そこで本稿では,松山市中心部における駐輪行動に
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(2) このため,松山市では,違法駐輪をしようとしてい. 駐輪場を利用しておらず,1 回利用 100 円の有料駐輪場. る人への指導員による注意,路上駐輪車両に対する警告. が中心市街地には点在しているが,料金を支払うことに. 書の貼付,長期放置自転車の撤去等の対策を行ってきた. 関して非常に嫌がっているということが分かる.. が大幅な効果を挙げるには至らず,2009 年 4 月からは 路上駐輪車両を発見しだい有料駐輪場へ移動し,一時保. 2%. 管の後に撤去などの対策強化がとられている. (2)調査項目. 常に駐輪場に駐輪. 6% 19%. 32%. N=191. 2009 年 7 月に愛媛大学の学生約 200 名を対象として. 駐輪場に駐輪することが多い 路上に駐輪することが多い. 松山市中心部での駐輪行動に関するアンケート調査を実. 常に路上に駐輪する. 施した.主な調査項目は以下の通りである.. 41%. 無回答. ① 普段や今までの中心市街地での駐輪行動 中心市街地への自転車来訪頻度,自転車撤去経験(回. 図-2 普段の駐輪場所. 数,日にち),指導員からの注意の経験(回数,日に ち)など ② 一番最近の中心市街地での駐輪行動 滞在日,来訪人数,駐輪行動,駐輪場所,目的地,放 置自転車数,指導員の有無,今までの路上駐輪の連続回 数,周囲の自転車を撤去された人の有無など ③ 仮想の状況での駐輪行動 実験計画法に基づき,駐輪料金,過去の指導員からの. 0~5%. 1%. 2%. 5~10%. 5%. 3%. 10~20%. 20%. 20~30%. 11%. 30~40%. N=191. 6% 12%. 40~50% 50~60%. 27%. 注意,過去の自転車撤去経験を表-1にように変化させ. 60~70%. 13%. 70~80%. たアンケートを 2 種類用意し,1 個人あたり A~D の 4. 80~100%. パターンそれぞれの状況下での駐輪行動を尋ねている. 図-3 被験者が思う自転車撤去の可能性 表-1 質問パターン(SP) アンケートの種類 パターン 駐輪料金 指導員からの注意 過去の自転車撤去 A 50円 経験なし 経験なし B 200円 経験なし 1年 1 C 50円 2週間前 3ヶ月 D 200円 2週間前 1ヶ月 A 50円 2ヶ月 1ヶ月 B 200円 2ヶ月 3ヶ月 2 C 50円 2週間前 1年 D 200円 2週間前 経験なし. 3.基礎集計 ここでは,主に過去の経験が駐輪行動(駐輪場に駐輪,. 2% 1% 2% 3% 10%. 3% 11%. N=191. 5% 6%. 5%. もしくは路上に駐輪する)に及ぼす影響に着目して,ア. 52%. 無回答 0円 100円 200円 300円 400,500円 600円,700円 1000円 2000円 3000円 3000円~. ンケート調査データの基礎集計結果を報告する. 図-4 過去に支払った合計駐輪料金 ① 駐輪行動の現状 まず,普段の駐輪行動について集計した.結果を図. ② 過去の駐輪行動. -2に示す.ほとんどの学生が路上に駐輪しており,あ. 次に,違法駐輪対策に効果があると考えられる放置. まり駐輪場を利用する被験者は少ないということが分か. 自転車撤去と指導員からの違法駐輪の注意の 2 つの経験. る. また,被験者の思う自転車撤去の可能性について. について,結果を図-5,図-6に示す.これらのグラ. 図-3に示す.この結果より,半数近くの人が路上駐輪. フより,自転車を撤去された経験がある人は全体の. をしても 10%くらいの確率でしか,自転車は撤去され. 15%と少ないが,指導員から注意を受けた経験を持つ被. ないと考えており,このような意識が図-2に示したよ. 験者は 3/4 以上を占めていることが分かる.. うにほとんど路上駐輪するようになっていると考えられ る.また,図-4は過去に支払った合計駐輪料金である が,半数が 0 円となっており,図-1で示している有料.
