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パーリ学仏教文化学 (23) - 010田辺 和子「アユタヤー期後期からバンコク期初期に書かれた絵入り折本紙写本の解読 : クメール文字パーリ語表記の仏典写本を中心にして」

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Academic year: 2021

シェア "パーリ学仏教文化学 (23) - 010田辺 和子「アユタヤー期後期からバンコク期初期に書かれた絵入り折本紙写本の解読 : クメール文字パーリ語表記の仏典写本を中心にして」"

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全文

(1)

研 究

ノー ト〉

バ ン コ

期 初 期

れ た

       

り折

紙 写 本

解 読

 

ク メ ー ル

パ ー

語 表 記

に し

田   辺  和   子

1

ク メ

ル 文 字

パ ー

リ語 表

紙 写 本

  縁

て, ラ ーマ

1

1782

〜 】

809

ゆ か り ブ リ ー 王室 寺 院 ッ ト ・ラチ ャ シ ッ タ ラム の 貝葉 写 本 開 封 を垣 間見せ て も らっ た時に,先 ず 感 じ た こ とは, ク メ ー文 字

膨大

な量の ア ビダン マ 七

の 写 本が残 っ て い る とい うこ とで あっ た。 そ れ に

itipisobhagava

で は じ まる

功 徳 の説明 の

Mahabuddhagupava

叩 ana な ど,余 り知 られて い ない

仏典

写本が

保 存

され て い るこ とにづ い た。 そ れ らは,以

寺 院

で 見せ て もらっ てい た , アユ

後期 (

1740

1768

, トン ブ リ ー

1782

,バ ン コ ク 期 初 期

1851

折本 紙写本に も書 写されて い る事 と思 合わ せ , 上 座 仏 教で は ア ビダン マ 七論 や 仏 功 徳が 重 視 れて い こ とを示す

で あ ろ う と 思わ れた。

 

タイ 中 部 地 域に保 存さ れて い る仏 典 写本 に は , ヤ シ の 木の

燥させ た 貝葉写

とサ ム ッ トコ ー イ と

桑 科

か ら

られ た

り本の

紙写

本の二 種 類が見 られ る。 貝葉写本に 関し て は,

16

世 紀 頃か ら

20

世 紀 初 頭 ま で に クメール

パ ー

お よ ク メ 文 字 タ イ 語 表 記 , ア ユ , トバ ン コ 等の

で大 量に作 成さ れ た と考え られ る が, ア ユ タ町 全 体焼 失 し た た めア ユ さ れ

皆無

近い 日に至る まで タイ国 立

図書館

貝葉写

は広 く公

さ れ る こ と

(2)

 74      パ ーリ学 仏 教 文 化 学 な く, ま たバ ン コ 及 び

寺 院所

蔵貝

外部

され る

く各 寺 院の 奥 深 く秘 蔵 さ れ て い たの で タ イ 中部地 域の

は, 殆 ど知 られ る事が なかっ た。 従っ て これ らの ク メ ー 文 字パ ー 語 表 記 及 びクメ ール 文 字タイ 語 表 記の 写 本 群が公 開さ れ る よ うにな る と, 今まで知 られ てい な かっ た タ イの アユ タヤ ー

期後期

か らバ ン コ ク

期 初期

仏教教

理 や 仏 教 信 仰の実態 が 明 らか に さ れ る事 と思 わ れ る。

 

ま た, 折 本 紙写

は コ ー イ

桑 科

とい う木の

の樹

か ら取られ た手 製 の 紙か ら作 られて い る。 樹

の 中の 湿 っ た ど ろ どろ し た もの を長 く広 く切れ 切れ に して 型 枠 の 中に広 げて 太 陽で 乾かす。 重い 紙 片 は後で 縦に端 と端 とを つ な い で

る た め に

け ら れ る。 その

は,

長 方形

の 型に ア コ ー に折 り曲 げられ る。 こ れ は,折 りた たみ本 と もい わ れ る。

 

こ の

は テ キス トに も

絵 画

に も適 して お り, 色 の ない ものに も使わ れ る。 ま た す す や炭をっ けて 黒 く してい る場 合も ある。 黒い

は,装飾 的な

き方 や絵 画に も使わ れる。

Ginsburg

2000

. 

p

8

]表 紙

は紙を重ね て厚 くし て漆で 固め て作ら れて い る。

 

