本日の課題
社会的ジレンマ
は克服できる
か?
社会的ジレンマってなに?
集団が「自分」で自分の首をしめる状態 全体としては「こうすれば良い」っ
て、わかっていながら、誰も自分か ら進んで“良い行い”ができない状 態
di ・ lem ・ ma ━《名》
( 好ましくない二者択一を迫られる ) 板ばさみ , 窮地 , ジ レンマ
研究社 『新英和中辞典第 6 版』 1994 年 ジレンマの語源(自分で調べよ
う!)
ロビン・ドウズの定義
1 )一人一人の人間にとって「協力」
か「非協力」かどちらかを選択でき る状況
2 )一人一人の人間にとっては「協 力」を選択するよりも「非協力」を選 択する方が望ましい結果が得られる。
3 )全員が自分にとって個人的に有利な
「非協力」を選択した場合の結果は、全 員が「協力」を選択した場合の結果より も悪いものになってしまう。
ジレンマ
具体例を考えよう!
1 ) 夏場のクーラー
一人一人がどんどんクーラー使ってしま う。
別の例を考えよ う
クーラーを使 う
室外機から熱がガンガン出て
、町全体がなおさら、暑くな る
発電所がパンクして、町は大パニッ ク!
定義 1
定義 2
定義 3 定義に注意!
プラネテスの社会的ジレンマ もっとも分かりやすいところ 冒頭ナレーション
宇宙空間のごみ問題
共有地の悲劇型
使い古された衛星・ステー ション建造時の廃棄物等
宇宙空間~共有地
高高度旅客機の“デブリ”衝突事故
定義 1 :宇宙開発業者は、ゴミをきちんと始末する(協 力)ことも、宇宙空間に捨てちゃう(非協力)ことも選 択可能
定義 2 :各宇宙開発業者(個人)にとっては、ゴミを宇 宙に置き去り(非協力)にした方がコストがかからない
。
定義 3 :すべての業者が「自分だけは」と考えるとデブ リが増え、宇宙に出れなくなる(ケスラーシンドロー ム)
まじめな業者も、コスト競争に負けない
ために、ゴミを放棄していかざる得ない。
~共有地の悲劇と同じ構造!
十分、悲劇だが、プラネテスはもう一 段、深刻な悲劇の事例である。
この事例は、これから紹介する社会的ジレン
マに関する理論、ゲーム理論による解決方法
の困難さを的確に示しています。
社会的ジレンマはどのようにし たら解決できるのか?
解決方法 2 ひとりひとりに選択権をあたえ ない!(ホッブズ~ 17C のイギリスの哲学 者)
解決方法 1 ひとりひとりのココロを清く する
解決方法 3 ゲーム理論を用いてしくみ(制 度)を工夫する。
どちらもとってもイヤ…第 3 の解決方法を考 えたい。
実験をしよう!
私たちは、二人で銀行からお金をうばい ました( In America !)。
しかしケイサツは十分な証拠がないので、
我々を別件逮捕しました。
ひとりひとり別々の取調室で、ケイサツか らつぎのような司法取引を持ちかけられま した…
ゲーム理論入門(囚人のジレン マ)
「もし、おまえの相棒がシラを切っている間に吐い てくれたら、捜査に協力してくれたってことで、情 状酌量でお前は不起訴処分にしてやろう」
「けど反対に、相棒が先に自白したら、お前に情状 酌量の余地はないから、 50 年の懲役刑だな」
「二人とも吐いてくれたら、まぁ、二人とも不起訴っ てワケには行かないけど、 10 年ぐらいの刑ですむよう にしてやろう」
(二人ともシラを切ったら、別件で 1 年ぐらいの刑で 済む)
さぁ、皆さんなら、どうしますか?
利得行列
自白する(非協力)自白しない(協力)
自白する(非協力) ( ) 10, 10 ( ) 0, 50 自白しない(協力) ( ) 50, 0 ( ) 1, 1
(リスの刑期、ムササビの刑期)
リス
ムササビ
自白する(非協力)自白しない(協力)
自白する(非協力) ( ) 10, 10 ( ) 0, 50 自白しない(協力) ( ) 50, 0 ( ) 1, 1
(リスの刑期、ムササビの刑期)
リス
ムササビ
リス君にとっての(対称なのでムササ ビ君にとっても同じ)優越戦略を考え る。・自分の選択肢は 2
つ。
・相手の選択でこち らの刑期はことなる
。
ムササビのヤツが自白したと仮 定
自分が自白を選択すると 10 年 自白しないと 50 年
自白した方が得!
ムササビが自白しないと仮定 自分が自白すると 0 年
自白しないと 1 年 自白した方が
得
ムササビがどっちを 選択しても自白した 方が得!
