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長崎県における病児保育の実態調査

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Academic year: 2021

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(1)

長崎県における病児保育の実態調査 第2報 保育園に対する調査結果

宮原 春美1・宮下 弘子1・川崎千里2

要 旨  長崎県における病児保育の実態と保育園経営者の病児保育にたいする認識について調査し,以下 のことが明らかになった.

1.長崎県下では病児保育室を設置しているところは1カ所であった.

2.園児が登園後に発病した場合,何らかのケアをしている所が40%以上あったが,看護職を配置している  ところは15%であった.

3.今後,病児保育を積極的に検討しているところは4カ所であったが,4割近くは何らかの形で病児保育  室設置が望ましいと考えていた.

      長崎大医療技短大紀9:43−44,1995

Key Wor曲  :病児保育,病児デイケアパイロット事業,育児支援 1.緒  言

 出産や育児は個人的問題あるとはいえ,子供が健やか に生まれ育つ環境づくりは社会全体の課題といえる.過 半数の家庭が共働きとなっている現在n,出産・育児か 就労かの二者択一を迫るのではなく,両立をサポートす

るシステムを整備していくことが急務となっている.

 このような社会状況の中で,突発的な軽度の疾患に罹 患した小児を短期間ケアできる施設,病児デイケアが注 目され,平成4年度から病児デイケアパイロット事業が 開始されている.

 平成5年度の調査21では,全国に22カ所の病児保育室 が設置され,これらは医療機関併設型が12施設,単独型 が5施設,保育所併設型が4施設であり,ありふれた乳 幼児の感染性疾患の回復期を中心に,1〜3日間,年間

4回位の利用が多いという実態であった.

 我々は長崎県における病児保育の実態と保育園経営者 の病児保育にたいする認識について調査し,若干の知見 を得たので報告する.

1.対象と方法

 対象は長崎県下の認可保育施設431カ所として,郵送 法により各施設長にアンケート調査した.調査期間は平 成5年9月1日〜11月10日であった,有効回答が得られ たのは282カ所であり,回収率は65.4%であった.

 調査内容は保育施設の背景,保育状況,病児への対 応,看護職員の配置状況,病児保育に対する認識等とし

た.

皿.結  果 1.保育施設の背景

 保育園の規模は入所者数60人以上が156カ所(55.3%),

30人〜60人が93カ所(33.0%),30人未満が33カ所(11.7

%)であった.

 立地環境としては,住宅地が88カ所(31.2%),農業 地帯79カ所(28.0%),漁業地帯22カ所(7.8%),商店 街19カ所(6.7%)であった.

2.特殊保育の状況

 今回の調査では乳児保育は181カ所(64.2%),障害児 及び発達遅滞児の保育は130カ所(46.1%),延長保育は 70カ所(24,8%〉で実施されていたが,病児保育について は1施設で実施されていただけであった.この保育園では 病児デイケア事業としての取り組みであり,看護職員2 名を常時配置し,事前登録されている園児について,発 病時保育園内の病児保育室で保育するシステムであった.

3,病児への対応

 園児が園で発病したときの病児への対応については

「すぐに保護者に連絡して迎えにきてもらう」が142カ所

(50.4%),「すぐに保護者に連絡するが病院受診など園 でケアする」が65カ所(23.0%),「すぐに保護者に連絡 するが園でケアしたり,迎えにきてもらったりする」が 57カ所(20.2%),「連絡しない」が1カ所(O.4%),そ の他が17カ所(6.2%)であった(図1).

4.看護職員の配置状況と仕事の内容

 看護職員を配置している施設は43カ所(工5.2%),配置 していない施設は237カ所(84。1%),無回答2カ所(0.7

%)であった.職種別では複数配置もあり准看護婦27名,

長崎大学医療技術短期大学部看護学科 長崎大学医療技術短期大学部一般教育

一43一

(2)

宮原春美他

すぐに連絡してお迎え 連絡して園でケア 園でケアしたりお迎え 連絡しない その他

      (%)

0   10   20   30  40   50   60

142(50,4)

65(23.0)

57(20.2)

1(0.4)

17(6.2)

図1.病児への対応

N=282

看護婦15名,保健婦2名,助産婦1名であった.その仕 事内容をみると0才児の保育が30カ所,園児の健康管理 が27カ所,病児のケアが20カ所,その他職員の健康管理,

衛生材料の管理,障害児の保育等があげられていた.

