北 原 直
Nut r i me ntandCar ot enoi dFi gme nt si n t heOvar y of Wal l eyePol l oc k ( The r a gr ac hal c o gr amm a)
TadashiKI T AHARA
Nut r i me ntand c ar ot e noi d pl gme nt SWhi c h we r e s t or e d i n t he ovar yoff i s hwe r et hepr l nC l palc ompone nt st hatf or me dt hebas i sof ne xtge ne r at i onoff i s h.
I n t hepr e s e ntpape r
,t heaut horhasdi s c us s e d hi sr e s ear ch on qual i t at i veandquant i t at i vebi oc he mi c alc hange soft henut r i me ntand c ar ot e noi d pi gment si n t heovar y ofwal l e yepol l oc k c onne c t e d wi t h t he i rl i vi ngs e aar e aandt he i rc our s eofmat ur at i on.
Att hes amet i me ,t heaut hori nve s t i gat e d c ar ot enoi d pi gme nt s i nt hes t omac hc ont e nt sa ndpyl or i cc ae c at ha twe r ec ol s e l yr e l at edt o
■ i
t heovar ycar ot e noi dpi gme nt s .Theaut horhasdi s c us s e donunknown ye l l ow pi gme nt( pr ovi s i onal l yname d" Y‑pi gme nt " )t hatwa sf oundi n t hec our s eoft hes t udy.
※ 本研究 の一部 は農林水産技術会議 「ベ ー リング海 およびカムチ ャッカ半 島周辺海域 のスケ トウダラ資源 の系統群 の解明 に関す る研究」 の中間報告書 に発表 した。′
原稿受領 日
:1 9 8 7
年1 2
月2 3
日〔 2 3〕
24
人 文 研 究 第7 5
輯スケ トウダラ資源の次期世代の基 となる卵の栄養成分 とカロテノイ ド色素 に ついて,生化学的な質および量の変化を,棲息海域別 ・卵の成熟度別 に検討 し た。 また,卵の色素 と密接 な関係がある胃内容物および幽門垂中の色素 につい て も,あわせ七検討 した。更 に,本研究過程で発見 された未知の黄色色素 につ いて も考察を加えた。
試料および方法
ベー リング海東部,カムチ ャッカ半島東西岸,および北海道周辺各海域か ら, 下記の方法で試料 を集めた。
ベー リング海東部・・・・・・北海道大学水産学部を通 じ,冷凍試料を入手
カムチ ャッカ半島東西岸・・・‑北海道区水産研究所を通 C,生鮮試料 を入手 北海道 日本海岸雄冬岬沖‑・‑北海道中央水産試験場を通 じ 生鮮試料を入手 北海道太平洋室蘭沖・‑・・北海道函館水産試験場 を通 じ,生鮮試料 を入手 北海道 オホーツク海岸紋別沖‑‑‑北海道網走水産試験場紋別支場を通 C,坐
鮮試料を入手
これ ら試料 について,水分 は重筆法で,タンパ ク質 はBiuret法1'2'で,脂質 は ソックス レー抽出法で, ステロールは
Ki l i ani
反応 による Zak
の抽出法 3)で求 めた。 ステロール/エステル比 はコレステロールエステル(
mg/d
l)総 コレステロール(
mg/dl ) ×1 0 0
の式 により,計算で求 めた。 また,比重 は硫酸銅 による簡易測定法4)で求 めた。
カロテノイ ドは,常法 どお りアセ トン抽出後,抽出液を濃縮 し,少量 の石油 エーテル
( b. p. 4 0‑6 0 ℃)
に転溶 し,さ らに水洗 またはケ ン化 によって油脂ノ
1
)大城善太郎( 1 9 5 8 ) .
鹿児島大学水産学部紀要.6
,1 1 9 2) ( 1 9 5 8 ) .
同上.6,1 2 5
3) Am.∫ .Cl i n.,Pat h. ( 1 9 5 4 ) .2 4 ,1 3 0 7
4)
吉川春寿( 1 9 4 6 ) .
医学 のあゆみ.1, 1
Ma t e r 主 ar s
E
xtd.wi t h a c e t o , ne Ac e t QneS Dl r L
CoE t e d.be l o
w 4ccCunde rN 2
Ext d、wi t hpe t r ol e um e t he r ( 也 . p.4 0
‑ 60:℃)Wa s he dwi t hH 2 0
D
e c ol or 主 z e dmat e r i al s
Pe t r ol eum e t he rs ol n.
Dn L e dαve rNa 2 SO4( a nhyd. ) CQnC d.be l ow d o ℃ unde r , N 2
Sa t poni f i e at i QnWi t hal c ohol i c ‑ KOH Was he dwi t hH 2 0
Uns a poni f i abl emat t e r
Aqt l e Ot l SS O . 壬 n 、
Chr omat ogr aphyonMgO: Ce l i t e(i:i)
Co‑ c hr omat ogr aphyonSi l i c a ‑ ge t( me s hl o o‑ 2
00)Fi g.1.Pr o c e dur e sf ort hee xt r ac t i onoft hec a r ot e nQi dpi gme ntf r om t heova r yo fwal l e yepol l o ck .
