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山岳トンネルにおける移動式 発破防護バルーンの開発

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Academic year: 2021

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西松建設技報 VOL.40

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山岳トンネルにおける移動式 発破防護バルーンの開発

1.はじめに

最近の長距離山岳トンネルでは,高速掘進を目指して 連続ベルトコンベヤシステムによるずり搬出方式が採用 される場合が多くなってきている.しかし,発破掘削の 場合には飛石による損傷を避けるため,連続ベルトコン ベヤシステムの先頭設備(クラッシャー)を切羽から 50 m程度以上離して配置する必要があった.そのため,

ホイールローダーによる切羽からクラッシャーまでの一 次ずり運搬距離が長くなってしまい,これが掘進速度の 低下の一因となっていた.

このような背景から,坑内設備に飛石が届かないよう バルーンで防護し,退避距離を短縮することによって,

一次ずり運搬距離の短縮を可能とする,発破防護装置「移 動式発破防護バルーン」を開発した1).本稿では,開発 した装置の概要および確認試験結果と現場適用状況につ いて報告する.

2.装置の概要

開発した装置の外観を図− 1に示す.本装置は,発 破による飛石や粉塵等の分布を切羽側に限定させるため の「バルーン部」,バルーンを効率良く展開させるため の「フレーム部」により構成され,それらを2 tトラッ クに搭載することにより,切羽近傍の任意の位置(切羽 より20〜30 m程度の位置を想定)での使用が可能と なっている.また,本装置は掘削サイクルの中で切羽近 傍での設置・撤去を繰り返すことを基本としており,そ のために様々な工夫を行った.構成装置の詳細を以下に 述べる.

(1)バルーン部

バルーン部は,飛石の衝突等に耐えられるよう,切羽 側にアラミドシートを加えた3層構造とした(図− 2).

外側の防爆シートが損傷した場合には,その箇所に補修 用シートを貼付する等して,内袋まで損傷が及ばないよ うにした.バルーンの展開に用いる送風機はインバータ 制御により送風量を調整することが可能であり,発破や 飛石による衝撃を緩衝させるのに最適な内圧を,発破条 件に合わせて任意に設定することができる.

また,バルーンを5つの部屋(上部2部屋,下部3部 屋)に仕切り,各々の最適な箇所に送風機を接続するこ とで展開時間の短縮を図った.撤去時には,送風を止め るとともにバルーンに配置された複数のファスナー(図

− 3)を開放することによって,迅速に収納することが できるようにした.

(2)フレーム部

バルーンを展開する方法として,当初はバルーン単体 を用いる方式や吊り下げる方式も検討したが,作業時間 の短縮やバルーンを安定的に展開させることを考慮して,

バルーンを格子状のフレームで面的に支持する方式を採 用した.その際,フレームがトラック走行の支障となる 恐れがあったため,油圧シリンダーを用いて小さく折り たたむような機構とした.それと同時に,発破の衝撃が フレーム部に大きく作用することも懸念されたため,フ レームと油圧シリンダーの接続部にダンパーを設けた.

フレームの展開・収納は,装置の作動状況を確認しなが ら簡便に操作することができるよう,ペンダントスイッ チによる遠隔操作方式を採用した.

三井 善孝* Yoshitaka Mitsui

山下 雅之* Masayuki Yamashita

* 技術研究所土木技術グループ

図− 1 開発した装置の外観

図− 2 バルーンの構造

図− 3 抜気用ファスナー

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山岳トンネルにおける移動式発破防護バルーンの開発 西松建設技報 VOL.40

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3.作動状況確認

本装置を制作した後,坑内における一連の作業を模擬 した作動状況確認試験を坑外にて実施した(図− 4).

設置時には,フレームの展開と送風を同時に行い,作 業の迅速化を図った.その結果,バルーンがバランス良 く展開し,3.5分程度で設置作業を完了することができ た(図中①〜④).撤去時には,送風の停止とファスナー の開放によりバルーンの抜気を促進させながらフレーム を収納した.撤収時には,車両走行の妨げやバルーンと 地面の接触を防止するため,バルーンの端部をゴムひも でトラックの台車に固定した.この一連の撤去作業の所 要時間は2.5分程度であった(図中⑥〜⑨).

開発にあたり,本装置の適用が掘削サイクルに影響を 与えないよう,設置作業15分以内,撤去作業10分以内 を目標とした.今回の試験では,設置・撤去作業ともに その1/4程度の時間で行うことができた.また,装置が 完全に展開することや,車両運転の支障とならないよう 収納できることも確認することができた.

4.現場適用

本装置の適用性を確認するため,九州新幹線久山トン ネルにおいて,本装置を発破に供した(図− 5).本装 置を切羽から25〜30 m程度の位置に設置することに

より,他の坑内設備と切羽の距離も従来(50 m程度以上)

より短くなっているが,飛石の分布はバルーンよりも切 羽側に限られており,近傍の坑内設備まで届くことはな かった(図− 6).また,これまでに100回以上の発破 に適用しているが,発破による本装置の大きな損傷は見 られていない.

5.おわりに

今回,山岳トンネルの施工に用いる移動式発破防護バ ルーンを開発し,確認試験や現場適用を通して,その適 用性を確認した.今後も本装置の現場適用を続け,使用 状況や各部品の損耗状況等のデータを蓄積し,継続的な 改良を進めていきたい.

謝辞.本装置の開発を進めるにあたり,ジオマシンエン ジニアリング㈱,㈱東宏,九州支社新幹線久山西出張所 にご協力を頂いた.以上の方々に感謝の意を表します.

参考文献

1)三井善孝,山下雅之,塚田純一,小林雅彦:山岳ト ンネルにおける移動式発破防護バルーンの開発,土 木学会第71回年次学術講演会,Ⅵ-417,pp. 833- 834,2016.

図− 4 移動式発破防護バルーンの使用サイクル

図− 5 坑内での使用状況

図− 6 飛石の分布状況

参照

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