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員        親子関係と子どもの自己活動(4)

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(1)

茨城大学教育学部紀要(教育科学)32号(1983)129−145       12g

員        親子関係と子どもの自己活動(4)

遊び 概念の輪郭と質問形式の検討

中原 弘之*・神永 典郎**・高橋 利明**・石川 和則**・川上 鉄夫**

酒寄 洋子**・塚田 貴史**・名田久美子*㌔杉山  操**・高橋由美子**

        **       **      **       **

ャ倉美智子      ・柴山 照美       ・藤沼  浩      ・渡辺 信之

(1982年9月30日受理)

The Effects of the Parent−Child Relationships on the Children s Self−Activity(4):The Outline of the Conception of Play and the

Investigation of the Type of Questionnaire.

       *      **       **

giroyuki NAKAHARA  Norio KAMI面AGA       Toshiaki TAKAHAsHI

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Takashi TsuKADノ* Kumiko NADXI* Misao SuGIYAMノ*

       **       **

@      Terumi SHIBAYAMズ*Yumiko TAKAHAsHI      Michiko OGuRA

Hi…hi FuJ INpMオ*N。b。y。ki WATANA。♂*

(Received September 30,1982)

Abstract

This report is a pa互t of a series of resealch into the correlations between parents,      ・ rea血lg behavior and children s selfactivity. The purpose of this paper is to estabhsh the new

way of asking sゆjects in the questionnaires to investigate the conception of play ,一一giving play or study to the su句ects instead of play or non−play . With the results of this new type

of questionnajle, we analyze both paτents, and primaly scnool chn(11e血,s consciousness toward p1ay, comparing the conception of play, with that of study,. Our data show the

diffbrence of the conceptio血between parents alld chndren, and the e脆ctiveness of our new       「

method.

*茨城大学教育学部教育心理学研究室 Department of Educational Psychology, Faculty of Education, Ibaraki University.

**茨城大学教育学部 遊び ゼミナール  Play Seminer, Faculty of Education, Ibaraki University.

(2)

1. ま  え  が  き

われわれは先行研究1) 2) 3) 4) 5)を通して,子どもの日常行動のうちで,一般に 遊び と認 知される傾向の強い行動と,反対に 勉強 とか 学習 として認知される傾向の強い行動とが類 別され,あわせて行動の主体者が満足なのか不満足なのか,行動の所産が生産的なのか非生産的 なのかによって,遊びであるかどうかの判断が複雑に変化することを明らかにしてきた。

このような満足性と生産性の関与を 遊びの二重構造性 と呼ぶことにしたが,子どもの日常行 動に対して,それが遊びかどうかを親が認知する場合に,常に満足性と生産性との基準が一貫し ているという保証はない。したがって,子どもが同じ行動を行っていても,親による容認行動が,

その都度ばらばらであり,そのために子どもの 遊び 概念も,親と類似した内容であることが 予想されうるのである。

遊び についての認知内容は個人差がある上に,個人内においてさえ一貫性の程度が異なって いる。そこで,子どもの遊びに対する親の概念の広さの程度,親の容認度,そして親の判断の一 貫性の程度,などの諸変数を独立変数に位置づけて,従属変数としての児童行動との関連性を分 析することの意味がますます高まった。

しかしながら,従来われわれが用いてきた質問形式は,「遊び・遊びでない」であり,これと

「遊び・勉強」という質問形式による結果とが同じであるかどうかは未知数のままである。そこ で「遊びでない」ことの概念の内容が,何を意味するものであるかを分析し, 遊び 概念をより 一層明らかにしておく必要があろう。また,この作業を試みることは,質問形式のあり方を再吟 味するための有効な資料を得ることにもなるので,今後のわれわれの研究方法の確立をめざすた めにも,質問形式の検討を試みたいと考えている。

