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一瀬義文(食物學数室)

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(1)

長崎大学学芸学部自然科学研究報告第2号(1952)

ビタミンC及び其の関係物質のペーパー、パー

チシヨン、クロマトグラフィについて 一瀬義文(食物學数室)

Studies on the Paper Partition Chromatography of Vitamin C and the Substances related to it.

Yoshifumi ICHISE

I緒言

ビタミンC及び其関係物質のペーパー.クロマトグラフイによる分離についてはMapson>

Partridge15両氏及Martin2)等の研究があるが、此等の研究に於ては闘併物質中グルタチオン システイン、タンニン、ピロガロ‑ル、チオ硫酸塩及第一粒塩等については解れてゐないし叉 他にも共等の研究報告は見常らぬので筆者はビタミンC及レダクトン楳物質.システイン、タ ンニン.ピロガロール,チオ硫酸塩及第「鋳塩等に閲するペrパー.クロマトグラフを研究し Jl」食品にも&:mji紺::'ことォw川」砧二月V.:川も.よ時・"'i"i'i+‑!lI:''''I

i'iIN''hviを■i塞lたの

でここに此等を併せて報督する次第である。

II'賛験方法 1・嚢置及抽作

内径6cm長さ36cm,の硝子風筒中に硝手管の支柱を立て、その.h部に渦巻形の針金を固定 し,これに巾1.5cm長さ38cmの清純の上端から約2.5cmゐ線で研曲げたものを懸垂し.k。

椅子園筒の上部にはペト1)皿を崇として覆ひ、接解酎まワゼl)ンを塗って吏密とし,J昇法に よった。正統の下端から7cmの朗に線を引き之を原鮎として試料を滴下し洛剤は鼠筒の底部 に2cmの深さになる迄入れた。、清純は「東洋正統No.2」を用いた。之はMapsost>Partridge 等の用いたWhatmanN0.1とは興るのであるが,Tablelに示す如くRfはn・Butanol,汰

醋駿、水の4:1:5によって展開したレダクトンの場合の外は貰際的には大差ないと認めたの でこの櫨紙で貰験した。この装置で融容妹を30cm上昇せしめることにしたが.溶媒の種類.

法度にもよるが約10時間を要し.且溶媒,指示薬.故紙等の消費量も大きい。叉湿度の影響 等を観測するには不便であるのでRocKLAND及DuNNの方法からヒントを得て経2.5cm長 さ21cmの中型試験管を用い.コルク栓の下側にニクロム線の両端を曲げて差込んでこれに巾 Icm長さ22cmの前記櫨紙を懸垂し管の底部には約1cmの搾さに溶媒を入れ原鮎は純増から 5cmの鮎とし15cm上昇せしむることにした。この方法によると溶媒の種類言温度にもよるが 約3時間程度で所要の距離に展開せしめる事がIT凍た。狗30cm上昇のものと15cm上昇のも のとのRfの差はTablelに示す如くn‑B‑itanol,Phenol何れの溶媒に於ても叉各試料に於 て、±0.01‑0‑02程度で賛際明電としては殆んど等しいとみてよいので15cm上昇の‑jb法によ ることにしたo湿度の影響は前記中型試験管を定規器中に静遺して黄験した。

(2)

Tabre 1・

Samples

Viねmip C

Redロctone

Felro us  SRIPhat6

Thio sulph呂te

PyτogaUic a(;id

Tannic acid

Cystein

30cm(Dis乞ancetravelled)

n口But跳no1

0弓34 0.21 0.12 0.07 0.70 0.61 0・20

−PPheno1

0.35 0.61 0.14 0。13 0.67 0.62 0.70

15cm(Distance舘avellod)

n聞Butano1

0.34 0.22

0.玉2

0。06 0.68 0。62 0.20

P血enol

9・34

0.63

0.15・

0.13 0.65 0.60 0.70

2・謎    料

 ビタミンCとして憶和光製藥製」一アスコルビン酸、第一鐵塩としては硫酸第一鐵、チオ硫酸 塩としてはチオ硫酸曹達、タンニン酸は日本藥局法タンニン酸、ピ・ガ・一ルは化學用ビ・ガ

