代数学と演習 I(課題) 第8 回 2020/05/19
1. Z/mZ の単元・ゼロ因子・ベキゼロ元に関して.
(a)Z/2Z の可逆元(1コ)・ゼロ因子(1コ)・ベキゼロ元(1コ)をすべて書き出せ.
(b)Z/3Z の可逆元(2コ)・ゼロ因子(1コ)・ベキゼロ元(1コ)をすべて書き出せ.
(c)Z/4Z の可逆元(2コ)・ゼロ因子(2コ)・ベキゼロ元(2コ)をすべて書き出せ.
(d)Z/5Z の可逆元(4コ)・ゼロ因子(1コ)・ベキゼロ元(1コ)をすべて書き出せ.
(e)Z/6Z の可逆元(2コ)・ゼロ因子(4コ)・ベキゼロ元(1コ)をすべて書き出せ.
(f)Z/7Z の可逆元(6コ)・ゼロ因子(1コ)・ベキゼロ元(1コ)をすべて書き出せ.
(g)Z/8Z の可逆元(4コ)・ゼロ因子(4コ)・ベキゼロ元(4コ)をすべて書き出せ.
(h)Z/9Z の可逆元(6コ)・ゼロ因子(3コ)・ベキゼロ元(3コ)をすべて書き出せ.
(i)Z/10Z の可逆元(4コ)・ゼロ因子(6コ)・ベキゼロ元(1コ)をすべて書き出せ.
(j)Z/11Z の可逆元(10コ)・ゼロ因子(1コ)・ベキゼロ元(1コ)をすべて書き出せ.
(k)Z/12Z の可逆元(4コ)・ゼロ因子(8コ)・ベキゼロ元(2コ)をすべて書き出せ.
(l)Z/18Z の可逆元・ゼロ因子・ベキゼロ元をすべて書き出せ.
[コメント] m が素数のときに環Z/mZ に面白いことが起きてそう.次回学習するのでお楽しみに.
2. 環 Z/mZ に関して.
(a)主張「Z/mZ = (Z/mZ)×⊔ {Z/mZ のゼロ因子たち}(非交和)」を示せ.ここで,非交和 とは“共通部分が空である二つの集合たちの和集合”という意味.
(b)主張「Z/mZのベキゼロ元は ¯0 のみ ⇐⇒ m は平方因子をもたない」を示せ.
[ヒント] (a) は,(⊃) は自明なので,逆の包含「Z/mZ ⊂ (Z/mZ)×∪ {Z/mZ のゼロ因子たち}」を示 し(最大公約数と素因数分解がキーワード)た後に,共通部分が空な理由を(授業でやった命題 を用いて)いえばよい.(b) は否定の主張を示した方がスッキリする.
3. 行列環の左ゼロ因子・ベキゼロ元の例に関して.
(a)a, b, c∈R に対し,X := (a b0c) がベキゼロ元になるための a, b, c の必要十分条件を述べよ.
(b)∀a, b, c∈R に対して,X :=
(0a b
0 0c 0 0 0
)
がベキゼロ元であることを示せ.
(c)X := (1 23 6) に関して.
i. 固有値が 0 と7 であることを確かめ,0 に対する固有ベクトル v をひとつ見つけよ.
ii. この v を並べた 2 次正方行列 A:= (v|v) に対して,積 XA を計算せよ.
iii. 上のことを用い,X が左ゼロ因子であることを確かめよ.
(d)X :=
(√ 2 1
−2 −√ 2
)
に関して.
i. 固有値(重複込みで2つ)を求め,固有値ベクトル v をひとつみつけよ.
ii. w ∈R2 で Xw =v をみたすものをひとつみつけよ.
iii. 2 次正方行列 P := (v|w) が正則であることを示し,J :=P−1XP を求めよ.
iv. 上の J を用い,X がベキゼロ元であることを示せ(X の具体的な計算なしに).
[コメント] (d-iii) の形の行列 J を X のジョルダン標準形という.行列は一般には対角化はできないが,
ジョルダン標準形にすることは可能.
(1/2) 担当:柴田大樹(C2号館 7階)
代数学と演習 I(課題) 第8 回 2020/05/19
4. 一般的な性質.
環R̸= 0 について.
(a)可逆元は右ゼロ因子にならないことを示せ.
(b)任意のベキゼロ元 x∈R に対して,1−x が可逆元になることを示せ.
[ヒント] (b)はまず騙されたと思って,勝手なr ∈Rと自然数 nに対して,(1−r)(1 +r+r2+· · ·+rn) を計算してみよ.
5. [発展] 可換環のベキゼロ元全体の集合について.
可換環 Rに対し,そのベキゼロ元全体の集合を Nil(R) とかく:
Nil(R) :={a∈R| ∃k ∈N s.t. ak = 0}.
(a)0∈Nil(R) を示せ.
(b)Rとの積で Nil(R)は閉じていること(i.e. ∀a∈R,∀b∈Nil(R), ab∈Nil(R))を証明せよ.
(c)和でNil(R) は閉じていること(i.e. ∀a, b ∈Nil(R), a+b∈Nil(R))を証明せよ.
[ヒント] (c) は以前やった「二項定理」を用いるべき.また,R の可換性を用いた箇所を明記するような 文章にすること.
[コメント] この授業では出てこないが,これは Nil(R) が R のイデアルとなることを意味する.
6. [発展] 開区間 I 上の R-連続関数全体のなす可換環 C0(I,R) に関して.
(a)C0(I,R) の 0 以外のゼロ因子をあげよ.
(b)Nil(C0(I,R)) はどうなるか?
(c)固定した定数 c ∈I に対して fc(x) :=x−c (x ∈ I) を考える.これはもちろん C0(I,R) の元となる.この fc はC0(I,R) の可逆元でもゼロ因子でないことを示せ.
[ヒント] (c) について.問題の fc が fc ̸∈ C0(I,R)× であることを見るのはたやすい.次に fc がゼロ因 子だと仮定して,存在する 0̸=g∈C0(I,R) with fcg= 0 に関して ε-δ を用いて矛盾を導く.
[コメント] この問題から,一般の環には可逆元でもゼロ因子でもない元が存在することが分かる.
レポート課題は (1-l), (2-a), (4-b) の3題.
提出期限は 5/21 23:59 まで.
(2/2) 担当:柴田大樹(C2号館 7階)