を除 き, カラムクロマ トグラフィによって色素成分 の分離 を行 った
( Fi g .1
参 照)。 カ ラムクロマ トグラフィはMgO ( Mer ck):cel i t e 545 ( J o・ hns‑Man, svi
l) 1:1
を吸着剤 と して, 展開溶媒 を石油 エーテル‑ アセ トン‑ メ タノ‑ルと順次極性 を増 して行 く展開法 で行 った。 メタノールで溶 出 されない区分 は, さ らに
5%
酢酸/メタノール(5% AcOH‑MeOH)
で溶離 させ, この区分 は さ らに シ リカゲル (ワコウゲルC‑ 200 ,mes hl O0‑ 200 )
を吸着剤 と し,石油 エー テル/アセ トン( Acet one‑PE)
の溶媒系 によ る再 ク ロマ トグ ラフ ィを 行 って分画 した。カ ロテノイ ドの同定 は, カ ラムクロマ トグラフィの吸着性 と溶 出性,吸収 ス
26
人 文 研 究 第7 5
輯ベ ク トルの形状, 各種溶媒 にお ける
Amax
, 分配率, エポキ シ基 お よびア リ リックOH
基 の検 出,アセチル化, ヨウ素 によ る異性化,NaI ∋ H 4
による還元, さ らに各種標準 カ ロテ ノイ ドとの直接比較 (Amax, 吸収 スペ ク トル,CO‑
TLC)
等 の方法 で行 った。カロテノイ ドの定量 は,ア定 トン抽 出液量 と
Amax 47 5nmの吸光度か ら分子吸
光係数 をE
ic% m‑2, 200
5)として,カロテノイ ドをAst axant hi h
として算 出 した。mg/100g‑ dX
抽 出液量(ml)× C
試料重量
( g)
d
‑吸光度,C ‑分子
吸 光係数
結果および考察
1
)体系別,海域別 の卵巣栄養成分 と色素西 カムチ ャッカか ら得 た試料 を, 体重
500g
以上 と以下 の2
グループに分 け て, 各種 の栄養成分量 を求 めたのが,Tabl e
lであ る。 水分量 は, 大型魚 が7 3. 17
,小型魚 が79. 0 3%
と大型魚 が少 な く,一方 タ ンパ ク質,脂質 お よびカ ロ テ ノイ ド量 は大型魚 の方 が多 い。 しか し,大型魚 と小型魚 グループの間 には, 成熟度 に差 が あ ったので,次 に成熟度別 の検討 を行 うことと した。成熟度 の基 準 は次 によ った6)0Tabl e 1.Theamount so fnut r i me ntandc a r ot e noi di nt heovar y Body sa mpl e Wa t e r
we i ght numbe r・ C Ont e nt pr ot e i n Li pi d St e r ol讐 蓋ご Ca r o t e no i d ( g) ( %) ( %) ( %) ( %) ( %) ( mg/1 0 0g) Above
5 0 1 Unde r
5 0 0
1 6 7 3 . 1 7 2 3 . 0 0 1 . 1 7 0 . 2 7 6 3 . 8 0 . 0 4 2 1 2 7 9 . 0 3 1 6 . 7 6 0 . 8 5 0 . 1 1 5 0
.40 . 0 1 5
5)
金光康俊 ・青江 弘( 1 9 5 4 ) .
日水誌.2 4 ,5 5 5
I6)
北水研資源部( 1 9 7 ・ 1 ) .
生物測定資料の機械集計 について2‑2:
卵巣が肥大 し,外部 か ら容易 に卵粒 が認 め られ る (卵黄形成期〜腫胞 移動期)3‑0:
卵巣 は最大 に達 し,不透 明な卵黄形成期 の卵粒 の中 に透明な卵 が混入 す る。 \4‑0:
卵巣 は3‑0
よ り小 さ くな るが,一見すべて透明卵で満 た されている. 北海道雄冬岬沖で入手 した試料 を,前記成熟度別 に水分量,栄養諸成分量 お よび色素量 を調 べた結果 がTabl e L 2
であ る。成熟度2‑2の卵 は,肉眼的観察か らも推定がつ くが,3‑0, 4‑0
の卵 に くらべて水分が少 な く,栄養成分 と色素 が 多 い。成熟度4二0
の卵 は,2‑2に くらべて,水分 が増 えて, タンパ ク質 と脂質 は約1/2
に, ステ ロールは約1/3
に, そ してカロテノイ ドは約1/5
に減少 す る。 成熟度3‑0
の卵巣 は, いわば成熟度2‑2の卵 と4‑0
の卵 が混合 した ものTabl e 2. Theamount sofnut r i me ntandc ar ot e noi di nt heovar y Wat er ̲ ̲■St e r oi
・
Mat ur i t y Sampl numbe e c r ont e nt Pr ot e i n Li pi d St e r ol
C ar o t e n oi d
( %) ( %) ( %) ( %) ( %) ( mg/ 1 0 0 g) 2‑2 1 5
3‑0 1 3 4‑0 2 9
6 9 . 1 6 2 7 . 6 1 0 . 9 4 0 . 2 2 7 4 . 2 9 2 1 . 9 2 0 . 6 2 0 . l l 8 5 . 5 8 1 1 . 2 2 0 . 4 6 0 . 0 8
5 8 . 8 0 . 2 7 7 4 1 . 1 0 . 1 1 5 3 2 . 8 0 . 0 5 6
Tabl e 3. Theamount sofwat e r c ont e nti nt hovar y
( Of uyuPr omont or y of f s hor e )
