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分光蛍光光度計

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Academic year: 2021

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キーワード:蛍光測定、りん光測定、定量分析、材料分析、寿命測定

はじめに

物質がエネルギーを吸収すると、放熱など によりそのエネルギーを放出しますが、光の 放射によってエネルギーを放出する場合があ ります。この光は放射メカニズムによって「蛍 光」もしくは「りん光」と呼ばれます。私た ちの身の回りにもこのような蛍光、りん光を 示す物質を含んだものが数多くあります。例 えば蛍光灯は蛍光物質をガラス管に塗布した ものであり、道路標識も蛍光物質が用いられ ることによって夜間でも目立つようになって います。また、ビタミンやクロロフィル(葉緑 素)など、生体系に重要な役割を果たす物質に も、蛍光、りん光を示すものがあります。今 回紹介する分光蛍光光度計は、蛍光、りん光 を示す物質の検出や定量、発光材料の特性評 価などに利用できます。

分光蛍光光度計とは

分光蛍光光度計は測定試料に光を当てるこ とによってエネルギーを吸収させ、試料の蛍 光・りん光を調べる装置です。当研究所が所 有している分光蛍光光度計(日本分光(株)製

FP-6600)を図1に示します。

基本仕様

光源:150 W キセノンランプ

分光器:励起側 1800 本/mm 凹面回折格子 蛍光側 900 本/mm 凹面回折格子 波長範囲: 励起側 220 – 850 nm

蛍光側 220 – 1010 nm

用途の紹介

(1)蛍光、りん光スペクトル測定

物質が吸収、放射する光の波長は物質固有 の値として決まっています。従って、吸収さ せる光(励起光)と検出する光の波長を指定し

て測定を行うことによって、測定試料に目的 とする発光物質が含まれているのかを調べる ことができます。また、励起光を固定して発 光スペクトルを調べる、逆に、検出波長を固 定して励起スペクトルを調べることによって、

発光材料の特性を調べることに利用できます。

(2)定量測定

試料中の発光物質の濃度が未知の場合、濃 度が既知の標準試料を用いて濃度と発光強度 との関係を調べ(検量線の作成)、試料の発光 強度から発光物質の濃度を調べることができ ます。物質の吸光、発光特性にもよりますが、

一般的に分光蛍光光度計による定量測定は、

低濃度の領域で有効な手段となります。

(3)りん光寿命測定

蛍光は寿命が短く、エネルギーを吸収させ るための励起光をカットするのとほぼ同時に 発光もなくなります。これに対してりん光は 比較的寿命が長く、励起光をカットした後も 発光が続きます。りん光の寿命測定は材料特 性の評価としても重要であり、2 成分系にお ける分離定量にも利用できます。

図1 分光蛍光光度計の外観写真

No.08002

分光蛍光光度計

(2)

測定できるもの

分光蛍光光度計は、発光性を示す物質が測 定対象となります。発光性を示さない物質は そのままの形では測定することができません が、他の試薬との反応を利用することによっ て分析可能になる場合があります。

蛍光性を示す無機化合物は多くありません が、有機試薬と反応させることによって蛍光、

りん光を示す化合物に変化するものがありま す。有機化合物に関しては、二重結合や三重 結合を持った化合物(π電子を持った化合物) の多くが蛍光またはりん光を示すため、その ままで分析が可能です。発光が弱い(発光性を 示さない)化合物については無機化合物と同 様、他の試薬と反応させることによって発光 性を付与します。

測定試料は液体だけでなく固体粉末やフィ ルム状でも測定可能ですが、分析目的によっ ては抽出分離などの前処理が必要となります。

また、りん光は室温付近で得られることは少 なく、極低温で測定することが一般的ですが、

本装置ではこのような低温用の測定セルも備 えています。

実際の測定例を以下に示します。

紙に利用される蛍光増白剤の検出

紙は時間がたつと黄色く変色してしまうこ とが知られています(退色といいます)。これ は紙の原料の中にリグニンという成分が含ま れており、このリグニンが紫外線によって反 応を起こして黄変することに関係しています。

そこで白色性を保持するために、黄色の補色 となる青紫色の蛍光を持つ、スチルベン系の 物質などが増白剤として用いられていること があります。そこで、種々の紙を試験試料と し、分光蛍光光度計を用いて蛍光増白剤の検 出を行いました。実験条件を以下に示します。

測定試料:

写真印刷対応プリンタ用紙 コピー用紙(再生紙含む) ノート(再生紙含む) 紙コップ

ティッシュペーパー

励起光波長 :350 nm 検出波長 :350 - 500 nm

測定は試料を適当な大きさに切り取り、固体 測定用アタッチメントに設置して行いました。

測定結果を図2に示します。全ての試料が

360 nm 以下の領域で大きな強度を示してい

ますが、これは励起光が反射したものを検出 しているためで、蛍光特性ではありません。

コピー用紙、プリンタ用紙、ノートに関して

は400 - 480 nm付近に発光が確認されます。

この波長領域は青紫~青色の光に対応し、蛍 光材料が利用されていることがわかります。

一方、ティッシュペーパーと紙コップにはこ の領域に発光が認められず、青色発光を示す 蛍光材料は用いられていないと考えられます。

蛍光材料のうち有害性が指摘されているもの に関しては、体内に摂取してしまう危険のあ る用品に含まれないように決められています。

おわりに

分光蛍光光度計は、私たちの身近にある日 常用品に含まれる成分の分析や、各種発光材 料の特性評価など、多岐にわたって利用する ことができます。

皆様のご利用をお待ちしております。

図2 紙試料の蛍光スペクトル

プリンタ用紙、 コピー用紙、 ノート 紙コップ、 ティッシュ

360 400 440 480 520

強度(任意単位)

波長 ( nm )

作成者 化学材料系 嵯峨根 史洋 Phone: 0725-51-2677 発行日 2008年7月1日

参照

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