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不斉 Michael 反応の開発

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(1)

平成30年度 学位論文

リチウムビナフトラートを触媒とした

不斉 Michael 反応の開発

熊本大学大学院薬学教育部

創薬・生命薬科学専攻 メディシナルケミストリーコース 分子薬化学分野

坂本 翠

(2)

謝辞

本研究を遂行するにあたり、終始御懇篤なる御指導、御鞭撻、そして寛大なご配慮を賜 わりました熊本大学大学院生命科学研究部 分子薬化学分野 中島 誠教授に心より 感謝の意を表します。

本研究を遂行するにあたり、有益なる御指導、御助言を賜りました崇城大学薬学部創薬 化学講座 医薬品化学研究室 杉浦 正晴教授に深く感謝いたします。

本研究を遂行するにあたり、有益なる御指導、御助言を賜りました熊本大学大学院先導 機構 小谷 俊介特任准教授に深く感謝いたします。

本研究を遂行するにあたり、惜しみない御指導、御助言を、また本稿作成にあたり多 大なる御教示、御校閲を賜りました熊本大学薬学部地域イノベーション・エコシステ ム形成プログラム 特任助教 下田 康嗣博士に深く感謝いたします。

本論文を審査して頂き、有益なる御指導、御助言を戴きました熊本大学大学院生命科学 研究部 生体機能分子合成学分野 大塚 雅巳教授に深く感謝いたします。

本論文を審査して頂き、有益なる御指導、御助言を戴きました熊本大学大学院生命科学 研究部 創薬基盤分子設計学分野 石塚 忠男教授に深く感謝いたします。

本論文を審査して頂き、有益なる御指導、御助言を戴きました熊本大学大学院生命科学 研究部 生体機能分子合成学分野 藤田 美歌子准教授に深く感謝いたします。

本研究を進めるにあたり、日々切磋琢磨し、苦楽をともにした熊本大学大学院生命科学 研究部 分子薬化学分野の皆様ならびに熊本大学大学院生命科学研究部 薬物治療学 分野 金子 哲也氏に深く感謝いたします。

(3)

略語

本論文において、以下の略語を使用した。

Ac acetyl

aq. aqueous

Ar aryl

BINAP 2,2’-bis(diphenylphosphino)-1,1’-binaphthyl

BINAPO 2,2’-bis(diphenylphosphino)-1,1’-binaphthyl dioxide BINOL 2,2’-dihydroxy-1,1'-binaphthyl

Bn benzyl

BQNO 3,3’-dimethyl-2,2-biquinoline N,N’-dioxide

t

Bu tert-butyl

n

Bu normal-butyl

calcd calculated

cat. catalyst

cod 1,5-cyclooctadiene

CPME cyclopentyl methyl ether

DiPAMP (R, R)-1,2-Bis[(2-methoxyphenyl)phenylphosphino]ethane

DME dimethoxyethane

DMF N,N-dimethylformamide

DMSO dimethyl sulfoxide

DPT-BM 4-(4,6-diphenoxy-1,3,5-triazin-2-yl)-4-benzylmorholinium trifluoromethanesulfonate

dr diastereomeric ratio

ee enantiomeric excess

Et ethyl

eq equivalent

Et ethyl

FAB fast atom bombardment

h hour hex hexane

HPLC high performance liquid chromatography HRMS high resolution mass spectrum

IPA isopropyl alcohol

IR infrared ray

KHMDS Potassium hexamethyldisilazide

Me methyl

(4)

min minute MP melting point

MS molecular sieves

NMR nuclear magnetic resonance

Nu nucleophile PBB p-bromobenzyl Ph phenyl

PMA phosphomolybdic acid PMB p-methoxybenzyl

i

Pr iso-propyl

n

Pr normal-propyl R

f

retention factor

Ph phenyl

rt room temperature

sat. saturated

SIPr 1,3-Bis(2,6-diisopropylphenyl)imidazolidin-2-ylidene

TBME tert-butyl methyl ether

temp. temperature

Tf trifluoromethanesulfonyl

TFA trifluoroacetic acid

THF tetrahydrofuran

TLC thin layer chromatography

TMS trimethylsilyl

UV ultraviolet

(5)

目次

序論 1

本論 第一章 リチウムビナフトラートを触媒とした マロン酸エステルとマレイン酸エステルの不斉Michael反応の開発 第一節 背景 10

第二節 反応条件の検討 13

第三節 各種基質の検討 16

第四節 反応機構の考察 22

第五節 脱炭酸によるトリカルボン酸への誘導 24

第二章 リチウムビナフトラートを触媒とした アクリルアミドを受容体とする不斉Michael反応の開発 第一節 背景 26

第二節 初期検討および反応条件の最適化 30

第三節 各種基質の検討 34

総括 37

実験の部 38

参考文献 76

(6)

序論

「向き」、それはただ単に空間の概念だけではなく、物質の性質を決定づけることもあ る。右手には右手のための手袋があるように、同じ手であってもその性質は異なる。我々 の生活は、様々な化学物質で包まれている。特に医薬品や香料といったものは、その「向 き」が重要である。有機化合物において、その向きを決めるのはすなわち「不斉」であ り、この不斉により、エナンチオマーが存在する。一対のエナンチオマーからは異なる 生物活性作用が発現するといったことは往々にしてよくあることである。例えば、第

2

世代ニューキノロン系抗菌薬であるオフロキサシン(タリビッド®

)は、等量の S

体と

R

体 から成るラセミ体である。オフロキサシンのうち

S

体が抗菌活性を持ち、R体は抗菌活 性が低く主に副作用に関係している(図

1)。その後、より洗練された薬として S

体のみを 主薬としたレボフロキサシン

(

クラビット®

)

が上市された。これは、鏡像異性体の作り分 けは重要な課題であることを示す一例である。

一般にエナンチオマーの作り分けは困難であり、一方のエナンチオマーを選択的に得 る方法は大きく

3

つに大別される。1)等量のエナンチオマーが混在したラセミ体をそれ ぞれの鏡像異性体に分ける光学分割法、

2)

光学的に純粋な天然物を出発原料とするキラ ルプール法、

3)

アキラルな出発原料に対して光学活性物質を作用させ、エナンチオマー の一方を選択的に合成する不斉合成法である。

3

つ目の不斉合成法は微量の不斉源より、

多くの光学活性物質を得ることが可能な点から注目を浴び、近年急速に発展を遂げてき た。

その中の不斉水素化反応について、工業化まで至った例を基にして不斉配位子を交え

(7)

序論

1980

年代、野依らは軸不斉配位子である

BINAP

を開発し、数々の不斉水素化反応へ の適用に成功している。

BINAP-Rh

錯体として用いることでデヒドロアミノ酸に限らず、

オレフィンやケトンといったより一般的な基質にも適用範囲が拡大し、この分野におけ る研究が加速した2)。高砂香料工業は野依らの不斉水素移動を用い、

l-メントールを工業

生産している(スキーム

2)

3)

その他にも数々の金属反応が開発されており枚挙に遑がない。このように、最近まで は金属反応が最盛期を迎えていた。しかしながら、近年は持続可能な社会を目指し、廃 棄物、環境負荷物質排出の最小化といったものが求められるようになった。その先駆け として

2000

List

らはアミノ酸である単純なプロリンを触媒とした直接的不斉アルド ール反応が高収率かつ高エナンチオ選択的に進行することを報告した(式

1)

4)

