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研究成果の刊行に関する一覧表
雑誌
発表者氏名 論文タイトル名 発表誌名 巻号 ページ 出版年 大神 明 産 業 医 の ワ ー ク フ ロ
ー 視 点 か ら 見 た iPHR(industrial Personal Health Record)の構築
健康開発 20 巻 1 号 45‑52 2015
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Ⅱ.研究成果物別刷
産業医のワークフロー視点から見た
(industrial Personal Health
大神
産業医科大学 学 教授
1.はじめに
Personal Health Record
の 健康情報を記録した媒体のことである。この概 念 は特に目新しいものではなく、医師が作成して い る患者のカルテや、市町村が交付する母子健康 手 帳など、従来からごく一般的に存在していたも の である。電子カルテに代表されるように、近年 の 情報工学技術の発展は、このような個人記録を 紙 媒体からデジタル電子媒体への記録・保存へと 進 化させ、今日では病気の記録のみならず、個人 が 自らの健康に関する情報を集約・累積した日々 の 記録として、自己管理の下に生涯にわたり保持 す ることが可能になってきている。健康情報ビッ グ データ
戦 略」(平成
の健康保険組合に対し、レセプト等のデータの 析、それに基づく加入者の健康保持増進のため 事業計画として『データヘルス計画』の作成・
表、事業実施、評価等の取組を求める」ことを げている。また、
生労働省、総務省が
り組んでおり、政府の高度情報通信ネットワーク 社会推進戦略本部(
な情報通信技術戦略」に 1つとして「どこでも いる。民間では、
ューションズ、公益財団法人神奈川県予防医学 会、株式会社ファンケルヘルスサイエンスの3 体により、健康サービスの開発に有用な
産業医のワークフロー視点から見た industrial Personal Health
明
産業医科大学 産業生態科学研究所
1.はじめに
Personal Health Record
健康情報を記録した媒体のことである。この概 は特に目新しいものではなく、医師が作成して る患者のカルテや、市町村が交付する母子健康 帳など、従来からごく一般的に存在していたも である。電子カルテに代表されるように、近年 情報工学技術の発展は、このような個人記録を 媒体からデジタル電子媒体への記録・保存へと 化させ、今日では病気の記録のみならず、個人 自らの健康に関する情報を集約・累積した日々 記録として、自己管理の下に生涯にわたり保持 ることが可能になってきている。健康情報ビッ データの活用について我が国では、「日本再興 略」(平成 25 年6月
の健康保険組合に対し、レセプト等のデータの 析、それに基づく加入者の健康保持増進のため 事業計画として『データヘルス計画』の作成・
表、事業実施、評価等の取組を求める」ことを げている。また、2008
生労働省、総務省が
り組んでおり、政府の高度情報通信ネットワーク 社会推進戦略本部(IT
な情報通信技術戦略」に 1つとして「どこでも いる。民間では、2014
ューションズ、公益財団法人神奈川県予防医学 会、株式会社ファンケルヘルスサイエンスの3 体により、健康サービスの開発に有用な
産業医のワークフロー視点から見た industrial Personal Health
産業生態科学研究所 作業関連疾患予防
Personal Health Record(PHR)
健康情報を記録した媒体のことである。この概 は特に目新しいものではなく、医師が作成して る患者のカルテや、市町村が交付する母子健康 帳など、従来からごく一般的に存在していたも である。電子カルテに代表されるように、近年 情報工学技術の発展は、このような個人記録を 媒体からデジタル電子媒体への記録・保存へと 化させ、今日では病気の記録のみならず、個人 自らの健康に関する情報を集約・累積した日々 記録として、自己管理の下に生涯にわたり保持 ることが可能になってきている。健康情報ビッ の活用について我が国では、「日本再興
14 日閣議決定)において、「全 の健康保険組合に対し、レセプト等のデータの 析、それに基づく加入者の健康保持増進のため 事業計画として『データヘルス計画』の作成・
表、事業実施、評価等の取組を求める」ことを 2008 年 度 か ら 経 済 産 業 省 、
PHR 構築の実証実験に取 り組んでおり、政府の高度情報通信ネットワーク
戦略本部)は、
な情報通信技術戦略」における医療分野の計画 1つとして「どこでも MY 病院」構想を公表し 2014 年より株式会社日立ソ ューションズ、公益財団法人神奈川県予防医学 会、株式会社ファンケルヘルスサイエンスの3 体により、健康サービスの開発に有用な
産業医のワークフロー視点から見た industrial Personal Health
築
作業関連疾患予防
) とは、 個 人 健康情報を記録した媒体のことである。この概 は特に目新しいものではなく、医師が作成して る患者のカルテや、市町村が交付する母子健康 帳など、従来からごく一般的に存在していたも である。電子カルテに代表されるように、近年 情報工学技術の発展は、このような個人記録を 媒体からデジタル電子媒体への記録・保存へと 化させ、今日では病気の記録のみならず、個人 自らの健康に関する情報を集約・累積した日々 記録として、自己管理の下に生涯にわたり保持 ることが可能になってきている。健康情報ビッ の活用について我が国では、「日本再興
日閣議決定)において、「全 の健康保険組合に対し、レセプト等のデータの 析、それに基づく加入者の健康保持増進のため 事業計画として『データヘルス計画』の作成・
表、事業実施、評価等の取組を求める」ことを 年 度 か ら 経 済 産 業 省 、 構築の実証実験に取 り組んでおり、政府の高度情報通信ネットワーク
戦略本部)は、2010 年に「新 おける医療分野の計画
病院」構想を公表し 年より株式会社日立ソ ューションズ、公益財団法人神奈川県予防医学 会、株式会社ファンケルヘルスサイエンスの3 体により、健康サービスの開発に有用な PHR
SPECIAL CONTRIBUTION
産業医のワークフロー視点から見た industrial Personal Health Record
作業関連疾患予防
