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ロールシャッハ順位法の研究(?)

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Academic year: 2021

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(1)

ロールシャッハ順位法の研究(?)

その他のタイトル Ranking Rorschach Technique (II)

著者 高橋 雅春, 西尾 博行

雑誌名 関西大学社会学部紀要

15

1

ページ 121‑144

発行年 1983‑11‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/00022770

(2)

ロールシャッハ順位法の研究 (IT)

西

1序 論

ロールシャッハ順位法は,各図版ごとに準備された選択肢に対し,被験者が順位づけを行う集 団ロールシャッハ・テストとして用いられることが多く,被験者の適応状態の良否を判定するス クリーニング・テストとして研究されてきた。われわれも,これまでロールシャッハ順位法に関 する一連の研究を行い,ロールシャッハ順位法の選択肢の問題や評価の方法などについて検討し てきた。

ところでロールシャッハ順位法をスクリーニング・テストとして用いる上で,最も重要な問題 は各図版の選択肢の作成である。ロールシャッハ順位法をはじめて用いた Eysenck,H. (1945)  は,多肢選択法の試行手続を変えて順位法を行ったのであるが,彼はHarrower,M., Steiner,  M. (1945)の多肢選択法の選択肢のA (V図はC Vlll図はB群)から,「何にも見えない」の 項目を除いたものを,そのまま順位法の選択肢として用いている。 Eysenckは,適応状態にあ る被験者が不良反応の選択肢を終わりの方に順位づけ,逆に不適応状態にある被験者が不良反応 の選択肢をはじめの方に順位づけるであろうと考え,被験者が不良反応の選択肢に与えた順位を 得点とし,その得点の大小から被験者の適応状態の良否を判定できると考えた。しかしEysenck の用いた Harrowerらの多肢選択法に含まれる不良反応の選択肢が, Eysenckが考えたよう に,ロールシャッハ順位法において,適応状態にある被験者により,終わりの方に順位づけられ る反応であるかどうかは明確にされていない。 Eysenckは,各選択肢が順位法の選択肢として 妥当かどうかについての検討を行っていないのである。

この点を検討したのは村上・江見 (1956)であるが, かれらは Harrowerらの選択肢を高橋 (1954)がほとんどそのまま翻訳したものを, Eysenckと同じように用いている。そしてかれ らはこの選択肢による順位法を,正常者,非行少年, 精神分裂病者に行い, 「大まかな鑑別診断 のめやすとして, このテストは妥当性をもつものと考えられる。」と述べている。 しかし各選択 肢が,正常者,非行少年,精神分裂病者によってどのように順位づけられたかを検討した結果,

多くの不良反応の選択肢に関し,不適応状態にある被験者が,これらをはじめの方に順位づけて いないことが明らかになった。この結果,村上・江見は選択肢OJ作成に当たり十分な考慮が必要

(3)

関西大学「社会学部紀要』第15巻第1

であると述べているが,その具体的な方法については触れていない。ロールシャッハ順位法をス クリーニング・テストとして用いるさい,選択肢を構成する項目をどのように選定するかは,判 定の精度にかかわる重要な問題であるにもかかわらず,村上• 江見の研究以後,選択肢の作成に 関する研究文献はみられない。

選択肢の作成の問題とともに,ロールシャッハ順位法における第2の重要な問題は,被験者の 順位づけの結果から,個人の得点を求める方法に関するものである。 Eysenck や村上•江見ら は,不良反応の選択肢に被験者が与えた順位を得点とし, 10枚の図版について得られた得点の合 計点を被験者の総得点としている。しかしこの方法では,各図版の 9個の選択肢のうち,不良反 応の4個の選択肢に与えられた順位のみから個人の得点を求めることになり,残りの 5個の良反 応の選択肢に被験者が与えた順位は全く考慮されていない。また順位をそのまま得点とすること に,統計上の問題がないとはいえないし, 4個の不良反応の得点をたんに合計したのでは,被験 者の順位づけの特徴を明確にするのが困難である。たとえばある図版の4個の不良反応を, 1'

2,  3,  4」と順位づけた被験者と,「4, 3,  2,  1」と順位づけた被験者は,得点がともに 10点と等しくなり, 2人の被験者の順位づけの差異が得点に反映されないのである。

