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産学連携プロジェクト研究報告 : 焼却灰リサイクル砂を利用した自然浸透浄化 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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(1)

産学連携プロジェクト研究報告 : 焼却灰リサイク

ル砂を利用した自然浸透浄化

著者名(日)

加賀 宗彦, 斎藤 衛, 畑 直之, 金子 雄一郎, 高根

沢 美香

雑誌名

工業技術 : 東洋大学工業技術研究所報告

33

ページ

43-47

発行年

2011

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00002083/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

焼却灰リサイクル砂を利用した自然浸透浄化

加賀 宗彦*,斎藤 衛**,畑 直之**,金子 雄一郎’*,高根沢 美香**          1.はじめに  この報告は21年度東洋大学工業技術研究所産学連携 プロジェクト研究の成果の一部を簡潔にまとめたもので ある.これまでの研究で本研究室では焼却灰リサイクル 砂に浄化能力があることをみいだした.その調査は室内 実験で行なってきた.その結果,特に汚染水の濁度やリ ン酸の除去には良い結果を得た.そこで次のステップと して実際の河川での浄化実証実験を実施する機会を得る ことを望んでいた.結果として浄化実験は川越市郊外の 用水路および川口市竪川で実施の機会を得た.川越市郊

外用水路での浄化実験は2009年4月1日∼6月10日ま

で実施した.初めての現地実証実験である.室内実験と は環境が大きく異なっていた.特に用水路の流水速度は 室内実験とは異なり日々変化した.この調査で浄化に適 したリサイクル砂の透水性が大きく影響することが判明 した.その後,埼玉県県土整備部水辺再生課による川の 再生・河川水浄化新技術実験の公募があり,応募したと ころ採択された.再度浄化実証実験の機会を得た.この 実験は蕨市を貫流する一級河川の竪川で行われた.平常 時の竪川の流域幅は約4mである.竪川浄化実験は2010 年1月29日∼3月29日の期間で実施した.この実験で は川越市郊外用水路での浄化実験データを参考にして透 水係数の大きいペレット状の焼却灰リサイクル砂を使用 した.しかし,前述の用水路実験とは異なり,県庁の条 件で浄化処置のできる範囲は河川幅の半分に制限され た.このため河川の半分は自然の河川水が流れる状態と なる.河川の全面浄化はできないのでかなり厳しい状態 での浄化実験となった.また実験期間中は雨や雪が多か った.そのため河川水がこの雨や雪で薄められきれな川 なった.その結果,水質の悪い条件での浄化実験はでき なかった.しかし,今回の試験から河川浄化のためのリ サイクル砂設置方法の新たな課題も見いだされた.       2.使用浄化材と実験方法  本研究の浄化材として用いた焼却灰リサイクル砂は焼 却灰の減量化の一環として開発されたものである.この リサイクル砂は焼成法で造粒された人工の砂である.本 研究室ではこの焼却灰リサイクル砂は浄化能力があるこ とを見出しその成果を発表してきたv・ 2).最初に本研究 の理解を得るため焼却灰リサイクル砂の浄化能力を簡単 に説明する. (1)自然浸透浄化実験による焼却灰リサイクル砂の浄化   効果  内径5cm,高さ100cmの透明アクリル円筒で作成し た2組の自然浄化装置にそれぞれ焼却灰リサイクル砂と 河川砂を80cm入れその上部から汚染水を流した.この 結果,焼却灰リサイクルリイクル砂を通過した浸透水は 川砂に比べて濁度や全りん酸が大きく減少することがわ かった1)・2’.この浄化能力は焼却灰リサイクル砂を浸透 する距離に比例する.浸透距離と浄化効果を実験で求め た結果が図一1,図一2である.図一1は濁度,図2は全りん 酸の測定結果である.図一1から浸透距離と濁度の関係は 次の指数関数で整理できる2). P=Poe−K°x (1) P:濁度 Po:初期濁度 Ko:係数 x:距離 この実験結果をに式(1)を適用すると次のようになる. Ps=117e−5・7665x (2)  なお,式(1)を透水係数kと浸透時間tで表すと次の ように浸透時間で濁度を予測することも可能である.  140  120 =100 ◎

580

題60 瞑  40  20

 0

濁度 尺=々、ビい  だ:濁度  Po,:初期濁度   k。係数  x・距離 @ v=klt k透水係数  1動水勾配  t時間 d=P休e一㍍前’ 垂刀≠P17e’57665x ﹂]  0    01   0.2   0.3   0.4   0,5   0,6   0.7   0.8   0.9          浸透距離(m) 図一1 浸透距離と濁度

