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大腿骨頚部骨折として治療された特発性大腿骨頭壊死症の 2 例

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Academic year: 2021

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大腿骨頚部骨折として治療された特発性大腿骨頭壊死症の 2 例   

 

       

橋倉一彰、田中健之、田中  栄  (東京大学大学院医学系研究科  整形外科学) 

   

的確な診断がなされずに複数回の手術を要した 2 症例の経験を報告する。ステロイドパルス療法歴のある、

26 歳女性と 69 歳女性。明らかな外傷起点なく股関節痛を自覚し、他院にて単純 X 線で明らかな異常所見はな いものの MRI で大腿骨頚部骨折と診断され骨接合術を実施。術後一旦は改善した股関節痛も、徐々に再燃し 骨頭圧潰が起こり当院へ紹介。骨接合術前の診断は特発性大腿骨頭壊死症(ONFH)であったと考え THA を実 施し 2 症例ともに経過は良好である。病理診断でも ONFH の診断であった。 

   

1. 研究目的   

特発性大腿骨頭壊死症(ONFH)は非外傷性に大 腿骨頭が阻血性壊死に至る疾患である。大腿骨頭に 圧潰を生じると、疼痛が著明になり手術療法が行わ れることが多い。治療は、年齢や分類・病期に応じて、

大腿骨骨切り術などの関節温存手術や人工関節置 換術がある。したがって、適切な治療を行うためには、

正確な診断が必要となる。今回、他院にて的確な診 断 が な さ れ ず 大 腿 骨 頚 部 骨 折 と し て 治 療 さ れ た ONFH の 2 例を経験したため報告する。 

 

2. 症例報告  症例 1:26 歳女性 

主訴は両側股関節痛。既往歴に双極性障害、アド リアマイシン心筋症がある。2009 年、急性骨髄性白 血病に対し、骨髄・臍帯血移植を実施。2016 年 5 月 に移植後関連特発性肺炎症候群を発症しステロイド パルス療法が行われた。同年 10 月から外傷機転なく 両股関節痛を発症し、前医で両側大腿骨頚部骨折と 診断され右人工股関節全置換術(THA)、左骨接合 術が行われた。その後は痛みもなく生活していたが、

2018 年 4 月から左股関節痛が再燃し、当院に紹介さ れた。左大腿骨頭壊死症の診断で左 THA の方針と なった。 

画像所見:前医初診時の単純 X 線像で転位型の 右大腿骨頚部骨折と診断された(図 1‐a)。左股関節 痛の精査のために MRI を撮像したところ、非転位型 の左大腿骨頚部骨折を認め(図 1‐b)、これらに対し

右 THA、左骨接合術が行われた(図 1‐c)。しかし術 後 17 カ月目に、股関節痛が再燃し X 線像で左大腿 骨頭の圧潰を認めたため(図 1‐d)、当院紹介後に左 THA を行った(図 1‐e)。術後の病理所見では、大腿 骨 頭 に 特 異 的 な Empty  lacunae や Creeping  substitution を認め、大腿骨頭壊死症の診断となった

(図 1‐f)。 

  図 1‐a  前医初診時の股関節単純 X 線像   

  図 1-b  前医初診時の股関節単純 MRI  T1 強調像 

 

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図 1-c  前医術後 1 週の股関節単純 X 線像 

  図 1-d  前医術後 17 ヵ月後の股関節単純 X 線像 

  図 1-e  THA 術後の単純 X 線像 

  図 1-f  病理画像 

 

以上より前医では、右股関節は転位型の大腿骨頚 部骨折と、左股関節は非転位型の大腿骨頸部骨折と 診断されたが、病理所見では左股関節は大腿骨頭 壊死症の診断であった。①20 歳代で発症、②外傷機 転がない、③両側罹患、④ステロイド使用歴があるこ とから、ステロイド関連特発性大腿骨頭壊死症と診断 し 、右股関節 は特殊 な頚部骨折 型、左股 関節 は Type C2、Stage1 であったと考える。 

 

症例 2:69 歳女性 

  主訴は右股関節痛。既往歴に乳がん、慢性腎不全 がある  2013 年に慢性腎不全に対して腎移植が実施 され、その時にステロイドパルス療法が行われた。

2017 年 1 月に外傷機転なく右股関節痛を自覚し、他 院で 9 月に右大腿骨頚部骨折が疑われ骨接合術が 行われた。その後痛みは改善していたが、2018 年 5 月に誘因なく右股関節痛が再燃し、前医を受診した ところ大腿骨頭壊死症を指摘され、当院紹介となった。