(8)

同年

Macmillan

らは、これもまた自然界に多量に存在するL

-アミノ酸から誘導した有

機分子触媒を用いることで不斉

Diels-Alder

反応が進行することを報告した(式

2)

5)

当研究室においても、有機分子より構成される

Lewis

塩基触媒の開発やそれらを用い た反応開発を行っている。軸不斉

N-オキシド(BQNO)

6)、ホスフィンオキシド7)、ジニト ロン8)の構造を示す(図

2)。

これより

BINOL

に焦点を当てる。BINOLの合成は古くより行われており、そのラセ

ミ体の合成は

1873

年の

Richter

らによるものが初めてとされる 9)。現在では、それぞれ のエナンチオマーが市販されており、比較的容易に入手可能な化合物である。その

BINOL

の不斉配位子としての有用性を示したのは、件の野依らである。

1979

年、彼らは

(R)-BINOL

と水素化アルミニウムリチウム、エタノールから成るキラ ルな水素化剤((R)-BINAL)を用いることで、ケトンから第二級アルコールを立体選択的に 得られることを報告した

(

3)

10)。化学量論量の

BINOL

が必要ではあるものの、その不 斉配位子としての可能性が明らかとなった。

(9)

序論

BINOL

と金属を用いた反応は多数報告されているが、その金属としては遷移金属を用

いるものが多い。フェノールの

pKa

10

前後であるため、これから述べるリチウムフ ェノキシドは比較的安定な塩基であり、取扱いが容易であることが特長である。加え て、後処理後の金属性廃棄物は中和で生じる水酸化リチウムであることから環境にも優 しい反応系と言えよう。

最初にビナフトールのモノリチウム塩を不斉反応に用いたのは

Kagan

らである(式

4)

11)。本反応では、ビナフトラートがトリメトキシシランに

Lewis

塩基として求核攻撃 をすることで、活性種である高配位シリカートが発生する。これを経由することでケト ンの不斉還元が進行する。

その他のケイ素化合物に対しても、

BINOL

を用いた反応が進行することが判明してい

る。

2001

年に

Kagan

らは

TMSCN

を用いたシアノ化反応を報告しているが 12)、その立

体選択性は不十分であった。後に、石原らはアルコールもしくは水を助触媒として用い ることで高立体選択的にシアノヒドリンを得ることに成功した

(

5)

13)

————————

リチウムアルコキシドの水共存下での安定性を考 慮するために一般的なアルコールのpKaを示す14) フェノールの pKa は水やアルコールと比べると小 さい。

pKa (水中) pKa (DMSO中)

H2O 15.7 31.2

MeOH 15.5 27.9

iPrOH 16.5 29.3

tBuOH 17.0 29.4

PhOH 9.95 18.0

(10)

そのような中、当研究室においてもアルカリ金属であるリチウムを用いた反応の開発 に成功している。キラルなリチウムビナフトラートを

Lewis

塩基触媒として用い、トリ メトキシシリル化合物を活性化することで下記のアルドール反応やアルキニル化反応 が進行することを報告している(式

6,7)

15,16)

お最近では

Lewis

塩基触媒として用いるだけでなく、

Brønsted

塩基触媒やアルキニル化 反応での効果的な配位子としての利用にも成功している(式

8-10)

17-19)

(11)

序論

ドが反応する。その後、ヒドリドの

1,5-転位により、分子内酸化還元を経由して、 1,3-ジ

オールのモノエステルを与える。本反応では、加溶媒分解をその後行うことで

1,3-ジオ

ールを高収率かつ高立体選択的に得ている(スキーム

3)。

Michael

反応

,-不飽和カルボニル化合物に対する求核反応、すなわち Michael

反応は重要な炭素- 炭素結合形成の1つである。

1887

年に報告されて以来20)、現在に至るまでに様々な供与 体と受容体からなる

Michael

反応が報告されている21)

その不斉反応の開発は比較的早期から取り組まれており、

1973

年に

Bergson

らは第三 級アミンを有機分子触媒として、ジカルボニル化合物と不飽和アルデヒドとの不斉反応 を初めて報告した(式

11)

22)。収率およびエナンチオ選択性に具体的な記述は無いものの、

有意な旋光性が観測されたと述べられている。その後、

1975

年のキニーネを用いた

Wynberg

らの報告を皮切りに、数々の報告がされるようになった

(

12)

23)

(12)

ビナフトールと金属から成る複合体を触媒とする反応もまた多く知られている。1981 年に

Cram

らは、キラルなクラウンエーテルとカリウムの錯体を用いた不斉

Michael

反 応を初めて報告し、高い不斉収率で付加体を得ている(式

13)

24)

1994

年に柴崎らは、希土類元素であるランタンを用いて、マロン酸エステルと, -不 飽和ケトンとの不斉

Michael

反応が進行することを報告している

(式 14)

25)。これは

BINOL: La = 3: 2

から成る金属錯体を用いている。また、宮野らはビナフトール誘導体の

ナトリウム塩を適用することに成功している(式

15)

26)

(13)

序論

2011

年、Belokonらはビナフトール誘導体であるテトラオールとリチウムフェノキシ ドから調製したモノリチウム塩が不斉

Michael

反応に有効であることを報告した(式

16)

27)

当研究室においてもキラルなビスキノリン

N-

オキシドである

(R)-BQNO

とスカンジウ ムの錯体を用いることで立体選択的に

Michael

反応が進行することを報告している(式

17)

28)

その他、現在までに

Michael

反応への適用がある配位子の一部を紹介する

(

3)

29)

(14)

先に示した配位子の例は優れた反応性を示すものの、その合成自体が煩雑である場合 や比較的高価な金属を用いる必要性も多々ある。今回、筆者は

BINOL

誘導体とn

BuLi

か ら調製した極めて単純なリチウムビナフトラートを

Brønsted

塩基触媒として用いること

で、不斉

Michael

反応の基質適用範囲の拡大に成功した。以下の順に説明したい。

第一章 リチウムビナフトラートを触媒としたマロン酸エステルとマレイン酸エステ

ルの不斉

Michael

反応の開発

第二章 リチウムビナフトラートを触媒としたアクリルアミドを受容体とする不斉

Michael

反応の開発

(15)

第一章 第一節

第一章 リチウムビナフトラートを触媒としたマロン酸エステルとマレイ ン酸エステルの不斉 Michael 反応の開発

第一節 背景

序論で述べたように

Michael

反応は極めて普遍的な反応である。現在までに、数多く

の不斉

Michael

反応が開発されているが、,-不飽和ケトンやニトロオレフィン、マレ

イミドといったものを受容体として用いたものが多い。

そのような中、マロン酸エステルは酸性度が大きく、

Michael

反応において汎用される 供与体である。また、マレイン酸エステルもありふれた受容体である。

マロン酸エステルを供与体とした場合の例を示す(式

18-20)。1994

年、柴崎らは、La:

Na: BINOL = 1: 3: 3

から成る

LSB

触媒を用い、立体選択的な

Michael

反応を報告してい

30)。また、竹本らはチオウレア型触媒31)

Nájera

Alonso

らはイミダゾール型触媒32) を適用し水素結合を介することで、それぞれニトロオレフィン、マレイミドとの反応に おいて立体選択的に

Michael

反応が進行することを報告している。

(16)

