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確かな学習の成立を図るための評価のあり方

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(1)

確かな学習の成立を図るための評価のあり方

附属小学校教育評価研究部*

(1981年10月31日受理)

1 は じ め に

附属小学校においては,昭和54年度から昭和56年度の三年間,「一人ひとりをきたえる授業の 計画と実践」を研究主題として実践を積み重ねてきた。

一年次,「基礎基本をおさえた確かな学習指導」,二年次「授業をどう変えるか」,三年次「確 かな学力をめざす授業計画」と言う研究テーマを設定し,教科の授業に焦点を当て,一人ひとりの 子どもの成長を具体的な姿としてとらえ,確かな学習の成立を図る研究に取り組んできた。

研究組織の一つである教育評価研究部においても,この研究主題テーマを具現化するために,

一年次,評価の意義と本質,評価活動の場(教師の評価,自己評価,相互評価との関連性),評価 を支える要件など,評価にかかわる基礎的研究を基盤に,教師や子どもによる評価はいかにあるべ きかの追究としての「きたえにつながる評価の工夫」,二年次は,授業をかえるための「授業構成 のみなおし」と相候って,真に,きたえにつながる評価のポイントはどこにあるのか,どこを,ど のようにおさえ,変えれば,客観性や信頼性に支えられた確かな評価がなされるのか,具体的な授 業実践研究を通して, 「評価の質的吟味」を追究してきた。三年次はこれらの研究の成果をふまえ,

目標・内容・評価が一体化した活動を構成し,その過程で,変容していく子どもの姿や力を的確に とらえ,指導即評価の考えに立って,更に指導の手だてを講じようとした「子どもの変容が期待でき る評価」と言う研究テーマを設定し実践を積み重ねてきた。

評価は,いかに指導目標に近づけるかという視点に立って,子ども一人ひとりをどう伸ばすかの ためにある。したがって,あくまで教師の指導の適否に対する反省としてあり,それによって授業 内容や方法が工夫され,継続していくところに大きな意義がある。この基本をふまえて授業をみつ めると,一般に評価を意識的に組み入れた学習指導案は少ない。目標の到達度をどう評価するか事前 に計画的に位置づけたり,学習の展開過程の中で素早く評価したり,一人ひとりの変容をどのよう にとらえ指導改善の手だてをとるかを吟味することが,授業をかえる大きな要素となろう。

とくに強調したいのは指導過程としての評価である。評価の観点,場面,方法,つまり「何で」

「いつ」「どのように」評価するかを明確に位置づけたい。また,教師,自己,相互の各評価は何 かも明らかにして授業計画に組み入れるようにしたい。いわば,評価の分野から授業をみなおすこ とによって学習の形態や方法がかわることを期待したのである。ただこの面が過大化すると評価の ための授業が先行して,授業の流れや授業における情緒面が阻害されるおそれがあることに留意し たい。したがって評価の観点を明確にするとともに,教林構造化の中にも正しく位置づけて,それ

* 本稿のまとめには五島光治があたった。

(2)

それの役割を明らかにしておく必要がある。さらに,授業過程では,学習の取り組み方,学びとり 方,考え方などにも目を注ぎ,形に残らない子どもの学習に比重をかける必要があろう。そのため に,評価の方法は単純明確をモットーにして,容易に評価できる工夫の研究が大切になる。

子どもの変容をみるとき,欠かせないのは記録である。一人ひとりの学習の歩みが明らかになっ たり,総括的に把握できる累積した記録が必要になる。これは指導過程における評価の記録ととも に車の両輪的存在であって授業を設定するときの基礎となる。

以上のような視点に立って,学習活動そのものが評価の観点や場となり,一人ひとりの変容をと らえ,指導の手だてが考えられる評価の立場から見る授業の構成を究明してきた。

2 評価の問題点と取り組み方

教育評価研究部で,研究をすすめるにあたって今までの評価に対する見直しが行われ,次のよう なことが問題点として浮び上がった。

。 各教科の特性をふまえた評価の工夫がなされてよいのではないか。

内容教科と技能教科に分けて考えた場合,内容教科においては,基礎的,基本的なものの習得 は不可欠であり,習得状況が明確になる評価方法の工夫,技能教科では,基礎的,基本的内容を 押えて,個人差(能力差,体力差)を見きわめた評価方法の工夫,さらには,実践的,体験的な 学習過程に注目した評価場面の工夫がなされなければならないであろう。