右大腿骨頭壊死症の診断で右 THA の方針となっ た。 

  画像所見:他院初診時の単純 X 線像で、右股関節 痛があったものの有意な所見はなかった(2‐a)。精査 のために MRI を撮像したところ、右股関節に非転位 型の大腿骨頚部骨折を認め(2‐b)、右骨接合術が行 われた(2‐c)。術後 11 カ月目に、右股関節痛の再燃 があり、単純 X 線像で右大腿骨頭内に帯状硬化像が あり、骨頭の圧潰を認めた(2‐d)。そのため右大腿骨 頭壊死症の診断で右 THA を行った(2‐e)。 

  図 2-a  前医初診時の股関節単純 X 線像 

  図 2-b  前医初診時の股関節単純 MRI T1 強調像 

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図 2-c  前医術後 1 週の股関節単純 X 線像 

  図 2-d  前医術後 11 ヵ月後の股関節単純 X 線像 

  図 2-e    THA 術後の単純 X 線像 

 

以上より当初は、右股関節は非転位型の大腿骨頚 部骨折と診断されたが、病理所見では大腿骨頭壊死 症の診断であった。①外傷機転がない、②ステロイド 使用歴があることから、ステロイド関連特発性大腿骨 頭壊死症と診断し、右股関節は Type C1、Stage2 で あったと考える。 

 

3. 考察 

ONFH の特徴は、①青壮年期に多い、②両側罹 患が 50%程度であり、ステロイド関連 ONFH に限ると 70%、③外傷機転がない、④ステロイド投与歴やアル コール多飲がある。2 例の共通点である、外傷歴がな く、ステロイド投与歴がある患者は大腿骨頭壊死症を 疑う必要があった。画像所見における大腿骨頚部骨 折と診断した原因は、2 例ともに広範な壊死域があっ たためであり、また加えて症例①は対側が特殊な頚 部骨折型であったためと考える。 

ONFH の治療には、①保存療法、②骨切り術など

の関節温存手術、③THA がある。通常であれば 2 例 ともに大腿骨頭の圧潰がなかったため、荷重制限な どの保存療法が適応であり、壊死範囲によっては大 腿骨骨切り術や、待機的 THA が選択肢としてあがる と考えられた。今回の 2 例では大腿骨頚部骨折と診 断したために、骨接合術が行われているが、効果とし ては Core decompression と類似していると考えられる。

Miyahara らは、Core  decompression の成績は術後 6 か月までの症状改善は 83.3%であり、73.3%の症例 で骨頭圧潰に至った 1)と報告しており、また Auregan らは 27 か月の観察期間で術後 24.6%が平均 15 か 月後に THA に Conversion された2)と報告している。

今回の 2 例は、骨接合術により一時的に症状は改善 したものの、症例 1 は術後 18 か月で、症例 2 は術後 8 か月で大腿骨頭は圧潰し THA に Conversion され ており、骨接合術の効果は一時的かつ限定的であり、

不要な手術であった可能性が高いと考える。 

 

4. 結語 

1) 大腿骨頚部骨折と診断され、骨接合術が行われ た ONFH の 2 症例を経験した。 

2) 骨接合術には Core decompression と類似した作 用がある可能性はあるが、一時的に症状を改善 させたものの、短期に大腿骨頭の圧潰を来すた め、不要な手術であった可能性が高く、正確な 診断が必要である。 

 

5. 研究発表  なし   

6. 知的所有権の取得状況  1. 特許の取得 

なし 

2. 実用新案登録  なし 

3. その他  なし   

7. 参考文献 

1) Miyahara HS, Rosa BB, Hirata FY, Gurgel HMC,  Ejnisman L, Vicente JRN. What is the role of core  decompression in the early stage of osteonecrosis  of  the  femoral  head?  Evaluation  of  the  surgical 

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69 result by function score and radiological follow up. 

Rev Bras Orthop 2018 Aug 2;53(5):537-542  2) Auregan JC, Villain B, Begue T. What is the rate 

of  patients  undergoing  at  total  hip  arthroplasty  after  core  decompression  and  insertion  of  a  tantalum  rod  in  osteonecrosis  of  the  femoral  head:  a  systematic  review.  Int  orthop  2018Dec;42(12):2737-2743 

参照

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