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卓球選手 におけるフォアハ ン ドフ リックおよび

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(1)

静岡大学教育学部研究報告 (自 然科学篇 )第 52号

(2002.3)1〜6

卓球選手 におけるフォアハ ン ドフ リックおよび

ス トップ打法 レシーブ時の EMGか らみたラケ ッ トコン トロール特性

Racket Controls and EMG Responses in The Upper Limbs during Forehand Flick and Forehand Stop Stroke Receive in Table Tennis Players

 

 

 

司・ 吉

 

 

 

人・ 村

 

   

Koji SuGIYAMA,Kazuto YosHIDA,Shin MuRAKOSHI

(平 成 13年

10月

9日 受理 )

要 約

本研究では卓球のフォアハ ンドフリック打法およびス トップ打法について、下回転および無回転サー ビスを レシーブする際の、上肢骨格筋の筋放電パ ターンを検討することを試みた。被験者は某大学体 育会系卓球部に所属する男子選手 2名 とした。供給 されたサーブを被験者は相手 コー トの指定場所に 予め指定 された打法で レシーブした。被験者 にはサー ビスの球種を事前に伝えた。サービスの球種は 下回転および無回転の2種類、 レシーバーとなる被験者の打法はフォアハ ンドフリック打法およびフォ アハ ンドス トップ打法の2種類 とした。各球種、各打法の4試行でそれぞれ

16試

技を行い、その うち サービスおよび レシーブが正確に行われた試技の測定データのみを採用 した。 レシーブ時のラケット コン トロールの特徴をみるため、利 き手前腕および上腕部における 6部位の骨格筋表面筋電図と手首 の外内転、屈曲伸展および肘関節の屈曲伸展角度の時系列変化を測定 した。その結果、 シェイクハ ン ドラケ ットを使用する選手の場合、卓球の レシーブ時においてはサービスの回転への対応 として短撓 側手根伸筋が重要 に働いているのではないか、打法の違いは撓側手根屈筋周辺の筋制御に認め られる のではないか と考え られた。 これに対 し、ペ ンホルダーを使用する選手の場合、撓側手根屈筋周辺の 筋制御が ラケ ッ トコントロールに重要な働 きを しているのではないか と考え られた。

は じめに

卓球では、 自領 コー トのネ ット際にバ ウンドした相手打球に対する返球技術を「台上処理」などと 呼び、その技術水準が競技水準 に密接 に結 びつ くものと考え られている

6ゝ

台上処理で多用 される打 法には、 フ リックとス トップがある。卓球のフリック打法 とは、ネット際のボールを手首中心に軽 く 払 うように打つ ものであり、ス トップ打法 とは、ネッ ト際のボールを他領 コー トに短 く返すように打 つ ものである。 これ らの打法では、 自領 コー トでのボールバウンド直後をタイ ミング良 くとらえて打 球することが重要 とされている。 これ らの打法に関する研究 としてフリック打法は他の打法と比べ、

動作範囲が小 さ く、動作時間が短 いことが実験的に明 らかとされている

5、

しか し、卓球 における 打法に関する研究は少な く、 フ リック打法の詳細については不明な点が多い。また、ス トップ打法に ついてはほとんど研究が見当た らない

8ゝ

競技水準 に密接に結 びつ くものと考え られている代表的な 返球技術 としてフ リック打法およびス トップ打法が用いられているにもかかわ らず、 これ らのラケッ トコントロールがどのように行われているかについては十分に検討されていないのが現状なのである。

(2)

そ こで、本研究 は卓球 の フォアハ ン ドフ リック打法 およびス トップ打法 につ いて、下回転 および無回 転 サー ビスを レシーブす る際の上肢骨格筋 の筋放電パ ター ンを検討す ることを目的 と した。

実験方法

被験者

:某

大学体育会系卓球部 に所属す る男子選手

2名

を被験者 と した。彼 らの うち、

1名

は ペ ンホル ダー、 もう

1名

は シェイクハ ン ドラケ ッ トを用 いる選手であ った。

実験 の手順

:被

験者 に電極 を装着 し、卓球台 に向か って レシーブ位置 に立 たせた。 サーバ ーは 験者 の合図で相手 コー トの指定 されたポイ ン トに指定 された球種でバ ウン ドす るよ う、正確なサー ビスを した。供給 されたサー ビスを被験者 は相手 コー トの指定場所 に予め指定 された打法で レシー ブ した。被験者 にはサー ビスの球種 を事前 に伝 えた。 サー ビスの球種 は下回転 および無回転 の 2 種類 であ り、 レシーバ ーとなる被験者 の打法 はフォアハ ン ドフ リック打法および フォアハ ン ドス