Mat ur i t y Wat e rc ont ent
( % )
2 0 0 一 一 一 2 3 4
で,
Tabl e 2
の諸値 も両者 の中間 にあ る。 卵 の成 熟 度 別 の水 分 の範 囲 は,Tabl e 3
のよ うに,成熟 の進行 とともに増加 している。
次 に,前記諸水域 で得 られた試料 で 卵の成熟度別 に特性値 を求 め比較 した のが,
Tabl e 4
であ る。成熟度 の進行 につれて,水分 が増加 し,栄養諸成分28 人 文 研 究 第 75輯
Table 4.Theamountsofnutrimentandcarotenoidintheovaryatdifferent livingseaar甲
Water Stero
Livingsea Maturity content Protein Lipid Sterol Carotenoid area (%) (%) (%) (%) (%) (mg/100g) I写astof
Beringsea
2‑2 70.76 26.23 1.00 3‑0 79.05 18.69 0.65 4‑0 86.12 8.54 0453
0.21 47.01 0.248 0.12 42.93 0.102 0.10 36.13 0.073 East
Kamchatka
2‑2 69.73 26.60 1.55 3‑0 77.17 19.72 1.27 4‑0
0.25 51.66 0.365 0.19 47.47 0.168
West
Kamchatka
'2‑2 70.04 25.30 1.25 0.24 53.62 0.315 3‑0 78.32 18.53 1.03 0.18 48.71 0.134 4‑0
Ofuyu Pro‑ 2‑2 68.88 26.44 1.25 0.27 57.36 0.398 montory 3‑0 74.24・ 20.41 0.95 0.21 ・ 50.10 0.154 offshore 4‑0 83.04 9.63 0.58 0.10 47.29 0.067 Murorarl
offshore
2‑2 67・,13 30・50 1A7 3‑0 77.58 21.97 0.95 4‑0 82.32 9.66 0.55
0.29 64.18 0.488 0.21 58.07 0.276 0.12 52.69 0.181 Monbetsu
offshore
2‑2 68.46 29.61 1.87 3‑0 72.12 26.65 1.51 4‑0 ・84.40 10.51 0.65
0.29 61.42 0.475 0.25 54.83 0.245 0.13 45.16 0.103 と色素 (単位重量 当 り)が減少す ることは,各水域 とも共通 しているが,増加 や減少 の割合 に海域別 による差 が認 め られた。 すなわち,水分 はベー リング海 東部 の ものが最 も多 く,成熟度
2 ‑2
で7 1 . 0 1 %,3 ‑0
で7 9 . 8 5 %
を示 し,つ いで 西 カムチ ャッカ,東 カムチ ャッカ,北海道周辺 の順 とな って いる。栄養成分 と 色素 の順 は, これ と逆 になるが, タンパ ク質 につ いてみ ると,室蘭沖 の ものが 最 も多 く,成熟度2 ‑2
で3 1 . 4 %,3 ‑0
で2 4
.4
% とな り,紋別沖 の ものが これに 次 いでいる。脂質, ステ ロールおよびカ ロテノイ ドにつ いて も, ほぼ タンパ ク質 の場合 と同 じ水域的傾 向が得 られた。
このよ うな順位構造 の中で,東 カムチ ャッカ〜西 カムチ ャッカ〜ベー リング 海東部, および北海道太平洋〜北海道 オホーツク海岸 は近似 した値を もっと考 え るこ とがで き,北海道 日本海岸 はそれ らの中間の値 を示 して いる。得 られた 試料 の範囲で は,北海道太平洋 とオホーツク海岸 の ものが多量 に餌を摂 って い たのに対 して,北海道 日本海岸 とカムチ ャッカ半 島東西岸 の ものが空 胃で あ っ たが,産卵期 中の食性 とも関連が あ ると推定 され る。
また, カムチ ャッカ半 島東西岸 の卵粒 は北海道周辺 に くらべて大粒 であるの で,単位重量 当 りでな く単位卵数 当 りで示す と,この差 が縮 まると想定 され る。
北水研 の資料 7)か ら, 卵巣 の単位重量 当 り卵数 を雄冬沖 と東 カムチ ャッカで比 較す ると,Table
5
のよ うになる。成熟度2 ‑2
につ いてみ ると,雄冬沖3 , 0 2 0
粒/ g
に対 して東 カムチ ャッカ2 , 2 0 5
粒/ g
と,2 6 %
の差 があ る。 重量 当 り卵数 は 他 の水域 で は求 め られていないが,今後,卵 の成分 の分析 に当 って は,成熟度, 水分 とともに卵粒数,卵径 に も注意 を払 う必 要 があろ う。2)
産卵期 における卵巣の肉眼的色調 と成分 との関係スケ トウダ̲ラの卵巣 には,同一海域の同一成熟度 の もので も色調 に差 のあ る ものがあ り,肉眼で見て赤 っぽい卵巣 と白 っぽい卵巣 がある
。
北海道雄冬岬沖Tabl e 5. Theamount sofe ggpe ronegr am
Mat ur i t y Eas t Of uyuPr o mont o r y Kamc hat ka of f s hor e
2 0 0 一 一 1 2 3 4
7)
北野 裕( 1 9 7 2 ) .
