奈良教育大学学術リポジトリNEAR
小学生における授業の受けとめ方の分析
著者 杉村 健
雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要
巻 21
ページ 81‑91
発行年 1985‑03‑23
その他のタイトル Analyses of subjective judgments on teaching in a primary school
URL http://hdl.handle.net/10105/6601
*
小学生における授業の受けとめ方の分析
杉 村 健榊
(心理学教室)
先の研究(杉村、1982)では、子どもの学習意欲と知能、学業成績の関係を調べた。その結 果、学習意欲とよぱれているものの中でも、達成意欲や計画性・実行意欲に比べて、内発的意欲 が学業成績や知能(知能については6年生を除く)と深い関係にあることが示され、内発的意欲 を育てることが教育的に重要であることが示唆された。続いて杉村・藤田・玉瀬(1983)は、
過去の学業成績に対する子どもの主観的判断(前学期の成績が よかった か わるかったか ) を求め、それと実際の学業成績との関係を調べた。教科によって多少の違いはあるが、各学年と も60%余の者が よかった と判断しておワ・さらに、よかったと判断した者の教科の成績は、
2年生の社会と理科を除いたすべてにおいて、わるかったと判断した者の教科の成績よワもよか った。このことから、2年生に比べて4年生、6年生において、成績に対する主観的判断と実際 の成績がよリー致しているといえる。さらに杉村(1984)は、過去の成績に対する判断と将来 の成績に対する予測が、学習意欲とどのように関係しているかを調べた。その結果、 わるかっ た と判断し わるくなる と予測している者が、他の3つの判断一予測の組み合わせに比べて、
学習意欲が著しく乏しいだけでなく、学業成績も著しくわるいことがわかった。これらの研究か らみて、子どもの主観的判断と学業成績や学習意欲との間に深い関係があることが示唆される。
本研究の目的は、日常の授業に対する子どもの主観的判断、すなわち授業の受けとめ方と、学 業成績、知能および学習意欲との関係を検討することである。特に小学校においては、 わかる 授業 をすることが教師にとって最も大切なことであるとされているが、教師がわかる授業をし ていても、子ども自身はわかっているかどうか明らかでない。そこで、子どもたちの わかる あるいは わからない という主観的判断が、教科によってまた学年によってどのように異なる であろうか、そして、 わかる と判断した子どもの成績が わからない と判断した子どもの 成績よワも優れているであろうかという疑問が生じる。本研究は、このような素朴な疑問から出 発したものである。
子どもたちは日常の授業に対して、 わかる一わからない という受けとめ方だけでなく、さ まざまな気持ちを抱いているであろう。本研究では、 わかる一わからない の次元に加えて、
多くの子どもに共通していると考えられる やさしい一むずかしい 、 すすむのがはやい一お そい 、 たのしい一たのしくない 、 おもしろい一おもしろくない の4つの次元を取り上 げた。これら5つの主観的判断の次元のうち、どれが学業成績や知能と深くかかわっているであ
。 Analyses of subiective i凹dgments on 6eachi ng in a prima町 schoo1 榊 Takeshi Sugi㎜阯ra ( 一0θρ2κ〃伽C of P5γωo oeγ,Mθ〃σ ルθ〃〃7o∫
〃〃就ゴ伽,脆〃)
ろうか、学習意欲と関係があるのはどの次元であろうか。また、それらの関係が教科(国語、社 会、算数、理科)と学年(2,4,6年)によってどのように異なるであろうか。授業について いけない子や授業がわからない子が学年とともに増加するといわれているが、 すすむのがはや い とか わからない と思っている子どもが、実際にどの程度いるであろうか。本研究はこの ような疑問に答えることが主な目的であり、得られた結果は子どもにとってより望ましい授業に 対する示唆を与えると考えられる。
方 法
調査対象 調査対象は奈良県下の小学校の2,4,6年生で、表1に示したように男女合計 374名である。
表1 調査対象(人数)
学 年
合 計
2 4 6