筆 者が こ こ で 取 り上 げる 「入 り仏 典 折 本

」 は,

18

世 紀 は じめ か ら

19

世 紀 は じ め に か けて 作 製 さ れ た, 両 脇 に 絵が描か れ, 中 央 に は経 典が クメ ール

文字

パ ー リ

語 表記

あ るい は クメール

文字

タ イ

語表 記

写 さ れ,

重 に も折 りた た ま れ て

裏表両面

か れ て本 に な っ て い るもの で あ る。 こ れ らは, タイ中部地域で 死者の 供 養の た めの 施 本, あ るい は 法要 時の施 本 とし て 作 製された もの で, 寺

に奉 納 された もの で ある。 死

の 供

の た め に

製さ れた もの で あ る か らこ の 「絵入 り仏 典 折 本 紙 写 本」 の 全 容が わ か れ ば, 当 時の 人々 の 死 後の 救い となる経 典が どの よ う な経 典で あ っ た か , 人々 が ど の よ う な

経 典

にす が っ て い た か,

当時

の 上

座 仏教 信

仰が どの よ うな

子 で あっ た か な どを 知 る大き な 手 が か り とな る と思 わ れ る。 こ れ らの 写

の 美 術 的文 化的価 値 を認め る人々 の手 に よっ て, その

くは海 外に

出し,価 値 の

い と思わ れ る もの は,現

欧 米の

博物館

に収 納 され てい る。 これ らの

写本

は散 逸 し て し ま っ て タイ に現 存 する もの は少ない が

ansburg

が紹 介 して い

(3)

アユ ヤー期 後 期か バ ン コ 期 初 期に書か れ た絵 入 り折 本 紙写本の 解 読

75

る こ の 欧米 博 物 館所 蔵の折 本 紙 写本 と筆 者が撮 影 許 可 さ れ た タ イ寺 院所 蔵の 折 本 紙 写 本を中心 に解 読 を試み た。

 

2

. アユ

か らバ ン コ

初 期

の 「

入 り

仏 典折 本紙

 

タ イに

して い る 「

入 り

仏典

本紙

」 は

くない 。

に アユ タ ヤ ー期の もの は極 くわずか で ある。

筆者

が撮 影を

許可

さ れ た

折本紙

で 明ら かに アユ と さ れ の はバ ン コ ク ,バ ー ン クン テ ィ ア ン

区の

Wat

 

Hav

 

Krah

 

Peu

所 蔵の もの ,ペ トブ リー

Wat

 

Lat

所 蔵 の もの の二

で あ る。

  こ こ に, 写本が , アユ タヤ ー期 以 前の成立 か以 後の 成立 か を判 断 する材 料

となる ため に, ア ユ タヤ

後 期 期 最 初 期 まで の絵 入 り仏

本 写 本」 に つ い て 知 られて い るこ と を ま と めて お く。

1

Wat

 

Hav

STsa

Krab

 

Peu

所蔵 [

No

 

Na

 

paknam

, 

pp

23

24

   バ ン コ ク ,バ ー ン クン テ ィ ア ン 区

  

形 式

   

ア コ ー ン型 の 折

紙写本

  2 葉 1

セ ッ ト

19

綴 り

  

年代

  

B

S

2286

C

S

llO5 (

1743

年 〉

    長 さ   

62

5cm

 

9

8cm

 

4

5cm

  

表 記

 

太字 ク メール文 字, パ ー     作 者    ブ ン カ ム

  

仏 典 の 出 典

brah

が 冠 され て い る もの の み写

本 中

出典明 記 さ れて い る

 

bra

祖nahabuddhagupava a順 , vinayapitaka , 

dhammasahgani

 

puggalapafifiattim5tik

, mah 蕊

pa

hd

血a, 

yamaka

, 

kathavatthu

 

dhEtukathA

, vibhahga

, 

brah

エnaj 

alasutta

絵 画 内 容

  

合 掌 神 群 (青 黒い イ ン ド ラ神,

4

つ の顔を持つ ブラフ マ

        神

合 掌

する

々達

, ヒマ ラ ヤ地 方の

自然

植 物

動 物

         (

獅 子

、 キ ン ナ ラ

, ヴ ィ デ ィ ヤ

(4)

 76      パ ーリ学 仏 教 文 化 学

           

姿

    色 彩     淡い 色 合い

  Wat

 

Hav

STsa

K

エab 

Peu

所 蔵の 写 本 の バ ー ン バ ネ ー ク

奥 付

に , 古タイ

文字

B

S

2286

 

C

S

llO5 (1743 年)