ベー リング海 およびカムチ ャッカ半島周辺海域 のスケ トウダラ資 源の系統群の解明 に関す る研究.4 8
30
人 文 研 究 第7 5
輯の卵巣 で, この色調 と栄養成分 および色素 との関係 をみたのが,Table
6
およTabl e 6.Theamount sofnut r i me ntandc ar ot e noi di ndi f f e r entovar yc ol or Wat e r ̲ . S t e r o l
Pr ot e i n Li pi d St e r ol Col or Mat ur i t y c ont e nt
( %) ( %) ( %) ( %)
Car ot e noi d
( % ) ( mg/1 0 0g)
Re d 2‑2 6 9 . 1 7 2 7 . 5 3 1 . 0 3 0 . 2 3 5 5 . 81 0 . 61 1 Whi t e 2‑2 6 9 . 5 6 2 6 . 2 8 0 . 9 8 0 . 2 3 5 0 . 2 0 0 . 1 5 8 Whi t e 3‑0 7 4 . 2 9 2 1 . 9 2 0 . 6 2 0 . 21 4 9 . 3 4 0
.1 1 1
(Ja
q l
atu
na101盲d
uT)aUu P q J
OSq
V5 00
Wave l enght h ( nm)
F j g・21Abs or pt i on s pe c t r aoft hee xt r actf r om r e dand whi t eovar y.
1) mat ur i t y:2‑2( r e d
),2) mat ur i t y:2‑2
( whi t e ) ,3)mat ur i t y: 3‑0( r e d)
び
Fi g.2
であ る。 Ta b l e6
のよ うに, カロテノイ ドは,赤 い卵 と白い卵 の問 に 顕著 な差 がある。 す なわち, 赤 い卵0 . 6 1mg/1 0 0g
に対 し, 白い卵0 . 1 8mg/
1 0 0g
と約1/4
にな る。 色調 の差 は, カ ロテノイ ドの差 に基 づ くと思 われ,水 分 と栄養成分 で はほとん ど差がなか った。赤 と白のそれ ぞれ の卵巣 か らと った卵 の,石油 エーテル抽 出後 の吸収 曲線 が
,F i g・2
であ る。成熟度?‑2
の赤 い卵 で は,4 8 5nm
にスma x
が現 れ るが,成 熟度2‑2
の 自 お よ び成 熟 度3‑0
の卵 は4 0 0mm
にAma x
が生 ず る。 この両Ama x
の内容 は,次 に更 に分析す る?赤 い卵巣 と白い卵巣 の繁殖活動 における機能的 な差 は,明 らかでない。
3)卵の比重 と水分およびタ ンパ ク質の関係
Ta b l e2
,3
,4
か ら明 らか なよ うに,卵 の主成分 は水分 とタ ンパ ク質であ るか ら,最近 の血液学 の分野 で明 らか にされて いるよ うに,2
成分 が甚重 と密 接 な関係 を もつ ことが想定 され る。 そ こで,卵 の比重 を硫酸銅 考利用 した簡易 測定法4 )
で求 蕗,G
と し,次式 によ り Ⅹ,Y
を求 めた。式 中の1 . 0 0 7
は補正係数 であ る。
タ ンパ ク質量 (%)
‑ Ⅹ × ( G‑ 1 . 0 0 7 )
水 分 量 (%)
‑YX
(G‑1 . 0 0 7 )
その結果
Ⅹ ‑7 2 4( 7 0 0‑ 7 4 0 )
Y
‑1 8 2 0( 1 8 0 0‑ 1 8 5 0 )
が得 られた。 この値 を用 いると, た とえば水分量 は,次式 で与 え られ る。
水分量 (%)
‑1 8 2 0
(G‑1 . 0 0 7 )
この式 を用 いると, た とえば船上 な どで細 か い分析 がで きない場合,試料 の比 重 を硫酸銅法 で求 め ることによ って,水分量 とタ ンパ ク質量 を推定す るこ とが
で きる。
32
人 文 研 究 第7 5
輯4)色素の吸収 スペ ク トルの成熟度 による変化 ‑
卵 の成熟度別 の単位重量 あた りカ ロテ ノイ ドは
Tab暮 e 2
の よ うに,2 ‑2
で0 . 2 7 7 ラ 3 10
で0 . 1 1 5 ,4 ‑0
で0 . 0 5 6mg /1 0 0 gと, 成熟 が進 む につれて減少す
る。同時 に,水分 が増 え タ ンパ ク質 と脂質 が減少す る こと も, すで に述 べ た。各成熟度 の卵の色素抽 出液 を濃縮 し,石油 エーテルに転溶後 の吸収 スペ ク トル を示 したのが Fi9.
3
であ る。‑成熟度2‑2
のスペ ク トル は,4 0 0n m
と4 8 5n m.
に
Amaxが あ り,吸光度 の比率 はほぼ 1:1
であ る。成熟度 が3 ‑0
にな ると,4 8 5n m
のAmaxが減少 し,4 ‑0
で はほとん ど認 め られ な くな る. 一方,4 0 0
nm
のAmaxはその まま残 る. この両 Amaxの相対値 か ら,逆 に卵 の成熟度 を
推定す ることが可能 と考 え られ る。 、(1むqlむtunaTOJladu!
