平成28年11月
株式会社 環境風土テクノ
取締役 須田 清隆
映像を活用した統合型データモデルの研究
第
2015-
11号
映像を活用した統合型データモデルの研究
研究成果報告書
平成 28 年 8 月
須田清隆
(株式会社 環境風土テクノ)
目 次
Ⅰ 概要編
1 研究の目的 ... 1
2 試行工事による実証 ... 2
試行した映像 CIM ... 2
試行工事一覧 ... 2
映像 CIM 試行工事運用課題 ... 3
3 研究検討結果 ... 4
検討1:映像利用効果 ... 4
3.1.1 映像の認知構造の評価 ... 4
3.1.2 映像に関する認知の個人差の検討 ... 5
検討2:映像の認知構造 ... 9
検討3 映像の数量化 ... 10
3.3.1 映像解析システム ... 10
3.3.2 物体検知の検討 ... 11
3.3.3 スケール組込 ... 12
3.3.4 3D 設計データの取り込み ... 12
3.3.5 構造物の 3 次元化 ... 13
3.3.6 土工事の 3 次元化 ... 13
検討4:映像の効果的な活用環境(統合型データモデル) ... 14
3.4.1 映像データベースと映像解析システム ... 14
3.4.2 映像データベース ... 15
4 まとめ ... 19
Ⅱ 本編
1 はじめに ... 1-1 2 研究開発の目的と意義 ... 2-1 2.1 研究の目的 ... 2-1 2.2 研究の意義 ... 2-2 2.3 研究開発の概要 ... 2-2 2.4 研究体制 ... 2-3 2.5 研究概要 ... 2-4 2.5.1 映像情報による数値化技術の検証 ... 2-4 2.5.2 映像とテキスト情報の統合データベース技術の検証 ... 2-4 2.5.3 体系化とマニュアルの整備 ... 2-4 2.5.4 低コスト化の検討 ... 2-4 3 CIM の試行工事 ... 3-1 3.1 検証現場導入イメージ ... 3-1 3.2 タイムラプス機能 ... 3-5 3.3 映像 CIM データモデル(統合型データモデル) ... 3-6 3.4 運用(試行工事)現場リスト ... 3-11 3.4.1 工事概要(1.平成26年度 庄内川大治築堤工事) ... 3-13 3.4.2 工事概要(2.緊急防災対策) ... 3-15 3.4.3 工事概要(3.横断歩道橋耐震補修工事) ... 3-17 3.4.4 工事概要(4.道路改良工事) ... 3-20 3.4.5 工事概要(5.防火水槽) ... 3-23 3.4.6 工事概要(6.街路新設改良工事) ... 3-26 3.4.7 工事概要(7.県営名古屋空港基本施設耐震対策工事(その2) ... 3-29 3.4.8 工事概要(8.平成 26 年度 名二環春田野 2 高架橋中下部工事) ... 3-31 3.4.9 工事概要(9.県営名古屋空港土木施設工事(その15)) ... 3-35 3.4.10 工事概要(10.舗装道修繕) ... 3-37 3.4.11 工事概要(14.41号名濃バイパス道路建設工事) ... 3-39 3.5 映像 CIM 試作版導入現場初期調査(ヒアリング記録) ... 3-41 3.6 映像 CIM 試作版導入現場運用時調査(ヒアリング記録) ... 3-45 3.7 映像 CIM データベース検証 ... 3-52 3.7.1 総合的管理のための留意点 ... 3-52 3.7.2 具体的な要求機能 ... 3-53
3.8 調査結果のまとめ ... 3-61 3.8.1 映像 CIM システムの改善項目 ... 3-61 3.8.2 映像 CIM の確認された期待効果 ... 3-61 4 映像情報による数値化技術 ... 4-1 4.1 物体検知の検証 ... 4-1 4.1.1 背景差分による物体検出 ... 4-1 4.1.2 検証結果... 4-2 4.1.3 考察 ... 4-3 4.2 ラベリング ... 4-3 4.2.1 物体の関連付け ... 4-3 4.2.2 考察 ... 4-5 4.3 トラッキング... 4-5 4.3.1 モーション検知 ... 4-5 4.3.2 モーションタイムラプス映像(稼働時間をタグ化) ... 4-6 4.4 映像へのスケール(空間座標)の組込 ... 4-7 4.4.1 3次元スケールメッシュ ... 4-7 4.4.2 3次元モデルの取り込み ... 4-14 4.5 点群データの活用 ... 4-17 4.5.1 ドローン撮影による点群データ ... 4-17 4.5.2 点群データの利用方法 ... 4-18 5 映像とテキスト情報の統合データベース技術 ... 5-1 5.1 テキスト情報分析 ... 5-1 5.1.1 テキスト情報分析の目的 ... 5-1 5.1.2 テキスト分析の方法 ... 5-1 5.1.3 分析 ... 5-10 5.1.4 抽出単語および単語変換 ... 5-11 5.1.5 分析結果... 5-12 5.1.6 フリーソフトによる共起分析 ... 5-31 5.1.7 テキスト分析のまとめ ... 5-42 5.2 映像情報に対するタグ分類 ... 5-43 5.2.1 タグ付けによる映像の見られ方 ... 5-43 5.2.2 統合型データモデル(案) ... 5-44 5.2.3 映像データベースと映像解析システム ... 5-44 5.2.4 映像データベース ... 5-45 5.2.5 属性情報のタグ定義 ... 5-48 6 体系化とマニュアルの整備 ... 6-1