学 級 数 3 4 4 11
男 児 54 65 77 196
女 児 45 71 62 178
合 計 99 136 139 374
調査内容と手続き (1)授業の受けとめ方一国語、社会、算数、理科のそれぞれの授業につ いて、次の5つの受けとめ方の次元で、ア、イ、ウのどれか1つを選択させた。
①アよくわかる イわかる ウわからない
②アむずかしい イ
⑧アすすむのがはやい イ
④アとてもたのしい イ
⑤アとてもおもしろい イ
ちょうどよい ウ やさしい ちょうどよい ウ おそい たのしい ウ たのしくない おもしろい ウ おもしろくない
②学業成績一国語、社会、算数、理科の4教科について、工学期の成績(素点)を学級担任 から提供してもらった。
(3〕知能一2年生には東大AS知能検査L版、4年生と6年生には同H版を手引書に従って実 施した。本検査は、直観判断B、直観判断A、論理思考B、論理思考Aおよび記憶・注意力の5 つの下位テストからなっている。
ω学習意欲一1975年に、奈良県障害児学校・学級放送教育研究会が作成した学習意欲調 査(詳細は上田ほか、1976に示されている)から、以下に示す6項目を選んで実施した。な お、本来の答えさせ方は はい、いつも 、 はい、ときどき 、 いいえ の3件法であるが,
本研究では はい 、 いいえ の2件法とした。国語のほかに社会、算数、理科についても同
じ質問を行った。
①国語の授業中、すすんで意見を発表していますか。
②お父さんやお母さんに言われなくても、国語の勉強をしていますか。
③国語の勉強でわからないことがあると、自分で調べますか。
④国語の授業中、本やノートに落書きをすることがありますか。
⑥国語の授業時間が長すぎて、いやになることがありますか。
⑥国語の勉強がおもしろくないと、あきらめてしまいますか。
調査は著者と心理学専攻生によって、昭和59年10月27目の午前中に、それぞれの教室で 行われた。最初に知能検査を実施し、そのあとで授業の受けとめ方と学習意欲について、国語、
社会、算数、理科の順で行った。授業の受けとめ方では先の5次元の項目を印刷しておき、ア、
イ、ウのどれか1つだけにO印をつけさせた。学習意欲については1から6までの番号だけを印 刷しておき、調査者が1つずつ項目を読み上げ、 はい のときには番号に○印を、 いいえ のときにはX印をつけさせた。
結 果 と 考 察
授業の受けとめ方 各次元について、ア、イ、ウそれぞれの選択率を教科別に算出した。そ の結果、たのしい一たのしくない次元とおもしろい一おもしろくない次元はほぼ同じ分布であり たので、以下では前者だけについて分析することにした。よくわかる、やさしい、すすむのがお そい、とてもたのしいという反応を望ましい受けとめ方とし、わからない、むずかしい、すすむ のがはやい、たのしくないを望ましくない受けとめカとみなした。表2は、教科別、学年別に望 ましい受けとめ方(A)と望ましくない受けとめ方(B)の割合を示したものである。
学年をこみにした平均では、わからないよりもよくわかると答えた者が多く、特に理科ではよ くわかる者が50%を越えている。これに対して、やさしいと答えた者は少なく、理科でも30 弘に達しておらず、国語、社会、算数ではむずかしいと答えた者の方が多くなっている。すすむ のがはやいとおそいではあまり差がなく、両者を合計しても20〜30%にすぎないことからみ て、大部分の子どもは授業のすすみ方は丁度よいと思っていることがわかる。理科では約半数の 者がとてもたのしいと答えているが、国語、社会、算数では約3割の者がたのしくないと答えて おワ、特に国語と算数ではたのしくないと答えた老が多くなっている。ここで興味があるのは、
4教科ともによくわかると答えた者が多いのに対して、国語、社会、算数ではむずかしい、たの しくないと答えた者が多いことである。この結果からみて、これらの3教科と理科とでは異なる ように受けとめられていること、むずかしいとたのしいは同じように受けとめられ、両者はわか らないとは異なるように受けとめられていることが示唆される。
学年差をみると、よくわかると答えた者は国語と社会で2年生から4年生にかけて減少し(特 に社会で顕著)、理科では4年生が最も多く6年生が最も少ない。他方、わからないと答えた者 は算数と理科で2年生から4年生にかけて減少し、特に4年生では僅か1.5%にすぎなかりた。
麦2 授業の受けとめ方(%)
