大学生の健康意識 と生活習慣に関わる心理学的要因について
‑ス トレスの情動反応 と対処行動,主観的健康統制感か らの検討‑
AStudyofPsychologicalFactorsRelatedtoHeal也 AttitudesandL血Stylesof JapaneseUndergraduateShdentsfromViewPointsofEmotionalResponses,
CopingBehaviorsandHealth LocusofControl
弘前大学保健管理セ ンター 高 橋 恵 子
要 旨 :大学生の生活習慣 に関す る意識調査 を行 った結果,ほ とん どの学生は 自らの生活習慣 を望ま しい もの と捉 えてお らず,生活習慣 に対す る評価 は低かった。 自らを健康的でない とす る群では無気力が認 め られた一方で,健康群では他者 に相談 した りリラックスす る等の積極的な健康行動が認 め られた。
適切 な食習慣 をもつ学生 は,抑 うつ ・ 不安,無気力等の陰性感情得点が低 く,ス トレス状況下にお け る感情の抑圧傾 向が少なかった。運動習慣 は リラックスによる対処行動 と関連 した。睡眠習慣 の阻害要 因 としては無力感,怒 り,イ ライ ラな どの陰性感情,お よび感情 の抑圧傾 向があ り,促進要因 としては 人に相談 した りリラ ックスす るス トレス対処があげ られた。 日頃ス トレスが多い と感 じる学生は,少な い と感 じる学生に比べて抑 うつ ・不安,怒 り ・不機嫌,無気力 の得点が高かった。 ス トレスが少 ない学 生は,そ うでない学生に比べて リラ ックスの対処が適切であった。
生活習慣の修正は多 くの学生 に とって動機付 けの難 しさがあるが,身近なス トレス と生活習慣 を関連 づ けた対人援助的な介入 は,健康行動のセル フマネージメン トカ を育成す る有効な手がか りであると考
えられ る。
キー ワー ド :大学生,生活習慣 ,ス トレス
は じ め に
生活習慣病 は,食習慣 ,運動習慣 ,休養等の生活習慣 がその発症や経過に関与す る疾患群 と定義 され る 1 ) 。病因は生活習慣 と危険 因子が複合的 に関与 し,個人の 日常的な健康行動 と深 く関わっている。
経過は潜行的,慢性的で,生活習慣病は最 も生産的で活動的な中高年期の労働力を損な うため社会経済 的損失に及ぼす影響 も大 きい。 日々の生活習慣 は洗顔や歯磨 きな ど日常の中で 自然 に行 われ る生活行動 であるため,幼少時か ら身 につ けた習慣 の修正 は容易ではない
2)。一方で実感の乏 しい若年層 に生活 習慣 を見直す動機付 けを行 うことは難 しい との課題がある。 これ よ り本研究では,大学生 を対象 に した 食事,運動,睡眠な どの基本 的生活習慣 に関す る意識調査 を行 った。 あわせてス トレスや主観的健康統 制感 な ど個人の健康行動 に関わ る心理社会的要因を検討 し,今後 の健康教育支援の指針 を得 る。
生活習慣病 と心理社会的ス トレスに関す る先行研究
3)4)において,疲労感が高い任期制雇用者 は
5),
総 コレステ ロール増加 な どの生活 習慣病の増悪傾 向を示 した
6)。 また うつ気分は飲酒,喫煙 ,不適切
な運動習慣,食習慣 と関連 し
7),冠疾患の発症や予後に影響 を及 ぼ した
8)0 Takeuchi9)は女性の大 う
つ病者 において喫煙率が高い ことをあげ,喫煙行動の コン トロール には対象者の気分 に配慮 した対応が
必要であることを述べた。 さらに社会的支援 の乏 しさは冠疾患の危険因子 と関連 し
10㌦ ス トレス対処 としての リラクセーシ ョン法 の指導 によ り心臓疾患 リスクが低減 した と報告 してい る
11)。永野