(3) 0%. 15%. 撤去経験あり. N=191. 撤去経験なし. 20%. 40%. 60%. 80%. 100%. 注意経験あり (N=146). 85% 注意経験なし (N=45). 図-5 過去の自転車撤去経験 駐輪場に駐輪. 路上に駐輪. 無回答. 図-6 注意経験ごとの前回の駐輪行動 24%. 4 駐輪行動のモデル分析 N=191. 注意経験あり. アンケート調査における,一番最近の中心部での駐輪. 注意経験なし. 行動を対象として,駐輪場と路上のいずれに駐輪するか を表現する 2 項ロジットモデルを構築した.ここで,前. 76%. 章で述べたように,撤去経験の有無や時期に偏りがある 可能性が予想されたと共に,駐輪料金についてもほとん 図-4 指導員からの注意経験. どばらつきがないため,アンケート調査では,駐輪料金 と過去の注意・撤去経験を変化させた SP データも行っ ている.そこで,RP/SP 融合推定法 4)により未知パラメ. ③ 前回の行動と過去の経験 さらに,先ほどの撤去経験と注意経験それぞれについ. ータを推定した.説明変数としては,駐輪時間や滞在時. て,一番最近の駐輪行動とのクロス集計の結果を図-5,. 間などの駐輪時の状況,駐輪料金,注意および撤去経験. 図-6に示す.この結果より,駐輪行動は過去の撤去経. を用いた.ここで,過去の経験の影響については,次式. 験や注意経験はあまり影響していないように考えられる.. のように最も一般的な指数関数型の減衰率(時間選好. この原因としては,撤去経験のあるサンプルが少ないと. 率)を適用した.. いったことや,撤去経験や注意経験が 1 年前といったよ. uit i e iti. うにかなり過去に起きたため,刺激が弱まっているとい ったことが考えられる. 0%. 20%. (1). ここに, uit :t 日前の経験 i による効用の現在価値,. e i t i :t 日前の経験 i の減衰率, i , i は未知パラメー 40%. 60%. 80%. 撤去経験あり (N=29). 撤去経験なし (N=162) 駐輪場に駐輪. 路上に駐輪. 無回答. 図-5 撤去経験ごとの前回の駐輪行動. 100%. タであり,i としては注意と撤去の 2 種類を考えている. RP/SP モデルの推定結果を表-2に示す. 表-2 推定結果 t値 説明変数 推定値 駐輪時の状況 夜19時以降の駐輪(RP) -1.40 -1.66 1.35 滞在時間(共通) 6.08 過去の経験 注意(共通) -1.46 -0.89 注意の減衰率(共通) -1.22 -0.84 2.83 撤去(共通) 13.1 3.19 撤去の減衰率(共通) 1.67 路上駐輪連続回数(共通) -0.231 -2.33 注意経験なし(RP) -2.24 -1.25 2.43 撤去経験なし(RP) 10.3 その他 駐輪料金(共通) -51.3 -2.57 2.07 周囲の人の撤去(共通) 1.11 定数項(SP) -4.20 -1.78 定数項(RP) -4.43 -1.77 2.53 スケールパラメータ(SP) 0.237 138 サンプル数 0.274 Macfaddenの決定係数.
