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PENICILLIUM CHRYSOGENUM の 含水炭素に就いて (‖)

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(1)

27

糸状菌の含水炭素に関する研究(第三報)

PENICILLIUM CHRYSOGENUM の

含水炭素に就いて (‖)

森  田 栄 太 郎

Studies on the Carbohydrates of Molds佃)

On the Carbohydrates of Penicillium Chrysogenum(H)

厄ZαroルfORτr.4

    Astudy of the carbohydrates was made by exa二nining the body of PeniciUium    ・h・y・・9・num・xtra・t・d hy m・th・n・1・h・t w・ter・dilut・N・OH・nd・・ncent・at・d    HCI in turn. Glucose, galactose and ribose were found in the soluhle part of    methano1, and a sort of galacto−mannan was found in the soluble part of hot    water by the method of paper chromatography. Glucosane and gluco−manno・

   galactane were found in the extract of dilute alkaline solution and chitin was    found in concentrated HCL These three polysaccherides are considered to    constitute the celLwall.

 著者は先に1)PeniCillium ChrySOge皿mの菌  等糖類の存在はなお・検討の余地があると思 bれ 体にmannitOI, erythritO1及び91yCerOI等の  るが,この菌体に含有されてV・るものと考える。

糖アルコールが含有されてV・ることを認めて報告  糸状菌の骨酪物質とレてchitinが存在すること したが,更に菌体構成含水炭素にっいて定性的研  は,PrOSkUriakOW7)やIterSOn等8)によつて発 究を行つて91ucose, galactose, ribose及び膜  見されており高等植物の膜質構成々分と差異の 質構成多糖としてchitinの存在することを確認  あることが認められる。この外にPeniciUium

したので報告することにする。      ChrySOgenUmは水溶性のgalaCtO−mallnanとア  糸状菌がmannito1を含有することは古く    ルカリ可溶性のglucosane及びglucose, mann・

BraCo皿Ot2)によつて認められ田中等3)は稻胡肺  OSe及びgalaCtoSeよりなる多糖を含むことが判 葉枯病菌の生長に件うmannitolの消長を研究し  つた。この三つのヘクソーズを生する多糖は前 てこの糖アルコールは一種の貯藏性物質である  報1)でペプタイドと混在状態で取出されたもの としてV・る。91ucoseやfructoseは稻熱病菌4)や  と同一物質と思われ一種の膜質構成多糖と考え 稻胡廊葉枯病菌3)のような他の糸状菌にも含有さ  る。

れているが,galactoseやriboseが遊離i状態で

       実 験 の 部自然界に発見された例は少く林等5)は数鍾の果実

及び野茱に含有されてV・る含水炭素を研究して    この実験に使用したPenicillium cbry80ge−

riboseの存在することを報告しており,叉著者6)  numは三菱化成工業株式会社のペニシリンエ場 はパルプ製造の際に生ずるスライムの含水炭素を  の培養濾過菌体で濾過後の経過時間の詳細は不明 研究して遊離状態のgalactoseを認めたのでこれ  であるが比較的新鮮なもので,次分15.03%,

 1)森田,日化 73,909 (昭27)     5)林,多田,西京大報 1,156 (昭29)

 2) Bracolmo†, Ann. chim.(1)79,265(1811) 6) 未 発 表

 3) 田申,依田, 日化73,8 (昭27)   7)Proskuriakow, Biochem. Z,167,68(1926)

 4)森国, 目化 74,50 (昭28)      8) Iterson, Meyer, Lotmar, Rec. trav. cbim・55,61(1936)

(2)

28       一森田栄太郎一

80%メタノール可溶性還元糖0・20%,澱粉加水分   験では非糖成分の影響によつて分雛不完全でRf.

解の条件で加水分解される貯藏性糖5・18%を含ん  0・17,0.18及び0.19に相当する部分はV、すれも でいる。この菌体3259(乾燥重量として719)を  91ucoseとgalactoseが検出されたので合して 純メタノール1・500c・c・に一一週間,次に80%メタノ  再沈澱による精製を行つた。即ち溶液にメタノ_

