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幼児における文字意識の発達

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

幼児における文字意識の発達

著者 今井 靖親

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

18

ページ 109‑116

発行年 1982‑03‑23

その他のタイトル Development of Print Awareness in Preschool Children

URL http://hdl.handle.net/10105/6524

(2)

幼児における文字意識の発達*

今  井  靖  親**

  (心理学教室)

 言語は普通r音声言語」 (spoken lan馴age)とr文字言語」(written language)とに分 けられる。 r前者は乳児期からその発達が始まり、人間社会の中で生活している限り、特に意図 的な学習過程を経はくても獲得されていくのに対し、後者の習得には意図的・教育的過程が必要」

(福沢ら 1979)と考えられている。

 では、子どものr文字言語」は何歳ごろから開始されるのであろうか。我が国では、常識的に は、就学前(5〜6歳)に、幼児が或る文字と他の文字との差異を見分けたり(文字弁別)、或 る文字にその文字固有の発音を結びつけて発声したり(文字読み)することの可能な時期からだ とみなされている。

 しかし、事実は決してそうではなく、幼児が文字を読むようになるずっと以前から、直接的・

間接的にr文字言語」への接触が行われている。幼児の日常生活に即して、具体的に彼らの「文 字言語」との接触場面をみてみよう。

 幼児が母親から読んでもらう絵本や童話、父親の読んでいる新聞、兄や姉が使っている教科書 や参考書には、r文字」がいっぱいならんでいる。テレビを見れば画面には人気番組のタイトル やCM放送の「文字」が映し出される。菓子の袋や飲物のびんには、さまざまな食品名が「文 字」で表示されている。外出すれば乗物の駅や停留所の標識、バスの車体に描かれた広告、電車 内に釣り下げられた広告、会社や商店の看板、その他、掲示板やポスターなどが次々に目に入っ てくる。いっぽう、今井・今井(1978)による幼稚園の文字環境についての調査でも明らかなよ うに、最近では、どこの園でも、胸章(名札)・部屋・用具・教材・作品・花や木・飼育動物な どにおける名前の表示をはじめ、誕生表・天気調べ・当番表などの図表類、さらに掲示板・黒板 に至るまで、さまざまな形式で「文字言語」が使用されている現状である。

 このような「文字言語」との多様なかかわりをとおして、幼児は文字の弁別や読みを学習する 以前に、まず身近かにあるr文字言語」の存在に気づき、次第に文字というものの表記的・統語 的・意味的特徴についての理解を深めていくと考えられる。そして、この時期に彼らが獲得する 文字意識あるいは文字についての概念が、就学後の文字や文の読み・書き能力の発達を支える重 要な基礎となっていると思われるのであ乱

 ところが、先に(今井 1980)指摘したとおり、読みの発達に関する研究と言えば、従来は文 字の弁別や読みについての検討が中心であり、それ以前の、文字の存在に気づいたり、文字の特 徴を理解したりする段階の発達については、ほとんど研究がなされていない。あえて関連のある

* Development of Print Awareness in Preschool Children

**Yasuchika Imai(Department of PsychoIogy,Nara University of Education,Nara)

(3)

ものとして挙げるならば、文字の読みの学習を可能にする重要な内的基準条件として、語の音韻 分解能力の発達を明らかにした天野(1970)の研究の他、読みのレディネスに関する研究として、

岩崎ら(1975)、岩崎(1976)、河井ら(1978.1979)などがある。

 わが国とは文字の種類や特徴の異なる外国においても、この種の研究は数が少ないが、Lavine は文字と文字でないものとを弁別させる方法を用いて、幼児の文字意識の発達を調べている(Gi−

bson1975)。すなわち、彼女は、まだ読みを教わっていない3歳〜6歳半の幼児に、①身近か にある伝統的な文字、②身近かにない珍しい文字、③文字らしく作った人工文字を示して、文字 と文字でないものを分類させた。その結果、課題全体では3歳児の27%、4〜5歳児の47%、5

〜6歳児の67形の者が、また実際の文字(アルファベット)に限れば、3歳で86%、4歳で90%、

6歳半で96%の者が正しい分類か可能であった。このことから、Lavineは、①たとえ、まだ文字 が読めなくても、3歳の段階で、文字を文字として弁別できる。②その際、文字のr直線的配列 性」と「変化性」が重要な手がかりになっているらしい、という結論を導いている。