学 年
2 4 6 平 均
国語㈹
@ ⑫)
33.3 22.1 25.2 26.9
6.1 5.1 8.6 6.6
㈹社会 ⑭ 56,6 23.5 26.6 35.6
よくわかる㈹1 14.1 14,7 18.0 15.6
わからない⑬) ㈱算数 ⑭ 35.4 33,8 42.4 37.2
22.2 1O.3 10.8 14.4
㈹理科 ⑬〕 55.6 71.3 30.9 52.6
12.1 1,5 10.8 8.1
国語㈹@ (B)
18,2 4.4 12.9 11.8
16.2 13.2 17.3 15.6
社会㈹@ ⑬
25.3 5.9 8.6 13.4
やさしい ㈹1 17.2 26.5 33.1 25.6
むずかしい ⑮) 算数㈹
@ ⑭
18.2 10.3 14.4 14.3
32.3 15.4 20.1 22.6
㈹理科 ⑭ 41.4 29.4 11.5 27.4
12.1 5.9 15.1 11.0
国語㈹@ ⑭
16.2 10.3 20.1 15.5
19.2 4.4 4.3 9.3
すすむのが ㈹社会 ⑭ 7.1 14.O 16.5 12.5
14.1 6£ 10.8 10.5
お そ い㈹
@ I 算数ω
@ ⑬〕
15.2 17.6 10.8 14.5
は や い⑭ 28.8 811 8.6 15.2
理科 ㈹ 13.1 14.0 10.1 12.4
㊤〕 16.2 8.1 5.0 9.8
国語㈹@ ⑮〕
38.4 8.8 12.9 20.0
14.1 31.6 35.3 27.O
社会㈹@ (B〕
44,5 30,9 26.6 34.0
とてもたのしい㈹ 14.1 27.2 40.3 27.2
Iたのしくない㊤〕
算数㈹@ ⑫
32.3 21.3 21.6 25.1
33.3 28.7 32.4 31.5
㈹理科 ⑫ 48.5 67.6 25.2 47,1
14.1 5.9 28.8 16,3
勉強がわからない子、授業がわからない子が学年とともに増加すると一般に信じられているが、
少なくとも本研究に関する限ワは、そのような結果は得られず、特に算数では2年生でわからな いと答えた老が最も多かった。この結果に一般性があるかどうかは、異なる学期(本研究は2学 期)や異なる学校で同じ調査をしてみないと決定できないが、 よくわかる とか わからない
といったことはの理解の仕方が、2年生と4年生あるいは6年生とでは異なるという可能性もあ る。なお、結果の一般性に関する議論は他の3つの次元についても当てはまることである。
やさしいと答えた者は社会で2年生から4年生にかけて著しく減少し、理科では学年とともに 減少しておワ、社会の結果はよくわかると答えた者の傾向とよく似ている。むずかしいと答えた 者は社会で2年生から4年生、6年生と増加し、算数では2年生が最も多くなっており、算数の 結果はわからないと答えた者の傾向とよく似ている。したがって、むずかしいと答えた者が学年
とともに増加したのは社会だけである。すすむのがはやいと答えた者は4教科とも2年生が最も 多く、これは2年生の2学期で学習しなくてはならない内容が多すぎることによるのかもしれな い。とてもたのしいと答えた者は国語、社会、算数で2年生が最も多く、これはやさしいと答え た者と似た傾向を示している。他方、たのしくないと答えた者は国語と社会で学年とともに増加
しており、社会の増加傾向はむずかしいと答えた者と対応している。理科がたのしくないと答え た者は6年生で最も多かった。
性別の割合は妻2に示されていないが、次のような性差があった。よくわかると答えた者は国 語の2年生と6年生で女児が多く、社会の4年生と6年生、算数の2年生と4年生で男児が多か った。やさしいと答えた者は社会の4年生と6年生で男児が多く、これはよくわかると答えた者 と一致している。とてもたのしいと答えた者は国語の2年生と6年生で女子が多く、社会の4年 生と6年生で男児が著しく多かった。これらの性差はよくわかると答えた者とよく似ている。次 に、わからないと答えた者は国語の6年生と社会の2年生で男児が多く、社会の4年生と6年生 および算数の2年生では女児が多かった。むずかしいと答えた者は社会の2年生と6年生、算数 の2年生で女児が多く、これはわからないと答えた者の性差とよく似ている。たのしくないと答 えた者は国語ではすべての学年で男児が著しく多く、社会は4年生と6年生で女児が多かった。
