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粗骨材がコンクリートの収縮に与える影響

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Academic year: 2021

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名古屋工業大学学術機関リポジトリ Nagoya Institute of Technology Repository

粗骨材がコンクリートの収縮に与える影響

著者 小幡 雄一郎

学位名 博士(工学)

学位授与番号 13903甲第990号 学位授与年月日 2015‑03‑23

URL http://doi.org/10.20602/00003168

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氏 名

学位の種類 学位記番号

学位授与の日付 学位授与の条件 学位論文題目

オバタ ユウイチロウ

小幡 雄一郎

博士(工学)

博第990号

平成27年3月23日

学位規則第4条第1項該当 課程博士 粗骨材がコンクリートの収縮に与える影響

(Effect on Coarse Aggregate to Shrinkage of Concrete)

論文審査委員

主 査   准教授

教 授 教 授 教 授

上原

梅 原 河 邊 前 田

秀 哲 伸 二 健

論文内容の要旨

 近年,我が国におけるコンクリートの性能向上は目覚ましく,高強度コンクリートおよ び高流動コンクリートに代表される高機能コンクリートの研究開発により,建設構造物の 高層化,長大化および大深度化が実現可能となっている.しかしその一方で,コンクリー トの 宿命 ともいえる乾燥収縮現象のメカニズムは,コンクリートが実用化されてから 高度経済成長期を経て現在に至るまでの長期に渡って未だ解決途上である.

 平成15年10月に和歌山県橋本市にある垂井高架橋の上部エコンクリートに多数のひび 割れが生じた事象に対し,土木学会に調査委員会が設置され,調査研究活動が行われた.

その結果,ひび割れの主な原因は,使用した粗骨材の影響が大きいことが指摘された.こ れにより,粗骨材がコンクリートの収縮に与える影響にっいて,社会的関心が高まった.

 垂井高架橋の事象以降,粗骨材とコンクリートの収縮との関係に関して数多くの研究結

果が報告されており,密度,吸水率,剛性および自身の乾燥収縮ひずみといった粗骨材の

主な物性値とコンクリートの収縮ひずみとの関係が広く検討されている.しかし,上述し

たコンクリートの乾燥収縮メカニズムと同様に,乾湿に伴う粗骨材自身の体積変化メカニ

ズムも未解明であり,粗骨材がコンクリートの収縮に与える影響に関する本質的な部分に

っいては依然として不明な点が多いのが実状である,

(3)

  そこで,本研究では,様々な種類の粗骨材を対象として,空隙測定結果から粗骨材の空 隙構造の解明を試みるとともに,乾湿に伴う粗骨材のひずみおよび質量変化測定結果に基 づいて,乾湿に伴う粗骨材の体積変化メカニズムを検討する,これらの結果を踏まえ,粗 骨材の空隙構造および体積変化とコンクリートの自己収縮および乾燥収縮との関係を調 べ粗骨材がコンクリートの収縮に与える影響を実験的に解明することを目的とする,

 本論文は,全5章により構成する,

 第1章「序論」では,本研究の背景,本研究の目的および本論文の構成について述べる.

 第2章「コンクリートの収縮現象と粗骨材の役割」では,既往の研究や参考文献に基づ いて,これまでに解明されているコンクリートの乾燥収縮および自己収縮のメカニズムに ついて紹介する.これに加えて,乾燥収縮および自己収縮の量として測定される乾燥収縮 ひずみおよび自己収縮ひずみについて,それぞれの測定方法が異なることに基づいて,定 義付けを行う.さらに,これまで一般的に考えられてきたコンクリート中における粗骨材 の役割について解説を行う.

 第3章「粗骨材の空隙構造と体積変化メカニズム」では,水銀漸次繰返し圧入法や煮沸 吸水量測定による粗骨材の空隙測定結果に基づいて,インクボトル空隙の有無や細孔空隙 量の比較から,空隙構造の解明を試み,骨材種の違いが粗骨材の空隙構造に与える影響に ついて調べる.つぎに,湿度変化に伴う粗骨材のひずみ変化および質量変化に関する実験 を行い,粗骨材の乾燥収縮および吸水膨張の挙動を把握する.また,これらの実験結果に 粗骨材試料のヤング係数を求めた実験データを加えて表面エネルギー変化機構と分離圧機 構の支配方程式に入力し,乾湿に伴う粗骨材自身の体積変化メカニズムを考察する.