12)は 社会的支援 と癌疾患 との関連 について,形式的な婚姻状況 ( 配偶者 の有無)は必ず しも羅患 リスクと関 連 しなかったが,当事者 が これ らの社会的支援 を,主観的に どの よ うに感 じてい るかが疾病の予後 と関 連す ること, さらに信頼 できる相手か らの支援 は良好な影響 を及ぼす ことを示 した0
これ らを踏まえ,本研 究では大学生の健康意識 と生活習慣 の実態調査 に基づ く健康行動の促進 ・阻害 要因を分析 し,心理社会的な健康教育的介入 の方策 について検討 を行 った。
方 法
1
.被検者
対象は大学生
113名 ( 男性24 名,女性89 名 )で,平均年齢は2 1
.0±1
.44歳であった。
2.調査項 目
( 1 )健 康意識 ,ス トレス 自覚 お よび生活習慣 につ いて
健康意識,ス トレスの 自己評価 は,村井 1 3 )の質問項 目にもとづいて作成 された。健康意識 について は,普段 の健康状態 について 「とて も健康 だ と思 う」 , 「 健康 だ と思 う」, 「 あま り健康 ではない」, 「 健 康でない」のいずれかひ とつを,ス トレス 自覚については 日常ス トレスが多い と感 じているかについて
「 ほとん どない」,「 少 ない方」, 「 多い」, 「とても多い」のいずれかひ とつ を選択す るよ う求 めたO 生活習慣 に関す る調査 は,厚生科学特別研 究事業 「 健康 E ] 本
21」計画策定に向けた調査票例
14)を参 考 に作成 した。調査項 目は食習慣 ,運動習慣 ,
睡眠習慣 について, 「 は
い」, 「 いいえ」の2件法 によ り回答 を求めた。 さらに生活習慣 の 自己評 価 については, 「 生活習慣 に関心 を持 ってい る か」 , 「自分の生活習慣が望ま しい ものだ と思 う か」,「 健康のため生活習慣 を乱 さない ように生 活 してい るか」の3 問で , 「 全 くそ うでない」 , 「 あ ま りそ うでない」, 「 かな りそ うだ」, 「 非常にそ
うだ」の4 件法 によ り回答 を求 めた。 ( 表1 )
(2)ス トレス情 動反応 につ いて
ス トレス情動反応 については 日常の主要な心 理的ス トレス反応 を測定す る
Stress Response Sccale‑1815)を実施 した。本尺度 は抑 うつ ・不 安 ,怒 り ・不機嫌 ,無気力 か らな る
3因子
18項 目で,回答者 の負担 も少 な く,複数の尺度 を組 み合わせ た調査や繰 り返 し測定に適 した信頼性 と妥当性 を備 えている。回答 は 「 全 く違 う」 , 「 い くらかそ うだ」, 「 まあそ うだ」, 「 その通 りだ」
の4 件法で,それぞれの選択肢 に1 点,2 点,3 点,4 点 を与え得点化 した。
表
l健康意識及びストレス自覚.生活習慣に関する調査項目
A.健康意識
自分は普段健康だ と感 じていますか
B.ス トレス 自覚
日常ス トレスが多い と感 じますか
C.
生活習慣
〔 食習慣〕
1. 自分 の食生活は良い と思いますか
2.
栄養 のバ ランスを考えて食事 を していますか
3.普投朝食 を食べていますか
4.三食 きちん と食べ るよ うに していますか 5.
よく間食 をす るほ うですか
6.脂肪分の多い食事 を好 んで食べますか 7.濃い味付 けの もの を好んで食べますか
8.牛乳や乳製 品 (ヨー グル ト,チーズな ど) を気 をつ けて
食べていますか
9.豆類や大豆製品 (
豆腐 ,納豆 など) を気 をつけて食べて いますか
10.
野菜 を気 をつけて食べていますか ll.果物 を気 をつけて食べていますか
〔 運動習慣〕
1. 日頃 か ら健康維持 ・増進 のために意耗的 に体 を動かす よ うに心がけていますか
2. 1
日
30分以上の運動 を
遇 2回以上行 っていますか
3.運動 は健康 のために必要だ と思いますか
〔 睡眠習慣〕
1.睡眠 によって休養 が十分 にとれていると思 いますか
2.荏,寝付 きが悪 くて困 っています か
3.