村上・江見によると,順位法は被験者が選択した項目のみをとらえる多肢選択法に比べ,各図 版に準備された選択肢を,被験者が順位づけていく過程を寵接的にとらえることにより,いっそ う力動的な分析を行っていくことができる。しかし不良反応の選択肢に被験者が与えた順位のみ に基づいて個人の得点を求める方法では,被験者が各選択肢を順位づけていく過程を個人の得点 に十分反映させることはできない。村上・江見が述べたように,順位づけの過程を直接的にとら ぇ,より力動的な分析を行っていくためには,すべての選択肢への順位づけに基づいた個人の得 点を求めることが必要である。

ロールシャッハ順位法は,短時間に多くの被験者に適用可能であり,結果の整理や判定が容易 に行える特徴を有している。そして被験者の適応状態の良否を判定し,スクリーニング・テスト として使用することが可能である。しかし従来の順位法には,これまで述べたような,解決しな ければならない問題もいくつか存在する。そこでわれわれはこれらの問題を検討し,より有効な 順位法のための選択肢を作成することや,採点方法などについての研究を行ってきた。

II 目 的

ロールシャッハ順位法の選択肢を作成するには,各選択肢を順位づける過程に働く心理学的な 次元を明確にすることが必要である。そこでわれわれは,日本人の集団ロールシャッハ・テスト の自由記述法に生じた反応から,高橋・武田 (1972) が設定した多肢選択法をもとに,高橋• (1981)が作成した選択肢(試案)を正常者と精神分裂病者に適用し,その結果を双対尺度法

(西里, 1982)により分析した。 そして順位づけの過程に働く心理学的次元として, 「知覚の正

(4)

ロールシャッハ順位法の研究(II)(高橋•西尾)

1 図版Iの選択肢

全体・・・・・・.............................•内臓

真中…………•………••人が手をあげている 真中の下••• …………••………....

全体……...…...... …...... 動物の面

全体………胸のレントゲン写真 真中の上の小さい所・…………••カブトムシの角

全体・..................................•岩

::::::::::::::::::::::: ニ:;;:; 

7 1 9 3 8 5 1 2 2  

k k k k k k k k k  

2 図版lIの選択肢

全体…………•………•••••爆発したところ KlO  全体………・2人の人が手を合わせている K 1  ...…......... ……血 KlO 

真中の白い所・...………••ロケット K 6 

真中の上の小さい所・…………••ペン先 K 5 

赤い所をのぞき………•••島のよう K 8 

上の赤い所………•••人の横顔 K 3 

K 7 

赤い所をのぞき…•……… ··2 匹のクマが踊っている K 2 

3図版皿の選択肢

真中の赤い所………•…………••赤いチョウネクタイ K 4  .........…........ …………・火と煙 KlO 

黒の上の所•………••トリの頭 K 5 

真中の赤い所……••………•肺 K 7 

赤い所をのぞき……•…………..2人の人が何か引っぱっている K 1 

真中の下の方……・………・・レントゲン写真 K 8 

全体••... …....... ……•• …•黒と赤 Kll 

真中の下の方·………••カニ K 2 

下の方の左右•………••サカナ K 2  

4図版IVの選択肢 全体...………•• ………•大男

全体…....…  …........ 胸のあたり

全体………•………・・レントゲン写真

:::::::::: 二

上の方の左右…...・..………•• •ヘビ 下の方の左右•••...... …• ••足

1 7 2 8 1 8 2 5 3  

k k k k k k k k k  

‑123‑

(5)

関西大学「社会学部紀要」第15巻第1 5 図版Vの選択肢

全体....………•• ••…... …••黒い色 K U  

全体•…………...……... ・・・チョウかガ K 2 

全体·………•………•………何かおしつぶされたもの K U   真中の上………•カタツムリの頭 K 5  .............….............. バレーの踊り子 K 1 

全体……...………... ………••毛皮 K 9 

全体・..................................•骨 K 7 

左右のはし…•………•…………•ワニの顔 K 5 

全体・・・・・・••• …………... ……••• コウモリ K 2 

6図版VIの選択肢

土ご:::::::二:::::::::::::::::::::~;

....................................くんしょう

全体・ …........ …................ …••爆発したところ 下の方の左右………•…………••天狗の面 上の方の一部分………羽

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!~:';

2 7 3 7 8 3 3 3 1

  k k k k k k k k k  

1 図版Vl1の選択肢

全体・..................................•しみ Kll 

全体..………・2匹のゾウの曲芸 K 2 

......................……肛門 K 7 

下の方をのぞき………••………•女の人が 2 人話している K 1  ...................................しょうが K 9  真中の白い所………••••••花びん K 6  下の所・・...…• ● ● ●  ● ● ● ● ●  ● • • ........ ・・チョウ K 2 

::::::~ ~:

8 図版珊の選択肢

真中の青い所・………••コウモリ K 2  ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 界地図 ~l~

;;~::::::::

~:

上の方…..………•山のある風最 K 3 

全体………•いろいろな色の火がもえている Kll 

両側••…•• •• • .. ● ● ●  ● ● ● ● ● ●  • 2匹のけもの K 2  KlO 

(6)

ロールシャッハ順位法の研究 (II)(高橋・西尼)

9 図版IXの選択肢 下の赤い所・・・••…..……•• ………果物4個

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 心;;;;,

上の両側………魔法使い

全体·…•………血と絵具を流したよう ............................・・リュウ

全体・・・・・・・・・•……•...…爆発したところ 上の方の白い所・・・・..…• ………••バイオリン

4 9 3 1 1 2 0 3 9   k k k k k k k k k   10 図版Xの選択肢

内側の黄色い所…•………••ヒョコ K 4  

左右,上の青い所…•…………••カニ K 2 

桃色の大きい所・・………•火がふきでている KlD  一番上の所…...….... ・ K 3  全体..・ KlD 

桃色の大きい所………人間 K 1 

全体••………•海底でサンゴやサカナなどがきれい K 4   ...............................t, ヽろいろな色のごみ Kll  桃色の大きい所・・・・…••• ・..…・・・ナマコ K 9 

キー・ナンバー K 1  K 2  K 3  K 4  K 5  K 6  K 7  K 8  K 9  KlO  Kll 

11 キー・ナンバー (K)の定義

人間運動反応 (M) 動物反応 (Aまたは FM) 良形態反応 (F+) FCまたは良好なCF 小部分反応 (d) 空白反応 (S) 解剖反応 (At) 不定形で漠然とした反応 不良形態反応 (F‑)

CFまたはCに近い反応

色彩名反応 (Cn)または全く形がなかったり不快感を伴うもの 12 キー・ナンバー (K)の頻度

K'図版..lrrlmlIVlvlvrlwl IIX I 1%

8.9  16  17.8  13  14.4 

5.6 

6. 7 

2.2 

8.9  8.9 

, 

6. 7 

10  8.9 

11  10  11.1 

(7)

関西大学『社会学部紀要」第15巻第1

13 の 選

1 2 3 4 5 6 7 8 9  

7 1 9 3 8 5 1 2 2  

k k k k k k k k k  

内臓

人が手をあげている

動物の面

胸のレントゲン写真 カプトムシの角

コウモリ 動物の姿

0.3(5.2)  8.0(9.4)  0.3(1.0)  23.6(12.5)  2.6(4.2)  6. 2(10. 4)  0. 7(1. 0)  43. 0(51. 0)  15.3(5.2) 

1. 8(13. 5)  11. 9(9. 4)  3.7(4.2)  14.8(10.4)  6.0(7.3)  15.5(15.6)  2.8(2.1)  20.8(14.6)  22.6(22.9) 

4.7(10.4)  13.2(13.5)  7.0(5.2)  13.0(12.5)  8.3(14.6)  18.4(12.5)  2.4(5.2)  15.3(12.5)  17.6(13.5) 

14 I I   の 選 択 肢

1 2 3 4 5 6 7 8 9  

0 1 0 6 5 8 3 7 2   1 1   k k k k k k k k k  

爆発したところ

2人の人が手を合わせている

ロケット ペン先 島のよう 人の横顔

2匹のクマが踊っている

0.3(3.1)  61. 7(36. 5)  3.1(13.5)  5.9(9.4)  0.8(2.1)  1.  1(5. 2)  1.  1(4. 2)  0.8(9.4)  25.1(16.7) 

1. 8(13. 5)  16.8(15.6)  5.2(15.6)  22. 5(11. 5)  4.1(3.1)  3.1(4.2)  15.3(9.4)  3.1(10.4)  28.2(16.7) 

1.5(8.3)  5.7(10.4)  8.3(14.6)  24.9(19.8)  13.0(7.3)  6.7(10.4)  13.8(9.4)  6.7(10.4)  19.4(9.4) 

15

1 2 3 4 5 6 7 8 9  

K 4 

KlO  K 5  K 7  K 1  K 8  Kll  K 2  K 2 

赤いチョウネクタイ 火と煙

トリの頭

2人の人が何か引っぱっている レントゲン写真

黒と赤 カニ サカナ

8.6(28.1)  0. 2(2.1)  2.6(2.1)  0.0(4.2)  87.5(52.1)  0.3(2.1)  0.7(7.3)  0.2(2.1)  0.0(0.0) 