6.1 映像 CIM 撮影ルールによる検証 ... 6-1 6.1.1 道路構造物 ... 6-1 6.1.2 河川築堤構造物 ... 6-2 6.1.3 土留め矢板およびコンクリート工 ... 6-3 6.1.4 耐震補強工事 ... 6-5 6.1.5 仮設架台・足場工事 ... 6-6 6.1.6 躯体沈設・仮設土留工事 ... 6-7 6.1.7 河川橋梁架け替え工事 ... 6-8 6.1.8 地下通路耐震補強工事(夜間作業) ... 6-9 6.2 マニュアル化の検討 ... 6-10 6.2.1 基本情報の設定入力 ... 6-10 6.2.2 日情報の入力 ... 6-17 6.2.3 映像および写真のデータベースへの取り込み ... 6-20 6.2.4 Web アプリケーションの作業手順 ... 6-27 7 低コスト化と現場負担軽減策の検討 ... 7-1 7.1 低コスト化検討 ... 7-1 7.1.1 映像データベースのクラウド化 ... 7-1 7.1.2 統合型データモデルの制約条件 ... 7-2 7.2 統合型データモデル基本構造 ... 7-4 7.2.1 映像 CIM システム全体像 ... 7-4 7.2.2 映像 CIM システム共有部機能要求 ... 7-5 7.2.3 統合型データモデル個別機能要求 ... 7-8 7.2.4 統合型データモデル機能外要求 ... 7-9 7.3 クラウドシステム化効果 ... 7-9 7.4 システムの全体概念 ... 7-10 7.5 映像ネットワークシステム機能概要 ... 7-14 7.6 システム概要... 7-16 8 まとめ ... 8-45
Ⅲ 資料編
「5 映像とテキスト情報の結合データベース技術」資料
Ⅰ 概要編
1
1 研究の目的
中小建設業では、小規模な工事が多く、短期間の工事完成や IT 系の人材確保などの要件もあ り、CIM の取り組み、特に 3 次元モデルによる CIM への対応を難しくしている。
また、中小建設業の特性として、高齢化(退職、転職)に伴い、個人に集約している建設ノウ ハウ(知財)の流出が進んでいる
そのため、企業への技術知財情報の収集蓄積などの情報化の推進が、事業継続上の緊急な課題 にもなっている。一般に、技術者の判断は、リスク、品質、コスト、効率性など多岐にわたるが、
技術者固有の認知能力で、現場から問題要因を探知し対応している
特に職人的な技術者の多くは、‘百聞は一見に非ず’や‘理屈じゃない’と断言する人が多い。
そのような技術者が保有する施工ノウハウは、感覚的に捉えているところがあり、具体的な説 明を苦手にしている。本来の CIM の目的は、現場の工事情報をデータモデルに体系づけて集積し、
施工情報の共有化、共通化、資産化するための情報化と考える。
個人に委ねる現場が多い中小建設業では、短期間で、現場の変化も大きく、施工情報をデータ モデルに体系化し集積することはスキル的にもコスト的にも容易ではなく、情報化やCIM化を 進めることが出来ない課題も抱えている。
本研究の目的は、中小建設業の施工現場での映像の活用効果の高い活用方法の抽出を映像 CIM の適用工事を通じて実施し、その結果を踏まえて人の認知特性に着眼して映像の活用形態に伴う 映像の切り出し方(見せ方)などの A)映像を認知する人に関する研究、タイムラプス映像数値 化など B)映像解析に関する研究または検討を行い、施工現場における映像の効果的な活用環境 として映像を活用した統合型データモデル(案)を提案するものである。(図 1 参照)
図 1 研究の流れ
2
2 試行工事による実証 2.1 試行した映像 CIM
中小企業の実際の運用を通じて映像を活用する効果の確認を行っている。適用した現場では、
以下に示すタイムラプス映像を撮影収集する機材及び映像を振り返るデータベース(試行版)を 設置している。
図 2 システム構成例
2.2 試行工事一覧
試行工事では、可児建設㈱(小牧市)で一次検討した結果を踏まえて改善したシステムを、大 興建設(一宮市)、㈱愛亀(松山市)、協和建設工業㈱(東萩市)、㈱橋本店(仙台市)に展開し 運用面での二次検討を行っている(図 3 参照)。
図 3 試行工事対象現場
工事名 工事場所・(施工会社) 工期(着工・完了予定)
1 平成26年度庄内川大治築堤工事
(国土交通省中部地方整備局)
海部郡大治町(愛知県可児建設) 平成26年10月6日 平成27年3月25日 2 緊急防災対策河川工事(3号工) 小牧市(愛知県可児建設) 平成26年12月26日
平成27年6月30日 3 横断歩道橋耐震補修工事 小牧市(愛知県可児建設) 平成26年11月11日
平成27年8月31日
4 道路改良工事 小牧市(愛知県可児建設) 平成27年4月18日
平成27年12月28日
5 防火水槽設置工事 小牧市(愛知県可児建設) 平成27年7月23日
平成27年11月19日
6 街路新設改良工事 小牧市(愛知県可児建設) 平成27年8月13日
平成28年3月24日 7 県営名古屋空港基本施設耐震対策工事(その2) 西春日井郡(愛知県可児建設) 平成27年10月6日 平成28年3月25日 8 平成26年度 名二環春田野2高架橋中下部工事
(国土交通省中部地方整備局)
名古屋市(愛知県大興建設) 平成27年3月26日 平成28年3月11日 9 県営名古屋空港土木施設工事(その15) 西春日井郡(愛知県可児建設) 平成27年10月29日
平成28年3月25日 10 舗装道修繕工事(4-2) 小牧市(愛知県可児建設) 平成28年1月7日
平成28年3月18日 11 平成27年度今治管内舗装補修他工事
(本州四国連絡高速道路㈱ しまなみ今治管理センター)
松山市(愛媛県愛亀) 平成27年12月22日 平成28年11月15日 12 名取川閖上6工区堤防災害復旧工事
(国土交通省東北地方整備局)
仙台市(宮城県橋本店) 平成28年3月22日 平成28年11月15日 13 国道191号宇田地区防災工事
(国土交通省中国地方整備局)
東萩市(山口県協和建設工業) 平成28年7月30日 平成29年3月28日 14 27年度41号名濃バイパス道路建設工事
(国土交通省中部地方整備局
小牧市(愛知県可児建設) 平成28年3月30日 平成29年2月28日
3
2.3 映像 CIM 試行工事運用課題
