キャピラリー電気泳動を用いた
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(3) 目次. 序論. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 1. 第1章 キャピラリー電気泳動概説. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 3. 第1節 キャピラリー電気泳動法. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 3. 第2節 キャピラリー電気泳動質量分析法. ・・・・・・・・・・・・・・・. 5. 第2章 In-capillary 誘導体化法を用いた健康食品中のグルコサミン定量法 の開発. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 6. 第1節 緒言. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 6. 第2節 実験方法. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 第1項 試薬および試液. 7 7. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 7. 第2項 試料. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 第3項 装置および測定条件. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 8. 第4項 試験溶液の調製方法. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 8. 第3節 結果および考察. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10. 第1項 OPA 誘導体化法 第2項 泳動液の検討. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11. 第3項 In-capillary 誘導体化法 第4項 分析性能. 14 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16. 第5項 実試料への応用 第4節 まとめ. 10. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18. 第3章 CE/MS を用いたローヤルゼリー含有健康食品中の遊離アミノ酸定量法 の開発. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19. 第1節 緒言. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19. 第2節 実験方法. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20. 第1項 試薬および試液 第2項 試料. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20. 第3項 装置および測定条件. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20. 第4項 試験溶液の調製方法. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22. 第3節 結果および考察 第1項 分析条件の検討. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23.
(4) 第2項 前処理. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24. 第3項 分析性能. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25. 第4項 実試料への応用 第4節 まとめ. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29. 第4章 CE/MS を用いた痩身用健康食品中の医薬品成分定量法の開発 第1節 緒言. ・・・. 30. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30. 第2節 実験方法. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32. 第1項 試薬および試液 第2項 試料. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32. 第3項 装置および測定条件. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33. 第4項 試験溶液の調製方法. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35. 第3節 結果および考察. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36. 第1項 泳動液の検討. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36. 第2項 シース液の検討 第3項 前処理. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39. 第4項 分析性能. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40. 第5項 実試料への応用 第4節 まとめ. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45. 第5章 MEKC/MS を用いた植物系違法ドラッグ中の合成カンナビノイド定量法 の開発. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46. 第1節 緒言. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46. 第2節 実験方法. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48. 第1項 試薬および試液. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48. 第2項 装置および測定条件. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48. 第3項 試験溶液の調製方法. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50. 第3節 結果および考察. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51. 第1項 泳動液の検討. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51. 第2項 分析性能. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53. 第3項 実試料への応用 第4節 まとめ. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55. 第6章 総括および結論. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56.
(5) 引用文献. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58. 謝辞. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63. 付記. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64.
(6) 略語表 APFOA:ammonium perfluorooctanoate CE:capillary electrophoresis CGE:capillary gel electrophoresis CID:collision-induced dissociation CMC:critical micelle concentration CZE:capillary zone electrophoresis EOF:electroosmotic flow ESI:electrospray ionization FDA:Food and Drug Administration GABA:γ -aminobutyric acid GC:gas chromatography GlcN:glucosamine HILIC:hydrophilic interaction chromatography I.D.:internal diameter IS:internal standard LC (HPLC):liquid chromatography (high performance liquid chromatography) LOD:limit of detection LOQ:limit of quantitation MEKC:micellar electrokinetic chromatography MPA:3-mercaptopropionic acid MRM:multiple-reaction monitoring MS:mass spectrometry OPA:o –phthalaldehyde PFOA:perfluorooctanoic acid RJ:royal jelly Rs:resolution RSD:relative standard deviation SD:standard deviation SDS:sodium dodecyl sulfate SIM:selected ion monitoring S/N:signal-to-noise UV:ultraviolet 10-HDA:10-hydroxy-2-decenoic acid.
(7) 序論 近年,健康志向の高まりから国民の健康食品への関心は高く,その効率的な栄養補給や 疾病予防効果等を期待して,数多くの健康食品が市場に流通している。健康食品とは食品 衛生法上の定義はなく,広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全 般を指している. 1,2)。また, 「いわゆる健康食品」とは特定保健用食品を含む保健機能食品. を除いたもので,一般食品の一部とされている。健康食品は特定保健用食品を除き,販売 の際に行政による承認や許可が不要であるため,特に「いわゆる健康食品」において虚偽 誇大な広告のほか,服用による健康被害事例も報告されている 3)。たとえば,痩身効果を 高めるための医薬品成分が違法に添加された製品(無承認無許可医薬品)がダイエット目 的の「健康食品」として流通することがあり,これによる意識障害等の健康被害が国内に おいても発生している。. 一方,違法ドラッグの一種である「脱法ハーブ」は,乾燥植物に化学物質を添加してい るもので, 「合法ハーブ」などと称して販売されている。しかし,この「脱法ハーブ」の摂 取が原因と思われる救急搬送や自動車事故等が急増し,兵庫県内でも健康被害が発生して いる。 これら健康食品や違法ドラッグによる健康被害を未然に防ぐためには,市販流通品のモ -1-.
(8) ニタリング監視体制を強化し,違反製品を流通させないことが重要である。この目的のた め,含有成分および添加成分の簡易迅速分析法の開発が強く求められている。さらに,被 害の未然防止だけでなく,健康被害が発生した場合においても,簡易迅速分析法は原因成 分の特定および治療法の選択に有効となる。 これまで健康食品や違法ドラッグの分析には,ガスクロマトグラフィー質量分析法 (GC/MS: gas chromatography / mass spectrometry)や液体クロマトグラフィー質量分 析法(LC/MS: liquid chromatography / mass spectrometry)等が利用されてきた。しか し,誘導体化等の前処理が煩雑であること,分析対象物質により移動相や分析カラムの交 換が必要等の問題点もあり,代替法または補完法の開発が求められている。一方,キャピ ラリー電気泳動(CE)はその独特な分離メカニズムにより高分解能を有し,試料や試薬消 費量が少ないほか,装置のウォームアップ時間が短いという特長から,スクリーニング分 析法として有用で,食品や法科学分野においても近年注目されている。本研究では,分析 条件等の詳細な検討を行い,CE を用いた健康食品や違法ドラッグの簡易迅速分析法を確 立した。 健康食品としては,メディア等においても度々取り上げられているグルコサミン(GlcN) , 含有サプリメント,ローヤルゼリー(RJ)の 2 種の健康食品について,含有成分の調査を 行った。GlcN は,グルコースにアミノ基が付いた代表的なアミノ糖で,動物の皮膚や軟 骨,甲殻類の殻に含まれており,骨関節炎等に有効と言われている物質である 4-9)。RJ は, 若い働き蜂の唾液腺などから分泌される乳白色のクリーム状の物質 10)で,美容等を目的と して健康食品や化粧品に用いられている。痩身用健康食品としては,12 種の痩身用健康食 品および 3 種の市販医薬品を対象に,CE/MS による 20 種の医薬品成分の一斉分析法を検 討した。違法ドラッグとしては,植物系違法ドラッグから検出される合成カンナビノイド に 注 目 し , CE の 一 種 で あ る ミ セ ル 動 電 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( MEKC: micellar electrokinetic chromatography)と MS を組み合わせた 12 種の合成カンナビノイドの一 斉分析法を開発した。 これらの分析法により,前処理の簡略化,有機溶媒の使用量削減が達成できたほか, GC/MS や LC/MS の結果を支持または補完するデータが得られた。本研究の成果は,行政 による健康食品や違法ドラッグの監視指導に活用でき,消費者の安全安心の確保に寄与で きると考える。. -2-.
(9) 第1章 キャピラリー電気泳動概説 第1節. キャピラリー電気泳動法. 電気泳動は分析化学における重要な分離手法の一つであり,古くからイオン性物質の分 離に用いられてきた。ポリアクリルアミドやアガロースゲルを用いたスラブゲル電気泳動 に加え,1970 年代後半に内径 100 μm 以下のキャピラリーを用いるキャピラリー電気泳動 (CE)が開発された 11,12)。 CE の大きな特徴は,ジュール熱の影響を減少できる点である。キャピラリーは電気抵 抗が大きいため,高電圧を印加しても電流は小さく,熱の発生を抑えられるほか,内容積 に対して表面積の比率が大きく,熱を効率よく放散できる。これにより,高電圧の印加が 可能で,高い分離効率が得られ,分析時間が短縮できる。また,キャピラリーの内径が細 いため,必要試料量が少なく,試薬や有機溶媒の消費量も少ないことが利点として挙げら れる。一方,注入試料量が微量であることから,検出濃度感度や再現性が低いことが問題 点となる。 CE による分離は,電場中での溶質の移動度の差に基づいている。電気泳動移動度μは, 以下の式で表される 13,14)。. =. (1). q:イオンの電荷,η:溶液の粘度,r:イオン半径. つまり,イオン半径が小さく,高電荷のイオンは高い移動度を示し,イオン半径が大き く,低電荷のイオンは低い移動度であることがわかる。 各溶質の泳動時間は,この電気泳動移動度のほか,キャピラリー内の泳動液全体の流れ である電気浸透流(EOF: electroosmotic flow)の速度によって決まる。EOF は,キャピ ラリー内壁に固定されたイオン(シラノール基のイオン化によるもの等)とその対イオン による電気二重層に電圧を印加した際に発生する,流速分布が一様な栓流である。すなわ ち,一般的な溶融シリカキャピラリーにおいては,陽極側から陰極側に EOF が流れる。 陽イオンは,電気泳動の方向と EOF の方向が同じため,速く泳動する。一方,陰イオン は電気泳動の方向は EOF と異なるが,EOF の速度がイオンの電気泳動移動度よりも 1 桁 -3-.