2.研 究 の 目 的

一般に 遊び に対する認知が多様であることから, 遊び 概念を把握するための質問形式に よって,回答者からの反応が大きく変化することが予想される。従来,「遊び・遊びでない」と いう質問形式で研究をすすめてきたが,「遊びでない」という反応が 勉強 を意味しているかど うかは明らかではないし,「遊び・遊びでない」よりも「遊び・勉強」の形式の方が,判断の上 でより抵抗なく行われるのではないであろうか。今回は, 遊び の対概念としての 勉強 を導入 して新しい質問形式を準備し,方法の吟味とあわせて 遊び 概念の検討を試みることが目的で

ある。

3.研 究 の 方 法

3−1 調査の内容

調査の内容は,質問形式の再吟味と合わせて, 遊び 概念と 勉強 概念との関連性を分析す

(3)

中原ほか:親子関係と子どもの自己活動(4)       131

るため,表1のように,①「遊び・遊びでない」②「勉強・勉強でない」③「遊び・勉強」の3 種類の質問形式を設け,さらに,それぞれに対して,修飾語のあるものとないものを準備した。

項目はすべて,先行研究で用いた20の日常行動項

目(遊び項目 P 項目と勉強項目 S 項目各々10    表1 質問形式の記号 項目)に基づき,6種類の調査用紙を子ども用と親用

に分けて準備した(付表1〜4参照)。両者の項目は, 質問形式 修飾語 付表に示すように,文章表現上の差はあるが,内容は

ワったく同じである。また,項目への修飾語の付加は,

遊び・遊びでない P

先行研究と同様に,満足を表す修飾語(SA)と,不満 勉強・勉強でない S

足を表す修飾語(UnsA)の各々10項目ずつである。 遊び ・勉強 PS

さらに,親用の調査用紙には,後の分析の手掛りと して,回答者と子どもの出生順位を記入してもらうよ

うにした。なお,便宜上,「遊びでない」と判断される項目を,勉強項目 S 項目と呼ぶこと

にする。

3−2 調査の対象

6種類の調査用紙に対して,各々異なった調査対象から回答を得るために,大規模な学校を必 要とし,この条件に該当する茨城県水戸市立吉田小学校の全面的な協力の下に,全学年1,685名 の児童とその保護者を対象として実

施された。なお,同胞が2名以上在    表2 調査対象の学年・学級と配布した調査用紙 校している場合は,高学年の児童の

親 ・ 児 童 みを対象とした。調査対象と調査用

      組紙との内訳は表2のようになる。し   学年

1 2 3 4 5 6 7

たがって,6種類の調査用紙に対す     ユ S

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る回答者は,いずれも独立である。       2

@3−3 調査の手続と期日 S

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P 本調査の実施は,1981年11月で     3 S

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P

ある。児童に対しては,担任の教示     4 S

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によって学校で実施され,保護者に       5

ホしては,調査への依頼文を添えて

S

PS

P

P 自宅に配布して回答を求め,数日後     6 S

PS

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に学校に回収した。

なお,児童と保護者の回答を対応

させるために,出席番号の記入を担任に依頼した。

4.研 究 の 結 果

児童L662名,親1,631名のデータが回収され,このうち記入もれがあるカードはすべて無

(4)

効カード(Dカード)とし,有効データのみをTANACカードに,親と子が対になるように転 記した.転記の内容は遊び得点と勉強得点(2・の働囎のうち,P◎PS・⑱につい ては,獅・を選択した数を遊び駄s・⑤については, 勉強 を選択した数を勉強得点と

し,それぞれ0〜20点に得点化した)と,選択された項目(通過)を記入した。

有効データの内訳は,表3に示す通りである。親のデータについては,父親による回答数が少 なかったため,母親の回答のみについて集計を行うこととした。有効データの回答数に対する割 合は,児童94.9%,母親66,3%である。

