条 件 は、 い わ ゆ る「違 法 な 就 業 関 係」 の 存 在 で あ る。 連 邦 社 会 裁 判 所 の 判 決 に よ れ ば、 「違 法 な 就 業 関係」として認定する条件は、一つに、客観的な観点から、使用者が当事者を違法にも個人事業主として扱い、そ して全体として租税及び社会保険の保険料を控除していなかったことである。いま一つに、主観的な観点から、保 険 料 及 び 租 税 を 納 付 し な い こ と に 少 な く と も「未 必 の 故 意 ( bedingter Vorsatz ) 」 が あ る こ と で あ 9) る 。「未 必 の 故 意」とは、自らの保険料義務がありうるとみなし、そして保険料の控除がないことを承認して受け入れた場合に認 められ ( 10) る 。本件も「未必の故意」を満たし、本件のG氏及びI氏を個人事業主と捉える手かがりはないと判示して い る。 「確 定 さ れ る 収 入 は、 法 律 に 基 づ き 当 該 収 入 に 係 る 労 働 者 負 担 分 及 び 税 金 を 含 め て 仮 定 さ れ た 報 酬 が「最 終 的に算出さ」れなければならない。   保険料を納付しないことに過失がない場合は別だが、事業主は追徴金支払いという制裁も負う (四編二四条) 。追 徴金支払いがなされないのは、保険料債務者が、自らに支払い義務を認識していなかったことに過失がないことを 疎明する場合だけである。本件では申立人はそれをしていない。実際の諸般の事情から、未必の故意により保険料 債務を履行していないことが認められ ( 11) る 。   (ⅱ) 「違法な派遣」について   労 働 者 派 遣 の 保 険 料 納 付 義 務 は、 派 遣 先 が 連 帯 し て 義 務 を 負 う (四 編(社 会 保 険 総 則) 二 八 e 条) 。 NRW 州 二〇一三年一月九日判 ( 12) 決 では、職業紹介者が、建設会社にクレーン運転手を紹介しているが、そもそも派遣の許可 を得ていない違法な事業主であった。労働者派遣法九条一項による無効な労働者派遣は、派遣元が合意した賃金を 派 遣 労 働 者 に 支 払 い、 そ れ に か か る 社 会 保 険 料 総 額 ( Gesamtsozialversicherungsbeitag ) を 支 払 う 義 務 を 負 う 場 合 に

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は、 派 遣 元 は 連 帯 債 務 者 と し て の 派 遣 先 と 並 ん で 責 任 を 負 う (四 編 二 八 e 条 二 項 三 文 後 段) 。 そ こ で、 遡 及 し て 保 険 料納付を連帯債務者の建設会社とともに事業主に求められた。本件は、先の連邦社会裁判所二〇一一年一一月九日 判 13) 決 を確認した上で、労働者派遣法九条一号によれば、派遣元と派遣先並びに派遣元と派遣労働者の間の契約は、 派 遣 元 (本 件 申 立 人) が 労 働 者 派 遣 の 許 可 を 得 て い な い 場 合 に は、 無 効 で あ る。 ク レ ー ン 運 転 者 の 建 設 会 社 へ の 紹 介は労働者派遣、つまり労働者を労務提供のため申立人の経済的業務の枠内で派遣である、と。本件は、次の二つ の 条 件 を 満 た す の で「違 法 な 就 業 関 係」 (四 編 一 四 条 二 項 二 文) で あ る、 と い う。 す な わ ち、 一 つ に、 使 用 者 に 被 用 者保険法上の義務の違反があることであり、本件ではクレーン運転者は届出をしていないので、その条件を満たし て い る。 も う 一 つ の 条 件 は、 使 用 者 に 課 せ ら れ た 義 務 の 違 反 が 少 な く と も「未 必 の 故 意」 に よ る こ と で あ る (前 掲 連 邦 社 会 裁 判 所 二 〇 一 一 年 一 一 月 九 日 判 決) 。「未 必 の 故 意」 は、 本 件 の よ う に 真 の 闇 労 働 の 場 合 に は、 原 則 と し て 認 定される、としてい ( 14) る 。 2   生活保護を「受給する者」 (ドイツ社会法典五編五条八a項、国保六条九号) の意義   ( 1)費用の押し戻し   国保は、被用者保険が適用されない市民すべてに適用されるわけではなく、生活保護法との画定も重要な問題で ある。ドイツには二〇〇七年三月三一日まで住民型医療保険がなかったので、生活保護を受給していない者に医療 を提供した場合に、医療機関は保護実施主体に医療費の償還を求めてきた。その場合には、市民に生活保護受給権 が成立していないのであれば、医療提供者を「救助者」として位置付け、保護実施主体が治療費を引き受けてきた (二〇〇五年一月一日以降一二編二五条、それ以前は連邦社会扶助法一二一条) 。