早朝 に 目が覚めることが よくあ りますか
4.眠 りを助 けるために,アル コールや睡眠薬 を用いること
があ りますか
D.
生活習慣 の 自己評価
1. 自分の生活習慣 に関心 を持 っています か
2.あなたの生活習慣 は望 ま しいものだ と思いますか
3.日頃か ら健康のため生活習慣 を乱 さないよ うに生活 して
いますか
(3)
ス トレス対 処 行 動 に つ いて
ス トレス対 処行動 の尺度 につ いて は,ス トレス対処チ ェ ック リス ト
16)(「 ス トレスマネ ジ メン ト教育
」 17)に一部 改変 して掲載 され た もの) を参考 に作成 した。本 尺度 は,相 談,問題 焦点対処 , リラ ックス,感 情抑圧 ,傷付発 散 の5 尺度 か らな り,各尺度4 項 目ずつ の計20 項 目か ら構成 され てい る。 回答 は 「 全 くし ない」, 「あま りしない」, 「 少 ししてい る」, 「 す ごくしてい る」 の4 件 法 に よ り,得 点 はそれ ぞれ の選択 肢 に1 点,
2点,3 点,
4点 を与 え算 出 した。
(4)
主観 的健 康 統 制 感 に つ いて
健康や病気 の原 因に関す る信念体系 を指す主観的健康統制感 尺度
(HealthLocusofControlScales:以下
HLC尺度)
18)は,健康行動 に関す る ローカス ・ オブ ・コン トロール ( 統制 の位 置) を測定す るもの で ある. 下位 尺度 は,健 康 を 自分 の行動 の結 果 である とす る 自分 自身 因子
(Internal‑HLC)のほか家族 因子
(Family‑HLC), 専 門家 因子
(Professional‑HLC), 偶 然 因子
(Chance‑HLC),超 自然 ( 神 仏 )因子
(supematura1‑HLC)の5 因子 で ある。本 尺度 は各因子5 項 目ずつ の計25 項 目か らな り,回答 は 「 そ う思 わない」, 「どち らか とい えばそ う思 わない」, 「どち らか とい えばそ う思 う」, 「 そ う思 う」 の4 件 法で, それぞれ の選 択肢 に1 点
,2点,3 点
,4点 を与 え得点化 した。
3.
手続 き
調査 は,大学 の授業時間 の一部 を使 って配布,回収 し,無記名 を前提 に実施 した。
結 果
1
.健 康意 識 お よび生 活 習慣 の 自己評価 につ いての分 析
健康意識 , ス トレス 自覚,お よび生活習慣 に関す る 自己評価 が,ス トレス反応や対処行動 とどの よ う な関連 を もつ か分析 を行 った。健康意識 につ いては 「とて も健康 だ と思 う
」と 「 健康 だ と思 う
」を健康 群 , 「 あま り健康 ではない」 と 「 健康 でない」 を不健康群 に分類 した。健康群 は全体 の71. 4 %,不健康群 は
28.6%で あった。 日頃のス トレス 自覚 につ いては 「 ほ とん どない」,「 少 ない方」を低 ス トレス 自覚群 ,
「 多 い」 と 「とて も多 い」 を高 ス トレス 自覚群 とした。低 ス トレス 自覚群 は全体 の
41
.6%,高 ス トレス 自覚群 は5
8.4%で あった。