社会の場合は、むずかしいと答えた者とたのしいと答えた者のバターンがまったく同じである。
なお、すすむのがはやいと答えた者は2年生の国語と社会、4年生の理科で男児が多く、おそい と答えた者は国語と理科の全学年、社会の2年生、算数の4年生と6年生でいずれも男児が多か
った。
授業の受けとめ方と学業成績の関係 表2に示した㈹と四の子どもについて、各教科の1学 期の成績の平均点、その差(A−B)と 検定の結果を示したものが表3である。表の中で差が 大きいのに有意差の印がなく、逆に差が小さいのに有意差の印がついているのは、 の値が人数 の多少と標準偏差の大小に依存しているからである。わかる一わからない次元で4年生の理科は 人数が少ないため分析から除外した。これらのことは以下の表についても同じである。
表3 授業の受けとめ方と学業成績(素点の平均)
2 年生 4 年 生 6 年 生
(A) 恒) 差 (A) (B) 差 仏) (B) 産
国語 85.3 75.O ‡PO.3 875 53−4 *‡R4.1 91−9 80.3 ‡‡P16 よくわかる㈹社会 86.7 84.5 22 85.6 71.1 **P4.5 89.5 66−9 *ホQ2.6
I
墲ゥらない⑭算数 85−9 80,O ‡T.9 87.6 58.5 *ホQ9.1 91.2 73.7 ホ*P7.5
理科 89.4 84.6 ‡S8■
一 i i 88.7 82.9 57
国語 844 82.4 20 78』〕 76,8 1.2 907 80.7 **P0.0
やさ しレ側社会 I 844 87.4 一aO 788 76.1 27 91石 68.7 **Q2.9
むずかしレ田算数 87,6 824 5.2 90.1 665 *‡Q3−6 95.4 78,3 **P7.1 理科 872 88ユ 一〇.9 8a8 89.5 一5.7 88,9 81.4 *V.5
国語 8816 834 52 81.8 70.7 11.1 86.8 822 4.6
すすむのが
桧 9α3 864 39 81.4 71.2 1012 80.2 794 O.8
おそレ側1 算数はやい⑭
80.7 86.1 一5.4 78.9 62.8 16.1 88.1 848 3.3
理科 87.3 86−8 O.5 86.6 79.8 6.8 87■5 92.1 一46 国語 8713 88』 一1.1 85.1 81.3 38 86.1 85.6 0.5
とてもたのしレ側社会 88.1 86.0 2,1 824 75石 6.8 87.1 724 **P4.7 I
たのしくなv田算数 87.4 80.8 6.6 884 71.5 科P6」9 89.1 81.7 **V4
理科 89.8 86.1 37 86.7 83−9 28 87,2 878 一0.6
*P<.05 榊戸<.01 ・は人数過少のため分析から除外
次元別にみると、よくわかると答えた者とわからないと答えた者の学業成績の差は、2年生の 社会と6年生の理科を除くすべてにおいて有意であった。これは、2,4,6年生を通じて、授 業がよくわかると思っている子どもは授業がわからないと思っている子どもに比べて、その教科
の成績がよいことを示している。やさしい一むずかしい次元では4年生の算数と6年生の4教科 で、たのしい一たのしくない次元では4年生の算数と6年生の社会と算数で有意差があワ、いず れも授業がやさしいとかたのしいと判断した者の成縷がよいことを示す。しかし、おそい一はや い次元では全く有意差がなかった。
学年別にみると、2年生ではわかる一わからない次元だけで学業成績との関係があワ、他の3 次元では有意差がなかった。4年生ではわかる一わからない次元で3教科に有意差があワ、やさ
しい一むずかしい次元とたのしい一たのしくない次元では算数だけに有意差があった。6年生で はわかる一わからない次元で3教科、やさしい一むずかしい次元で4教科、たのしい一たのし<
ない次元で2教科で有意差があった。
以上のように、本研究で用いた4つの次元のうち、はやい一おそい次元はすべての学年ですべ ての教科において、学業成績との有意な関係がなかった。しかし、よく考えてみると、この次元 では ちょうどよい というのが おそい や はやい よワも望ましい受けとめ方であろう。
はやいのは確かに望ましくないが、おそいのもまた望ましくないであろう。そのために学業成績 との有意な関係が得られなかったのかもしれない。このことは、知能(表4)と学習意欲(妻5、