囚人のジレンマが「社会的ジレンマ」であるか、確認 しよう。
定義 1 1 )一人一人の人間にとって「協力」
か「非協力」かどちらかを選択でき る状況
リス・ムササビとも自白しないか(協力)、自 白するか(非協力)を選択できる。
定義 2 2 )一人一人の人間にとっては「協 力」を選択するよりも「非協力」を選 択する方が望ましい結果が得られる。
リス・ムササビ、個人にとっては、非協 力である自白を選んだ方が、刑期が短い
。
3 )全員が自分にとって個人的に有利な
「非協力」を選択した場合の結果は、全 員が「協力」を選択した場合の結果より も悪いものになってしまう。
定義 3 全員(といってもリス・ムササビのふたり だけ)が個人にとって有利な「自白」を選 択するとふたりとも刑期は 10 年。全員が協 力し、自白しなければふたりとも 1 年の刑 ですむ。と
囚人のジレンマは、社会的ジレンマの 1 ケース
(二人きりで一回こっきりの特殊な社会的ジレン マ)
このゲームを繰り返しやったらどうなるでしょ う?
この囚人のジレンマゲーム~非協力が優越戦 略。
ゲーム参加者が
100人います。
総当たり戦を行います。
一回の対戦で囚人のジレンマゲームを
10回繰り返し ます。
懲役刑の合計を競います。(
10回
×99人との対戦)
やっぱり社会的ジレンマに救いはないの か?
さて、あなたなら、どんな戦略を取りますか?
例 1 :すぐに自白しつづける。
例 2 :相手を信じつづけて誰と 対戦してもシラを切りつづける
。
注意 対戦相手と話はできません。
例 3 :各自、考えてみましょう!
小説「レ・ミゼラブル」 ミリエ ル司教
銀の食器を盗んだジャン・ヴァル ジャンに燭台もあげちゃう。
ジャン・ヴァル ジャン
改心 深く信仰
これと同じようなゲームをコンピュータシ ミュレーションしたグループがいます。
では勝者の戦略とは?
常に自白(非協力)戦略…相手がよほ どのお人よしでないかぎり、相手も自 白し始めてしまう。 10 年懲役期間が多 くなる。
常にシラを切る(協力)戦略…相手も同 じ戦略だとうれしいけど、相手が常に自 白する非協力者ならば、 50 年刑ばかり になってしまう。
いろいろな戦略例
(小林淳一 / 木村邦博編 1991 268 ページ)
深謀遠慮派 相手の出したカードを前回のみ出なく数回記 憶し、カードをきめる。
怨念派 一度でも D を出されたら永久に D で答える。
善意渇望型 一度でも C を出されたら永久に C で答える。
ご機嫌うかがい派 1 回目に D を出し、相手が D を出して こなければ D を出しつづけ、 D で応じてきてら C にもどし
、また機会をみて D を出す。
気まぐれ派 ランダムにカードを出す。
勝者は、
しっぺ返し戦略
最初はシラを切る(はじめは協力的)。
相手もシラを切ってくれたら こちらもシラを切る(相手が 協力的なら協力を続ける)
相手が自白したらこちらも自白(非 協力者には必ず、しっぺ返しをして
、非協力を許さないことを態度で伝 える)
要するに、一回前の相手の手を真似する
同じ戦略同士が出会った場合
「常に自白(非協力) 」は最も悪い結果
( 10 年 ×10 回= 100 年)。「しっぺ返 し」と「常にシラきり(協力)」戦略は ともに 10 年( 1 年 ×10 回)ですむ。
しっぺ返しと、「常にシラきり」が「常 に自白」戦略者と出会った場合
しっぺ返しの方が被害が少ない。
このゲームの結論
しっぺ返しはイヤな相手とあっても被 害が少ないし、良い相手とは良好な協力 関係が築ける。~優越戦略が 2 人ゲーム と変化していることに注意!
「しっぺ返し」戦略による社会的ジレン マ解決の利点
・個人に難しいこと求めていない。
聖人君主(精神論)にならなくてよい。
長期的な判断もしなくてよい。
相手が協力なら、協力、非協力なら非協 力を出すだけ。協力~いいヤツだ。〇 非協力~ムカつく
×
冷戦時代
~アメリカ しっぺ返し戦略に基づいて ソ連と軍事対決
例:キューバにミサイル配備したら、機動部
隊派遣
身近な具体的な社会問題で、解決策を 考えて見てください。そしてしっぺ返し 戦略を実践する際に生じる、決定的な理 論的な欠点を指摘してください!
武論尊 原作・原 哲夫 画 「北斗の拳」 集 英社
岩明均 「寄生獣」 講談社
ゲーム理論で読み解くことをお薦めします。
どちらも、理論的欠陥を乗り越える方策を的確に 指摘
ゲーム理論の決定的な理論的な欠 点
例:本学駐車場問題・駐車場利用者は、年間 500 円支払うことと なっているが、未払いで使用している学生が いる。
・個人にとっては、登録料 500 円を払わずに
、駐車場を利用するがトク。
・未登録車両の駐車によって、駐車場のス ペースが足りなくなる。それにともない違法 駐車が生まれ、本学のイメージを損なったり
、大学利用者全体の危機管理に重大な影響を 及ぼしている。
解決策は…
しっぺ返し戦略をとれば良いだろうか?
しっぺ返しをするためには、取締りが必要 である。
しか し
取り締まりの費用は誰が負担するのか?
取り締まり費用について、利用者からお金を集 めるゲームを考えよう!
そこで!