試行工事から映像 CIM の課題が、設備面では固定カメラの設置手間、電源・通信環境の対応困 難、情報システム操作の修得困難が、映像利用には、時系列管理の分り易さや、視覚情報の分り 易さに、判断資料との有益性などの一部の効果は確認されたが、検索機能の不備、映像の着眼点 の捉えかた不明、スケール感の欠如、設計データの関係性が不明等の課題(表 2.3a 参照)が 上がっていた。
表 1 映像 CIM 試行工事運用課題(抜粋)
設備関係評価 映像データベース評価
・配線切り替えによる映像欠損
・固定カメラで有ったのでアングルか ら外の作業が撮れなかった
・有線配線であったので作業支障で移 動をする
・有線配線の限界長がある
・システム理解不足で映像欠損
・データが一週間で上書きされた
・詳細部への撮影困難
・無線通信でたびたび途切れた、再起 動が必要で有った
・足場撤去に伴いカメラの移動が必要 となった
・縦方向の作業撮影の不備
・発注者側のセキュリティー条件で閲 覧が出来ず、モバイルにて閲覧した
・現場事務所の設置場所が無い、ボッ クスを外に設置した(盗難の不安が有 った)
・CIM 設備の理解不足
・舗装の品質にセンサーと組合せ
・軸方向に長く狭いため撮影限界
・商用電源がない(発電機を使用)
・函渠内など通信不可能箇所がある施 工環境
・輻輳する作業空間の撮影限界
・工種ごとにカメラ移設が発生する
・設計データとの関係がわからない
・時系列の時間間隔が長い。
・台風でのリアルタイムの確認ができるが画像が分りにくい
・データ検索の絞り込みが弱い
・時間間隔が一定のため詳細が分かりにくい「
・輻輳する作業現場の表示が難しい
・現場空間が狭く、上下での作業にため撮影ポイントが複数あ り選定が難しい
・検索の絞り込みができない
・8 時間のタイムラプスでは詳細が撮れない
・施工の複雑性は理解できるが、スケールが曖昧
・映像に荷重条件によるリスク評価が曖昧
・コンクリート品質でのタイムラプスを 2 時間間隔として、作 業確認に手間
・映像から読み込める着眼点が分りにくい
・タンクの設置方法が映像から捉えにくい
・映像から技術的配慮点が分りにくい
・地下の変状リスクと上部のリスクが映像から捉えられない。
・技術的着眼点が映像から認識できない。
・延長があるため固定カメラの撮影範囲に限界がある。200 M 付近の認識はできない。
・映像から着眼点がどこか認識できない。
・舗装工事の着眼点に品質と安全を同時に確認できない。
・映像から風速や降雨の情報が分らなく、現場の状況が理解で きない
4
3 研究検討結果
3.1 検討1:映像利用効果
3.1.1 映像の認知構造の評価 試行工事を通じて、タイムラプス 映像の効果的な活用としては、a)現 場代理人に当てはまる現場での工 程・進捗、安全などの総合的な視点、
b)監理技術者に当てはまる現場で の施工の品質や施工法などを個別 で捉えている視点、c)本社の品質証 明員に当てはまる現場から離れた ところで安全や品質を監視する視
点に、d)発注者側の施工管理する視点の4つの視点で、以下に示す(表 2 参照)映像を活用す る効果が高い五つの見られ方、1)工程進捗、2)品質出来映え、3)安全衛生管理、4)公衆 災害、5)技術継承が明らかになっている。
図 4 映像認知構造
表 2 試行工事で効果が確認された映像の見られ方の分類
映像の効果確認 見られ方
タイムラプス映像による振り返りが容易(短時間数分)にできることから現場空 間のイメージ補完機能を高めたており、次 step の作業など不手際や見落としな どが減少する傾向が確認され、タイムラプス映像により工事進捗状況の見える化 を実証している。また、保安設備等の異常、現場内での事故けが等、映像検討か ら原因分析の迅速化も確認された。
(工程進捗)
時系列で管理されたタイムラプス映像により詳細な作業手順が確認できたこと で手順間違いやヒューマンエラーなどに起因する品質の不良要因の解明が迅速 化された。また映像により構築物の出来映えが厳格に判断できることが確認され た。
(品質・出来映え)
映像のタイムラプス化によりデータ容量を小さくしたことで WEB の Live 映像の 確認を可能にした。その結果。廉価で遠隔でも現場の状況確認が可能になり、本 社や発注者などとのコミュニケーションが良好になることが確認された。特に、
本社から、現場の安全に対する注意、指示等的確になり、本社と現場の連携によ り現場の安全性が高まった。
(安全衛生管理)
ネットワークカメラによる映像が俯瞰的な映像のため、現場で認知している人目 線より幅広い空間認知が可能になり、周辺の交通への工事車両の影響や交通規制 の効果など公衆災害への配慮から安全性が向上した。
(公衆災害)
試行工事の映像記録が、遅れて着工した同種工事(2 現場)での施工計画の策定 に、迅速な施工方法の理解など策定時間の省力化に繋がっていた。従来の施工計 画や工事記録に比べて、時系列の映像は時間経過も理解できることから施工のイ メージが分り易くなっている。
(技術継承)
5 3.1.2 映像に関する認知の個人差の検討
一方、映像の活用の難しさは、施工の経験量によって、映像から映像の切り出し方が異なるこ とか観察されており、切り出し方自体に経験を伴うノウハウなど個人差による影響を検討してい る。
検討方法としては、試行工事で収集した日報記録について被験者の違いによる映像の着眼点や 着眼している内容の差を、a 映像の活用を日常的に実施した現場と、b 映像の活用に消極的であ った現場での、映像を見ることによる意識への影響を記載量などの記載形態(検討1A)や、記 載内容かにある単語の出現率や単語間の連想の強さなどをマルコフ解析し(検討1B)評価して いる。
1) 記載量などの記載形態(検討1A)
本検討は、前日に撮影した 3 分程度のタイムラプス映像を翌日に振り返りに使用する現場と振 り返りに使用しない現場を日報の記述率や記述量で比較し、映像が現場のイメージの再生にどの ように影響するかを検討している(図 5 参照)。