年代

され , ブン カ ム が

両親

槃を祈 念 して作 っ た と書か れてい る。 こ の年 代は, ア ユ タヤ ー時 代美 術 最盛期で あ る,

Boromakot

1735

1758

時代 で あ る。 こ の 写 本 の 絵も 文

も, 王 の

息子

で 詩 人の

Chao

 

Fa

 

Dhammathibet

王子 の ス タ イ ル に近 似 し てい る。 また, バ ー ン バ タ イ文 字

Chao

 

Fa

 

Dhammathibet

王子 の 時代習 字

文 字に近

して い る。

 

仏 典の文 字 は, 太 字クメ ー

ー リ

か れ , ア ビダン マ 七

Mah

buddhagupava

ηηap 亘が

か れて い る。

は,写 本 の左

か れて お り,三

か れて い る。 第 一 に は , イ ン ドラ

と ブ ラ フ マ ー

を始め , 合

掌神群

かれ て い る. 第二 に は, ヒ マ ラ ヤ 地方の 森の 景 色, 動

, 植 物 な どが描か れてい る。 第三 に は, ヴ ィ デ ィ ヤー ダ ラ と呼ば れ る生存の , 空 中 を飛びなが ら花を持 っ て 合 掌 讃 歎 する姿が描か れて い る

Vathananukit

, 

pp

319

320

, 

Nathinee

 

Kla

phonplook

和訳

2

Wat

 

Lat

所蔵

1

   ペ トブ リー

  

形 式

   

ア コ ー デ オ ン 型 の 折 本 紙写本

  2

1

セ ッ ト

10

綴 り

   年代

   

アユ タ ー期 と

伝承

い る。

  長

64cm

,幅

llcm

, 厚さ

3cm

  文 字 表 記

  手 書

き, 稚 拙な太 字ク メ ー 文 字 , パ ー

  

中央 仏

出典

brab

が冠さ れ て い る もの の み,写

中に出 典明記

    

brahmah

buddhag

叫 ava

p

鋤 巨 

dhammasafigani

 

puggalapafifiatti

    

mahap

h

百na  

yamaka

 

kath

且vatthu  

dhatUkatha

 vibha 血

ga

  

写本 両 脇の絵 画

   合 掌

神群

(4 本

の腕を

つ ナ ラヤ ナ

4

つ の

      

手を

つ ブ ラ フマ ー神

(5)

アユ タヤー期後期か らバ ンコ ク期 初期に書かれ た絵入 り折 木紙写本の解 読

77

              無

常相 (

僧 と死

体 )

  

色 彩

  淡

赤色

色の 色合い

 

Wat

Lat

所 蔵

中 央

ク メ

文 字

パ ー リで書か れ て お り,文 字 は手 書 きの ス タ イ ル で稚 拙 な趣 を もっ て い る。 こ こ に もア ビ ダン マ 七 論 と

Mah

buddhagupav

脚 a項 が

か れ て い る。 絵 は, 写 本 の 左 右 両 脇 に 描か れ, 合 掌 神 群, 動 物, ア ッ タカ タ ー

, ジ ャ ー タ カ の 話, 仏 教の 無 常 相 が描か れ て い る

Vathananukit

, 

pp

195

197

Nathinee

 

Klamphonplook 和訳

。 これ らは, アユ タヤ ー

特 有

赤色

黄 色 の 色彩で描か れて い る。 柔 らか み と温み の あ る写本で ある。

3

Wat

 

Lat

所 蔵

2

   ペ トブ リー

  形 式

   

ア コ ー ィ オ ン折 本

写 本

  2

1

セ ッ ト

8

綴 り以上

   年代

  

バ ン コ 期初 期 承 さ れ い る。

  

長 さ

65cm

, 幅

12

5cm

, 厚 さ

3cm

  

字表記

  

き ,稚 拙な 太

ク メ ール

パ ー

          手

き,稚 拙 な太

ク メ ール 文字, タ イ語

  

写 本 中 央 仏 典の出典

写本 中に出典 明 記

    

brahsafigi

η

i

, 

brahmahapatth

互na , 

brahyamaka

, 

brabkath

巨vatthu ,

     

brahdh

且tukath乱, 

brahvibhahga

    

プ ラマ ー イ の

部分

の クメ ール

文字

タ イ

解 読

  

本両脇

   

イ ン ドラ

とブラフ マ ー

              

ヒマ ラ ヤ地 方 の

然 ,植 物,動 物

       

プラマ ー イ , 物 語の 中の僧 達, 地 獄 絵

  色 彩

   