また生活習慣 の 自己評価 につ いては,各項 目につ き 「 全 くそ うで ない」 と 「あま りそ うでない」 を生 活習慣 の低 自覚群 , 「 か な りそ うだ」 と 「 非常 にそ うだ」 を生活習慣 の高 自覚群 とした。 さらにす べて の項 目の得点 を合計 した総合点 の平均値 に よって,被検者 を生活習慣総合得点の低 自覚群 と,高 自覚群 に分類 した。 分析 は上記 の健康意識 ,ス トレス 自覚,生活習慣 の 自己評価 それぞれ につ いて,高群 ,低 群 の間で ス トレス反応 お よび対 処行 動 の得点 に差異が認
め られ るか否 か
t検定 を行 った。
( 1 ) ス トレス情 動 反 応 との 関連
①健 康 意識 :自 らを健 康 的 と感 じてい る健康群 は,無 気力得 点 が有 意 に低 く ( i(
110)‑2.1,9(.05) ( 図1 ),ス トレス反応 の陰性感情合 計得 点 が有意 に低 か った ( i( 80) ‑
2.0
,9(.05)
0② ス トレス 自覚 :日頃 ス トレス を感 じる こ とが多 い高 ス トレス自覚群は,抑 うつ ・不安得点 ( i
(109)‑5.3,9(.001 ),
17
無 気
16.5 力 慧 1615.5 15 14.5
健康群 不慮康群 く り く
05)図
1健康群・ 不健康群における
無気力得 点
怒 り・ 不機嫌得点
(i
(108)‑3・0,9く
.01 ),無気力得点
(i(110)‑4.3,9
(.001 ),陰性感情合計得点 ( i
(108)≡5.3,
♪く
.001 ) が有意 に高 い こ とが示 され た。
③ 生活 習慣 の 自己評価 :生活 習慣 の 自己評価 とス トレス反応 との 間 に有意 な 関連 は認 め られ な か っ た。
(2)
ス トレス対 処 行 動 との 関連
①健康 意識 :自らを健 康 的 と感 じてい る健康群 は,相談得 点が有 意 に高 く ( i(
109)‑2.0,9(.05) (図
2), リラ ックス得 点が有意 に高 かった ( i(
109)‑2.2,9(.05)0
② ス トレス 自覚 :日頃 ス トレス を感 じるこ とが少 ない低 ス トレス 自覚群 は, リラ ックスの対処行 動得 点が有意 に高 か った ( i(
109)‑2.8,9く
.01 ) ( 図3) 0
12.5
相
談 12得
点 11.511 10.5 10
健康群 不健康群 く りく
・05)図
2健康群・ 不健康群における
相 談 の 対処 行 動得 点
リ
ラ
ック ス 得 点
8低ス トレス群 高ストレス群(+ *〆・ 0
1)図
3ス トレス自覚の低群 ・高群における
リラ ックスの対処 行動得点
③生活 習慣 の 自己評価 :生活習慣 に関心、 を持 ってい る群 は,持 っていない群 に比 べて,問題 焦点対処 の得 点
(i(110)‑3・1,9く
・01 ),お よび リラ ックスの対処行 動得 点
(i
(109)‑2.4,♪く
.05)が有意 に高 かった。 また 日頃 か ら生活習慣 を乱 さない よ う生活 してい る群 は,そ うでない群 に比 べ て問題焦 点対 処 の得 点
(i(110)‑2.0,9く
・05),お よび リラ ックスの対処行 動得点 ( i(
109)‑2.3,9(.05)が有意 に高 か った。
生活 習慣 の 自己評価 総合 得 点 の高群 は,低 群 に比 べて問題 焦点対 処 の得点が有意 に高 (
(i(110)=2.6,
9く
・05), リラ ックスの対処行 動得 点が有意 に高い傾 向にあった
(i
(109)‑1
.9,9く
.10)02.