) ao
uぷ10Sq V
50 0
̀ Wav e l engt h ( nm)
Fi g .3.Cha nge si nt heabs or pt i ons pe c t r aoft heovar y i nt he i rc our s eofma t ur at i on.
1)mat ur it y: 2‑2
,2)mat ur i t y: 3‑0
3)mat ur i t y: 4‑0
5)
胃内容物 と幽門垂 の色素スケ トウダラで は, 胃内容物 と幽門垂 中にか な りの量 のカ ロテノイ ドが含 ま れているが,筋肉中にはカ ロテノイ ドは含 まれていない。表皮 か らは,多 くの 海産魚 と同様 に
8 )
,Tunaxanthi nが検 出 され る。卵成分 の分析 と並行 して,冒
内容物 と幽門垂 中の色素 も分析 したが, それを海域別 ・成熟度別 に示 したのがTabl e 7
であ る。 胃内容物 で は, カムチ ャッカ東西岸 と北海道雄冬岬沖 の試料 は空 胃であ ったが,室蘭沖,紋別沖 お‑よびベー リング海東部 の試料 は, オキア ミ, t=ペボーダな どのプ ランク トンと若干 の小魚 や ホ ッコクアカエ ビを含 んで いた。上記3
海域 の胃内容物 中には多量 のカロテノイ ドが含有 されてお り,特 に室蘭沖 の胃内容物 中か らは,1 2. 0 46 mg/ 1 00 g ( 2‑2 )とい う多量 のカロテノ
イ ドが検 出 された。幽門垂 で は, ベー リング海東部 の ものが桁外れた大 きい値 を示 して いる。 こ
Tabl e 7.Thec a r ot e noi dc ont e nt soft hepr e ysc ont ai ne di nt hes t oma c hsa nd pyl or i cc a e c a ( mg/1 0 0g)
St oma c hc ont e nt s Pyl or i cc ae c a 2‑2 3‑0 410 212 3‑0 4‑0 Of uyuPr omont or y
of f s hor e
Mur or a no f f s hor e Monbe t s uo f f s hor e Ea s tKamc hat ka We s tKamc ha t ka Ea s tofBe r i ngs e a
noc oT l t e nt S 0 . 0 8 4 0 . 0 5 6 0 . 0 3 6 1 2 . 0 4 6 9 . 0 8 7 3 , 1 4 1 0 . 4 1 4 0 . 2 6 4 0 . 1 41 7 . 2 9 3 6 . 1 2 4 2 . 0 7 6̲ 0 . 3 9 1 0 . 2 5 4 0 . 1 6 5 noc ont e nt s 0 . 2 4 9 0 . 1 4 0
noc ont e nt s 0 . 2 41 0 . 1 0 6
7 . 5 7 9 6 . 9 1 0 2 . 4 2 8 1 . 4 3 4 1 . 3 2 4 1 . 0 1 6
8̀ )
片山輝久( 1 9 7 9 ) .
海洋天然物化学.1 3 9 ,
化学総説No.2 5
, 日本化学会編34
人 文 研 究 第75輯の試料 のみが凍結 された とい うこともあ るが,卵 の栄養成分 と色素 および胃内 容物 中の色素 には他海域 の もの と特 に差 が認 め られないので,凍結 の影響 でな く水域 の実体 を反映 していると考 え られ る。 ベ ー リング海につ いで,室蘭沖 と 紋別沖 の値が大 きいが, これ らの試料 は空 胃ではない。 カムチ ャッカ半 島東西 岸 がそれにつ ぎ,北海道雄冬岬沖 は最 も少 ない。
一方,産卵期 における卵 の成熟 とは異 な る状況下 の索餌期 の卵巣,幽門垂 お よび胃内容物 中のカロテノイ ドを,北海道雄冬岬沖 と東 カムチ ャッカの試料 で 比較 したのが Table
8
であ る。産卵期 に くらべ,両海域 の試料 とも,卵巣,幽 門垂 に多量 の カ ロテ ノイ ドを含 んで いた。 また, 胃内容物 中か らもそれ ぞれ3 . 5 9 6
と6 . 1 7 1mg/1 0 0g
もの多量 のカ ロテノイ ドが検 出 された。Tabl e 8. Thec ar ot e noi d c ont e nt si n t heovar y,pyl or i c c ae c aands t omachc ont e nt sdur i ngt he i rf e e d‑
i ngmi gr at i onpe r i od ( mg/1 0 0g) Of uyu Pr omont or y Eas t
of f s hor e Kamc hat ka Ovar y 0 . 4 9 9
0.150Pyl or i cc ae c a 0 . ̲ 3 7 1
‑1.892St omac hc ont e nt s 3 . 5 9 6 6
.1 7 1
胃内容物 および幽門垂中 のカロテ ノイ ド量 は, どの海域 で も,成熟度 が進 む につれて減少 している。 胃内容物 の方 は外 的な変化 であ るが,幽門垂 の方 は, 成熟 に ともな う一種 の変化 を反映 して いるもの と思 われ る。 動物 の体 内で は, カロテノ イ ドは相互 に変化 し合 うことはあ って も,新 たに他 の物質か ら生合成 す ることはで きない8)9)。スケ トウダラの体内 に存在す るカ ロテノイ ドは,必ず 餌生物中のカロテノイ ドに由来 してい る。 餌生物か らとりこまれたカロテ ノイ