ピ ン ク, 緑, 青, オ レ ン ジ等 多 彩な 色 彩, 背景 の 色も多彩 ブ

      

ル ー 系 [

VathananUkit

 

pp

195

197

, 

Nathinee

 

Klamphonplook

        訳 ]

 

トブ リ

Wat

Lat

て い も う一 本

入 り仏 典 折 本 紙写本

(6)

 78      パ ーリ学 仏 教 文 化学 は, プラマ ー ライの

物語

の 写

に ヒマ ラ ヤ

自然

か れ い る。 プラ マ ー ラ イ の 絵の 部 分 の 中央は ク メ ール 文 字 タイ語で か かれて お り, さ らに絵 が 描か れずに クメ ール

文 字

タ イ

の み の 写

枚 も続い て い る。 ヒ マ ラヤ 地 方の

然 の

部 分

の 中央 に は, クメール

文字

パ ー リ

仏典

かれて い る。 こ こ に は, ア ビダ ン マ が書か れて い るが, 全 て に 出 典が明 記 さ れて い

る。

の 功 徳 を示す

Mahabuddhaguim

. avaiym. apa は

か れ て い ない 。 この 写

はバ ン コ 期 初 期の 品で あ る と伝 えら れ て い る。

 

ア ユ タ ヤ ー期の

に は,

Mah

buddhagu

叫Lava叫箪apa の

出典

は書か れ て い

るが ア ビダン マ の

出典

か れ て い ない の で こ の が 異 な っ て い る。

 写

左 右 両 脇に は, ヒマ 地 方

自然

と動物が美 し く

か れて い る。

色彩

多彩

で アユ タヤ ー

品 よ

色使

が ,暗い 色 調であ る。

 

に は , プラマ ー イ を描 く絵 入 り折 本 紙 写 本 現 存 て い る が , そ こ に見 られ る中 央の 仏 典は , クメ ー 文 字 , クメ ー 文 字 タ イ語が混 交に書かれて い る。 プ ラマ ー ラ イ とみ られ る写本 同様の

表 記

め られ る

畝 部

pp

104

156]

4

New

 

York

 

Pubiic

 

Library

所蔵

1

Ginsburg

, 

fig

33

 

pp

55

58

  形 式

   

ア コ ー デ オ ン

折本紙 写

本   2 葉 1

セ ッ ト

26 綴

    年 代    ア ユ タ ヤ ー期

18

世 紀 半ば

    長さ   

61

5cm

  文字表

  太

クメ ール 文 字 パ ー

  

中 央 仏 典の 出 典

brah

が冠さ れて い るもの の み ,写 本 中に 出 典明 記

   dhamInasa

gani

 

yamaka

 

brahsUtra

 

brahsa

gi

η

i

 etc .

  写

本両脇

絵画  

ジ ャ ー タカ

ム ー ガパ カ , マ ハ ー ャ ナカ, ブ ー

              

リ ダ ッ タ

, ヒ マ ラ ヤ 地 方の 森の 中の

自然

              

動 物

ガ ジャ シ ン ハ 等

    色彩    オ レ ン ジ系 赤, 黄 色,背 景の 色は,赤 系又 は 白。

(7)

アユ タヤー期 後期か らバ ン コ ク 期 初 期に書か れ た絵 入 り 折 本 紙 写本の 解 読

79

5

British

 

Library

所蔵

1

Ginsburg

 

fig

34

 

pp

59

62

   形式    ア コ ー デ ィ オ ン折本 紙 写 本  

2

1

セ ッ ト

28

綴 り

   年 代

  

アユ タ ヤー期 ブ リー

18

世 紀 後 半

   長

  

62cm

   文字表記

   

クメール

パ ー

   写

中央

典の 出典

明 記 な し

     yamaka , etc.     写本 両 脇の 絵 画    ジ ャ ー タ カ (ヴ ィ ドラパ ン デ ィ タ、 ヴ ェ ッ サ ン タ

      

、 ヒ マ ラ ヤ 地 方の 森の 中の 自

植 物

人 の な

      

る木

, 動

物 (

キ ン ナ ラ等

   

色 彩

   

色 彩 多 彩, 背 景の 色は, ブル ー

6

British

brary

2

Ginsburg

, 

fig

35

, 

pp

63

64

長さ 文 字 表 記 写

本 中

仏典

出典 (

brah

さ れて い る もの の み,写

本 中

出典

明記 )

 

bra1

即 ahabuddhagu 口ava 脚 ap亘 

puggalapafifiatti

 

kathavatthu

 etc.