生 活 習 慣 得 点 につ い て の 分 析
食 事,運動 ,睡眠 に関す る生 活 習慣 の得 点 につ いて は, 「 はい」 に1 点 , 「 いい え」 に0 点 を与 えて そ れ ぞれ得 点化 した。得点化 は生活 習慣 の望 ま しい方 向に
加点 され ,食 習慣 の
5,6,7項 目,睡眠習慣 の
2,3,
4項 目は逆転項 目とした。 また食 事 ,運 動 ,睡眠習慣 を総合 した生活 習慣合 計得 点 を算 出 した。 分析 は 上記 の生 活 習慣 得 点 の高群 ,低 群 で被 検者 を2 群 に分 け,
両群 間で ス トレス反応 お よび対 処行 動 の得 点 に差異 が認 め られ るか否 か
t検 定 を行 った。
( 1 ) ス トレス情 動 反応 との 関連
①食 習慣 :三食 をきちん と食 べ ,野菜 や果物 を食 べてい るな ど望 ま しい食 習慣 を もつ高得 点群 は,低得 点群 に比べ て抑 うつ ・ 不安得 点が有意 に低 い傾 向にあ り
(i(96)‑1
.8, 9
く.
10),無気 力得 点 が有 意 に低 く ( i( 1
10)‑2.1,9く
.05), ス トレス反応 と しての陰性感 情合 計得 点 が有意 に低 か った
陰
性
感情
得点
98
7644
44食習慣高群 食習慣低群 ( りく ・ D 5 )
図
4食習慣の高群 ・低群におけるス トレス反応 と しての陰 性感情合計得 点
(
i
(108)‑2.2,9
〈.05)( 図4)
o②運動習慣 :運動習慣得点 とス トレス反応 との関連 は認 め られ なかったo
③睡眠習慣 :睡眠 に よって十分休養 が とれてい るな ど望ま しい睡眠習慣 を もつ高得点群 は,低得点群 に比べて怒 り・ 不機嫌得 点が有意 に低 い傾 向にあ り
(i
(108)=1
.7,9〈.10),無気力 が有意 に低 く( i(
110)≡ 2.6,♪
〈.01),ス トレス反応 としての陰性感情合計得点が有意 に低かった
(i
(108)‑2.4,♪
〈.05)o
④総合生活習慣 :生活習慣合計得点の高得点群は,低得点群 に比べて抑 うつ ・ 不安得点 ( i (
109)‑2.3,♪〈.05)お よび無気力得 点 (i(110)‑2.6
,♪〈.05) が有意 に低 く,ス トレス反応 としての陰性感情合計得 点が有意 に低 かった
(i
(108)‑2.4,9(.05) 0
(2)
ス トレス対処 行 動 との関連
①食 習慣 :三食 をきちん と食べ,野菜や果物 を食 べてい るな ど望 ま しい食 習慣 を もつ高得点群 は,低得点群 に比べ て感 情 抑圧 の対処行 動 得 点 が有 意 に低 い傾 向 にあ った
(i
(110)
‑1
.7,♪
〈.10)0②運動習慣 :日頃か ら運動 してい るな ど運動習慣 がある 高得点群 は,低得 点群 に比べて リラ ックスの対処行動得点 が有意 に高かった
(i
(109)‑2.3,♪
〈.05)( 図5) .
③ 睡眠習慣 :睡眠 に よって十分休養 が とれてい るな どの 望 ま しい睡眠習慣 を もつ高得点群 は,低得点群 に比べて相 談の対処行動得 点が有意 に高 く
(i
(109)‑3.4, 9(.001 ), リラックスの対処行動得点が有意に高い傾 向にあ り
(i
(109)‑
2.0,
9(.
10),感 情抑圧 の対処行動得 点が有意 に低 か った
(i(110)‑3.1,♪く
.01 ) ( 図6)
Q④総合生活習慣 :生活習慣合計得点の高得点群 は,低得 点群 に比べて感情抑圧 の対処行動得点 が有意 に低い傾 向
(i(110)
‑1
.9,♪く.
10)に あ り,傷付発 散型 の対処行動得 点が有意 に低かった
(i
(111)‑2.2,9
(.05)。
3.