ドは,一旦幽門垂 に蓄積 された上 で,卵巣 に移行す るもの と推定 され る。
6)卵巣 カ ロテ ノイ ドの分別 お よび組成
スケ トウダラの卵 には,全油状 の吸収 スペ ク トルで
,4 8 5nm
以外 に4 0 0nm
附近 に も
Amax
が認 め られ たので( Fi g. 2
,Fi g .3
),雄冬岬沖 の試料 (成熟 度2‑2 )
につ きアセ トンで抽 出 した卵巣 カ ロテノイ ドを,油脂 を除 くためにケ ン化 し,不 ケ ン化物 につ いてカ ラム クロマ トグラフィによ る分別 を行 った。その結果 を示 したのが
Fi 9. 4
とTabl e 9
であ る。f r . 2‑1
とf r . 2‑2
は既知 のカ ロ テノイ ドであ るAst axant hi n
とβ‑ Dor adexant hi nであ る
。 卵巣 カ ロテ ノイ ドの特異 的 な成分 で あ るf r . 2‑1
はAs t acene
であ るが,この カ ロテ ノイ ドは本 来生体 内で はAs t axant hi n (C4 0 H 5 2 0 4 )
と して存在 して いたが,実験 中 の操作 に よ って酸 化 されて本 来 自然 界 に は存在 しな い,人工 的 な カ ロテ ノイ ドで あ るAs t acene (C4 0 H 4 8 0 4 )
に変化 した ものであ る1 0 )
. そ こで,本論文 で はAs t acene
を
As t axant hi n
と して扱 うことにす る。As t axant hi n
とAs t aceneの吸収 ス
ペ ク トル, ケ ン化後 の変化 な らびにNaBH 4
によ る還元生成物 の吸収 スペ ク ト(1a
q
lau Zn
aTO
Jla d
uT)
aDudq 1 0
Sq V 3 2 0 0
4
00 5 00
Wavelen
g t h ( n
m )F i g .
4.Chr oma t ogr a phi cs e par a t i on a ndi t sabs o r pt i on s pe c t r aof t heova r yc ar ot e no i ds .
1)
f r
.1, 2)f r
.2‑1,3一 )
fr.2‑29) Goodwi nT. W. ( 1 9 7 1 ) . Ca r ot e noi ds ,5 7 7 , 0. I s l e te d.,Bi r kha us e rVe r l a gBas e
l,( Swi t z e r l and)
1 0 )
松野 隆男( 1 9 7 4 ) .
日水誌.4 0 ,7 6 7
36
人 文 研 究 第75輯Tabl e 9. The c ar ot e noi d c om‑
pos i t i on i nt heovar y Compos i t i on ( %)
Y‑ pi gme nt As t axant hi n
β二Dor ade xant hi n
Uni de nt i f i e d
‑ 83 8
t r ac e
( 1 aq
latu
natO 1
1aduT)
aDud q 1 0 S q
Vルを示 したのが
Fi g. 5
であ る。 また,f r . 2‑2
の ケ ン化前 後 な らび に還 元生 成 物 の吸収 スペ ク トル を示 した のかFi g. 6
であ る。一万,
4 0 0 nm
附近 にAmax
のあ る 黄色区分( f r . 1
) につ いて,福見 ・中 村 11)は血液 に由来す る色素 と報告 して いる。著者 は, これ と血液系色素 を比4 0 0 5 0 0 Wave l e ngt h ( nm)
:
灯 Ⅷ :
0 As t axant hi n 0 ( KOH)
0
(NaBH
4 )
皿
Saponi f i c at i o n
O
Re d u c t ion
二 V
: .:‑ :‑ : ‑ I
R e
ducti
onprodu c tFi g 15. Abs or pt i ons pe c t r aofAs t axant hi n,As t ac e neandr e duc t i on pr oduc t .
較す るため, スケ トウダラの心臓 か ら塩酸 ‑アセ トン混合液 で血液抽 出液 を拍
ll)福見 徹 ・中村全良
( 1 9 6 8 ) .
北水試月報.2 5
,4
4 00 5 0 0 Wave l e ngt h ( nm)
( J
9qlau
ma10 J l
ad u T
)aDud q
10 S q
V、「、
\こ \
O
be f oresaponi f i c at i on
O
af t e rs aponi f i c at i on
OH
af t e rr e duc t i on
Fi g. 6.
Abs or pt i on s pe ct r a of 4‑ ke t o‑z e axant hi n u 3‑Dor ade‑
Ⅹant hi n)di e s t e ri s ol at e di nt heovar y.