トップ打法 の

2種

類であ った。各球種、各打法 の

4試

行 でそれぞれ 16試 技 を行 い、 その うちサー ビスおよび レシーブが正確 に行 われた試技 の測定 データのみを採用 した。

測定項 目

:本

研究 は レシーブ時の ラケ ッ トコン トロールの特徴 をみ るため、①利 き手前腕 およ び上腕部 にお ける

6部

位 の骨格筋

表面筋電図、②手首 の外 内転、屈 曲伸展 および肘関節 の屈 曲伸展角 度、 の二項 目を測定 した。測定時 に装着 した EMG電 極 お よび ゴニ オセ ンサーの様子 を写真

1に

示 し た。表面筋電図記録 と同時に レシー ブ時のボールイ ンパ ク トを記録 し、

イ ンパ ク ト前後 にお ける筋放電量 の違 いが見 られ るよ うに した。 ま た、各試技 の動作 を ビデオ撮影 し、

サー ビス と レシー ブが条件 どお り であ ったか どうか につ いての判 断 を した。

1)筋 電図   本研究 はフ リック打法およびス トップ打法 の ラケ ッ トコ ン トロールにおける特徴 を 検討 す るため、人体解剖 図 を参照 6)し 、総指伸筋

(M.extensOr digitorum)、

短撓側手根 伸筋 (M.extensOr carpi radialis brevis)、 撓側手根屈筋 (M.flexor carpi radialis)、

上 腕 二 頭 筋

(M.biceps brachii)、

上 腕 三 頭 筋 外 側 頭

(Caput laterale m.tricipitic

brachii)、 および三角筋

(M.deltoideus)を

被験筋 と し、表面双極誘導法 によ り筋放電 を 導 出 した。電極 は直径 12mmの 小型生体電極

(日

本光電 )を 用 い、電極間を約 20mmと し、

消毒用 アル コール綿 および皮膚前処理剤

(ス

キ ンピュア

̲;日

本光電 )で 皮膚抵抗 を十分落

と した後、Zippの 方法 Z3)に 従 って、筋線維 の走行 と一致す るよ うに装着 した。筋放電 アナ ログデー タは時定数 0.03に 設定 した生体用増 幅器

(AB621G:日

本光電 )を 介 し、

Biopac100

(モ ンテ システム製 )を 用 いてサ ンプ リング周波数 l kHzで A/D変 換 され、パ ー ソナル コン ピュー タ

(iMac:Apple社

)に 記録・ 保存 された。

2)関 節角度測定   ゴニオ メー タ (P&Gゴ ニオメータ )を 手首 および肘関節 に装着 し、 レシー

写真

被験者の利き腕にゴニオセンサーおよび

EMG電

極を装着 した様子

(3)

卓球選手 におけるフォアハ ンドフリックおよびス トップ打法 レシーブ時の EMG

ブ動作時における手首の外内転および屈曲伸展な らびに肘の屈曲伸展変化を記録 した。 ゴニ オメータか らのアナログ信号 は筋放電 と同 じ

A/D変

換 システムで筋電図記録 と同時に測定

した。

3)ボ

ールイ ンパ ク ト

 

サーバーのラケ ットおよび レシーバーのラケ ットに加速度計を装着 し、

ス トレイ ンア ンプメータ (DSA605C:Shinkoh)を 介 し、筋放電およびゴニオメータと同 じ

A/D変

換 システムで各パ ラメータとともに測定 した。

4)ビ

デ オ カ メ ラ撮 影

 

実 験 時 にお け る被 験 者 の動 作 を側 方 か らデ ジタル ビデオ カ メ ラ (SONY:DCR―

TRV10)で

撮影 し、後 日、各試技のサー ビスおよび レシーブが正確に行われ ていたかどうかについて、卓球指導者および被験者 において確認 した。

結果および考察

各試行時の成功例か ら1試技を代表的なデータとして選抜 し、 シェイクハ ンドタイプにおけるレシー ブ時の筋電図およびゴニオメータの記録を、サービス直後か らボールインパ ク トを挟んで各試技のお よそ1200msecを 被験筋別に図 1に 示 した。