62. 1(31. 3)  1. 0(8. 3)  11. 4(11. 5)  0.3(7.3)  8.1(16.7)  2.8(9.4)  3.1(10.4)  9.4(2.1)  1. 8(3.1) 

16.8(13.5)  2.9(7.3)  26.7(22.9)  3.4(16.7)  2.4(6.3)  8.1(8.3)  7.2(15.6)  24.1(7.3)  8.3(2.1) 

(8)

ロールシャッハ順位法の研究 (II)(高橋•西尾)

の 選 択 順 位 の 比 率

, 

8.1(10.4)  10.3(22.9)  11. 7(7. 3)  18.7(7.3)  20.7(15.6)  23.6(7.3)  12.4(7.3)  12.2(12.5)  9.4(10.4)  6.5(14.6)  9. 4(11. 5)  16. 9(11. 5)  12.7(6.3)  16.1(9.4)  16.6(14.6)  13.0(19.8)  15.6(20.8)  14.8(18.8)  10.4(16.7)  10. 3(11. 5)  8.1(15.6)  10.1(10.4)  7.0(7.3)  2.6(3.1)  12.2(16.7)  12.2(13.5)  16.4(16.7)  18.6(9.4)  17.6(10.4)  6.0(7.3)  16.9(10.4)  16.1(14.6)  9.1(14.6)  8. 8(11. 5)  6.2(5.2)  2.8(5.2)  5.4(11.5)  9.6(6.3)  14.7(10.4)  18.1(15.6)  16.3(15.6)  30.1(32.3)  6.0(5.2)  4.1(3.1)  5.0(2.1)  2.3(4.2)  2.9(5.2)  0.5(2.1)  15.8(15.6)  9.1(6.3)  8.8(8.3)  3.9(7.3)  4.2(8.3)  2.6(12.5) 

正常者(精神分裂病者)

の 選 択 順 位 の 比 率

, 

4.2(2.1)  7.0(10.4)  10.3(10.4)  14. 2(11. 5)  25.7(13.5)  35.0(27.1)  3.7(10.4)  3.6(8.3)  2.0(5.2)  2.0(4.2)  2.9(4.2)  1. 6(5. 2)  8.1(5.2)  10.9(5.2)  13.7(12.5)  16.6(8.3)  16.9(9.4)  17.1(15.6)  19.4(12.5)  12.7(12.5)  7. 0(10. 4)  3.6(8.3)  3.1(6.3)  1. 0(9. 4)  22.6(8.3)  24.1(17.7)  16.1(19.8)  9.4(14.6)  5.4(18.8)  4.4(8.3)  8.3(18.8)  13.2(10.4)  18.1(16.7)  20.2(10.4)  19.1(20.8)  10. 3(3.1)  15.3(12.5)  10.3(13.5)  8.6(9.4)  9.8(16.7)  9.6(14.6)  16.1(10.4)  9.6(13.5)  12.1(11. 5)  18.7(7.3)  21. 7(16. 7)  15.3(8.3)  12.1(12.5)  8.6(16.7)  6. 2(10. 4)  5.5(8.3)  2.6(9.4)  2.0(4.2)  2.4(8.3) 

正常者(精神分裂病者)

の 選 択 順 位 の 比 率

, 

7.5(8.3)  2.8(5.2)  1. 8(1. 0)  0.2(7.3)  0.2(2.1)  0.2(3.1)  5.0(6.3)  5.0(10.4)  10.7(12.5)  15.5(16.7)  19.9(19.8)  39.7(16.7)  20.0(17.7)  15.6(13.5)  8.5(9.4)  6.8(6.3)  5.2(10.4)  3.1(6.3)  8.5(16.7)  15.0(12.5)  20.4(15.6)  19.2(12.5)  20.0(6.3)  13.2(8.3)  1. 0(11. 5)  0.3(5.2)  0.2(3.1)  0.2(3.1)  0. 0(1. 0)  0.3(1.0)  10.1(10. 4)  15. 5(19. 8)  18.2(17.7)  19. 9(11. 5)  17.3(12.5)  7.8(8.3)  10.4(9.4)  9.9(9.4)  15.3(13.5)  17.4(13.5)  19.1(9.4)  16.9(11.5)  22. 3(11. 5)  17.9(16.7)  10.7(18.8)  7.3(16.7)  5.0(18.8)  2.9(6.3)  15.1(8.3)  17.9(7.3)  14.2(8.3)  13.5(12.5)  13.4(19.8)  15.8(38.5) 

正常者(精神分裂病者)

参照

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