出 した。両者 は
,400nm
附近 にAmax
があることでは一致す るが,血液抽 出液 は赤褐色を呈 し色調が違 い,黄色区分 にはない,500nm
と625nm
にAni ax
が ある。 血液抽 出液の400nm Amax
は, メ ト化 した血液系色素特有 の ソ レー帯( 400nm)
であ る。'
分離精製 した黄色区分 のアヤ トン溶液 に,亜硝酸 (N
O 2 ,500ppm)
を直接添 加す ると,溶液 は赤色 にな らず黄色 のまま不安定 とな り, ソ レ一帯 の吸収が く ずれて くる。一方,卵を亜硝酸処理 をす ると赤 く発色す ることが知 られてお り, 近年問題 になるまで "もみ じ子''加工業者 に使われ もしていた。この発色 には, 血液系色素が関与す ると言われているので1 1 )
,著者 も常法 どお り500ppm
の亜 硝酸 と卵重量 の1 0 %
の食塩 の混合水 に1
晩 ひた し,赤 く発色 した卵 と無処理 の卵 を アセ トンで抽 出 した。 この両抽 出液 の吸収 スペ ク トルを示 したのが,Fi g. 7
である。赤色 を増 した卵 は,無処理 の ものに くらべ,400
mm のAmax
が人 文 研 究 第 75輯
(1aq盲
u m a
TO 1
1ad u T
)83u t f
q1 0 S q
V4 0 0 5 0 0 Wav e l e ngt h( nm)
Fi g.7.Abs or pt i ons pe c t r ao ft hee xt r a c tf r om t heo va r y.
1)byt r e a t me ntwi t hni t r i t e ,2) s t a ndar d
著 しく増加 してい る。更 に, この両抽 出液 を全油状 で,活性化 シ リカゲル (ワ コウゲル
C‑20 0 )
を吸着剤 とす るカ ラムクロマ トグラフィを行 った。その結果 を示 したのがFi g. 8
であ る。 f r . A‑
1は未知 の黄色色素,f r . A‑2
,A‑3
はAs t axant hi n
とβ‑ Dor adexant hi nで あ る 。f r . A‑4
は40 0mm
に特異 的 なAmax
一があ り, それ以外 に も5 0 4,5 40
および6 3 0nm
に もAmax
があ り, メ ト化 した血液系色素 の性状 とよ く一致す る。比較対照 の無処理卵 には,f r . A‑4
に相 当す る区分 は認 め られなか った。 なお,亜硝酸 や食塩水処理 によ って,黄 色色素 のAmaxが 20nm
はど短波長側 にずれたが, この原 因 は今 の所不明であ る。
発色 した卵 か らの赤褐色の
f r . A‑4
と先 の心臓か ら抽 出 した血液系色素 の吸(J
aq l
au l
natOJlad
uT )
aUutZqJ
OS q V
400■ 5 0 0 6 00 Wavel engt h ( nm)
Fi g. 8.Chr omat ogr aphi cs e par at i on and i t sabs or pt i on s pe c t r aof t heobar yc ar ot e noi dsbyt r e at me ntwi t hni t r i t e .
1)f r . A‑
1; f r . B‑1,2)f r . A‑2; f r . B‑2,3)f r . A‑3; f r . B
‑3,4)f r . A‑4 ,5) mgni f i e df r . A‑4
収 スペ ク トルを比較 したのが,Fig.
9
であ る。 両者 とも色調 は赤褐色 で,血液 系色素特有 の400nm
、の ソ レ‑帯 を有 し,小 さいAmax
の504,540
お よび630 nm
の位置 もよ く一致 して いる。 これ らの点か ら,発色卵 のf r . A‑4
は,従来報 告 されているように,亜硝酸 で発色 した血液系色素 であると結論 し得 る。黄色色素
( f r . A
‑1)と血液系色素( f r . A‑4)
の諸性質 をまとめて比較 したの が,Tabl el
Oであ る。 色調, カ ラムクロマ ト上 の吸着部位,吸収 スペ ク トルに 差があ るばか りでな く,Car r‑Pr i ce
反応 および分配率 (石油 エーテル :メタ ノール)に も差 があ る。 したが って,黄色色素( f r.A‑
1)は,血液系色素 で は な く, アセ トンで抽 出 され る脂溶性 の色素であ る。
人 文 研 究 第
7 5
輯(1aqla百
n
atO11aduT)aDudq10Sq V l l I 一 l ‑ I ‑ 1
ヽヽI
′′
ヽヽ
」
ヽ '\、
し
竺
了 ヽ、、 、
、\
ヽ ヽ ー ̲
̲一一ヽヽ
一 一 一
一一一
、ヽヽ、 ヽJ \
5 0 0 6 0 0 Wav e l e ngt h ( nm)
Fi g ・9 ・Abs or pt i ons pe ct r aoft hef r . A‑4andbl oodpi gme nt .,
l)f r . A14
,2)bl oodpi gme nt
,3)mgni f i e df r . A14 4)mgni f i e dbl oodpi gme nt
7 00
Tabl e 1 0 . Char ac t e r i s t i c sofY‑ pi gment( f r . A
‑1)andbl oodpi gme nt( f r . A‑4 ) Car r ‑ Pr i c e
#lpar t i t i on
#21max Be havi oron
#3r e ac t i on r at e ( nm) s i l i c age lc ol umn f r . A‑1 ye l l ow