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  しかし、二〇〇七年四月一日の「一三号被保険者」導入後は、治療を受ける時点で保護を受給していない者は、 「他 の 方 法 で 医 療 を 請 求 す る 権 利 を 有 し て い な い」 も の と し て、 法 律 上 客 観 的 に「一 三 号 被 保 険 者」 の 資 格 を 取 得 する。したがって、医療の保障に対する最終責任を負うのは医療保険者であり、たとえそれが「一三号被保険者」 で あ る 旨 が 確 認 さ れ て な い 市 民 (本 人 が 保 険 関 係 を ど の よ う に 認 識 し て い る の か も 別 で あ る。 ) に 対 し て も 同 様 で あ ( 15) る 。また、保険料滞納による「事実上の無保険者」も客観的には被保険者である以上は、医療保険者が医療費を負 う こ と に 変 わ り は な い、 と い う こ と に な 16) る 。「公 的 医 療 保 険 へ の 包 括 的 な 加 入 対 象 の 拡 大」 に よ り、 加 入 者 に 対 し て最終的な医療保障の責任を負うのは生活保護ではなく、公的医療保険の保険者であるからである。医療の保障方 法 が な い す べ て の 市 民 を 強 制 加 入 の 対 象 に す る 制 度 を 導 入 し た た め、 救 急 医 療 の 救 助 者 に 対 す る 償 還 規 定 (一 二 編 二 五 条) は 従 来 ほ ど 適 用 さ れ な い と い 17) う 。 し か し、 問 題 は、 市 民 だ け が 保 険 料 を 単 独 で 負 担 し、 納 付 す る 義 務 を 負 う た め (五 編 二 五 〇 条 三 項、 二 五 二 条 一 項 一 文) 、 低 所 得 者 を 含 む 以 上 は、 保 険 料 の 滞 納 も 生 じ う る こ と で あ る。 ド イツの被用者医療保険は、被用者に加えて、日本と異なり失業手当受給者、障害者作業所での作業者など、広範囲 に被用者保険加入者を拡大し、保険料負担・納付義務者を第三者が負担している一方で、高齢者、介護扶助受給者 などの一定の市民には最低生活が租税により保障される。そうした被用者保険・最低生活保障のいずれにもカバー されない市民が医療を必要とする場合、住民型医療保険による。   ( 2)保護「漏給」層は国保適用者なのか (国保五条、六条九号)   (ⅰ) 日 本 の 国 保 は、 い っ た ん す べ て の 市 民 を 被 保 険 者 と し た 上 で、 特 別 規 定 が 優 先 す る 人 的 対 象 を 除 外 す る。 そ の 一 つ に 国 保 六 条 は「生 活 保 護 を『受 給 し て い る』 」 市 民 を 挙 げ て い る (九 号) 。 し か し、 生 活 保 護 基 準 未 満 の 収