。 対象を分析的に行えば,客観的にしかも正確に測定できるのか。

各教科間,観点毎に関連する事柄の把握と子どもの姿一応用力・実践力としての生きて働く 力としての見きわめ→個々の成果の総合力としてとらえていく事が大切であろう。

。 測定可能なものに限定されてよいのか。

知識理解ばかりではなく,思考力や態度を的確に測定することも大切であろう。それなしに 個の総合力を評価することはできない。

。 他者との比較,相対評価でよいのか。

できるものとできないものの既習状況に個人差が出る。体力差からくる個人差もあるので,個 の歩みをみつめる事が大切になる。

。 全て点数で表示されることに問題はないだろうか。

具体的に言葉で表現することも大切であろう。

。 一人ひとりの確かな学習の成立がどの程度までなされているのかのとらえ方が明確でない。

客観的な評価より,教師の主観や全体的な学習の雰囲気としてとらえられがちであった。

。 学習過程の中で,一人ひとりの理解や見方,考え方,技能や態度をどのような観点から評価し たかにあいまいさがある。

。 評価が子どもの活動から遊離してなされ,子ども自らが,見きわめ,きたえていく活動が少な く,学習の過程での子どもの変容がとらえにくかった。

以上のように評価に対する問題点をとらえ,その改善のための取り組み方として

(1)各教科とも新しい教育目標に基づいて行なわれているのかどうかの評価をする。

・共通にねらわれていることの達成を確実なものとする評価の工夫。

(3)

・指導計画がねらい通り行なわれたか,その立案と改善。

(2)分析された側面のみでなく統合された側面についても評価する。

・教科のねらいを明確にし,分析的評価を強調すると共に,教科や教科内の基礎的・基本的 事項の諸観点を押え,それらを補充・応用・発展・実践する力,言いかえると,学校生活 の充実,三領域の成果としての統合力として育成(生きて働く力)する場,発揮する場の

設定。

(3)過程と成果の両面評価で,学習への積極的な取り組みを可能にし,成果に満足感を持てる ようにする必要がある。

・学習過程の中で自ら積極的に取り組める場の工夫と学習の方向の修正。

・学習の成果として,一人ひとり形あるものにし,達成感満足感,意欲づけをする。

(4)知的側面とそれを支える学習の方法,意欲取り組み方も対策とする。

の4点を研究を進める視点として考えた。

3 授業構成と評価活動 1.子どもの変容が期待できる評価

目標・内容・評価が一体化した活動を構成し,その過程で,変容していく子どもの姿や力を的 確にとらえ,更に指導の手だてを講じようと考えた。

子どもが学習問題をとらえ,解決の見通しを立てて,やってみようとする意欲を持って取り組 んだ姿,その取り組み方は,本時の学習の診断的な評価の意味を持つ活動であるといえる。

予想したり,試したりする活動を通して表現されたものによって,子どもの見方,考え方,扱 い方が明確にとらえられるわけである。この姿や力が,子どもが学習問題を解決していく過程,

即ち,子どもが教材を追究していく過程で,どのように変容していくのかをとらえることなので ある。更に子ども自らがく取り組む〜確かめる〜修正する〜確かめる〜取り組む〉きた えの活動の過程で,より深いものへ,より高いものへ,より難しいものへ,より複雑なものへと 発展していく変容のようすもとらえることができると考える。

ここで考えておかなければならないことは,子どもの変容をどのようなスケールでとらえるか である。教科や内容によって異なるのは当然であるが,質的なとらえ方,量的なとらえ方がなさ れるように,指導計画や授業構成の段階で,何を,どこで,どのようにとらえるのかを明らかに

しておくことが大切である。

その結果,子ども自らが,子ども相互が,教師が,つまづきをとらえた場合には,自分の力で,

子ども相互が,教師が手だてを構ずることができなければならないのである。

ここに,表現される活動を工夫する必要性があり,的確に変容をとらえることにより,適切な 手だてが構じられ評価即指導の考え方が具現されるわけである。

子どもの変容を期待できる評価のあり方を追究する時,それを促すことのできる授業構成は,

学習の目標とかかわる本質的な内容を備えた教材を用意し,子どもの活動意識に支えられて,子 どもが教材を追究する過程〜子どものわかり方〜<学習問題をっかむ一一予想する・試行す る一確かめる一取り組む一わかる・できる〉等を考え,一単位時間を前提とし単元,題材

(4)

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w習問題をっか    目標にかかわる活動をする  確かな力が定着する

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分析的に

部分的に      (過程を)        (成果を)    (総合的に)

ひとりが  ・全体的に評価でき,活用できる個票

・評価場面の構成

のまとまりも同じように考え,授業の全把握が必要になる。そこで授業構成を次のようにとらえ てみた。

2.授業をつくる

指導がなされる場合には,いつでも,一人ひとりの子どもにこんな力を身につけようとするの だという評価を見こして行われる.即ち,一時間の学習,単元・題材の学習を通して,こんな子 どもの姿に変えるのだとして,ねりきたえの場を設定し,一人ひとりの変容を確かなものにして いこうとするならば,授業構成は変ってくるはずである。

