医療的ケアを必要とするような重度重複障害児者の地域生活の支援のあり方に関する研究
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(2) 研究を始めるきっかけ 障害児者の地域生活の課題は様々に指摘されている。本研究ではその中でも、医療的ケ アを必要とするような重い障害のある人たちについて考えていきたい。 現在、障害者総合支援法によって障害児者への様々な支援サービスはある。しかし、そ の中から「外れる」人たちがいる。それは、医療的ケア(以下、医ケアと表す)を必要とする 重度重複障害児者である。医ケアの方たちの生活には次のような課題がある。 (1)レスパイト(障害のある人の日常的なケアからの一時的開放)機関がない。 医ケアの子どもの保護者は、吸痰や経管栄養、呼吸器管理・・・等様々な介護に忙 殺されている。それは昼間だけではなく、夜間も 1 時間おきに吸痰を必要とするケー スもある。そうすると親は、常に緊張状態と寝不足で精神的肉体的ストレスが高まっ ていく。しかしながら、そのような状態の中、親に対するレスパイト機関は乏しいの が現状である(特にショートステイができる所が少ない)。従って保護者は限界を超 えて頑張らざるを得ない状態にある。 (2)対応できる医師が少ない。 本圏域には、医ケアのような重度重複障害児に対して、訪問診療をする小児科医は 皆無で、定期的に保護者が通院させているのが現状である。学校も欠席せざるを得な いし、たくさんの機器を準備するためにかなりのエネルギーを必要とする。 (3)対応できる事業所が少ない。 医ケアの方は、「入院や体調を崩して事業所を休むことが多い」、「看護師等の専 門職を配置しなければならない等」の理由で、受け入れ事業所は非常に少ないのが現 状である。 (4)本人の体調は良好でも、学校に登校できない時がある。 現状は、保護者(母親)が送迎をして登下校しているケースが多い。それは、医ケ アの子は体調面の変化への対応が難しいとの理由でスクールバスに乗ることに制限 があるからである。母親に用事ができたり、熱を出したり、ケガをして体調を崩した りすると送迎ができなくなり、本人は元気でも学校を欠席せざるを得なくなる。 (5)学校卒業後の進路先が限定される。 進路先は、医ケアに対応できる人材(看護師等)が配置されているところに限定さ れる。そのような事業所は少なく、また、人工呼吸器を使用していると、受け入れで きるところはさらに少なくなってしまう。 そのような中で、医ケアの方たちとのつきあいが深まると「何とかしたい」という思いを 持つ人が多く出てくる。しかしながら、一人の看護師だけ、ケースワーカーだけ、施設職 員だけの努力では課題解決には結びつかない。そこで、様々な職種や立場の人が関わるネ 1.
(3) ットワークが必要と考えた。「一人の100歩より100人の1歩」のかけ声の下、25人 が集まって「医療的ケアを必要とするような重度重複障害児の地域生活を支援するネット ワーク『e-ケアネットよっかいち』」が2012年にスタートした。 現在、4年目の活動中でメンバーも多職種で50人を超え、2か月に一度ケース支援会 議をおこなっている。具体的な成果はいくつか出てきている。しかしながら「医ケアの子 やご家族の課題に真正面から応えられるような支援ができていない」ことも事実である。 医ケアの方が気楽に利用できるショートステイの場や児童発達センターのような社会資源 が乏しい事が浮き彫りになってきた。e-ケアネットよっかいちは、課題解決に結びつけ ることが大切な理念である。この点から、「ないものはつくろう」と考えた。それが、「な ちゅらん」である。具体的にどのようなサービスをする事業が必要なのか、イベントや研 修会、先進地視察をおこないながら研究を進めたいと考えている。. 研究の経過 1 2014,7より2015,3月 「三重県にないものは、みんなでつくろう」とのかけ声にもとに集まったメンバーで、 会議はスタートした。まずは、どのようなものをめざしていくのかの理念を時間をかけて 何度も話し合いをした。そして、次のように理念としてまとめた。. 基本理念 ★24 時間 365 日. 必要な方へ、必要な時に、必要なサービスを. とどけます. ★どれだけ重い障害があっても、自分らしく輝くことをあきらめずに生きてい ける、地域創りをすすめていきます ★なちゅらんにかかわる、すべての人たちの笑顔を、大切にしていきます そして、モデルとするような場所を見に行くために、県内だけでなく県外視察にも行っ た。兵庫県伊丹市や宝塚市、京都などに、まさにモデルとしたい事業所があった。 行政との相談も、福祉事務所や福祉課とおこなった。国県の補助金で建設をしていく案 も出たが、何も実績がないところが認められることはないだろうということで、まずは、 実績づくりのために自分たちの力で建てていくことになった。そこで、この圏域で場所探 しをおこなった。不動産屋や情報をたくさん持っているところにお願いをした。いくつか、 紹介を頂いたが、私たちの願いに合うところは中々見つからなかった。そんなときに、な ちゅらんメンバーの、知り合いから「土地を貸してあげてもよい」という情報が入った。 その方と会って、私たちの思いと合うところであり、深く理解もしていただいたので場所 が決まった。 場所が決まったので、本格的に視察研修もおこない、図面の検討にも入った。モデルと するところからは、代表者を講師としてお呼びして、研修会もおこなった。そして、多く 2.
(4) の方に周知していくために、 また休日の居場所づくりのために、イベントを企画実施した。 第 1 回目は、県内外から 150 名もの参加があり、あらためて「医療的ケアの方を含めて誰 もが使える事業所」の要望が強いことを感じた。 建設資金と運営資金を用意するために、町や企業、医師会、教職員組合・・・様々なと ころにお願いをした。また、助成金申請も可能なところについては申請をおこなった。町 については、建設地であり、利用者も多くなる予定で、何度かお願いをしに行ったが、「他 の事業所に補助をしていないので、なちゅらんだけに補助をすることはできない」との結論 に達した。他の所からは、少しずつカンパや寄付をしていただいた。 研修会議は、月に2回のペースで続けてきた。図面についても固まっていった。職員集 めについても、それぞれの部門の中心人物はほぼ固まった。相談支援については、2 月よ り「介護センターオリーブ」で先行実施することになった。 3月半ばにようやく開発申請の許可が県からおりた。当初は 2 月の半ばと予定をしてい たので 1 か月遅れとなった。委員のみなさんは「ようやくおりたか」という安堵と「いよい よこれから」という不安の気持ちが出された。 不安としては、 事業をしていく中で「利用者がどれだけ集まってくれるのだろうか」また、 それに対応する「職員をちゃんと確保できるのだろうか」というものだった。これについて は、助言者からは「この時期はちょうど不安が大きくなるもの。みんなが、あらためて理 念に立ち返ることが必要ではないか。理念そのものが皆さんを引き寄せて熱い気持ちを持 続させている。」との発言があった。まさに、事業の運営面に目が奪われて、何を大切に していくのかを忘れつつあった。利用者確保については、ご本人やご家族が何を求めてい るのかをイベントを通して直接聞き取ったりアンケートに答えてもらったりして把握して いくことになった。私自身も訪問看護で在宅の支援に行っているが、「24 時間 365 日」対 応することを大切にしている。支援を必要とする人に必要な支援をしていくことが当たり 前である。このなちゅらんの理念もそこにあった。 話し合いはこのあたりから不安ではなく、どのようにしていくかという前向きな意見が 出るようになった。予定事業の一つであるショートステイについても、ご本人や保護者に 安心してもらえるようにするにはどうすればよいのか。やはり、居宅介護や訪問看護で信 頼関係を築きながら「この職員には任せられる」と思ってもらわなければならない。その ためにも、居宅介護事業は 10 月から始める必要があるという意見が強くなった。 職員確保についても、10 月という年度途中での採用になるので、現時点でのはっきりと した雇用契約は難しい。それが委員の不安であった。これについても、「なちゅらんが職 員に対して求めているのは技術的なところではない。感性や理念が一番重要である。必要 な職員数と資格などを明らかにして、その上でみなさんのネットワークで探していけば必 ず見つかる」との助言も頂いた。 実施事業は、児童発達支援、放課後等デイサービス、ショートステイ、居宅介護、有償 サービス、訪問看護、相談支援が上がった。細部検討はこれからしていくことになった。 3.