(10) 以上大きいため,陰イオンも陰極側に押し流される。また,中性物質は互いの移動度に差 がないため,分離されずにすべて EOF と同じ速度で泳動する。従って,陽イオン,中性 物質,陰イオンの順に陰極側に泳動することになる。 CE の分離モードは,上述したように電気泳動移動度の差で分離するキャピラリーゾー ン電気泳動(CZE: capillary zone electrophoresis)が最も一般的なモードであるが,この 他にミセル動電クロマトグラフィー(MEKC)15-17),キャピラリーゲル電気泳動(CGE: capillary gel electrophoresis)18)など数種類存在する。なかでも MEKC は,電気泳動と クロマトグラフィーを組み合わせた分離モードを有し,イオン性物質のみならず中性物質 の分離も可能であることが大きな特徴である。泳動液に界面活性剤を加えて形成されるミ セルを擬似固定相とし,各溶質との疎水性相互作用および静電的相互作用の違いにより分 離する。. -4-.
(11) 第2節. キャピラリー電気泳動質量分析法. 検出法として質量分析法(MS)を用いることは,CE の欠点である低感度を克服し,成 分の構造情報が得られる非常に強力な分析手法である。本研究に使用した MS 装置は,タ ンデム型 MS(MS/MS)計であり,MS 装置を 2 台直列に配置したものである。一般的に 使用される多重反応モニタリング(MRM: multiple-reaction monitoring)モードでは, 第 1 MS 装置で選択したイオンをプリカーサーイオンとして,その後に不活性ガスと衝突 誘起解離(CID: collision-induced dissociation)し,生じたイオン(プロダクトイオン) を第 2 MS 装置で検出する 19,20)。MS 装置1台で,特定のイオンを検出する選択イオンモ ニタリング(SIM: selected ion monitoring)モードと比較すると,選択性がさらに向上し, 高感度測定が可能である。MS/MS は,分子構造解析のほか,定量分析にも用いられる。. Fig. 1-1. Schematic of CE/MS.. キャピラリー電気泳動質量分析(CE/MS)装置のインターフェースには,エレクトロス プレーイオン化(ESI: electrospray ionization)が広く用いられ,シース液とネブライザ ーガスを導入できるネブライザーに分離キャピラリーを挿入したものが一般的である (Fig. 1-1) 。シース液とは,キャピラリー終端の流量不足を補い,電流が流れなくなるこ とを防ぐほか,安定なスプレーを形成する役割を担い,イオン化効率や検出感度に影響を 与える。また,キャピラリー終端でシース液がキャピラリー内に一部流入することによっ て(ionic boundary の形成)21),シース液は CE の分離や泳動時間にも影響を与えること が知られている。. -5-.
(12) 第2章. In-capillary 誘導体化法を用いた健康食品中のグルコサミ ン定量法の開発. 第1節. 緒言. グルコサミン(GlcN)は,グルコースの 2 位の炭素にアミノ基が付いた代表的なアミノ 糖であり(Fig. 2-1) ,主に N-アセチル体として動物の皮膚や軟骨,甲殻類の殻に含まれて いる。骨関節炎や変形性関節症等に有効と言われ 4-9),世界中で健康食品が市販されている。 しかし,GlcN の服用により,血糖値上昇の報告. 22)や,抗血栓薬のワルファリンとの併用. によるワルファリンの作用増強の報告 23)もある。 これまで GlcN の定量には,HPLC 等が利用されており, (財)日本健康・栄養食品協会 の品質規格基準. 24)には比色法(協会法)が採用されている。GlcN. は,UV 高波長領域に. 吸収を持たないために,試料マトリックスと分離し,より正確かつ高感度に検出するため には,誘導体化することが一般的である。一方,この誘導体化等の前処理が煩雑であるこ とが,これまでの分析法のデメリットとして挙げられる。本章では,誘導体化と分離を同 時に行う In-capillary 誘導体化法を用いた CE による GlcN の簡便かつ迅速な定量法を検 討し,協会法による結果と比較した。. Fig. 2-1. Chemical structure of glucosamine.. -6-.
(13) 第2節. 実験方法. 第1項 試薬および試液 1-1 In-capillary 誘導体化法 GlcN 標準溶液:グルコサミン塩酸塩(東京化成製)100 mg を秤量し,水に溶解して 100 mL としたもの(本液は,グルコサミン塩酸塩として 1000 μg/mL)を用時希釈して用 いた。 100 mM 四ホウ酸ナトリウム溶液:四ホウ酸ナトリウム(無水物,関東化学製)2.01 g を秤量し,水に溶解して 100 mL とした。 泳動液:o-フタルアルデヒド(OPA,東京化成製)33.5 mg をエタノール(和光純薬製) 1 mL に溶解し,3-メルカプトプロピオン酸(MPA,東京化成製)22 μL,100 mM 四ホウ 酸ナトリウム溶液 10 mL を加えて水で 50 mL とした。 水:Milli-Q(メルクミリポア製)で精製した超純水を用いた。 エタノールは HPLC 用を用いた。その他の試薬は,市販の特級品を用いた。. 1-2 協会法 0.25 M 炭酸ナトリウム水溶液:炭酸ナトリウム(和光純薬製)2.65 g を秤量し,水に溶 解して 100 mL とした。 アセチルアセトン試薬:アセチルアセトン(和光純薬製)1.0 mL を 0.25 M 炭酸ナトリ ウム水溶液 50 mL に溶解したものを用いた。 Ehrlich 試薬:p-ジメチルアミノベンズアルデヒド(和光純薬製)1.6 g を 30 mL の 96 %(v/v)エタノールと 30 mL の濃塩酸(和光純薬製)の混液に溶解したものを用いた。. 第2項 試料 平成 22 年 10 月から 11 月に国内で販売されていた 16 製品を用いた。 16 製品の内訳は, 錠剤型 13 製品,カプセル型 2 製品,粉末型 1 製品であった。ブランク試料は,同時期に 国内で販売されていた健康食品で,高分子であるコンドロイチン硫酸およびヒアルロン酸 を含むが,GlcN を含まないものを用いた。. -7-.
(14) 第3項 装置および測定条件 3-1 In-capillary 誘導体化法 CE 装置:CAPI-3300(大塚電子製) キャピラリー:溶融シリカ(75 μm I.D.,全長 92 cm,有効長 80 cm) 印加電圧:25 kV 温度:30 ℃ 注入法:加圧注入(50 mbar,5 s) 泳動液:5 mM OPA および 5 mM MPA を含む 20 mM ホウ酸溶液(pH 9.2) 検出:フォトダイオードアレイ検出器(340 nm) 各サンプル測定後には,キャピラリー内を 0.1 M NaOH で 3 min,続けて水で 2 min, その後泳動液で 3 min 洗浄した。. 3-2 協会法 装置:分光光度計 UV-2400PC(島津製作所製) 検出波長:530 nm. 第4項 試験溶液の調製方法 4-1 In-capillary 誘導体化法 錠剤型試料はミキサー等で粉砕し,カプセル型試料はカプセルの中身を取り出し均一化 した。均一化した試料 100 mg を秤量し,水 10 mL を加えて室温で 5 min 超音波抽出した 後,10000 rpm で 5 min 遠心分離した。得られた上澄液を水で 10 倍希釈して試験溶液と した。. 4-2 協会法 (財)日本健康・栄養食品協会の品質規格基準. 24) に 従 い , 調 製 し た 。 一 般 に. Rondle-Morgan 法 25)と呼ばれ,アミノ基が置換されていない GlcN をアルカリ性下でアセ チルアセトンと加熱縮合させた後,塩酸酸性下で Ehrlich 試薬と反応させると赤紫色を呈 することを利用したものである。4-1と同様に,試料を水で抽出した抽出液を遠心分離 し,不溶物を除去した。試料溶液および標準溶液(GlcN 濃度:10−50 μg/mL)1 mL をそ れぞれ試験管にとり,アセチルアセトン試薬 1 mL,水 1 mL を加え,100 ℃水浴中で 20 -8-.
(15) min 加熱した。水冷後,エタノール 6 mL,Ehrlich 試薬 1 mL を加えて十分に混合し,70 ℃ 水浴中で 10 min 加熱した。室温まで水冷したものを試験溶液とし,同様に水 1 mL で調 製したブランク溶液を対照液として,波長 530 nm の吸光度を測定した。. -9-.
(16) 第3節. 結果および考察. 第1項 OPA 誘導体化法 HPLC 分析において, 第一級アミンの誘導体化法として一般的に OPA が用いられる 26-28)。 Fig. 2-2 に示すとおり,OPA と第一級アミン,チオール化合物による反応は,室温で容易 に進行する 27,28)。また,OPA は 230 nm のみに極大吸収を持つのに対し,反応生成物は, 230 nm のほかに 340 nm にも極大吸収を持つ。すなわち,340 nm でモニターすれば未 反応の OPA や第一級アミンの妨害ピークがなく, 反応生成物のみを選択的に検出できる。 このため,OPA を In-capillary 誘導体化法に用いて検討した。. O. SR' H H. R'-SH. NR. + R-NH2 r.t.. O R = C6H11O5. OPA. R’ = (CH2)2COOH Fig. 2-2. Mechanism of OPA reaction with glucosamine.. - 10 -.