個 人 健康情報を記録した媒体のことである。この概 は特に目新しいものではなく、医師が作成して る患者のカルテや、市町村が交付する母子健康 帳など、従来からごく一般的に存在していたも である。電子カルテに代表されるように、近年 情報工学技術の発展は、このような個人記録を 媒体からデジタル電子媒体への記録・保存へと 化させ、今日では病気の記録のみならず、個人 自らの健康に関する情報を集約・累積した日々 記録として、自己管理の下に生涯にわたり保持 ることが可能になってきている。健康情報ビッ の活用について我が国では、「日本再興
日閣議決定)において、「全 て の健康保険組合に対し、レセプト等のデータの 分 析、それに基づく加入者の健康保持増進のため の 事業計画として『データヘルス計画』の作成・ 公 掲 厚 構築の実証実験に取 り組んでおり、政府の高度情報通信ネットワーク
年に「新 た おける医療分野の計画 の 病院」構想を公表し て リ ューションズ、公益財団法人神奈川県予防医学 協 団 PHR
基盤の実現に向けた実運用を、京浜臨海部ライフ イノベーション国際戦略総合特区で実証実験とし て開始している。
テムは、今後も各方面から提唱されることが予想 さ れ る が 、 本 稿 で は 産 業 保 健 分 野 に お け る PHR
とと ても
2.産業保健分野における健康管理の独自性
法(安衛法)は、職場における労働者の安全と健 を確保するとともに、快適な職場環境の形成と 進を目的とする法律である。同法に規定された 働者の健康診断結果(健診情報)は、企業およ 労働者の健康管理における基本的な情報源であ 同法第
業者は、産業医等の医師等の意見を
場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深 業の回数の減少等の措置を講ずることが求めら ている。
産業保健分野における健康管理の独自性であると 思われる。すなわち、同法における健診情報は、
単なる個人の健康管理を目的とする 異
提 安衛 ル情
SPECIAL CONTRIBUTION
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015
SPECIAL CONTRIBUTION
産業医のワークフロー視点から見た iPHR Record)の構
基盤の実現に向けた実運用を、京浜臨海部ライフ イノベーション国際戦略総合特区で実証実験とし て開始している。
このような情報集約化を実現するツールやシス テムは、今後も各方面から提唱されることが予想 さ れ る が 、 本 稿 で は 産 業 保 健 分 野 に お け る PHR という発想とその構築について考察を加える とと もに、現在進行中の厚生労働科学研究につい ても 紹介する。
2.産業保健分野における健康管理の独自性
昭和 47(1972法(安衛法)は、職場における労働者の安全と健 を確保するとともに、快適な職場環境の形成と 進を目的とする法律である。同法に規定された 働者の健康診断結果(健診情報)は、企業およ 労働者の健康管理における基本的な情報源であ 同法第 66 条の5に明記されているように、
業者は、産業医等の医師等の意見を
場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深 業の回数の減少等の措置を講ずることが求めら ている。
この「従業員の就業措置を行う」という点が、
産業保健分野における健康管理の独自性であると 思われる。すなわち、同法における健診情報は、
単なる個人の健康管理を目的とする
異 なり、企業における健康管理への有効活用を前 提 としている。施行されて
安衛 法における健診情報は、紙文書またはデジタ ル情
SPECIAL CONTRIBUTION
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015
SPECIAL CONTRIBUTION
iPHR
)の構
基盤の実現に向けた実運用を、京浜臨海部ライフ イノベーション国際戦略総合特区で実証実験とし て開始している。
このような情報集約化を実現するツールやシス テムは、今後も各方面から提唱されることが予想 さ れ る が 、 本 稿 で は 産 業 保 健 分 野 に お け る という発想とその構築について考察を加える もに、現在進行中の厚生労働科学研究につい 紹介する。
2.産業保健分野における健康管理の独自性
1972)年に制定された労働安全衛生 法(安衛法)は、職場における労働者の安全と健 を確保するとともに、快適な職場環境の形成と 進を目的とする法律である。同法に規定された 働者の健康診断結果(健診情報)は、企業およ 労働者の健康管理における基本的な情報源であ 条の5に明記されているように、業者は、産業医等の医師等の意見を
場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深 業の回数の減少等の措置を講ずることが求めら
この「従業員の就業措置を行う」という点が、
産業保健分野における健康管理の独自性であると 思われる。すなわち、同法における健診情報は、
単なる個人の健康管理を目的とする
なり、企業における健康管理への有効活用を前 としている。施行されて
法における健診情報は、紙文書またはデジタ
SPECIAL CONTRIBUTION
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015
SPECIAL CONTRIBUTION
基盤の実現に向けた実運用を、京浜臨海部ライフ イノベーション国際戦略総合特区で実証実験とし このような情報集約化を実現するツールやシス テムは、今後も各方面から提唱されることが予想 さ れ る が 、 本 稿 で は 産 業 保 健 分 野 に お け る という発想とその構築について考察を加える もに、現在進行中の厚生労働科学研究につい
2.産業保健分野における健康管理の独自性
)年に制定された労働安全衛生 法(安衛法)は、職場における労働者の安全と健 を確保するとともに、快適な職場環境の形成と 進を目的とする法律である。同法に規定された 働者の健康診断結果(健診情報)は、企業およ 労働者の健康管理における基本的な情報源であ 条の5に明記されているように、
業者は、産業医等の医師等の意見を勘案し、就 場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深 業の回数の減少等の措置を講ずることが求めら
この「従業員の就業措置を行う」という点が、
産業保健分野における健康管理の独自性であると 思われる。すなわち、同法における健診情報は、
単なる個人の健康管理を目的とする PHR なり、企業における健康管理への有効活用を前 としている。施行されて 40 年以上になり、