(5) 早々に建設業者を決定して県への確認申請を行う必要があった。この先について、タイム スケジュール表をつくって見通しを持ちながらやるべきことを着実にこなしていかなけれ ばならない。また、グループに分かれてそれぞれに仕事を分担していくことになった。次 の三つを考えた。 1. 事務部. 会議設定、事項書作成、建設手続き、就業規則、職員給与規定 職員確保、会計、事業申請手続き、NPO法人関連. 2. 実働部. 事業細部準備、利用者確保の方法、必要物品、イベント運営. 3. 支援部. 資金援助の具体化、補助金、カンパ、会報、ホームページ. 先進的に取り組んでいる伊丹市の「しぇあーど」さんや宝塚市の「ヴィヴィ」さんの取り 組み内容をあらためて学びたいとの声があった。見学に行くかこちらにお呼びするか考え ていくことになった。. 3月末. ふれ愛名古屋見学. こちらはNPO法人として運営をされている。事業内容は「児童発達支援・放課後等デ イサービス・生活介護・居宅介護・3 号研修事業」である。 平成 22 年 3 月 1 日に法人が立ち上げられた。4 月 1 日より居宅介護事業をスタートした。 当時小学生であった子どもさんのお母さん二人と現理事長さんで始められた。子どもさん は発作が多く、 母親はその対応で疲弊し、また資格を取るために学校に通う必要があった。 そんなときに市内の居宅介護事業所に電話をしたが、どちらからも「うちでは見ることが できません」と断られた。そこで「ないものはつくればいい」との発想で自分たちで立ち上 げられたそうだ。理事長さんや母親とも会って、とてもパワフルな印象を持った。 平成 24 年 4 月には、 重度心身障害児への児童発達支援と放課後等デイサービスを始めら れた。現在は4カ所運営をされている。 平成 26 年 3 月には生活介護事業所も立ち上げをされた。 理事長さんには、その事業所を案内してもらった。また、全て重症心身障害児者を対象 とされている。もちろん、医療的ケアを必要とする人たちも対象としている。まずは「n atsu」という名前の施設は、昭和区にある医療ビルの 3 階を借りていた。こちらは小 中学生対象の放課後等デイサービスをされている。定員 5 人でマンツーマン対応をされて いた。「hana」は未就学児を対象とする児童発達支援を定員 5 人でされていた。こち らも 1 対 1 対応をされていた。この二つの施設は、同じビル内にあり、送迎をリフト車 6 台、職員の車 2 台の合計 8 台でまわしていた。 次に案内をして頂いたのは、南区にある「hoshi」である。建物は以前診療所だっ たところを改造して中高生を対象とした放課後等デイサービスを行っていた。おじゃまを した時間がちょうど昼時で、皆さんが食事をしている様子を見ることができた。職員さん が 1 対 1 対応で、ペーストや鼻注や胃ろう等にあたっていた。もちろん看護師さんもいた。 4.
(6) 食事は、4 つの施設共に家からの持参で、どうしても用意できない事情がある場合は、弁 当を施設で用意するそうだ。 最後に案内をして頂いたところは法人本部もあるところで南区の住宅街の閑静なところ であった。こちらは 15 人定員の生活介護と、5 人 定員の放課後等デイサービスをしていた。 このふれ愛名古屋さんは、土日祝も基本的に開 いておられる。年末年始だけがお休みだそうだ。 これも利用される皆さんの要望に応えている結果 だとお話をされていた。理事長さんのお話の中心 に、利用者とその御家族がいつもいた。その理念 や考え方に感銘を受けた。 また、全国重症心身障害児デイサービスネットワークについてもお話があった。各地で 頑張っている団体がネットワークでつながり、情報交換をして高めあっていくことの重要 さがを感じた。. 2 4 月から 6 月 候補地の確認申請も終了し、予定通り進めば 10 月 1 日オープンというめどが立った。そ の間に準備をしなければならないことがたくさんあった。その一つひとつを漏れのないよ うにしていかなければならなかった。そのためにタイムスケジュールをつくった。あらた めてタイムスケジュールに落としてみるとたくさんのことをしていかなければならないこ とがわかった。 医療的ケアを必要とするような重度重複障害児者への対応には職員研修も重要になる。 そのために専門的知識や技術を持ったドクターやナースを講師としてお招きをして職員が 身につけていくそんな研修体制を具体的に組んでいくことも決まった。 イベントについては、参加者がより安心して集まりやすく、丁寧に対応していくことが 必要だという助言で、大きな体育館を借りて行うよりも、なちゅらんの建物ができてその 中で実施していくことになった。従って 10 月から行う予定で、その中身について考えてい くことになった。 送迎車の配置についても、 ストレッチャータイプの車椅子にも対応できるものを考えた。 実際に医ケアの方はその方が使いやすいという、体が楽に乗れるものにしていきたいとい うことであった。. なちゅらん会議は何度も積み重ねていった。そんな中 で4/21には地鎮祭を実施した。前日までの大雨は上 がったものの、 風が強くて寒い日になった。その影響で、 祭場にテントを張ることができなかった。参加する中で、 5.
(7) 「いよいよ始まるんだ。」と力がこみ上げてきた。 事業の中身について検討もおこなった。児童発達支援については、対象の人をどうする のかの議論が行われた。 定員が 5 名と少ない中で、全ての人を対象とするのは無理である。 「家庭状況や保護者の困り感には様々あり、それに応えるためには肢体不自由の人という 枠でいいのではないか。」という意見や「それでは、医ケアのある人や重度重複の人を受 けることができなくなるのではないか」・・・様々な意見が出た。「この児童発達支援で 医ケアの人や重心の人がどれくらいの需要があるか」との疑問に対しては、助言者から「e -ケアネットよっかいちの中では、必要とする人は多い。ケースで何例も上がってきてい る」との発言もあった。議論を経て「医ケアや重心の人を中心に受けていく。その中で空 きがあれば他の肢体不自由の子を受けていく」ということで一応まとまった。 放課後等デイサービスについては、かなりの需要があるとの見込である。そうすると定 員 5 人を超えてしまうのではないか、その場合は減産になるのか・・・自分たちで答えを 出せず、福祉事務所等に聞くこととなった。 職員配置や職種についても様々に意見が出た。それぞれの部門で最低人数と職種を整理 して出すことになった。同様にどのように運営していくのか、何を大事にしていくのかに ついて、次回は先進的取組を行っている兵庫県伊丹市のしぇあーど代表国本さんに来てい ただくことになった。 国本さんには5月半ばになちゅらん会議にお越し頂いた。講演という形で委員が聞いた。 しぇあーどさんは有限会社で、居宅介護・訪問看護・短期入所・相談支援・移動支援・日中 一時支援を行っている。. 以下は講演の概要である。 しぇあーどは他の事業所立ち上げ支援もおこなっている。しぇあーどは伊丹市にあり、 周辺の尼崎とか、お手伝いをさせてもらう。立ち上げの時に理念を持ち続けていくことが 難しい。たとえば最近、放課後等デイサービス事業所がたくさんできてきた。これは短時 間で収益が上がる。それでいろんな業種が収益が上がるというので、建設業なども参入し てきている。平成27年度の報酬改定で、実施時間によって減産になったりする。また、 事業指定の段階でヒヤリングがあったりする。増えることが悪いことではないが、大事な のはインセンティブをどこに持っていくかである。中身を大事にしていきたいと思ってい る。 6.