ロールを用V・、何れの試料もその0・01Mo1水溶液(再蒸鯉水)をミクロピペツトで10μ1滴 下した。但しシステインはシスチンとして0・01Mo1相當量を秤量し、アムモニヤ水に溶かし 10gr!dlの青化加里液5〜6滴を加へ蒸鯛水を加へて0・01Mol液としたものを用いた。レダ クトンは郷氏4)の方法によつて調製した。即ち果糖の1%溶液50ccに2N淡酸曹達L5〜2・5 ccを加へ1分間煮沸後冷却しだものを用V・た。

5・溶    割

 n−Butano!,Ph6nol何れも前記MAPs蝋,P,曳RTRIDGEの方法によつた。即ちn−Butano1は戯一Buta」

Ωol,氷酷酸、水を40:10:50の容積比によく混合し上暦を探つた。Pheno!は蒸氣蒸鯛して 1%(容積)の氷酷酸を加へ同量の水とよく振つて平衡後下暦を用v・た。青化加里の結品は爾 溶剤何れの場合にも入れても入れなくてもTaUe2に示す如くP∫そのものには一般的に大差

を認めなかつた。

4・指 示 藥

 前記MムpsON,PARrRIDGEの方法によつた。即ち2,6,ヂクロール、フエ!一ル、インドフ ェノールの0・08%水溶液に同量のエチルアルコールを加へた溶液を用v・た。溶媒先端が一定 距離に達した後引上げ溶媒の先端にしるしをつけ溶剤のため漁つた櫨紙の色がもとの濾紙の白 色になる位に室温で風乾し霧吹きで指示藥をかけると青藍色の地に試料のため槌色した白叉は

それに近い色の斑黙が得られた。

m實験結果及考察

 1・各軍一試料を室温(13。C〜15。C)に於て溶媒を15cm上昇せしめた場合のF∫をTable 2に示し、猫ビタミンC及レダクトンは前記MAPs()N等の得た仇(150C 》18℃)と比較して

示したし

(3)

32 Table 2・

Samples

Vitamin C Reductone

Feπous S簸1Ph3te Thio Su1Pha生e pアτogallic Acid Tann覧c Ac童d Cystcin

n−Butano1

Without

KCN

0.34 0.22 0.12 0。06 0。68 0.62 0。20

Witk KCN

MAPSしN

0。37 0.63

Author 0.35 0.22 0.12 0.07 0.70 0,64 0.21

Phenol

W三t赴out

KCN

0.34 0.63 0.15 0。13 0。65 0.60 0.70

Witk KCN

MみpsON

0ち35

0.66

Author 0.34 0.64 0.18 0。16 0.67 0.65 0.70

 この表に見る如くn−Butano1を溶剤とした場合のレダクトン以外はMAP毒oN等の得た結果 と略一致した。レダクトンに就V・ては猫研究を績けてゐる。叉この表から青化加里を用V・ても 用いなくてもRノそのものには大差を認めないことを知つたので以下の實験には之を入れない ことにした。

 2・Fノに及ぼす温度の影響:n−Butanolを溶齊 とした場合の結果をTable3にPhenolの 場合をTab1e4に掲げた。上昇時間は溶剛が15cm上昇するに要した分数である。

『Tabヨe 5.   (Travelled by n騰Butanol)

Sample5

V且tamin C

Reductone

Ferrous  Sulphate Thio−Sulphate Py1ogallic Acid T我naic Aeid  Cy8tein

100〜130C

0.34,

0.22 0。12 0.06 0。68 0.62 0.20

幽丁面e

requiτed

180』210min

250C

丑/

0.35 0.28 0.14 0.07 0.70

σ.64

0.21

Time

re(luired

150min 180〃

150ク 150ク

150〃

160〃

160〃

350C

0。39

0.31

0.15

σ.1P

O.70 0.67 0.23

丁五me

τequirod

120m童n

150ク 120〃

120ク

120ク 135〃

120

Tab!e 4・  (Travelled by Phenol)

Samples

Vitamin C

R.eductone

Feπous  Su1Phate Thio−Su1Phate Py1ogaBic Acid

Tannic Ac量d

Cystein

100〜130C

requircd Timo r圓

0.34

0.63 0.15 0.13 0.65 0.60 0.70

300−330min   〃   〃   〃   〃   〃   〃

250C 350C

0.35 0.63 0.15 0.13 0.67 0。60 0.73

Time

;eq翠ir6d.