1 ) 取り締まり費用を支払うかどうかは、個人 が選択できる。
2 )個人にとっては、自分だけ取り締まり料を払 わずに、駐車場問題が解決してくれるのが、一 番トクである。
3 )みんなが同じように考えると、取り締まり のための費用が、集まらず、しっぺ返し戦略が とれない!
取り締まり費用ゲームが
「社会的ジレンマ」状況に陥ってしま う!
繰り返しゲーム:一見するとしっぺ返 し戦略によって、社会的ジレンマ状況を脱 しているように見えるが…しっぺ返しの費 用をめぐって社会的ジレンマを起こしてし まう。
しっぺ返しの費用をめぐる
社会的ジレンマ~ 2 次的社会的ジレン マ
社会的ジレンマ
・繰り返しがあると、優越戦略である、しっぺ 返し戦略を多くの人が採用すれば、社会的ジレ ンマを克服できる。
・しかし、しっぺ返しのための費用をどのよう に徴収するかで、また社会的ジレンマが起きて しまう。
・ではどうすればよいか?
FAQ1 :「やさしいだけではダメ」という、しっ ぺ返し戦略はやはり精神論ではないのか
FAQ2 :悪いことをされたら、し返すという戦略は道 徳的に間違っている。
Ans. ゲーム論を用いた社会的ジレンマ研究:どのよう にルールを変えたら(仮定を変えたら)、利己的で合理 的な(一定の価値体系に徹底的に従う)人間が、社会的 ジレンマを克服できるかを考えること。
→ しっぺ返し戦略 他人のことなど全く考えていない。
自分にとって有利な戦略を選んだだけ。みんなのために 社会的ジレンマを解決できる選択をしようなどと考えて いない。
Ans. まったくそのとお り
駐車場問題~しっぺ返し戦略の欠点
駐車場問題対策案 1 駐車場を増やす 昨年の調査 駐車場が一杯になる前に 違法駐車がピークに
駐車場を増やしても違法駐車は減らな い!
利己主義者の考え:歩くのが面倒!
(クルマが増えたので何らかの対処は 必要だと思うけど)
駐車場問題対策案 2 : 取り締まる!
例:ゲートを作る(カード式)
取り締まり員(ガードマンまたは教員)を 配置する
レッカー移動や移動不可能にする道具を付け る。
一見よさそう…しかし、ここで しっぺ返しの理論的欠点が現れ る!
非協力者にしっぺ返しす る
2
次的ジレンマ問題
取り締まりのコストは誰が払うのか?
利用者負担を前提にすると…
個人的利益:自分ぐらいコストを払わなくっても 取り締まりは出きる。コストを払わずに駐車場問 題が解決すればトク!
しかし、皆が同じことを考えると…取り締まり コストが集まらない~再び社会的ジレンマ登場
監視と統制を行うこと事態が一種の
公共 財
この資源(マイナスの資源)をいかに配分するか で、社会的ジレンマが起こってしまう= 2 次的ジ レンマ例:ゲートを作る
事務の方に試算してもらった…全員登録 して年間 5000 円程度は負担してもらう ことに!
いままで以上に
フリーライダー
(タダ乗り)増えそう(すでに駐車した友達のカード借り て駐車するとか)
学外駐車が増えて、大学の評判と言う
別の公共
財
でジレンマが起きる取り締まり員(ガードマンまたは教員)を配置す る
レッカー移動や移動不可能にする道具を付ける。
じつは、 2 次的ジレンマ問題の解決策として、
解決方法 2 ひとりひとりに選択権をあた えない!(ホッブズ~ 17C のイギリスの哲 学者)
という解決手段を導入している。
教員の時間
・ガードマンに払うお金
(学費等)
公共財
に他ならない2 次的ジレンマにおける「取り締まり費用 を支払うかどうか」の選択権を奪って、社 会的ジレンマを解決している。
しっぺ返し戦略による社会的ジレンマの解決 まとめ
しっぺ返しのための「コスト」が発生する
(仮定をおく)と新たな公共財配分問題にお いて社会的ジレンマが再び発生する( 2 次的 ジレンマ)。
社会的ジレンマでは解決できない…
N次ジレンマをとめる…どこかで違う解決策を混ぜ る
解決方法 2 ひとりひとりに選択権をあたえ ない!(ホッブズ~ 17C のイギリスの哲学 者)
解決方法 1 ひとりひとりのココロを清く する例:道徳を身につけてもらう
例:合理性を理解してもらう(教育)
例:北斗神拳の真髄を身につけてもらう
イヤだけど、ジレンマがいよいよ深刻になっ たら、最終手段として使わざる得ないとき?
ゲーム理論 その他ゲーム N人ゲーム
繰り返し n 回 利得行列が非対称
展開型:交互に選択(ゲームツリー)
情報について
情報に関するゲームのバリエーション 完全情報 各情報集合が単一
確実情報 どのプレイヤーの手番のあと にも 「自然の手番」がない
対称情報 他のプレイヤーと異なる情報 を 持つプレイヤーが存在しない。
完備情報 最初の手番が自然の場合、す べてのプレイヤーによって観察される、または最 初の手番が自然によるものではない。