法における健診情報は、紙文書またはデジタ
SPECIAL CONTRIBUTION
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015 1 1
SPECIAL CONTRIBUTION
基盤の実現に向けた実運用を、京浜臨海部ライフ イノベーション国際戦略総合特区で実証実験とし このような情報集約化を実現するツールやシス テムは、今後も各方面から提唱されることが予想 さ れ る が 、 本 稿 で は 産 業 保 健 分 野 に お け る という発想とその構築について考察を加える
もに、現在進行中の厚生労働科学研究につい
2.産業保健分野における健康管理の独自性
)年に制定された労働安全衛生 法(安衛法)は、職場における労働者の安全と健 康 を確保するとともに、快適な職場環境の形成と 促 進を目的とする法律である。同法に規定された 労 働者の健康診断結果(健診情報)は、企業およ び 労働者の健康管理における基本的な情報源であ り、
条の5に明記されているように、 事 勘案し、就 業 場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深 夜 業の回数の減少等の措置を講ずることが求めら れ この「従業員の就業措置を行う」という点が、
産業保健分野における健康管理の独自性であると 思われる。すなわち、同法における健診情報は、
PHR とは なり、企業における健康管理への有効活用を前
年以上になり、
法における健診情報は、紙文書またはデジタ
SPECIAL CONTRIBUTION
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015 2 1 特別寄稿
報というデータ形態で既に大量に集積されて い
る。今後は、それをどう使うかが求められており、 産 業医はそれを活用するファシリテーターとして の 役割を担っている。現状では必ずしも産業医は 全 ての事業場に契約されているわけではないが、
少なくとも産業保健におけるこれからの PHR の 設計は、この産業医(産業保健スタッフ)のワ ー クフローをいかに支援できるかというところが 要 点ではないかと考えられる。
3.産業保健版 PHR の設計に関する課題
(1)就業形態の変化と分散型事業場
安衛法は全ての労働者に健診受診を義務づけて いるが、就業形態の変化に伴い健診の受診率も変 化している。平成 19 年の厚生労働省の統計によ れば、事業所における健診受診率は産業医選任義 務のある 50 人以上の規模の事業所では概ね 80%
を超えているが、50 人未満では 80%に満たない ところが多く、その一方で、就業形態別では、一 般 社員は 90%を超えているにもかかわらずパー ト タ イ ム 労 働 者 は 50%未満であった。つまり、
事業場の規模が小さいほど健診情報が集まらず、
また、非正規労働者の健診情報は集まりにくい状 況になっている。
また、就業形態や産業構造の変化とともに、い わ ゆる「分散型事業場」における産業保健サービ ス をいかに提供するかも課題となってきている。
分散型事業場の定義は、平成 15 年の労働福祉事 業団による「小規模事業場産業保健活動指針等検 討会 産業保健活動推進分科会報告書」によれば、
単一企業に所属し、地理的に分散している小規模 事業場(単一企業分散型小規模事業場)を指し、
例えば、鉄道会社、多数の営業所を持つ商社、小 規 模の支店を多数持つ金融会社、フランチャイズ 企 業の直営店等、企業全体としては大きいが事業 場 としては小規模なもの(製造業、運輸業、サー ビ ス業等)等が含まれる。このような分散型事業 場 では、事業所間の労働者の異動が随時発生し、 そ れによる健康情報伝達の途絶がしばしば見られ
る。また、各事業場で受診した健診機関における 標準値や診断基準に相違が見られるため、同じ検 査結果でも昨年は有所見者ではなかったのに異動 して健診機関が変わったら有所見者になるなどと いうことがありうる。さらに、異動前の事業場で は健診事後指導が頻回であったのに、異動した事 業場では全くフォローアップがないなど、各事業 場での健康情報の活用の温度差の問題などもしば しば見受けられるようになっている。
分散型事業場における産業保健活動は、集中型 の 事業場における産業保健活動と比較して、質的 ある いは量的な相違があるのは当然と思われる。 形態 として個々の事業場が小規模であるが故に、 活動 の主体となるのは嘱託産業医のことが多く、 仮に 本部の専属産業医が個々の事業場の担当で あ ってもその産業保健活動が月に数回になってし ま うなど、嘱託産業医の活動に類似してくるとい うこ とがある。さらに、事業場が 50 人未満であ れば 産業医も居らず、単一企業全体の産業保健シ ステム が行き届かないという事実もあると思われ る。
(2)分散型事業場あるいは中小事業場における 産業保健活動
専属産業医の活動と比べて、分散型事業場に限 ら ず中小事業場における産業保健活動には制約が 多 いと思われる。共通した課題の1つは時間的制 約の 問題であろう。面談するにしても、巡視する にして も、安全衛生委員会に出席するにしても、 その場 に産業医が居ることを求められるが嘱託産 業医の 契約回数が限られていて、しかも時間的余 裕もなく 随時的に対応できないということは克服 しなけれ ばいけない課題の1つであろう。これに 関しては、
冒頭にも述べたように情報工学技術の 発展により、
例えば面談を行うツールとしてテレ ビ会議システ ムなどを活用することは以前と比べ て飛躍的に容 易になってきている。「情報」 をリ アルタイムで 伝達するツールは日々進歩してお り、時間的制 約というようなデメリットを技術的 に克服するこ とは可能とも思われる。
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015 3 1 特別寄稿
同様に、分散型事業場や中小事業場における産 業保健活動をいかに向上させるかという課題は、
最新の IT 技術を活用しながら健診情報などの 情 報を伝達(活用)させるシステムを、物理的な 距 離や人的リソース、事業場ニーズを超えていか に 構築するかにかかっているのではないかと 考え る。つまり、情報を正しく収集し、伝達し、
判断 しさらにそれを蓄積する、という産業保健の ワー クフローを踏まえながら、産業保健情報を分 散型 事業場あるいは中小事業場で、産業医と始め とす る産業保健スタッフ、事業場側担当者、そし てそ こで働く個々の労働者の間で展開・共有でき るか ということが重要ではないかと考える。