 また、最近Hiebert(1981)は、3歳から5歳までの幼児を対象として、彼らの文字意識(pri−

nt aWareneSS)の発達を検討している。彼は課題として、①伝統的な読みのレディネスをみるた めに、@文字の読み、⑥視覚的弁別、@聴覚的弁別を行い、さらに②読みの概念をみるために、

@文字の用途に関する知識、⑰文字の目的に関する知識 を調べた。その結果、3歳児でも、上 記のすべての課題において相当の成績をあげうることが認められた。これは、文字意識がすでに

3歳児期において発生することを示唆しているが、文字に関する知識については、5歳児のほう が3歳児よりも有意にすぐれていることがわかった。

 本研究の目的は、上記のしVineの研究を参考にして、我が国の幼児が何歳ごろからr文字言語」

の存在を意識的にとらえているかを明らかにするため、r文字言語」の表記的特徴に対する理解 の程度を実験的に検討することである。なお、

ll11讐1曇箏1團㌔

       11  囚

ぷ、算耳慌1111幾終回

二㌘7か月 4歳9か月 5歳6か月てあつ

夢洪杉紅

ミ:ノグアップとして、絵と文字の弁別をさせ

国  團

図1 実験材料11〕(絵と文字の弁別)

一110川

(4)

た(ただし一採点の対象とはしない)。材料は図1に示しg鮒クまはなた∫

たような絵(「象」、「魚」、「ヨット」、「りんご」、

rかたつむり」一r旗」一rチー一/ツブ」以上・枚)と   r答甫令

文字(r上」、 「サ」、 rと」、r3」、rA」以上5枚)

計1・枚の力一ド(大きさ:・…川・皿)である。このほ州イΨ口ABCD.

か、被験者が選択した力一ドを投入するための分類箱を準

備した。      小世竹原〃劃曇呈

 z文字の選択 幼児が文字というものの表記的特徴を  しグし;ヒつ との程度認識しているかを調べるために、次のような選択

課題と材料を用意し㍍       図2 実験材料12〕(見慣れた文字  ω見慣れた文字1A〕か見慣れない文字1Blか  我が国の    と見慣れない文字)

日常生活の中で比較的よく見慣れている文字1A〕と、ほとん

ど見ることのない文字趾では・どちらが「文字」としてツハヒク正

選ばれるかを比べる。材料は図2に示したように、lAlとし

①平仮名 ②片仮名 ③漢字 ④口■マ字 ⑤数字をK6187

それぞれ4個ずつ書いたカード5枚(大きさ:4㎝×12㎝)。

趾して・σ)アラビア文字・②ハングル文字・③装飾アルえせぎふ

ファベット、④古代アルファベット、⑤漢字の豪書体を、

それぞれ4個ずつ書いたカ■ド5枚(大きさ=4・・x12・・)。  9  EFGH

その他、分類箱。

 12牌一の文字1C〕か複数の異なった文字の配列1D〕か 1 個だけ文字が書かれている場合と、複数の異なった文字が

配列されている場合とでは、どちらが「文字」として多く  図3 実験材料{3〕(単」の文字と        複数の異なった文字の配列)

選択されるかを調べる。材料は図3に示したように、平仮 名・片仮名・漢字・ローマ字・数字を1個だけ書いた力一

ド5枚(大きさ:4c皿×12c皿L異なった文字4個を横にケケケケ  正 並べて書いたカード5枚(大きさ:4㎝×12c皿Lその他、

分類箱。     K9999

 13〕単一の文字1C〕か複数の同じ文字の配列1E〕か 次に、

1個だけ文字が書かれている場合と、複数の同じ文字が配 すすす  ケ 1

刑されている場合とでは、どちらが「文字」として多く選

択されるかを調べる。材料は図4に示したように、平仮名  9  KKKK

・片仮名・漢字・ローマ字・数字を1個だけ書いたカード

5枚。同じ文字、個を横に並べて書いたカ.ド5枚(大き正正正正  す

さ:4㎝×12㎝)。その他・分類箱。      図4実験材料141(単一の文字と  (4〕複数の異なった文字の配列1D〕か複数の同じ文字の配列    複数の同じ文字の配列)

(5)

lE〕か  今度は複数の異なった文字が配列されている場合 と、複数の同じ文字が配列されている場合とでは、どちら が「文字」として多く選択されるかを調べる。材料は図5 に示したように、異なった文字4個を横に並べて書いた力 一ド5枚。同じ文字4個を横に並べて書いたカード5枚。