一ル1・000c・c・に更に一週間室温で浸漬放置して,  ルを添加し最初に生する微量の物質を別ち更に 抽出液を減圧濃縮して約50c・c・としこれに5倍  メタノールを加えて生成する多量の沈澱を別けた 量の酒精を加え・生する小量の友白色沈澱を別  が,この沈澱(1)のメタノールより再結晶ものは ち更に濃縮し同様操作をなお一一回繰り返して約  M・P・165°Cで市賑mannitolを再結晶した純品と 60c・c・の抽出液を得た。この抽出液はFehling  混融しても融点の降下を認めない,叉この結晶の 溶液を還元し・叉その一部を12%塩酸溶液として  paper chromatographyは第1表(1)に示す 蒸溜すると溜出液はオルシンー塩酸で青色,酢酸  通りでAniline phthalateでは発色せずアンモ アニリンでは顕著な赤色を呈しペントーズの存  ニア性硝酸銀で発色し,そのRf.値はmannitolと 在することは明かである。この溶液はaniline  −一致するのでmannito1であると確認した。そ phthalateの呈色反応も陽性でありButano1−Py一  の全牧量は約300mgで乾燥菌体の0.42%に該当 工idine−Water(3:2:1・5)及びPheno1(20%含  する。 (1)の結晶を濾別した濾液(2)について 水)を展開溶剤として二次元paper chromato−  paper chromatographyを行うと第2表(2)に示 graphyを行うと,第1図に示すようにglucose,  すようにButano1−Pyエidine−Water, Butano1一   第1図m・・h・n・1可溶部のP・、・・、,h。。m。・。9。am  Aceti・A・id−W・ter及び含水Ph・n・1の3種の

47

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     −一㍗1β轡当㊨ 芸1㌶慧蕊::蕊㍑㌘

      Spray, aniline phthalate       の抽出液にphenylhydrazine−HC1と酢酸ソー

      ;:雛禁《1認霊,,・ ダを加麟麟上に禰して生するオサゾンをピ

      3・赤色スポツト・ib・se       リジンより再結晶したもののM.P.は163〜167。C galactose及びriboseに相当するRf・の位置にス  である。この溶液に含まれたペントーズはd−rib.

ポツトを示す。そこでこの溶液50c・c・(全還元糖  oseであると考えられる。叉この菌体のメタノ として約120mgを含む)を径7cm.の濾紙15枚  一ル抽出液はニンヒドリン反応陽性で, Butanol一 に浸み込ませ風乾した後700枚の濾紙を用V・パイ  Pyridine−Water及びPheno1を展開溶剤として ルとしてButanol−Acetic Acid−Water(4:1:  paper chromatographyを行V・発色させるとV、

2)溶液を滴下展開しaniline phthalateによ  すれも5個のスポツトが認められるからアミノ酸 る呈色によりRf・0・17,0・18,0・19及び0・32に相  の混在が明かである。

当する部分をそれぞれ10枚づっをとり溶剤を除   メタノールに不溶の菌体559はエーテルで8時 去した後それぞれ水で抽出して濃縮した。この実  間抽出して脱脂した後熱水で3時間づっ5回抽出 溶剤を使つた場合いすれも2個のスポツトを与え そのRf・値は別に対照として展開した91ucoseと galactoseに・一一致する。 To11ensの方法に従つて

(2)に比重1・15の硝酸を加え沸騰浴上に加熱濃 縮して放置し析出する結晶を濾過水洗し炭酸ア

ンモニアのアンモニア溶液に溶解し沸騰浴上で乾 洞し,冷却後再び硝酸を加え生する結晶の融点を 測定すると211〜213°Cを示し粘液酸に一一致す るので(2)にgalactOSeが含有されてv(ること は確実である。クロマトパイルでRf.0.32に相当 する抽出液(3)をpaper chromatographyにかけ ると第1表(3)に表示したように3種の溶液とも

(3)

一 糸菌状の含水炭素に関する研究(第三報) −       29

第  1  表

1

2

3

am【【ユoniacal

 AgNO3

aniline phthalale aniline phthalate

備    考

Bu†aロol−Py主idine−Water

 3 : 2 : 1.5

Rf.

0.37

0.33     0.36

0.53

glucoseのRf.0・37

galactose 〃   0.33 ribose    〃   0.54

mannitol〃  0.37

Bu†ano1−Acetic Acid−Wateτ   4 : 1    : 2

Rf.

0.18

0.18     0.16

0.30

gbcoseのRf. 0.18

galactose 〃   0.16 τibose     〃    0・31

ma皿ito1 〃 0.18

PhenoI H2020%

Rf.

0.34   0.37

0.57

glUCoseのRf.0.34 galactose〃  0.37 ribose   〃   0.56

し塩基性酢酸鉛で腕蛋白し硫化水素で脆鉛後減圧  溶解し濾液に酒精を加え酒精濃度を40%とすると 濃縮して約50c・c・としこれに酒精を濃度50%とな  白色の沈澱を生する。これを更に3%NaOHに溶

る迄加え析出する無機物質を除去し,液に更に酒   解し酒精による沈澱を繰り返して最後に稀塩酸を 精を加え少量の白色の沈澱を得た。75%酒精濃度  含む50%酒精で洗糠すると,NO.51%,友分0.