目標・内容の分析をし,明確に具体的に把え,目標にせまるための評価の観点を吟味する。そ れらを,どんな場で,どんな方法で,どんな物で,どんな活動を通して,子どもとかかわらせて,

単位時間,単元,題材の中に具現していくのか,何をもって確かな力を評価するのか。まさに,

全体的総合的な考えに立った授業構成がなされなければならない。

(1)評価の観点をどうとらえるか。

学習主体者である子どもを,目標まで到達させるためには,学習の目標,内容を分析し,細 分化された学習要素や指導事項との関係を把握し,構造化を図る必要がある。こうして構造化 された目標は,「何を,どの程度まで,どうする」というように,子どもの学習の成果が具体

的な行動として表現できることが大切である。このような目標,内容の分析や表現によって,      鰹

学習の順序や系統,重点が明らかになり,更に,評価のための観点が明確に位置づけられてく るものである。

この評価の観点を明確にすることによって,一人ひとりが,課題を自分のものとしてとらえ,

その解決のために主体的に取り組む活動の段階での,課題のとらえ方,取り組み方,解決のし 方はどうかを,学習者である子ども一人ひとりが確かめられる〜お互いに確かめられる〜

教師も確かめられる場を構成することが容易にできる。

(5)

。評価の観点のとらえ方(家庭科の例)

(ア} 教科の目標 年間計画〜重点的取扱い 観点別学習状況の評価(例)

実践的な態度を育てる  学

マ点 5.(被服領域の内容)

o被服のはたらきが説明できる。

基礎的な知識 家庭生活の理解 知 識 O気温や季節に合った日常の着方が説明でき

技能の習得 を深める

理 解 る。

o清潔な下着を着る必要が説明できる。

〔実践的な活動を通して〕 Q下着に適する布を選ぶことができる。

(イ}学年,領域の目標(5年,・被服)

O適切な実習計画が立てられる。

身なりを整えることができる 技 能 o洗たく物の重量に対する洗剤や水の量が分 かり正しく量ることができる。

簡単な物  日常着の 日常着の の製作   着方 手入れ

実践的

O学習に関心を持ち,積極的に取組んでいる。

暑C温や季節に合った着方をしようとしてい

(ウ〕 題材の目標 な態度 る。

(エ)単位時間の目標

(オ)活動のねらい(評価の観点)  )

活動のねらいが, その単位時間内で変容させようとする子どもの姿で具体的に表現さ礼指導案の中では0印 をつけて具現されている。

(カ)実態に合わせた評価基準

評価の観点は,上記の様に,教科の目標から単位時間の目標(ねらい〜評価の観点)へと順 次下位の目標を分析し,具体的に行動目標の形で表現することにつとめる。それらは,子ども ひとりひとりの意欲や能力の実態を把えた上であることは言うまでもない。

このような具体的な評価の観点の設定は,教師の観察・評価,・指導を容易にし,子どもにと って,課題やめやすが把えやすく,自己評価も容易にする授業構成になるはずであると考える。

(2)評価場面をどう構成するか。

学習過程のどの場面で評価するのかを予め,計画的,組織的に構成しておくことが大切であ る。評価のための場面をきめ細かく設けることは望ましいが,そのために学習が中断し,子ど もの学習への意欲を低下させたり,思考の深まり,製作の集中力を混乱させるようなことにな り,評価のための評価に陥いりやすい。そこで,評価の目標や観点からみて,学習の中心とな る活動の中で行われる評価が適切であると考える。即ち,課題解決や追究過程の子どもの姿や 力をとらえることは,どのように課題をとらえたか,どう取り組んでいるか,つまづきに対し て指導が容易に講じられ,修正後の変容も評価することができるからである。

そのためには

(ア)一人ひとりが課題を自分のものとして把え,解決の見通しをもつことができ,解決するこ とに意欲が持てるような,活動の構成をする。

(イ)課題追究の姿が目に見えるように,製作,操作,実習,実験,観察,身体表現などの活動

(6)

の場を工夫し,学習の個別化,作業化を図る場の構成をする。

(ウ1課題に向かって取り組む活動の中で,自分の解決の方向,内容,取り組みなど,これでよ いのかを立ち止まり,振り返り,確かめる場の構成をする。

(エ)わかる〜わからない,できる〜できないなど,何かに照らして,今ある自分を見極める場 の構成をする。照らす基準となるもの,自己評価,相互評価の場が,用意されなければなら