まず,児童については男女別,母親    表3 調査の対象 については男児の母親・女児の母親別

に,各々20の行動項目の通過率の算 児   童 母   親

出を行った。以下表1に示した6種類 男児の 女児の

      記 号の調査用紙別に得られた結果をまとめ

母 親 母 親 てみることにしょう。      p 228 211 439 146 148 294

4−1 122 111 233 72 80 152

「遊び・遊びでない」の質問形式に    S 124 llO 234 84 82 166 おいて 遊び という判断率を各囎  ⑤ 129 110 239 93 84 177

別に集計し,かつ子どもの回答に基づ

PS ヱ24 119 243 85 91 176 き最も 遊び 判断率の高い項目から

順に酉己列しなおして図示し酷果力㍉  ㊥ 95 94 189 56 61 117

図1−1,図1−2,図1−3,図1一    計 822 755 1577 536 546 1082 4である。以下の図は比較の便宜上,

すべてこの配列順序によって示すこと

にする。

i)修飾語のない場合 修飾語のない20項目に対する子どもと母親の 遊び 判断率を示すと,

図1−1と図1−2のようになる。

図1−1から,子どもの 遊び 判断率の特色を見てみると,判断率の高い順に配列された項目 によって,連続した段階的な低下の傾向が認められる。これは,先行研究で認められた結果と極 めて近似している特色である。次に図1−2から,母親の20項目に対する 遊び 判断率も子ど

もの 遊び 判断率と類似しており,また,子どもの場合と同様に先行研究の結果とも近似して いる。これによって,この形式による判断率のステレオタイプは,ほぼ図1−1,図1−2によっ て代表されることが明らかになったといえよう。     .

li)修飾語のある場合 満足を表す修飾語(SA)と不満足を表す修飾語(UnsA)を伴う20項 目に対する子どもと母親の 遊び 判断率を示したものが,図1−3と図1−4である。

図1−3から,子どもの場合,上位10項目(遊び項目: P 項目)ではSAを伴うとき著し 遊び 判断率が高いが,UnsAを伴うときは判断率が反対に著しい減少を示している。した がって,修飾語のない項目に対する反応と比較すると,行動の主体者である子ども自身の満足度 が高ければ,・遊び・であるという判断が高くなり,不満足であれば判断率も低下するといえよう・

(5)

中原ほか 親子関係と子どもの自己活動(4)       133

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(7)

中原ほか:親子関係と子どもの自己活動(4)       135

また,図1−4から母親の場合についても子どもと同じ特色が指摘できる。

次に,下位10項目(勉強項目: S 項目)の場合は,修飾語のない項目に対する反応と比較 してみると,母子ともにSA, UnsAいずれの場合でも 遊び 判断率が一様に上昇している。と りわけ,SAを伴う項目は,極めて判断率が上昇している。この点は P 項目の場合と異なる

S 項目の特色である。

なお,「みんなで七夕の飾りをはしゃぎながらつくる」の項目については,特異な判断率を示 しているが,これについては5−2において詳述する。

4−2「勉強・勉強でない」(S・⑨)につし・て

「勉強・勉強でない」の質問形式において 勉強 判断率を各項目別に集計し,図示した結果が,

図2−1,図2−2,図2−3,図2−4である。

i)修飾語のない場合 修飾語のない20項目に対する子どもと母親の 勉強 判断率を示すと,

それぞれ図2−1,図2−2のようになる。

子どもの場合,図2−1から P 項目に対する 勉強 としての判断率は少なく S 項目に対 する判断率は一様に高率を示している。また, P 項目と S 項目に対する判断率に顕著な段 差が認められる。

そこで,もし「遊びでない」が勉強を意味しているのであれば,図2−1の判断率は図1−1と は逆の連続した段階的変化を示しながら高まっていくはずである。このような点から「遊びでな い」という概念が 勉強 と異った内容であることが推定されうる。