4.産業保健版 PHR の必要性
広義の PHR の概念からすればその一部とな る かもしれないが、産業保健に関しては産業保健 に 特化した PHR を構築する必要があると思われ る。 なぜなら、安衛法における健康診断は、雇い 入れ 時健康診断、定期健康診断、特定業務従事者 健康 診断、海外派遣者の健康診断、給食従事者の 健康 診 断 など の一般 健康 診断と 、特 殊健康 診 断 など 様々な種類があり、その目的は、前述のよ うに職 場における労働者の安全と健康の確保およ び快適 な職場環境の形成と促進であるからである。
一般 的な PHR はどちらかといえば個人が自主 的に記 録・蓄積していく傾向が強いと思われ、ま た、自 己管理が求められるが故に記録の不安定性 と不連 続性が課題となると思われる。安衛法によ る健康 診断情報は、健診受診率の問題はあっても 定期的 に調査され格納される安定したデータであ り、多 種多年にわたりデータが膨大に蓄積され ている。 産業保健版 PHR の構築に当たっては、
安衛法の 目的に照合した活用があってこそ初 めて PHR と しての意義が出てくるのであって、
単なる疾病の 早期発見と予防という目的に留まら ず、膨大に蓄 積された健診情報データを、産業医 をはじめとす る産業保健スタッフのワークフロー に適合させた 上で確実にデータベース化すること により、将来
的により実効的な PHR の構築に繋がると思わ れ
る。
5.産業保健における PHR に必要な情報
分散型事業場あるいは中小事業場においては、嘱託産業医が産業保健に関わっていることが一般 的で、時間的制限もあることから、嘱託産業医が 就 業判定を行う際には健診情報のみから就業判定 す ることが多いのではないかと思われる。例えば 筆 者も経験したことであるが、嘱託産業医の元へ は 健診機関から膨大な健診結果の紙束が届けら れ、それを1つひとつチェックしつつ、その情報 の みから面談対象者の抽出を行っているというこ と を良く耳にする。あるいは、健診機関によって つ けられた判定がそのまま就業判定とされる場合 も あると聞く。この判断材料とされる健診情報に し ても、実際には「がん検診」、「特定保健指導」、
「人間ドック」等で実施された項目と、安衛法に おける定期・雇い入れおよび特殊健康診断などの 項目など、多くの概念が包含されていると思われ る。すなわち、現在事業場で得られる健診情報に は、
疾病管理あるいは医療区分としての情報と、 安 衛法における就業区分としての情報とが混在し て いる。このような状況の下で、健診情報のみを 単 にデジタル化し PHR とするだけでは、安衛法 が 目的とする健診情報の活用と適正な事後措置が 達 成できるかは甚だ疑問である。
産業医の業務フローの視点から見れば、産業医 が行っている健診後の事後措置あるいは就業判定 は、すなわち事業場で就労している労働者に対す る健康管理面における「評価」である。安衛法に 基 づく健康管理の目的の下で、この就業判定に至 る までに産業医に必要な情報としては、健診情報 に 加えて、疾病管理状況(現病歴・既往歴・自他 覚 症状・主治医の意見書・過去の産業医の面談記 録)、
作業情報(残業時間・勤怠)、作業環境情報
(作業環境測定結果・特殊健診結果)などがあり、 さ らには過去の職場巡視記録も必要となるかもし れ ない。専属産業医が在籍するような事業所にお
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015 4 1 特別寄稿
いては、このような情報は比較的容易に集約され、
ある一定のワークフローに則って就業判定・就業 措置はルーチン的に行われていると思われる。
しかしながら産業医であれば専属であろうと嘱 託であろうと健康診断結果、作業環境測定結果、
勤怠情報(残業などの記録)などはアクセス可能 で ある。それらを正確に、効率的に、安全に、経 年 的に集積(蓄積)することが、適正に就業判定 や 措置を行ったり、事業所における産業保健活動 を 客観的に評価したりすることに繋がると思われ る。
紙ベースで情報が保管されていた時代と比べ、
IT 技術により大量の産業保健情報をデジタル媒体 で管理可能な時代になった今日では、このような 情報を集積することへの期待と需要は高まってお り、またデータヘルスの概念にもあるようにそれ らのデータを用いて包括的な解析・評価に繋げる ことは以前よりも容易になってきていると思われ る。また、事業場の産業保健活動評価や企業のヘ ル シー度といった観点でみても、その事業場にお け る健康管理・作業管理・作業環境管理・統括管 理 の4管理に関する 「情報」 を総合的に集約する こ とが可能になって初めて健診情報の有効活用評 価 や、産業保健活動の客観的な 「評価」 を行うこ と が可能になると思われる。
6.iPHR の開発
筆者の研究室を中心とした研究班では、「中小 企 業用産業保健電子カルテの開発とそれによる効 果 的・効率的な産業保健手法に関する検討」と題 して、
厚生労働省科学研究を平成 25 年度から開 始し ている。明らかに PHR とは明記していない もの の、この研究では、主に中小企業や分散型事 業場 における嘱託産業医が従業員個々の就業判 定・健診事後措置を行うにあたり容易に扱えるこ と を目的とし、健康診断結果、作業環境測定結果、 勤怠 情報(残業などの記録)、面談記録(個別面 談の記 録)、文書(紹介状等)、就業上の措置履歴 等の情報が 集積された簡易性、簡便性、低コスト を重視した データベースモデルを制作中であり、 その実証実 験に向けた準備を進めている。この研 究で製作しよ うとしているものは産業保健版個人 健康記録であ り、いうなれば industrial Personal Health Record(iPHR)というものである。表1 に示すよ うなユニット構造を想定している。加え てこの研究 の中では、データベースシステムの構 築と連携した 労働者を対象とした保健指導マニュ アルの作成も 試みており、健診事後措置としての 保健指導を経 時的に iPHR に記録することで、よ り効果的な産 業保健活動へ繋げることを想定して いる。
表1 iPHR に格納されるデータ群
健診データユニット 産業保健スタッフ
ユニット 勤務情報ユニット
一般健診データ 面談報告書 職制情報
特殊健診データ 産業医意見書 勤怠情報
二次健診データ 職場巡視記録 勤務場所
就業判定結果 勤務シフト
(ストレスチェック 主治医意見書 残業時間
結果データ) 休職・病欠情報