表6)についても当てはまる。今後の研究では ちょうどよい と はやい について比較する ことが望ましい。
授業の受けとめ方と知能の関係 表4は、授業の受けとめ方と知能の関係を示したものであ る。2年生ではどの次元でも有意差が認められないが、4年生では5つ、6年生では8つの有意 差があった。4年生は学業成績の場合とほぼ同じパターンであるが、はやい一おそい次元で国語
に有意差がみられた点が異なっている。6年生ではわかる一わからない次元とやさしい一むずか しい次元では学業成績の場合とよく似ているが、知能については、たのしい一たのしくない次元 で有意差がなく、おそい一はやい次元の算数で有意差があった。
表4 授業の受けとめ方と知能(知能偏差値の平均)
2年生 4年生 6年生
仏) (B) 差 ㈹ (B) 差 (A〕 (B) 産
国語 54.6 49.8 ω 524 41.1 ま*P1.3 554 47.3 *W.1
よくわかる㈹社会 I
536 51.7 L9 52.8 49.2 3.6 54.8 4τ8 *‡V0 わからない酎算数 53.1 53.7 一0.6 540 434 **P0.6 54.1 44,5 **X−6
理科 54,3 51.9 24
一 ■ ■ 53.O 46.1 *U9
国語 53,6 50,3 33 453 476 一2.3 54−7 46.5 *‡W2
やさしい㈹社会 I
54.3 52.5 1−8 486 51.8 3−2 572 47,9 ‡*X3
むずかしい⑬算数 52.8 54.3 一1.5 57.2 483 ‡*W.9 56.9 46.9 キ‡H00
理科 53.3 549 一1石 50.9 5a5 一26 51.7 455 6.2
国語 55.4 53.2 22 51.1 40.8 *PO.3 53.1 44.8 8.3
すすむのが
桧 59.6 56.9 27 50.1 49−3 〇一8 526 50.1 Z5
おそい㈹
@1 算数はやい㊥ 理科 51.3 55D 一37 508 48,7 21 562 47.4 ‡W8
53−5 569 一3.4 534 50.7 27 50.4 51.1 一07
国語 55.1 53.1 20 49−8 51.3 一1.5 5識 5]」5 I7
とてもたのしい㈹社会 54石 529 1.7 530 510 ZO 52.4 50−5 19
Iたのしくない⑭算数
54.6 53.1 1.5 54.O 4τ9 ‡‡U.1 517 48石 3.1
理科 54,1 540 O.1 51,7 517 OO 52.O 51,7 O.3
*P<.05 柵p<.O1 一は人数過少のため分析から除外
学年と次元をこみにして教科別に有意差の数を調べてみると、妻3の学業成績では国語4、社 会4・算数7・理科2であり・表4の知能では国語4、社会2、算数6、理科1であった。この 数値をみると・授業の受けとめ方によって学業成績と知能が最も異なっているのは算数であワ、
あまワ異ならないのは理科であるといえる(但し、理科は総数が1つ少ないことを考慮しなくて はならない)。このことから、算数の授業に対する主観的判断が最も正確であると推測してもよ いかもしれない。全体的にみると、授業の受けとめ方と学業成績の関係では17個の有意差があ ワ、知能との関係では13個の有意差があったので、学業成績との関係の方が強いといえそうで
ある。
授業の受けとめ方と学習意欲の関係 学習意欲を調べる6項目のうち、①、②、③では は い に1点を与え・④・⑤・⑥では いいえ に1点を与えた。したがって、得点は最低0点か ら最高6点まで分布し、得点が高いほど学習意欲が強いことを示す。妻5は、この得点について
㈹と⑱の平均値、両者の差(A−B)、および 検定の結果を示したものである。この表から明
表5 授業の受け方と学習意欲(素点の平均)
2 年 生 4 年 生 6 年 生
(A) 四 差 (Al (Bl 差 (A) (Bl 産
国語 3.97 2.33 1石4* 3.93 1.57 236** 4.31 1.67 264**
よくわかる㈱社会 4.57 2.36 221** 4.47 200 247** 5.08 2.72 2.36淋
わからない⑭算数 4,63 2.59 204榊 4.70 1.93 277榊 4.68 1,80 2.88**
