砂および砕石による二層の熱伝導について
武 政 剛 弘 ・ 深 田 三 夫 *
Heat T r a n s f e r i n t h e Two
圃P h a s elnhomogeneous S o i 1 (Sand and Sand‑Crushed S t o n e )
by
T a k e h i r o T
AKEMASAM i t s u o
FUKADA (Department of Civil Engineering)The temperature in the soil near the ground surface is determined by the thermal characteristics of soil.
N ow
,
We considered the thermal diffusivityα,
damping depth D, and transfer velocity V,of temperature
,
from the dates obtained by observing the temperature in the homogeneous soil (sand) and in the two‑phase inhomogeneous soil (sand‑crushed stone).And
,
in case of two models,
We skethed pictures of heat trasfer in the soil.i
ま え が き
地表面付近の温度は,地中の土壌の熱的特性および 表面における熱収支によって定まると考えられる.た とえば道路においては,路体材料,舗装材料などの熱 的特性が路体中の温度変化に大きく影響し,道路の施 工,および維持の点において路体中の温度を時間的,
場所的に予測することが重要な課題の一つにあげられ ている.前報においては,砂および砕石の一層の場合 のみについて熱的挙動に対する解析を行ったが,実際 の場合道路においても,又単一物質の場合でも含水比 の影響などにより温度変化は大きく左右され熱的には 層をなしているように考えられる.そこで筆者らは,
今回は簡単なニ層モデルを屋外に設定し単層と二層と の両者の温度挙動を比較検討してみた.
E
ニ 層 理 論
図
1に示すように,地表面を x = o として,深さ方 向(鉛直下方〉に
Z軸をとる.そして上層の厚さを
dとして,上下層の物質の熱的特性すなわち,熱伝導係 数,熱容量,密度を上層には,サフィックス
1,下層 には 2 を付けて区別してそれぞれ K
1•
C1・ρ1,
Kz・*土木工学科
Cz.ρ2
とする. 今上下層において,土はすべての方 向に一様均質で土の有する熱的特性,
K, C,
ρ,をー
d K l C 1 ~
K
2C
2免
X
Fig. 1
定とする.その時熱流は灘方向のみ生じると仮定して
よい.診時において,任意の点灘における温度をT
@,のとすると三流の連続の方程式は
上層について∂T1/∂ =α1・∂2T1/∂記20≦諾≦4 (1)
下層について
∂T2/∂ =α2・∂2T2/∂¢24≦露 (2)
で与えられる.ここでα1=K1/C1ρ1(cm2/sec),α2
=1ζ2/C2ρ2(cm2/5θc)であり熱拡散係数と走れている.
境界条件としては,上下境界面において,温度および 熱流が連続であるとして
T1(4,の=T2(4,の (3)
一K1(∂T1/∂」じ)ω=d=一1(2(∂コr▼2/∂¢)灘二(オ (4)
で与えられ,また十分深い所においては温度は平均温 度に収束するとして,
・1一・・一・噸(γ・・一24/D・・蝋24/D・))/
(1+γ、θ一24/D・・、。、(24/D、))}(13)
・1一・・一…㎏{一,2みD・・蝋24/D、)/(γ・
+・24/D1・…(24/D、))}一・i一・。
一(24/D1)
ノε2=ε一4/D1
1
γ乙=(1/KIC1ρ1一1/K2C2ρ2)/(1/KIC1ρ1十
ゾK2C2ρ2)(14)
(15)
(16)
(T2)伽。。=T㎜
そして,¢=0の地表面における温度変化が
T1(0.の=丁皿+To吻(ω孟+εo)
で与えられると,上層0≦諾≦4における解は
T1(諾,の=1疏+且1θ諾ρ(一κ/D1)珈(ω ノ ノ
一諾/D1十ε1)十A1θ⑫(諾/D1)
×・勿(ω孟+¢/D1+ε1)
(5)
(6)
(7)
で与えられて右辺第3項で表現される温度の反射波が 加わっているのが均一物質における解と異っている所
である.次に下層4≦諾では
T2(必,彦)=1翫+んゆ{一(劣一4)ノD2}
×3娠ω彦一(詔一4)/D2+ε2) (8)
を得る.ここでんは境界層における温度の振巾であ
り,上式は謬=4を原点に考えると均一物質における 解と同じ形式をとっているのは自明であろう.ここで1)=1/2K/Cρω=〆2α/o)=1/翫/π (9)
1)はdamping depthと呼ばれて上式からわかるよう に,Dだけ深くなると振巾は元のユ/θに減衰する.又
ωは角速度でTは周期である.この両者の値は上下
層とも同じである.次に(7),(8)式に使用している係数 は以下の式で表わされている.A、一丁。〔・+γ1,}44/D・+2γ、,一24/D・
・、。,(24/D、)〕『}6
A{一丁。〔・+γ12,44/D・+2γi1,24/D・
・。。、(2ゆ、)〕一%一A、γ、。一24/D・
且σ=且、(1十η),一 D1
(10)
(11)
(12)
になっている.そして均一物質の場合については⑯式 よりγ ニ0であるから,
T(切一門+T。,一諾/D・伽(。卜ψ+・。)
(17)
となりこの式は前回で述べている単一層の解となって
いる.