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焼却灰リサイクル砂を利用した自然浸透浄化

ーt川﹂L1十ト

⑭⋮ 0  0  0  0  0 6  5  4  3  2     む   む       む ﹂\O∈趨ぺ⊃畑

一〇〇 倒0 0 PO4 .  I o=∫c‘’ ‘川 ρりん酸 「 一一         .一 I 垂潤A初期りん酸 ね}係数x 即離 一 x=ん,’ x:透水係数 1=動水勾配 』時間 一 P=P。e一困’ 1 P=α66e−42x ‘ ‘ ◆ ◆ ‘ 一 一 ・ 一・ 0.5  10 距離(m) 図一2 浸透距離と全リン酸 15 20  0.6  0.5 So.4

5

翻 0・3 弍o.2  0.1   0

  0

浸透速度の違いによるリン酸の浄化の変化 一一 一 ‘ ◆ 1 ﹂ 10 20     30 浸透速度の逆数 図・3 浸透速度とリン酸の浄化 40 50 Ps=Poe kokit (3) Ps;濁度, Po 初期濁度, k 透水係数, i:動水勾配,t 経過時間  次に図一2の全りん酸と浸透距離の関係を見てみると濁 度と浸透距離の関係と同じ指数関係で整理でき次の式 (4)(5)のように示される. P=Poe−k°x P 全りん酸 x 距離 (4) Po 初期全りん酸 Ko 係数 P=Poe−kokit (5) P 全りん酸  Po:初期全りん酸ko:係数 k 透水係数  i:動水勾配     t:時間  今回の実験結果を示した図一2に式(4)に適用すると 次のように示される. P=0.66e−4・2x (6)  これらの式は実際に河川などで浄化材を敷設する場合 その長さを決定できる. (2)浄化材の形状  今回実験に用いた焼却灰リサイクル砂は砂状にしたも のとペレット状にしたものである.砂状にした焼却灰リ サイクル砂の最大および最小粒径は10mm,0.2mmで ある.ペレット状のリサイクル砂は今回初めて使用した. 形状はラクビーボール状で短辺径は約15mmで,長辺径 は約18mmである.砂状の焼却灰リサイクル砂に比較し て粒径の大きいペレット状のリサイクル砂は,浸透性が 良い特徴がある.大量の水を浸透させるためには適して いる.今回使用した砂状の焼却灰リサイクル砂の浄化能 力は図一1,2に示した結果とほぼ同じである.これに対 しペレット状の浄化能力はまだ調査されていなかったの で実施した.その結果を図一3に示す.結果として浸透距 離80cmで浸透速度が0.025m/Sに相応する条件でリン 酸に対し環境基準llまで浄化することが可能である.        3m自然浸透浄化実験 (1) 川越市郊外用水路での自然浸透浄化実験  1)浄化材の設置  今回は実際の河川で行う初めての浄化実験である.現地 および実験の様子は写真一1に示す.この河川は川越市郊外 の用水路である.設置した砂状とペレット状の焼却灰リサ イクル砂の透水係数kはそれぞれ約0.01m/sと0.261m/s であった.この水路に長さ1m直径20cmの不織布の袋に 砂状およびペレット状の焼却灰リサイクル砂を詰めてじゃ篭 状に川底からの高さ30cmになるように設置した,設置方法 は図4に示すように上流側に砂状,約10m下流側にペレッ ト状の焼却灰リサイクル砂を設置した.これによって,計算 では,幅1m当たり浸透水量は,0.00145m3/sとなる.  浸透量の計算結果,全水量が浸透するものと予測され た.実験結果を図一5に示す.この図に示されるように上 流側の汚染水そのものと浸透浄化された下流側の全りん 酸の濃度はほぼ同じであった.

(4)

写真一1 じゃ篭状に設置した実験用水路 上流A点

砂状

ペレット状  中流B点下 過    こ 過

流C点

図一4 焼却灰リサイクル砂の設置位置と測点位置 き39

麿

 1.5 〃ン醐の値の1ITre(3/797 上流  中流 綱∼場野 図一5全りん酸の浄化結果 下流 写真一2 ネット内に焼却灰リサイクル砂を設置した実験用     水路 水の採取場所

卒川 挙朋

ピレット状の砂 早       挙A3       A6 @  2苓       挙A4      47

2鑑

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図一6 焼却灰リサイクル砂の設置位置と測点位置 グン醐の鍾の 変rer41237 A1・A2     A3・A4      A5      A6・A7     A8・A9        渤『綱点     図一7全りん酸の浄化  この結果全く浄化作用がない結果になった.この原因 は焼却灰リサイクル砂を円形の不織布の袋に入れたもの を積んだため,袋と袋間に隙間が生じた.水はこの間隙 を通過し,目的の浸透浄化は達成出来なかった.そこで, 完全浸透するように写真一2に示すように用水路に直接ネ ットを敷きその中に焼却灰リサイクル砂を設置するよう した.また,前回とは逆にペレット状リサイクル砂を上 流に,砂状リサクル砂を下流に設置した.浄化作用が大 きいことが実験で推測できたためである.図一6は焼却灰 リサイクル砂の設置位置と測定点を示す.結果は図一7に 示す.この図に示すように焼却灰リサイクル砂を直接用 水路に敷設して汚染水を浸透通過させた場合は自然浄化 効果はみられた.ペレット状リサイクル砂を上流側に敷 設して砂状のリサイクル砂を下流側に敷設した場合,水 の浄化は砂状のリサイクル砂を浸透した時点が最も大き い.原水に比較してリン酸は1/5,図には示していない が窒素は1/2まで減少することが今回の実験でわかっ た.水が焼却灰リサイクル砂を浸透させることができれ