その他に分類箱。

 15〕直線的配列1Flか非直線的配列1G〕か  異なった文字 が直線的に配列されている場合と、曲がって配列されてい

る場合とでは、どちらがr文字」として多く選択されるか を調べる。材料は図6に示したように、4個の文字の位置

や方向を変化させて配列したカード5枚(大きさ:8㎝x 図5実験材料15〕(複数の異なった文 12㎝)。文字の位置や方向を変化させずに、横に直線的に  字の配列と複数の同じ文字の配列)

配列したカード5校(大きさ:8㎝×12㎝)。その他に分

類箱。

 3.読手カテスト 読字力の高低と上記の文字の選択傾 向との関連を明らかにするため、4歳児と5歳児について、

平仮名の読手カテストを行う。材料は、国立国語研究所(

1972)の読手カテストに用いられたものと同じカード45枚 を作成した。

 手暁き 1.絵と文字の弁別  時計の文字盤と同じ位 置に12枚の力一ドをランダムに置いて、被験者に示し、「

ここに絵と字があります。この中から字だけをさがして、

この箱に全部入れてください。」と教示し、カードを選択さ せた。

 2.文字の選択  課題11〕では、10枚のカードを5枚ず つ2列に並べて被験者に示し、rこ一の中から字を4っ取っ てこの箱に入れてください。」と教示し、カードを選択させ た。課題(2〕馴4岬では、10枚のカードを5枚ずつ2列に並

べて被験者に示し、rこの中から字を3つ取ってこの箱に  図6 実験材料㈹(直線的配列と        非直線的配列)

入れてください。」と教示し、カードを選択させた。

 3.読手カテスト  文字の書かれたカードを次々に被験者に提示し、「これを読んでくださ い。」と教示し、読める文字を調べた。

ツハヒク玉玉玉玉

lEEElE6187

えせきふツツツツ

6666EFGH

玉杉春見1ええええ

EFGH 寺杉春争 秘祈 6187

ツハヒク

b1も戸

玉杉春見 まはなた

桔 果 と 考 察 1.文字の選択

ω見慣れた文字ωと見慣れない文字1B〕の比較 選んだカードのうち、lAlの力一ドが4枚中 一112一

(6)

4枚及び4枚中3枚あった者と、それ以下の枚数しかなかった者(結果としてlB〕のカードを多く 選んだ者)の人数について、年齢別に比較したものが表1である。この表についてが検定をした ところ、が一41.42、ψ一2,P<.01で有意差が認められた。3歳児では一見慣れた文字より も見慣れない文字のほうが「文字」として多く選ばれている。4歳児では、まだ見慣れない文字を 選ぶ者のほうが多いが、3歳児より見慣れた文字を選ぶ者の割合が増加している。5歳児では、

見慣れた文字を選ぶ者が全体の80%を占めるようになる。これは、年少の幼児ほど「文字」とし て、日常あまり見慣れていない種類のものを選ぶ傾向があるが、4歳児から5歳児の段階になる と、逆に彼らが臼常生活の中で見たり、読んだりする機会の多い、平仮名・片仮名・漢字などを

「文字」として明確に認知するようになることを示している。

表1 「見慣れた文字」の選択者数

見慣れた文字(幼、切枚)

見慣れた文字(幼、}、0枚)

3 歳

36

4 歳

14 26

5 歳

32

全体(平均)

16.7 23.3

 (2〕単一の文字10と複数の異なった文字の配列①〕の比較  被験者が選んだ3枚のカードに、

lC〕及ぴlDlが3枚及ぴ2枚含まれていた者の人数を年齢別に示したものが表2である。この表につ いてが検定をしたところ、が=1.41、ψ=2で有意差は認められなかった。また、年齢をこみに してlC〕カードとlD〕カードを選んだ者について、平均値の差をt検定したところ、ε=6.18,d卜 4,P<.O1で有意であった。これは、lC〕と①1を比較した場合、lC〕よりもlD〕のほうが有意に多 く「文字」として認知されていることを示している。

表2 r単一の文字」とr複数の異なった文字の配列」の選択者数

単一の文字

複数の異なった文字の配列

3 歳

11 29

4 歳

16 24

5 歳

14 26

全体(平均)