で再沈澱したものはaniline phthalate,アンモニ  26%を含む物質が得られる。このものは熱水に不 ア性AgNO3及びnfnhydrineで発色しなV・が,4  溶でありオルシンー塩酸及び酢酸アニリンによる

%硫酸で100〜150°Cで6時間が水分解し硫酸根  ペントーズの定性試験は陰性である。4%硫酸で を除して減圧濃縮した液はaniline phthalateに  12時間100〜105°Cで加水分解すると, aniline よる発色反応は陽性となり,そのpaper chroma−  pllthalateに陽性となりpaper chrolnatography tographyは第2表のように対照として展開した  でglucoseのみの含有されてV・ることが確かめら mannose及びgalactoseによく一致する位置にス  れた。この分解液を更に5時間同様に加水分解し ポツトが現われるのでもとの含水炭素はgalacto一  てもglucoseのみを生するから5%NaOH可溶性 mannanと推定される。       の多糖類は一種の91UCosaneであろう。5%Na一

      第 2 表        OH抽出液より91u…aneを濾

溶       剤 Butano1−Pyridine−Water   3 : 2  : 1.5

Phenol(H20  20%)

発色剤 aniline phthalate

同 上

Rf.

0.33  0.42

0.36

備    考 m蹴moseのRf.0.42 galac†os〃 0.32 mannoseのRf.0.36 galactose 〃  0.36

%,次分3ユ3%を不し∋

4%硫酸で加水分解する        第 3 表

別した酢酸々性溶液に酒精を加 え濃度50%で沈澱する少量の 物質を分ち更に酒精を加え生す る沈澱を4%硫酸で100〜105

°Cで12時間加水分解したもの は,第3表に示すようにgluco一

と還元力を示すが主成 分は蛋白質であろうと思 われる。5%NaOH抽出 液を同様に酢酸々性とす ると沈澱が得られこの 沈澱を再び3%NaOHに

溶        剤 Butano1−Pyridine−Water   3 : 2  : 1.5

Pheno1(H2020%)

発色剤 aniline pbthalate

同 上

Rf.

0.30  0.35  0.40

0.33  0.38

備    考 galactoseのRf.0.31 91UCose   〃  0.35

mamユose 〃 0.39 91ucoseのRf.0.34 mannose及び

galactoseのRf.0.38

(4)

30       

一森田栄太郎一

と91ucose, mannose及びgalactoseを生するニ  フエノールを溶剤とした場合はRf.値は文献値と つの区分のあることを認めた。         大差があるがこれはPartridge9)が指定してV・る  NaOH抽出残渣は氷冷した飽和塩fヒ水素溶液に  ように溶剤と塩を生成するためで叉ninhydrine 浸漬し濾過後水申に注入すると沈澱物が得られる  を発色剤とした場合に尾を引くのも同様な原因に が,この沈澱はなお91UCosaneの残存することを  よるものと考える。この濃塩酸抽出部の含水炭素 示したので,10%NaOHと2回煮沸して91ucosane  はchitinであることが明かになつた。先の91uc一

を除去し反復洗瀧してアルカリを除き0・1%KMn・  osane及び91uco−manno−galactaneと共に膜質 04で漂白,蔭酸で漂白剤を分解し洗瀧して僅か  構成多糖と考えられる。

に黄色を帯びた沈澱物を得た。牧量は原乾燥菌体

に対して約2%であり,N5.2%,友分1,01%を        要    約

含む。この沈澱物を濃塩酸に溶解し湯浴上で温め   Pellicillium chrysogenumの菌体をメ、タノー て加水分解した後水で稀釈し骨炭で脆色し減圧濃  ル,熱水,アルカリ溶液及び濃塩酸を使つて順次抽 縮して放置すると結晶が析出する。80%酒精より  出して菌体を構成する含水炭素を研究した。メタ 再結晶して得られる白色の結晶はN6・30%で,   ノール可溶部にはglucose, galactose及びribose Fehling溶液を常温で還元するが,α一naphthol  が含有されており,水溶性部には一一種のgalacto一 試験は陰性で,そのpaper chromatographyは  mannanの存在することを認めた。アルカリ抽出 第4表の通りで対照とした91ucosamine−HC1と  部に含まれている一種のglucosane及び91uco−

aniline phthalateを発色剤としてもninhydrine  manno−galactane,濃塩酸抽出部に含有されてV・

を発色剤としても一一致するから,ここに得られた  るchitinはこの菌体の膜質構成多糖と考える。

結晶はglucosamineであることは明かである。   終りに御指導を賜つた京都大学田中正三教授並       第  4  表       ぴに菌体を御世話下さ

         B田ano1−Pyridine−Water

      Pheno1 色   Rf.

 剤 Rf. Rf.

・・ili・・ph由・1…1  ・・28  1  …6

・i・h・d・i・・

@1  ・・28  1  …7・

備 考1・1・c・・ami…HC1のRf二・・281・1・…ami⊇C1のR£・.・7

れた三菱化成工業株式 会社黒崎工場の森部長 に深甚な謝意を表す

る。

(昭和28年9月25日日本化 学会九州支部常会発表)

・印はスポツトが上方に尾を引いてし、る。       9)Pa・t・idg・・Bi・ch輪        J.42,238 (1948)

参照

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