 第4章「粗骨材の空隙構造および体積変化とコンクリートの収縮との関係」では,第3 章に示した粗骨材の空隙構造と乾湿に伴う粗骨材自身の体積変化がコンクリートの自己収 縮および乾燥収縮に与える影響を調べる.粗骨材の空隙構造では,インクボトル空隙の有 無や細孔空隙量とコンクリートの自己収縮および乾燥収縮との関係について考察する.乾 湿に伴う粗骨材自身の体積変化では,粗骨材自身の乾燥収縮挙動に着目し,粗骨材の乾燥 収縮とコンクリートの乾燥収縮との関係にっいて実験的な検討を行う.具体的には,コン クリート内部の粗骨材のひずみを直接測定し,測定されたひずみと乾湿に伴う粗骨材自身 の体積変化挙動からコンクリート内部の粗骨材の排水率を推定する.その結果から,粗骨 材の排水挙動と乾燥過程にあるコンクリートの排水挙動との関係について考察する.

 第5章「結論」では,各章で示した成果に基づき,本論文を総括する.

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論文審査結果の要旨

 近年では良質な骨材資源の減少を背景に、コンクリート構造物では比較的大きな収縮ひずみが報告 されている。その原因は粗骨材にあると言われており、多くの研究がなされている。中でも、粗骨材 自身の乾燥収縮ひずみを含む諸物性とコンクリートの終局的な乾燥収縮ひずみとの関係を調べた研究 が多く、フレッシュから硬化に至る乾燥過程で粗骨材がコンクリートの収縮に与える影響について検 討された例はほとんどない。

 本論文は、様々な種類の粗骨材を対象として、乾湿に伴う粗骨材のひずみおよび質量変化測定結果 に基づいて粗骨材の体積変化メカニズムを検討するとともに、粗骨材の空隙構造および体積変化とコ ンクリートの自己収縮および乾燥収縮との関係を調べ、粗骨材がコンクリートの収縮に与える影響を 実験的に解明したものであり、5章で構成されている。

 第1章では、本研究を行うに至った背景および本論文の目的と構成を述べている。

 第2章では、既往の研究や参考文献に基づいて、これまでに解明されているコンクリートの乾燥収 縮および自己収縮のメカニズムについて述べている。

 第3章では、水銀漸次繰返し圧入法や煮沸吸水量測定による粗骨材の空隙測定結果に基づいて、イ ンクボトル空隙の有無や細孔空隙量の比較から,空隙構造の解明を試み、粗骨材種類の違いが空隙構 造に与える影響について検討している。さらに、湿度変化に伴う粗骨材のひずみ変化および質量変化 に関する実験を行い、粗骨材の乾燥収縮および吸水膨張の挙動を把握するとともに、これらの実験結 果に粗骨材試料のヤング係数を求めた実験データを加えて、表面エネルギー変化機構と分離圧機構の 支配方程式に入力し、乾湿に伴う粗骨材自身の体積変化メカニズムを明らかにしている。

 第4章では、第3章に示した粗骨材の空隙構造と乾湿に伴う粗骨材自身の体積変化がコンクリート の自己収縮および乾燥収縮に与える影響を調べている。粗骨材の空隙構造では、インクボトル空隙の 有無や細孔空隙量とコンクリートの自己収縮および乾燥収縮との関係にっいて考察するとともに、乾 湿に伴う粗骨材自身の体積変化では、粗骨材自身の乾燥収縮挙動に着目し、粗骨材の乾燥収縮とコン クリートの乾燥収縮との関係について実験的な検討を行っている。具体的には、コンクリート内部の 粗骨材のひずみを直接測定し、測定されたひずみと乾湿に伴う粗骨材自身の体積変化挙動からコンク

リート内部の粗骨材の排水率を推定することによって、粗骨材の排水挙動と乾燥過程にあるコンクリ ートの排水挙動との関係について明らかにしている。

 第5章では、本研究で得られた知見をまとめるとともに、今後の課題について述べている。

 以上のように、本論文は粗骨材の空隙構造および体積変化とコンクリートの自己収縮および乾燥収

縮との関係を調べ、粗骨材がコンクリートの収縮に与える影響を実験的に解明したものであり、工学

的価値が高く、社会的にも有効性が高い。したがって、本論文は博士(工学)の学位論文に値するも

のと認める。

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