180min 230 210〃

210〃

210〃

180 210〃

0.42 0.63 0.15

0.18

0.70 0.63 0.73

Time τequired

150min

l60〃

165〃

165〃

210〃

150〃

175〃

(4)

 Table3,4に見る如く温度の上昇と共に一定距離の上昇に要する時間も速やかになφ且Rノ も一般に増加した。從つて瑠値は温度を明示することが是非必要であると思はれる。

 3・試料を2%メタ燐酸に溶かした場合のRノ:前記7種g試料中チオ硫酸塩はメタ燐酸に より白沈を生じシスティンは斑黙を認φなかつた。叉第一鐡塩はメタ燐酸と指示藥による桃色 の斑黒占のため明瞭でなかつた。呉他のものにつき18QCに於ける亀Fノを掲げ参考のため水溶液

の場合と比較した。

Table5・

Samples

Vitamin C Reductone Tannic Acid

Pyrogallic Acid

Metaphosphoric Acid

n一:B tano1

2%HPO3

Soiution

0。34 0.22 0.60 0.75 0.13

Aqueous SoL 0.34 0.22 0.62 0.68

Pheno1 2%HP93

Solution

0.34

0.61

0.69

No spot

Aqueous So1・

0.34 0.63 0.60 0.64

 この表にみる如く2%メタ燐酸に試料を溶解した場合はかButand,Pheno1何れの場合に於 てもビタミンC、レダクトンは水溶液の場合とよく一致し叉ぜロガ・一ルも明確に判別が出來 た。n−Butano1の場合はタンニンも判別が出來た。レダクトンは水溶液の場合よりも却つてこ

の方が鋭敏であつた。

 4. ビタミンCの濃度の差による町の攣動:0・410・2,0・15,0・10,0・05各%の水溶液 を調製して之を10μ1滴下し18⊃Cで展閑して母を比較した結果をTablo6に示した・

TabIe6・

Conc of V五tamin C

0・4%・

0・2%

0・15%

0・1%

0・05%

n Butanol heno1

0.35

.34

0.34

.34

0.29 0.33

0.27

.33

0.27

.34

 この表にみる如くPhenolで展開した場合は殆んど濃度の差による群の攣動は認められな かつたがn−Butanolで展開した場合は濃度の差により理に攣動を生するのが認められた。

叉n−Butano1,Pheno1何れ.の場合に於ても0・05%以下は明確でなV・又は全然斑黙を認めなかつ た。それで、試糾としては0・2 》0・4%即0・01〜0・02モル程度のものを1qμ1位用V・るのが適

嘗と思!まれる。又距Butano1展開の場合は1サによりビタミンeの濃度を略々察知することも

出來るわけである。       ,   ,

 5.其他の試料の最低検出量:試料の項(IIの2)に於て述べたやうな0・01モル水溶液 其他の溶液の1!2及1! 濃度Dものを調製してかButano1及Phcnolで展開した所ピロガロ

ールは1!2のものは斑黙を認めたが1!、oのものは認め得なかつた。其他の試料では0・01モル 未繭Dものは斑黙を認め得なかつた。從つて試料の量としてはビタミンC以外の關係物質も

0・01モル程度∠》ものを10μ1位滴下するのが適當と、思はれる。

(5)