(8) 昨日、しぇあーどの総会をおこなった。スタッフ60人で、ヘルパーさんや登録さんに も皆さんに事業の中身を知ってもらいたい。 なちゅらんでも「24時間」というのが大事だろう。社会福祉事業をする人がよく共生 社会の実現とかいうが、8時から17時のサービスでそれを言っている。人の生活は24 時間である。ここがとても大事である。しかしながら、法人や組織を維持していくには赤 字を出せない。そうすると制度にはまったりパターン化してしまう。 しぇあーどは、NICUから退院をしてきてどこも行くところがない子がいて、そんな ときに居宅介護や訪問看護から入ってご本人や親御さんとの信頼関係をつくっていく。就 学前の0歳や1歳の子が行くところがあまりない。しえあーどは拠点である。自由な使い 方をする。見学者もたくさん来る。みんなが集えるところ、屋根のある公園である。ここ で生活介護をしないのは、生活介護対象の所になってしまう。そういう人しか来られなく なってしまう。ここを拠点として街へ出て行って街を変えていくという考えである。 できるだけ自由度、スペースがあるようにしていくべきである。ある生活介護事業で大 きな建物があるのに夕方以降誰も使っていない。それはもったいない。送迎車もたくさん あるのに止まっている時間が長い。薄っぺらい収益でも積み上がったら大きなものになる。 先ほどの24時間というのは本人さんに合わせたものであるが、事業としても重要なこと である。労働者との兼ね合いもあり難しいところであるが。空いている時間7場所をもっ と使えるように考える。 2012年勇美財団で全国いろんな所をまわらせてもらった。ひと月に平均2か所くら いおじゃましてお話を聞かせてもらった。家でヘルパーやナースを使って楽しくやってい る人もたくさんいる。いくところは特にないが、看護師さんが体温を測って調子がよけれ ば外へ出かけていく。グループホームはとても管理されている。ここは自由度が大きくて 楽しんでいる。素敵な人が集まってくる。ただ、在宅で大変な生活をしている人はたくさ んいることを忘れてはいけない。 重症な方が産まれる前から生まれてから、退院するとき、 退院してから、医療や行政、福祉、教育にいろんな厳しいことを言われる。なかなか相談 に乗ってくれない。「二人で死にたい」と思うこともあったが、その後、素敵な人と出会 って支援の輪が広がって笑顔で過ごせるようになった。本当の地域や社会とは何なのか考 えさせられる。 ある女の子の例。当時9ヶ月で、ある研究者がその子に会って、母親の前で「超重症児 の研究をしていまして・・・」と話した。母親はドン引きになってしまう。自分の子ども を超重症児なんて思っていないし、認定もされていない。まわりの気配りのなさがある。 彼女が入院をした。母親は「次から次に知らない人(白衣を着た)がやってきて、手の施 しようがないと同じことを何度も言われてつらい」と連絡がきた。そして彼女が回復して きた。その後3回同じことが起こった。すると医者が「今度も大丈夫ですよ」と言った。 Aさん、低酸素脳症で長生きができないだろうと言われた。今は小学2年生になった。在 宅医療のドクターがいる。母親が「『Aさんは超重症児です。』と言ったところでいろん 7.
(9) なお世話が必要なんだというような『お世話する側』を中心とした情報がわかるだけであ って、娘がどんな子であるかを表していない。娘は・・・という主語で話してほしい。」 と私に連絡が来た。また、「障害があるから、という理由で生活がままならなかったり、 通園通学ができないからとか、贅沢をしようということではなく、基本的な生活ができな いということは制度云々のことではないからです。」と言っている。地域生活や在宅支援 や入院生活、入所生活とか、場所を変えることではない。超重症児のNICUの環境を単 に家に移すのではなく、地域住民の一員としてそこに居るということ。地域社会において 他の人々と共生することを妨げられないこと。. 5月末に医療と訪問看護の連携を考える目的である病院のSWさんのお話を伺った。 「NICUから退院した重度重複障害児の在宅療養」に大変興味を持ったからである。以 下はその報告である。 【この対象児は生後すぐにNICUに入り、脳性麻痺で症候性てんかん、呼吸器装着で した。家族構成は父母でその第1子でした。退院に向けて、おむつ交換などの育児ケアか らはじめました。その後、経管栄養などもおこないました。そして、多職種カンファレン スを実施しました。メンバーは、ドクター2名、ナース5名、ソーシャルワーカー1名、 訪問看護ステーションナース1名、保険師でした。そして、小児病棟での2泊3日の母子 入院を経て退院となりました。退院後は訪問看護ステーションが関わりましたが、病院側 も自宅訪問をおこないました。これは病院側から見れば、退院後の生活をイメージでき、 家族と医療者のずれをなくすことにつながったということでした、課題としては、在宅医 療を継続できるようにいかに家族をサポートしていくか。知識不足による看護の不十分さ。 家族の精神面へのアプローチの難しさ。を上げていました。ソーシャルワーカーからは、 主な関わり内容(福祉制度などの案内。退院に向けての支援。退院前カンファレンス調整) の説明がありました。課題として、在宅療養のコーディネーターが不明確。医療的ケアの ある重度重複障害児への社会資源の乏しさ。長期的横断的な支援。を上げておられました。 そして、訪問看護ステーションからは、課題として、母親が信頼できる専門家がいない。 母親が精神的安定を得られにくい。小児専門のワーカーがほしい。医療費の立て替えが高 額で支払いが苦しい。等が上げられていました。】 聞いていて、一人、一家族への支援をこのようにネットワークで支援することの大切さ を再確認した。ただ、ネットワークでの支援においても、社会資源の乏しさが大きな課題 である。母親の精神的安定も課題としてあげられていたが、同じような立場の人たちとの 接点や信頼できる者の存在が重要であると実感した。そのあたりをなちゅらんとして支援 の具体化をしていかなければならない。. 5月末に社会福祉法人むそう理事長さんのお話を伺ってきた。「高度医療依存児・者」の地 域包括ケアについてのお話で、まさに私の研究テーマに合致すると思った。 8.