一方、マレイン酸エステルもしくはフマル酸エステルを受容体とした不斉

Michael

反 応は限られている。近年、Waser らは、ウレア型の第

4

級アンモニウム塩をグリシンシ ッフ塩基誘導体に用いることで、フマル酸エステル及びマレイン酸エステルとの付加体 がそれぞれ高い選択性にて得られることを報告している(スキーム

4)

33)

前述した通り、マロン酸エステルとマレイン酸エステルは

Michael

反応に限らず、極 めて普遍的な化合物である。実際、各々を供与体、受容体として用いた

Michael

反応は 実際に古くから知られている(スキーム

5)

34)。この場合に得られる

Michael

付加体はテト ラカルボン酸エステルである。なお、このテトラカルボン酸エステルは脱炭酸に続く加 水分解という過程を経ることで容易にトリカルボン酸エステルへと変換可能である。

ところで、キラルなトリカルボン酸は生物活性物質に含まれる重要な骨格の

1

つであ る。例えばキラルカルボン酸を含むものとして、カビ毒の一種であり、スフィンゴ脂質 の生合成経路を阻害するフモニシン

B1

35)やコレステロール低下作用が認められた

J-104,

118

36)といったものが挙げられる(図

4)。

(17)

第一章 第一節

そのような中、以前当研究室ではトリメトキシシリルエノールエーテルを用いた

Michael

反応に対し、リチウムビナフトラートが有効であることを見出している(式

21)

37)

この反応はフマル酸ジエステル、マレイン酸ジエステルのいずれにおいても同一の付加 体を与えるが、マレイン酸ジエステルにおいてのみ中程度の選択性が観測された。この 結果を受け、テトラカルボン酸エステルの合成、すなわちマロン酸エステルとマレイン 酸エステルの不斉

Michael

反応への適用を目指し、次節に続く検討を開始した。

(18)

第二節 反応条件の検討

序論及び前節で述べたように、1)リチウムビナフトラートを触媒としたケトンとアル デヒドの直接的不斉アルドール-Tishchenko反応と、

2)シリルエノールエーテルとマレイ

ン酸ジエチルの不斉

Michael

反応においてエナンチオ選択性が観測されることを背景と して検討を開始した。初期条件として、

THF

溶媒中、

0 °C

にて(R)-Cl2

-BINOL

n

BuLi

か らリチウムビナフトラートを調製した後、

Michael

供与体と

Michael

受容体を順次加え室 温にて撹拌した。

マレイン酸ジエチルを受容体として、供与体の検討を行った(表

1)。ケトンである-テ

トラロンとアセトフェノンでは、化学収率は低かったものの良好な立体選択性で目的 物が得られることが確認された(エントリー1,2)。一方、活性メチレン位を有するマロン 酸ジベンジルでは中程度の収率、立体選択性で反応が進行することが分かった

(

エントリ ー3)。

(19)

第一章 第二節

テトラカルボン酸エステルの合成を念頭に置き、マロン酸ジベンジル(1a)とマレイン 酸ジエチル(2a)を用いて反応条件の精査を行った(表

2)。

溶媒の検討を行った結果、エーテル系溶媒にてエナンチオ選択性が確認された(エント リー2-4)。特に

TBME

を用いた場合に反応が短時間で完結し、中程度のエナンチオ選択 性を獲得することができた。触媒の濃度を低下させることで選択性の改善に成功したが

(エントリー5)、濃度を 0.01 mol/L

以下にしても、選択性は改善しなかった(エントリー

6)。また、反応温度を室温以下にしても、それ以上の選択性の向上は見込めなかったた

め(エントリー7)、室温にて反応を行うこととした。その他のエーテル系溶媒として

CPME

を用いたところ

TBME

と同等の効果を得た(エントリー8)。DMEにおいてはその 配位能が高いために全く反応が進行しなかったと考えている(エントリー9)。

(20)

つづいて

BINOL

3,3’位における置換基効果を確認することとした(表 3)。

クロロ基に替わり、同じくハロゲノ基であるブロモ基を導入した場合、ほぼ同じ収率 および選択性で付加体が得られた(エントリー2)。一方、フェニル基(エントリー3)やメチ ル基(エントリー4)、無置換(エントリー5)の場合、反応時間は延長し、選択性は低下した。

ハロゲノ基を導入することで他の置換基と比較し

BINOL

誘導体の

pKa

が低下する。よ ってリチウムビナフトラートの再生が容易となるために高い選択性が観測されたと考 えている。

(R)-Cl

2

-BINOL (10 mol %)と

n

BuLi (10 mol %)から調製したモノリチウムビナフトラー

トの場合において(エントリー6)、化学収率並びに選択性が低下したことから、本反応の 活性種はジリチウム塩だと考えている。また、ジリチウムビナフトラートを

(R)-Cl

2

- BINOL (10 mol %)と水酸化リチウム(20 mol %)から調製した場合も(エントリー7)、収率、

選択性はともに低下した。

以降の検討では、(R)-Cl2

-BINOL

n

BuLi

より調製したジリチウムビナフトラート

10

mol %存在下、TBME

溶媒中にて室温で行うこととした。

(21)

第一章 第三節

16

第三節 各種基質の検討

最適化した反応条件を用いて、マロン酸エステルとマレイン酸エステルについて基質 適用範囲の検討を行った(表

4)。

マレイン酸ジメチル(2b)もしくはマレイン酸ジベンジル(2c)を受容体として用いたと ころ、マレイン酸ジエチル(2a)の場合と比較し、若干の選択性の低下が観測された(エン トリー2)。

p-ブロモベンジルアルコールから誘導したマレイン酸 2d

においては円滑に反 応が進行したが、

2c

と比較し選択性は低下した(エントリー4)。電子供与性置換基を導入 した

2e

では反応性およびエナンチオ選択性の低下に加え、高温及び触媒の増量を要し た(エントリー5)。これらの結果から反応性における電子的影響が示唆される。マレイン 酸エステル部分が

n-プロピル基だと選択性の顕著な低下が認められたものの(エントリ

6)

、アリル基では高い選択性を獲得することができた

(

エントリー

7)

。その他、マロン 酸エステル部位がアルキル基のものを用いたが(エントリー8-11)、マロン酸ジベンジル

(1a)を超える結果を得ることはできなかった。

(22)

この他の

Michael

反応の一般的な受容体についても検討を行った(表

5)。

N-フェニルマレイミド(2h)

32,39)、カルコン(2i)30,40)では高い収率で目的物は得られたも のの選択性はほとんど観測されなかった(エントリー1,2)。マレイン酸エステルの幾何異 性体であるフマル酸エステル

2j

40e)においてはほぼラセミ体で目的物が得られた(エント リー3)。これらのことから本

Michael

反応ではカルボニル基が

cis

配置をとることが高い エナンチオ選択性獲得のために必要であると考えられる。しかしながら、

cis

配置をとる ジケトン

2k

41)ではエナンチオ選択性は観測されなかった(エントリー4)。なお、本反応は 多置換アルケン

2l

においても適用可能であり、ヘキサカルボン酸エステルを得ることが できた(エントリー5)。

(23)

第一章 第三節

18

さらに、本

Michael

反応はマロン酸エステルの

2

位に置換基を導入したものにも適用 可能である(表

6)。

マロン酸ジベンジルにメチル基を導入した

1f

を用いた場合

98% ee

という極めて高い エナンチオ選択性を獲得することができた(エントリー2)。またアルキル基としてエチル 基、イソプロピル基、ベンジル基を導入した場合においても良好な化学収率、選択性に て付加体を得ることに成功した(エントリー4-8)。本反応はアルキル基に限らず、ハロゲ ノ基を導入しても付加体を与えた。クロロ基を導入した基質

