Volume 1
2011 June第 1 回 J-SUMMITS 成功事例病院見学会報告 ・・・ 吉田 茂 第 2 回 J-SUMMITS 成功事例病院見学会報告 ・・・ 岡垣 篤彦
第 3 回 J-SUMMITS Site Visits in 東京 ・・・ 山本 康仁 J-SUMMITS 活動報告
J-SUMMITS 関連 イベントカレンダー 2011 J-SUMMITS 参加施設
2
J-SUMMITS News Letter
Vo lu m e 1
第 1 回 J-SUMMITS 成功事例病院見学会報告
名古屋大学医学部附属病院 吉田 茂 日本ユーザーメード医療 IT 研究会(J-SUMMITS)の 重要な定期イベントである第 1 回の J-SUMMITS 成功 事例病院見学会を 2009 年 2 月 6 日に名古屋で開催い たしました。現在は、J-SUMMITS Site Visits(命名者は、 山本康仁先生)というお洒落なネーミングですが、当 初は、成功事例病院見学会などと、おこがましくもた いそうな名前でスタートし、一体、どれくらいの方が 参加してくださるのか不安がいっぱいでした。しかし、 応募を開始すると、瞬く間に全国各地から参加希望が 届き、最終的に総勢 29 名の会員が初めて集う会とな りました。 内容は、名大病院における FileMaker システムと電 子カルテシステムとの連携についての概要説明および システムデモでした。以下に簡単に概要説明をします。 右の円グラフは名大病院で 2007 年に行った FileMaker に関するアンケート結果で す。30 部門(診療科)のう ち、なんと 8 割以上の部署 で、何らかの FileMaker によ るデータベースが稼働して いました。この結果に意を強くして私たちは、名大病 院における FileMaker システムと電子カルテシステム との連携に取り組むことになったのです。 下図は、FileMaker システムの入り口に当たるポー タル画面です。各部署のアイコンをクリックしたり、 共通で使用するメニューのアイコンをクリックすると、 データベースが開く仕組みになっています。なお、現 在では、複数のデータベースを有する部署が増えたた め、階層化してスッキリしたポータル画面に進化して います。 次に実際の連携の仕組みを解説します。 まず、起動時は、電子カルテのメニューの中からし か FileMaker が立ち上がらない仕組みになっており、 電子カルテから CSV データとして、利用者属性、患者 属性、ファイル属性などを端末上に書き出し、同時に Active-X 連携により FileMaker が起動し、FileMaker 側 の起動時スクリプトによって、書き出された CSV デー タをインポートすることで、利用者属性(誰が使って いるか)、患者属性(どの患者を開いているか)、ファ イル属性(どのデータベースにアクセスするか)を引 き継ぐことができます。これにより、電子カルテとし て重要な利用者認証の仕組みを FileMaker でも共有す ることが可能となっています。 次に、FileMaker サーバーと電子カルテサーバーと の連携について述べます。 電子カルテサーバー上のテーブル単位の各種情報の差 分を定期的に CSV ファイルで書き出し、それをファイ ルメーカー側で定期的にインポートする形で一方向の 連携を行っています。 現在では、利用者情報(1 日 1 回)、患者情報(6 分 に 1 回)、病名情報(1 時間に 1 回)、手術情報(1 日 1 回)、 退院支援依頼情報(1 日 1 回)、検体検査結果(1 時間 に 1 回)、生理検査結果(1 日 1 回)、処方オーダー(6 分に 1 回)などが FileMaker マスターデータベースと 吉田 茂(よしだ しげる) 1961 年生、1987 年神戸大学医学部卒業。同年神戸大 学医学部小児科入局。1990 年代初めより、FileMaker による患者データベースを作り始め、1996 年に神鋼 加古川病院に転勤後、小児科のみならず院内全体の 診療業務支援システムの構築に乗り出す。代表作に、 FileMaker 版患者状態適応型パス(FM-PCAPS)、おひ さまカレンダー(夜尿症患者管理データベース)など。 現在は、名古屋大学医学部附属病院で病院長補佐兼メ ディカル IT センター長といういわば CIO 的な管理職 に就き、仕事が忙しくなればなるほど新作データベー スを作ってストレス発散するという。 FileMaker システムの入り口に当たるポータル画面3
J-SUMMITS News Letter