母親についても図2−2から子どもに関して指摘したことと,ほぼ類似の特色が認められるが,

P 項目に対する 勉強 判断率は子どもより高い判断率を示していることが大きな特色である。

ii)修飾語のある場合 図2−3,図2−4はSAとUnsAを伴う20項目に対する子どもと母 親の 勉強 判断率をそれぞれ示したものである。

まず,図2−4によって母親の方から特色をとらえてみよう。修飾語のある項目では P 目のSAを伴う項目は, UnsAを伴う項目に比べて 勉強 判断率が著しく高い。子どもの場合は 図2−3に示すごとく母親の場合ほど顕著ではない。このことから,子どもよりも母親の方が行 動の所産について判断の基準を求める傾向が強いことがうかがわれる。このことは,修飾語のつ いていない項目の反応と一貫した特色といえよう。

一方,子どもの S 項目について図2−3をみると,SAを伴う項目は著しく 勉強 判断率が 高いのに対してUnsAを伴う項目は低い。このような判断傾向は図2−4の母親についても同様 に指摘できる。UnsAが伴うことによる生産性の低下が判断に影響を与えているようである。

なお,「みんなで七夕の飾りをはしゃぎながらつくる」という項目については,ここでも特異 な判断率を示しているが,これらについては5−2において述べる。

4−3「遊び・勉強」(PS・㊥)につし・て

「遊び・勉強」の質問形式において 遊び という判断率を各項目別に集計し,図示した結果 が,図3−1,図3−2,図3−3,図3−4である。

i)修飾語のない場合 修飾語のない20項目に対する子どもと母親の 遊び 判断率を示すと,

図3−1,図3−2のようになる。まず,図3−1から子どもの 遊び 判断率は P 項目と S 項目との間に著しい段差がみられるが,この傾向は先にみた図1−1において認められる連続し

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中原ほか:親子関係と子どもの自己活動(4)       137

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中原ほか:親子関係と子どもの自己活動(4)       139

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(12)

た段階的変化の傾向とは著しく特色を異にしている。

一方,図3−2では,母親の 遊び 判断率も P 項目と S 項目との間に段差を認めるこ とはできるが,図3−1ほど顕著ではない。また,図1−2と比べてかなり類似した傾向のみら れることが指摘しうる特色である。

したがって,子どもの 遊び 判断と母親の 遊び 判断との間には,質的な違いがあると思わ れるが,これらについては5−1において詳述することにしたい。

il)修飾語のある場合 図3−3,図3−4は, SA, UnsAを伴う20項目に対する子どもと母 親の 遊び 判断率を示すものである。この2つの図で P 項目をみると,SAを伴う項目も,

UnsAを伴う項目も,母子ともに 遊び 判断率が等しく高いことが認められる。

次に S 項目については,母子ともにSAを伴う項目においては, 遊び 判断率が比較的低 く,UnsAを伴う項目では高いといえる。

なお,ここにおいても見られる「みんなで七夕の飾りをはしゃぎながらつくる」の項目による 特殊性についての検討は5−2において扱うことにする。

5.結 果 の 考 察

5−1  遊び 概念について

5−1−1「遊び・遊びでない」(R(D)について

4−1で指摘したように, P 項目にSAを付加した場合 遊び 判断率が高まり,逆にUnsA を付加した場合 遊び 判断率が低下するという傾向がある。これは 遊び についての認知にお いて行為者自身の満足度が高ければ,それは 遊び と判断される傾向があると考えられる。この ことは,母子共通の傾向である。ここに, 遊び についての認知における根拠のひとつが浮かび 出ている。ところが S 項目では,SAを付加した項目の 遊び 判断率の増加とともに, UnsA を付加した項目でも増加がみられる。これは,前述の満足性の基準とともに,無駄な活動は遊び だとする生産性の基準が作用していると考えられる。この結果は,先行研究でも指摘した「遊び の二重構造性」が,今回も支持されたことになるであろう。