(4) ここで,説明変数の( )内の共通とはその説明変. その他の説明変数に関しては,駐輪料金は有意に負に. 数を RP モデル,SP モデル共通で用いていることを表し,. 推定されているため,駐輪料金を支払うことに抵抗があ. RP,SP とはそれぞれのモデルのみに使用していること. るということが分かる.しかし,現在松山市内の駐輪場. を意味する.また,説明変数は駐輪時の状況,過去の経. のほとんどは,有料であるため,駐輪料金を安くするよ. 験,その他の大きく分けて,3 つに分類する.. うなサービスが必要になってくると考えられる.次に,. まず駐輪時の状況について表している説明変数の考察. 周囲の人の撤去とは,被験者の周囲の人で放置自転車の. を行う.滞在時間については,推定値が正に推定されて. 撤去にあった人がいるかどうかのことである.この説明. いることから,中心市街地での滞在時間が長ければ駐輪. 変数は,正に有意に推定されているため,自分が撤去さ. 場を利用しやすく,逆に短い滞在時間だとあまり駐輪場. れずとも,周囲の人の撤去により,撤去のリスクを高く. を利用しないということが言える.また,夜 19 時以降. 感じるということが分かる.この結果から,ある程度放. の駐輪ダミーでは負に推定されている.この原因として. 置自転車撤去の頻度を増やすことで,その路上駐輪した. は,夜は違法駐輪の注意を行っている指導員がいないた. 人だけでなく,その周辺の人にも影響を与えることがで. めに路上に駐輪しやすいということが推測される.. きるということが分かる.定数項に関しては,SP モデ. 次に過去の経験に関する説明変数の考察を行う.表-. ル,RP モデルともに負の値をとっている.このことは,. 2に示された注意,注意の減衰率,撤去,撤去の減衰率. もともと駐輪場への駐輪よりも路上駐輪の方が効用が高. の推定値から算出した,それぞれの時間の経過による部. いということを示している.モデルの適合度に関しては,. 分効用の変化を図-7に示す.このグラフより相対的に. スケールパラメータの値が低い値をとっているため,RP. 注意されるより撤去された経験のある方が,駐輪場に駐. モデルの分散が非常に大きく,決定係数の低さも考える. 輪する傾向にあるということが分かる.また,注意に関. と,RP モデルの適合度が悪いと言える.この原因とし. しては,あまり有意に推定されておらず,推定値も 0 に. ては,過去の注意と撤去の関係性や駐輪行動という繰り. 近い値を示していることから,あまり効果がないと考え. 返し行動に対して,直近の経験のみを考慮してしまった. られる.逆に撤去された場合に関しては,有意に正に推. ことが原因のひとつであると考えられる.. 定されており,より駐輪場への駐輪を導くようになる. また,その一方で減衰率も有意に推定されているため,. 5.おわりに. 時間の経過に伴い,効用は減少していくということも明 らかになった.次に路上駐輪連続回数についてだが,こ. 本稿では,過去の行動が現在の行動にどう影響を与. れは今までの路上駐輪の連続回数を意味する.結果は推. えるのかについて,時間軸に着目して分析を行った.そ. 定値が負に有意に推定されているため,路上駐輪をして. の結果,現在の行動は,過去の行動に大きく影響される. 撤去されない日が続けば続くほど,路上駐輪しやすいと. ということが分かった.また,過去の行動は減衰率を持. いうことが分かる.このことは,人の習慣強度を表して. っており,時間の経過に伴い刺激が弱まるということが. いるとも言えよう.. 明らかとなった. 本稿で用いたモデルにおいて,過去の注意の経験と 撤去の経験を独立した変数として考えたが,実際は相互. 部分効用. 14 12. 作用があることも考えられる.さらに,本稿では,直近. 10. の経験だけを考慮しているが,さらに厳密に人の行動を 表そうと考えると,過去の行動により,現在の行動が更. 8 6. 注意. 4. 撤去. 2. 新されていくような繰り返しの行動を考える必要性があ る.. 0 -2 0. 100. 200. 300. 400. 参考文献. -4. 経過時間(日). 図-7 注意,撤去の時間の経過に伴う部分効用の変化. 1) 2) 3) 4). レビューとして,北村隆一,森川高行,佐々木邦明, 藤井聡,山本俊行:交通行動の分析とモデリング- 理論/モデル/調査/応用-,技法堂出版,2002. Miscellany: The present value of the past, Journal of Political Economy, Vol.78, No.4, pp.783-792, 1970. レビューとして,佐伯大輔:遅延報酬の価値割引と 時間選好,行動分析学,Vol.16(2), pp.154-169, 2002. 森川高行,Ben-Akiva, M.:RP データと SP データ を同時に用いた非集計行動モデルの推定法,交通工 学,Vol.27,No.4,pp.21-30,1992..
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