Vo lu m e 1 して適宜更新されており、各運用データベースから随 時利用されています。 次に、電子カルテから FileMaker 側への書き込みに 関して説明します。名大病院の電子カルテは XML デー タになっていますので、富士通社に依頼して、専用の 書き込み用のアプリ(CTFM2000)を作ってもらいま した。そのアプリが FileMaker を起動すると端末上に 待機状態で起動されます。そして、FileMaker から書 き込みたいデータを XML データとして端末上に書き 出すと同時に、DDE コマンドを CTFM2000 に送信し て、その XML データを電子カルテに取り込ませます。 JPEG、PDF 形式の添付ファイルも送れます。電子カル テ側では、FileMaker のどのデータベースのどのレコー ドから書き込まれたデータかを認識して、同じレコー ドであれば版数管理をした上で更新処理を行います。 この仕組みによって、診療録として保存すべきデータ のみを選んで、修正履歴も残した上で電子カルテ側に 確実に保存することが可能となりました。 現在、名大病院では 50 個以上の FileMaker データ ベースが稼働しています。全体を管理しているのはメ ディカル IT センターですが、各データベースの管理者 として LA(Local Admin)を置いています。FileMaker に精通した LA がいる部署では、自作データベースを 持ち込み、サーバーへアップする際に少し手直しする だけで、あとは LA にお任せにしています。また、少 し FileMaker を扱える程度の LA の場合は、簡単なレ イアウトの変更やフィールド追加くらいならば LA に お任せで、それ以上の複雑な仕組みを要する場合はメ ディカル IT センターに相談に来ます。また、最近では、 FileMaker を扱える人がいない部署からも新規データ ベースの作成依頼が来ますが、その際にはメディカル IT センターが LA も兼ねて管理することになります。 このように管理形態を柔軟にすることで、各部署が FileMaker を利用しやすい環境を提供することができ、 それまでは医局の私物のパソコン上で動いていたデー タベースを電子カルテネットワーク上の FileMaker シ ステムに移行させるケースが増えてきました。 最後に、電子カルテシステムと FileMaker システム の連携の利点につき、別表にいたします。 電子カルテシステムと FileMaker システムの連携の利点 1.ユーザーの利便性向上 かゆいところに手が届く感覚で喜ばれます。 2.患者属性等の情報の正確性 手打ち入力の場合、10%くらいの入力ミスもあります。 3.電子カルテシステムへの入力の充実 FileMaker システムに情報が反映されることで 電子カルテシステム側への入力が進みます。 4.患者情報管理の安全性向上 従来、医局で野放しになっている患者個人情報を集約管理できます。 5.電子カルテシステムへの追加改造の減少 新たな機能追加要望に対して、FileMaker という選択肢が増えます。 コンタクト・インフォメーション
4
J-SUMMITS News Letter
Vo lu m e 1
第 2 回 J-SUMMITS 成功事例病院見学会報告
独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 岡垣 篤彦J-SUMMITS Site Visit 第二回は第一部を大阪市の国 立病院機構大阪医療センター、第二部をアップルスト アー心斎橋で行いました。以下に概要を御報告します。 さらに詳細をお知りになりたい方は本年 6 月 2 日に出 版された「医療現場のデータベース活用」(ライフ・サ イエンス出版)をお読み頂けると幸いです。 大阪医療センターはベッド数約 700 床、外来一日約 1200 人、循環器疾患、悪性疾患を中心とした総合病 院です。2000 年 4 月にオーダリングシステムリプレー ス、一部電子カルテ化、2006 年 4 月に全面電子カル テ化を行いました。2000 年の一部電子カルテ導入以来、 我々の病院では富士通株式会社の EG-MainEX にファイ ルメーカー Pro を接続して、電子カルテの記載閲覧を ファイルメーカー Pro で行うというユニークな仕組み を実現していますので御紹介します(1)(2)(3)。 大手ベンダーの電子カルテは初診、再診の区別なく おおむね全て自由文か、SOAP に分けて記載する方式 となっており、テンプレート機能を有しているカルテ では記載項目を指定することが出来ますが、多くの場 合前診療科共通の記載画面、およびロールペーパー方 式と呼ばれる巻紙状にスクロールするスタイルを使用 しています。この方式の問題点はあらかじめ記載すべ き項目が示されているカルテと違って重要な項目の記 載漏れがおきやすいこと、過去の記載を閲覧する場合 に、大きなイベントが起きたかどうかが判別出来にく く、臨床経過を把握しにくいこと、眼科、産科等特殊 な記載様式が必要な診療科に対応できないこと等が挙 げられます。