ない。

(オ)教師は,一人ひとり(抽出グループ,抽出児)を観察し,今ある自分の見極め方が適正で あるかどうかをチェッ久指導する。又,記録の方法も工夫する。

(カ)今ある自分を見極めることができた段階で,一人ひとりが,フィードバックできる場と手 だてを用意する。

(キ}新しい課題の取り組みには,十分な時間がかけられる場の構成とする。

(ク}子ども一人ひとりの変容のようすは,観察や記録だけでなく,材料や用具の扱い方や,作 品や学習表でも把えられるような創意工夫をする。

等の評価場面の構成の工夫が必要になる。   1

(3)評価の方法をどう選定するか

教科・領域・単元(題材)の特性をふまえて,子どもの全体的な姿を客観的にとらえられ,

即指導に役立てることができる方法を考えなければならない。

単位時間内で評価し指導に役立つこと,子どもの努力の指標にもなること,その後の授業構 成や指導に十分生かせることが大切である。

学習の主体は一人ひとりの子どもであることから,子ども自ら学習の目標に向って主体的に 取り組み,自らの成果を評価しながら,目標達成できたかどうかを確かめられる子どもの姿を 期待するために,それを促す場面や方法も必要である。

(ア)授業計画の段階における評価

検査,調査による  レディネスや既有知識,能力,態度の診断 観察,面接による  日常の子どもの様子,資料の収穫

(イ}授業実践の段階における評価

評価が教師による独断的,一方的なものとし ※自己学習の確立 て位置づけられることなく,教師が子どもの自

きたえられる 己評価しやすい形で情報を提供したり,児童に きたえる (適切な学習

自己評価の観点や場面,方法を学習させるよう (主体的に問題 験を与えられ に指導するこどが必要である。それをもとにし

に取り組む)

ゥ己評価

る)

@教師の@ 評価

て,話し合い活動等を通して学級集団の成員に

よる相互評価がより明確になされることにもな       きたえあう 賰b基本  (お互いに考え,

ろう。このように,教師の評価と相互評価,自 おさえた確  刺激しあう)

己評価が有機的な相互作用を有することが,方 かな学習指導  相互評価 法として大切になる。

観察による一学習態度,意欲,関心などを主と して情意面 発言,話し合いによる一知識・理解・思考の程度を分析,評価

作品,表現による一具体的に記述,表現されたものの分析, 評価(記述,ノート,作品,

(7)

演技,発表,活動)

(ウ)授業実践後の段階における評価

テスト記述による一到達目標に即した評価評定

その他の評価の方法として,質問紙法,チェックリスト法評定尺度法(記述,図式,点数 式)自由記述法,VTRの鏡的利用法,観察表,学習カード,座席表などがあろう。

④ 一時間の学習過程における評価の場と方法のとらえ方

。社会科を事例に

〈学習過程〉     〈 評 価 の 観 点 〉     〈方法〉

(1)事実をっかむ     ・社会事象への関心,学習意欲

↓   事象の肪考え方 0観察による

・資料を読みとる力,発表する力 ・チェックリスト法

(2}問題を発見する    ・事象から問題をっかむ力

(みつける)

・評定尺度法

(3}仮説を立てる ・既有の知識,理解の程度

(みたてる) ・直観的判断力

・内容を論理的にまとめて発表し話 ・ノート,作品の検閲 し合う力や態度

・問題解決するための手段や方法を

考える力 ・動作テスト

(4)検証の方法をつかむ  ・資料を選択し活用する力 0客観テスト

・地図,統計資料を読みとる力

・協力し合って学習する態度 質問紙法

(5)検証する ・資料から事象を読みとる力

(たしかめる) ・事象を分析する力 ※評定尺度法

・分類,比較,関係をつかむ力

・理由,条件,因果関係を考える力 (1記述評定尺度

・事象を概括的にとらえ,抽象し事

象の関係から傾向性をとらえる力 (2)図式評定尺度

・自分の考えを手順よくまとめて発

表する力 (3)点数式評定尺度

・論理的に話し合う力,態度

隅鷺ます)「響難蕪考ん学習した

臓購   観察 1

発言の分析  評 ひとりひとりの児童の 能 力

作品の分析  価

甑その他 テストの利用」

(5)観察表の作成

(ア)性格

(8)

単位時間や単元(題材)指導の段階で,子どもの作業表,ノート,製作品など,形に残る 物を通して,学習後であっても,その子どもの目標達成度や定着の程度をまとめの評価(総 括評価)として行なうことができる。では,学習後ではできない,単位時間内の指導過程にお

ける評価(形成的評価)でしなければならないのは何であろうか。学習への取り組み方や意 欲,・思考九・基礎的な知識・理解・態度などの総合した力,他教科と関係づけることのでき