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入でありながら生活保護を利用していない世帯は生活保護利用世帯の五・五倍と見込ま ( 18) れ 、経済的理由による受診 抑制はまさに「漏給」層に広まっていると推測され ( 19) る 。国保六条九号の「保護受給者」は、国保一九六三年改正に より、行政実務では 生活保護の受給開始時点を基準に判断し 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 ( 20) 、 実際の保護利用者と解しているが、むしろ国保六条 九号の適用に際しては、最低生活保障の観点からすれば保護を客観的にはいつから開始するべきであるのかが検討 されなければならない。保護「受給者」には、過去のある時点から客観的に要保護性が継続しているが、相談又は 申 請 を し て い な か っ た 者 も 含 ま れ る べ き で は な い の か、 そ れ と も 行 政 の 決 定 に よ り は じ め て「受 給 者」 に な る の か。 後 者 の 立 場 は、 国 保 の 被 保 険 者 の 適 用 (除 外) を、 生 活 保 護 実 施 主 体 の 支 給 決 定 の 内 容 に 依 存 さ せ、 偶 然 性 に 依 拠 さ せ る こ と に な り、 適 切 で は な い。 い つ か ら 国 保 の 適 用 対 象 か ら 除 外 さ れ る の か は (国 保 六 条 九 号) 、 国 保 に は 無職、低所得者を被保険者に含むため、生活保護の請求権の成立時を検討しなければ、判断できな ( 21) い 。   (ⅱ) 国 保 六 条 九 号 に 匹 敵 す る 規 定 が、 ド イ ツ 社 会 法 典 五 編 五 条 八 a 項 で あ る。 保 護 を「受 給 し て い る ( empfangen ) 」 (五 編 五 条 八 a 項 二 文) と い う 判 断 が 問 題 に な る。 例 え ば、 重 度 障 害 者・ 高 齢 者 に 対 す る 生 活 保 護 (一 二 編 四 章) の「受 給 者」 は、 生 活 扶 助 の 継 続 給 付 の「受 給 者」 と し て 五 編 五 条 八 a 項 が 強 制 加 入 対 象 (一 三 号) か ら 除 外 し て い る た め、 国 保 に 匹 敵 す る「一 三 号 被 保 険 者」 で は な い。 争 点 は、 「受 給 者」 の 認 定 が、 実 際 に 生 活 保護実施主体の処分を得ていることが必要なのか、客観的に受給資格があるのでも足りるのか、である。   ドイツ連邦社会裁判所は、保護の開始時点をめぐり、給付の決定が客観的に違法であるのか否かだけではなく、 当時充足されなかった需要が中断なく継続しているのか否かが重要であると ( 22) し 、需要が消滅していない場合には過 去に遡及して保護することも矛盾しない、と判示してい ( 23) る 。   連邦社会裁判所一二小法 ( 24) 廷 によると、国保六条九号に匹敵する五編五条八a項二文の保護を「受給している」と