1l

の場合は脱離が進行し、

収率の低下および選択性は中程度にとどまったが(エントリー9)、フルオロ基を置換した

1m, 1n

においては高い選択性を獲得することができた(エントリー10,11)。

(24)

————————

マロン酸エステルの2位にPh基、Br基、OBz基を導入したものでは付加体は得られなかった。

炭素-炭素結合形成部分において、ある一定の大きさ以上のものだと立体障害が生じ、反応が進 行しなかったと考えている。一方で、本反応で得られるMichael付加体のマロン酸エステル側の 2位に対し、OBz基を導入することに成功している42)。このことから、イソクエン酸への誘導も 可能であると考えられる(スキーム6)。

(25)

第一章 第三節

20

本反応で得られた

Michael

付加体の絶対配置は以下のように決定した

絶対配置は

1b

2b

の付加体

3bb

が既知化合物であり、その

HPLC

の保持時間と比較 することで

R

体であると決定した(表

4、エントリー8)

40a)。加えて、3bbをエステル交換 が容易であった

3ca

に変換した(スキーム

7A)。3bb

からエステル交換した

3ca

と本

Michael

反応を用いて

1c、 2a

から合成した

3ca(スキーム 7B

並びに表

4、エントリー8)に

おいて、主エナンチオマー体、副エナンチオマー体の保持時間がそれぞれ合致したため、

3ca

の絶対配置は

3bb

と同様に

R

体であると判明した。さらに、主な付加体

3aa、 3ab

を エステル交換条件下

3ca

に収束させ(スキーム

7C)、それらについても HPLC

の保持時間 を比較した。先の結果と同様に主エナンチオマー体、副エナンチオマー体の保持時間が 各々合致した。従って、他の

Michael

付加体も準じて同じ絶対配置を有することが示唆 された。

————————

絶対立体配置を決定する主な手法としてX線結晶構造解析が挙げられる。適切な結晶を得よう とブロモ基、ニトロ基をマロン酸エステル及びマレイン酸エステルに導入し、Michael付加体を 得たが、適した結晶は得られなかった。その他、得られた光学純度の高い Michael 付加体をカ ルボン酸へ誘導後、不斉補助基であるアミンやアルコールと反応させることで結晶を得ること を試みたが、失敗に終わった。以上の理由により、上記に示した方法にて絶対立体配置を決定し た。

(26)

マロン酸ジエステルの

2

位に置換基を導入したものを

Michael

供与体とした場合に得 られる付加体の絶対配置は、前頁で絶対配置が決定した

3aa

を誘導化することで決定し た(表

7)。

Michael

付加体

3aa

に塩基とヨウ化メチルを用いると、活性メチレン部位にメチル基

が導入された

5fa

が得られた 43)。この

5fa

1f

および

2a

から直接、本

Michael

反応を 用いても合成可能である。それぞれの手法から得た

5fa

HPLC

の保持時間について、

主エナンチオマー体及び副エナンチオマー体の保持時間が一致した。よって、マロン酸 エステルの

2

位に置換基を導入した場合においても、マロン酸エステルの

2

位部位が無 置換のものと同じ絶対立体配置のものが優先して得られることが示唆された。

なお、エチル基、イソプロピル基、フルオロ基44)

Michael

付加体

3aa

の活性メチレ ン部位に導入した場合においても、直接

Michael

反応から得た場合と各々矛盾が生じな かった

(

エントリー

2-4)

。よって、本反応における

Michael

付加体は同じ絶対立体配置を 有すると考えている。

(27)

第一章 第四節

第四節 反応機構の考察

反応機構は、当研究室の過去の報告を参考に次のように推定している(図5)18,45)

キラルな

BINOL

誘導体

A

n

BuLi

により系中で生成したリチウムビナフトラートによ

り複合体

B

が形成される。供与体並びに受容体の検討38)から、ともにそれらの幾何配置 が重要であると考えられ、1 つのリチウム原子に対し

2

つカルボニル基が配位すること が重要だと推測される。リチウムビナフトラートと供与体の複合体のリチウム原子に

Michael

受容体の酸素原子が配位(C)して、立体選択的に

Michael

付加反応が進行する。

つづいて複合体

D

を経由し、系中で生じたエノラートがプロトン化されることで

Michael

付加体

E

が解離するとともにリチウムビナフトラート

A

が再生することで、触媒回転 が成立する。

(28)

つづいて、Michael 付加体の絶対立体配置から想定している立体反応経路について示 す(図

6)。

リチウムエノラート複合体は、リチウムビナフトラートに対し、マロン酸エステルが 下図に記載したように配位する構造をとっていると考えられる。この複合体に対し反応 受容体であるマレイン酸エステルが右から接近する場合を経路

A、左から接近する場合

を経路

B

とする。経路

A

では触媒の

3,3’位の置換基とマレイン酸エステルの間に立体反

発が生じるため、経路

B

が優先して進行し、R体のエナンチオマーが優先して得られる と考えている。

(29)

第一章 第五節

第五節 脱炭酸によるトリカルボン酸への誘導

ここまで述べてきたように、比較的簡便に調製可能な(R)-Cl2

-BINOLLi

2 を用いて、こ れまでに例のないマロン酸エステルとマレイン酸エステルの高エナンチオ選択的

Michael

反応を開発した46)。さらに、本

Michael

付加体すなわちテトラカルボン酸エステ

ルは、有用なキラル骨格への変換、具体的にはトリカルボン酸エステルに誘導可能であ るため、本節ではこれについて言及する。

不斉炭素を有するテトラカルボン酸が含有される例として、カビ毒の一種であるフモ ニシン

B1

が挙げられる(図

7)。 2009

年に

McDonald

らは大きく

3

つの部分構造に分ける ことでその全合成を達成している35j)

骨格

C

は簡単な構造ではあるものの、意外にもその簡便なエナンチオマー合成法は確 立されていない。

McDonald

らは、

Perrotta

らの手法のもと不斉補助基を用いてその部分 合成を行っているが、非常に煩雑である(スキーム

8)

47)。この他にも岸らにより、同じ化 合物の合成例が存在するが、その化学収率には課題を残していた35f)

(30)

そのような背景の中、本

Michael

付加体は一工程にて、加水分解に続く脱炭酸反応を 一挙に行いトリカルボン酸誘導体へと変換可能である(表

8)

Michael

反応で得られた付加体を

Krapcho

反応条件下、LiCl や

NaCl

といった無機

塩を加え、

DMSO

中にて加熱した(エントリー1,2)。トリカルボン酸誘導体は得られたが、

選択性は若干低下した。しかしながら、無機塩を添加せず添加剤として水のみを加え、

加熱した場合48)、選択性を損なうことなく目的物を得ることができた(エントリー3)。

以上、リチウムビナフトラートを触媒として用いることで、マロン酸エステルとマレ イン酸エステルの初となるエナンチオ選択的な

Michael

反応を開発した。さらに、得ら

れた

Michael

付加体をその光学純度を保ったままキラル骨格として有用なトリカルボン

酸エステルへ変換することに成功した。

————————

(31)