記載率から分ることは、現場常駐者においては映像利用・未利用において記載率に特段の差は なかったが、現場常駐者に対して現場非常駐者の品質証明員が映像により、現実感をもって安全 や品質について記載率を常駐者より高めている点が興味深い的であった。
その点は、記載一件での記載文字数の比較でも、映像を見ることで常駐・日常駐共に。3倍近 い記載量があり、現場空間の捉え方が詳細に捉えられていることが考察できる。
このことから推定できることは、現場の空間認知は、時間経過でイメージが劣化しているか、
初めから空間から記憶される情報が少ないのかが考えられるが、いずれの場合も人の認知能力の 限界が浮かび上がってくる。特に、非常勤者の空間イメージが 3 分程度のタイムラプス映像によ り具体的なイメージ形成の手助けになっていることが顕著に表れており、映像により職場内のコ ミュニケーション齟齬を少なくする効果も期待できると考える。
役割別コメント記載率 役割別コメント記載文字数
図 5 映像利用による日報記載率
0 10 20 30 40 50 60 70 80
現場代理人 監理技術者 品質管理者 行政担当者
作業日100日当たり記載率
映像未利用 映像利用
映像未利用 映像利用
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50
現場代理人 監理技術者 品質管理者 行政担当者
記載一件当たりの記入文字数
映像未利用 映像利用
映像未利用 映像利用
6
2) 記載内容かにある単語の出現率や単語間の連想の強さなどを計測(検討1B)
a) 検討1B-1:映像による振り返り効果
計測結果からは、映像の振り返り利用によって現場空間のイメージが具体的に整理されており、
映像未利用に比べ映像によりイメージが再生することで記憶だけで思い浮かべるイメージとの 差異が修正されていることが考察できる。現場内のコミュニケーションが、曖昧になると思われ る前日のイメージからリスク抽出する場合、リスクイメージに個人差が懸念されることからコミ ュニケーションリスクが大きくなることは予想できる。そのため、コミュニケーションの前に事 前に映像で振り返ることでコミュニケーション齟齬が少なくなり、無駄や思い違いなどの非効率 な作業はすくなくなることが期待できる。
ケース A 映像利用(現場代理人 40 代) 評価
映像利用のケース A の場合、前日 の映像を振り返り日報を記録し た場合、施工期間を通じて施工種 類や施工対象によって関連用語 が関係付され建設安全や工程進 捗、施工品質、公衆災害に分類化 できており、依頼や立会いなどの 行動を行うための判断意図が明 確に表れていることが分る。
一方、映像未利用のケース B の場 合、翌日の振り返りがないため、
各工種の関係づけはあっても、そ の関係付に偏りが多く、建設安全 や工程進捗、施工品質、公衆災害 が絡み合い確認や立会い等の行 動への判断意図が複雑に表れて いることが分る。
ケース A とケース B の選定には、
類似の工事種類(道路構造物)を 選定している。
ケース B 映像未利用(現場代理人 50 代)
7 b) 検討1B-2:映像による技術継承
高齢熟練者が多い中小企業の課題でもある技術継承について、職場内の映像活用により熟練者 の知見が活かされる可能性を検討している。本検討では、熟練者にとって現場の状況が 3 分程度 のタイムラプス映像でも、現場に潜在するリスクなどを若い技術者に映像を通して伝えることが 可能であることが確認されている。
ケース A 映像利用(監理技術者)30 代 評価
本比較は、同一現場での現場常駐者と本 社技術担当において、前日のタイムラプ ス映像を翌日に振り返り、まとめた日報 記録を集計し解析したものである。
若い監理技術者においては、現場の施工 状況や品質面での課題が整理して意識 されているのと、それらが確認作業に結 びついていることが確認できる。一方、
非常勤の本社在勤の熟練の品質証明員 が、実際の現場を確認しなくてもタイム ラプス映像で日常的に振り返り常勤者 と同様に現場状況が整理して認知され ており、施工現場の安全面の課題を抽出 していることから映像によるある程度 の現場空間の理解の有効性が確認され たと考える。
但し、本検討の対象になった品質証明員 は、経験量が豊富であることから、経験 知が伴って空間理解が出来たとも考え られ、一方タイムラプス映像があったか ら経験知が活かされた問題検出ができ たとも考えられる。少なくとも熟練者 は、若い技術者と同じ映像を眺めた場 合、そこから感知する現場の課題は倍近 いことから判断すれば、熟練者が確認し た映像の着眼点は熟練者が培ったノウ ハウとも判断できる。
ケース A 映像利用(品質証明員)50 代
8 c) 検討1B-3:現場空間の認知に個人差
ここでは、映像未利用のケースで、現場常駐者である現場代理人と監理技術者の現場空間の捉 え方を検討している。日報は、映像を見ていないこともあり、イメージに偏りが強い傾向がある ことが確認された。
ケース B 映像未利用(現場代理人 50 代) 評価
映像の振り返りがない場合、
現 場 代 理 人 と 管 理 技 術 者 間 で、現場の問題などイメージ において、整理されていなく 種々の問題が混在しているの が両者の特徴として捉えられ る。また、その混在している 現場のイメージにおいて、両 者の大きな括りでの共通認識 があっても、各部においては イメージが共通化していない 個人差が感じられる。そのた め、個々の問題や課題に対し て確認や指示などの判断意図 が曖昧になっている懸念も大 きいと考える。なお、映像未 利用の品質証明員は、殆ど日 報記録が書かれていなく、現 場のイメージ形成が出来てい なくマルコフ解析不能のため 表記できていない。
ケース B 映像未利用(監理技術者 60 代)
9
3.2 検討2:映像の認知構造
検討1の結果から映像を見る側(利用主体:ひと)とみられる側(情報種類:映像の意味)で の関係で、主体の行動区分(指示、確認、対応(依頼))によって映像の持つ価値(着眼点、重 要度)が意味づけされていることが確認されている。