る力,転移・応用力などがあげられる。

単位時間・単元(題材)指導の段階で,一人ひとりの学習の方向の修正(フィードバッ ク)に,矯正に,手がかりに,援助に,助言に,動機づけの指導に役立てる。次の学習構成 指導の改善に役立てる。数量化できない知識・理解にかたよらない評価をし,子どもひとり の全体像を把えるために役立てようとするものである。

(イ)作成の手順

。児童の座席一覧表を作る。

。評価の観点を具体化して明記する。

。指導者の使いやすい形式,記入のし方を創意工夫する。

働活用・学習の前提としての児童の経験・技能や知識の程度,だれをどう変容させようとしている のか,留意したいことなど,学習前の評価(診断的評価の機能)を観察や調査などでとら え,予め記入しておくことも考えられる。

。指導過程では,観点について,どこに,どんな方法で記入するか決定する。

。本時の指導に役立てたり,次時の授業構成や指導の改善に活用する。

。毎時間残される観察やその他の記録は,個票の資料とする。

*(9頁の表を参照)

3.子どもの全体像をとらえる一個票の作成を通して

一人ひとりの子どもをきたえ,のばしていくためには,まず,その子どもを知らなければなら ない。子どもをとらえる場を単位時間に求めるとするならば,とらえ方も変わるはずである。

単位時間や単元(題材)の学習の段階で,子どもが記録した物,作品など形ある物を通じて,

学習後であっても,その子どもの目標達成度や定着の程度をまとめの評価(総括評価)としてと らえることはできる。では,学習後ではできない,指導過程において,評価(形成的評価)しな ければならないことは何か,観点・形式・方法など,教科の特性,指導者の個性を生かして,使 いやすい形式や記入のし方を創意工夫するものとする。

単位時間の中でとらえた,一人の子どもの部分的,分析的な資料をもとにして,単位時間〜

単元(題材)〜教科を貫いて,更に,教科を超えた段階で,関係づける作業を通して,個性的・

継続的にまとめあげる。一人或いは,複数の指導者のとらえた資料を関係づけ,ひとりの子ど もの全体像をできる限り浮きぼりにしていこうとするものである。まとめ方は,指導者の個性に より創意工夫するものとする。

このようにしてとらえられた子どもの姿は,学習の前提としての経験技能や知識の程度,だ れをどう変容させたいか,その子どもにとって留意したいことは何か,学習前の評価(診断的評 価の機能)として,大切な役割を果たすことができるのである。

、     一人ひとりについて,目標・内容を設定しようとする授業構成の試みや,年間指導計画の修正,

(9)

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(10)

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年    組    番  氏 名 教・

生活班 ブロック    班    教官 通学班    班    教室

標準検査

の記録 四口

身 体

傾向性 蛙格何 動

交 友

学級会

特別活動

児童会

の記録

クラブ

家庭環境

父母の

要望など

担任の

指導方針

施  策

項  目

読むこと

ひらが

な。かな

・漢字

書くこと

につ ひらが

ネ・かな

o

計算を

の指 す  る 活指

体力を

導の

つける 記録

〈個票作成の一事例〉…教科担任の例

0社会科の力 基礎,基本をふまえて       (4年)

単元名 関心・態度 探 究 力 知識・理解 観察・資料活用力 社会的思考・判断

・いろいろな土地 ・課題をはっきり ・自然や土地条件 ・効果的な資料を ・人びとの生活と に住む人びとの つかみ,最後ま に適応した人々 自から収集した 自然条件との関 いろい くらしの様子に でねばり強く課 のくらしや仕事 りグラフ,地図, 係を考えながら,

うな土 関心をもって, 題解決がなされ の工夫がわかっ 写真などから, 事象の意味をと 地のく 意欲的に学習に たか。 たか。 気候,地形,く らえることがで

らし 取り組んだか。 らしの様子が具 きたか。

体的にとらえら れたか。

一一一__一 一一一一一一一 一一一一一一一 一一一一一一一 一一一一一一 A   B   C A   B   C A   B   C A   B   C A   B   C

(具体的な状況や指導の手だてを自由記述する)

評 定 A   B   C A   B   C A   B C A   B   C A   B   C

(11)

指導の改善の資料として有効である。    「一一

@学習・生活指導の中で,子どもの個 ォをとらえて伸長させることのできる

1狸蟹土叢緩懲」

一一一一一一一一一一u

到達度評価 授業の改口

学級経営が実現される。

●o ____塾」

価の

「一人ひとりをきたえる…」

尚,参考資料として,個票の位置と,      動

・単

質    一一一層一一一一

@  〇学習成立の観点から的    一一一「一一一一

個の全体像をとらえるための全体構造       達      過

・単位時間

吟味    ・個別化

・作業化

を次に掲げておく。       ) の・宗を「 き彫りに「:;一二

児童・学習カード     ■J○ 発気

・ノート 1量や 言づ O教師のチェック で× ・い

・チェックリ Xト E座席数

活勲ノー

観察表

テスト 調

各教科の目標 教育相談の観

学習指導要領

つうしん

〈資料1>指導計画……単位時間,単元(題材)の中でとらえられた資料をもとに, 授業構成 と指導の改善を修正していく。

単  元 。ゆうびんのしごとをする人    (1月中旬〜2月下旬)

