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技術・家庭科(技術分野)の主張

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Academic year: 2021

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技術・家庭科(技術分野)の主張

著者 本部 康司

雑誌名 研究紀要 : 共に創りあげる授業

巻 20

ページ 95‑96

発行年 2020‑03

出版者 静岡大学教育学部附属静岡中学校

URL http://doi.org/10.14945/00027157

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技術・家庭科(技術分野)の主張

本部康司

1 教科で育みたい人間像

技術が発達した現代に生きる私たちは,その価値を便利かどうかという尺度だけで判断することが増え,

構造や原理よりも,使用方法に注目がいくようになっている現状があります。また,技術の複雑化によっ て,生活や社会を支える技術の構造や原理が見えづらくなっていることも,便利至上主義に拍車をかけて いると言えます。現代に生きる多くの人々は,普段何気なく使用している製品がどのような技術に支えら れているかについて,それほど関心を示さなくなっているのではないでしょうか。

技術・家庭科(技術分野)は,自分の生活をよりよくするために,ものづくりなどの実践的・体験的な 活動を行います。そして,ものを製作(制作,育成)する活動を通して,生活をよりよくしようと工夫し,

創造する教科です。自らの生活をよりよくするために,設計や製作,評価などの活動を積み重ねていくと,

「生活や社会を支える技術」へと視点を広げていくでしょう。また,仲間とのかかわりから,多様な視点 を獲得することによって,身近な技術の価値やあり様にまで目が向くようになり,「作り手や提供者の意 図」を模索するようになると考えます。そして,自らの生活に対して,様々な立場から見つめることがで きるようになり,“ 自らの生活の主役は自分である ” という生活者としての意識をより深めていくこと につながっていくのです。以上のことから,技術・家庭(技術分野)では,生活に対して広い視野をもち,

生活の質を高め続けている人,つまり「よりよい生活を営む人」を育みたいと考えます。

2 教科ならではの文化

よりよい生活を送りたいという思いは,いつの時代も変わらないものです。この思いを実現するために,

人は技術を生み出し,技術の力による解決を試みてきました。私たちの生活に存在する数多くの製品やシ ステムは,その証と言えます。それらは私たちのあらゆる要望に応えることができるほどであり,私たち の生活はそれらによって支えられていることは紛れもない事実です。

私たちの生活においても,自分の生活をふり返り,「もっとこうなればよい」「あの場面を改善したい」

などの思いや願いをもつでしょう。これらの問題を解決するための方策を構想し,実際に製作を進めてい くと,「あれ?」「うまくいかない」「どうして?」と疑問を感じる場面と出会います。これらの疑問を解決し ていくことによって,「もっと調べてみたい」「試してみたい」とさらに思いが広がり,調査や実験,試作な どを経て,自分なりの解決策を見いだしていきます。ところが,なかなか解決策が見いだせなかったり,

実際に試してみると思い通りにいかなかったりすることもあります。そのような場面では「あの人はどの ように考えるのだろう」「どのように解決すればよいのだろう」と,仲間とのかかわりを必要とするでしょ う。仲間と方策を検討し合うことで,自分なりの解決策が根拠のある,実現可能なものとなっていくので す。このような技術・家庭科(技術分野)の学びを重ねていくと,私たちの生活を支える技術に対して,

ただ「便利であればよい」でなく,環境への配慮や安全性,使用方法などの多様な視点から見つめ直した り,その技術の有用性を実感したりしていくでしょう。

以上のことから,技術・家庭(技術分野)では, 「思いや願いを具現化するための方策を創造する営み」

を技術・家庭(技術分野)ならではの文化としました。

3 授業づくりで大切にしていること

子どもたちが「技術・家庭科(技術分野)ならではの文化」を味わうためには,自らの思いや願いをも つことが必要です。そのために, 明確な意図をもって題材を選定し,構想することを大切にしていきます。

技術・家庭科(技術分野)では,子どもたちを共通した「場面」に 誘 い,実践的・体験的な活動を進

いざな

めていきます。そのため,授業者は明確な意図をもって題材を選定する必要があります。当然のことなが ら,子どもたちの「生活」はそれぞれ異なっているため,身近な生活や社会に生かされていることも題材 を選定するうえで,重要な判断基準であると言えます。実際の場面を題材にすることによって,それぞれ の生活の様子にかかわらず,子どもたちを学びの場面に 誘 うことができるでしょう。

いざな

題材を構想する際には,子どもたちの思いや願いをつなぎ,形づくっていくことができるようにします。

自らの方策を試し,その結果から再度方策を検討していく活動や,製作する目的に立ち返り,設計を練り 直す活動,模型を製作し,その模型をもとに再び検討する活動などを題材計画に盛り込んでいきます。こ

静岡大学教育学部附属静岡中学校研究紀要(第

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のような場面では,仲間とかかわる活動の時間を十分に設定します。「このようにしたい」「こうすればよ い」などの方策を仲間と吟味し合うことで,新たな視点が得られ,自分の考えをより明確にしたり,深め たりすることができるでしょう。異なる考えをもつ「他者」と意見を伝え合ったり,批判し合ったりする 学び合いを通して,持続可能な社会や誰もが使用しやすいデザインの視点を獲得していくことが期待でき ます。題材をまとめる際には,これまで学んだ技術が身近な生活や社会において,どのように活用されて いるかについて,語り合う時間を設定します。学んだことが,実際の生活や社会に生かされていることを 知った子どもたちは,「別の場面ではどうだろうか」「もっと調べてみたい」という思いを抱くはずです。

このような思いをもった子どもたちは,自らの生活に目を向けるだけでなく,自然と「生活や社会を支え る技術」へ関心を寄せていくでしょう。そして,自分の生活と生活や社会を支える技術を関連づけて考え られるようになり,自らの生活をさらに多様な視点から見つめるようになっていくでしょう。

静岡大学教育学部附属静岡中学校研究紀要(第

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