(10) 理事長さんは、1999年に「生活支援サービスふわり」を運営された。2003年には 社会福祉法人むそうを設立された。福祉変革を愛知から始めて東京・宮城と広げておられる。 はじめの「ふわり」はフリーのヘルパーで、1時間2,000円で何でもするというも のであった。 支えている母親のケアの仕方を学び、それを行えるようにしていったそうだ。 初年度が50人から始まり、次は80人・・・とどんどん増えていった。ニーズに対して 何でもできる、困っていることの全体をやりたかった。今は制度にないものはできない。 ご本人やご家族の困っていることの総体をとらえることが大切だと感じた。 現在、見過ごされている人が①医療的ケアを必要とする人②強度行動障害の人がいると のお話だった。こはまさになちゅらんでのどういう方たちを対象としていくかの議論その ものである。委員や助言者ともう少し議論を重ねていきたいと思った。 地域福祉について、家族介護を基本としているが家族機能が壊れているところに子ども がいる場合が多い。母子家庭で。ネグレクトで・・・母親が眠れなくて自己喪失に陥って いる。そんな親を休ませることができたら親が元気になる。むそうでは家族がいなくても 見られるようにしたい。こちらもまさになちゅらんで実現したいことであった。 その他に、NICUから退院してくる子どもの増加、老障介護(年老いた親が障害のあ る子どもを介護し続ける)、親の睡眠時間の短さ・・・についてもお話を伺うことができ た。その中で、重症心身障害児者が、中々病院や福祉事業所、ショートステイを受けられ ずあちらこちらに行かなければならないこと、重症心身障害児者を抱えた家族の孤独死や 虐待死については聞いていて辛くなった。これは遠い地域の話ではなく、この四日市圏域 での課題でもある。そのような課題についてなちゅらんがどのように関わっていけるのか 深く考えることができた。. 6月末にはある市民活動センターに伺い、私たちの活動をどのように広報していくかに ついてご助言を頂いた。 私たちは、なちゅらんの趣旨やねらいを多くの人たちに知ってもらいたいし、理解と協 力も得たいと考えている。同時に資金面の援助も頂きたいところである。その点について、 クラウドファンディングを紹介してもらった。これはネット上での支援システムでずいぶ ん知れ渡るようになったが、地方ではあまり広がっていないそうだ。(そういう私もあま り知らなかったのだが)この三重県でも同様でまずは勉強会を開くところだそうだ。これ には三つの型がある。 地域型・・・意識を広めるという点で効果がある。 購入型・・・資金を集めやすいが本来も意味が伝わりにくい。 寄付型・・・趣旨を理解してもらいながら寄付者を求める 地道に活動をして資金を集めていくのが原則。手数料についても注意する。サイト運営者 と相談してアドバイスはもらえる。 なちゅらんがやろうとしていることをあまり関心がない人にどのようにアピールしてい 9.
(11) くか。クラウドに上げる前に、素材の洗い出しが必要である。目的をわかりやすく整理し て、それに向かう道筋を明らかにする。ストレートに伝えてもわかってもらいにくい。課 題や強みを整理してみる。それを共感を得やすい言葉でわかりやすく表現する。ホームペ ージなどで些細なことでも発信をした方がいい。なちゅらんのファンをつくっていくべき である。また、資金援助で購入したいものはたくさんあるだろうが、具体的に明らかにし た方がいい。施設の運営のためというのはぼんやりしている。 他に企業を回って寄付を集めるのはどうか。企業側のメリットがなければならない。C SRが注目されてきた。NPO法人に寄付をすることがCSRになると考えているところ も増えてきている。 「私たちには何もできないから信頼できるNPO法人に委託している」 との考え方である。他のNPO法人との違いを出すことも大切である。また、同じような 取組をしている団体から学ぶ、協力を得ることも大切である。 NPO法人がやろうとしていることが他の団体の攻撃になってしまう場合がある。「い いこと」の意識が強すぎるとまわりが見えなくなり、誤解される。 ホームページ、ブログ、チラシ、広報誌・・・での表現方法を工夫してみる。社会の中 にある様々なものを「学ぶ」視点で見てみると、気づくことが多い。フォントを変えるだけ でも印象が異なる。 以上のようなアドバイスを頂いた。これからの参考になった。. 3 7月から9月 7 月末にある特別支援学校に行って、言語聴覚士の先生から「子どもの障害・嚥下障害」 について、お話を伺い実技指導を受けてきた。重い障害のある人にとって「食べる」こと は命に関わる大切なことであり、研究を深めなければならないところであった。 「食べるときにむせる」「うまく飲み込めたかわからない」「誤嚥していないか心配」 「口や舌の動きがよくなくて食べにくそう」という声がよく聞かれる。どのようにしたら 安全で楽しい食事ができるのか、どのようなことに気をつけてどのように接していけばい いのか、が理論と実践でよく理解できた。実践場面では、実際に(対象は大人であるが) 食事介助をさせてもらった。正面から食事介助をする場合、縦抱きで水分摂取する場合、 ガーゼに包んで咀嚼促進する場合についてそれぞれにチェックシートがあり、それを確認 しながら、介助の仕方を学ぶことができた。今回学んだことを現場職員に伝えると共に、 さらなる研修の機会をつくっていかなければならないと感じた。. 8 月初旬に兵庫県伊丹市にある「しぇあきっず」さんに視察研修に行ってきた。こちら は、児童発達支援・放課後等デイサービスをおこなっておられる。医ケアを必要とする重 症心身障害児が通ってきている。ひとり一人の個別支援計画を作成して丁寧な支援を行っ ておられた。開所しているのは、月から金の10:00から17:00で、定員は児童発 達支援・放課後等デイサービスを合わせて 5 人である。職員は、ナース・保育士・作業療 10.
(12) 法士等がいてきめ細かな対応がされていた。私たちがなちゅらんでやっていきたい形がこ のしぇあきっずさんで見ることができた。. なちゅらん研修会議を積み重ねてきた。月に2回の定例研修会議では足りず、臨時で開 くことも多くなった。組織の見直しも行った。 10/1オープンに向けて事業申請の中身を決定していかなければならなかった。児童 発達支援・放課後等デイサービス・生活介護をどのようにしていくのか、委員や助言者か ら様々に意見をいただいた。研修会議の中で「利用される方は何を求められているのか」 に立ち返って考えた。その際には、なちゅらん交流イベント参加者のアンケート結果も参 考にした。 また、それに加えて、ふれ愛名古屋さんに再度訪問をして、理事長さんからアドバイス を頂いた。始めから完全なものを求めようとするのは無理で少しずつできることから実施 していくことになった。経営面についてもアドバイスを頂いた。ショートステイについて は、4名定員で4部屋用意したが、職員が研修を重ねて利用者への支援が十分できるよう になるまでは実施を見合わせることになった。また、生活介護については当初10名定員 と考えていたが、イベント参加者の声やなちゅらんメールに寄せられる要望、助言者の意 見で「利用できるところが少なくて困っている人が多い」との判断で定員15名とした。 児童発達支援・放課後等デイサービスについては合わせて5人で、日中活動のサービスは 3つの事業の多機能型で定員20名とした。委員からは、児童発達支援・放課後等デイサ ービスをもう少し多くするべきとの声もあったが、広さ的にも無理をできないと判断した。 職員配置については、基準に応じて配置することができた。募集をかけることなく集ま ってくれた。それぞれに意欲を持っていてとてもありがたいことである。現在、研修も行 っている。 事業内容と職員体制、その他も整ったので、10/1オープンに間に合うよう8月末ま でに事業申請書を提出した。そして、内覧会、オープニングイベントを計画して案内を配 布した。また、相談支援事業所や関係市町、事業所にもご挨拶に伺った。 同時に利用予約受付を始めた。 内覧会前の段階で 3 つの事業について 15 人が予約された。 個別相談もいくつか入っている。 建物については、9 月上旬に完成、引き渡しとなった。備品や電気製品の配置、室内装 飾、外回り整備、記念品準備・・・毎日のように現場職員や委員と共におこなった。 11.