作業状況情報 作業環境評価結果 有害業務の有無
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015 5 1 特別寄稿
7.iPHR の設計とバリエーション
分散型事業場や中小企業においては、健診情報 を有効活用するための十分な体制の構築には困難 が多いことが予想される。中小企業の産業保健の 課題としては、①経営基盤の脆弱性、②労働者の 高齢化、③安全衛生に関する知識を有する人材不 足、④個人健康記録の保管管理・プライバシー保 護の困難、⑤配置転換などの適切な就業措置の困 難、等の点が指摘されている(産業医学レビュー 8月号 p105‑135,2008)。中小企業向け産業保 健 版電子カルテの設計にあたっては、これら中小 企 業特有の課題を考慮しながら、それに応じたシ ス テムの構築が必要と思われる。この汎用性の高 い iPHR の設計にあたっては、 低コストと簡便性 がキーワードとなるが、実際には以下のような運 用型が想定される。
(1)産業医および産業保健スタッフが主導でデー タベースを構築するタイプ「産業保健スタッフ主 導型」(図1)
このタイプは例えば市販のソフトウエア(ファ イルメーカーなど)や個人用サーバーなどを用い て構成される比較的ミニマムなタイプのシステム である。
システムデザインとしては、事業所と、その事 業所に契約している嘱託産業医との間に例えば ネットを介した専用線を設置し、事業所から健診 デ ータと勤怠データをこのサーバーにアップロー ド する。産業医および産業保健スタッフは秘密保 持契 約などに明示された手段によるセキュリティ を担 保した上で、事業所との相互運用を図る。こ のタイ プでは、産業保健スタッフが直接ファイル メーカー などのソフトウエアを、それぞれの事業 所のニーズ や形態に応じてカスタマイズすること が可能であ る。また、市販のソフトウエアと既存 のインター ネット環境とを併用することにより、 簡便性と低 コストを実現することが比較的容易で あると思わ れる。
(2)健診機関が主体となってデータベースを構 築するタイプ「健診機関主導型」(図2)
このタイプは主に健診機関にデータベースサー バーを設置、あるいは健診機関がデータベースを 管理するという形態である。現況では、健診機関 には多数の事業場が健診契約を結んでおり、また それに付随して産業医契約を結んでいることが多 いと思われる。健診機関が契約している嘱託産業 医 と 事 業 所 と の 業 務 の 基 幹 施 設 と な る こ と に よ
図1 産業医が主導でデータベースを構築するタイプの iPHR 健診データ
事業場データ 勤怠データ
嘱託契約 産業保健活動
面談報告 巡視報告
産業保健スタッフ 事業場
iPHR
結果報告
健診依頼 メンテナンス
技術者 健診機関
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015 6 1 特別寄稿
図2 健診機関が主体となってデータベースを構築するタイプの iPHR
り、産業保健サービスの充実を図ることが可能に なると思われる。
(3)外部団体がデータベースを構築し、事業所、 健 診機関、産業保健スタッフをつなぐタイプ「外 部 委託型」(図3)
このタイプは、外部団体(業者)がデータベー ス
(サーバー)を所持し、産業保健スタッフ、健
診機関、事業所とそれぞれ契約を交わし、産業保 健活動を支援する形態をとる。
以上の各型の iPHR は、それぞれに適応したア プリケーションを使用する。このアプリケーショ ン は使用形態によりデザインは可変性を持つが、 基 本構造として、①健康情報ユニット(健診デー タな ど)、②企業情報ユニット(勤怠データ、作
図3 外部団体がデータベースを構築し、事業所、健診機関、産業保健スタッフをつなぐタイプの iPHR 結果報告
嘱託契約 産業保健活動
産業保健スタッフ 事業場
結果報告
健診データ 事業場データ
勤怠データ 面談報告 巡視
報告 就業措置 意見書
iPHR
健診依頼 結果報告
健診機関 データ管理事業者
健診データ 事業場データ
勤怠データ 嘱託契約
健診機関 事業場
健診依頼 iPHR
結果報告 面談報告 巡視
報告 就業措置 意見書
産業保健スタッフ
産業保健活動
業環境評価データなど
談記録、就業措置などの情報)の各ユニット構造 持ち、それをデジタル媒体にて経年的に格納し、
ンターネット等の手段を通じて随時性・遠隔性 対応することを想定している。また、このアプ ケーションとデータシステムを通じて、労働安 衛生法にうたわれた健康診断とその事後措置に るプロセスを利便性と有効性の高いものにする とを目的としている。
図4にこのシステムを用いたデータ活用の流れ の概念図を示す。このシステムの運用を達成する には、ステークホールダーとして、事業場(人事・
務担当者/衛生管理者など)、産業保健スタッ
(産業医/保健師など)、
が必要である。さらに、各都道府県産業保健推 センター、一般病院、外部情報管理業者なども 用の担い手として想定されるべきである。
8.データベース構築とそれに連動する事 後 措置体系
本研究班では、研究初年度に健診機関主導で行 う 保 健 指 導 の あ り 方 に つ い て 全 国
の健
業環境評価データなど
談記録、就業措置などの情報)の各ユニット構造 持ち、それをデジタル媒体にて経年的に格納し、
ンターネット等の手段を通じて随時性・遠隔性 対応することを想定している。また、このアプ ケーションとデータシステムを通じて、労働安 衛生法にうたわれた健康診断とその事後措置に るプロセスを利便性と有効性の高いものにする とを目的としている。
にこのシステムを用いたデータ活用の流れ の概念図を示す。このシステムの運用を達成する には、ステークホールダーとして、事業場(人事・
務担当者/衛生管理者など)、産業保健スタッ
(産業医/保健師など)、
が必要である。さらに、各都道府県産業保健推 センター、一般病院、外部情報管理業者なども 用の担い手として想定されるべきである。
8.データベース構築とそれに連動する事 措置体系
本研究班では、研究初年度に健診機関主導で行 う 保 健 指 導 の あ り 方 に つ い て 全 国
iPHR
業環境評価データなど)、③産業保健ユニット(面 談記録、就業措置などの情報)の各ユニット構造 持ち、それをデジタル媒体にて経年的に格納し、
ンターネット等の手段を通じて随時性・遠隔性 対応することを想定している。また、このアプ ケーションとデータシステムを通じて、労働安 衛生法にうたわれた健康診断とその事後措置に るプロセスを利便性と有効性の高いものにする とを目的としている。