このような欠点を補う目的で、当院では 診療スタッフの希望に沿って入力用画面をファイル メーカー Pro で制作し高度にカスタマイズした「カー ド型電子カルテ」を使用しています。これはベンダー 製の電子カルテシステムの入出力をファイルメーカー Pro で作成したインターフェース層を用いて行う仕組 みですが、画面の構成の自由度が非常に高いという特 徴があり、通常のベンダー製電子カルテでは対応困難 な眼科や産科でもスムーズな診療を行う事が実現して います。電子カルテ本格稼働に先立って、全診療科の 医師にヒアリングを行い必要な画面構成と入力項目を 洗い出しましたが、ほとんどの診療科で紙カルテに準 じた項目となりました。 電子カルテの仕組みを簡単に書くと次のようになり ます。すなわち、基幹システムから受け取った患者 データを端末上でローカルデータベースとしてファイ ルメーカー Pro に転送して展開、カルテの入力中、あ るいは保存時には基幹システムにデータを送信する構 造を構築しています(図1)。基幹システムとインター フェース層とのデータの受け渡しの基本的な構造は全 科共通とし、各診療科独特のカルテ様式や動作の違い はインターフェース層で吸収する仕組みとなっていま す。 電子カルテ上から出される全てのオー ダーについてもファイルメーカー Pro と 基幹システムで常に同期をとりながら動 きます。我々の基幹システムとインター フェース層との連携の仕組みでは、たと えばエクセルやワード、アクセスなど、 ファイルメーカー Pro 以外のソフトウエ アとのインターフェース層を構築するこ とも可能となっています。 一般的に病院情報システムはカスタマ イズを加えれば加えるほど運用が不安定 になったり、後のメインテナンスが面倒 となったり、さらにカスタマイズに高額 の費用がかかることが多いですが、我々 岡垣 篤彦(おかがき あつひこ) 京都大学医学部・1983 年卒業、京都大学医学部産婦人科 入局、医学博士。主な研究分野は胎児胎盤循環の超音波 血流計測による評価。フーリエ解析を用いた超音波信号 処理による解析精度向上。現在は国立病院機構大阪医療 センター産科医長、医療情報部室長を努める。臨床専門 分野は産科全般、婦人科悪性疾患全般。主な EUC に関す る活動:1996 年より産科電子カルテ、手術支援システム を運用開始。1999 年 病院学会テクニカルフォーラムに おいて『既存の患者データベースを診療現場で最大限に 活用する方法』と題しサブネットワークを用いた手術支 援システムについて発表。2000 年よりファイルメーカを 使用したカード型カルテおよび参照系システムを実現し ている。 図 1 大阪医療センターの電子カルテの仕組み
5
J-SUMMITS News Letter
Vo lu m e 1 の仕組みでは、電子カルテ本体にはファイルメーカー Pro との接続の基本的な仕組み以外には手を入れずに、 本体と別のアプリケーションであるファイルメーカー Pro で作られたインターフェース部分にカスタマイズ を集中して診療スタッフの希望に沿って作り込みを行 い、稼働後の改良作業を保守契約の中で行うことによ りこれらの問題を解決しています。変更の多い部分は 容易に変更可能なファイルメーカー Pro で受け持つこ とになるため、フレキシブルかつ安定性の高いシステ ムを実現することが出来ます。 さらに、ファイルメーカー Pro サーバーを用いた参 照系を導入して電子カルテサーバーからデータを転送 することにより、入力と同じレイアウトで閲覧可能な 参照系を実現しています。一般の診療録のレイアウト に加え、業務支援系(CSS: Clinical Supporting System) といわれる台帳形式の入力様式も実装し、診療録と同 じように入力し、参照系で一覧表示、検索、統計処理 を可能としています(4)。 ロールペーパー方式の電子カルテと比べた場合、眼 科、産科などで運用が可能になったこと(図2、3)、 記載文字数や記載内容の質が飛躍的に上昇したこと、 電子カルテの通常の記載と一元的に業務支援系を運用 するため、電子カルテの記載内容と密接に連携した業 務支援系システムの構築が出来ること、カルテ種類の 追加が容易であることのなどの大きなメリットが得ら れています。欠点としては電子カルテからファイルメー カー Pro へのデータ転送に時間がかかることで、起動 に十数秒から長い場合は 30 秒程度余分に時間がかか ることです。これについては改善作業を行っており、 次第に改善しています。 参考文献 (1) 楠岡秀雄、岡垣篤彦、東堂龍平 . 医療者が創る電 子カルテシステム . 新医療、 2003;30 (7):72-75 (2) 電子カルテが目指すもの - 大阪医療センターのシ ステムについて - 岡垣篤彦 医療第 59 巻第 5 号 p 262-270、 平成 17 年 5 月 20 日発行 (3) 高度総合医療機関における EUC の必要性を実運用 状況の報告 岡垣篤彦 東堂龍平 是恒之宏 楠岡英 雄 医療情報学 29(Suppl.)2009 145-148