(5)

焼却灰リサイクル砂を利用した自然浸透浄化 ば,浄化効果はみられる.しかし,降雨などによって水 位が上昇した場合,上端場を越流してしまい,汚染水を 浸透させることができない.この場合は浄化効果をほと んど消失する.焼却灰リサイクル砂を使用した自然浄化 は浸透が必要条件となる一.  2)一級河川竪川での自然浸透浄化実験  埼玉県県土整備部水辺再生課による河川水質浄化新技 術実験の公募があった.この応募には下記のように厳し い条件が付帯していた.   1)動力を必要としない     浄化材の設置のみ動力を使用しない   2)安全であること     人間の健康保護に関する環境基準,河川・水生     生物保全が守られること.   3)治水上問題がないこと.  本焼却灰リサイクル砂による水質浄化法はこの条件を クリアーできると考え応募した.その結果採択された.  竪川実験地の様子は写真一3に示す.水域幅は定常状態で 約4mである.水深は30cm,流速は約0.04m/sである.  当初、川越市郊外の用水路実験で得た知識をこの実験 に導入しようと考えていた.しかし,この河川の浄化実 験にはもう一つの条件が出された.それは浄化材の設置 方法に関することである.浄化材設置は河川幅の半分以 下とし,河川幅の半分以上は定常状態を確保する条件で あった.したがって河川の浄化材敷設方法はこの条件に 制約された.この条件で水質浄化をするためには浄化材 (焼却灰リサイクル砂)の敷設距離を長くする必要があ った.結果として図一8に示すような計画をして実施した. 焼却灰リサイクル砂の敷設長さは約20mである.敷設幅 は河川の半分約2mとした.敷設長さは式(2)と図一3を 参考にして決めた.河川浄化実験期間は1月29日∼3月 29日であった.浄化材の選定は川越市用水路で実施した データを参考にして透水係数の大きいペレット状の焼却 灰リサイクル砂を使用した.実験は1月29日から開始し た.その測定結果の一部を図一9,10に示す.浄化材の敷 設高さはほぼ水面と一致させた.当日の上流の原水の CODは9.5mg/1でウグイの生息できる河川である.下 流の測定点BでのCODは5.9mg/1であった.このB点 は図一8の平面図からわかるように上流に向かって河川の 右半分の定常の河川水も混入している.この状態でpH, DO,りん酸,窒素も測定した.この値は同図下の表に 示してある.この場合劇的な浄化は示されていないが, 浄化の効果は見られる.しかし,実験継続期間中は雨と 雪が多かった.そのため雨や雪で河川水の汚染物は薄め られきれいな川になった.したがって図一10に示すよう に上流のA測定点の原水のCODは4.23mg/1で浄化の 必要がないきれいな川であった.CODが7.O mg/1以下 であれば全魚類数の半数が生息できる.またこの場合は 増水のため敷設した焼却灰リサイクル砂の上を約4cmの 越流があった.この越流水は原水そのものである.結果 として,図一10に示すように上流と下流の測定値はほぼ 同じになった.今回の実験で満足な浄化実験はできなか った.ただ,浄化を発揮させるためにはもう一段の浸透 方法の改善が必要であることがわかった. 竪前橋 写真一3 竪川浄化実験地

4m下流

BOc

        【平面図〕 図一8 竪川浄化実験焼却灰リサイクル砂設置 〔、。、。年、月29日測定〕    平均COD=9.5         平均COO=59        1   にほぼ一致    一   xeL         演        ..  戸寸     一   上流        ぽぽ

       ⊂輌iコ下流B

1月29日 浸透 pH DO 濁度 燐酸 窒素 COD 上流 707 6.1825 一 0.69 11.02 9.5 下流 851 5.62 一 α84 7.87 5.93 図一9 浄化測定結果(2010年1月29日)(単位mg/1)

(6)

〔20癖2月26日測定1 2月26日 越流あり pH DO 濁度 燐酸 窒素 OOD 上流 723 7.89 7.67 0L61 1α2 4.32 下流 コ流5m 7.65 7.93 6.67 077 O56 9.75 X.43 4.47. R.79 図一10 浄化測定結果(2010年1月29日)(単位mg/1) 参考文献 1)吉田直人:バイオレメディエーションによる水質浄化の  検討,2005年度修士論文,2006.3 2)加賀宗彦,他5名:焼却灰リサイクル砂を利用した汚染水  の自然浄化実験,第61回土木学会年次講演会,2006.9

参照

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