第二章 第一節

第二章 リチウムビナフトラートを触媒としたアクリルアミドを受容体と する不斉 Michael 反応の開発 

第一節 背景

アミドはカルボニル等価体として有用な官能基の

1

つである。現にアミド構造は合成 医薬品のうち

25%に含まれており、医薬品合成段階の 16%はアミド化反応と言われてい

50)。ところで、一般的な

Michael

反応において適切な

Michael

受容体は求電子性が強 い不飽和ケトン、不飽和アルデヒドといった不飽和カルボニル化合物やニトロオレフィ ンといったものである。実際、不飽和アミドを

Michael

受容体として用いた例は少なく、

その限られた例では高温、強塩基といった過酷な条件を用いるものが多い。さらに立体 選択的反応となるとその例は一層少ない。しかしながら、

Michael

反応の受容体として、

直接、不飽和アミドを用いることができれば、

1,5-

ジカルボニルアミドを合成することが でき、有機合成化学において優れた手法を提供することができる。

単純なアミドやエステルを求電子剤として用いる直接的触媒的不斉反応の開発は、有 機合成化学において困難な課題であると捉えられてきた。アミドの安定性はカルボニル 基に対して窒素原子の非共有電子対が流れ込む共鳴安定化による。従って、アミドのカ ルボニル酸素の塩基性は他のカルボニル化合物と比較して高い(アミド>エステル>ケ トン>アルデヒド

)

。一方、カルボニル炭素の求電子性は低い

(

アルデヒド>ケトン>エ ステル>アミド)。

そのような中、現在までにイミドを受容体とする

Michael

反応が報告されている。

Evans

らは、銅錯体を用いることでオキサゾリジノンを持つ不飽和イミドを受容体と

した向山型不斉

Michael

反応が進行することを報告している(式

23)

51)

また、竹本らはチオウレア型触媒を用いたマロノニトリルと,-不飽和イミドへの付 加反応を報告している

(

24)

52)

(32)

その一方、単純な不飽和アミドに関する報告例は前述した通り少ない。

不飽和アミドに対するマイケル付加反応は、不斉反応ではないもののケトンエノラー トを用いた例が馬場らにより報告されている(式

25)

53)。スズエノラート(Ⅳ)に対し、配位 子として臭化物イオンを作用させることで、不飽和エステルやアミドに対し、円滑に

Michael

反応が進行する。

近年、小林らはカリウム塩基と光学活性大環状クラウンエーテルを組み合わせた不斉 触媒を用いることで、単純なアミドやエステルの,-不飽和アミド化合物への直接的触

媒的不斉

1,4-付加反応が高収率、

高立体選択的に進行することを報告している(式

26)

54)

また、ニトリルを供与体とした不飽和アミドへの不斉共役付加にも成功している

(式

27)

55)

(33)

第二章 第一節

その他、Harutyunyanらは、銅触媒を用いた

Grignard

試薬の共役ジエニルアミドへの 付加反応を報告している。本反応では基質の不飽和アミドの構造により、1,4-付加ある

いは

1,6-付加が優先し、それぞれ高エナンチオ選択的に付加体を得ることが可能である

(スキーム 9)

56)

上で述べたように不飽和アミドを用いた付加反応の報告例は幾つかあるものの、触媒 の調製が煩雑であったり、求核試薬の適用が狭いといった問題があった。ところで当研 究室の卒業生である関本はリチウムビナフトラートを用いた反応開発の一環として、含 フッ素化合物である

2-フルオロインダノンとメチルビニルケトンの Michael

反応にて中 程度のエナンチオ選択性が観測されることを見出していた57)。しかしながら、基質適用 範囲並びに収率、選択性に改善の余地を残していた

(

28)

————————

得られたMichael 付加体は系中の塩基により、更に分子内アルドール反応まで進行し、環化体

を与える。また、未反応分の-フルオロインダノンのうち回収されたものについてエナンチオ選 択性が観測されたことから、光学分割が生じていることが分かった(32% ee。なお、絶対配置の 決定には至っていない)。現在までに、リチウム源(nBuLi, PhOLi)、BINOL誘導体、溶媒等につい ての検討を行っているが収率、選択性ともに改善には至っていない。

(34)

フッ素を導入した基質の反応開発を目指し、

-フルオロインダノン(7a)を用いて受容

体の検討を行っていたところ、意外にも不飽和アミド

8a

を受容体とした場合に収率良

Michael

付加体(9aa)が得られることが分かった(式

29)。今まで述べてきたように、不

飽和アミドを受容体とした不斉

Michael

反応の報告例は僅少である。筆者は、不飽和ア ミドを受容体とした

Michael

反応の開発を目指し、次節につづく検討を開始した。

(35)

第二章 第二節

第二節 初期検討および反応条件の最適化

まず、Michael供与体の検討を行った(表

9)。

第一節で述べたように、

-フルオロインダノン(7a)とジメチルアクリルアミド(8a)との

Michael

反応にて選択性が観測されたこと(式

29)から供与体としてインダノン誘導体を

まず検討した。フルオロ基に替え、クロロ基を導入した場合では、反応はほとんど進行 しなかった(エントリー2)。ケトエステル型のものでは反応は進行しなかった(エントリ ー3)。インダノンの位にメチル基を導入したものでは反応が進行したが、選択性は低調 だった(エントリー4)。無置換のインダノンにおいては、目的体は得られなかったものの、

Michael

反応が

2

回進行したものが

33%の化学収率で得られた(エントリー5)

。供与体

を環状のものから鎖状のプロピオフェノン(7f)にしたところ、化学収率は低調であるも のの、高いエナンチオ選択性が発現することが分かった

(

エントリー

6)

。エントリー

4,6

の 結果から、系中にて発生するリチウムエノラートの幾何配置が選択性発現のためには重 要であることが示唆される。

(36)

————————

過剰反応の結果、下記の化合物9ea’のみが得られた。詳細は不明だが、2回目の位の水素の 引き抜きが速いと推測される。アクリルアミドを0.5当量用いた際にも9ea’が得られた(式 30)。

(37)

第二章 第二節

以降、良好な結果を与えたプロピオフェノン(7f)と

N,N-ジメチルアクリルアミド(8a)

を用いて反応条件の精査を行った(表

10)。

収率の向上を図るため反応温度を室温まで上げると、若干の選択性の低下が観測され たものの化学収率の大幅な向上に成功した(エントリー2)。溶媒を

TBME、 Et

2

O

といった ものに替えたところ、反応は全く進行しなかった(エントリー3,4)。本反応においてはリ チウム原子に対し適当な配位性をもつエーテル系溶媒が適していることが分かった。リ チウム源として n

BuLi

を用いた場合、これまでで最も高い化学収率及び選択性にて

Michael

付加体を得ることとができた(エントリー5)

————————

nBuLi を用いた場合、副生成物を確認した。過剰反応によるものだと考えられるが単離できて いないため、構造決定には至っていない。また、受容体の当量を1.5当量まで減量すると化学収

率が35%まで低下した。

(38)

つづいて、ビナフトール誘導体の

3,3’位における置換基効果を検討した(表 11)

。 ハロゲノ基を導入した場合、選択性は低下した(エントリー1,2)。結果の良かったフェニ ル基に対し(エントリー3)、嵩高い置換基を導入したがフェニル基の結果を凌駕すること はできなかった(エントリー4,5)。

(39)

第二章 第三節

34

第三節 各種基質の検討

これまでの結果から、(R)-Ph2

-BINOL(4c)、

n

BuLi

から調製したリチウムビナフトラー ト、および溶媒として

THF

を用いて、受容体側の検討を行った。

プロピオフェノンを基質として用いて、受容体の検討を行った

(

12)