(17) 第2項 泳動液の検討 2-1 チオール化合物の選択 CE による分離は,電場中での溶質の移動度の差に基づいている。陽イオンや陰イオン は,それぞれの移動度が異なるが,中性物質は互いの移動度に差がないため,分離されず にすべて EOF と同じ速度で泳動する。 このことから,目的成分である GlcN の反応生成物を,他の試料マトリックス成分と分 離するためには,反応生成物に電荷を持たせることが必要となる。しかし,GlcN 自身は pH 9 付近では電荷を持たないため,チオール化合物のアルキル基に電荷を持つものを選択 することが要求される。 一般に,チオール化合物には 2-メルカプトエタノールやエタンチオール等を用いるが 28), 今回は弱アルカリ性下で負電荷を帯びるカルボン酸基を持つ MPA をチオール化合物とし て用いた。 なお,第一級アミンについて,MPA を加えずに OPA のみで誘導体化し,妨害ピークの 多い 230 nm で測定した報告 29)があった。GlcN において,同様に MPA を含まない泳動 液で確認したところ,反応生成物は 340 nm で UV 吸収を示さなかった。このことから, MPA は測定対象物質の分離だけでなく,OPA の誘導体化反応においても重要な役割を担 っていることがわかった。. - 11 -.
(18) 2-2 OPA および MPA 濃度 Fig. 2-2 に示すとおり,GlcN と反応する OPA 量は,MPA と等量(物質量として)であ ることから,加える OPA 濃度と MPA 濃度を同濃度に固定して,OPA 濃度の感度への影 響を評価した。 CE では,検出部においてどの溶質も等速で運ばれる LC とは異なり,溶質の滞留時間 によって,ピーク面積が変化する。つまり,泳動時間の長い溶質は,ピーク面積が大きく なる。これを補正するため,感度の評価指標として,反応生成物のピーク面積を泳動時間 (min)で除した値(Area/time value)を用いた。 Fig. 2-3 に示すとおり,5 mM から 20 mM の間では,感度に大きな変化は見られなかっ た。しかし,15 mM 以上ではエレクトロフェログラム上にノイズが多く見られた。そこで, OPA および MPA 濃度は 5 mM に設定した。. Area/ time value. 8. 7. 6 0. 10. 20. OPA concentration (mM) Fig. 2-3. Effect of OPA concentration on area/time value of glucosamine-OPA adduct. The concentration of glucosamine was 100 μg/mL. The concentration of MPA was the same as that of OPA. The concentration of borate buffer was 20 mM.. - 12 -.
(19) 2-3 四ホウ酸ナトリウム濃度 一般に,緩衝液濃度が高いと,キャピラリー内壁面の有効電荷が減少するため,溶質と 壁面との静電的相互作用が減少し,溶質のキャピラリーへの吸着が軽減される。しかし, 濃度が高くなるほど,キャピラリー内での発熱や EOF の減少が顕著になる。 Fig. 2-4 に四ホウ酸ナトリウム濃度の感度への影響を示す。20 mM を超えると感度の減 少が著しくなることがわかった。また,高濃度では EOF の減少により,泳動時間が長く. Area/ time value. なった。このため,緩衝液濃度は 20 mM に設定した。. 8. 6. 4 0. 20. 40. 60. 80. Borate concentration (mM) Fig. 2-4. Effect of borate concentration on area/time value of glucosamine-OPA adduct. The concentration of glucosamine was 100 μg/mL. The concentrations of OPA and MPA were each 5 mM.. - 13 -.
(20) 第3項 In-Capillary 誘導体化法 CE においてキャピラリー内で誘導体化する方法は,試料や反応試薬が少量でよいうえ, 反応生成物が不安定な物質においても外気等の影響を受けずに即座に測定できるため有用 である。この In-Capillary 誘導体化法として,①キャピラリー入口において試料と試薬を 積層して導入した後,泳動によって試料に試薬ゾーンを通過させる方法 26,30)と,②試薬を 含有させた泳動液を用いる方法 29,31)が考えられる。①においては,泳動液と反応液の組み 合わせを選択することで様々な分析条件が設定できる。しかし,試料導入に関して,複数 回注入可能なプログラム機能付きの装置が必要となる。一方,②においては,あらかじめ 泳動液中に試薬が含まれているため,試料のみの導入となり操作が簡便である。また,導 入された試料が常に試薬と接触するため高い誘導体化率が得られ,検出感度が高いことも 特徴である。このため,本研究では②の方法により In-Capillary 誘導体化を行った。 Fig. 2-5 に試料とブランク試料の 340 nm におけるエレクトロフェログラムを示す。ま た,Fig. 2-6 に試料と標準品の GlcN 反応生成物の UV スペクトルを示す。Fig. 2-6 におい て両者の UV スペクトルは一致し,340 nm 付近にも吸収ピークが確認されたことから, Fig. 2-5 のエレクトロフェログラムでの 11 min 付近のピークは反応生成物に由来すると結 論した。また,8 min 付近のピークは EOF によるものと推測されることから,EOF より も遅く泳動している反応生成物は陰イオンとして挙動し,EOF と共に泳動する中性物質と は分離されて検出できていることがわかった。なお,エレクロトフェログラム(Fig. 2-5) に見られる幅広でリーティングしたピーク形状は In-Capillary 誘導体化法に特徴的なもの で,GlcN と反応生成物の移動度の違いによるものである 29)。すなわち,GlcN のゾーンが 常に反応生成物のゾーンより先行するため,キャピラリーへの試料注入後早い段階で誘導 体化されたものは遅く,遅い段階で誘導体化されたものは早く検出されるためと考えられ る。. - 14 -.
(21) Fig. 2-5. Electropherograms of (A) glucosamine sample (No.16 powder in Table 2-2) and (B) blank sample containing no glucosamine. Conditions: capillary, fused-silica (75 μm I.D., 80 cm effective length); electrophoretic solution, 20 mM borate buffer containing OPA (5 mM) and MPA (5 mM); applied voltage, 25 kV; injection, 50 mbar × 5 s; analytical wavelength, 340 nm.. Fig. 2-6. UV spectra of glucosamine-OPA adduct (GlcN-OPA) in the sample and standard. UV spectrum was obtained with a PDA detector. Solid line: glucosamine sample (No.16 powder in Table 2-2). Broken line: glucosamine standard. - 15 -.
(22) 第4項 分析性能 4-1 定量性および検出感度 GlcN 標準溶液を希釈して調製した検量線用標準溶液を用いて,GlcN 濃度とピーク面積 との関係をプロットした検量線は,10−1000 μg/mL の範囲において良好な直線性が見られ た(r > 0.999) 。検出下限値(LOD,S/N = 3)は,ブランク試料のエレクトロフェログラ ムのノイズ高さから評価したところ, 1.3 μg/mL であり, 試料中濃度に換算すると 1.3 mg/g であった。この LOD は,これまでに Volpi らによって報告された 2-アミノ安息香酸誘導 体化法(33 μg/mL)32)や,Chen らの OPA 誘導体化法(22 μg/mL)26)に比べて,1 桁以 上低い濃度であった。. 4-2 添加回収試験 ブランク試料に GlcN を 50 mg/g および 100 mg/g となるように添加した試料を調製し, 添加回収率を求めた。試験は,1 日に 5 試行を 3 日間実施した。Table 2-1 に,平均回収率, 併行精度, 室内 (日間) 精度を示す。 平均回収率は 95.1−104.3 %, 精度も相対標準偏差 (RSD) 4.1−6.5 %と良好であった。この結果から,本法が GlcN の定量試験法として適当であるこ とがわかった。. Table 2-1. Accuracy and Precision of the proposed method Spiked level (mg/g). a). Recovery (%)a). RSD (%) Intraday. Interday. 50. 95.1. 5.4. 6.5. 100. 104.3. 4.1. 4.7. the mean value; n = 15 (5 × 3). 第5項 実試料への応用 本法を用いて市販健康食品 16 種の GlcN 含有量を分析した。前処理は簡便で,試料導入 時においても煩雑な操作を行う必要がないため,多数の試験溶液(16 種)の調製に要した 時間はわずか 1 時間程度であった。また,定量の妨害となるピークは認められなかった。 一方,協会法ではこれら 16 試料の前処理に 1 日以上要した。 - 16 -.
(23) Table 2-2 に本法と協会法による定量結果を示す。本法によって求められた GlcN 含有量 は,109−705 mg/g であった。これらの含有量の表示量(製品包装等に記載)に対する割 合は,88.8−124 %となった。したがって,試験に供した 16 種の市販健康食品については, GlcN を概ね表示量どおりに含有していると考えられ, 表示量を偽装した製品はなかった。 また,本法と協会法による定量結果には有意な差は認められなかった(r. 2. = 0.989,p <. 0.01) 。本法は,協会法では困難と考えられる着色・高濃度マトリックス試料においても, その形態(錠剤型等)に関わらず,GlcN の定量に有効であると期待できる。. Table 2-2. Determination of glucosamine concentration in commercial products CE Sample No.. Form. Glucosamine (mg/g) a ). Rondle-Morgan Detected / labeled (%) b ). glucosamine (mg/g) a ). 1. tablet. 704.8. 101.5. 653.9. 2. tablet. 638.6. 99.8. 588.1. 3. tablet. 443.4. 96.8. 452.6. 4. tablet. 540.2. 99.7. 514.6. 5. tablet. 643.5. 100.2. 606.0. 6. tablet. 543.8. 102.0. 532.0. 7. tablet. 290.2. 100.0. 284.5. 8. tablet. 447.4. 100.7. 444.1. 9. tablet. 424.3. 101.0. 410.2. 10. tablet. 619.7. 103.3. 579.0. 11. tablet. 582.8. 123.6. 540.8. 12. tablet. 494.4. 98.9. 463.3. 13. tablet. 538.5. 107.7. 468.2. 14. capsule. 695.9. 102.7. 637.4. 15. capsule. 253.7. 88.8. 274.4. 16. powder. 108.6. 101.3. 120.4. a). The mean value , n = 3. b). Detected glucosamine contents / labeled value. - 17 -.