(13) 9/25~27. 内覧会. 25日は金曜日ということもあり、(子どもさんが学校へ行っている)(子どもさんが 事業所に行っている)保護者さんが多く来られた。特に10時開始直後には集団で入られ て、職員の対応が困難なほどであった。午後は見学者もまばらとなり、ゆっくりと説明を することができた。この日は64組がいらっしゃった。26日は44組、27日は88組 であった。私たちは内覧会をするのが初めてであり、経験もないので事前の準備はどこま ですれば十分であるかわからず、不安が残るままのスタートとなった。 当日は、現場職員が案内・説明を担当した。そして、支援部が受付や駐車場係などを行 った。人数がたりずボランティアさんにもお世話になった。見学者からは質問や意見を頂 いた。以下に紹介する。 「ショートステイをすぐにでも利用したいが、いつから始まるのでしょうか?」 「ショートステイのみの利用はできるのでしょうか?」 「ショートステイ利用時の日中活動はどのようなものでしょうか?」 「ショートステイで添い寝は可能でしょうか?寝付くまで一緒に起きてくれるのでし ょうか?」 「ベッドの枕は動きますか?」 「ショートステイを始めるときには連絡がほしい。」 「自家発電はあるのでしょうか?」 「災害時の対応はどのようなものでしょうか?」 「入浴時の吸タンはしてもらえるのでしょうか?」 「入浴介助は何人でするのでしょうか?」 「入浴だけの利用はできるでしょうか?」 「体の小さい子でも機械浴は大丈夫でしょうか?」 「花粉対策はあるのでしょうか?空気清浄機はありますか?」 「トイレの数はいくつありますか?」 「同性介助をお願いしたいが、職員構成はどのようなものですか?」 「常勤職員は何人ですか?」 「生活介護が定員マックスの15人となったとき職員は何人で対応しますか?」 「車いす対応のキッチンにしてほしい。」 12.
(14) 「放課後等デイサービスの利用料金はいくらでしょうか?」 「放課後等デイサービスでの送迎料金はどのようになるのでしょうか?」 「台風や大雨の時の対応はどのようになるのでしょうか?」 「送迎車は何台で回すのでしょうか?」 「送迎はどの地域まで可能でしょうか?」 「桑名市の子でも利用できますか?」 「食事形態はどこまでしてもらえるでしょうか?」 「今後グループホームをつくって下さい。」 「重症心身障害児者しか利用できないのでしょうか?」 「重心の認定が必要となるのでしょうか?」 「胃ろうの子について場所についての配慮はあるのでしょうか?」 「呼吸器を使っている子は利用できるのでしょうか?」 このような質問や意見を受けて、毎日反省会を行った。質問に対する回答は職員みんな が共有できるようにした。 また、利用希望の申し込みがあり、十分にお話を聞きながら対応していった。10/1 からはいよいよ事業がスタートする。それまでに準備を進めていかなければならなかった。 4 10 月から 12 月 10/1. 事業スタート. 10/3. オープニングイベント. 9/27までの内覧会を終えて、10/1までは三日間しかなく、その間に見学者や利 用予定者の様子を見に行く、市町挨拶まわり・・・・たくさんおこなわなければならなか った。その中で10/1に事業はスタートした。生活介護2名から利用が始まった。はじ めはこれくらいからの方が利用者との関係がつくりやすくちょうどよかった。 オープニングイベントは参加希望者も合わせて約50人での音楽療法となった。ベテラ ンの講師さんをお招きした。体を動かしたり、楽器を使ったり、子どもも大人も楽しめる ような内容で、参加者から笑顔がたくさんあった。参加された方からのご意見を踏まえて 今後のイベントを考えていきたい。今回を機会として契約をされる方もおられた。話を聞 くだけでなく、今回のように一緒に活動する中で「なちゅらんってこんなところなんだ」 とわかって頂き、利用に結びつく形が理想的なのかもしれない。. 10月初旬には「ふれ愛名古屋」の方にお越し頂き事業運営に対するご助言を頂いた。. ○助成金の申請について 計画的な進め方が必要である。そして、常に全国の情報リストをチェックしなければな らない。該当するもの、子どもたちに合うものを選んでいく。書き方で助成してもらえる かというものもある。ホームページを見ながら、助成してもらえそうなものをお気に入り に入れておく。 13.
(15) 申請書の中には、「医療的ケア」とか「重症心身障害児」という言葉が審査する人には わからない。そういう言葉を使うならば、その言葉の説明をしなければならない。人が理 解するためには絵になる言葉(想像できる)にならなければならない。共通したコミュニ ケーションになる。一番のポイントは具体的に書く。相手が理解しやすい言葉で書く。ま ずは長く書いて、それを削っていく。 審査する側はホームページを見ている。ブログも見る。NPOである限り情報公開はし なければならない。活動はブログにして、フェイスブックでリンクさせている。 愛知県社協、NPO法人シーズ、等のページを見るべき。愛知県社協のページは見やす い。 パソコンが得意だったら、発信を支援部がすればいい。スタッフがやるのは大変。フェ イスブックとリンクしておくと多くの人が読んでくれる。ただ、個人情報を大事にしなけ ればならないので、ちゃんと細かく確認する。うちは契約段階で聞いている。 ○その他、アドバイス 子どもの未来は、子どもたちへの手当でやっていくべきだと考える。総合支援法は本人 の収入で見ていく。だから、療育手帳もとるべきである。重心判定があるともらえるもの が違う。重心判定については、各市町次第というところがある。相談支援ががんばってい るところもある。判定のおかしさもある。将来は、父や母は自分たちの生活を考えるべき。 子どもも自立をしたい。これを当たり前と考えてやってほしい。グループホームもつくっ てあげてほしい。ショートステイなどの夜間系は時間がかかる。うちが後回しにしている のは、リスクが高い。職員が少なく、事故も起こりやすい。スタッフがなかなか育ちにく い。デイと泊まりを繰り返すと疲れて辞めてしまう。スタッフの日中での研修を大切にし ていく。. 10月半ばにソレイユ川崎施設長さんのお話を伺った。ソレイユ川崎さんは、重症児者 福祉医療施設で、入所・短期入所・通園事業、そして外来診療もある。すべてが重症児に 対応しているというすばらしいところである。 施設長とクリニックの院長をされている。お話はたくさん印象に残った。それらを上げ てみたい。 障害の医学モデルと社会モデル・・・社会モデルとは「ある人が生きていこうとすると きに社会の側にまだその準備が整っていない状態. まさに、本人の問題とするのではなく、. 社会の問題としてまわりが取り組んでいくべきだと感じた。 退院はゴールではなくスタート・・・居宅にも医療の場が必要で、そういう意味でも在 宅医療の大切さがある。 カンガルー統合保育園・・・看護師が経営する統合保育園で、重度の障害があり、医療 的ケアが必要とする子についても園全体で統合保育に取り組んでいる。その中で、障害児 の特別なクラスはつくらずにみんなと同じ場所で過ごしている。インクルージョンの理念 14.