皿 測 定
観測は長崎大学工学部構内北部(前長崎工業高校跡)
の空地に一日中太陽の当っている場所を選び,地中
の横方向からの熱流の影響がないと考えられる広さ,すなわち半径80cm.深さ50cmの穴を2個堀り,1
方には砂のみ,もう1方には下層に粒径20〜25mm の砕石を入れ上層6cmには砂を入れて層の状態にし
た.そして地表下0,3,6,9,12,15,20cmの 所に温度検出端(サーミスター)を挿入埋設して,両 者の温度変化を同時に24時間連続自記させた.又砂一 層の場合のみ定期的に各層(0,5,10,20cm)の含水 比も同時測定した. (10月30日)なお,観測は晴天が2〜3日続いた後の温度変化がほぼ定常的になってい
ると思われる安定した晴天を選んで行なった.IV 測定結果および考察
(i)砂および砂一砕石の1日の温度変化
昭和48年8月23日10時より24日10時までの2時間毎
の各層の温度変化を示すと図2,3のようになる.両
者について3cm以下の層を対象として比較した場合
最高気温に対しては砂一層の場合が3cm,6cmでは砂
一砕石の場合より非常に高い値を示している.そして 砂一砕石の深さ方向による各層の温度変化をみると6cmでの境界層を境に顕著な温度飛躍がみられる.こ
れは砂一層の場合にはみられない現象であるから二層 による影響のためと考えられる.ここでは8月の例を あげているが秋季の観測においても同じ様な結果を得ている.
(℃)
50
40
30
●\
Q
ノ濃
影欝
①O(cm)
① 3
0 6● 9
φ12
〈〉』「
n5
b①20
多豚
20
/
b無鐸∠
\Φ\(D
io
Fig.2
15 22 4 10(hr)
Diurnal Temperarture Oscillations in Sand.Crushed Stone. in Aug.23−24.
1973.
(ii)αの決定
前述の(8)式および⑰式からわかるように深さ方向の 温度振巾の減衰よりαの値は
α=P(詔1一諾2)2/πσ・9、R1。rZ・9,R1謬2)2 (18)
で与えられるので図4,5に示すように横軸に振巾の
対数値を縦軸に深さをとり⑱式を使用してαの値を算 出した.その値は表1に示す.なお二層の場合の上層一2 一/
○
/5
θ
詑,
42。
/
/
e
2109eRlx
O一θ
/
○
0 10
。〜
。/〜
万
/o
f
(OC)
50
40
30
①
Q\
○
Φ○(Cm)
0 3 0 6
Q.
X φ12つ一15
①20
1
10 16 22 4 10(hr)
Fig.3 Diurnal Temperature Osci11ations in
Sand. in Ang.23−24.1973.
Depth 〔 cm 〕
Fig.4 Values of Loge Rlx of first harmonic
as a function of depth for sand.
一2
一1 ○
1θ
5,
θ
6
汐∠
〜。/
∫
20 10
15
θ
/
/)
6 ノ
。/
ノげ
〜
2[・9β・x
θ一〒一一〇一
○
Depth ( cm 〕
Fig.5 Values of Loge Rlx of first harmonic
as a function of depth for sand・cru・
shed stone.
のαの決定は,⑩,⑪式からわかるように式が複雑の
ためと,上下層のK,C,ρの正確な値が得られない
ために今回は割愛した.なお表1からわかるようにα の値は同一物質においても時期的には変動がみられる.このことは含水比や空隙率の変化などの影響が考えら れ季節による影響は考えられないように思われる(1).