にこのシステムを用いたデータ活用の流れ の概念図を示す。このシステムの運用を達成する には、ステークホールダーとして、事業場(人事・
務担当者/衛生管理者など)、産業保健スタッ
(産業医/保健師など)、健診機関の3者の連 が必要である。さらに、各都道府県産業保健推 センター、一般病院、外部情報管理業者なども 用の担い手として想定されるべきである。
8.データベース構築とそれに連動する事
本研究班では、研究初年度に健診機関主導で行 う 保 健 指 導 の あ り 方 に つ い て 全 国
データ入力1(基本情報、健診データ、勤怠データ
iPHR
図4 iPHR
産業保健ユニット(面 談記録、就業措置などの情報)の各ユニット構造 持ち、それをデジタル媒体にて経年的に格納し、
ンターネット等の手段を通じて随時性・遠隔性 対応することを想定している。また、このアプ ケーションとデータシステムを通じて、労働安 衛生法にうたわれた健康診断とその事後措置に るプロセスを利便性と有効性の高いものにする
にこのシステムを用いたデータ活用の流れ の概念図を示す。このシステムの運用を達成する には、ステークホールダーとして、事業場(人事・
務担当者/衛生管理者など)、産業保健スタッ 健診機関の3者の連 が必要である。さらに、各都道府県産業保健推 センター、一般病院、外部情報管理業者なども 用の担い手として想定されるべきである。
8.データベース構築とそれに連動する事
本研究班では、研究初年度に健診機関主導で行 う 保 健 指 導 の あ り 方 に つ い て 全 国 190 以 上
iPHR 管理契約(データに関する取扱契約)
・PCにソフトウエアをインストール
データ入力2
事業所と嘱託契約(産業医契約、保健師契約
データ入力1(基本情報、健診データ、勤怠データ
iPHR によるワークフローの概念図
産業保健ユニット(面 談記録、就業措置などの情報)の各ユニット構造 を
イ ンターネット等の手段を通じて随時性・遠隔性 に 対応することを想定している。また、このアプ リ ケーションとデータシステムを通じて、労働安 全 衛生法にうたわれた健康診断とその事後措置に 至 るプロセスを利便性と有効性の高いものにする こ にこのシステムを用いたデータ活用の流れ の概念図を示す。このシステムの運用を達成する 総 フ 携 進 運
8.データベース構築とそれに連動する事
本研究班では、研究初年度に健診機関主導で行 以 上
診機関に対して調査を行った。その結果、現状の 保 健指導 は、 保健師 や産 業医な どの 産業保 健ス タッフにより実施されているものの、その内容に いては特定保健指導以外には一定のマニュアル なく、各健診機関からは健診事後措置としての 指導マニュアルを要望する意見が多かった。
には、事業場側の健康管理の記録という意 も、その対象者の過去の保健指導記録は記録 てしかるべきものと思われる。また、
報は、最終的には健診受診者の健康管理の向 る い は 健 康 維 持 に 寄 与 す る こ と が 求 め ら れ 今後、少子高齢化による労働人口の減少は必 に 高 齢 者 の 就 業 年 齢 を 押 し 上 げ る こ と に な 若年者においては生活習慣病予防が、高齢者 ては疾病を抱えながらの就労への配慮が求 ることになると考えられる。健康診断を受 働者に対し、客観的に健診結果のみなら 経年の産業保健情報を考慮した事後措 当性と正確性のある保健指導を選択 導 を行っ てい くこと が産 業保健 ス められている。
管理契約(データに関する取扱契約)
・PCにソフトウエアをインストール
データ入力2
事業所と嘱託契約(産業医契約、保健師契約
データ入力1(基本情報、健診データ、勤怠データ
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015 によるワークフローの概念図
診機関に対して調査を行った。その結果、現状の 保 健指導 は、 保健師 や産 業医な どの 産業保 健ス タッフにより実施されているものの、その内容に いては特定保健指導以外には一定のマニュアル なく、各健診機関からは健診事後措置としての 指導マニュアルを要望する意見が多かった。
には、事業場側の健康管理の記録という意 も、その対象者の過去の保健指導記録は記録 てしかるべきものと思われる。また、
報は、最終的には健診受診者の健康管理の向 る い は 健 康 維 持 に 寄 与 す る こ と が 求 め ら れ 今後、少子高齢化による労働人口の減少は必 に 高 齢 者 の 就 業 年 齢 を 押 し 上 げ る こ と に な 若年者においては生活習慣病予防が、高齢者 ては疾病を抱えながらの就労への配慮が求 ることになると考えられる。健康診断を受 働者に対し、客観的に健診結果のみなら 経年の産業保健情報を考慮した事後措 当性と正確性のある保健指導を選択 導 を行っ てい くこと が産 業保健 ス められている。
図5に保健指導マニュアルを用いた
管理契約(データに関する取扱契約)
・PCにソフトウエアをインストール
事業所と嘱託契約(産業医契約、保健師契約
データ入力1(基本情報、健診データ、勤怠データ
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015 によるワークフローの概念図
診機関に対して調査を行った。その結果、現状の 保 健指導 は、 保健師 や産 業医な どの 産業保 健ス タッフにより実施されているものの、その内容に いては特定保健指導以外には一定のマニュアル なく、各健診機関からは健診事後措置としての 指導マニュアルを要望する意見が多かった。
には、事業場側の健康管理の記録という意 も、その対象者の過去の保健指導記録は記録 てしかるべきものと思われる。また、
報は、最終的には健診受診者の健康管理の向 る い は 健 康 維 持 に 寄 与 す る こ と が 求 め ら れ 今後、少子高齢化による労働人口の減少は必 に 高 齢 者 の 就 業 年 齢 を 押 し 上 げ る こ と に な 若年者においては生活習慣病予防が、高齢者 ては疾病を抱えながらの就労への配慮が求 ることになると考えられる。健康診断を受 働者に対し、客観的に健診結果のみなら 経年の産業保健情報を考慮した事後措 当性と正確性のある保健指導を選択 導 を行っ てい くこと が産 業保健 ス められている。
に保健指導マニュアルを用いた の
管理契約(データに関する取扱契約)
事業所と嘱託契約(産業医契約、保健師契約 etc.)
データ入力1(基本情報、健診データ、勤怠データ etc.)
