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Academic year: 2022

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氏 名 德永 紳

授 与 し た 学 位 博士

専攻分野の名称 薬学

学位記授与番号 博甲第3861号

学位授与の日付 平成21年3月25日

学位授与の要件 博士の学位論文提出者

(学位規則第5条第10項該当)

学位論文の題目 ラットの睡眠覚醒サイクルに対する抗ヒスタミン薬の効果

論 文 審 査 委 員 教授 龜井 千晃 教授 佐々木 健二 准教授 北村 佳久 教授 川崎 博己

学位論文内容の要旨

現在,不眠症に対する治療薬として,ベンゾジアゼピン系睡眠薬が繁用されている.ベンゾジ アゼピン系睡眠薬は,優れた催眠作用を有し,安全性が高いことから,非常に有用な睡眠薬であ るといわれている.しかし,ベンゾジアゼピン系睡眠薬は,反跳性不眠,健忘および筋弛緩作用 による転倒や骨折,依存性などの問題があることが指摘され,その使用には十分な注意が必要と されている.最近では,これらベンゾジアゼピン系睡眠薬の欠点を克服した新規睡眠薬の開発が 期待されている.

一方,蕁麻疹,アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎および花粉症などに広く使用されている 抗ヒスタミン薬は,鎮静,注意力減退および傾眠などの中枢抑制作用を有することがよく知られ ている.抗ヒスタミン薬が中枢抑制作用を示すことをヒトや動物で検討した成績は多いが,睡眠 覚醒サイクルに対する効果を動物実験で詳細に検討した成績は少ない.

そこで,本研究では,抗ヒスタミン薬の睡眠薬としての可能性を検討する目的で,ラット脳波 の周波数解析を用いて抗ヒスタミン薬の徐波化作用について検討するとともに,正常ラットおよ び睡眠障害ラットの睡眠覚醒サイクルに対する抗ヒスタミン薬の効果を検討した.

その結果,睡眠障害ラットにおいて,ジフェンヒドラミン,クロルフェニラミン,プロメタジ ンおよびシプロヘプタジンは,睡眠導入潜時を有意に短縮させた.したがって,抗ヒスタミン薬 は,入眠障害に対して睡眠導入薬として有用であると考えられた.特に,シプロヘプタジンは,

覚醒時間の減少,NREMおよびREM睡眠時間の増加作用も示したことから,中途覚醒に対して も有用であると考えられた.さらに,シプロヘプタジンは,徐波睡眠およびデルタパワーを増加 させたことから,睡眠の質を改善する薬物である可能性が高い.シプロヘプタジンは,ベンゾジ アゼピン系睡眠薬で認められる反跳性不眠も誘発しないことから,ベンゾジアゼピン系睡眠薬の 欠点を克服した理想的な睡眠薬になり得る可能性が示唆された.

(2)

論文審査結果の要旨

本研究は,現在,不眠症に対する治療薬として用いられているベンゾジアゼ ピン系睡眠薬の副作用である反跳性不眠,健忘および筋弛緩作用による転倒や 骨折,依存性などのない新規睡眠薬として,抗ヒスタミン薬が,その目的に合 致しているのではないかと考えて行われた.

その結果,睡眠障害ラットにおいて,ジフェンヒドラミン,クロルフェニラ ミン,プロメタジンおよびシプロヘプタジンは,睡眠導入潜時を有意に短縮さ せた.したがって,抗ヒスタミン薬は,入眠障害に対して睡眠導入薬として有 用であると考えられた.特に,シプロヘプタジンは,覚醒時間の減少,NREM および REM 睡眠時間の増加作用も示したことから,中途覚醒に対しても有用で あると考えられた.さらに,シプロヘプタジンは,徐波睡眠およびデルタパワ ーを増加させたことから,睡眠の質を改善する薬物である可能性が高い.シプ ロヘプタジンは,ベンゾジアゼピン系睡眠薬で認められる反跳性不眠も誘発し ないことから,ベンゾジアゼピン系睡眠薬の欠点を克服した理想的な睡眠薬に なり得る可能性が示唆された.

以上の成績は抗ヒスタミン薬,特にシプロヘプタジンが,ベンゾジアゼピン

系睡眠薬でみられる反跳性不眠および耐性が発現しない睡眠薬である可能性を

示すことを見出した点で新規であり,博士(薬学)の学位に値すると判断した.

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