(16) が取り入れられている。 療育ネットワーク川崎・・・次のようなポリシーがある。病気や障害があっても、家族 に囲まれ地域での生活を豊かに過ごすこと、そして、家族もまたひとりの人間として豊か な生活を送ること。この二つを両立させるためには、家族全体を支える地域の力が必要で ある。ひとりひとりの生活を豊かにするケアを家族だけに任せない、そんな地域の力を集 める場所である。これを聞いて、感動を覚えた。なちゅらんとして大切にしたい理念がこ こで実践されている。 みなと舎の理念も次のように紹介された。私たちが最も大切にしていることは「本人中 心支援」。メンバーさんとスタッフが 1 対 1 で相対し、スタッフはゆっくりとメンバーさ んの波長に心を合わせることで、メンバーさん一人ひとりの人生に、豊かな心のひだをつ くっていくことができるのだ。障害者である前に、まずは「人」、特別な存在ではなく、 みんな同じ地域に生きる人として、当たり前の生活、その人らしい人生を送って頂くため に私たちは歩み続ける。こちらの理念もまた、すばらしく、なちゅらんでもスタッフで考 え合いたいと思った。 横浜の郷についても紹介があった。こちらは、医療的ケアを必要とする重症心身障害児 者等と呼ばれる方々とその家族の生活支援を目的に開所した。利用者や家族と丁寧な関わ りを重ねて利用者一人ひとりの「思い」や「不安」などを真摯に受け止め、「困ったとき のよりどころ」となって、身近な地域で安心して生き生きと生活できるように地域の関連 機関と連携した継続的な支援体制づくりをめざしている。 このように、お話の中で紹介されたところについて一度訪問して、お話を伺いたいと感 じた。. NPO法人日本ムーブメント教育・療法協会の方に「ムーブメント療法」のお話を伺っ た。この方は、養護学校教員時代に重度重複障害児と接しておられて、その経験からこの ムーブメント教育・療法に結びついたようである。以下、お話の要旨である。 ムーブメント教育・療法というのは、遊び的要素を持った身体運動で音楽や遊具を環境 としてそれらを使いながら、集団(グループ)で楽しくおこなう発達教育である。ポイン トは 2 つあり、一つは、動くことを学ぶ。身体機能に働きかけて動きづくりをおこなう。 もう一つは、動きを通して学ぶ。身体意識、知覚能力、概念(認知)、情緒・社会性に働 きかける。そして、ゴールとして「健康と幸福感の達成」をめざす。 支援にかかわる基本理念、基本的考え方は、活動の基盤となる「身体性」、遊びたい心 を動かす「遊び性」、関わりたいという「関係性」、興味を駆り立てる「環境性」、個性 をはぐくむ「発達性」である。 なぜ、重症心身障害児にムーブメント教育なのかについて、1、医療福祉だけでなく、 教育的、福祉的な関わりによる支援方法である。2、積極的健康としての健康支援やQO Lの向上につながる。3、遊具や音楽などの多様な環境で多感覚刺激が得られる。4、感 15.
(17) 覚運動プログラムは心や集団をも動かす。 なぜ、重症心身障害児にアセスメントなのか、については、対象児のわずかな芽生え反 応や可能性を拾うためである。QOL の向上のため、対象児の笑顔、長所やできること、好 きなこと、得意なことなどのストレングスを大切にする。 お話を聞き、私の中で一度「ムーブメント教育・療法」について深く学んでみたいとい う気持ちになった。. なちゅらん研修会の11月には、事業の進捗状況の確認、課題、利用者や見学者からの 要望等について、検討を行った。 まず、10月1日にオープンしてから1ヶ月の事業報告を行った。児童発達支援につい ては見学者は数人あったものの10月においては利用がなかった。ただ、11月になって お試しでの利用や契約への動きは見られる。放課後等デイサービスについては利用者、契 約者数共に3事業の中で多くなっている。生活介護については年度途中でのオープンにも かかわらず、毎日利用も複数あり、曜日限定利用者も増えてきている。 課題については、放課後等デイサービスについて、保護者の間では「利用者が多くて予 約が入らない状態である」との噂が流れているようである。発信元はわからないが、現状 は十分に空き状況があるので、ポームページでのお知らせや見学者への説明で正確な情報 を伝えていきたい。生活介護では、土曜日の利用が多くなってきている。このままで行く と、今後は土曜日については予約が入りにくくなると思われる。他の事業所に行っている 方が、土曜日が閉所でなちゅらん菰野を利用することになっている。利用者が増えてきた ことによって、スタッフが不足気味になってきた。利用者さんへの対応を綿密にしていく ためにもスタッフを増やしていくことになった。中でも、理学療法士と看護師が重要とな ってきた。肢体不自由の方が多く、学校卒業後は訓練の時間がなかなかとれず身体の拘縮 が課題となっている。それに応えるためにも理学療法士を常勤で 1 名、その他パートでも 埋めていく方向となった。看護師については、重症心身障害児者にはやはり不可欠であり、 現状の 3 人から増やしていくことになった。その募集方法についても、ハローワークに求 人を出すとかチラシを入れるとかの方法は出されたが、なちゅらんにおいては職員の質が 最重要であり、その点では通常の募集方法では職員としての適性を見極められないとの意 見が出た。従って、それぞれの知っている方をあたっていくことになった。次の課題とし ては、福祉有償運送についてである。市がこの事業については消極的である。しかしなが ら、なちゅらん利用者や見学者の声では、重症心身障害児者の移動支援にはこの福祉有償 運送が不可欠である。他の市町では認められている所もあって、市に働きかけをしていき たい。他の団体、たとえば「e-ケアネットよっかいち」にも請願書等で協力を願いたい。 次に、情報発信についても検討をおこなった。なちゅらんはホームページを持ち、ブログ をリンクさせている。これをより細かに発信していくことで意見はまとまった。ブログ担 当、ホームページ担当を決めておこなっていくことになった。他に、チラシやリーフレッ 16.
(18) トも作成していくこととなった。そのリーフレットの原案を検討した。なちゅらん支援部 で作成したものについて修正をおこなった。 現場から、10 月の事業報告(契約者数、利用者数)、今後の見通し、事業所でのインシ デントとアクシデント、理事会での検討事項・・・があった。また、ここの事業の特色、 モットー、活動内容、現場スタッフの状況、それぞれががんばっていること、現場での問 題点も合わせて出された。 支援部からは、リーフレットの作成、これまでの経過をわかりやすく説明するパワーポ イントの作成、助成金、イベント、看板の作成、・・・について報告や提案があった。 理事長からは理事会としての現状報告やなちゅらんの将来計画について話が出た。. 11/14(土)にはなちゅらんイベントの二回目をおこなった。今回は、ゲストとし てアトリエいろのはさんをお招きしてのクリスマスリースづくりをおこなった。参加者は 15 名で、定員いっぱいの参加者となった。本来ならもう少し参加を受けたいところではあ るがスペースのことや職員がきっちり対応することを考えるとこれくらいが適当だと考え た。講師さんは、参加者の特性をよく理解して頂き、とても楽しむことができた。参加者 は、感触や色合い等を味わいながらそれぞれに特徴ある作品を作り上げていた。ボランテ イアとしてサックスの生演奏をしてくれる方もいた。また、若いボランティアも 3 人参加 してくれて、関わりを持ってくれたことがありがたかった。. なちゅらん菰野がオープンしてから、様々に考えなければならないことが出てきた。そ こで、一泊二日で関西で先進的取り組みをしている事業所を視察した、 しぇあーどさん ここは拠点という代表の李国本さんのおっしゃる通り、しぇあーどという空間を、一人 ずつが様々な利用の仕方をしていたのが印象的だった。大きなお風呂場にはリフトや機械 浴はなく、それでも重症心身障害のある方々が利用できているのは、重度訪問介護という サービスが根付いているからだと思った。また、移動支援の支給量が四日市に比べて大変 多く、生活介護など、施設のスタイルに個々を当てはめるのではなく、それぞれの趣味や 生きがいを充実させられていることに感銘を受けた。短期入所のニーズは高く、「24 時間 17.