。炭素

-

炭素結 合形成部位に置換基を持つアクリルアミドを受容体とした場合、反応は進行しなかった

(

エントリー

2)

Weinreb

アミド型の基質においても、高い選択性にて付加体が得られた

(

エントリー

3)

。窒素上の置換基を

2

つともエチル基にすると反応は全く進行しなかった

(エントリー4)。しかし、窒素原子近傍の置換基をピロリジン由来のアミドにしたもので

は、高い選択性にて付加体を得ることができた

(

エントリー

5)

。これら

2

つの結果から反 応の進行には炭素-炭素結合形成部分近傍の立体的影響を大きく受けていると考えられ る。アミドの塩基性を抑えるべく、片方をフェニル基にしたアミドを用いた。結果、中 程度の化学収率、高い選択性にて目的物を得ることができた

(

エントリー

6

)。窒素原子上 の置換基をともにフェニル基にしたところ、立体障害のため収率、選択性ともに大きく 低下した(エントリー7)。その他、オキサゾリジノン型のイミドを用いた場合では、反応 はほとんど進行しなかった

(

エントリー

8)

(40)

————————

プロピオフェノンのpKa24.7(DMSO中)、Ph2-BINOLpKa8程度である。受容体側に酸 性度の高いアミド水素を持つ基質を用いた場合には、受容体側での水素原子の引き抜きが起こ ると考えられる。実際、フルオロインダノンを用いた検討の際、窒素原子上に水素原子をもつN- メチルアクリルアミド(pKa:15 程度)を受容体として用いたところ、反応は全く進行しなかった (式31)。

その他、不飽和エステルを用いた場合においても反応は進行した(式32)。

近年、アミド基の温和な除去法がいくつか報告されている。

Gargらが報告している例を示す。ニッケル触媒を用いることでC-N結合の切断を収率良く進 行させ、エステルへと変換することが可能である(式33)58)

また、國嶋らはアミド結合切断として高活性化ベンジル化剤である DPT-BM を用い、ベンジ ルエステルが得られることを報告している(式34)59)

(41)

第二章 第三節

36

の検討から、

Michael

受容体を

N-

メチル

-N-

フェニルアクリルアミド

(8f)

に替え、供 与体の検討を行った

(

13)

ベンゼン環の

p

位に電子供与性置換基、電子求引性置換基を導入した場合においても、

反応性、選択性に大きな差異は認められなかった

(

エントリー

2,3)

。また、芳香環部分を

2-

ナフチル基にした場合や、ケトン側の側鎖を伸長すると化学反応性が低下したものの、

選択性はプロピオフェノン(7f)の場合と同程度のものが観測された(エントリー4,5)。そ の他、脂肪族ケトンとしてジエチルケトン

(7k)

、また反応性の高い環状ケトン

7l

につい ても検討を行ったが、反応はほとんど進行しなかった

(

エントリー

6,7)

。本反応において は芳香族ケトン程度の酸性度が必要だと考えている。

以上、未だ化学収率の向上といった課題は残されているものの、リチウムビナフト ラートを用いることで通常ケトンとアクリルアミドとの不斉

Michael

反応が立体選択的 に進行することを示した。

(42)

総括

以上筆者はリチウムビナフトラートを触媒とした不斉

Michael

反応の開発、ならびに 本反応を利用したキラル骨格の合成に成功した。得られた知見を以下に述べる。

1.Cl2

-BINOL

n

BuLi

から調製したリチウムビナフトラートが

Brønsted

塩基として働

くことにより、マロン酸エステルおよびマレイン酸エステルの不斉

Michael

反応に 有効であることを見出した。さらに、テトラカルボン酸エステルである本

Michael

付加体について光学純度を損なうことなく有用化合物への誘導化に成功した。

2.Ph2

-BINOL

n

BuLi

から調製したリチウムビナフトラートが不活性

Michael

受容体

1

つであるアクリルアミドと酸性度の低い通常ケトンとの不斉

Michael

反応に有 効であることを示した。

本結果はリチウムビナフトラートの有用性を示すものであり、新規炭素−炭素結合形 成反応としても有用である。今後本研究が天然物および医薬品合成の一助となることを 期待する。

(43)

実験の部

38 Experimental section

General Methods

1

H and

13

C NMR spectra were measured in CDCl

3

with JEOL JNM-ECX400 spectrometer.

Tetramethylsilane (TMS) (δ = 0 ppm) and CDCl

3

(δ = 77.0 ppm) served as internal standards for

1

H and

13

C NMR, respectively. Infrared spectra were recorded on PerkinElmer Frontier. Mass spectra were measured with JEOL JMS- DX303HF mass spectrometer. Optical rotations were recorded on JASCO P-1010 polarimeter. High-pressure liquid chromatography (HPLC) was performed on JASCO P-980 and UV-1575. Thin-layer chromatography (TLC) analysis was carried out using Merck silica gel plates. Visualization was accomplished with UV light, phosphomolybdic acid and/or anisaldehyde. Column chromatography was performed using Kanto Chemical Silica Gel 60N (spherical, neutral, 63-210 μm). All reactions were performed under argon atmosphere using oven- and heating gun-dried glassware equipped with a rubber septum and a magnetic stirring bar.

Solvents and Chemicals

Dry methyl tert-butyl ether (dehydrated) was purchased from Nacalai tesque and stored over 4Å prior to use. Dry tetrahydrofuran (dehydrated) was purchased from Kanto Chemical. n- Butyllithium in hexane was purchased from Kanto Chemical and titrated with diphenylacetic acid.

Binaphthol derivatives were prepared by the literature method

19,60,61)

. 1f

62)

, g

63)

, i

64)

, j

62)

, k

65)

, l

66)

, m

67)

, 2c

68)

, f

69)

, g

70)

, k

71)

, l

72)

, 7a

73)

, b

74)

, c

75)

, i

76)

and 8b-h

54,77-82)

were prepared by the literature method. All the other chemicals were purchased and purified based on standard procedures.

Preparation of Substrates

Dibenzyl 2-isopropylmalonate (1h)

Under argon atmosphere, dibenzyl malonate (3.2 mL, 13 mmol, 1.0 equiv.) was added to the suspension of NaH (682 mg, 17 mmol, 1.3 equiv., 60% dispersed in oil) in DMF (15 mL) at 0 °C.

After stirring for 21 h, 2-bromopropane (1.3 mL, 14 mmol, 1.1 equiv.) was added to the reaction

mixture. After stirring for 21 h, the reaction was quenched with sat. NH

4

Cl aq. (5 mL). The

aqueous layer was extracted by CH

2

Cl

2

(20 mL) and the combined organic layers were washed

with brine (20 mL). After drying over Na

2

SO

4

, filtration and concentration, the obtained crude

product was purified by column chromatography (Hexane/EtOAc = 20/1, SiO

2

: 30 g) to give 1h

(44)

as a colorless oil (2.78 g, 65% yield).

TLC: R

f

0.42 (Hexane/EtOAc = 4/1, stained purple with anisaldehyde).

IR (ATR): 2964, 1730, 1118 cm

-1

.