理科 4,69 2.33 2.36淋
一 428 1.73 2.55淋
国語 373 3.13 O.60 350 2,61 0.89 3.39 2−42 0197 や さ し い㈹社会 4.52 247 Z05榊 4.50 244 2−06神 5.08 2,80 228**
むずかしい働算数 444 2.59 1.85神 5.21 2,57 264神 4.30 221 209料
理科 4.37 258 1.79淋 4.63 2.50 2,13柵 444 2.33 2.11**
国語 375 3−21 O.54 2−86 2.83 0.03 2.46 2.67 一〇.21
すすむのが
絵お そ い㈹ 算数 3.14 a50 一0.36 342 ZOO 1.42 3.57 227 1.30*
327 3.57 一〇.30 3.63 2.64 0.99 3.93 2.17 176*
は や い⑬ 理科
3』〕8 4,19 一1.11 3.95 3,27 0.68 3.00 2,86 0.14 国語 4.29 2り7 2−22榊 3.92 2.51 1−41神 4.44 2.53 1.91林 とてもたのしい㈹社会 4−59 2.29 2.30神 400 2.16 1,84神 5.35 2.52 2.83榊 たのしくない⑬)算数 478 242 Z36** 5.31一 2.72 2−59神 5.10 2.31 2.79**
理科 4.75 243 232林 4.61 2,13 2−48淋 4.57 2.35 2.22神
*P<.05 榊P<.O1 一は人数過少のため分析から除外
らかなように、学業成績(表3)と知能(表4)にみられたような学年差はなく、どの学年も同 じバターンの有意差を示している。わかる一わからない次元とたのしい一たのしくない次元では、
すべての学年ですべての教科において有意差があり、授業がよくわかワ、とてもたのしいと思っ ている者は、授業がわからない、たのしくないと思っている者に比べて、すべての教科で学習意 欲が強いといえる。やさしい一むずかしい次元では国語だけに有意差がなかったが、この理由は 明らかでない。
表6は、学習意欲の項目ごとの反応について、㈹四と意欲の有無の2×2の〆検定を行った結 果である。表中の有意差の印はすべて、㈹の者カ洞の者よDも学習意欲が強いことを示す。表5 と同様に学年差が認められないので、学年をこみにして有意差があった項目数を調べることにし た。教科をこみにして次元ごとに有意差があった項目数の割合を算出してみると、わかる一わか らない次元から順に74%、44%、8%、79%であった。このことから、学習意欲の高低と 最も関係があるのはたのしい一たのしくない次元とわかる一わからない次元であワ、おそい一は やい次元はほとんど関係がないといえる。次元をこみにして教科別の割合をみると、国語から順 に31%、58%、68%、47%であワ、算数と学習意欲との関係が最も強く、国語は最も弱 いことがわかる。最後に項目別にみると、①から⑥まで順に70%、53%、53%、17%、
58%、56%となワ、 授業中、すすんで意見を発表する という項目が授業の受けとめ方と 最も関係が深く、 授業中、本やノートに落書きをする という項目はあまワ関係がないといえ
る。
要 約
小学校2,4,6年生に、国語、社会、算数、理科の授業について、わかる一わからない、や さしい一むずかしい、すすむのがはやい一おそい、たのしい一たのしくない、おもしろい一おも しろくないという5つの次元の主観的判断を求め、その全体的傾向および学年差を詞べるととも に、学業成績、知能、学習意欲との関係を検討した。主な結果は次のとおりである。
(1〕全体的にみると、よくわかると答えた者がわからないと答えた者よワも多く、特に理科では 50%余の者がよくわかると答えている。国語、社会、算数ではやさしいと答えた者よワもむ ずかしいと答えた者が多く、また、たのしくないと答えた者が約3割も占めているが、理科で は5割弱の者がとてもたのしいと答えている。
(2iわからないと答えた者は算数と理科で2年生から4年生にかけて減少し、国語と社会では学 年差がなかった。このように、授業がわからない老が学年とともに増加するという、一般に信 じられている結果は得られなかった。むずかしいと答えた者は社会で学年とともに増加し、算 数では2年生が最も多かった。たのしくないと答えた者は国語と社会で学年とともに増加し、