目  標 。郵便は,わたしたちの毎日のくらしに利用されているが,この郵便を運ぶ人の仕事は,郵便物を 確実に早く届けるためにいろいろと工夫し,努力していることに気づかせる。

。ポストや郵便局を観察・見学し,わかったことを絵や文に表して活用できるようにする。

指導計画   (10時間)

第1次  ポストのひみつ 4時間

第2次  ゆうびんをはこぶ 6時間

1.ポストのひみつ 。郵便は,人々の生活や仕事の上で利用されており,ポストには確実に届くようなし くみがあることに気づかせる。

学習活動 ・内容 時間 資 料 指導のポイ ントと評価

1.最近届いた郵便物を絵グラフに表し 2 郵 便 物 ※絵グラフに表す活動は,算数科「かぞ

て話し合う。 え方とあらわし方」と合科的な指導と

。誰れからきたか 。どこからきたか して取扱う。

。どんなことできたか 絵グラフ用紙 。自分が出した郵便については,書いた 2.郵便を出したことについて話し合う。 1 り投函した時の気持ちを話し合わせ,

m実に早く届ける願いがポストや郵便

。ポストに入れた時のようす一どこ 局で働いている人の仕事に結びつくよ

にあるか  形はどうか うに仕向ける。

。わかったこと,わからないことをま ・投函の経験から,ポストはどのような

とめる。 形になっているのか予想を書かぜ,家

。調べるし方について一ポストはど や学校の近くのポストを観察させ,修 のようなしくみになっているか,絵 正させる。

をかいて調べる。 。観察したことを絵にかかせるが,吹出

3.ポストのしくみについて調べたこと 1 しをつけてそれぞれの役目を記入させ

を発表し合う。 確かめる。

。入口 。ひさし ・鍵 。形 。色 。ポストが色(赤),形(角・丸),質(鉄),

。時刻表 附帯物(鍵・入口・時刻表)が書けてい

。しくみのわけ一確実に届けるため るかを確かめ,その役目が「なくなら

。郵便局ではどのような配慮をしてい

@るか。

ない」「いたまない」「まちがわない」

スめに工夫されていることが説明でき 驕B

。ポストの工夫が郵便局にもつながって いることを予想する。

(12)

<資料2>つうしん……学校での子どもの学習や生活の実態を連絡し,学校と家庭とが協力し合って児童を 伸ばしていこうとするものである。変容の実態や成果を継続的に通信し,子どもの 望ましい伸長をはかるものである。 (個票が手がかりになる)

0 学級担任の例

・観察 (座席表 7/7 棒グラフでは,資料の数値をまとめてグラフに表す学習をしましたが,第

〜以下全て 1時の学習は,161741などの大きな数値をグラフ化するのに,1目盛りをい

。チェックテスト くらにするか。また,資料の数値をどう処理したらよいかについてとまどい があり,グラフに表すことも中途半端に終わってしまいました。その後の学 習では,まとめ方がわかり,グラフも正しくかくことができました。折れ線 グラフは,読むこともかくことも難なくできました。特に6/26の学習では,

与えられた用紙の大きさに合わせて適当に1目盛りの大きさを決めグラフ化 する時,ただひとり1目盛りの大きさを30にしていることが目につきまし た。 (40円としている者5人,他は50円)

