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【学位論文審査の要旨】

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Academic year: 2021

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【学位論文審査の要旨】

キャピラリー電気泳動法 (CE)は、極めて高い分離能を有し、極微少量の試料量で分析可 能なことから様々な分野に応用されている。 CEの試料はサブnL〜μLとする必要があり、

その導入法として落差法、電気的注入法、圧力導入法などが用いられている。しかし、高 精度に一定量の試料を導入する方法は未だに存在せず、精密な定量分析を行うことは困難 であった。このような問題を解決するため、極微少量の試料導入にインクジェットを用い る方法を提案した。これにより微少・既知量の試料を再現性よくキャピラリー内に導入す ることが可能となった。更に、CEでは試料量が小さく、また一般的に用いられている光学 的検出における光路長が小さいため、濃度感度が小さい。そこで、インクジェットを用い て比較的大量(サブμL)の試料の一定量を導入後、キャピラリーカラム内で濃縮する方法 について詳細に検討した。

モデル試料としてメチルキサンチン化合物(カフェイン、テオフィリン、テオブロミン)

を用いた。一滴あたりの液滴量は、インクジェットから吐出された既知数の液適量を重量 法により計測し、計算により求めた。その結果、モデル試料溶液 1 滴あたりの液滴量は約

350 pLで再現性の高い吐出が可能であった。また、比較的大量の

試料を導入後、オンライン濃縮法として試料溶液の導電率を小さくすることによるスタッ キング法と、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ミセルを用いたスウィーピング法を用い、

濃縮率・分析条件について詳細に検討した。

比較的大量の試料における導入量は、インクジェットから吐出する液滴数を変化させる ことにより容易かつ正確に制御することが可能であった。更に試料量について液適量を変 化させて検出信号教を測定したところ、1 滴〜100 滴の試料導入量において、カフェイン、

テオフィリン、テオブロミンのいずれも試料導入液滴数に比例した信号が得られた。これ はインクジェットを用いた試料吐出量の再現性が極めて良いこと及び、スタッキングとス ウィーピングを用いた試料濃縮法がこの範囲で良好に動作していることを示している。

更に試料導入量を100滴から1000滴に増加させたところ、いずれの試料とも導入量に依 存した信号強度が得られることがわかった。しかし直線性は 100 滴以下のそれと比べて小 さく、相対標準偏差も大きくなった。

オンライン濃縮を行う際の種々の条件(SDS 濃度、泳動用緩衝液のpHと濃度、印加電 圧他)について最適化後、テオブロミン、カフェイン、テオフィリンの検出限界を求めた ところそれぞれ1.0, 2.0,1.0 μMであった。また本システムを通常法である落差法、電気 的注入法と比較したところ、本システムは電気的注入法のようなディスクリミネーション がなく、落差法と同様な試料導入特性を示すことがわかった。

本試料導入法の実試料への応用として、市販の緑茶中のテオブロミン、カフェイン、テ オフィリンの定量及び添加回収率の試験を行った。テオブロミン、テオフィリンは検出下 限以下で、カフェインは表示値通りの値が検出され。添加回収率はそれぞれ、94.1、 110.6、 86.8 %であった。

(2)

以上のように、本研究は従来困難であったCEの定量的試料導入を実現し、更に大量試料 導入によるオンライン濃縮・定量に成功している。本研究の成果は分析化学的に重要であ るばかりでなく、これまでCEの用いられてきたあらゆる分野に大きなインパクトを与える ものである。よって本論文は博士の学位に値するものと判断する。

参照

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