34

IV食品への慮用

1・食品類の試料の調製

 (i)茶:市販の緑茶3瓦に蒸艦水50c・¢3を加一・5分聞90℃に浸出して得た液を月jv・た。

 (li)夏みかん3夏みかんの外皮内皮及砂瓢を去り磁製乳鉢で潰しその濾液を用V・た。

 (m)大根、ほうれんさう、にんじん、甘藍等の葉:夫々5瓦を乳鉢でよく播陣し吸引濾過し

た液を用いた。

 (iv)切干大根・細切した後乳鉢で摺潰し漁るに足る少量の蒸鯉水を加へ吸引濾過して得 

た液を用いた。

2・實験及結果

激睡D食晶につき前記の方法によりRノを測定した(13。C〜150C)結果をTable7に示す。

Table7

Samples Chinesecitron

Tea

Spinaeh

Dr竃ed r dish Lea『

Radish Leaf

Wel需h onion Le訊f Carrot Leaf

Dr互ed6象τips of Rad齢hes

SubstanceS Presumed

Vitamin C

Fefrous Salt 丁哺nic Acid Vitamin C Fenous Salt

Vitamin C

Reductone

n。Buta簸01

0.31

0.36 0.13 0.60

0.31

0.10 0.14

1No SPot

0.32 0。28 0.34 O。21

Pbe島01

0。33 0.34

No SPot

0。61

0.33

No Spot

0.33

0.33

O.34 0.62

 との衷にみる如く各食晶に於てその推定成分の示す碍は軍一成分のそれと略々一致した。

しかし夏みかん、ほうれんそう、等のビタミンCの示すRノは茶のそれに比し低い。これに就い ては試料そのもののPH,共存する第一鐡塩、タンニン酸等の影響を實験してみたが.何れも明 確な一定の闘係を認め得なかつた。ところがIIIの4に述べたやうにビタミンCはn−Butanol 展開の場合はその濃度によつて多少.群に攣動を來すことを知つた。即各食品による群の 差異はビタミンC濃度の差がその大なる原因となつてゐるのではないかと考へる。

3・食晶の斑に及ぽす潮凹影響

Table8にみる如く温度の上昇と共にRノが増加することは箪一成分の場合と同様であつた。

(6)

Tab!e・8

Samples

Chinese citron

Tea

Sul)stances

P−eSUlned

vitamin C

Tannic Acid Feπous Salt

130C〜150C

かButan・1

Phen・1

0。31

0。36 0.60 0.13

0.33 0.33 0.60

No Spo皇

250C

n−Buta no1

0.32 0.37 0.66 0.14

Phepo1 0.35 0.35 0.62 No Spot

35CC

n−Butano1

0.35 0.40 0・73 0.15

lPhen・1 0.40 0.40 0.66 No Spot

4・食晶をメタ燐酸により漫出した場合の五ン

ほうれんさう、甘藍、大根等の葉4;瓦をと夢之に10%メタ燐酸1ccを加へて磨埣吸引濾過し て略2%メタ燐酸溶液としたものを試料として用いた結果をTablc9に示した。

Tab量e9

Sample5

Substances

resumed

n一:Butano1

Phenol Spinaeh

V重tamin C 0.31

0.33

Radish Leaf 〃

0.32 0.33

Cabbage 0.33 0.33

D∫ied Stripご・f

di5he5

Reductone

Not Distin6t

0.62

 この表に見る如く食品類をメ タ燐酸で浸出したものを用いて もビタミンCは水溶液の場合と 略同様の結果を得た・但しn−

Hutanolで展開した場合はメタ 燐酸と指示藥との桃色の斑黙が

0・13−0・15附近に現はれるので

第一鐵塩やレダクトンの様な碍の之に近v・ものの分離1ヒは不適當である。しかしこの方法に

よれぱ試料調製中ビタミンCを水溶液の場合より安定に保つことが出來るのであるから場合に よつてはピタミンCの検出確認の際には水溶液より却つて利用慣偵があるとも考へられる・

V要

 (1) ビタミンC並に共關係物質中レダクトン様物質、.システイン、タンニン酸、ピ・ガロ ール、チオ硫酸塩、及第一鐡塩等につV・て溶剤及び指示藥の調製法はM、握o職PARTRIDGE等の 方法に從い東洋濾紙No.2を用いてペーパー.ク・マトグラフイを研究しその母を測定し

たo

 (2)装置はR。cm凪ND及びDUNNの方法を改めて中型試験管を用V・、時間的且物質的に

より鰹濟的な方法を考案した。

 (3)軍一,成分に於ても食晶に於ても一般に温度の上昇と共に母も増加することを確めた。

 (4)軍一成分食品何れの場合に於ても2%メタ燐酸の溶液としても水溶液の場合と碍に

大差ないことを認めた。

 (5) ビタミンCをn−B tanolで展開した場合は試料の量と瑠とが或程度正比例すること を認めた。

 (6)激種の食晶に感用してビタミンC第一鐡塩及びタン昌ン、レダクトン様物質等は分離

槍紹することが出來た。

 (7)從つてこの方法は少くも食晶中の上記成分Q瞼出確認には利用し得ることを認めた。

絡りに臨み卸懇篤な御指導を蜴1よつた九大岩田久敬醇士に深甚なる謝意を表する。

       (1951.5.31)

(7)

36

(1)

(2)

(5)

(4)

MムPSON,L.ハ喧。

MARTIN,H.J。P

ROCK曜ANL,L。B

郷  干枝子

&PARTR〔DGE,S・M・  Nature,164・479(1949)

  Alm,N・Y・Acad・Sci・,49,249(1948)

&DuNN,M・8,=Science,109,539(1949)

 醸酵工業雑誌224(1950)

参照

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