主戦 的健康統 制 感 につ いての分析
HLC
尺度得 点 とス トレス情動反応 お よび対処行動 との
リラ
ッ ク ス 得 点
15051019L一■i感
情抑 圧 得 点
運動習慣 高群 運動習慣 低群 ( +Pく
105)図
5運動 習慣 の高群 ・佐井 にお ける
リラックスの対処行動得点
睡眠習慣 高群 睡艦習慣 低群 (
H Pく・01)図
6睡 眠 習慣 の高 群 ・低群 にお ける
感作抑圧の対処行動得点
相 関分析 を行 った。 そ の結果,
HLCと情動反応 に有意 な相 関は認 め られ なかった。対処行動 との関連 につ いては,内的統制 を示す 自分 自身 因子
(Int
ema卜HLC)が,問題 焦点型 の対処行動 と有意 な正の相 関 を示 した (
r‑.25,9く
.01 )o また健康 は家族 の援助 に よる と促 える家族 因子
(Fami ly‑HLC)は,相 読
(r‑.28,♪く
・01 )お よび リラ ックス
(r‑.32,♪く
.01)の対処行動 と有意 な正 の相 関を示 した。考 察
1
.大学 生 の健 康 意 識 とス トレスの 関連
青年期 はライ フサイ クル か らみて一般 に身体的健康度 の高い時期 にあるが, 自分 自身を健康 的 とみな
す か ど うかはまた別 な問題 であ る。本調査 において 自分 があま り健康 的でない と感 じる学生 は全体の3
割程度, 日頃か らス トレスが多い と感 じてい る学生は全体の6 割 に認 め られた。 また これ らの健康意識 と関連す るス トレス情動反応 としては,無気力があげ られた。大学生の健康感 を損なってい る要因 とし ては物事 に自信が持てなかった り根気が続かないこと,一人でいたい気分な どといった漠然 とした孤立 感や無気力感が大きかった。一方で 自らを健康的 とした学生 は,ス トレス状況 において友人や身近な人 に相談 した り,肩や体の力 を抜 くリラックスな どの積極的な健康行動をとることが示 された。 このよ う な相談や リラ ックスの対処行動は,同時に健康統制感 としては, 自らの健康 が家族や身近な人々によっ て支 え られているとす る他者‑の良好 な信頼感 と関連 した。総 じて,大学生の健康意識 は周囲 との信頼 関係 に裏付 け られてい る一方で,不健康群には孤立的で無気力的な背景因子が認 められた。
2.
ス トレス 自覚 と情 動 反応 お よび対処行動 との関連
日頃ス トレスが多い と感 じる学生 は,少ない と感 じる学生 に比べて抑 うつ ・ 不安,怒 り・ 不機嫌 ,無気 力の得点が高かった。交流分析ではス トレス状況下で繰 り返 し出現す る不快感情 をラケ ッ ト
19)と呼び,
この不快感情は生活習慣 のセル フコン トロールの阻害要因 とな る。本研究 において,ス トレス 自覚の高 い学生が抱える陰性感情は, ラケ ッ ト同様心身の健康管理 を損 な う恐れがあると考えられ る。
一方でス トレス 自覚の少 ない学生は,そ うでない学生 に比べて よくリラ ックス してお り,肩や体の力 を抜 き 自分 にプラスのメ ッセージを送 るな どの適切 なス トレス対処行動を とっていた。身体か ら入 る リ ラクセーシ ョンは学生のス トレス 自覚 を低減 させ る有効 な対処方法である一方で,学生全体か らみ ると 普及度 は低い。今後の健康教育活動の課題のひ とつ と考 えられ る。
3.
生活習慣の評価 と行動変容ステー ジモデル
生活習慣‑の関心、 は,関心のある群 とない群がほぼ同数であった。ほ とん どの学生は 自らの生活習慣 を望ま しい もの とは捉 えてお らず
(86%),生活習慣 に特 に注意 を払 っていなかった
(73%)。本結果 を
Pr∝hask
aと
DiClementeの行動変容ステージモデル
20)に照 らす と,ほ とん どの学生は動機付 けに乏 し い初期 ステージにあることが考 え られ る。各ステージにおける介入効果 を上 げるためには,それ ぞれの ステージ レベルに応 じた動機付 けを行 う必要があ り,特に初期 ステージにおいては対象者のニー ズに適 さない情報 は単純 に拒否 され る可能性が高い.そのため,大学生の個人的,世代的,社会的ニー ズに照 らした健康教育的介入 を行 うことが求め られ る。
本結果か ら考慮 され るべ きニーズは,学生のス トレス 自覚の高 さである。現在未発症の生活習慣病を 直接的に扱 うことに比べ,ス トレスを手がか りとした健康教育的介入 を行 うことは学生のニーズによ り 即 した対策であると考 えられ る。 また本結果か らは,学生たちが どの ようなス トレス対処を得意 とす る かの視 点 として,問題焦点型対処や相談のアプ ローチがあげ られた。健康面のセル フコン トロール を促 す にあたっては,相談活動のなかで支持的に学生たちと関わ り具体的な問題解決 を行ってい く工夫があ げ られ る。
4.
