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(1)論文の構成

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氏 名 古賀 泰敬 学位の種類 博士(理学)

報告番号 甲第559号 学位授与年月日 2021 年 3 月 31 日

学位授与の要件 学位規則(昭和28年4月1日文部省令第9号) 第4条第1項該当

学位論文題目 Photon Surface and Relevant Phenomena

(光子曲面とその周辺の理論的現象)

審査委員 (主査) 小林 努 (立教大学大学院教授)

原田 知広(立教大学大学院教授)

北本 俊二(立教大学大学院教授)

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Ⅰ.論文の内容の要旨

(1)論文の構成

本論文の第一章は、論文全体に対する導入である。第二章では、本論文の主要 なテーマである光子面の基礎となる概念として光子球が導入され、その重要な 宇宙物理学的応用の一つであるブラックホールの影について解説がなされる。

第三章では、光子面とその安定性の定義が与えられる。この第三章の一部と第四 章から第八章までが、申請者によるオリジナルな研究成果をまとめたものであ る。第四章では、アインシュタイン方程式の解となる、対称性の低い時空にも光 子面が存在することが具体例によって示される。第五章では、球対称な系におけ る光子流体の降着問題が考察され、音速点-光子球(面)対応( 「音速点と光子球(面) が一致する」

)が定理として確立される。第六章では、音速点-光子球対応が回転

降着流の場合に拡張され、続いて第七章では、双曲対称ならびに平面対称な系に 拡張される。第八章では、張力のみを持つ無限に薄い面で接続された時空におい て、その接続面が光子面であることが示され、その結果がワームホール時空に応 用される。第九章で本論文の結論が与えられる。

(2)論文の内容要旨

本論文で、申請者は光子球と光子面の諸性質を調べた。

第三章の後半では、光子球の安定性の概念を光子面の安定性の概念へと拡張 した。

第四章では、これまで対称性の高い時空にのみ存在すると考えられていた光 子面が、より対称性が低い時空にも存在することを、具体例を提示することで示 した。また、その時空が高々電磁場が存在する場合のアインシュタイン方程式の 解であることも指摘した。

第五章では、球対称系における流体の降着問題において、これまでシュバルツ シルド時空で知られていた「光子流体の音速点が光子球(面)に一致する」という 結果が、広く一般の

D

次元静的球対称時空で成立することを証明し、その事実 を「音速点-光子球(面)対応」として確立させた。

第六章では、第五章の結果を回転する円盤状の降着流の場合に拡張し、時空が 球対称であれば回転する降着流の場合にも音速点-光子球対応が成り立つことを 示した。

第七章では、第五章の結果を

D

次元静的双曲対称・平面対称時空の場合に拡

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張した。

第八章では、張力のみを持つ無限に薄い面で接続された時空における光子面 の位置を調べ、接続面と光子面が一致することを示した。このような無限に薄い 面を導入することにより、ワームホール時空を構成できる。すでに知られている 光子面の唯一性定理と申請者がここで得た結果を組み合わせることで、このよ うに構成されたワームホール時空の唯一性定理を示すことにも成功した。

Ⅱ.論文審査の結果の要旨

(1)論文の特徴

本論文の特徴は、光によるブラックホール近傍の観測においても重要となる 概念である光子球・光子面の特に幾何学的な側面に着目し、これまではごく限ら れた場合にしか知られていなかった、そもそもの光子面の存在、ならびに光子流 体の音速点と光子球の一致といった結果を、より対称性の低い時空、一般の時空 次元、必ずしもアインシュタイン方程式の解とは限らない時空、異なる対称性を 持った時空の場合に明快に拡張した点にある。

(2)論文の評価

電波望遠鏡によるブラックホールの「影」の撮像は、近年の宇宙物理学の進展

の中でもインパクトが大きかった。このような話題の背後にある光子球とそれ

を一般化した光子面という概念について、その諸性質を深く掘り下げるこのよ

うな基礎研究には大きな意義がある。特に、既存の結果を異なる対称性ないしは

より低い対称性を持つ時空や一般次元へと拡張することで、光子球・光子面の本

質的な性質を浮き彫りにしようとするアプローチはきわめて独創的かつ本研究

で有効に機能したと言える。本論文のもととなっている六編の論文は古賀氏を

筆頭著者としている。六編のうち最新の一編は現在査読中であるものの、五編は

評価の高い国際的な学術論文誌に掲載済であり、一連の研究はこの分野の研究

者に評価されていることがわかる。

参照

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