理科では6年生が最も多かった。
13〕 どの学年でも、授業がよくわかると答えた者はわからないと答えた者よワも学業成績がよか った。やさしい一むずかしい次元では4年生の算数と6年生の4教科、たのしい一たのしくな
妻6授業の受けとめ方と学習意欲(項目ごとの分析)
2 年 生 4 年 生 6 年 生 有の 項 目 番 号 項 目 番 号 項 目 番 号 意差数
1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 ㈱
国語 *幸 ** ** ** ‡* ** *‡ ホ 44
よくわかる㈹杜会 林 ‡ 梓 ‡ ‡‡ 讐 ‡* ‡ ま* ‡‡ ‡* *‡ *‡ ** ‡* 83 わからない⑮算数 ** ** ** ‡ * * 料 ** ** ** * ** *ホ ** * ** ** 94 理科 ‡‡ ‡* ** ‡* 一 一 一 一 一 一 ‡* ‡ま ** *‡ *‡ 50
国語 料 6
や さ し い㈹杜会 ** * *‡ ‡ 林 ‡* ** ‡‡ 梓 ‡‡ 56
むずかしい⑫算数 ** ** ‡* * * * ** ** * ‡* * ‡* ** 72
理科 料 ま* ま* ** ‡* ** ** * 44
国語 * 6
すすむのが
杜会 ‡ * * 17
お そ い㈹ 算数
* * 11
は や い⑭
理科 O
国語 * ‡* ** ** * ** ** ** ** ** ** ** 67 とてもたのしい㈹社会 ** *‡ ** ‡* ** ** ** ** ** ** ** ‡‡ ** *‡ 78 たのしくない⑭算数 *‡ ** ‡* * ‡ ** ‡辛 ** ** ** ** 林 ** ** ** ** ** 94 理科 ** ** *‡ ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** 78
有意差の数㈱ 63 56 63 13 50 38 73 53 47 20 60 67 75 50 50 19 63 63
い次元では4年生の算数と6年生の社会・算数で有意な関係があったが、はやい一おそい次元 は学業成績との関係がなかった。全体的にみると、授業の受けとめ方と学業成績の関係は学年 がすすむにつれて強くなる。
ω 2年生では、授業の受けとめ方と知能の関係はまったくなかったが、6年生ではわかる一わ からない次元で4教科、やさしい一むずかしい次元で3教科で有意な関係があワ、授業がよく わかる、やさしいと答えた者の方が知能が高かった。たのしい一たのしくない次元では4年生 の算数だけが有意な関係を示した。
⑤ 授業がよくわかる、とてもたのしいと答えた者は、わからない、たのしくないと答えた者に 比べて、どの学年どの教科でも学習意欲が有意に高かった。やさしい一むずかしい次元ではど の学年でも国語だけが学習意欲と有意な関係がなく、はやい一おそい次元では6年生の杜会と 算数だけで有意な関係があった。教科別にみると、学習意欲と授業の受けとめ方の関係は算数 が最も強くて国語が最も弱く、項日別にみると、 授業中、すすんで意見を発表する という 項目が授業の受けとめ方と最も強く関係し、 授業中、本やノートに落書きをする という項
目はあまり関係がなかった。
今後の研究では、複数の小学校で少なくとも学期ごとに同じ調査をくり返すこと、本研究で用 いた次元以外の主観的判断を取ワ入れること、および次元間の相互関係を検討することが望まれ
る。
引 用 文 献
杉村健 1982 小学生における学習意欲、知能および学業成績 奈良教育大学教育研 究所紀要,18,101−108.
杉村健 1984 小学生における原因帰属、学習意欲および成績の予想 奈良教育大学 教育研究所紀要,20,73−79.
杉村 健・藤田 正・玉瀬耕治 1983 小学生における学業成績の原因帰属 奈良教育 大学教育研究所紀要,19,105−114。
上田敏見・杉村 健・玉瀬耕治 1976 へき地における児童・生徒の学習意欲と学校への 適応 奈良教育犬学教育研究所紀要 12 57−64.
<付記〉本研究の資料の収集に際し、磯城郡川西町立結崎小学校および本学大学院生、心理学専 攻3回生の協力を得た。統計的分析は心理学専攻4回生清水益治、3回生表野盟子、森川淑枝、
山本洋子によって行われた。記して感謝の意を表します。