大学生の生活 習慣 に関わ るス トレス情動 反応 と対処行 動
食事,運動,睡眠は健康 の基本的要因で,望ま しい食習慣,運動習慣,睡眠習慣は個人の健康 を支え
る基盤 とな る。
Smithら
21 )は,高血圧男女の うつ症状が,運動や減量指導 によって軽減 され た ことを
示 した。本研究では適切 な食習慣 をもつ学生は,抑 うつ ・不安,無気力な どの陰性感情が少 な く,感情
の抑圧傾 向が低かった。青少年期 に好発す る摂食障害は,周囲に過剰適応 し自らの気持 ちを抑圧す るい
わゆるイイ子が特徴 である。 また摂食行動 は学生たちの身近なス トレス解消の手段で もある。食 生活 の 改善 には,ス トレスに関わる感情体験 を考慮 した対応 が必要 と考 え られ る。
また運動習慣 は リラ ックスの対処行動 と関連 した。行動変容ステー ジモデル によれば運動習慣 の確 立 は準備期以降の後期 ステー ジにあた る。 自律 的な健康習慣 の獲得 に リラックスは促進的 に働 き,健康 の セル フマネー ジメン トに望ま しい相乗効果 をもつ と考 え られ る。
さらに睡眠習慣 の阻害要因 としては無力感 ,怒 り,イ ライ ラな どの陰性感情,お よび感情 の抑圧傾 向 があ り,一方 の促進要因 としては相談や リラ ックス といったス トレス対処があげ られた。情緒的な ソー シャルサポー ト‑の信頼感 は,睡眠習慣 に とって も促進的に作用 した。身近 な人 に相談 し,また 自らが
リラ ックスす ることは,全般的なセル フケアに望ま しい影響 を及 ぼす結果 と考 え られ る。
鰭 舌 口 五 口
本研究において,大学生の健康意識 を損 なってい るもの としては無気力 な どの陰性感情があ り, これ らは食事や睡眠等 の生活習慣 の乱れ と関連 した。無気力 はセル フケアのモチベー シ ョンを低 下 させ ,新 たな健康行動 の習得 を阻害す ることか ら,陰性感情 の コン トロール は行動変容に とって きわめて重要 な 課題 である。
学生の多 くは健康的な生活習慣 を獲得 していない現状 にあった。ス トレスは生活習慣 に比べて大学生 が 自覚 しやす い要因であることか ら,健康教育的支援 においてス トレス対処 を取 り入れ たアプ ローチは 有効 な方略である. と同時 に, ソー シャルサポー トは大学生の適切 な健康行動 を支 える重要な要因である
と考 え られ る。
健康教育においては, 日々の生活 を自律的 に望ま しい方 向‑ と変容 してゆ くセル フマネージメン トカ が求 め られ る。一方,長年習慣化 され た行動の変容 は容易ではない上に,健康行動の動機付 けに乏 しい 若者世代 においては,一般知識 の伝 達や啓蒙だけでは十分な効果 が期待 され ない。 自律 的な行動変容 を 促す ためには,行動変容 ステー ジに即 した対象者‑のきめ細かなアセ スメン トや継続的な支援 が必要で
ある。今後 さらに健康行動 を促進す る心理社会的要因について検討 を深 めたい。
文 献
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6
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