(4) Okagaki, A. Koretsune, Y. Todo, R. Kusuoka, H. Clinical Supporting System in Large-scaled General Hospital with Customized Interface Layer betweenElectronic Patient Record System and Filemaker Pro. Proceedings of Complex Medical EngineDigital Object Identifier 10.1109/ ICCME.2007.4381740. コンタクト・インフォメーション 図 2 眼科用電子カルテその 1;多量の情報をコンパクトに表 示するように工夫されている。 図 3 眼科用電子カルテその 2;画像やシェーマを普通に取り 扱うことができ、過去の画像との比較が容易に行える。
6
J-SUMMITS News Letter
Vo
lu
m
e
1
J-SUMMITS News Letter デザイン担当・編集長 / 佛坂 俊輔 【今回のデザイン】
7
J-SUMMITS News Letter
Vo lu m e 1 ※ J-SUMMITS 名称およびロゴは登録商標です。(登録番号 第 5273636 号)
8
J-SUMMITS News Letter
Vo
lu
m
e
1
J-SUMMITS 第 3 回 Site Visits は、 東 京 都 立 広 尾 病院で行われました。広尾病院は東京都渋谷区にあ る 467 床の急性期病院です。電子カルテシステムは 富 士 通 製 HOPE/EGMAIN EX が 導 入 さ れ て い て、 こ れと相互接続された HiPER が医療安全に寄与してい ます。2002 年の開発当初より、網羅的臨床情報視覚 化(SYMPTOMICS)を実現するための独自のインター フェースを備えた、長期診療系診療支援システムとし てスタートしました。2003 年から小児科外来で稼動 しましたが,大きな転帰を迎えたのは 2005 年の電子 カルテ導入と相互接続運用でした。 開発はファイルメーカープロ 6.0 を使用し「蓄積情 報を臨床現場で即時に利用するためには、適切に収集 すること」という考えから,蓄積データを利用した動 的インターフェースを随所に取り入れました。臨床研 究として、SYMPTOMICS の効用を検討し一定の成果 を得ました。しかし、独自の UI が災いし利用率は最大 50%程度にとどまりました。 しかし、開発過程で生まれた視覚化の仕組みなど は実際に臨床に寄与し,医師の診察戦略を変え,患 者側にも変化が認められました。電子カルテとの相 互連携を実現していくにあたって、医療 DWH(Data WareHouse) を 即 利 用 す る た め の Multi-dimensional On-line Analytical Processing (MOLAP) 構築が適切であ るとわかりました。医療安全に寄与する臨床判断支援 システム(CDSS: Clinical Decision Support System)と いう新たな目標が定まったのです。
基幹システムとの相互接続は、取り扱い情報量の急激 な増加を引き起こし、ハードウェアの性能向上だけで は 処 理 が 難 し く、Relational Data Base Management System (RDBMS) 利用自体の見直しを迫られました。 RDBMS としてインデックス作成の放棄,業務プロセス ごとにメタ情報を作成,これをイベントドリブンで更 新するスクリプト言語を実装しました。 山本 康仁(やまもと やすひと) 1964 年生、1994 年日本大学医学部卒業。小児科専 門医、アレルギー学会専門医(小児)。ファイルメー カー Pro で開発した HiPER 2.0 は第 13 回日本医療情 報学会春季学術大会(シンポジウム 2009)における 発表でも大きな注目を集める。以下、主なシステム開 発歴。1985 年 マルチウインドウシステム環境 LIKA (PC 100,MS-DOS 2.01)、1996 年 病歴管理システム、 2001 年 院内情報共有ツール (SiteMaker)、2002 年 com-scheduler、2002 年 東京 ER 広尾看護支援シ ステム、2003 年 小児慢性疾患診療支援システム、 2005 年 HiPER(東京 ER 広尾および小児科診療支援 システム)、2007 年 HiPER 2.0 (診療判断支援シス テム)
第 3 回 J-SUMMITS 成功事例病院見学会報告
J-SUMMITS TOKYO SITE VISITS
東京都立広尾病院 山本 康仁
9
J-SUMMITS News Letter