(24) 第4節. まとめ. 市販健康食品中の GlcN の定量法として,OPA と MPA を含む泳動液での In-Capillary 誘導体化による CE 分析法を開発した。 1)電気泳動前に誘導体化を行う分析法や試料導入時に試料と試薬を積層する分析法に 比べ,操作が簡便で,特殊な注入プログラム付き CE 装置が不要であった。 2)GlcN は,キャピラリー内で泳動中に OPA および MPA と室温で反応した。誘導体 化された GlcN は泳動液中で陰イオンとして挙動し,試料中のマトリックス成分か ら分離できた。また,誘導体化された GlcN は,340 nm に選択的に極大吸収をも つため,未反応試薬との識別が可能で,定量が容易である。 3)検出感度が高く,従来の CE 法よりも微量の GlcN を正確に測定できる。また,協 会法によって得られた測定値と有意な差はなく,偽装表示や不正表示を見抜くため に実施される市販製品中の GlcN 含有量調査のためのルーチン検査法としても利用 できる。. - 18 -.
(25) 第3章. CE/MS を用いたローヤルゼリー含有健康食品中の遊離ア ミノ酸定量法の開発. 第1節. 緒言. ローヤルゼリー(RJ)は,若い働き蜂の唾液腺などから分泌される乳白色のクリーム状 の物質で 10),美容等を目的として健康食品に用いられている。 RJ は,糖類,ビタミン,アミノ酸のほか多種類の有機酸を含有しており,その一種の 10-hydroxy-2-decenoic acid(10-HDA)は,RJ 製品の識別マーカーとして利用され,RJ の品質検定の指標となっている。このため 10-HDA の薬効および HPLC 等による分析法 は,これまでに多数報告されてきた 33-35)。一方,アミノ酸については,タンパク質の構成 要素としてだけでなく,品質や味においても重要な役割を担っているにも関わらず,あま り報告されていない。遊離アミノ酸の組成解析は,特に食品科学分野では近年注目されて おり,産地や保管期限の識別に利用されている 36,37)。それゆえに,市販のローヤルゼリー 含有健康食品の品質評価を行う上で,RJ 中の遊離アミノ酸の信頼性の高い定量法の開発 は重要である。 アミノ酸の分離分析には,これまで HPLC. 38-40),GC/MS 41,42)および. LC/MS. 43-46)が利. 用されてきた。HPLC や GC/MS では誘導体化等の煩雑な前処理が必要であり,LC/MS はイオンペア試薬や親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC: hydrophilic interaction chromatography)カラムを用いるため,装置の平衡に時間がかかり,全体として分析に 時間を要した。RJ においても,未加工の生 RJ について誘導体化試薬を用いた HPLC が 報告されているが 38),前処理が煩雑であるのに加え,添加物等が含まれた市販加工製品で は妨害ピークが出現し,定量が困難となる可能性もある。一方,CE は,高極性でイオン 化しやすい物質であるアミノ酸にとって適した分析法であると言える 47,48)。そこで本研究 では,CE/MS による RJ 含有健康食品中の遊離アミノ酸の簡便な定量分析法を開発し,市 販健康食品に適用した。また,その遊離アミノ酸組成について,はちみつとの比較を行っ た。. - 19 -.
(26) 第2節. 実験方法. 第1項 試薬および試液 アミノ酸標準品:L-アラニン(Ala),L-アルギニン塩酸塩(Arg),L-アスパラギン酸(Asp), L-グルタミン酸(Glu),グリシン(Gly),L-ヒスチジン塩酸塩(His),L-イソロイシン (Ile), L-ロイシン(Leu),L-リジン塩酸塩(Lys),L-メチオニン(Met),L-フェニルアラニン (Phe), L-プロリン(Pro),L-スレオニン (Thr),L-チロシン(Tyr),L-バリン(Val)は,協和発酵工 業より, L-システイン(Cys),L-セリン(Ser),γ-アミノ酪酸(GABA)は和光純薬よりそれ ぞれ購入した試薬を用いた。 アミノ酸混合標準溶液:アミノ酸標準品を 0.1 M 塩酸に溶解して 50 mM 溶液を調製し た。0.1 M 塩酸で用時希釈して用いた。 水:Milli-Q(メルクミリポア製)で精製した超純水を用いた。 メタノールおよびエタノールは HPLC 用を用いた。その他の試薬は,市販の特級品を用 いた。. 第2項 試料 国内で販売されていた RJ 含有健康食品 17 製品およびハチミツ 3 製品を用いた。前者 17 製品の内訳は,錠剤型 8 製品,カプセル型 5 製品,粉末型 1 製品,液体型 1 製品,未 加工の生 RJ が 2 製品であった。. 第3項 装置および測定条件 3-1 CE 装置:Agilent 7100(アジレント製) キャピラリー:溶融シリカ(50 μm I.D.,全長 100 cm) 印加電圧:30 kV 温度:20 ℃ 注入法:加圧注入(50 mbar,5 s) 泳動液:1 M ギ酸溶液(pH 1.8) シース液:50 %(v/v)メタノール,8 μL/min 各サンプル測定後には,キャピラリー内を水で 2 min,0.1 M NaOH で 3 min,再度水 で 2 min,その後泳動液で 3 min 洗浄した。 - 20 -.
(27) 3-2 MS 装置:Agilent 6410(アジレント製) キャピラリー電圧:4 kV(positive) ネブライザーガス:10 psi N2 乾燥ガス:10 L/min N2,300℃ その他の最適化した SIM および MRM パラメータを Table 3-1 に示す。. Table 3-1. Optimized MRM parameters for each amino acid in positive ion mode Amino. Transition. Fragmentor. Collision. acid. (m/z). voltage (V). energy (eV). Ala a). 90.1. 50. Arg. 175.2 → 70.1. Asp. 134.1 →. GABA Glu Gly a) His. 100. 25. 74.1. 70. 10. 104.1 →. 87.2. 70. 5. 148.1 →. 84.1. 100. 10. 76.1. 70. 156.2 → 110.1. 50. 10. Leu, Ile. 132.2 →. 86.1. 50. 5. Lys. 147.2 →. 84.1. 50. 25. Met. 150.2 → 133.1. 70. 5. Phe. 166.2 → 120.1. 70. 10. Pro. 116.1 →. 70.1. 100. 10. Ser. 106.1 →. 60.2. 70. 5. Thr. 120.1 → 103.1. 150. 15. Tyr. 182.2 → 136.0. 70. 5. Val. 118.2 →. 71.9. 50. 5. Cys (IS). 122.1 →. 75.9. 70. 15. a). SIM by single MS mode. - 21 -.
(28) 第4項 試験溶液の調製方法 錠剤型試料はミキサー等で粉砕し,カプセル型試料はカプセルの中身を取り出し均一化 した。均一化した試料 1 g を秤量し,75 %(v/v)エタノール 9 mL を加えて室温で 5 min 超 音波抽出した後,3000 rpm で 5 min 遠心分離した。得られた上澄液 0.9 mL に 1 M 塩酸 0.1 mL を加え,0.1 M 塩酸溶液とした。最後に,内標準として 1 mg/mL Cys の 0.1 M 塩 酸溶液を 0.1mL 加え,0.45 μm のメンブランフィルターを通過させたものを試験溶液と した。. - 22 -.
(29) 第3節. 結果および考察. 第1項 分析条件の検討 CE/MS の遊離アミノ酸の一斉分析法を開発するにあたり,分析対象物質が電荷を持つ ことが望まれる。アミノ酸の等電点は 2.5 以上であることから 47),1 M ギ酸(pH 1.8)を 泳動液とし,陽イオンとして泳動させた。 シース液には,一般的にギ酸やギ酸アンモニウム等の揮発性物質が添加される。これら の物質は電流値の安定やシグナル強度の再現性を保つために用いられるが,十分な洗浄が なければ,スプレーヤーの腐食を引き起こす可能性もある。本研究では,揮発性物質を添 加しても測定結果に顕著な変化が見られなかったため,50 %(v/v)メタノールを用いた。 Fig. 3-1 にアミノ酸の標準溶液と錠剤型試料から得られたエレクトロフェログラムを示 す。Gly と Ala は,分子量が小さいため m/z 50 以上の適度な強度のフラグメントイオン を生成せず,プリカーサーイオンのみの SIM モードで測定した。Ile と Leu は,完全に分 離しなかったため,合計値として定量した。 内標準(IS)は,RJ およびはちみつの両者に含まれないアミノ酸の Cys を選択した。 Cys は,酸性溶液では安定で,2 量体シスチンに変化しなかった。そのため,Cys は測定 直前に 0.1 M 塩酸溶液に添加した。. - 23 -.