5−1−2「勉強・勉強でない」(S,⑤)について

図2−1をみると P 項目と S 項目の 勉強 判断率は,明確な差を示している。ここで,

もし図1−1で子どもが「遊びでない」と判断したものが「勉強」を意味するとするならば,図 2−1では図1−1とは逆の傾向をたどりながら, 勉強 判断率の段階的な高まりが見られるは ずである。ところが P 項目と S 項目との間には 勉強 判断率の差があるので,子どもの 場合「遊びでない」という概念の内容は,必ずしも 勉強 と同一の内容ではないと思われる。

この傾向は,母親についてもほぼ同様に指摘できるが,特に母親の回答では P 項目を と判断する傾向が子どもより多い。これは母親が子どもの行為の中に,何らかの生産的な意 味を見出そうとするためだと考えられ,母親は子どもよりもはるかに生産性の基準に支配されて いると考えられる。また,このことはSAを付加した P 項目において著しい 勉強 判断率を 示したことからも十分推測できる。

(13)

中原ほか:親子関係と子どもの自己活動(4)       141

子どもは,母親ほどSAを伴った P 項目を 勉強 と認知する傾向はないが,それでもわず かに 勉強 回答が増加している。ここにみられる母親と子どもの差によっても,子どもより母親 の方が生産性の基準に支配される傾向のあることが知られよう。

ところで,UnsAを伴った S 項目は,非生産的な結果を招くことが予想されるので,生産 性の基準から 勉強 判断率が低下しているが,ここではさらに,不満足な行為も 勉強 である という判断が混在しているため,極端に低い 勉強 判断率にはならなかったものと考えられる。

5−1−3「遊び・勉強」(PS・㊥)}・ついて

図3−1,図3−2によれば,子ども,母親ともに結果が非常に類似しており P 項目と S 項目の差が著しい。この傾向は,図1−1,図1−2において認められた段階的変化とは特色を 異にしている。これは前にも指摘したように,「遊びでない」という行為が 勉強 であると単 純には言えないということを端的に示している。ところが,このような子どもの特色に対して,

母親の場合を図3−2によってみると,先の図1−2とかなり類似した傾向が認められる。これは 図2−2が図1−2の逆の傾向を示していることと考え合わせると,子どもの 遊び 判断と母親 のそれとの間には,かなり質的な差のあることが予想される。すなわち母親は子どもに比べ「遊 びでない」という行為を 勉強 と判断する傾向がみられるということである。

㊥では,子ども栂親もSAを南囎・U・・Aを伴う囎のいずれについても・従来の

P 項目に対しては一様に高い 遊び 判断率を示し, S 項目については低い値を示している。

特に S 項目において,SAを伴った S 項目が 遊び 判断率において低い値を示している という傾向は,生産性という基準で 遊び か 勉強 かを判断する傾向の強いことを物語ってい るものといえよう。

5−2 質問項目について

4の研究の結果において指摘したように,「はしゃぎながら」という修飾語を伴う行動項目の 反応は,いずれの質問形式においても特異な傾向を示している。この「はしゃぎながら」は,先 行研究において意欲的な活動を示す修飾語として S 項目に付加されたものである。この修飾 語の付加に対するわれわれの予想として1ま,◎については齪性の判断基準1・よる 灘判断 ヲの若干の増加⑥については生離の半1断基準による 勉強 判断率の増加・そして㊥では・

満足性と生産性の2つの基準によって相殺されて,修飾語そのものの効果が弱まるであろうと考 えられた。

しかし,回答の結果によれば,「はしゃぎながら」という修飾語は,行動の満足性や生産性を 意味するものとして認知されず,非生産性,非能率性につながる不真面目な状態として認知され たようである。従って,◎では著しい 遊び 判断率の増加逆に⑨では勉強 判断率の麟 な減少(子どもの場合のみ),そして,⑱では◎と同様の遊び 判断率の増加がみられた・

しかし⑤の場合,母親の回答において,rlましゃぎながら」という修飾言吾の有無・かかわら ず,高い 勉強 判断率が見られる・また,㊥の母親の回答でも⑤と同様に子ども1詑の変 化は見られなかった。このことは,5−1でも述べたように,母親が子ども以上に,生産性の基 準に基づいて判断するという傾向を反映したものと考えられる,従って,この修飾語については 新たに検討を加え,修正を行うことにした。