1

H NMR (400 MHz, CDCl

3

): δ 0.97 (d, J = 6.8 Hz, 6H, CH(CH

3

)

2

), 2.40-2.44 (m, 1H), 3.24 (d, J

= 8.8 Hz, 1H, CHCH(CH

3

)

2

), 5.14 (s, 4H, CH

2

Ph), 7.26-7.35 (m, 10H, ArH).

13

C NMR (100 MHz, CDCl

3

): δ 20.3, 28.9, 58.9, 66.8, 128.1, 128.2, 128.5, 135.4, 168.5.

MS (FAB): m/z 327 (M+H

+

), 107, 91.

HRMS: Calcd for C

20

H

23

O

4

327.1596, found 327.1601.

Bis(4-bromobenzyl) maleate (2d)

Maleic anhydride (294 mg, 3.0 mmol, 1.0 equiv.) and p-bromobenzyl alcohol (1234 mg, 6.6 mmol, 2.2 equiv.) were added to the solution of p-TsOH (52 mg, 0.3 mmol, 10 mol %) in toluene (15 mL) at rt. After refluxing for 24 h, the reaction was quenched with sat. NaHCO

3

aq. (5 mL). The aqueous layer was extracted by EtOAc (20 mL) and the combined organic layers were washed with brine (20 mL). After drying over Na

2

SO

4

, filtration and concentration, the obtained crude product was purified by column chromatography (Hexane/EtOAc = 20/1, SiO

2

: 15 g) to give 2d as a colorless needles (633 mg, 47% yield).

Mp: 78.0-80.0 °C.

TLC: R

f

0.29 (Hexane/EtOAc = 4/1, stained blue with phosphomolybdic acid).

IR (ATR): 3059, 1706, 1624 cm

-1

.

1

H NMR (400 MHz, CDCl

3

): δ 5.09 (s, 4H, CH

2

), 6.30 (s, 2H, CH), 7.20 (d, J = 8.4 Hz, 2H, ArH), 7.48 (d, J = 8.0 Hz, 2H, ArH).

13

C NMR (100 MHz, CDCl

3

): δ 66.2, 122.5, 129.8, 130.1, 131.7, 134.0, 164.8.

MS (FAB): m/z 453, 455 (M+H

+

).

(45)

実験の部

40

Chapter 1. Typical Procedure for Enantioselective Michael Reaction of a Malonate to a Maleate (Table 2, Entry 5)

Under argon atmosphere, n-butyllithium (0.1 mmol, 20 mol %) in hexane (0.15 M, 0.67 mL) was added to the solution of (R)-Cl

2

-BINOL (4a) (17.8 mg, 0.05 mmol, 10 mol %) in TBME (5 mL) at 0 °C. After stirring for 1 min, dibenzyl malonate (1a) (0.125 mL, 0.5 mmol, 1.0 equiv.) and diethyl maleate (2a) (0.096 mL, 0.6 mmol, 1.2 equiv.) were successively added to the reaction mixture at rt. After stirring for 1 h, the reaction was quenched with sat. NH

4

Cl aq. (2 mL). The aqueous layer was extracted by EtOAc (20 mL) and the combined organic layers were washed with brine (20 mL). After drying over Na

2

SO

4

, filtration and concentration, the crude product was purified by column chromatography (Hexane/EtOAc = 9/1, SiO

2

: 10 g) to give product 3aa as a colorless oil (214 mg, 94% yield, 90% ee).

(R)-1,1-Dibenzyl 2,3-diethyl propane-1,1,2,3-tetracarboxylate (3aa) TLC: R

f

0.52 (Hexane/EtOAc = 4/1, stained white with anisaldehyde).

[α]

435 27

+11.5 (c 1.03, CHCl

3

) for 90% ee.

IR (film on NaCl): 3066, 3033, 1731, 1159 cm

-1

.

1

H NMR (400 MHz, CDCl

3

): δ 1.15 (t, J = 7.2 Hz, 3H, CH

2

CH

3

), 1.23 (t, J = 7.6 Hz, 3H, CH

2

CH

3

), 2.66 (dd, J = 17.0, 5.2 Hz, 1H, CH

2

CO), 2.79 (dd, J = 17.0, 7.6 Hz, 1H, CH

2

CO), 3.60-3.62 (m, 1H), 4.04-4.12 (m, 5H), 5.14 (s, 2H, CH

2

Ph), 5.15 (s, 2H, CH

2

Ph), 7.28-7.37 (m, 10H, ArH).

13

C NMR (100 MHz, CDCl

3

): δ 13.8, 14.1, 33.4, 40.4, 52.3, 60.8, 61.4, 67.4, 128.2, 128.3, 128.4 128.5, 134.9, 135.0, 167.3, 167.5, 171.1, 171.5 (three carbons overlapped).

MS (FAB): m/z 457 (M+H

+

), 91.

HRMS: Calcd for C

25

H

29

O

8

457.1862, found 457.1868.

The enantiomeric excess was determined to be 90% ee by chiral HPLC with Daicel Chiralpak AD- H column (0.46 cm φ × 25 cm) [eluent: Hexane/IPA = 9/1; flow rate: 1.0 mL/min; detection: 254 nm; t

R

: 22.0 min (R), 23.7 min (S)].

Michael Reaction of α-Tetralone to a Diethyl Maleate (2a) (Table 1, Entry 1)

According to the typical procedure, n-butyllithium (0.1 mmol, 20 mol %) in hexane (0.15 M, 0.67

mL) was added to the solution of (R)-Cl

2

-BINOL (4a) (17.8 mg, 0.05 mmol, 10 mol %) in THF (3

(46)

mL) at 0 °C. After stirring for 1 min, -tetralone (0.067 mL, 0.5 mmol, 1.0 equiv.) and diethyl maleate (2a) (0.096 mL, 0.6 mmol, 1.2 equiv.) were successively added to the reaction mixture at rt. After stirring for 24 h, the reaction was quenched with sat. NH

4

Cl aq. (2 mL). The aqueous layer was extracted by EtOAc (20 mL) and the combined organic layers were washed with brine (20 mL). After drying over Na

2

SO

4

, filtration and concentration, the crude product was purified by column chromatography (Hexane/EtOAc = 9/1, SiO

2

: 10 g) to give product as a colorless oil (37 mg, 23% yield, d.r. = 1.34:1, 70% ee (major), 58% ee (minor)).

Diethyl 2-(1-oxo-1,2,3,4-tetrahydronaphthalen-2-yl)succinate

38)

TLC: R

f

0.28 (Hexane/EtOAc = 4/1, stained blue with phosphomolybdic acid).

1

H NMR (400 MHz, CDCl

3

): δ 1.21-1.32 (m, 6H), 2.01-2.35 (m, 4H), 2.43-2.56 (m, 2H), 2.75- 2.84 (m, 2H), 3.04-3.24 (m, 3H), 3.53-3.64 (m, 1H, minor), 3.73-3.85 (m, 1H, major), 4.11-4.34 (m, 4H), 7.26-7.35 (m, 2H, ArH), 7.41-7.55 (m, 2H, ArH), 8.00-8.14 (m, 2H, ArH).

The enantiomeric excess was determined to be 70% ee (major), 58% ee (minor) by chiral HPLC with Daicel Chiralpak AD-H column (0.46 cm φ × 25 cm) [eluent: Hexane/IPA = 9/1; flow rate:

1.0 mL/min; detection: 254 nm; t

R

: 12.4 min (major), 14.7 min (major), 16.3 min (minor), 19.2 min (minor)].