(30) (A) 4096. Ala Arg. Ala Arg. 9150 Asp. GABA. Asp. Glu. His Leu. Lys. Phe. 660. Pro. 11816. 173. 223. Phe Pro. 6017. Tyr. 16. 20. 151 74. Val. 1642. 18. 111. Tyr. 10065 IS(Cys). 23383. Thr. 3070. Val. 311. Ser. 3672 Thr. 14. Leu. 4125. Ser. 12. 232 Ile. 5432. 10. 224a. 14400. Met. 234. Gly. 2882. Ile. 160. 160. 2669. 9557. Lys. 840. GABA. Gly His. 408a. 1694. 6685 Glu. 8. (B). 159 IS(Cys). 8. Migration time (min). 10. 12. 14. 16. 1916. 18. 20. Migration time (min). Fig. 3-1. CE-MS/MS electropherograms of (A) mixed standard solution (each 0.5 μmol/mL) and (B) a RJ product sample solution (Tablet No.1 in Table 3-3). Condition: uncoated fused-silica capillary, 50 μm I.D. × 100 cm; electrolyte, 1 M formic acid; sheath liquid, 50 % methanol at 8 μL/min; voltage, 30 kV; injection, 50 mbar × 5 s. Cys was spiked as IS. Ala and Gly were monitored in SIM mode. The numbers in figure. indicate the maximum peak abundances in the respective electropherograms (a The peak abundances of impurities).. 第2項 前処理 操作を簡便にするために,過去の報告 49,50)を参考に抽出液は 75 %(v/v)エタノールとし, 除タンパク効果も兼ねた。また,MS/MS により十分な検出感度が得られることから,前 処理時の濃縮は省略した。さらに,GC/MS や HPLC において必須であった誘導体化も不 要であった。 - 24 -.
(31) 第3項 分析性能 3-1 定量性および検出感度 アミノ酸混合標準溶液を希釈して調製した検量線用標準溶液を用いた検量線は,0.01−1 μmol/mL の範囲において良好な直線性を示した(r > 0.999) 。0.5 μmol/mL の標準溶液を 連続 5 回測定した時の IS 補正後の泳動時間とピーク面積の相対標準偏差(RSD)は,そ れぞれ 0.02−0.68 %,0.9−3.8 %であった。LOD(S/N = 3)は,0.61−10.5 μg/g であった。 各アミノ酸に対する詳細なデータを Table 3-2 に示す。. Table 3-2. Limit of detection, accuracy and precision of the proposed method Amino. LOD. acid. (μg/g). Tablet. Liquid drink. RSD (%). Recovery (%) a ). Intraday. Recovery. Raw material. RSD (%). Interday. (%) a ). Intraday. Recovery. RSD (%). Interday. (%) a ). Intraday. Interday. Ala. 2.58. 99.8. 4.0. 9.1. 91.6. 4.7. 9.9. 95.9. 4.1. 6.9. Arg. 1.14. 99.0. 5.2. 5.2. 89.9. 2.5. 9.7. 95.4. 6.5. 6.1. Asp. 1.36. 91.1. 2.9. 9.2. 95.0. 3.3. 6.6. 92.6. 3.6. 7.2. GABA. 0.84. 103.6. 4.7. 5.8. 89.7. 2.8. 9.2. 92.4. 5.3. 6.8. Glu. 2.13. 96.3. 4.1. 9.4. 93.2. 3.2. 9.0. 90.2. 4.9. 4.2. Gly. 1.17. 92.1. 4.3. 8.6. 89.2. 4.8. 3.9. 94.6. 7.6. 9.5. 0.61. 94.3. 3.4. 4.2. 92.5. 2.3. 9.6. 90.4. 3.0. 7.1. 0.83. 106.6. 3.5. 4.4. 95.5. 3.2. 5.9. 91.6. 4.9. 5.2. 93.1. 3.4. 4.6. 95.7. 3.7. 8.8. 89.0. 4.8. 6.2. His Leu Lys. b). 10.5. Met. 1.36. 100.1. 3.2. 7.8. 96.4. 3.4. 9.7. 90.0. 4.2. 9.0. Phe. 1.12. 105.8. 4.4. 4.8. 92.3. 4.1. 9.1. 93.1. 4.0. 8.7. Pro. 9.08. 108.6. 6.2. 6.6. 94.7. 2.9. 8.9. 93.2. 6.2. 9.4. Ser. 0.67. 95.1. 4.2. 5.9. 92.5. 2.4. 7.6. 91.0. 3.4. 5.6. Thr. 0.80. 102.8. 5.1. 4.7. 93.2. 2.7. 8.3. 88.3. 4.2. 5.6. Tyr. 1.81. 108.1. 4.8. 4.4. 93.5. 4.1. 9.1. 92.1. 5.2. 8.4. Val. 1.00. 104.1. 3.8. 3.7. 90.1. 4.0. 9.6. 89.2. 3.9. 5.8. a). The mean value, n = 15.. b). Leu and Ile. - 25 -.
(32) 3-2 添加回収試験 典型的な RJ 製品として,錠剤型,液体型および未加工の生 RJ を 1 製品ずつ選択し, 測定対象のアミノ酸すべての標準物質を添加した。添加濃度は,Pro と Lys は 10 μmol/g, Glu と Asp は 2 μmol/g,その他のアミノ酸は 0.5 μmol/g である。添加回収率は,添加前 と添加後の測定値の差から求めた。試験は,1 日に 5 試行を 3 日間実施した。Table 3-2 に,回収率,併行精度,室内(日間)精度を製品形態ごとに示した。平均回収率は,100.0 % (錠剤型,91.1−108.6 %) ,92.8 %(液体型,89.2−96.4 %) ,92.8 %(生 RJ, 88.3−95.9 %) であった。併行精度が 4.2 %(錠剤型,2.9−6.2 %) ,3.4 %(液体型,2.3−4.8 %) ,4.7 % (生 RJ,3.0−7.6 %)であり,室内精度は 6.2 %(錠剤型,3.7−9.4 %) ,8.4 %(液体型, 3.9−9.9 %) ,7.0 %(生 RJ,4.2−9.5 %)であった。これらの結果から,本法が生 RJ だけ でなく,他の RJ 製品においても定量試験法として適当であることがわかった。. 第4項 実試料への応用 本法を用いて市販 RJ 含有健康食品 17 種と市販はちみつ 3 種中の 16 種類の遊離アミノ 酸含有量を調査した(Table 3-3)。前処理は簡便で,多数の試料測定においても問題はな かった。また,いずれの製品形態においても,定量の妨害となるピークは認められなかっ た。 生 RJ は, Liming らの報告 38)と同様, Pro が最も高濃度に含まれていた (3.2−3.5 mg/g) 。 Pro に続いて Lys(2.2−2.4 mg/g) ,Glu(0.59−0.60 mg/g) ,Arg(0.34−0.37 mg/g) ,Asp (0.23 mg/g)の順に多く含まれていた。一方,生 RJ を除く加工製品では,製品ごとにア ミノ酸の濃度や割合が異なっていた。これは,特定の栄養素を高めて付加価値をつけるた めに,分岐型アミノ酸(Ile,Leu および Val)などのアミノ酸が製品に添加されているこ とが要因と考えられる。16 種の遊離アミノ酸組成が完全に一致する製品はなく,RJ 製品 間の識別に有用であることが示唆された。 GABA は血圧低下やストレス軽減効果のため,健康食品として利用される物質である 51,52)。試料. No.14(全量 1.5 g/包)には,GABA が 42 mg/g 含まれているが,Kajimoto ら. 53)によれば. 80 mg/日を 12 週間摂取しても副作用は見られないことから,健康被害を生じ. る量ではないと判断した。また,フェニルケトン症患者にとって食品中の Phe 含有量は重 要であるが 54),今回の調査では製品によって差があり(0.002−1.2 mg/g),含有量の表示 は必要であると思われる。Met は,Liming らの報告 - 26 -. 38)同様,生. RJ では検出されなかっ.
(33) たが,一部の加工製品では検出された。 上述のように加工された製品では,遊離アミノ酸濃度の割合に一定の傾向が見られなか ったため,はちみつとの比較は生 RJ を用いた。はちみつの 16 種アミノ酸の総含有量は, 生 RJ の約 1/3 未満であり,各アミノ酸の組成も RJ と大きく異なった。はちみつでは, Pro よりも Phe が多く含まれており,Thr についても,対 Pro 比で RJ の約 40 倍であっ た。なお,はちみつにおいても Met は検出されなかった。. - 27 -.