(14)

5−3 質問形式について

今回の研究においては,3−1で述べたような3種類の質問形式で調査を行った。回答の傾向 を見ると,P・◎については「遊びでない」の概念が多義であり,このため回答者の判断が不 続になるという傾向がある・s・⑨では・判断基準を・「勉強・勉強でなし・」とすることにょ って,回答者の概念が比較的一義的になり,安定した判断が得られることを見出した。しかし,

母子間の判断傾向に著しい差が認められた。結局,母親も子どももともに,最も判断基準が安定 し,反艦果が近似してい頒問形式は,ps・㊥であった・このことから, 遊び ど勉強 とを対置して回答を求めることが最も好ましい方法であると考えられる。

6.結   論

小学生とその母親からの回答に基づく分析によって,次の諸点が明らかにされた。

i)子どもの日常行動の中から選んだ各10項目の P 項目 S 項目に対する反応は,今回 も同じ認知傾向が得られた。

ii) 「遊び・遊びでない」形式の場合,回答者は行為者の満足性に着目して判断する傾向があ り,SAを伴った項目は遊び判断率が高く,UnsAを伴った項目は著しい低下を示す。この 傾向は母・子ともに類似している。

liD 「勉強・勉強でない」形式の場合,回答者は行動の所産に着目し,生産性の基準で判断す る傾向があり,SAを伴った項目への 勉強 判断率は高い。生産性の基準に支配されるのは,

子どもより母親の方がはるかに大きい。

lV)「遊び・勉強」形式の場合,回答者は P 項目と S 項目に対する弁別が容易であり,

P と S の項目群の 遊び 判断率は明確な差が認められる。また,子どもの場合,「遊 び・遊びでない」形式の判断傾向と「遊び・勉強」形式の判断傾向と異なっているので,

「遊びでない」の概念内容は 勉強 とは異なるようであるが,母親の場合は,両形式の判 断傾向が類似しているために,「遊びでない」は 勉強 とほぼ同義に判断しているものと 思われる。

V)修飾語に一部修正を必要とするものが見出されたが,「遊び・勉強」形式が最も妥当な形 式であると考えられる。

1)中原弘之「子どもの遊びと親子関係(1)」『日本教育心理学会第20回総会発表論文集」(1978),pp.304

〜305.

2)中原弘之「子どもの遊びと親子関係(2)」 『日本心理学会第42回大会発表論文集』(1978),pp.906〜907.

3)中原弘之「子どもの遊びと親子関係(3)」 『日本心理学会第45回大会発表論文集』(1981),p。433.

4)中原弘之他「親子関係と子どもの自己活動(2>  子どもの遊びに対する子どもと親の意識  」

「茨城大学教育学部紀要(教育科学)」30,(1981),pp.107〜122.

(15)

中原ほか:親子関係と子どもの自己活動(4)       143

5)中原弘之他「親子関係と子どもの自己活動(3) 子どもの遊びに対する親の意識と子どもの行動  」

『茨城大学教育学部紀要(教育科学)』31,(1982),pp.169〜184.

〔後 記〕

今回は,調査計画の上で大規模学校を対象とすることがどうしても必要となり,1,000名以上 の児童数を持つ小学校の中から,水戸市立吉田小学校のご協力を得ることにした。所文雄校長を はじめとして,全校あげてのご好意によって,調査が順調に遂行されたことは大きな喜びである。

研究者一同深く感謝申し上げる次第である。また,今回の調査の集計段階までゼミナールのメン バーであった信田貴子,結城恭子両氏の努力に対しても,メンバー一同謝意を捧げたい。

なお,本研究の一部は,日本心理学会第46回大会(1982)において中原弘之が発表した。

(16)

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参照

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