。相 四拾五入,切り拾て,切り上げのし方では,rOOの位までのおよその数

。ミニテス に」の時,どこを処理すればよいかがわかって,誤りなくできるようになっ てきました。

自 己 わり算については,立商に時間がかかり,7/4の時点では,4間中3間

。相 誤り(速度おそい)がありましたが,その後の練習でできるようになってき

。ミニテス ています。継続的に練習する必要があります。

人物の気持ちを読み取ったり,文章に即して段落ごとの要点をとらえたり

。ノート することができます。

。ミニテスト 漢字の習得率は90%です。

。ノート ノートの文字が雑になっていますので,整理して記録すると同時に,正し い文字でていねいに心がけてほしいと思います。

。 教科担任の例

。4年 く図画工作〉の一例

観点 内    容 評   価 備   考

。ものの見方について関心があり,

見て感じ取ったことや想像した A    B    C 諱@   ふ    が

内容が豊かである。 つ   ろん

い    う   うば

o 。ものとものとの関係や形,色,

材料の生かし方などを考え,表

し方を工夫して表すものの感じ A    B    C を表現できる。

。材料や用具などの基本的な扱い 方を理解し適切に使うことがで

きる。 A    B    C

。目的や用途を考えて,つくるも のを豊かに発想することができ

A     B    C る。

。色や形の生かし方を考え,つく るものの形や組立てを工夫する

A    B    C

ことができる。

。つくろうとするものを絵や図に かいて考え,つくり方を工夫す

ることができる。 A    B    C

。材料や用具の適切な生かし方や

扱い方が上手にできる。 A    B    C 。ものの見方や表し方に関心をも

形に

って創意工夫しようとする。 A     B    C 対鞭 。自分が満足するまで作品を追求

オ,根気強く完成しようとする。 A    B    C 。準備やあと片付けがきちんとで

きる。 A    B    C

(13)

4 実践を通して

● 「ニョロニョロ動く○○をつくる」4年一図画工作科 1.目標にせまる評価の観点

表現活動を通した造形的な創造活動の基礎として,3,4年では,材料用具・技法に関するも

        ・  ・  …       .  .     ●  ●  ●  ■     ●  ●  ●       ●  ●  ●  ●  ■  o  ●  ●

フの中に「厚紙,板切れ,小刀(板材,のこぎり,金づち)などを使い,その基本的な扱い方が

●   ●   o   ●   ●   ●   ●   ●

できるようになる(材料の生かし方を工夫すること。)」がある。

本実践例では,二つの目標を設定した。①角材に,のこぎりで,切りおとさないように互い違 いに数多く刻みを入れて,柔らかにしなる角材にすることを通して,のこぎりの基本的な扱い方 を身につけさせ,根気強く切らせる。②柔らかにしなる角材に,着色したり,飾ったりして,二

ヨロニョロ動く動物を表現し,使って遊ぶことができるようにする。である。

この教材の特性は,一本の角材を互い違いにのこぎりで数多く細かく刻むことによって,硬い 角材が柔らかく弾力性を持った状態になることを利用して,目標にせまることにある。子どもた ちは,柔らかくニョロニョロ動く○○を作るために,必然的にのこぎりで数多く角材に刻みを入 れなければならない。そのためには,のこぎりの取り扱い方が必要になるし,活動を通してのこ ぎりの正しい扱い方,経験の積み重ねがくり返してできることになる。

これらの目標にせまる評価の観点としては

① 角材を切り落さない。折らない。一・・のこぎりの正しい扱い方。まっすぐにひく。材料の扱

い方。

② いくつ互い違いに刻みが入れられたか。一・・根気強さ。のこぎりの扱い方の習熟。

③ けがをしない。させない。・…安全に留意したのこぎりの扱い方。

④ 楽しくニョロニョロ動く。一・・自分のイメージに合う色,飾る工夫。

の4点とした。

尚,本題材の内容構造は次のようである。

デザイン・工作の到達目標 表 現 の 柱 4年のデザイン・工作の内容

゜糊募1[羅鍵錫 伝える表現 ・リズムのある形,色の明暗の感じ  一一一一一一一一一一 ・イメージを確かにし,つくる手順を考える

基礎  1・つくるものの形や大きさ 」_________」

・美的情操1懇響講灌婁袈      と。

飾るための表現「糟一一一一「1使うための表

・つくる部分の形の正確さ・材料の大きさや接合,組み立て方

e板材あ選び方や性質1職[

易く○

囎隣遡び  1

一   一    一 ・のこぎりや金づちなどの基本

k鯉蓼塑L      」

○を

r隔一一一

関心・態度 L鯉豊」(他,略)

2.評価場面の構成

子どもの表現過程にある「まねてみようとする」一「わかるようになる」一「考えようとする」

一「まとあようとする」一「具体化」が子どもの思考の流れと考えると,「わかるようになる」

わからせ方の手だての工夫が必要になる。そのためには,練習をくできそうだ〉と考えるように なるまで,失敗してもまた取り組めるような,子どもにとっては心のゆとりの持てる,くり返し

(14)

練習できる場の設定が重要になってくる。

そのためには,学習活動,内容の中に,いつでももとにもどれる活動・内容の設定が必要である し,その場も絶えず準備されなければならない。

子どもが,題材の課題をつかみ,予想,試行し,〈つまつく〜修正〜確かめ〉のくり返しを経 て,ねらいにそった確かめ〈できた。わかった〉と言う確かな学力が身につくものと考える。

このような学習過程の中での一人ひとりの思考,表現の移り変り,個の変容をとらえていくこ とは,一人ひとりの子どもの人間形成のための評価と言う点で欠くことができないし,図画工作 科の評価本来の姿である。