絵画   

ジ ャ ー タ カ

ブー リダ ッ タ , チ ャ ン ダクマ ー ラ

              僧侶

在 家信

者 色 彩

  

色 彩 多 彩, 背 景の 色は, ブル ー 。 ア コ ー デ ン型 の

本 紙写

本   2 葉 1

セ ッ ト

30

綴 り アユ タ ー期又 トン ブ リー期,

18

後 半 最 後 尾 に

1825

年に

Coll

 

CriHbrd

に よ ン ド会 社に与え ら れ, さ らに

British

 

Library

に寄 進さ れ た と書か れて い る。

60cm

  太 字

クメール 文 字 パ ー リ

7

 

Bodleian

 

Iibrary

, 

Oxford

 

Ginsburg

, 

fig

36

, 

pp

65

71

   

形 式

   

アコ ー ディ オ ン 型 の折 本 紙 写

本   2 葉 1 組

セ ッ ト

40 綴

(8)

 

80

       パ ーリ学 仏 教文 化学     長さ 

66

5cm

   文字表記

  

クメール

パ ー リ

           

太 字 クメール

文字

タ イ語 少々

   

写 本 中央 仏 典の 出典

 

brah

, 

bra

が冠 されて い る もの の み写 本 中に出 典

                  

明 記

   

brahnlahabuddhagu

珮 vaロ

papa

,無

偈, 三十三天で の説 法に関 する経 典,

    

brahsahassapeyya

, 

braya

皿 aka , mah5patth5na , etc.

  

写 本 両 脇の 絵 画

  

仏 伝

双 神

三 十三 天で の 説 法,出

, 中道,

魔 成 道,悟 後の

,誕生 ,四門 出遊

, ヴ ェ ッ サ ン タ ラ ジ ャ ー タ カ。

    色 彩    色 彩 多 彩, 背 景の は, 赤, 黄,オ レ ン ジ , ブルー系。

8

Chester

 

Beattry

 

Library

所 蔵

1

Ginsburg

 

fig

37

 

pp

72

73

   

Dublin

  形 式   

ア コ ー デ ン 型の

折本紙写

本   2 葉 1

セ ッ ト

30 綴

り     年 代     奥 付に

1780

10

月に書か れ た と さ れ る。 トン ブ リー期。 長 さ   

62cm

文 字

  

太 字 クメール 文 字, パ ー ,       太字 ク メール 文 字 声調 が加え られ てい る タイ語 少々。 写

本 中

央 仏 典の

出典 (

bra

が冠 されて 出典 明 記

 bradhammathfinasUtra

, 

brasahginisahkhepa

, 

bravibha

gasahkhgpa

, etc.

写本 両脇 の

   

ジ ャ ー タカ

マ ハ ージ ナカ, サーマ ニ ミ

色彩

  

色彩 黄色 ,

色 系,

背景

の 色 は

ピ ン ク, るい 色。

9

Chester

 

Beattry

 

Library

所 蔵

2

Ginsburg

 

fig

40

 

pp

78

79

   

Dublin

    形 式    ア コ ー ィ オ ン型 の 折 本 紙 写 本  

2

1

セ ッ ト

24

綴 り

  年代    奥付

1797 年

かれ た と さ れ る。

(9)

アユ タ ヤー期 後 期か らバ ン コ 期 初 期に書かれ た絵入 り折 本 紙写本の解 読

81

文 字 表 記    細 字 ク メ ール 文字,パ ー リ

      

細 字 ク メ ール 文 字 声 調が加 え られて い るタ イ語

々。

写 本 中央 仏 典の 出典

出 典 明 記の に は,

bra

が冠 さ れ てい る

 

bravibhaflga

, 

bradhAtUkatha

, 

brapuggalapa

fiatti

, etc.

本両脇

絵画   

ジャ ー タカ

マ ハ ー ャ ナ カ, サ ー

, プ ラマ ー

         

ライの

。 色 彩

   色 彩

色系

彩,

背景

の色は, ダー クブル ー

暗色 系

 

 

Hono

【ulu 

Academy

 of 

Art

所 蔵

Ginsburg

41

pp

79

81

    形 式   ア コ ー ィ オ ン の 折 本 紙 写 本  

2

1

セ ッ ト

26

綴 り

   年

   

1813 年

に書か れ た と される。     長さ   

66cm

  

文 字表記

  

細 字 クメール 文字パ ー 。 タイ文字 タイ語で 出 典が書       か れてい る。     写本 中央 仏 典の出典

     

bra

りvibha 亘

ga

 

brahkath

匪vatthu

, etc.