総キ旨伸筋  (M. extensOr digitorum)  にはい ずれのサー ビス条件 において もイ ンパ ク ト直前 まで顕著 な筋放電が認め られた。 また、短撓側 手根伸筋

 (1/1. extensor carpi radialis brevis)

は下回転サー ビス条件時において顕著 な筋放電 が認め られた。 これに対 し、撓側手根屈筋 (M.

flexOr carpi radialis) 

にはイ

 

ンパ ク

 

ト需商後 に おいて も伸筋 に認 め られた顕著な筋放電 を認め ることはなか った。 この結果 は卓球の ラケ ッ ト コン トロールは手首を背屈 しなが ら尺側偏移 に す る動作が行われ る中でボールを打つ準備が行 われ ることを示 してお り、 ゴニオメーターにも その変化が確認 されている。 また、卓球の場合 は手首での微妙な コン トロールが要求 されるこ とか ら、拮抗的に働 く筋肉において同時に筋放 電が認め られ るよ うな手首の関節固定が行われ ていないとも考え られ る。 しか し、 フ リック打 法においてはス トップ打法よりもわずかなが ら、

撓側手根屈筋 (M.flexor carpi radialis)の 放

電が認め られてお り、 ゴニオメータで測定 された手首の動 きとあわせてみると、 フリック打法の場合 よりも複雑なラケットコントロールが撓側手根屈筋側の制御に関連 しているのではないかと思われる。

特 にゴニオメータの経時変化を見 ると、 フリック打法 においてはイ ンパ ク ト直前か ら掌屈あるいは撓 側偏移方向への動 きが行われる傾向が見 られ、撓側手根屈筋側の微妙な制御 も今後詳細に観察するこ

とが必要であろう。

一 方、 上腕 二 頭筋 (M.biceps brachii)、 上 腕三頭筋外側頭

(Caput laterale mo tricipitic

brachii)、 において も上腕二頭筋のみに顕著な放電が認め られ、肘関節を固定する筋放電 は認め られ

なか った。上腕二頭筋 は無回転サー ビス時により顕著な放電が認め られた。上腕二頭筋は前腕の回外

一                 

︵3

. ︒> E︶ R ヨ 田 騒 述

・・O   m

¨

¨  m

¨

¨ 

¨  

¨

¨

1手首

図 1  シェイクハ ン ドタイププ レーヤの レシープ動作時におけ

EMGお

よび関節角度変化

(4)

時および屈曲時および腕の前傾、内外転、挙上および内旋 に働 く筋であるが、熟練選手 になると卓球 レシーブ時においては相手 に球種を見破 られないために身体全体の動 きを同 じように振舞いなが らレ シーブしてお り

8、

腕の内外転および挙上動作 による筋放電の影響がサー ビスの球種や打法の違いで み られる事 は少ないものと考え られる。 また、肘関節角度の変化か ら、肘関節の伸展時に放電が認め られ、卓球のス トローク動作に関す る先行研究 において レシーブ時は腕の前傾動作が特に必要 になる という知見7)を支持 している。 したが つて、上腕二頭筋および上腕三頭筋外側頭にみ られた筋放電パ ターンは卓球の レシーブ時においては前腕回外および腕の前傾動作に影響を受 けていると考え られる。

特 に上腕二頭筋 は、 ボールの回転および無回転時のラケットコントロール使い分 けに重要に働いてい ると考え られる。 しか し、 レシーブ時のコントロールにおいて上腕二頭筋に重要な役割があるかどう かを明 らか にす るためには円回内筋 の筋放電 につ いて も測定す る必要性 が あろ う。 三角筋 (M.

deltoideus)は 先行研究

7)に

一致 し、イ ンパ ク ト瞬間に一次的に筋放電が減少す る点が特徴的である。

しか し、 三角筋 が微妙 な ラケ ッ トコ ン トロール に どの よ うな影響 を持 って い るか につ いて は肩 関節角度 の変化 や上肢 の動 き全体 の解析 が必要

とされ るので はないか と思 われ る。

ペ ンホル ダー タイプの場合 を シェイ クハ ン ド タイプ と同様 に図

2に

示 した。 総 指 伸 筋

(M.

extensor digitoruIIl)  は シェイ クハ ン ドタイ

:プ

と同 じく、 いず れのサ ー ビスにお いて も顕著 な 筋 放 電 が認 め られ た。 また、 短 撓 側 手 根 伸 筋 (1/1. extensor carpi radialis brevis)  において もシェイ クハ ン ドタイプ と同様 の結 果 が得 られ た。 ところで、 尺側手根伸筋 はサ ー ブ後、最 も 早 い時点 で筋放電 を示 して お り、 レシー ブ時 の ラケ ッ トコ ン トロール に働 く最 も重要 な骨格 筋 の一 つで あ る ことが考 え られ る。 シェイ クハ ン