Vo lu m e 1 イベントドリブン型臨床判断支援 Koppel らは (1)、近年普及したオーダーリングシステ ムは新たな医療過誤を誘発すると指摘しています。医 療の質と安全の向上が求められているなか、本邦でも 標準的電子カルテを構築し、医療安全の確保を目的と した安全ユニットを備えるべきであると指摘されてい ます。高田らは(2)、長期診療情報 DWH に知識処理能 力を加えることで CDSS を構築し、電子カルテと独立 して実現するものだと述べています。 我々はオーダー、実施、記載、検査結果、患者移動情報、 基本情報など基幹システムがもつ情報をすべて受け取 りました。フィールド数は 170 項目から 3000 項目、 一日 3.3 万件を処理するためにサーバを並列化、パイ プライン化して複数設置し,サーバ間通信や排他処理 を考慮して配置を最適化しました。分割と同時にオー ダーに関連する関連データはあえて垂直分割せず,一 つのテキストフィールドに構造を保ったまま結合格納 し、牽引を設定しませんでした。 システムが大きく複雑になるとデータの整合性と可用 性、そして分散は同時に達成することはできないとい う CAP 定理(3)を考慮し、一時的しか相同性が保たれ ない(Eventual Consistency)ことを考慮したアルゴリ ズムを採用しました。状態遷移のタイミングで知識処 理がただしく行えるように、パラメータ、知識処理の 進行状況、中間結果などを連結保持しました。既存言 語に中間状態を効率よく表現できるものが無かったた め, 新 た に EDOL(Event Driven Objective Language) を取り決め,インタープリタを作っています。医療知 識を EDOL の初期値として表現し、知識処理の一部に 利用しました。こうした仕組みは,これまでリアルタ イム処理に適さないと思われていた OLAP 系でトラン ザクション処理を可能としました。 CDSS の倫理的側面とコミュニケーションコントロール 優れた CDSS が理想ですが、臨床医に取って代わっ て判断するわけではないし、求められてはいません。 医師の能力低下は防ぐ必要があり、専門家との協議を する機会を奪ってもなりません (4) 。非専門家が CDSS の示すかもしれない誤った示唆を、誤っていると判断 できなくなることは避ける必要があるし、CDSS のイン ターフェース上の問題や誤用によるミスを防ぐ必要が あります。HiPER は基幹システムと双方向接続してい ますが、基幹システムを通して情報提示せず、携帯電 話端末を用いた音声及びプッシュ型メッセージとする ことで、機動性と到達性を高めました。相手が話中で あるとか途中切断などに応じて、細やかに対応します。 複数の医療者に警告、あるいは専門家とのコンサルテー ションを促す「コミュニケーションコントロール」を 実現しチーム医療を活性化しました。 CDSS の PDCA サイクルと環境 CDSS の開発、活用には、更新、廃止をサイクル化し なければなりません。医療安全上の問題が発生した場 合、システム化できる部分を抽出するには医療者の思 考が必要です。効果を予測するシミュレーション環境、 個人情報を保護する閉鎖開発環境が必要で、運用後の モニタリング、更新、廃止を検討するべきです。CDSS を活用するには、構築するだけではなく、更新、廃止 を含めた継続した議論が必要で、医療者も積極的にそ こに加わる必要があるでしょう。 参考文献
(1) Ross Koppel, PhD, Joshua P. Metlay, MD, PhD, Abigail Cohen, PhD. Role of Computerized Physician Order Entry Systems in Facilitating Medication Errors. JAMA 2005; 293:1197-1203
(2) 高田 彰 , 長瀬啓介 , 大野国弘 , 梅田政信 , 長澤勲 医療情報システムにおける診療判断支援機能 (CDSS; Clinical Decision Support System)の 構築について 医 療情報学 27(3),2007:315-320
(3) Seth Gilbert, Nancy Lynch Brewer's conjecture and the feasibility of consistent, available, partition-tolerant web services,ACM SIGACT New Volume 33 , Issue 2 51-59
(4) Why the standard view is standard: people, not machines, understand patients' problems. J Med Philos. 1990 Dec;15(6):581-91.