  

写 本 両脇 の 絵 画

  

ジャ ー タカ

マ ハ ー ジ ナ カ , ブ ー

      ラマ ー ラ イ

  

色 彩

   色

暗色 系 多 彩, 背 景の 色は, ダ ー ー , 暗 色 系 紫

11

Chester

 

Beattry

 

Library

所 蔵

3

Ginsburg

, 

fig

43

 

pp

83

84

    Dublin

  形 式

   

ア コ ーデ オ ン の 折 本 紙 写 本

 

2

1

セ ッ ト

14

綴 り

   年代   

18

世 紀 後 半     長さ 

615cm

  

文 字 表記

   

太 字 ク メ ール 文 字, パ ー

  

写本 中央仏典

出典 (

brah

す る もの の み写

本 中

に出

   

dhatUkatha

, 

puggarapafifiatti

, 

brabsahassaneyya

,三

帰依

文,

(10)

82

       パ ーリ学 仏 教 文 化学

   mah 亘

buddhag

田 avappa 項 , etc.

 

写 本 両 脇の 絵 画

   全 場 面

vessantar

巨taka

 

色彩

   

淡い 色 合多 彩。 背景 は赤 色 系,及 び淡 色 系。

12

 

British

 

Library

所蔵

3

Ginsburg

 

fig

48

 

p

90

   

Oriental

 

Office

 

Collections

   形 式

 

ア コ ー デ ィ オ ン型の 折本 紙写

本   2

1

セ ッ ト

18

綴 り

  

年 代

  

18

世紀 後

半 (

Ginsburg

は,

1760

1780

と し て い る

   長

 62cm  

幅 11cm

   文

字表

  太字

クメ ール

文字

, パ ー

   写 本 中 央 仏 典

の 出典 (写本 中に 出典明記

     

bra

皿 ah亘

buddhagupavap

ηaη etc.

   写 本 両 脇

絵 画

  合 掌神 群

,森の

動物

, 人

, 小 鳥, 自然

  

色彩

  

オ レ ン ジ,黄 色, レ ン ガ 色 , ピン ク

背景

の 色は, 明 る

          

3

. 「

入 り仏

典折

本 紙 写 本

」 の

新 古判 断

 上 記 紹 介

の い くつ かの

写本

を比

較検討

して

判 断を試み て ま とめ る と 次の ように な る。

1

.紙 写 本の 大きさ か らみ る と, ア ユ タヤー 期 の もの は, サ イ ズが小 さい 。

2

.文

字表

記か らみ る と, ア ユ タヤ ー

折本紙写本

仏典

, 太

ク メ ー

 

ル 文 字パ ー か れ , ア ビ ダ ン マ

場 合 に も仏 典の

 

めの 部 分 の み で な く, 長 く書 写 され て い る の を特 徴 と して い る。 ア ビダ

 

ン マ

て は, ア ユ タ ヤ ー 折 本

紙 写

に は

Vibhahga

で あ るか,

 

KathEvatthu

で あるかの 出 典が書か れずに た だ 長 く書 写 さ れ る

3

. 太

クメール

パ ー リで 仏 典が書か れ た後に, ほ ん の わ

かで ある

 

が クメ ール

文 字

タイ語が

か れ る よ うに な る

えば, 「以 上 終 了 」 の

 味

の タ イ語 等 )の は, ア ユ タヤー期 と トン ブリー期 との 間 ぐ らい か らで は

(11)

アユ タ ヤ期 か らバ ンク 期期 にか れ た入 り折本 紙 写 本の解 読

83

 ない か と思 わ れ る。

  

また こ の 頃 に は, クメ ール 文 字に

調 を加 えて タ イ語で 書か れ る言 葉 が 入 る よ うに な る。

4

.仏の功徳を讃 えて説 明 して い る仏典

brah

皿 ah且

buddhagupavaqpa

啅 は,バ  ン コ か れ な くな 。 バ ン コ ク期 に な る と, プラマ ー イの

能 力 を具 え

が天界 と地獄 をめ ぐ り,つ い に未 来 仏 弥 勒に

 

ヴェ ッ サ ン タ ラ ジ ャ ー タカ を読 誦せ よ とい う教 え を聞 く話

折 本 紙

が 多 く な り, そ こ に は,

brabmahabuddhagUnava

n

. apa が

写さ れ な く な るか ら と考え ら れ る。 プラマ ー ラ イ の

の 折 本 紙 写 本 は, クメ ー

,パ ー

と クール

文字声

調の入 る タ イ

混交

書写

さ れて い る。

5

 