f r . A‑4 r e dbr o wn
+
e 4 0 0
h 4 0 0
503 630 +令
1 SbC1 3 /CHC1 3
※ 2 PE: 9 0 % Me OH ( e; Epi phas i c ,h; Hypophas i c )
※
3 + ; Har dads or be d
,‑; We akl ya ds or be d
黄色色素
( f r . A‑
1)のCar r‑Pr i ce
反応 は,純度 のよい もので グ リー ンを, 若干不純物 が混 じるとブルーを呈 した。石油 エーテル :9 0 %
メタノール との分 配率で は,8 9 %
が上層 で,Hexane: 9 5
% メタノールで は,J 7 2 %
が上層であ った。 また
,f r . A‑
1の各種溶剤 によるAmax
を示 したのがTabl e l
lで, ここに 示 した各溶剤 によ く溶解 し, いずれの場合 も黄色を呈 した ことか らも,黄色色 素が脂溶性色素 であることは明 らかであ ろ う。 Car r‑Pr i ce
反応 の呈色結果 は ポ リエ ン色素 と類似 してお り,β‑
イオ ノン構造 を有 す る可能性 があ り, した か って カロテノイ ド系色素群 に属す る可能性 が考 え られ るO あ るいは, カロテ ノイ ドが リポタ ンパ ク質 の脂質 に溶解 した状態 で存在す る, カロテノイ ド含有リポ タンパ ク質 12)の可能性 も考 え られ る。 いずれに して もその
Amax
か ら,一 種 のケ ト型色素 と考 え られ, また, カ ロテ ノイ ド色素群 の報告 されて い る もの
1 3 )
よ りはるか に短波長側 にあ ることか ら, 共役2
重結合が少 ない色素 とも考 え られ る。Tabl e l l . Abs or pt i onmaxi maofY‑pi gme nt Sol uvent Amax ( nm)
Benz ene 3 9 1
Pet r ol eum e t he r( 40‑60 ℃) 3 8 1
∩‑ He xane Et hanoI Chol or of or m Car bon‑ di s ul f i de Pyr i di ne
今後, この黄色色素 の純化 した標品 を大量 に集 め,同定操作 を進 め吟味す る
1 2 )
中川平介( 1 9 7 8 ) .
水産動物 のカロテノイ ド.9 0
, 日本水産学会編,恒星社厚生閣1 3 )
松野隆男( 1 9 8 5 ) .
水産動物 の筋肉脂質.3 8
, 日本水産学会編,恒星社厚生閣42
人 文 研 究 第75輯必要 がある。 また, この色素 の質 や量 り,成熟度 や水域 による特徴 も調 べ る必 要 があろ う。
要 約
ベー リング海東部,カムチ ャッカ半 島東西,北海道 日本海 (雄冬岬沖),太平 荏 (室蘭沖), オホーツク海 (紋別沖) の各海域別 に,卵 の各成熟段階 の水分, 栄養成分 および色素 の分析,更 に色素 のカ ラムクロマ トグラフィによる分別 を 行 って,次 の結果 を得 た。
1)水分 は,ベー リング海東部 の卵 に最 も多 く,西 カム ・東 カムが これにつ ぎ,北海道周辺 は少 ない。栄養成分 と色素 は,水分 と逆 で,北海道周辺 に 多 く,西 カム ・東 カムが これ につ ぎ, ベー リング海東部 は少 ない。
2)
魚体 の体型別 には,大型魚 の方 が小型魚 よ りも,卵 の水分 が少 な く栄養 成分 と色素 の量 が多 い。成熟度別 には,2‑2
の ものが最 も水分 が少 な く栄 養成分 と色素量 が多い 。3‑0
,4‑0
にな るにつれ,水分 が増 えて栄養成分と色素量 が減少す る。
3)
同一海域 の同一成熟度 の卵巣 に も,肉眼的 に赤 い もの と白い ものあ るが, これ らの間 に は, 水 分 お よび栄 養 成 分 の量 で は差 が認 め られ ず,色素( As t a xant hi n)
の量 に差 があ る。4)
卵 の主要 な2
成分 であ る水分 および タ ンパ ク質 の量 と比重 との相関性か ら,次の 関係式 を導 き出 した。G
は比重,1 . 0 0 7
は補正係数 であ る。タ ンパ ク質 (%) ‑Ⅹ (G‑
1 . 0 0 7 )
水 ・分 (%)‑Y (G‑
1 . 0 0 7 )
Ⅹ
‑7 2 4( 7 0 0‑ 7 4 0 )
Y ‑1 8 2 0( 1 8 0 0‑ 1 8 5 0 )
5)
胃内容物 および幽門垂 の色素 を海域別 および成熟度別 に分析 し,餌生物 中のカ ロテノイ ドが消化吸収 の過程で一旦幽門垂 に貯え られてか ら,卵 に 移行蓄積 され ると推定 され る。6)
卵 の成 熟度 と吸収 スペ ク トルの関係 を明 らか に し,後者 す なわ ち4 8 5
nm ( As t a xa nt hi n)
と4 0 0nm
のAma x
の相対値か ら卵 の成熟度 を求 める 可能性 を検討 した。7)
卵 に存在す る,4 0 0nm
にAma x
のあ る黄色色素 を吟味 した。亜硝酸 で発 色 した卵 をカラムクロマ トグラフィで,黄色色素 と血液系色素 に分別 し,. 両色素 の諸性質 を比較検討 した。黄色色素 は血液系色素 とは異 なる,脂溶 性 の色素 であることを明 らか に した。 この色素 はまだ同定 で きないが, カロテノイ ドとの強 い関連性 が示唆 された。
終わ りに本研究 を行 うに当 り, ご助言 とご教示 をいただいた小樽商科大学名誉教授斉 藤要先生 に深謝 いた します。 また本研究遂行 に当 り, 実験材料を提供 していただいた関 係各機関 に厚 く感謝 いた します。