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015
診機関に対して調査を行った。その結果、現状の 保 健指導 は、 保健師 や産 業医な どの 産業保 健ス タッフにより実施されているものの、その内容に いては特定保健指導以外には一定のマニュアル なく、各健診機関からは健診事後措置としての 指導マニュアルを要望する意見が多かった。
には、事業場側の健康管理の記録という意 も、その対象者の過去の保健指導記録は記録 てしかるべきものと思われる。また、
報は、最終的には健診受診者の健康管理の向 る い は 健 康 維 持 に 寄 与 す る こ と が 求 め ら れ 今後、少子高齢化による労働人口の減少は必 に 高 齢 者 の 就 業 年 齢 を 押 し 上 げ る こ と に な 若年者においては生活習慣病予防が、高齢者 ては疾病を抱えながらの就労への配慮が求 ることになると考えられる。健康診断を受 働者に対し、客観的に健診結果のみなら
経年の産業保健情報を考慮した事後措 置として、妥 当性と正確性のある保健指導を選択 し 、 的確な 指 導 を行っ てい くこと が産 業保健 ス タッフには求
に保健指導マニュアルを用いた の
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015 7 1 特別寄稿
診機関に対して調査を行った。その結果、現状の 保 健指導 は、 保健師 や産 業医な どの 産業保 健ス タッフにより実施されているものの、その内容に つ いては特定保健指導以外には一定のマニュアル は なく、各健診機関からは健診事後措置としての 各種 指導マニュアルを要望する意見が多かった。 iPHR には、事業場側の健康管理の記録という意 味で も、その対象者の過去の保健指導記録は記録 され てしかるべきものと思われる。また、iPHR の情 報は、最終的には健診受診者の健康管理の向 上あ る い は 健 康 維 持 に 寄 与 す る こ と が 求 め ら れ る。
今後、少子高齢化による労働人口の減少は必 然的 に 高 齢 者 の 就 業 年 齢 を 押 し 上 げ る こ と に な り、
若年者においては生活習慣病予防が、高齢者 におい ては疾病を抱えながらの就労への配慮が求 められ ることになると考えられる。健康診断を受 診した労 働者に対し、客観的に健診結果のみなら ず、勤怠や 置として、妥 し 、 的確な 指 タッフには求 に保健指導マニュアルを用いた iPHR と
iPHR
連携を示すが、
後
措置が選択され、それに応じて保健指導の内容が 決定されると思われる。マニュアルに応じた保健 指導の記録が
的 な健康管理の状況を客観的に把握することが 可能 になり、健診情報の有効活用が図られると思 われ る。
9.おわりに
産業医が行う健康管理ワークフローは、健康診 断データを基にして個人あるいは企業全体に対し てアプローチがなされることが主であり、その骨 組みは今後も変わることはないと思われる。国民 一人ひとりの年金などの社会保障給付と納税を1 つ の 個 人 番 号 で 管 理 す る 「 共 通 番 号 ( マ イ ナ ン バー)法」が成立した今後は、職域における 効果 的 な 健康 管理を 行う 上で、デジタ ル統合 技 術が ベースとなることは必定である。
今後、個人と事業者両者に責任あるデータ管理 体制として、労働者各個人には主体的に各自の健 康情報を管理し、事業場の特性
の必要性を理解し、積極的に健康診断を受診する ことが特に求められる。これに付随して、個人が 連携を示すが、iPHR
措置が選択され、それに応じて保健指導の内容が 決定されると思われる。マニュアルに応じた保健 指導の記録が iPHR に残されることにより経年 な健康管理の状況を客観的に把握することが になり、健診情報の有効活用が図られると思 る。
9.おわりに
産業医が行う健康管理ワークフローは、健康診 断データを基にして個人あるいは企業全体に対し てアプローチがなされることが主であり、その骨 組みは今後も変わることはないと思われる。国民 一人ひとりの年金などの社会保障給付と納税を1 つ の 個 人 番 号 で 管 理 す る 「 共 通 番 号 ( マ イ ナ バー)法」が成立した今後は、職域における 的 な 健康 管理を 行う 上で、デジタ ル統合
ベースとなることは必定である。
今後、個人と事業者両者に責任あるデータ管理 体制として、労働者各個人には主体的に各自の健 康情報を管理し、事業場の特性
の必要性を理解し、積極的に健康診断を受診する ことが特に求められる。これに付随して、個人が
図5
による総合判断により事 措置が選択され、それに応じて保健指導の内容が 決定されると思われる。マニュアルに応じた保健 に残されることにより経年 な健康管理の状況を客観的に把握することが になり、健診情報の有効活用が図られると思
産業医が行う健康管理ワークフローは、健康診 断データを基にして個人あるいは企業全体に対し てアプローチがなされることが主であり、その骨 組みは今後も変わることはないと思われる。国民 一人ひとりの年金などの社会保障給付と納税を1 つ の 個 人 番 号 で 管 理 す る 「 共 通 番 号 ( マ イ ナ バー)法」が成立した今後は、職域における 的 な 健康 管理を 行う 上で、デジタ ル統合
ベースとなることは必定である。
今後、個人と事業者両者に責任あるデータ管理 体制として、労働者各個人には主体的に各自の健 康情報を管理し、事業場の特性に応じた健康診断 の必要性を理解し、積極的に健康診断を受診する ことが特に求められる。これに付随して、個人が
iPHR 置
図5 保健指導マニュアルのワークフローの概念図
による総合判断により事 措置が選択され、それに応じて保健指導の内容が 決定されると思われる。マニュアルに応じた保健 に残されることにより経年 な健康管理の状況を客観的に把握することが になり、健診情報の有効活用が図られると思
産業医が行う健康管理ワークフローは、健康診 断データを基にして個人あるいは企業全体に対し てアプローチがなされることが主であり、その骨 組みは今後も変わることはないと思われる。国民 一人ひとりの年金などの社会保障給付と納税を1 つ の 個 人 番 号 で 管 理 す る 「 共 通 番 号 ( マ イ ナ バー)法」が成立した今後は、職域における 的 な 健康 管理を 行う 上で、デジタ ル統合
ベースとなることは必定である。
今後、個人と事業者両者に責任あるデータ管理 体制として、労働者各個人には主体的に各自の健 に応じた健康診断 の必要性を理解し、積極的に健康診断を受診する ことが特に求められる。これに付随して、個人が