(34) Table 3-3. Free amino acid contents in RJ and honey products by CE-MS/MS with MRM and SIM mode (μg/g) a) Royal jelly Amino. Tablet. acid. Honey Capsule. Powder. Liquid. Raw. drink. material. -28-. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 1. 2. 3. Ala. 9.1. 5.8. 253. 12. 170. 12. 179. 6.3. 19. 6.1. 25. 1020. 11. 82. ND. 30. 29. 9.9. 12. 7.3. Arg. 50. 32. 507. 103. 77. 98. 380. 34. 36. 26. 186. 568. 66. 281. 7.1. 378. 342. 5.3. 4.8. 3.9. Asp. 32. 25. 268. 76. 62. 64. 236. 31. 25. 24. 120. 215. 63. 86. 6.0. 231. 226. 16. 61. 12. GABA. 6.7. 1.7. 14. 9.5. 13. 8.7. 12. 3.3. 1.9. 1.9. 20. 70. 5.2. 42000. 2.4. 101. 86. 4.9. 4.4. 3.5. Glu. 40. 29. 272. 125. 141. 98. 189. 41. 29. 11. 220. 1180. 64. 224. 9.0. 595. 594. 8.5. 12. 7.2. Gly. 5.0. 11. 31. 7.9. 14. 3.7. 26. 2.4. 24. 5.5. 8.1. 200. 5.3. 14. 1.4. 32. 27. 4.3. 4.9. 3.6. His. 10. 7.3. 88. 12. 20. 14. 45. 12. 7.3. 5.0. 25. 119. 17. 27. 2.4. 116. 110. 3.0. 3.8. 2.7. Leu c). 3.6. 8.8. 2260. 6.3. 10. 3.2. 1790. 4.7. 11. 4.4. 7.6. 45. 5.9. 28. 1.2. 27. 27. 8.5. 7.0. 5.0. Lys. 19. 17. 295. 156. 63. 97. 133. 32. 12. 13.6. 309. 544. 47. 775. 23. 2210. 2380. 18. 14. ND. Met. ND. ND. 30. ND. ND. ND. 1.5. ND. ND. ND. ND. 2.7. ND. ND. ND. ND. ND. ND. ND. ND. Phe. 10. 5.8. 1150. 12. 20. 11. 1109. 7.4. 13. 11. 25. 52. 13. 29. 1.5. 92. 47. 293. 956. 261. Pro. 871. 630. 1400. 1260. 1080. 1690. 1310. 1040. 503. 712. 3210. 3450. 2170. 1710. 51. 3500. 3210. 275. 312. 213. Ser. 5.7. 3.6. 131. 6.7. 7.3. 4.9. 92. 2.6. 5.7. 3.5. 8.1. 52. 3.0. 28. 1.0. 24. 23. 8.0. 8.9. 7.2. Thr. 7.4. 4.2. 822. 7.7. 14. 8.0. 806. 5.5. 9.3. 7.8. 18. 37. 9.4. 21. 1.2. 67. 32. 210. 663. 193. Tyr. 5.7. 3.4. 1260. 9.2. 15. 7.3. 1000. 5.4. 10. 5.6. 17. 66. 8.3. 17. ND. 34. 27. 19. 41. 14. Val. 4.8. 4.3. 669. 5.6. 14. 5.7. 735. 4.4. 8.8. 6.7. 15. 60. 8.9. 70. ND. 35. 32. 8.9. 8.5. 6.1. a). The mean value, n = 3.. b). ND = Not detected.. c). Leu and Ile.. b).
(35) 第4節. まとめ. 市販 RJ 含有健康食品中の遊離アミノ酸の定量法として,CE/MS 分析法を開発した。 1)試料の前処理において,煩雑な誘導体化処理や濃縮工程が不要であり,簡便に測定 ができた。 2)生 RJ だけでなく,これまで検討されていなかった錠剤型やカプセル型のような加 工 RJ 製品中の遊離アミノ酸も測定したが,定量を妨害するピークはなかった。 3)加工 RJ 製品では,製品ごとに遊離アミノ酸の組成割合が異なるため,製品間の識 別に有用であった。また,生 RJ とはちみつにおいてもアミノ酸組成割合が異なり, 識別が可能であった。これにより,10-HDA だけでなく遊離アミノ酸を含めた総合 的な判断が可能で,識別の正確さが増すことが考えられる。. - 29 -.
(36) 第4章. CE/MS を用いた痩身用健康食品中の医薬品成分定量法の 開発. 第1節. 緒言. 健康食品は幅広い年代に利用されており,痩身用健康食品はその代表例といえる。一方 で,違法に医薬品成分が添加された製品(無承認無許可医薬品)の服用による健康被害も 報告されている 55-57)。特に,個人輸入された「ホスピタルダイエット」では,死亡に至っ たケースもある 58)。また,違法添加の医薬品成分は多岐にわたり,下剤のほか,向精神薬 や利尿剤等の検出例がある 59)。 これまで CE/MS の分野においても類似構造をもつ医薬品成分の分析法は開発されてき た 60-63)。しかし,異なる化学構造で異なる作用を持つ複数の医薬品成分の一斉分析法はな く,スクリーニングの観点から様々な作用機序をもつ医薬品の分析法の開発が望まれてい る。本研究では,CE/MS を用いて,違法添加のおそれのある利尿剤や下剤,向精神薬等 を含む 20 種の医薬品成分(Fig. 4-1)の一斉分析法を開発した。また,この分析法を用い て 12 種の痩身用健康食品および 3 種の市販されている一般用医薬品を分析した。. - 30 -.
(37) 1. 2. O Cl. 3. Cl. NH. Cl. 4. Cl. NH Cl. O. O. O S. NH2. O. NH2. OH. O. O. NH2. O. NH2. C4H9 O. O S. S. O. NH. ONa. O. H. O. O. 7 NH2. H. O. O. NH2. N. S. 6. O H. N. N. NH S. S. O. 5. O. NH S. N. NH2. NH. N. N. O. S. O O. O. S. O C4H9. O. 8. 9 O. 10. Glc O. O. OH. Glc O. O. OH. O. O. O. COOH H. COOH. H. H. H. COOH. COOH. N. O. O. OH. O. Glc. 11. OH. 12 O. O. O. O. OH. Glc. 13. O. S. S. O. O. ONa. NH2. ONa OH O. N. O. 14. 15. 16. 17 CF3. CF3. N. Cl. 18. HN. NH2. Cl. 19 N. N. OH. 20 NH. Cl. N ON. O. O. N. N. CF3. Cl. Fig. 4-1. Chemical structures of the analytes. (1) furosemide, (2) trichlormethiazide, (3) hydrochlorothiazide, (4) triamterene, (5) spironolactone, (6) acetazolamide, (7) dioctyl sulfosuccinate, (8) bisacodyl, (9) sennoside A, (10) sennoside B, (11) picosulfate, (12). phenolphthalein,. (13). phentermine,. (14). sibutramine,. (15). N-. didemetylsibutramine, (16) fenfluramine, (17) N- nitrosofenfluramine, (18) mazindol, (19) fluoxetine, (20) diazepam. Glc: glucose. - 31 -.
(38) 第2節. 実験方法. 第1項 試薬および試液 標準品:トリクロルメチアジド,トリアムテレン,スピロノラクトン,フェノールフタ レイン,フェンテルミン塩酸塩,(±)-フェンフルラミン塩酸塩,マジンドール,ジアゼパ ムは,Sigma-Aldrich 製の試薬を用いた。フロセミド,スルホコハク酸ビス(2-エチルヘキ シル)ナトリウム(ジオクチルスルホサクシネート) ,フルオキセチン塩酸塩は,東京化成 製である。センノシド A,センノシド B,脱 N-ジメチルシブトラミンクエン酸塩,N-ニト ロソフェンフルラミンは,和光純薬製である。ヒドロクロロチアジド,アセタゾラミド, ビサコジル,ピコスルファートナトリウム,シブトラミン塩酸塩は,それぞれ日本公定書 協会製,Alfa Aesar 製,Fluka 製,U.S.Pharmacopeial Convention 製,Enzo Life Sciences 製である。 各 1 mg/mL 標準溶液:各標準品をメタノールに溶かして調製した。センノシド A のみ, メタノール・0.1 %炭酸水素ナトリウム水溶液(5:1)に溶かして調製した。 混合標準溶液:各成分のピーク強度を考慮して 1 mg/mL 標準溶液をメタノールで希釈 して調製した。 0.5 mg/mL 内部標準溶液:4-アミノピリジン(東京化成製)5 mg をメタノールに溶か して 10 mL としたものを用いた。 水:Milli-Q(メルクミリポア製)で精製した超純水を用いた。 メタノールおよびアセトニトリルは HPLC 用を用いた。その他の試薬は,市販の特級品 を用いた。. 第2項 試料 兵庫県内で健康被害の訴えのあった,個人輸入の健康食品 2 製品(錠剤型,粉末型各 1 製品)を用いた。このほか国内で販売されている痩身目的の健康食品 10 製品を用いた。 10 製品の内訳は,錠剤型 4 製品,カプセル型 2 製品,粉末型 3 製品,ビスケット 1 製品 であった。分析性能の確認に用いたブランク試料は,医薬品成分を調査後の粉末型 1 製品 およびカプセル型 1 製品(ソフトカプセル)を用いた。 一般用医薬品 3 製品は,国内の薬局およびドラッグストアで販売されているものを用い た。. - 32 -.
(39) 第3項 装置および測定条件 3-1 CE 装置:Agilent 7100(アジレント製) キャピラリー:溶融シリカ(50 μm I.D.,全長 90 cm) 印加電圧:30 kV 温度:40 ℃ 注入法:加圧注入(50 mbar,30 s) 泳動液:20 mM ギ酸アンモニウムを含む 20 %(v/v)アセトニトリル溶液(pH 8.0) シース液:5 mM ギ酸アンモニウムおよび 0.1 %(v/v)ギ酸を含む 50 %(v/v)メタノール, 8 μL/min 各サンプル測定後には,キャピラリー内をメタノールで 3 min,0.1 M NaOH で 3 min, 水で 2 min,その後泳動液で 5 min 洗浄した。. 3-2 MS 装置:Agilent 6410(アジレント製) キャピラリー電圧:4 kV(positive) ,3.5 kV(negative) ネブライザーガス:10 psi N2 乾燥ガス:10 L/min N2,300℃ その他の最適化した MRM パラメータを Table 4-1 に示す。. - 33 -.
