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Academic year: 2021

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本書は大学,大学院あるいは高専の機械工学や化学工学の分野において,熱力学を学ぶ学生の ための教科書,並びにこの分野に携わる技術者の入門書として書かれたものである. 熱力学は基礎的事項を良く理解しないと,その先の理解が進まない典型的学問のひとつであ る.運動エネルギとポテンシャルエネルギなど,力学的エネルギの保存には慣れ親しんだ読者で あっても,熱が加わることで戸惑ってしまうことが多い.これは,力学的エネルギとは違い,熱 が目に見えなくて,とてもイメージしにくいエネルギの形態であるためであろう. 実は,熱力学の歴史からみてこれは致し方のないことなのである.ニュートン力学においては ニュートンという天才が出現し,それまで先人により蓄積されてきた自然科学的知識を,瞬く間 に数学的記述を用いて体系化し多くの新たな発見に導いた.一方,熱力学の分野においても多く の天才が出現したが,これら大勢の天才をもってしても,決してニュートン力学のような迅速な 体系化の道筋はたどれなかったのである. むしろ,誤解や間違いを含む様々な見解について,長い間にわたり激しい論争が繰り返され, 淘汰される中で徐々に体系化されて行く過程をとらざるをえなかったのである.事実,熱は仕事 と同じエネルギの形態であることがしっかりと認識され,いわゆる熱力学の第一法則が確立され たのも,ほんの 150 年程度前のことにすぎない. 歴史が示すように,ニュートン力学に充分に精通していたとしても,熱力学の理解には,それ なりの新たな「熱力学的」発想が要求されるわけで,容易に行かないのも当然であろう.それゆ え,この種の学問を会得するに当たっては,基礎的事項の的確で正確な理解,「基礎と要点」が極 めて重要となる.その意味を込めて,本書のタイトルを「工業熱力学の基礎と要点」とした. 本書においては,まず最初に,熱力学の基礎的事項が確実に身に着くよう配慮されている.例 えば,熱力学の第 1 法則を理解する上で重要となる完全微分量と不完全微分量は区別して表記さ れており,数学的な対応も理解できるよう例題が組まれている.このように,はじめの段階で基 礎的事項の正確な意味を把握することで,その後,熱力学の核心部を一つ一つ無理なく会得でき るよう構成されている.また,読者が自ら理解を深められるよう,各節には例題を,そして各章 には演習問題を設けている.本書が熱力学を学ぼうとする学生および若手技術者諸氏の助けとな り,また一人でもこの分野に興味を持つ人が増えることを切に願うものである. 本書の執筆に当たっては多くの資料や専門書を参考にさせて頂いた.代表的な書籍名を末巻に 記すことで謝意を表わしたい.名古屋大学の山下博史先生には,本書の随所にわたり問題点をご 指摘頂き,多くの間違いを正すことができた.心から感謝申し上げる.最後に,有益なご助言を 頂いた静岡大学の柿本益志先生,演習問題を実際に解くなどして協力頂いた中山・桑原研究室所 序 文 iii

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属の学生諸君に謝意を表すとともに,本書の出版に関して多大なご尽力を頂いた共立出版の諸氏 に心からお礼を申し上げる.

2013 年 9 月

著 者

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