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コンクリートの物質移動に与える遷移帯の影響把握

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Academic year: 2021

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(1)

コンクリートの物質移動に与える遷移帯の影響把握

芝浦工業大学大学院 学生会員 ○深澤 英将 芝浦工業大学 正会員 伊代田 岳史

1.はじめに

コンクリート構造物において、コンクリートの耐久 性の把握は極めて重要である.耐久性は、コンクリー ト表層から中性化や塩害を引き起こす二酸化炭素や塩 化物イオンなどの劣化因子が侵入してくることで低下 する.一般的にコンクリートの構成材料の一つである 骨材は、上記の劣化因子は透過しないが、骨材とペー ストの間には遷移帯(

ITZ : Interfacial Transition Zone)と

呼ばれる領域があり、連続した空隙が形成されること で耐久性へ影響を及ぼすといわれている.既往の研究 では、ブリーディングが多くなるとコンクリートに形 成される遷移帯も大きくなり、物質透過性も低下する と報告されている

1)

.ここで劣化因子は気体・液体のよ うに様々な状態でコンクリートに侵入・透過する.そ こで本研究では、コンクリートの物質移動に与える遷 移帯の影響が、気体と液体で異なるのかを明らかにす るために検討を行った.

2.実験概要

2.1 使用材料及び配合

本研究では、普通ポルトランドセメント[

OPC](密

度:

3.16g/cm3,

粉末度:

3130cm2/g

)を使用した.細骨材 は混合砂(表乾密度:

2.60g/cm3,

粗粒率:

2.62,

吸水率:

1.92%

)を使用した.粗骨材は大分県津久見市上青江産

の砕石(表乾密度:

2.70g/cm3,

粗粒率:

6.61,

吸水率:

0.26%

)を使用した.

表-1にコンクリートの計画配合を示す.ブリーデ ィングによって遷移帯を形成させるため、水セメント 比を大きく設定することで多量のブリーディングを発 生させ、主に骨材下面に形成される空隙を助長させた.

2.2 実験概要

使用する骨材径により遷移帯の生成量が変化すると 考え、作製したコンクリートを

JIS

に規定された金属製 網ふるいでウェットスクリーニングを実施し、最大粗 骨材寸法が

20mm

10mm

となるように試料採取し硬 化体を作製した.養生方法は恒温恒湿室にて封緘養生

表-1 コンクリートの計画配合

W OPC S G

OPC 60 170 283 874 976 W/C (%) 単位量 [kg/m

3

]

50 φ100

[mm]

打設面 打設面

垂直方向 水平方向 150

150

垂直方向

水平方向

図-1 異方性を考慮した透気試験概要

7

日間行った.

(1)

空隙率試験

φ

100×50

㎜の供試体を用いて乾燥質量を計測し、そ の後真空飽水処理を施し、飽水質量・水中質量を計測 後、アルキメデス法により空隙率を算出した.

(2)

透気試験

ブリーディングによる遷移帯形成を想定し粗骨材下 面の空隙を評価する目的で図-1で示すようにコンク リートの異方性を考慮した.

150×150×150

㎜の型枠を 使用してコンクリートを作製し、打設面に対して垂直 及び水平方向にφ

100mm

でコアを採取、φ

100×50

㎜ になるようコンクリートカッターで切断した.その後、

乾燥炉にて絶乾状態にした各試験体に空気を

0.2MPa

の 圧力で透過させ、透過した空気量を水上置換法より計 測し、透気係数を算出した.

(3)

真空吸水試験

透気試験の供試体を用いて、容器に供試体が約半分 浸かるように水を張り、真空チャンバーに投入し脱気 及び吸水を行った.供試体を真空環境下で

3

時間保持 した後、試験後に質量を計測後、供試体を割裂し真空 吸水深さを計測した.ここで、供試体の試験前の乾燥 質量と試験後の供試体質量から増加率を算出し、これ を真空吸水率とした.

キーワード 遷移帯,異方性,透気係数

連絡先 〒135-8548 東京都江東区豊洲 3-7-5 芝浦工業大学土木工学科 Tel:03-5859-8356 E-mail:[email protected]

(2)

3.実験結果および考察

図―2に透気試験の結果を示す.垂直・水平方向に 着目するとどちらの骨材径の場合でも、垂直方向の結 果より水平方向での透気係数が大きくなり、骨材下面 の空隙形成の影響ではないかと考える.また、骨材寸 法で比較すると、

20mm

の方が

10mm

よりも透気係数は 大きくなり、また垂直・水平方向での透気係数の差も 大きい結果となった.これは骨材サイズが大きいほど 骨材下面に形成される空隙が大きくなり、空隙同士の 連結性が高くなったためであると考える.

図-3に真空吸水深さの結果を示す.どちらの骨材 径においても水平方向の結果が大きくなった.また、

垂直・水平方向での真空吸水深さの差は骨材径

20mm

が大きい結果となったが、全ての結果において

20mm

垂直方向の結果が最も小さくなった.

図-4に真空吸水率と空隙率の結果を示す.ここで、

空隙は骨材には存在せず、すべてセメントペースト中 に存在すると仮定して、真空吸水率は各コンクリート 中のセメントペーストの割合で整理した.また、空隙 率とはコンクリート中の総空隙量を示している.真空 吸水率及び空隙率は骨材径

10mm

のほうが大きくなっ た.このように物質の透過性と真空吸水率の大小関係 が逆転することが確認された.

図-5に骨材周囲の空隙のイメージを示す.液体の 浸透メカニズムが空隙内を液体で満たすことで次の空 隙に浸透すると仮定すると、

20mm

垂直の場合は骨材下 面の空隙が図の矢印のように大きくなり、空隙内を液 体で満たすまでに時間がかかるため真空吸水深さは小 さくなったが、

20mm

水平では矢印が小さいため、真空 吸水深さは大きくなったのではないかと考える.

10mm

においては空隙の連結性が

20mm

の場合と比較すると 低くなることで透気係数及び真空吸水深さは小さくな ったと考えられる.これは、気体・液体が通過するこ とができない空隙経路の行き止まりが存在すると考え られる.この行き止まりとなっている空隙は液体を溜 めることができるため、真空吸水率が大きくなったの ではないかと推察する.

4.まとめ

本研究で骨材径が大きいとブリーディングにより形 成される遷移帯が厚くなり、空隙の連結性も異なるこ とが確認された.また、気体と液体の違いも遷移帯に おける物質移動性に影響を与える可能性が示唆された.

0.0E+00 5.0E-04 1.0E-03 1.5E-03 2.0E-03 2.5E-03 3.0E-03 3.5E-03

20mm垂直20mm水平10mm垂直10mm水平 透気係数(cm4/Ns)

粗骨材寸法

図-2 透気試験結果

20.0 22.0 24.0 26.0 28.0 30.0

20mm垂直 20mm水平 10mm垂直 10mm水平

真空吸水深さ(mm)

粗骨材寸法

図-3 真空吸水深さの結果

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

12.0%

14.0%

16.0%

18.0%

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

12.0%

14.0%

16.0%

18.0%

20mm垂直 20mm水平 10mm垂直 10mm水平

空隙率

単位セメントペーストあたりの真空吸水率

粗骨材寸法 真空吸水率 空隙率

図-4 真空吸水率と空隙率の関係

骨材

骨材

直 水平

真 空 吸 水 深 さ

図-5 骨材周囲の空隙イメージ 参考文献

1)

荒木 萌ほか

;

ブリーディングに伴う骨材界面の空

隙が物質移動透過性に与える影響,土木学会第

73

回年次学術講演会,

V-249

2018

参照

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