13.7 26.3

 13〕単一の文字1C〕と複数の同じ文字の配列1E〕の比較  被験者の選んだ3枚のカードに、O及 ぴlE〕が3枚及ぴ2枚含まれていた者の人数を年齢別に示したものが表3である。この表について が検定したところ、π2=0.68、ψ=2で有意差は認められなかった。また、年齢をこみにしてlC〕

カードと旧〕力一ドを選んだ者について、平均値の差をt検定したところ、ε士24.1、ψ=4,P<

 001で有意であった。これは、lC〕とlE〕の比較では、0よりもlE〕のほうが有意に多くr文字」と して認知されていることを示してい乱

 (4)複数の異なった文字の配列①〕と複数の同じ文字の配列1E〕の比較  被験者の選んだ3枚の カードに、lD吸びlElが3枚及び2枚含まれていた者の人数を年齢別に示したものが表4である。

(7)

表3 「単一の文字」とr複数の同じ文字の配列」の選択者数

単一の文字

複数の同じ文字の配列

3 歳

15 25

4 歳

ユ2

28

5 歳

12 28

全体(平均)

13.0 27.0

この表についてが検定をしたところ、が=1.34、ψ=2で有意差は認められなかった。また、年 齢をこみにしてOカード及びlEjカードを選んだ者について、平均値の差をt検定してみたところ、

ε14.53、ψ=4,P<.05で有意であった。これは一DlとlElの比較では、lEはりも①〕のほう が有意に多く「文字」として認知されていることを示している。

表4 「複数の異なった文字の配列」と「複数の同じ文字の配列」の選択者数

複数の異なった文字の配列

複数の同じ文字の配列

3 歳

27 13

4 歳

22 18

5 歳

25 15

全体(平均)

24.7 15.3

⑤直線的な配列1F〕と非直線的な配列Oの比較  被験者の選んだ3枚の力一ドにlF吸ぴlGが 3枚及ぴ2枚合まれていた者の人数を年齢別に示したのが表5であ乱この表についてが検定を したところ、z2=2.86、ψ=2で有意差は認められなかった。また、年齢をこみにして、lF〕カー

ドとOカードを選んだ者について平均値の差をt検定してみたところ、ト4.08、ガ=4,P<

.05で有意であった。これはlF〕とlG〕の比較では、OよりもlF〕のほうが、有意に多くr文字」と して認知されていることを示している。

表5 r直線的配列」とr非直線的配列」の選択者数

直 線 的 配 列

非直線的配列

3 歳

27 13

4 歳

22 18

5 歳

29 11

全体(平均)

26,O 14.O

 2.読手カと文字の選択傾向

 平仮名の読手カテストの結果をもとに、得点の高いほうから25殆(20人)、低いほうから25%

(20人)を選び、この読字力高群と低群について、上記の課題2の文字の選択傾向を比較した。

両群の①平均年齢、②平均読字数を示したのが表6であり、さらに、③課題別・文字の特徴別の 選択者数を示したのが表7である。そこで、③について、それぞれ2x2のz2検定をおこなって みたところ、それらのいずれにも有意差は認められなかった。このことは読字力の高い者と低い 者の問に、r文字」の選択傾向の差がなかった事実を示している。

一u4一

(8)

表6 読字力高群・低群の年齢と読字数

高   群 低   群

平均年齢(年齢の範囲)

5歳2か月(4:5〜5:8)

5歳1か月(4:5〜5:8)

平均読字数(読字の範囲)

65.5字 (54〜71)

2,9字 (0〜8)

表7 読字力高群・低群の文字の選択傾向

   見撮れた文字 見個れた文字        櫨敦の異な一。       櫨融の川し 棚政の巽fポ。 胆敏の同し

    幼、事寄%、%、。申」の吏字た文1棚列単一一の文71文字の配列・た文・の配列文字珊列鮒的酬非醐燗列

、二■幕1丁一 。  8  12    13  ]2  8  ]3  7

低  群    11     9 14 14 13 1 i

 以上、本実験の結果とその検討から、次のことが結論される。

 (1〕就学前の幼児は、年.齢が高くなるほど、目分の周囲にある見慣れた文字の種類を「文字」と して認識するようになる。

 12〕「複数の異なったもの(記号)が直線的に連続して書かれ(印刷され)ている」という、「

文字言語」における表記的特徴については、すでに3歳の幼児でも、或る程度理解可能な水準に 達している。

 13〕文字の読みをまだほとんど習得していない段階の幼児でも、4歳〜5歳になれば、すでに平 仮名の読みを習得している者と同じ程度に、上言己のr文字言語」の表記的特徴について理解して