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い う の は、 生 活 保 護 を 保 護 実 施 主 体 の 行 政 行 為 に よ り 認 定 さ れ て い る 期 間 で あ る が、 「一 三 号 被 保 険 者」 の 保 険 加 入義務の取得ないし喪失についての決定は、判断する時点で生活保護の給付が実際に提供されているのか、つまり 弁 済 さ れ て い る な い し 取 得 し て い る 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 (実 際 に 受 け て い る) 4 4 4 4 4 4 4 4 4 か 否 か で は な く、 請 求 す る こ と が で き る の か 否 か に よ る 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 (強 調 筆 者) 。 同 様 に、 連 邦 社 会 裁 判 所 二 〇 一 〇 年 一 月 二 七 日 判 25) 決 も、 一 三 号 に よ る 保 険 加 入 義 務 を 児 童 青 少 年 福 祉 法 の 医 療 扶 助 (八 編 四 〇 条) を 受 け て い る 者 は 負 わ な い が、 そ の 医 療 保 険 加 入 義 務 の 存 否 を 判 断 す る に は、 そ の 市 民が八編四〇条による医療扶助の給付を客観的に請求することができるのか否かが重要であると判示している。   そ し て、 一 二 小 法 26) 廷 は、 保 護 を「受 給 し て い る」 (五 条 八 a 項 二 文) と い う 概 念 に と っ て、 実 際 に 受 給 し て い る の か否かではなく、請求できる地位にあるのか否かが重要であると判示しているが、それは「一三号被保険者」が生 活 保 護 を 受 け て お ら ず、 他 に は 医 療 の 保 障 が な い 人 へ の「最 後 の 受 け 皿 と し て の 保 険 加 入 義 務 ( Auffang-Versicherungpflicht ) 」 の目的を有することと一致しているという。 一二小法廷は、 病気の場合の給付責任を、 「一三 号被保険者」の導入により、生活保護実施主体が保護を実施しないことにより公的医療保険の負担に押し戻すもの ではない、と強調している。原則として医療保険と生活保護の受給は従来から独立した、並列関係にある。医療保 険に加入せず、生活保護を受給している者は、一三号のいう「他の方法で保障されている」ものであるので、強制 加 入 の 対 象 で は な い。 そ し て 一 三 号 に よ る 保 険 加 入 は 補 足 的 ( subsidiär ) な 性 格 を も つ こ と、 そ し て 後 位 性 の あ る (一 二 編 二 条) 生 活 保 護 に よ る 継 続 的 な 給 付 が 一 三 号 規 定 の そ う し た 補 足 性 ( Subsidiarität ) を 限 界 づ け る も の で は ない、と判示している。要するに、国保五条の機能に匹敵する一三号は、被用者医療保険はもとより生活保護も受 けていない人を最後に捉える機能を果たすのであり、生活保護が補足性によるといっても、一三号が生活保護より も優先されるわけではないということである。

(26)

  さらに、一二小法 ( 27) 廷 は、五編の草案理由に依拠し次のように判示する。五条八a項二文が達成しようとする目的 は、 「生 活 保 護 (一 二 編) に『引 き 続 い て』 生 活 保 護 受 給 者 の 治 療 に 対 し て 管 轄 を 存 続 さ せ る こ と で あ る。 五 編 五 条 八 項 三 文 に よ り、 「五 編 五 条 八 a 項 二 文 に よ る 生 活 保 護 実 施 主 体 の 給 付 義 務 の 優 先 規 律 ( Vorrangregelung ) は そ の 効 果 を 失 わ せ る こ と が あ っ て は な ら な い、 と い う こ と ( BT-Drucks16/4247,S.29 ) が 意 図 的 に 確 認 さ れ て い る」 。 本 判 決 は 続 け て、 一 三 号 に よ る 保 険 加 入 義 務 の 成 立 な い し 喪 失 に つ い て の 決 定 を、 生 活 保 護 (一 二 編) を 実 際 に 受 給 しているのか否かでおこなうならば、病気の場合の給付責任の「押し戻し」になってしまうであろう。受け皿とし て の 保 険 加 入 義 務 の 目 的 に ふ さ わ し い の は、 一 二 編 四 章 の 継 続 的 な 給 付 の「受 給 ( Empfang ) 」 と い う 概 念 に と っ て、 給付請求権の開始を考慮に入れる場合だけである。その場合にのみ一三号の保険加入義務の発生を、社会扶助 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 主 体 に よ る 決 定 時 又 は 給 付 の 支 払 い 時 の 偶 然 に よ る こ と を 回 避 で き る の で あ る 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 (強 調 筆 者) 。 そ う す れ ば、 社 会 扶 助主体がその給付を行政行為を通じていつ認定したのか否かも重要ではないし、また社会扶助主体がそれをいつ提 供したのか、つまり支払ったのはいつか、そして受給者に取得されたのはいつかも重要ではないのである、と。   争 訟 例 を み る と、 あ る 患 者 (V) が ア ル コ ー ル に よ る 自 傷 行 為 等 に よ り 病 院 に 搬 送 さ れ、 救 急 治 療 が な さ れ 入 院 し た が、 入 院 し た 日 に 病 院 の ケ ー ス ワ ー カ ー は、 生 活 保 護 (二 編) を 申 請 さ せ る と 同 時 に、 国 保 被 保 険 者 に 匹 敵 す る「一三号被保険者」の可能性もあるので保険者に届出させた。ところが、医療保険者は患者Vの住所地も不明で あり被保険者資格を確認できないとし、病院の報酬請求を拒否したため、病院は医療保険者を相手として入院に伴 う治療費を償還請求している。連邦社会裁判所は、患者Vが緊急医療を受けた時点では確かに生活保護の支給決定 はなされていないが、その決定の前から継続して要保護状態にあるとし、Vに過去に遡及して保護が開始されるべ き で あ る と 判 示 し て い 28) る 。 要 す る に 医 療 保 険 の 資 格 に つ い て い え ば、 「保 護 を 受 け て い る」 と い う 要 件 を す で に 客