(19) 365 日、誰でも受ける」という法人の志がぶれることなく、楽しみながら地域での生活の お手伝いをしているスタッフさんたちの姿が印象的だった。. ヴィヴィさん 民家をそのまま利用して、日中一時支援・移動支援・短期入所をしていらっしゃる事業 所である。小さいながらもエレベーターがあり、玄関から車庫におりるリフトも利用しや すそうだった。ちょうどいいタイミングで、仲間のご家族から印象的だったのは、利用者 さんたちと過ごしている画像集を、上映会していただいたことである。施設の説明よりも、 ヴィヴィに関わる障害のある仲間たちの楽しい生活や笑顔を、来客には見せたいのだなあ と、代表の小林さんの熱い心を感じた。. ぷりぱさん しぇあーどの李国本さんが、立ち上げにかかわったということで、ご紹介を頂いた。1 階が生活介護、2階がケアホーム、移動支援も行っている多機能型事業所である。生活介 護はワンフロアーで、上り畳の和室からリフトで吊っ てそのまま浴室に移動できる仕組みになっていた。上 り畳があることで、介助者の負担が少なくなるため、 車いすから降りて過ごす時間を多く持つことができる とのことだった。私が訪問した時は、体を伸ばす活動 をしていた。スタッフさんも利用者さんも皆さんが笑 顔で、ボランティアさんも多く、生き生きと活動され ているのが印象的だった。. 12/19には、なちゅらんイベント3回目をおこなった。今回は「クリスマスお楽し み会」と題して、ゲストにふんわりアクセルさんをお招きした。また、「シェリーさん一 18.
(20) 座?」も登場した。シェリーさん一座というのは、この会を盛り上げようと、NPO法人 なちゅらんのメンバーがサンタの格好で出てきて、不思議なイル-ジョンをした。これが とてもおもしろくて、参加者が大笑いをして盛り上がった。 前座が終わり、ゲストの登場。ふんわりアクセルさんは、「手にとるものを音色に変え るマルチな単旋律奏師「新田みかん」さんと、心の移動薬局として活動する「唄歌いHU-」 さんのメオトユニット。音と言霊でふんわり暖かく心を包み込みます。」との紹介で、そ れこそ手が届くほどの近距離で生演奏を聴くことができた。「聴いていて心がうるうるき ました」との感想もあった。. 2015年の師走を迎え、なちゅらん事業の方は、順調に進んできていた。特に放課後 等デイサービスは、それまでどこも受け入れられずに利用でできなかった方が数名なちゅ らんを利用してくれることとなった。医療的ケアの状況や、家庭的な事情などで、学校が ケース会議を開きそこに出席をすることも出てきた。その後担任の先生や相談支援事業所 と一緒に家庭訪問に同行して、その場で利用契約となることもあった。 冬休みが近づき、冬休み中の予約は早くから埋まった。早い段階から申し込みが続き、 定員を超えての申し込みがあり、希望する日時で受け入れられず大変申し訳ないことにな った。10月にオープンして、なちゅらんとしてははじめて迎える冬休みで、想定以上の 利用申し込みであり、今後の検討課題である。しかしながら、定員を超えての受け入れも 難しく難題となった。 また、なちゅらんには様々な見学者が来られた。一番多いのは、保護者やご本人である。 次に学校の先生である。その他、ドクターや看護師、相談支援員、議員、市民などいろん な方が来られた。なちゅらんは、地域に開かれた事業所づくりをめざしており、そういう 意味では、「ぶらっと」立ち寄ってもらえるような存在であり続けなければならない。 また、市民活動としてのなちゅらんの誕生から運営であり、多くの方に支えられている。 看板がなくて、つくらなければならないと思っているところに、ボランティアでつくって 頂けることになった。作成から設置までお世話になった。. 19.
(21) また、室内に何かしらの絵がほしいと願っていたところ、曼荼羅の絵を作成寄贈して頂 いた。. また、「みなさんに生演奏をさせてほしい」とのチェロ奏者もボランティアできてくれ た。. 12/25には三重県大紀町にある「ラモシオンさ ん」を訪問した。次回のなちゅらんイベントのゲスト がこのRAMOさんであり、また自閉症の息子さん二 人のお父さんでもあり、お話を聞きに行った。RAM Oとは自閉症の息子二人を持つ父親(大徳さん)とそ の長男(楽守さん)の音楽ユニットである。県内だけ でなく様々なところでご活躍中である。楽守さんの育 ちの過程で、地域の小学校5年生の時に、孤立して人 を怖がる二次障害になってしまったそうだ。そのとき に、音楽を通して何かを感じさせたいと父親と息子のバンドが誕生した。お話の中で、一 口に自閉症と言っても様々である。なちゅらんは、重度重複障害の人を中心に受けていく が強度行動障害の方も、受け入れ先が少なく、お家で困っているお話を聞くとお断りでき 20.
(22) ない。そのことを再認識した。なちゅらんイベントでは、「重度とされている方に何かが 届けられて、笑ってくれると本当にうれしい」と言われていた。「ぜひとも、笑いをとっ て下さい」とお願いをした。. 5 1月から2月 1月半ばにはふれ愛名古屋さんにおじゃまをして移動支援のお話を中心に伺った。名古 屋市は、先進的な移動支援をおこなっているところである。なちゅらんで保護者やご本人 の相談を受けている中で、「通学や通所で移動支援を利用したい」という希望がかなり出 ている。この地域ではそれがかなわない現状がある。 まずは名古屋市の移動支援は以下のようになっている。 単独で外出をすることが困難な障害児者が外出する場合に、ヘルパーが付き添い移動の支 援を行うサービスである。 対象者は 全身性障害者(児) 知的障害者(児) 精神障害者(児) になる。 保護者が付き添うことができない場合とは(18 歳未満の方) 就労、病気、けが、出産、育児、介護、災害などにより保護者が一緒に外出することがで きない場合である。 【社会生活上必要不可欠な外出】とは以下のようなものが例としてあげられている。 通所施設など社会福祉施設への通所(小規模作業所などへの通所を含む。) 医療機関への通院(原則、中学生以上) 行政機関での手続き(障害者のみ) 郵便局・金融機関での手続き(障害者のみ) 食料品など日用品の買物(障害者のみ) 理美容院の利用 小学校、中学校、高等学校などへの通学 学童保育所、トワイライトスクール、放課後等デイサービスへの通所 その他冠婚葬祭などの社会生活上必要不可欠な外出 (障害者のみ) 【その他の外出】 余暇活動などの社会参加を目的とする外出 そして、小学生には12時間、中学生は24時間、高校生36時間支給される。 このように、この内容は先進的なものである。これができあがるまでには、様々な障害 者団体の粘り強い働きかけと話し合いがあったようだ。私たちの地域にあてはめたときに 一朝一夕に実現するようなものではないが、移動支援があることで、「それまで通学でき なかった子が通学できる」「通所できなかった人が通所できる」ことは事実である。これ 21.