の 設
保健指導実施の 録
保健指導マニュアルのワークフローの概念図
による総合判断により事 措置が選択され、それに応じて保健指導の内容が 決定されると思われる。マニュアルに応じた保健 に残されることにより経年 な健康管理の状況を客観的に把握することが になり、健診情報の有効活用が図られると思
産業医が行う健康管理ワークフローは、健康診 断データを基にして個人あるいは企業全体に対し てアプローチがなされることが主であり、その骨 組みは今後も変わることはないと思われる。国民 一人ひとりの年金などの社会保障給付と納税を1 つ の 個 人 番 号 で 管 理 す る 「 共 通 番 号 ( マ イ ナ
バー)法」が成立した今後は、職域における 的 な 健康 管理を 行う 上で、デジタ ル統合 今後、個人と事業者両者に責任あるデータ管理 体制として、労働者各個人には主体的に各自の健 に応じた健康診断 の必要性を理解し、積極的に健康診断を受診する ことが特に求められる。これに付随して、個人が
自分の個人健康情報をリアルタイムに管理・参照 できるような健診結果入りセキュリテイ媒体プラ ス デ ー タ ベ ー ス 経 年 情 報 を 含 ん だ 個 人 識 別
の標準化
の産業保健スタッフが労働者個人健康データを職 域・地域・事業場の間でユビキタスに活用をする ような仕組みへのパラダイムシフトが必要と思わ れる。
は、健康診断によって蓄積されたデータについて の経年情報を資料統計として包括健康管理に使用 できるようなデータベースの構築などのスキーム は必携と考えられる。
らの一方的な健康管理ではなく、自己管理として の健康管理とのバランスを保持することで、その 活動は成立すると思われる。このバランスを達成 するために情報の整理は必要であり、産業保健に とってより効果的な
幅 こと
保健指導実施の iPHR
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015 保健指導マニュアルのワークフローの概念図
自分の個人健康情報をリアルタイムに管理・参照 できるような健診結果入りセキュリテイ媒体プラ ス デ ー タ ベ ー ス 経 年 情 報 を 含 ん だ 個 人 識 別 IC チップやソフトウエアの開発とその規格 の標準化 などが必要となってくると思われる。
また、健康管理の支援体制として、産業医など の産業保健スタッフが労働者個人健康データを職 域・地域・事業場の間でユビキタスに活用をする ような仕組みへのパラダイムシフトが必要と思わ れる。
さらには、就業者データベース管理体制として は、健康診断によって蓄積されたデータについて の経年情報を資料統計として包括健康管理に使用 できるようなデータベースの構築などのスキーム は必携と考えられる。
産業保健という枠組みから見れば、事業場側か らの一方的な健康管理ではなく、自己管理として の健康管理とのバランスを保持することで、その 活動は成立すると思われる。このバランスを達成 するために情報の整理は必要であり、産業保健に とってより効果的な
幅 広くその活動を浸透さ こと を期待している。
iPHR への記
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015
保健指導マニュアルのワークフローの概念図
自分の個人健康情報をリアルタイムに管理・参照 できるような健診結果入りセキュリテイ媒体プラ ス デ ー タ ベ ー ス 経 年 情 報 を 含 ん だ 個 人 識
チップやソフトウエアの開発とその規格 などが必要となってくると思われる。
また、健康管理の支援体制として、産業医など の産業保健スタッフが労働者個人健康データを職 域・地域・事業場の間でユビキタスに活用をする ような仕組みへのパラダイムシフトが必要と思わ さらには、就業者データベース管理体制として は、健康診断によって蓄積されたデータについて の経年情報を資料統計として包括健康管理に使用 できるようなデータベースの構築などのスキーム は必携と考えられる。
産業保健という枠組みから見れば、事業場側か らの一方的な健康管理ではなく、自己管理として の健康管理とのバランスを保持することで、その 活動は成立すると思われる。このバランスを達成 するために情報の整理は必要であり、産業保健に とってより効果的な PHR
広くその活動を浸透させる基盤となっていく を期待している。
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015
自分の個人健康情報をリアルタイムに管理・参照 できるような健診結果入りセキュリテイ媒体プラ ス デ ー タ ベ ー ス 経 年 情 報 を 含 ん だ 個 人 識
チップやソフトウエアの開発とその規格 などが必要となってくると思われる。
また、健康管理の支援体制として、産業医など の産業保健スタッフが労働者個人健康データを職 域・地域・事業場の間でユビキタスに活用をする ような仕組みへのパラダイムシフトが必要と思わ さらには、就業者データベース管理体制として は、健康診断によって蓄積されたデータについて の経年情報を資料統計として包括健康管理に使用 できるようなデータベースの構築などのスキーム 産業保健という枠組みから見れば、事業場側か らの一方的な健康管理ではなく、自己管理として の健康管理とのバランスを保持することで、その 活動は成立すると思われる。このバランスを達成 するために情報の整理は必要であり、産業保健に PHR を構築することが、
せる基盤となっていく
KENKO KAIHATSU Vol.19 No.4 2015 8 1 特別寄稿
自分の個人健康情報をリアルタイムに管理・参照 できるような健診結果入りセキュリテイ媒体プラ ス デ ー タ ベ ー ス 経 年 情 報 を 含 ん だ 個 人 識
チップやソフトウエアの開発とその規格 などが必要となってくると思われる。
また、健康管理の支援体制として、産業医など の産業保健スタッフが労働者個人健康データを職 域・地域・事業場の間でユビキタスに活用をする ような仕組みへのパラダイムシフトが必要と思わ さらには、就業者データベース管理体制として は、健康診断によって蓄積されたデータについて の経年情報を資料統計として包括健康管理に使用 できるようなデータベースの構築などのスキーム 産業保健という枠組みから見れば、事業場側か らの一方的な健康管理ではなく、自己管理として の健康管理とのバランスを保持することで、その 活動は成立すると思われる。このバランスを達成 するために情報の整理は必要であり、産業保健に を構築することが、
せる基盤となっていく