意味解析では、映像の持つ意味が大きい場合は、繰り返し同じ意味や言葉が使用されることが 重みづけになっており、被験者である行動主体から眺めた場合の、それぞれの映像の持つ重要さ が発現強度として表記されている。即ち、この発現強度とは、工事現場の映像の持つ意味や重要 性であり、映像に対する認知の強さや重みづけであると想定できる(図 6 参照)。
図 6 映像の認知構造
映像データベースは、上記体系に分類し、入力段階で映像の意味づけを行い(図 7 参照)、映 像を振り返るときに、施工のやり方や管理の仕方、品質の着眼点などの施工者の意図が理解しや すいように設計している。
図 7 映像データベースの意味づけ
施工 管理 工程 進捗
品質 出来 映え
技術 継承
安全 衛生 公衆 災害
災害 対応
計測 補完
映像から判断できる情報種類
(N=5から8)
確認 指示 対応 現場代理人
監理技術者 品質証明員 行政監督
映像の着眼点(優先度・重要度)
(M=(0,1,2))
品質出 来映え
映像利用効果の高い状況では、映像の利用主体別に、映像に表現される情報種類別に、
且つ行動種類別に、着眼点があり重みづけが利用主体のノウハウとして存在している。
利用主体
(J=4)
行動種類
(A=3)
映像の重要度で重みづけ
① 行動区分(指示、確認、対応)を指定する。
② 利用主体を選択し、映像の着眼点(重みづけ)入力画面に移動。
③ 映像の着眼点の評価は、情報種類別に評価点を付加。
10
3.3 検討3 映像の数量化
3.3.1 映像解析システム
映像の数量化の検討は、試行工事で確認され映像の活用の効果と課題のなかで、①スケール感 がないためリスク認識が弱くなる、②設計情報がないので映像から出来形が分りにくい、③映像 から判断できるものがイメージなので歩掛りなど施工数量が分りにくいなど主に映像の数値化 に関する問題が示されており、映像データベースを支援する以下に示す映像解析システムに個々 では映像情報からの数量化手法の有効性を検討している。
図 8 映像解析システムと数量化
3) 映像への直接タグ付手法(映像自体にデータベース機能を持たせる)
映像は圧縮されたフレーム画像情報であるためそのままではタグ付けが出来ない。圧縮映像を 分解したスライスデータとして解析し時系列にタグ情報を管理する(図 9 参照)。
図 9 映像タグ付け方法
11 4) 映像の数値化データのタグ付の検討
映像データベースに連携を可能にした LowData としてのタイムラプス映像に、タグ情報として 1 次解析(リアルタイム分析)、2 次解析(時系列パターン分析)結果を関連させたタグ付の手順 とデータ管理の仕組みの実現性を検証している。(図 10 参照)
図 10 数値データのタグ付け 3.3.2 物体検知の検討
映像情報による数値化技術の為、映像から施工現場に存在する物体(建設機械、人などの)画 像切り出し手法により、映像による物体検知の実用性を検討する(図 11 参照)。検証した混合 正規分布(Mixture of Gaussian Distribution, MoG)のアルゴリズムにおいては、背景モデルは いくつかの過去のフレームを元に生成する。過去のフレームの枚数をヒストリーサイズとして設 定でき、ヒストリーサイズが少ないとモデルの更新が早くなり、ヒストリーサイズが大きいと、
モデルの更新が遅くなる。差分結果に対する影響としては、日光や照度変化などの外乱、背景の 揺れにはヒストリーサイズが大きい方がよりロバストになり、適していると判断された。
物体検知結果 重機認識
図 11 物体検知
12 3.3.3 スケール組込
映像情報による数値化において、映像に映し出された物体の大きさや距離を把握することは重 要になる。映像に指標となるスケール情報を持たせる方法として、スケールマーカーを用いた方 法や、現場における特徴点の遠近による移動の差を利用した3次元位置推定の方法で検討してい る(図 12 参照)。実際には、カメラレンズの補正や映像のひずみなどから、映像情報(視差)
だけで 3 次元化は難しく、施工現場に基準点としての標点を設けることで、精度向上が図れてい る。
スケール(平面 mesh) 現場に設置する特徴点(標点)
円形構造物への適用 スケールと物体検知
図 12 映像へのスケール組み込み 3.3.4 3D 設計データの取り込み
3D設計データを映像に取り込む際には、スケール表示と同様に設計データと映像のひずみの 調整や基準点との整合などが課題として整理されている(図 13 参照)。
CAD データのポリゴンのオーバーレィ CAD データのポリゴンのオーバーレィ +立体メッシュ
図 13 映像と3Dモデルの重ね合わせ
13 3.3.5 構造物の 3 次元化
スケール表示や 3 次元データの取り込みに現状のエッジが明確な構造物データの整合が課題 になり、本検討ではドローンの点群データに設計情報をエッジラインとして活用し、その近傍の 点群を有効にして構造物の形状認識する可能性を検証している(図 14 参照)。
ドローン撮影点群データ 点群の surface 化(自動メッシュ)
構造物エッジ情報を付加した surface モデル エッジの近傍の点群を選択
エッジの近傍点を活かした構造物の三次元化 モデル
図 14 点群とエッジ情報の利用 3.3.6 土工事の 3 次元化
土構造物の 3 次元モデルは、取り扱いが容易な立体メッシュ(位置・時間情報と体積情報)で 表現、メッシュの差し引きで土工事の数量算定を実施する(図 15 参照)。
図 15 立体メッシュによる評価
採石場形状 点群データによる立体メッシュ化
14
3.4 検討4:映像の効果的な活用環境(統合型データモデル)
検討 4 では、試行工事の結果を踏まえて映像を認知する人に関する研究として映像利用効果
(検討1)と映像の認知構造(検討2)、映像解析に関する研究または検討として映像の数量化