(23) から多くの方のご協力を頂き、この地域での実現をめざしていきたいと思っている。. 1/23(土)には、現場の看護師さんをお招きしてお話を伺い、実際のケアについて アドバイスをもらった。なちゅらんは「重症心身障害児者」のサービスをおこなっている こともあって、利用者には医ケアを必要とする方が多くいる。この日も、4 名の医ケアの 方がいた。現場の看護師さんは、日頃からケアに携わっていることもあって、とても実践 的な話を聞くことができた。また、医療的な体調面での先の見通しについてもお話を伺う ことができた。これからも、時々見に来て頂くというようなつながりもできた。. 1/29(金)には、保育士さんを講師としてお招きをした。この方は、療育センター で就学前の障害児と関わっておられる。その長年の経験を生かしたお話を伺うことができ た。なちゅらんの事業の一つである「児童発達支援」のあり方について考えるきっかけと なった。講義だけでなく、実際にその時なちゅらんに来ていた利用者に対して具体的な働 きかけも教えて頂いた。. 1月末に東京近辺の先進的な取り組みをおこなっているところを見学してきた。見学先 は以下である。 1 自立生活センターたいとう 2 あゆちゃんち 3 社会福祉法人花の郷 4 NPO法人療育ネットワーク川崎 5 ばおばぶ 6 りべるたす株式会社. 自立生活センターたいとうはではまず副理事長さんからお話を伺った。この方は、脳性 麻痺の障害があり、 15年前からこのセンターの支援を受けながら自立生活をされている。 「たいとう」という名前は、台東区と対等をかけてつけたそうだ。どんな障害があっても 地域で当たり前に暮らせるようにという願いを込めたようである。日中生活をどうしたい 22.
(24) のか、生活費をどうしていくのか等の課題はあるものの、一番は「自立生活をどうしても したい」という気持ちが強くあることが必要だと言われた。生活費については、障害者手 当がどれだけもらえるかによって、不足分をどのように捻出するかで変わってくる。他に は生活保護をとるという方法もある。東京都での生活は、区によって多少の違いはあるが、 1ヶ月の生活資金として18万円は必要だそうだ。 その後、実際に地域で生活をしているところを何カ所か見せて頂いた。様々な方が自立 生活をされていたが、生活資金をどのようにしていくのか、自立生活への覚悟という点が 大きな課題だと思った。必要なヘルパー(介護者)はセンターさんが派遣できる体制がで きていた。. あゆちゃんちでは、お母さんとご本人にお話を伺った。あゆちゃん(ご本人)は、現在 は鼻注と導尿が(少し)必要なケアである。以前は、吸引や注入、酸素、人工呼吸器も必 要としていたそうだ。地域で普通に暮らしたいと、自宅から小学校や中学校、特別支援学 校に通っていた。学校に看護師を配置してもらうために、何度も話し合いをしたそうだ。 以前、体調を崩して救急車を呼んだときに、見てくれる病院が見つからずに結局家へ戻っ てきたという苦い経験をされた。現在は、自宅での訪問看護や訪問診療を受けている。ま た、短期入所も現在は利用をしていない。理由は、小さい頃に母親が病気入院をしてショ ートステイで預けて迎えに行ったときに、やせて表情がなくなっていた。その姿にショッ クを受けた。現在は「あゆちゃん家」という家を地域の活動の場としている。そして、週 に 3 回生活介護に通っている。この地域には医ケアの重心の子が通えるところが少ないよ うだ。その他の時間はヘルパーさんが来ている。また、将来はシェアハウスをめざしてい るそうだ。. 花の郷さんは、社会福祉法人ボワ・すみれ福祉 会さんが運営されている生活介護事業所である。 法人としては、他に放課後等デイサービス、児童 発達支援、共同生活援助、短期入所、就労継続B 型等の事業もおこなっている。見せて頂いたのは 23.
(25) 花の郷さんである。こちらは、1 階には主に車いすの人や医ケアの人がいる。送迎車 11 台で医ケアの人も送迎している。送迎車は毎年、助成で増やしてきた。A~Fまでグルー プ分けをして活動をおこなっている。EFグループはマンツーマン対応が基本である。入 浴施設は特浴と個浴の二つあった。お話の中で印象的なことは、「おむつというのは本来 下着のようなものです。それを人から見えるようなところに置きたくない。カバーできる ようにしたい。」「本人が何をしたいかに応える職員でありたい。『今日はこれをやりま しょう』ではない『今日は何をしたい?』から出発したい。」というお話だった。. 療育ネットワーク川崎さんは、NPO法 人でなちゅらんと同じである。事業は、児 童発達支援、生活介護、短期入所、居宅介 護、行動援護、重度訪問介護、移動支援・ 通学通所あんしんサポート、福祉有償運送、 グループホーム、地域活動センター、相談 センター、日中一時支援とほとんどのもの を実施している。見せていただいたのは、 生活介護ロンド、短期入所、地域活動セン ターである。重心の子が行けるところがなかなかないということで、それに対応する事業 所となっている。看護師さんもいて送迎もおこなっている。食事は近くにある配食の事業 所(NPO)と連携されている。また、こちらの移動支援・通学通所安心サポートはまさ に、「かゆいところに手の届く」中身になっていた。. ばおばぶは、生活ホームである。代表の方お二人からお話を伺った。生活ホームなので、 そこには大きな看板などはなく普通の家である。駅からタクシーに乗って行ったが、タク シーのナビでたどり着くことができなかった。全く普通の住宅地にある住宅だった。現在 は 3 人が暮らしている。福祉サービスに頼らない、何かに困っていたら誰かが「家におい でよ」という関係を大事にされていた。障害者であるところから出発するのではなく、人 間から出発をすることを大切にされていた。そこに住んでいる方は日中に行きたいところ がある人は外に出る。家の中に居たい人は家の中で自由にしている。まさに、肩に力を入 れることなく、自然な暮らしをされていた。. りべるたすさんでは代表の方と食事をしながら ゆっくりとお話をした。なちゅらん事業にも関心 を持って頂き、そのお話もさせて頂いた。りべる たすさんは株式会社である。事業は、移動支援、 生活サポート、居宅介護、重度訪問介護、同行援 24.
(26) 護、共同生活援助、短期入所、移動支援、訪問看護、介護保険訪問介護、福祉用具貸与・ 販売、相談支援と、デイサービス以外のほとんどを展開されている。代表者の必要なもの をつくり出していくパワーに圧倒された。 なちららん事業は始まったばかりである。東京近辺での先進的事業所の見学と素敵な方 々との出会いで、三重の地でもがんばらなければとの思いを強くした。. 「公益財団法人. 在宅医療. 勇美記念財団の助成による」. 調査研究を終えた感想 「医療的ケアを必要とするような重度重複障害児者の地域生活の支援のあり方に関する 研究」をテーマとして 1 年間研究を深めてきました。このテーマは私自身がずっと前から 課題として抱えていたものでした。それは、社会の中で少数とされる「医ケアを必要とす る重度重複障害児者」が「当たり前の暮らし」からほど遠い現状があったらです。「なんと かしなければ」との思いでいましたが、一人の力でできることではありません。この研究 助成を頂いて、ずっとなちゅらん会議に参加して頂いた方、講師として貴重なご助言を頂 いた方、県内外の先進的取り組みをされている方、実際になちゅらん菰野で出会う皆さん ・・・と出会いつながりを持つことができました。研究テーマは、1 年で完結するような ものではありません。今後もなちゅらん事業の展開を、当事者目線を忘れることなく進め ていきたいと思っています。今後もご指導ご鞭撻のほどお願いいたします。. 25.
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