(27)

観的に充足しているので、国保に匹敵する「一三号被保険者」として医療保険に加入するものではない、というこ とにな ( 29) る 。   ( 3)国保六条九号の意義   以上の社会裁判所の立場は、日本も国保が生活保護を優先させ、保護「受給者」を適用除外対象とする点に重要 な示唆を与えている。   一二小法廷の判示から二点確認したい。一つに、国保五条に匹敵する一三号規定は、被用者医療保険や生活保護 が 適 用 さ れ て い な い 人 を「最 後 の 受 け 皿」 と し て 捉 え る ( auffangen ) 機 能 を も つ。 も っ と も、 そ の 機 能 を 果 た す に は、生活保護に補足性があるからといって一三号規定の適用が優先するのではなく、むしろ生活保護が機能するこ とが前提になるのであり、生活保護実施主体は国保・一三号規定へ医療保障の負担を押しつけるような意図をもっ てはいけない、ということになる。二つに、国保に加入するのか否かは、生活保護との関係では、実際に市民が生 活保護を受給しているのか否かではなく、むしろ生活保護を受給する権利を有するのか否か、そうした地位にある のか否かを客観的に判断して、国保六条九号のいう保護の「受給者」を解釈しなければならないことを強調してお きたい。   他方で、境界事例についても注意しなければならない。つまり、要保護性が消滅したものの、保険料を被保険者 が全額負担義務を負い、保険料を支払うことになれば、再び要保護状態に戻る場合、そうした市民も「一三号被保 険者」にせざるをえないのか。州社会裁判所は先の連邦社会裁判所一二小法廷判決を継承し、柔軟な結論を導いて いる。本 ( 30) 件 では、生活保護受給者がより高額の住宅手当を受けることになり、生活保護実施主体が保護廃止処分と

(28)

同 時 に、 原 告 に 医 療 保 険 の「一 三 号 被 保 険 者」 に な る よ う に 指 示 し た。 市 民 は そ れ に 従 い、 医 療 保 険 者 (被 告) に 被 保 険 者 と し て の 加 入 を 求 め た が、 こ れ が 拒 否 さ れ た た め、 提 訴 し て い る。 本 件 判 決 は、 も し 原 告 が 医 療 扶 助 (一 二 編 四 八 条) で は な く 一 三 号 被 保 険 者 に な る と、 本 件 原 告 に は そ れ に 伴 う 医 療 保 険 料 及 び 介 護 保 険 料 の 負 担 義 務 が 生 じ る も の の (二 〇 〇 九 年 八 月 か ら 一 二 〇 ・ 一 二 ユ ー ロ(五 編 二 四 〇 条 四 項 に よ る 最 低 保 険 料 額) 及 び 介 護 保 険 料 月 額 一 六・ 三 八 ユ ー ロ (介 護 保 険 の 最 低 保 険 料 額(一 一 編 二 〇 条 一 項 二 文 一 二 号、 五 五、 五 七、 五 九 条) ) 、 本 件 原 告 の 資 産 か らすれば、それを履行すればふたたび一二編四一条の要保護状態になるであろうと。そうすれば、原告は五編八a 項二文により一三号の適用除外になる、と。本件は、先の連邦社会裁判所が判示したように、社会扶助主体は一二 編による給付の受給者に継続して病気に対し保障すべきであること、五編五条八a項が目指したのは、生活保護実 施 主 体 が 生 活 保 護 受 給 を 中 断 さ せ れ ば 一 三 号 に よ る 保 険 加 入 義 務 が 成 立 す る、 と い う 形 で の 保 護 実 施 主 体 に よ る 「費 用 の 押 し 戻 し」 を 回 避 な い し 排 除 す る こ と に あ る、 と い う。 つ ま り、 一 三 号 は 現 に 存 す る 病 気 の 場 合 の 保 障 を、五編による被用者医療保険の被保険者からなる連帯共同体に転嫁させるべきものではなく、むしろ生活保護実 施主体が医療費を継続して調達しなければならない。   保 護 受 給 者 の 住 民 型 医 療 保 険 か ら の 除 外 は (五 編 五 条 八 a 項、 国 保 六 条 九 号) 、 負 担 能 力 が 無 い 市 民 を 除 外 す る だ けではなく、むしろ住民型医療保険導入によりすべての市民に医療を保障する方法の一つとして保護実施主体に医 療を含めた最低生活保障の責任が存続することを確認しているのである。