(検討3)の検討を実施、映像の使用方法を掘り下げた上で映像の効果的な活用環境として映像 データベースと映像解析システムの組み合わせによる映像集積の仕組みを試行している。入力装 置としての仕組みが出来ても、タグ付に恣意性が入らないように、基準化が必要になっている。
(図 16 参照)
図 16 統合型データモデル(案)
3.4.1 映像データベースと映像解析システム
映像を活用した統合型データモデルの特徴は、映像と設計や施工情報などのタグ付されている ことであり、映像とタグを個別に管理するデータベースと映像に直接タグを付けて映像解析シス テムについて使い易さや有効性を検証している(図 17 参照)。
図 17 映像タグ付け
15 3.4.2 映像データベース
1) タグ入力装置
データベースに属性区分を選択式にして、映像の情報種類別に重みづけのタグ付を容易にして いる(図 18 参照)。
図 18 タグ入力
2) タグ入力確認
データベースに属性区分や情報種類別に重みづけをタグのチャートマップ(図 19 参照)で表 現している。
図 19 入力タグのチャートマップ
16 3) タグ検索装置
タグ検索した映像リストの重みづけ評価値と検索映像の平均重みづけ評価値が、判断主体別、
情報種類別にチャートマップで表示され、映像に含まれる情報の特徴を表す工夫がされている
(図 20 参照、図 21 参照)。
図 20 タグ検索画面
図 21 タグ検索映像再生画面
17 4) 検索映像の編集
映像解析システムで映像の着眼点を映像の中にタグ付し、映像の資産化・知財化を図る。工事 検査などの品質の証明が明らかに分る映像は、映像の中の特定な時間に品質表明タグを付けるこ とで、一連のタグ検索で施工現場の品質証明のポイントを時系列で評価できる(図 22 参照)。
図 22 品質タグ 5) 映像タグの再生
映像編集した映像タグ情報を再生することで、タグが検出した画像の詳細を精査するこ とが出来る(図 23 参照)。
図 23 タグ情報の再生
18 6) 映像データベースのクラウド化
主な要件として①大容量のデータを一元的に管理して、検索ツール等を用いて大規模検索等情 報管理と②映像アノテーション機能を付加することで各種詳細情報を視覚的に検索可能にする ため。統合 CIM のデータベースをクラウドシステムに統合の可能性を検討している(図 24 参照)。
図 24 ネットワーク基本設計
19
4 まとめ
本研究は、中小建設業の情報化を推進する上で、中小企業の抱える高齢化、技術継承、人材不 足などの問題の解決に役に立つ情報化技術の研究開発であり、映像利用による新たな生産技術や 安全システムとしての実用化を求めています。
研究を通じて映像を活用することの効果は、特に映像データベースを含めて映像解析に関す る研究または検討の中で以下のような効果が確認されている。
一つは、前日の actuary な映像から翌日の変化を予測、少ない手間でリアリティある施工予測 が可能にするⅰ-construction や情報化施工への展開です。
二つは、映像に設計情報やスケールを組み込むことにより 劇場型になるリスクを過小評価 する傾向の映像でも現実規模に近いリスク認知を可能にした映像による施工の可視化と品質の 証明です。
三つは、映像解析技術により重機・資材・作業員の稼働実績として機械稼働率や歩掛り計測な ど施工実態の把握と施工の数値化です。
四つは、3 分程度の圧縮動画(タイムラプス)をデータベース化により時空間情報としての施工 技術の企業の知財化とトレサビリティの実用化です。
また、映像の活用効果をより高めることを目的に、映像に含まれる多面的な情報を取り出すた めに、‘映像を認知する人に関する研究’を通じて映像の見せ方としての以下の人間の認知や 感性に関わる効果と課題を確認しています。
効果としては、日常活動に中で映像での振り返りが、個人が抱く現場のイメージの欠損部を補 う効果から、施工空間の未認識や思い違いなどが修正され、施工の確実性や効率性を高める点が 確認されている。一方、映像を活用する課題としては、以下に示す人本来の感性に近い特性に関 する問題が確認されています。
一つは、本来、人の現場空間の記憶しているイメージに曖昧な点が多く、個人差が生じ ているのでイメージ、の共通化が出来ていない。
二つは、この個人差には個人の認知能力面での差と、経験知の違いによって生じる差が あり、映像を見る側に映像の背景情報の伝え方で映像理解が異なってくる。
三つは、特に、高齢技術者が多い中小建設業では、映像を活用する IT 環境への不慣れから、
使用できる映像情報に個人差が生じることが多い。
本研究では、これらの効果や課題を踏まえて経験や役割によって異なる人の空間認知の 曖昧さから生じるイメージギャップを修正するために、タイムラプス映像を利用主体や情 報種類別にタグによる意味づけ機能を持たせた映像を活用した統合型データモデルを提案 している。
今後、これらの成果を踏まえて実証を重ねて、中小建設業を対象にして生産性や安全性 とともに企業の技術継承のツールとして実効性の高い映像を活用できる情報環境づくりを 行いたいと考える。
Ⅱ 本編
1-1
1 はじめに
中小零細建設業では、小規模な工事が多く、短期間の工事完成や IT 系の人材確保などの 要件もあり、CIM の取り組み、特に 3 次元モデルベースによる CIM への対応を難しくしてい る。また、中小零細建設業の特性として、高齢化(退職、転職)に伴い、個人に集約して いる建設ノウハウ(知財)の流出が進んでいる。そのため、企業への技術知財情報の収集 蓄積などの情報化の推進が、事業継続上の緊急な課題にもなっている。
一般に、技術者の施工現場で求められる意思決定や判断は、リスク、品質、コスト、効 率性など多岐にわたっているが、現場空間では技術者の持つ能力である探知能力、視認能 力で、施工現場から問題要因を探知し対応しているものと考えられる。