sand−crUshed 3tOIle sand S/23
一3 っ9.∬×1〔1 〔C11ヴsec)
5.5S×153〔。、1彩、,c、
ユ。/3∩ 5.99×1r3(CI,1・,e、) 4,95×1ポ3(。,1鉱。の
Table l THERMAL DIFFUSIVITY(cm2/sec)
(iii)温度振巾の減衰および温度の伝播速度について 一層および二層の深さ方向による振巾の減衰を比較 すると顕著な差が見られるので,これをより明確にす るために一日項,および半日項に関して平均温度を中 心とした深さ方向の温度振巾を図6に示した.各層の 平均温度は砂一層が二層の場合に比べて常に高い値を 示している.そして振巾に対しては境界層までの深さ について,一層と二層の場合を比較してみると,同一一 の砂でありながら二層の方がはるかに大きく減衰して いる.しかし境界層以下になると二層の方の半巾の減 衰は一層の方より緩慢になっている.今二層の場合,
上層の温度振巾の減衰を式の上から考察すると㈲,⑫ 式より表面と境界面での振巾の比は
50
y40
と
§
曽
匙
岳ト
30
20
11
ii
/l
目 ti
窟
ii
鱒
一
u
ll
引{
↓↓
す
了
了l
lφ
/φ
口
・↓
ず
.l
ll
学
一一一一 rand−Crushed stone
一一一一一一rand
o Mean value
o Diurna〔TermΦ Semi−Diurnal Term
lli
擁
曇
(現/To),一(1+γ∂,一4/D・/{1+。・,一4みD・
乙
+2γ、θ一24/D・×、。、(24/D、)}1/・
(18)
で与えられる.一・層の場合同じ深さの温度振巾の減衰 の比は
(現/To)、一,一 D・ (19)
である.そして表1のα1,α2を使用し,また⑱式の 上層の砂の拡散係数は砂一層の場合の値を用い,また
4=6cmを適用すると
(∠4(7/To)2=0.42 (.Ad/To)1=0.55
が得られる.すなわち減衰率は二層の場合が大きく出 ている.この値は観測値とほぼ一致している.次に6 cm以下の層についての温度減衰は,両者共θ一∬/D1 θ一κ/D2によっている.このことは前述のようにd撫
mping depth;Dの大小によって半巾の減衰度合が
決定されることを示している.すなわち前述と同様の α1,α2を使用するとD1=9.9cm
D2=・16.7cmとなり当然砂の方の減衰が大きくなることがわかる.
以上の事より上層による温度減衰は,γ乙の値に左右 され,また境界層以下ではその物質の熱拡散係数に左 右されていることがわかる.このことは実際の場合表 面からの低温の浸入の防止という点で一層の方より二 層の場合が,かつ上下層の熱的特性の差を大きくつけ ることが効果的であることを示している.また解の形 からわかるように温度は振巾を減衰しながら波動のよ うに伝播している,そこで伝播速度V(cm/day)温度 波長λ(cm)を求めると
7=21/απP=2πD(cm/day) (20)
λ=7×P=2πD×P(cm) (21)
(Pは1日周期で24時間である)
である.同様にして前述のD1,D2を使用して⑳⑳ 式より求めた値を表2に示す.以上の事柄を図7のよ
Table 2 WAVE VELOCITY V(cm/day)and
WAVE LENGTH(cm)0
Fig.610
20 Depth(cm)
Relation between mean temperaure,
amplitude, and depth for sand and
sand−crushed stone.
sand−crushed stone sand
8/23
V=104.9cm/day рk・コ04.9cm
V;62.2cm/day
・E62.2・m
10/30
V需80.7⊂m/day ノ.・80.7cm
v=75.5c皿/day
ノ.573.7cmうなharmonic dialにあらわしてみると深さ方向に
よる温度振巾の減衰と最高温度の伝わり方が具体的に 図示され一層明確になるだろう.18hh
『 Sand−Crushed Stone
一一一
@ Sand
宏
/
29。
、ゾ鍵。・
9ρ/ /可2 ノ
1話
//
Ohじ
ゲ
、 \ \ 、 \ 12h卜
6
V む す び
Fig.7 Harmonic dial.
本報告をまとめるにあたっては,二層の場合の温度 挙動に対する解析は,C,ρ, Kの正確な値がわから ないためある程度の仮定を導入することをまぬがれな かったが大体の傾向はつかめたように思われる.今後 多層問題において温度挙動の厳密な解析をするために は,C,ρ, Kの正確な値を知ることが必要であり,
そのためには実験室内においてこれらの値を測定する 方法も考えなくてはならない.最後に終始御教示下さ
った本学の松原茂教授に謝意を表します.
引用文献
(1)藤居宏一;2層土壌の温度日変化と熱拡散率につ いて.島根大学農学部研究報告 第3号
(2)van Wijk, w・R・and Derksen, w. J.
Physics of Plant Environment;North・Holland Publishing Co, Amsterdam.1963. p.172−176
(3)松原茂,奥田節夫,小野薫;炭殻地の地温につ,
いて 農業土木研究 第24巻 第7号