(40) Table 4-1. Optimized MRM parameters for the analytes Therapeutic category Diuretic. Cathartic. Appetite depressant. Transition a) (m/z). Fragmentor voltage (V). Furosemide. Neg. - 130. Trichloromethiazide. Neg. Hydrochlorothiazide. Neg. Triamterene. Pos. Spironolactone. Pos. Acetazolamide. Pos. Dioctyl sulfosuccinate. Pos. Bisacodyl. Pos. Sennoside A,B. Pos. Picosulfate. Pos. Phenolphthalein. Pos. Phentermine. Pos. Sibutramine. Pos. N-didemethylsibutramine. Pos. 329.0 → 285.0 329.0 → 205.0 377.9 → 242.0 377.9 → 305.9 295.9 → 269.0 295.9 → 205.0 254.1 → 237.1 254.1 → 104.0 341.3 → 107.1 341.3 → 91.0 223.0 → 181.0 223.0 → 163.9 440.3 → 181.0 440.3 → 71.1 362.1 → 184.1 362.1 → 167.1 270.0 → 196.1 270.0 → 151.1 438.0 → 184.1 438.0 → 358.0 319.1 → 225.1 319.1 → 141.1 150.1 → 91.0 150.1 → 133.1 280.2 → 125.0 280.2 → 139.0 252.1 → 125.0. Fenfluramine. Pos. N-nitrosofenfluramine. Pos. Mazindol. Pos. Antidepressant Fluoxetine. Pos. Diazepam. Pos. 4-aminopyridine. Pos. IS. a). ESI mode. Compound. 252.1 → 139.0 232.1 → 159.0 232.1 → 109.0 261.1 → 159.0 261.1 → 109.0 285.1 → 130.0 285.1 → 102.0 310.1 → 148.1 310.1 → 91.1 285.1 → 193.1 285.1 → 222.1 95.1 → 78.0 95.1 → 52.1. - 170 - 170 170 170 90 50 130 210 50 130 50 50 50 90 50 50 50 170 50. Collision energy (eV) -5 - 21 - 17 -5 - 17 - 21 25 45 33 55 9 21 17 13 25 55 33 55 33 13 17 45 21 5 29 9 25 5 21 49 21 53 37 55 5 55 33 25 25 45. The upper and lower lines for each compound respectively indicate the quantification. and confirmation ion transition. - 34 -.
(41) 第4項 試験溶液の調製方法 錠剤型試料はミキサー等で粉砕し,カプセル型試料はカプセルの中身を取り出し均一化 した。 均一化した試料 20 mg を秤量し, 70 %(v/v)メタノール 1.0 mL を加えて室温で 10 min 超音波抽出した後, 10000 rpm で 5 min 遠心分離した。 得られた上澄液 0.1 mL に水 0.4 mL と 0.5 mg/mL 内部標準溶液を 10 μL 加え,0.45 μm のメンブランフィルターを通過させ たものを試験溶液とした。. - 35 -.
(42) 第3節. 結果および考察. 第1項 泳動液の検討 1-1 pH 質量が測定できる MS を用いた分析法においても,物質の同定に関して,CE 分離にお ける泳動時間の情報は重要である。そのため,最初に CE 条件の最適化を行った。20 mM ギ酸アンモニウム溶液にギ酸またはアンモニア水を添加して pH を 3.0−10.0 の範囲内で 0.5 間隔になるように調整し,分析した。低い pH では EOF 速度が遅いため,泳動時間が 長く,ピークもブロードとなった。特に pH 4.0 以下では,30 min 以内にすべての成分が 検出されなかった。本研究では,対象物質のうち分子量の等しい 2 組 4 物質(センノシド A および B,マジンドール,ジアゼパム)のエレクトロフェログラム上での分離が達成さ れるように最適化した。 Fig. 4-2 に pH 5.0,8.0,10.0 での 4 物質のエレクトロフェログラムを示す。マジンド ールの pKa は,2.9 および 8.6 であり 64),ジアゼパムは 3.4 のため 65),両者は pH 5.0 お よび 8.0 においてはベースライン分離しているが,10.0 ではいずれも中性物質として同一 速度で泳動しているために分離されなかった。また,全体的に見て pH 8.0 の方が泳動時 間も短く,ピーク形状も良好なため,泳動液の pH は 8.0 とした。センノシド A および B については,pH 8.0 では分離が不十分であったが,後述する有機溶媒の添加によって改善 された。. - 36 -.
(43) 4000. Abundance. (A) 3000. Dia. Sen A+ Sen B. 2000 m/z 270→196. 1000. m/z 285→193 Maz. 0 0. m/z 285→130. 5. 10. 15. 20. Time(min). Abundance. 10000. (B). Maz. 7500. Dia. Sen A+ Sen B. 5000 m/z 270→196. 2500. m/z 285→193 m/z 285→130. 0 0. 5. 10. 15. 20. Time(min). 6000. Abundance. (C) 4500 Dia. Maz. 3000. Sen B. Sen A. m/z 270→196. 1500. m/z 285→193 m/z 285→130. 0 0. 5. 10. 15. 20. Time(min). Fig. 4-2. Effect of pH in BGE on separation of four compounds by CE-MS/MS. Experimental conditions: analytes, 50 μg/mL of mazindol (Maz), 4 μg/mL of diazepam (Dia), 50 μg/mL of Sennoside A (Sen A), 50 μg/mL of Sennoside B (Sen B); sample injection, hydrodynamic injection (50 mbar × 30 s); BGE, 20 mM ammonium formate at pH 5.0 (A), 8.0 (B), 10.0 (C); sheath liquid, 5 mM ammonium formate in 50 %(v/v) methanol with 0.1 %(v/v) formic acid. The enlarged electropherogram in (C) shows part of the same data. - 37 -.
(44) 1-2 有機溶媒 泳動液に有機溶媒を添加することにより,分離の選択性が変化することが知られている。 本研究では,異なる濃度のアセトニトリルを用いてセンノシド A および B の分離を下式に 示す分離度(Rs)で評価した 66)。. s=2 ×. (2). tR1 および tR2:ピークの泳動時間(tR2 > tR1) W1 および W2:ベースラインでのピーク幅. 一般に Rs が 1.5 を超えると,2 つのピークは完全に分離しているとみなされる。アセト ニトリル濃度が高くなれば,Rs も大きくなった。20 %を超えると,センノシド A および B は完全に分離した。しかし,アセトニトリル濃度の上昇とともに,泳動時間は長くなり, ピーク形状も悪化した。さらに電流値も不安定になり,再現性の低下につながる可能性が あるため,アセトニトリル濃度は 20 %とした。. 1-3 ギ酸アンモニウム濃度 ギ酸アンモニウムの濃度を 5−30 mM に変化させて評価した。ギ酸アンモニウム濃度が 高いほど,泳動時間は長くなった。これは,イオン強度の増加による EOF の減少が要因 と考えられる。また,低濃度であれば電流値が低く(10 μA 未満) ,不安定となったため, ギ酸アンモニウム濃度は 20 mM とした。. 第2項 シース液の検討 LC/MS 分析で用いられていた移動相に準じて 5 mM ギ酸アンモニウムおよび 0.1 %(v/v) ギ酸をシース液中のイオン化促進剤として添加した。5 種類の異なった濃度のメタノール 溶液(10 %,25 %,50 %,75 %および 90 %(v/v))を検討した。 1-2の泳動液での検討と同様に,有機溶媒の濃度が高くなると,泳動時間は長くなっ た。一方,検出感度については,高濃度ではシース液の揮発性が高まり,ピーク強度は強 くなった。Fig. 4-3 にポジティブイオンおよびネガティブイオンモードで測定する代表的 な物質として,それぞれマジンドールおよびフロセミドのメタノール濃度に対するピーク 面積の推移を示す。この 2 物質についてもメタノール濃度の上昇により,感度の上昇が見 - 38 -.
(45) られた。しかし,50 %を超えるとほぼ横ばいとなったことから,メタノール濃度は 50 % とした。 また,シース液の流量についても 3−8 μL/min の範囲で最適な条件を検討した。検出感 度に顕著な変化は見られなかったが,低流量ほど泳動時間は長くなった。そのため,シー ス液流量は 8 μL/min とした。. 2000. Peak area. 1500 1000 500 0 0. 25. 50. 75. 100. Methanol content (%) Fig. 4-3. Effects of methanol content in sheath liquid on peak area of two typical compounds. The sheath liquid was composed of 5 mM ammonium formate and 0.1 %(v/v) formic acid containing various concentrations of methanol. BGE; 20 mM ammonium formate / 20 % acetonitrile, pH 8.0. Open circles: furosemide (negative mode, 100 μg/mL), closed circles: mazindol (positive mode, 50 μg/mL).. 第3項 前処理 健康食品は,錠剤型やカプセル型等の様々な形状のものが市販されている。健康食品中 の医薬品成分の分析には,メタノールが抽出溶媒として用いられることが多いが,センノ シド A および B の低回収率の報告. 67)もある。一方,日本薬局方のセンナ定量法の抽出溶. 媒には,70 %(v/v)メタノールが用いられている 68)。本研究においても,70 %(v/v)メタノ ールを用いた。. - 39 -.