Michael Reaction of Acetophenone to a Diethyl Maleate (2a) (Table 1, Entry 2)

According to the typical procedure, n-butyllithium (0.1 mmol, 20 mol %) in hexane (0.15 M, 0.67 mL) was added to the solution of (R)-Cl

2

-BINOL (4a) (17.8 mg, 0.05 mmol, 10 mol %) in THF (3 mL) at 0 °C. After stirring for 1 min, acetophenone (0.058 mL, 0.5 mmol, 1.0 equiv.) and diethyl maleate (2a) (0.096 mL, 0.6 mmol, 1.2 equiv.) were successively added to the reaction mixture at rt. After stirring for 16 h, the reaction was quenched with sat. NH

4

Cl aq. (2 mL). The aqueous layer was extracted by EtOAc (20 mL) and the combined organic layers were washed with brine (20 mL). After drying over Na

2

SO

4

, filtration and concentration, the crude product was purified by column chromatography (Hexane/EtOAc = 9/1, SiO

2

: 10 g) to give product as a colorless oil (30 mg, 21% yield, 69% ee).

Diethyl 2-(2-oxo-2-phenylethyl)succinate

38)

(47)

実験の部

42

Michael Reaction of Dibenzyl malonate (1a) to a Diethyl Maleate (2a) (Table 1, Entry 3) According to the typical procedure, n-butyllithium (0.1 mmol, 20 mol %) in hexane (0.15 M, 0.67 mL) was added to the solution of (R)-Cl

2

-BINOL (4a) (17.8 mg, 0.05 mmol, 10 mol %) in THF (3 mL) at 0 °C. After stirring for 1 min, dibenzyl malonate (1a) (0.125 mL, 0.5 mmol, 1.0 equiv.) and diethyl maleate (2a) (0.096 mL, 0.6 mmol, 1.2 equiv.) were successively added to the reaction mixture at rt. After stirring for 24 h, the reaction was quenched with sat. NH

4

Cl aq. (2 mL). The aqueous layer was extracted by EtOAc (20 mL) and the combined organic layers were washed with brine (20 mL). After drying over Na

2

SO

4

, filtration and concentration, the crude product was purified by column chromatography (Hexane/EtOAc = 9/1, SiO

2

: 10 g) to give product 3aa as a colorless oil (116 mg, 51% yield, 50% ee).

Michael Reaction of a Dibenzyl Malonate (1a) to a Diethyl Maleate (2a) Using Toluene as a Solvent (Table 2, Entry 1)

According to the typical procedure, n-butyllithium (0.1 mmol, 20 mol %) in hexane (0.15 M, 0.67 mL) was added to the solution of (R)-Cl

2

-BINOL (4a) (17.8 mg, 0.05 mmol, 10 mol %) in toluene (0.5 mL) at 0 °C. After stirring for 1 min, dibenzyl malonate (1a) (0.125 mL, 0.5 mmol, 1.0 equiv.) and diethyl maleate (2a) (0.096 mL, 0.6 mmol, 1.2 equiv.) were successively added to the reaction mixture at rt. After stirring for 0.5 h, the reaction was quenched with sat. NH

4

Cl aq. (2 mL). The aqueous layer was extracted by EtOAc (20 mL) and the combined organic layers were washed with brine (20 mL). After drying over Na

2

SO

4

, filtration and concentration, the crude product was purified by column chromatography (Hexane/EtOAc = 9/1, SiO

2

: 10 g) to give product 3aa as a colorless oil (209 mg, 92% yield, 20% ee).

Michael Reaction of a Dibenzyl Malonate (1a) to a Diethyl Maleate (2a) Using Et

2

O as a Solvent (Table 2, Entry 2)

According to the typical procedure, n-butyllithium (0.1 mmol, 20 mol %) in hexane (0.15 M, 0.67

mL) was added to the solution of (R)-Cl

2

-BINOL (4a) (17.8 mg, 0.05 mmol, 10 mol %) in Et

2

O

(0.5 mL) at 0 °C. After stirring for 1 min, dibenzyl malonate (1a) (0.125 mL, 0.5 mmol, 1.0 equiv.)

and diethyl maleate (2a) (0.096 mL, 0.6 mmol, 1.2 equiv.) were successively added to the reaction

mixture at rt. After stirring for 0.5 h, the reaction was quenched with sat. NH

4

Cl aq. (2 mL). The

aqueous layer was extracted by EtOAc (20 mL) and the combined organic layers were washed

with brine (20 mL). After drying over Na

2

SO

4

, filtration and concentration, the crude product was

purified by column chromatography (Hexane/EtOAc = 9/1, SiO

2

: 10 g) to give product 3aa as a

colorless oil (212 mg, 93% yield, 45% ee).

(48)

Michael Reaction of a Dibenzyl Malonate (1a) to a Diethyl Maleate (2a) Using THF as a Solvent (Table 2, Entry 3)

According to the typical procedure, n-butyllithium (0.1 mmol, 20 mol %) in hexane (0.15 M, 0.67 mL) was added to the solution of (R)-Cl

2

-BINOL (4a) (17.8 mg, 0.05 mmol, 10 mol %) in THF (0.5 mL) at 0 °C. After stirring for 1 min, dibenzyl malonate (1a) (0.125 mL, 0.5 mmol, 1.0 equiv.) and diethyl maleate (2a) (0.096 mL, 0.6 mmol, 1.2 equiv.) were successively added to the reaction mixture at rt. After stirring for 4 h, the reaction was quenched with sat. NH

4

Cl aq. (2 mL). The aqueous layer was extracted by EtOAc (20 mL) and the combined organic layers were washed with brine (20 mL). After drying over Na

2

SO

4

, filtration and concentration, the crude product was purified by column chromatography (Hexane/EtOAc = 9/1, SiO

2

: 10 g) to give product 3aa as a colorless oil (193 mg, 85% yield, 57% ee).

Michael Reaction of a Dibenzyl Malonate (1a) to a Diethyl Maleate (2a) Using TBME as a Solvent (Table 2, Entry 4)

According to the typical procedure, n-butyllithium (0.1 mmol, 20 mol %) in hexane (0.15 M, 0.67 mL) was added to the solution of (R)-Cl

2

-BINOL (4a) (17.8 mg, 0.05 mmol, 10 mol %) in TBME (0.5 mL) at 0 °C. After stirring for 1 min, dibenzyl malonate (1a) (0.125 mL, 0.5 mmol, 1.0 equiv.) and diethyl maleate (2a) (0.096 mL, 0.6 mmol, 1.2 equiv.) were successively added to the reaction mixture at rt. After stirring for 0.5 h, the reaction was quenched with sat. NH

4

Cl aq. (2 mL). The aqueous layer was extracted by EtOAc (20 mL) and the combined organic layers were washed with brine (20 mL). After drying over Na

2

SO

4

, filtration and concentration, the crude product was purified by column chromatography (Hexane/EtOAc = 9/1, SiO

2

: 10 g) to give product 3aa as a colorless oil (214 mg, 94% yield, 58% ee).

Michael Reaction of a Dibenzyl Malonate (1a) to a Diethyl Maleate (2a) Using TBME as a Solvent (Table 2, Entry 6)

According to the typical procedure, n-butyllithium (0.1 mmol, 20 mol %) in hexane (0.15 M, 0.67

mL) was added to the solution of (R)-Cl

2

-BINOL (4a) (17.8 mg, 0.05 mmol, 10 mol %) in TBME

参照

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