本来、技術者は、人間固有の能力として、空間(映像、画像)から問題や課題を探知、認 識する能力は高く、その能力から問題対応を行っている。特に職人的な技術者ほど、その 経験知を伴う視覚認識(直観力)は優れており、‘百聞は一見に非ず’や‘理屈じゃない’と 断言する技術者も少なくない。しかし、そのような技術者が保有する施工ノウハウは、感 覚的であり、論理的に形状や品質、構造として表すことを難しくしていると考える。
また、本来の CIM の目的は、現場の工事情報をデータモデルに体系づけて集積し、施工 情報の共有化、共通化、資産化するための情報化と考えるが、個人に委ねる現場が多い小 規模工事では、短期間で、現場の変化も大きく、施工情報をデータモデルに体系化し集積 することはスキル的にもコスト的にも容易ではなく、情報化やCIM化を進めることが出 来ない課題も抱えている。
そのため、本研究では、中小零細建設業の特性を踏まえて IT スキル的・コスト的に負担 の少ない方法で、施工情報を効果的に集積する CIM 化と共に企業内の知財化する情報とし て感覚的に理解しやすい映像の有効性を確認し、中小零細建設業での利用可能な’映像を 活用した CIM‘を追及している。
2-1
2 研究開発の目的と意義 2.1 研究の目的
中小建設業では、小規模な工事が多く、短期間の工事完成や IT 系の人材確保などの要件 もあり、CIM の取り組み、特に 3 次元モデルによる CIM への対応を難しくしている。
また、中小建設業の特性として、高齢化(退職、転職)に伴い、個人に集約している建設 ノウハウ(知財)の流出が進んでいる
そのため、企業への技術知財情報の収集蓄積などの情報化の推進が、事業継続上の緊急 な課題にもなっている。一般に、技術者の判断は、リスク、品質、コスト、効率性など多 岐にわたるが、技術者固有の認知能力で、現場から問題要因を探知し対応している 特に職人的な技術者の多くは、‘百聞は一見に非ず’や‘理屈じゃない’と断言する人が多 い。
そのような技術者が保有する施工ノウハウは、感覚的に捉えているところがあり、具体 的な説明を苦手にしている。本来の CIM の目的は、現場の工事情報をデータモデルに体系 づけて集積し、施工情報の共有化、共通化、資産化するための情報化と考える。
個人に委ねる現場が多い中小建設業では、短期間で、現場の変化も大きく、施工情報をデ ータモデルに体系化し集積することはスキル的にもコスト的にも容易ではなく、情報化や CIM化を進めることが出来ない課題も抱えている。
本研究の目的は、中小建設業の施工現場での映像の活用効果の高い活用方法の抽出を映 像 CIM の適用工事を通じて実施し、その結果を踏まえて人の認知特性に着眼して映像の活 用形態に伴う映像の切り出し方(見せ方)などの A)映像を認知する人に関する研究、タイ ムラプス映像数値化など B)映像解析に関する研究または検討を行い、施工現場における映 像の効果的な活用環境として映像を活用した統合型データモデル(案)を提案するもので ある。
2-2
2.2 研究の意義
中小建設業では、小規模な工事が多く、短期間の工事完成や IT 系の人材確保などの制 限から、CIM の取り組み、特に 3 次元データモデルによる CIM への対応は技術的にも時間 的にも難しく、CIM 展開の障害になっていると考えられる。
施工時の手間が少なく簡易に集約する‘映像を活用した統合型データモデル CIM’は、
中小建設業の情報化とともに CIM 化の飛躍的な展開も期待されることからその研究意義は 大きいと考える。
2.3 研究開発の概要
試行工事で展開した映像 CIM は、工事現場に設置したネットワークカメラの映像をタイ ムラプス化して気象情報や時間情報で関係させてデータベースに集約している。試行工事 の運用段階で、有識者、発注者、施工者による現場見学会及び検証会を 3 回実施し、この 試行工事で明らかになった課題に対する解決策を研究開発するものである。
2-3
表 2-1 映像 CIM 検証結果
試行工事で抽出された課題 研究開発テーマ
情報収集と統合化 映像解析による 3 次元モデルの自動化 映像からの形状検知機能の開発 映像からの属性分析方法の確立
A) 映 像 情報によ る数値化技術 データ集積環境のクラウド化によるデータ管理負担の縮小
形態検知のために使用機械や人の検知ベース作成のためのラ イブラリー作成
情報収集の容易化
情報の利活用
タグメモの標準化による DB 機能の充実化
タグ検知機能の充実によるリスクノウハウの収集の容易化
B) 映 像 とテキス ト 情報 の統合デ ータベース技術 経験知の違いによる映像に対する認知機能の解明
映像に集積するリスク要因の分析およびデータベース化 C) 体 系 化とマニ ュアルの整備 技術継承のためのマニュアル化
施工現場別、映像による品質、出来形管理の方法の体系化 運用 情報収集ルールの明確化
現場情報と映像情報の連携による知財情報化 低コスト CIM の開発
D) 低 コ スト化と 現場負担軽減策
2.4 研究体制
研究体制は、産学の共同研究体制を想定し、試行工事からの関係した専門家を中心にし た専門委員会と実務者による WG(表 2-2 参照)の連携で実施する。
表 2-2 研究体制
共同研究者 担当 所属
須田清隆 総括 ㈱環境風土テクノ
渋谷義博 テーマ A)、B) トライポッドワークス㈱
可児憲生 テーマ D)※試行工事 WG 可児建設㈱
本田陽一 テーマ B)※試行工事 WG ㈱環境風土テクノ 小浦場博 テーマ C)※試行工事 WG ㈱環境風土テクノ
【専門家】
建山和由 テーマ A),B).C),D) 立命館大学理工学部教授 蒔苗耕司 テーマ A),B).C),D) 宮城大学教授
2-4
2.5 研究概要
研究開発の概要を以下に示す。
2.5.1 映像情報による数値化技術の検証
■映像の三次元化検証
施工現場の多視点画像により生成した三次元化の実用性を検証する。現場をネット ワークカメラで撮影したコマ画像を用いて、施工現場の視認性や三次元生成に適した 撮影位置や角度の関係性を検証する。
■映像の物体切出しによる物体検知の検証(プロトタイプ開発)