本実践例では,評価場面の構成を次のように考えた。

(1)学習課題についての話し合いの場面

本時のめあてを「ニョロニョロ動く○○を,角材に,のこぎりで,切りおとさないように,

たがいちがいに,きざみを入れて,できるだけ長くつくる」とした。

学習の課題にっいてのたしかめとして,学習のめあて,見通し(内容,方法),手順等を,

作品を提示したり,板書したりしてたしかめる。

初めて使うのこぎりをどの程度,正しく取り扱ったり,使うことができるかを,児童演示に より診断する。 (男女1名)。診断の結果から,誤りやすい扱い方を教師示範で正す。

(2)ためす活動の場面

ためす材料(同質の短かい角材)を準備し,練習させる。ためす場所を設定し,同質の角材,

柔らかな角材を準備し,きざみ始め,まっすぐに切る,切りおとさない,たがい違いにきざむご と等の練習の場とする。 (練習の必要な子ども,練習を必要と感じた子ども)

自分で切った角材を通して,自己評価,相互評価の場として考えていく。

(3)つくる活動の場面

自分の作業が目に見える活動であるので,子どもが活動即学習のたしかめとなるように三っ の課題を与える。

① いくつ刻みが入れられたか。(長さ)

②切りおとさないで刻めたか。(まっすぐな刻み方,のこぎりの正しい扱い)

③ ニョロニョロ動くか。 (おもしろさ)

この課題をもとに,活動を通して,きざみ方をたしかめたり(自己評価),友だちと比較し たり(相互評価),動き具合をたしかめたり,長くするために(よく動くように)くり返す。

この活動の中で,子どもは自分自身の作業ぶりを自己評価し,うまくいかない時は,もう一 度,ためす場にもどり練習したり指導を受けることになる。

切りおとさないでまっすぐに切る手だてとして,角材に最初の20cmは定木ではかって線 をひく。その次の20cmは,点で印をつけ,残りの20 cmは無印としる。この手だては,

やさしいものからむずかしいものへ,低い技能から高い技能へと,のこぎりの扱い方の習熟 を考えた。

(4)くらべ合う活動の場面

与えられた課題にどれだけ自分は近づいたかくよく動くか,長く刻めたか〉を友だちとくら べることによって,自己評価,相互評価できるように考えた。

尚,活動中に消えてしまう,安全に留意すること,根気強さ等の関心,態度的な評価は,観

(15)

察,チェック,指導をしていく。

本時の学習の流れ(80分)

見い出す   広める       ねりあげ・きたえる      たしかめる ニョロ ニョロ動く ○○のイメージ 80 )

気づいて ためしてみて ・比較して・たしかめて・くり返して  ・くらべ合う

に=1。分+_.25分

40分       5分

本時の指導

(1)目 標 ○角材に,のこぎりで,書いてある線にしたがって,切り落とさないようにして,互 い違いに刻みを入れることができる。

ね ら い 学習活動 ・内容 教師の見きわめと指導の手だて 1.学習の課題について話し合う。 ・作品を見せたり(刻みを入れたものと

ニョロニョロ動く○○を 入れないもの),板書したり,プリン gしたりして,目当て,内容,方法,

見通し,手順をわからせる。

角   材   に ・のこぎりの持ち方,角度,周囲の安全 の こ ぎ り で 等を,教師示範で確認し,児童演示 切りおとさないように (2名)により観察指導する。

たがいちがいに ・子どもが活動するためには,材料を動 きざみを入れて かないように固定することが基本にな できるだけ長く る。そのために,手や足でしっかり固

定させる。

っ   く   る

2. ためす。 ・ためす場を,それぞれの練習する内容

○のこぎりの使 ・それぞれのためす場での練習 ごとに設定し,子どもが自分でよくで

い方になれる。 きざみ始め きない内容を,くり返してできるよう

まっすぐに切る にする。

切りおとさない ・ためす場に応じて,個別に,グループ

たがいちがいにきざむ     P 毎に,教師示範で指導する。

3.つくる。

○書いてある線 ・書いてある線にそっと,順に ・子どもが活動即学習のたしかめとなる にしたがって きざみを入れる。 ように,2っの課題を与える。

順にきざむこ ・きざみ方をたしかめる。 ・いくつ刻みが入れられたか(長さ)

とができる。 ・友だちと比較する。 切り落さないで刻めたか

・長くするたあにくり返す。 ・切り落としてしまったり,ふっている うちに折れてしまった子には,接着剤 でつくことを指導する。

4,くらべ合う。 ・動きぐあいをたしかめさせ,次時への めあてをもたせる。

参照

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