細字

クメ ール

パ ー

か れ よ うに な るの は, バ ン コ 期に なっ てか らの よ うに思 わ れ る。 ラマ ニ 世 の

時代

に な る と,仏 典の 出典 が 細

タ イ

文字

タ イ語で書か れ る場 合 も ある。

6

 

本左右

両脇

の 絵 画にっ い て は, ジャ ー , 仏 伝

タイ写本 で は稀

, 仏 弟 子の 生涯, 無 常相, ヒ マ ラ ヤ の 森の 自然, プ ラマ ー な ど か れて い る が , ヒマ ラ ヤ の 森の 中の 想像 の樹 木で あ る, 人の なる木や, 想

上の

動物

で ある, キ ン ナ ラ や

象獅 子

は, バ ン コ ク

に は

か れ な く  な る。

7

.絵

の色彩 につ い て は, アユ タヤ ー , 赤, 黄で

かれ

景は赤 色 系の るい で描か れ, アユ タヤ ー ら ト

 

リー期 に な る と多 色に な るが , 背 景 の 色が ブル ーわ る . バ ン コ ク 期に な る と, 背 景が ダー ク ブル ー わ る

ら れ る

Ginsburg

, 

p

79 ]

Q

4

. 「

図 入 り仏

紙 写 本 解 読

  

Bodleian

 

Library

所 蔵

 

四 葉 解 読

 

1

参 照

 

Ginsburg

, 

pp

66

(12)

 84      パ ーリ 学 仏 教化 学

1

解 読理 由

 

こ こに解 読 を試みた 写 本の 部 分 に は仏 伝図

誕 生, 四門

遊, 出城 と

出家

降魔

成道後

神変

天 界説

従天 界 降下

)及 び ヴ

ェ ッ サ ン タ ラ ジャ ー タ カ図が描 か れて い る。 こ の 写 本に つ い て

Ginsburg

は, ∫.

Filliozat

女 史か らの タ イ に は

重な

18

面の 仏 伝 図入 り

写 本で あ る との ア ドヴァ イス を註 に述べ て い 。 タ イ

製の

入 り折 本

の 中で仏 伝 図が 多 く描かれ て い るの は非 常に珍 しい とい うこ とで あ る。 こ の 一

伝 図の 中で仏 陀にマ ン ゴ ー

す る

姿

か れてい る図

1

,右上

して

G

血sburg が

の な かで, 厂仏に マ ン ゴ ー を

施す る ス ジャ ー タ」 と

べ て い る。 こ れに対 して

の な か の マ ン ゴ ー布 施 者 姿 と し るの で 不 審に思っ た筆 者が 『法 句 経 註』 の 双 神 変 物 語 を読 んで , こ の マ ン ゴ ー布 施は ガ ン と呼ば れ る園 丁で あ るこ と に気づ い た。 さ らに 『法 句 経 註』 の 双 神 変 物 語の 中の パ ー リ文の こ とばが , こ の 写 本 中 央の クメ ー 文 字パ ー

か れて い

ま れ てい る

を知 り, 『

句経 註

』 の パ ー と ど

致 す るか を

討す る為に

読 試み を始め た。 こ の写本 は 製 作

年代

は 不 明 で あ るが , アユ タヤー 滅 亡前 後 に製

さ れ た と 思 わ れ る。

 

 

ア ビダン マ七論と 双神 変 物 語 (『法 句 経 註 』 よ り)

 

こ こ で 扱 う写

の 四葉 には 双

変 と天 界

法, 三 十三 天か らの

下, そ れ に神 変 を起 こ した木に

係あ るガ ン ダの マ ン ゴ ーの 布 施に

す る もの の 四場

かれて い る。 三

三天 で の

法 は,

仏陀

の ,母マ ー ー を とす る天 人 達 へ 説 法を

意味

が ,ア ビ ダン マ の 説 法を説 く もの で あ るか ら, 上座 仏 教の ア ビ ダン マ 重 視の鍵を解 くもの で あ るか と思 わ れ る。

 

法 旬 経 註 双 神 変 物 語 」 [

Norr

 lan,

1970

を読んで それ をもとに 解 明を試み る。

1 )

三天で の

説法

  仏

は, ア ー

満 月

舎衛

城の

園丁

ガ ン ダのマ ン ゴ ー

(13)