映像から施工現場に存在する物体(建設機械、人、運搬車両、資材など)の物体特 定と画像切出し手法により、映像による物体検知の実用性を検証する。
2.5.2 映像とテキスト情報の統合データベース技術の検証
■テキスト情報の意味検索機能の検証(既存ソフトを利用)
日報や企業者指示書などの文書情報から施工の特徴や問題の抽出をするために、形 態素解析やマルコフ解析などの自然言語解析による意味分類や検索機能について検証 する。
■映像情報に対するタグ付による検索性能の検証
映像から作成したタイムラプス映像に、日報や企業者指示書などの重要用語や言語 をキーワードとして『タグ付』させ DB の検索性を高め、同一プロジェクトの映像トレ サビリティや複数プロジェクトの類似映像検索機能の実用性を検証する。
2.5.3 体系化とマニュアルの整備
■映像 CIM 撮影ルールによる検証
施工現場のネットワークカメラ撮影ポイント(コンクリートワークなどの品質管理、
作業や施工の安全管理、仮設や施工法など施工手順などの施工管理、地震や大雨など の異常時の迅速なリスク管理)やネットワークカメラ設置方法や映像精度、タイムラ プス定数設定などの撮影ルールを工事経験者、学識経験者による専門委員会を設け整 備する。
2.5.4 低コスト化の検討
■モバイル端末のセンサ活用の検証
施工現場に存在する施工機械や人の作業行動を低コストのモバイル端末のセンサで 計測し、映像に対してタグ付けすることにより、内面的な数値情報と外面的なプロセ ス映像情報の有効性を検証する。
■クラウドの活用
2-5
低コストで映像を活用した CIM を提供する手段として、クラウド環境での CIM シス テムの提供と CIM システムで集積させる映像などの大容量データの管理や利用などの 実用性について検証する
3-1
3 CIM の試行工事
3.1 検証現場導入イメージ
試行現場に導入する映像 CIM は、映像とその他施工情報を、簡易集積できる仕組みに、
集積した施工情報を時系列的に統合的に整理できるデータベースを持って基本構成とし ている(図 3-1 参照)。
また、システムを構成する屋外 LAN、ネットワークカメラ、レコーダー、映像管理アプリ ケーションの例を図 3-2~図 3-5 および表 3-1 に示す。
図 3-1 映像 CIM システム構成イメージ
3-2
図 3-2 屋外 LAN 配線工事イメージ
図 3-3 ネットワークカメラの例
3-3
表 3-1 ネットワークカメラのスペック
◆ネットワークカメラスペック
解像度 : HD 以上(1280 x 720 pixel)
有効画角 : 水平=60°以上、垂直=30°以上 F値 : 2.0 以下
ナイトビジョン : 必須 PTZ : オプション 赤外線照射距離 : 20m以上
画像圧縮形式 : H.264、MPEG-4、MJPEG 防塵・防水規格 : IP66以上
ネットワーク : Fast Ethernet(10/100Mbps、RJ-45)
CGI I/F : 必須 無線通信 : オプション 音声 : オプション
動作温度 : -10°C~50°C 以上 動作湿度 : 30%~80%以上
電源 : PoE 給電、もしくはアダプター給電 消費電力 : 10W 以内
外形寸法 : 全長 250mm 以内 本体重量 : 1,500g 以内
図 3-4 映像記録装置の例
3-4
図 3-5 映像管理アプリケーション例
3-5
3.2 タイムラプス機能
映像は、時間軸の連続した画像情報であり、データ量が多く可視性に優れない等、扱い が難しいデータである。タイムラプス映像にすることによりデータ量を減らし、可視性を 高めることが可能と考える。また、ムービーデータとは異なりタイムラプス映像は時間軸 に沿って 1 枚ずつ画像データとして記録されており、切出した画像から画像解析により検 出・認識が可能である(図 3-6 参照)。
図 3-6 タイムラプス映像の利点
3-6
3.3 映像 CIM データモデル(統合型データモデル)
現場のイベントや注意事項など現場では、現場代理人、監理技術者、本社では品質管理 者が、行政では担当者からその都度記載することで、各関係者の現場や工事に対する意識 や考え方を分析できるように仕組んでいる。
統合型データモデルでは、施工情報や、映像情報をコアに収集可能な他の施工情報を時 間軸で集約管理を目的にしているデータベースへの取り込みを行っている。
図 3-7 に試行版として作成した映像CIMデータモデル画面を示す。
映像 DB モデル (α版)
映像情報管理 DB (試行版モデル)
要素を組み合 わせ
+3D モデル
+GPS 軌跡
+品質情報
※映像 CIM データベースは、試行工事の特性を踏まえて、取り扱う情報の種類へのシステ ム的な対応や、データベースを稼働させるときに必要な初期設定など支援している。
図 3-7 映像 CIM データモデル画面
3-7
なお、映像 CIM データモデルは現場毎に異なる必要要件に応じた修正版を作成している。
その例を図 3-8~図 3-10 に示す。
図 3-8 映像 DB モデル(α 版)機能説明(タイプ A)
■日報入力部が画面中央 ■基礎工事情報入力部分を見やすく項目追加 ■4映像再生はカメラや日付を設定可能に ■写真一覧
A
B
C D
E F
G H
I J
A 検索情報設定 B 検索結果対象日付一覧 C 工事基本情報入力
カメラ映像再生【4同時】
D 工事ステップについての入力
E 現場代理人 記入欄 F 管理責任者 記入欄 G 品質管理者 記入欄 H 行政指示事項・連絡事項 記入欄 I 4方向カメラ映像再生 J
3-8
図 3-9 映像 DB モデル(修正 α 版)機能説明(タイプ B)
3-9
図 3-10 映像 DB モデル(修正 α+版)機能説明(タイプ C)
3-10
映像を集積するデータベースに、映像を補う情報としてサーモグラフ カメラの画像をタグ付できるように修正している。
図 3-10 映像 DB モデル(修正 α+版)機能説明(タイプ C)(つづき)