いる。

 本実験は、使用された文字の種類・課題・採点方法・統計的処理の方法など種々の点で、前述 のLavineやHiebert(玉981)の実験とは異なっている。それゆえ、厳密な比較は無理であるが、

上記の(1〕及ぴ12〕は彼らの結果とほぼ一致していると言えよう。本実験では、さらに13〕によって、

文字読みと文字意識の関係が一応明らかにされたが、今後は読みのレディネスと文字概念の形成 との関係を、もっと包括的に検討することが必要であ乱

要       約

 本研究の目的は、幼児の文字意識の発達を実験的に検討することであった。そのために、幼児 が文字の表記的特徴をどの程度理解しているかが調べられた。被験者は保育園の3歳児・4歳児

・5歳児各40名、合計120名であった。まず、ウォーミングアップ課題として、被験者に絵と文 字の弁別をさせた後、文字選択課題において次の(1ト15)のタイプ別に文字カードを選択させ、年 齢別に選択者を比較した。(1〕見慣れた文字と見慣れない文字12〕単一の文字と複数の異なった文 字の配列 (3〕単一の文字と複数の同じ文字の配列14)複数の異なった文字の配列と複数の同じ文 字の配列 15値線的な配列と非直線的な配列。さらに、読字力と文字意識の発達的関連を調べる ために、4歳児・5歳児に平仮名の読手カテストを行ない、その中の読手カ島群と低群について、

(9)

文字選択課題の成績を比較しれ

 主な結果は次のとおりである。ω就学前の幼児は、年齢が高くなるにつれて自分の周囲にある 文字をr文字」として認識するようになる。12〕「文字言語」の表記的特徴であるr複数の異なっ たもの(記号)が、直線的に連続して書かれ(印刷され)ている」ことについては、3歳の幼児 でも、すでに或る程度理解可能な発達水準に達している。1314〜5歳児では、平仮名の読みをほ とんど習得していない幼児でも、すでに習得している者と同じ程度に、上記の「文字言語」の表 記的特徴を理解している。

 付記 本研究における実験材料の作成・資料の収集・整理等については、本学心理専攻生の川 辺博・小塚陽子・高田郁世・竹弘恵子・福原寿子の皆さんからご協力をいただいた。また結果の 統計的処理等については、本学の瀧野千春先生・玉瀬耕治先生から有益な御教示をいただいた。

記して心から感謝します。さらに実験にご協力くださった橿原市・橿原保育園の先生方と園児の 皆さんにお礼を申し上げます。

引  用  文  献

天野 清 1970 語の音韻構造の分析行為の形成とかな文字の読みの指導 教育心理学研究,

    第18巻,第2号,12−25.

福沢周亮・高木和子・鈴木情一・守一男・堀啓造・茂呂雄二 1979 幼児の言語獲得に関する     研究の動向 教育心理学年報,第18集,1OO一ユ19.

Gibson,E.J.&Levin,H.1975 The Psychology of Reading.MIT.

Hie比rt.H.E. 1981Developmental pattems and interrel ationships of preschool chil−

    dre㎡s print awareness.Research Quarterly,Vol.XVI, N皿2, 236−260.

今井道子・今井靖親 1978 幼稚園における文字環境の実態 日本保育学会第32回大会研究論     文集,386−387.

今井靖親 1980  「かな」の読み・書きに関する心理学的研究の展望 読書科学,第24巻,第     3号,77−98.

岩崎未弥子・黒田実郎 1975 幼児期におけるrひらがな」の読み書き能力に関する発達的研     究日本保育学会第28回大会研究論文集,V−505.

岩崎未弥子 1976 幼児のrかな文字」習得とその要因の検討 日本保育学会第29回大会研究     論文集,V−5141

河井芳文・井上智子・原夏絵 1978 文字指導とレディネスの診断 日本教育心理学会第20回     総会発表論文集,584−589.

河井芳支・堀田修 1979 文字の指導のための読字力の診断 日本教育心理学会第21回総会発     表論文集,784−785.

国立国語研究所 1972 幼児の読み書き能力 東京書籍.

一116一

参照

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