(46) 第4項 分析性能 Table 4-2 に 20 物質のバリデーションパラメータを示す。各物質の検量線には,良好な 直線性が見られた(r > 0.98) 。2 種類のブランク試料(粉末および液体)のノイズ高さか らそれぞれ評価した LOD(S/N = 3)は,1.0−750 μg/g(試験溶液中に換算すると,0.004 – 3.0 μg/mL)であり,薬用量レベルの濃度は十分に検出できることが示された。 イオン化時におけるマトリックス効果の影響を検討した。マトリックス効果は分析対象 成分とマトリックス成分(夾雑物)がイオン源内で共存した際に,マトリックス成分の影 響により対象成分のイオン化が阻害または促進される現象であり,ブランク試料溶液を含 む標準溶液(マトリックス標準)とブランク試料を含まない同濃度の標準溶液(溶媒標準) を比較し,各対象物質のピーク面積の比率(マトリックス標準/溶媒標準)で評価した。す べての物質で比率は 0.87−1.18 となり,粉末型および液体型のいずれにおいてもマトリッ クス成分の影響を受けないことを確認した。 添加回収試験として,ブランク試料に 20 種の標準試料を添加したものを分析した。Fig. 4-4 にそのエレクトロフェログラムを示す。添加濃度は,それぞれのピーク強度を考慮し て,フェンテルミン,フェンフルラミンは 0.125 mg/g,スピロノラクトン,ジオクチルス ルホサクシネート,ピコスルファート,フルオキセチンは 2.5 mg/g,アセタゾラミド,セ ンノシド A,センノシド B,マジンドールは 6.25 mg/g,フロセミド,トリクロルメチア ジド,ヒドロクロロチアジドは 12.5 mg/g,その他は 0.5 mg/g とした。8 min 付近に EOF とともに中性物質として泳動した数種類の物質が同時に検出された。MRM モードでの測 定により,すべての物質において定量の妨害となるピークは認められなかった。5 試行の 平均回収率は,80.4−101.1 %であった。併行精度,室内(日間)精度は,それぞれ 5.8−15.6 %, 7.1−20.9 %であった。. - 40 -.
(47) Table 4-2. Validation parameters of the proposed method for the analysis of 20 compounds LOD(μg/g). Linearity range (mg/g). Correlation coefficient. Furosemide. 2.5-125. Trichloromethiazide. Compound. Matrix effect. RSD (%) Recovery. (%) b). Intraday. Int erday. c). d). 1.07. 89.8. 10.3. 11.3. 1.06. 0.97. 92.4. 12.1. 14.3. 510. 1.03. 0.97. 100.3. 12.6. 14.2. 3.9. 4.8. 1.18. 0.94. 86.7. 9.4. 18.4. 0.989. 100. 75. 0.95. 1.02. 81.3. 5.8. 9.0. 0.31-12.5. 0.995. 150. 100. 0.98. 1.09. 91.4. 12.4. 13.8. Dioctyl sulfosuccinate. 0.25-12.5. 0.980. 95. 110. 1.18. 1.11. 86.7. 13.1. 20.1. Bisacodyl. 0.025-1. 0.999. 16. 12. 1.13. 1.07. 81.4. 10.1. 16.2. Sennoside A. 0.25-12.5. 1.000. 280. 160. 0.87. 0.81. 86.6. 7.1. 12.4. Sennoside B. 0.25-12.5. 0.993. 420. 410. 1.09. 0.97. 90.4. 11.5. 10.9. Picosulfate. 0.25-12.5. 0.997. 11. 44. 1.11. 0.94. 91.2. 7.5. 20.9. Phenolphthalein. 0.025-1. 0.996. 5.7. 4.9. 0.98. 0.95. 86.0. 9.7. 12.1. Phentermine. 0.025-1. 0.995. 2.3. 2.3. 1.14. 0.98. 84.9. 6.5. 18.7. Sibutramine. 0.05-2.5. 0.990. 4.4. 4.7. 1.14. 0.96. 101.1. 7.4. 12.3. N-didemethylsibutramine. 0.025-1. 0.998. 11. 7.5. 0.94. 0.86. 84.9. 15.6. 19.1. Fenfluramine. 0.006-0.25. 0.994. 1.2. 1.0. 1.10. 1.01. 87.7. 8.2. 14.3. N-nitrosofenfluramine. 0.025-1. 1.000. 11. 5.8. 1.08. 1.03. 91.6. 7.0. 7.1. Mazindol. 0.31-12.5. 0.992. 220. 150. 1.05. 0.92. 84.2. 12.3. 15.3. Fluoxetine. 0.25-12.5. 1.000. 84. 65. 0.99. 0.92. 89.8. 10.3. 11.3. Diazepam. 0.025-1. 0.994. 19. 10. 0.95. 1.09. 80.4. 11.2. 15.3. Powder. Liquid. Powder. Liquid. a). a). a). a). 0.988. 130. 320. 0.95. 2.5-125. 0.999. 750. 290. Hydrochlorothiazide. 2.5-125. 0.999. 230. Triamterene. 0.025-1. 0.998. Spironolactone. 0.25-12.5. Acetazolamide. a). The mean value, n = 6.. b). The mean value, n = 5.. c). n = 5.. d). n = 4.. - 41 -.
(48) Fig. 4-4. CE-MS/MS analysis of a sample extract spiked with a mixture of 20 standard solution. Spiked concentration; 0.125 mg/g (the analyte number 13,16 as in Fig. 4-1), 0.5 mg/g (4,8,12,14,15,17,20), 2.5 mg/g (5,7,11,19), 6.25 mg/g (6,9,10,18), 12.5 mg/g (1,2,3). IS concentration; 10 ng/μL. BGE; 20 mM ammonium formate / 20 % acetonitrile, pH 8.0. The numbers in figure indicate the analyte numbers (left) and the maximum peak abundances in the electropherogram (right). Sample preparation conditions are described in the experimental section.. - 42 -.
(49) 第5項 実試料への応用 本法を用いて健康食品 12 種と一般用医薬品 3 種の 20 種類の医薬品成分の含有量を測定 した。市販されていた 10 製品は,医薬品成分は検出されなかったが,健康被害の生じた 2 製品は,フェンテルミンおよびシブトラミンが検出された(Table 4-3,試料 A および B) 。 Fig. 4-5 に検出された医薬品成分のエレクトロフェログラムを示す。2 成分ともに国内で は未承認の医薬品で,食欲抑制作用を有するものであった。米国 FDA データベース 69)で は,フェンテルミンおよびシブトラミンの薬用量は,それぞれ 30 mg/日および 10 mg/日 である。試料 A は錠剤型で,1 錠の質量が 130 mg であることから,2 錠服用でほぼ薬用 量に相当するフェンテルミンを摂取することになる。また,粉末型のインスタントコーヒ ーの試料 B においても,1 包あたりの質量が 10 g であり,1 包中に薬用量を超えるシブト ラミンが含有されていることがわかった。 また,市販の一般用医薬品中の含有量の確認に本法を適用した。表示量に対しての定量 値の割合は,88.6−98.3 %となり,概ね表示量と一致した。. - 43 -.
(50) Table 4-3. Determination of drug substances in dietary supplements and nonprescription drugs. Category. Sample. Compound. name. Dietary supplements. Nonprescription drugs. Content (mg/g) a). Detected / labeled (%) b). A. Phentermine. 111 ± 18. -. B. Sibutramine. 1.4 ± 0.1. -. C. Bisacodyl. 44.3 ± 4.6. 88.6. Dioctyl sulfosuccinate. 78.1 ± 7.4. 97.6. D. Picosulfate. 14.8 ± 1.6. 98.3. E. Bisacodyl. 46.0 ± 3.9. 91.8. Sennoside A. 22.1 ± 4.3. 96.0. Sennoside B. 26.0 ± 2.8. a). The mean value ± SD, n = 3. b). Detected contents / labeled value (%). c). Labeled value is expressed as the sum of sennoside A and sennoside B.. c). 150.1 → 91.0. 280.2 →125.0. 150.1 →133.1. 280.2 →139.0. Fig. 4-5. CE-MS/MS electropherograms of real samples. (A) Sample A in Table 4-3; phentermine. (B) Sample B in Table 4-3; sibutramine. Final sample concentration: (A) 20 μg sample/mL, (B) 4 mg sample/mL. The upper electropherograms: quantification ion, lower electropherograms: confirmation ion. - 44 -.
(51) 第4節. まとめ. 痩身用健康食品中の 20 種の医薬品成分の CE/MS 一斉分析法を開発した。 1)これまで国内で違法添加が確認されたものを含む 20 種の医薬品成分は,利尿剤や 下剤,向精神薬等の異なる作用機序を持つものであり,構造も多様であるが,1 回 の分析ですべてをスクリーニングできた。 2)必要試料量が少なく,装置のウォームアップ時間も短いため,LC/MS 法等の他の分 析法との同時併行での分析が可能である。また,クロマトグラフィーとは異なる分 離を示すことから,成分同定の確実性が増した。 3) 実際に健康被害事例が発生した製品においても, スクリーニングとして活用できた。. - 45 -.
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