表1.看護職者の仕事の内容(複数回答)

      N=43

仕事内容 園数

0歳児の保育 30カ所

園児の健康管理 27カ所

病児のケア 20カ所

その他 7カ所

5.病児保育についての認識

 病児保育に対する意見を求めたところ複数回答であっ たが,「病児は家庭でみるのが望ましい」と答えたとこ ろが170カ所(60.3%),「乳児院,病院など特殊な施設 内に病児保育室を設けるのが望ましい」が59カ所(20.9

%),「各保育園で病児保育室を設置するのが望ましい」

が48カ所(17.0%),その他が1!カ所(3.9%)であった.

 病児保育に対する今後の取り組みはどうかを尋ねたと ころ,今後積極的に取り組みたいと答えたところは4カ 所(L4%)のみであった.

病児は家庭で 特殊な施設内で 各保育園で その他

無回答

0   10  20  30  40  50  60  70

170(60.3)

59(20、9)

48(17。G)

11(3.9)

20(8.O)

(複数回答)

』図2.病児保育についての認職

(%)

急に病気になったとき祖父母の援助が期待できるのは約 40%であり,残りは両親が仕事を休んで看病しており,

現実的な病児への対応の必要性を指摘している.

 看護職者を配置しているところは43カ所しかなく,看 護職の業務に病児のケアをあげているところは20カ所に 過ぎなかった.これは乳児保育を実施する施設に対し,

乳児9人以上に看護職1人の配置が義務付けられてお り11,従来看護職の役割が乳児保育に期待されていたか らであろう.特殊保育の社会的二一ズは今後ますます大 きくなると考えられるが,特に病児保育を考えるとき看 護職の役割は大きく,その有効な活用が望まれる.

 病児保育に対する認識では病児は家庭でみるべきだと いう施設が6割あった一方で何らかの形で病児保育室の 設置が望ましいとする施設も4割あった.これはひとつ には両親の厳しい環境を考慮した現実的な対応とも思わ れるが,視点を変えてみると働く婦人が子供を生み育て る権利を保障する一手段として,病児保育への社会的理 解が得られてきたとも考えられる.この病児デイケアパ イロット事業は平成6年には病後児デイサービスモデル 事業,平成7年には乳幼児健康支援デイサービス事業と 形を変え,よりよい方向へと進んでいる.

 我々は病児保育を働く婦人の多様な育児支援制度の一 選択肢として理解し,一方で安心して子供を産み育てる 環境作りのための社会制度も整備していく必要がある.

 本論文の要旨は第7回長崎県母性衛生学会および第41 回小児保健学会(水戸)で発表した.

IV.考  察

 今回の調査においては長崎県では病児保育を標榜して いるところは1カ所しかなかったが,園児が登園後に発 病した場合,保育園で何らかのケアをしている所が122 カ所(43.2%)みられているが,これは第1報で報告し ているように両親ともに被雇用の場合,自宅で看護する と答えたものが有意に少なく,また核家族世帯が圧倒的 に多いなど厳しい環境を考慮した現実的な対応と考えら れる.小國ら3浦の報告でも,共働きの家庭では子供が

文  献

1.安 典子:保育要求の多様化と特別保育.別冊発達

 14,194−200,1993.

2.帆足英一他:病児保育室の実態調査(その4).第  40回日本小児保健学会講演集,518−519,1993.

3.小國達也他:病児デイケアに対する社会的合意につ  いて.小児保健研究,54(4)517−521,1995.

4.小國達也他1病児デイケアに対する保育園児の保護  者の認識.小児保健研究,54(4)517.521,1995.

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参照

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