ドタイプの実験 で は測定 しなか ったが、 今後、

ラケ ッ トコ ン トロール にかかわ る実験 で は必 ず

被 験 筋 とす る必 要 が あ る で あ ろ う。 一 方 、 撓 側 甲 2  ペンホ′ げ ―タイププレーヤのレシープ動作時における

EMGお

よび関節角度変化シェイクハンドタイププレーヤーレシープ時に記録し 手 根 屈 筋

(M.flexor carpi radialis)は

フ リ ッ   た被験筋にカ ロ え、尺側手根伸筋の筋電図記録も行つた 図 の最上段

).

ク打法の下回転サーブ時にのみ顕著な筋放電が認め られた。 この点がペ ンホルダータイプとシェイク ハ ンドとの違いとして考え られるパ ターンであろう。 この結果 と両 タイプの動作 との関連については

さらなる検討が必要である。

ペ ンホルダータイプで も上腕二頭筋

(M.biceps brachii)、

上腕三頭筋外側頭

(Caput laterale m.

tricipitic brachii)に

おける筋放電 に打法、球種 に対応 した シェイクハ ンドタイプの場合 と同様の特 徴が認め られた。すなわち、筋放電パ ター ンか ら、肘関節固定の結果は認め られていないが、上腕二 頭筋 は無回転サービス時により顕著な放電を認めていた。 ラケ ットコントロールヘの上腕二頭筋、上 腕三頭筋の関与はシェイクハ ンド、ペ ンホルダーのタイプを問わず同 じである可能性が高い。 しか し、

三角筋 (M.deltoideus)はシェイクハ ン ドタイプにみ られた顕著な筋放電 はみ られなか った。おそ らく、肩関節の挙上動作が小 さいことが理由ではないだろうか。

フリックス トローク ストップストローク

︵´

一 o>︶ERョ肥騒燿︵鶴︶側颯臓圏  一

辱 1秒響

(5)

卓球選手におけるフォアハンドフリックおよびストップ打法 レシーブ時の EMG

本研究 は卓球のフォアハ ンドフリック打法およびス トップ打法について、下回転および無回転サー ビスを レシーブする際の、上肢骨格筋の筋放電パ ターンを検討することを試みた。 シェイクハ ンドで は卓球の レシーブ時においてはボールの下回転および無回転時のラケ ットコントロールの使い分けに 短撓側手根伸筋が重要 に働いているのではないか、打法の違いは撓側手根屈筋周辺の筋制御に認め ら れるのではないか と考え られた。 これに対 し、ペ ンホルダータイプでは撓側手根屈筋周辺の筋制御に よって球種による使い分 けが行われているのではないか と思われる。 しか し、本研究ではわずか一例 のデータか ら比較検討を しているため、 この違いを明 らかにするためには、例数を増や し、慎重に検 討 していく必要があろう。今後、フリックおよびス トップ打法について、サービスの球種によるラケッ

トコントロールを筋電図か ら明 らかにするとともに、予測のエラーをカバーするラケットコントロー ルに各骨格筋がどのように関与 しているかを明 らかに していきたい。

Racket Controls and EMG Responses in The Upper Limbs during Forehand Flick and Forehand Stop Stroke Receive in Table Tennis Players

Koji Suclynnaa, Kazuto Yosnma, Shin Munnrosnr Abstract

Present study was to investigated EMG responses of upper limb skeletal muscles when receiving a back spin service or float service with a flick stroke and stop stroke in table tennis. Two trained and skilled male athletes from the table tennis team of the university participated in this study. One player used the shake hand grip, and the other used the pen holder grip. They received at a designated area with the flick stroke and the stop stroke.

They reported the kind of service as a the back spin service or a float service before each

trial. EMG and joint angle of their serving arm and wrist was recorded while receiving.

From these results, it is suggested that M. extensor carpi radialis brevis is more effective

in dealing with the kind of service or racket control and the around M. flexor carpi radialis

is more effective in changing the manner of receiving for a player using the shake hand grip. For a player using the pen holder grip, it is suggested that the M. flexor carpi radialis provides more effective control when receiving.

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参照

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