10
J-SUMMITS News Letter
Vo lu m e 1
J-SUMMITS・医療情報関連 イベントカレンダー 2011
【J-SUMMITS 主催のイベント】 ・2011 年 10 月 8 日(土) 第 8 回 Site Visits in 津山(津山中央病院、宮島 孝直 先生) 津山中央病院のシステム紹介、PDF ファイリングに関する意見交換 ・2011 年 12 月 10 日(土) 第3回 J-SUMMITS 全国集会 【FileMaker 社主催のイベント】・2011 年 8 月 2 日 ( 火 ) ∼ 5 日 ( 金 ) FileMaker Developer Conference(サンディエゴ)
・2011 年 11 月 9 日(水)∼ 10 日(木) FileMaker Conference 2011 http://www.filemaker.co.jp/conference/ 【医療情報関係の各種学会・研究会】 ・2011 年 5 月 27 日(金)∼ 28 日(土) Seagaia Meeting(沖縄) ・2011 年 6 月 17 日(金)∼ 18 日(土) 第 15 回日本医療情報学会春季学術大会(シンポジウム 2011 in 千葉) ・2011 年 6 月 24 日(金)∼ 25 日(土) 第 13 回日本医療マネジメント学会(京都) ・2011 年 7 月 13 日(水)∼ 15 日(金) 国際モダンホスピタルショウ 2011(東京) ・2011 年 11 月 21 日(月)∼ 23 日(水)第 31 回 医療情報学連合大会(鹿児島) ・2011 年 12 月 9 日(金)∼ 10 日(土) 第 12 回日本クリニカルパス学会学術集会(東京)
これまでの主な J-SUMMITS 活動(∼ 2011 年 2 月)
【J-SUMMITS 主催のイベント】 ・2009 年 2 月 6 日(金) 第 1 回 J-SUMMITS 成功事例病院見学会 ( 名古屋大学医学部附属病院・吉田 茂 先生 ) 名大病院での FM Pro システム構築および基幹システムとの連携事例 ・2009 年 3 月 14 日(土) 第 2 回 J-SUMMITS 成功事例病院見学会(大阪医療センター・岡垣 篤彦 先生) 大阪医療センターでの FM システム構築および基幹システムとの連携事例Apple Store イベント: Think FileMaker from 十方 with J-SUMMITS 心斎橋 Apple Store ・2009 年 9 月 26 日(土) 第 3 回 Site Visits in 東京(東京都立広尾病院・山本 康仁 先生) 東京都立広尾病院における HiPER 1.0 のファイルメーカーによる診療支援システム、看護支援システム Apple Store イベント: コミュニケーションコントロールと新型インフルエンザサーベイランスシステム」 ・2009 年 12 月 5 日(土) 第 1 回 J-SUMMITS 全国集会(岐阜) ・2010 年 2 月 20 日(土) 第 4 回 Site Visits in 姫路(新日鐵広畑病院・平松 晋介 先生) 新日鐵広畑病院の診断書等文書システムについて ・2010 年 5 月 22 日(土) 第 5 回 Site Visits in 米子(山陰労災病院・太田原 顕 先生) 山陰労災病院の FM Pro システムについて ・2010 年 9 月 3 日(金) 第 6 回 Site Visits in 名古屋(名古屋第一赤十字病院・錦見 尚道 先生) FM Pro を使ったサマリ入力、文書作成、CDS との連携など(錦見先生) ・2010 年 12 月 4 日(土) 第 2 回 J-SUMMITS 全国集会(愛媛) ・2011 年 2 月 12 日(土) 第 7 回 Site Visits in 佐賀(佐賀記念病院・山口 秀人 先生) FM Pro により開発された ANNYYS を基幹システムとして佐賀記念病院向けに発展させたシステム事例 【FileMaker 社主催のイベント】 ・2009 年 10 月 30 日(金)FileMaker カンファレンス 2009(東京)
・2010 年 8 月 15 日(日)∼ 18 日(水)FileMaker Developer Conference(サンディエゴ) ・2010 年 10 月 29 日(金)FileMaker カンファレンス(東京)
11
J-SUMMITS News Letter
Vo lu m e 1