(29)

注 ( 1)   「 保 険 料 と 給 付 に 関 す る 法 律 関 係 の 分 離 原 則 」 に つ い て 、 Peters, in: Kasseler, SGB IV, §220, Rn. 40; Rixen, in: Becker/Kingreen ( Hrsg. ), SGB V, 4.Aufl., 2014,

§220 Rn.18.Auch vgl. Mack, in:Schlegel/Voelzke

( Hrsg. ), juris-PK, SGB V, 2. Aufl., 2012, §220 Rn.12. ( 2)   Werner, in:Schlegel/Voelzke ( Hrsg. ), jurisPK-SGB IV, §14, 2. Aufl. 2011, Rn. 305. ( 3)   Werner, in:Schlegel/Voelzke ( Hrsg.

), juris-PK, SBG IV, a.a. O.,

§14 Rn. 313. ( 4)   BSG Urt. v. 09. 11. 2011 E 109, 254. ( 5)   Schwartz Beschäftigungsverhältnis について、 Werner in:Schlegel/Voelzke ( Hrsg. ), jurisPK-SGB IV, a.a. O., §14 Rn. 303ff.. 上 田真理「雇用の変化と社会保険」脇田滋他編『常態化する失業と労働・社会保障』 (二〇一四年、日本評論社)六五頁。 ( 6)   LSG NRW, L 8 R 565/12 B ER は事後的な保険料徴収に対する一時的な救済を申立ている。 ( 7)   SG Dortmund,S34 R 1525/13 では社会保険の請求権の時効が問題になっている。 ( 8)   LSG NRW Beschluß v. 23. 06.2014 L 8 R 206/13 B ER. ( 9)   BSG Urt. v. 9. 11. 2011, B 12 R 18/09 R, SozR 4-2400 § 14 Nr. 13. ( 10)   二〇一三年九月一六日一二小法廷決定 , L 8 R 361/13 B ER. ( 11)   同様に、 Bayerisches LSG Urt. v. 06. 08. 2014, L 10AL 50/14 では労働契約を締結しない偽装について (請求は棄却) 、労働者 性が問題になっている。 ( 12)   L 8 R 406/12 BER. ( 13)   BSG Urt. v. 09.11. 2011, E 109, 254ff.. ( 14)   vgl. BSG Urt. v. 30. 03. 2000 SozR 3-2400 § 25 Nr. 7. ( 15)   BSG Urt. v. 12. 01. 2012, E 107, 177ff. LSG Baden-Württenburg Urt. v. 24. 04. 2012, L 11 KR 3057/10 では、急性アルコール中 毒 で 入 院 し た 患 者 に 対 し て、 医 療 保 険 者 も 患 者 本 人 も 入 院 時 点 で「一 三 号 被 保 険 者」 で あ る こ と を 認 識 し て い な い 場 合 で あ っ て

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