アユ タ ヤー期 後 期か らバ ン コ ク 期 初 期か れ た絵 入 り折 本 紙 写 本の解読     85 の 根 元双 神 変 を行っ た。 仏が歩かれる と化 仏が 立 ち止 まっ た ,座 っ た, 横 にな っ た 。 化 仏が横 に な る と仏が 歩か れ た, 立 ち止ま られ た。 そ れ か ら火 遍 定に よっ て頭か ら火を出 し 水 遍 定に よっ て 体の 下か ら水 流を出 した。 その

神 変

を見て い た

500

人の

良家

息 達が

舎 利 弗尊者

弟子

と して

出家

し た。

 

仏 は

変 を行 い な が ら, 過 去の 諸

変の 後三 十三 天で 雨期を 過 ご し, 母の た め に ア ビダン マ ピタカ を説 示 し て い る事を観 察 し, 右足 を持双 山 (

Yugandhara )

に左 足 を須 弥山の 頂 上に置 い て 三 十三 天に行か れ た。

 

仏 は

マ ー ヤ ー 夫 人 の た め に 三 十三 天

tavatimsa

の 珊

瑚 樹

根 元

ParicchattakamUlasmim) 黄

金 石 座

silayam  

Paqdukambale )

に 止 まっ て 説法

した。

方 世界に 神々 は参集 し た。 説示 の 終わ りに八 万億の 神々 に法 の理解 があ り, マ ー ヤ ー

夫人

は預

流果

た。

 

仏は 天 界 に化 仏を置い て説 法 さ せ ,

らは ヒ マ ラ ヤ地 方 行 き食 事を た り口漱 ぎ を し た り して, 舎 利 弗に は ,

500

人の 弟 子 達に, 天 界で 説い た ア ビ ダ ン マ 七 論 を説 く指 示 し た こ の

500

弟 子 達七 論 保 持 者 (sattappakara4ika )にな っ た 迦 葉 仏 の 時 蝙 蝠だ っ た彼 等は 比 丘 の 称え る ア ビダン マ の

れ,

死後天 界

に生ま れ

無仏 時代

に天

で過 ご し,

時代

舎衛

城 に ま れ ,

舎利

弟子

にな っ た とい う功 徳の 因縁 を

っ てい た とい う。

2 )仏従

三十三天

下   雨 安 居の 終わ る 自恣の 日に舎 利 弗 尊 者の い サ ン カ ッ サ の 町 の 入 口 に仏が 天か ら降 下す る こ と を決 め られ る と, 帝 釈 天 は, 金, 銀, マ ニ の

3

階 段を造 らせた。

弥 山の 頂 上に, 足はサ ン カ ッサ の町 の 入 口 に

か せ た。

々 の た め の金 の階 段 左 は梵天 のため の銀 製の階 段 中央 は マ ニ 階段 仏の た め の もの で あっ た。

  降

りる に あた っ て,

は須 弥 山の 頂上 に 立 っ て上を見た。

梵天

9

の 世 界 が あっ た。 下を見た。 ア ヴィ ーチ地 獄 一 っ の 世 界があっ た。 降 りるの に

梵天

を持 っ て降 りた

素晴

ら しい 仏の 姿 を

て 神々 も人々 も仏に な る事

(14)

 

86

      パ ーリ学 仏 教文 化 学 を願わ な い は い な かっ た。 こ の 時, 過 去に蝙 蝠で あっ た, 舎 利 弗の 弟子

500

人の 比 丘

阿羅漢

た とい う。

3

三十三 天説法 の話とタイの 三 界 経の

界か らみ る タイの世

 

こ の 『法句 経 註』 の 「双神 変

語」 に

う 「母 の た め の 説法 」 の 中に は , 仏が ア ビ ダンマ ピタ カ を 母 の た めに 三十三 天で

3

月 間説 い た こ と, そ して 天 界の

々 が

参集

して きて そ れ を称

した こ とがつ ぶ さに

かれて い る。 そ の 様 子は, 『界 経 』 の 世 界を描い た とされる寺 院の 壁 画に二 重 写 し に映 し 出さ れ て い る こ と を知る。 タイ撰 述 の

Pathamasambodhi

とい う仏 伝 が あり, その に こ の 場 面が くわ しく増 広さ れて る が , そ の源 泉 は 『 句 経 註』 で あ り, それ を逸 脱す る もの で は ない 。

 

バ ン コ

の ラーマ

1

寺 院

さ れ るワ ッ ト ・ラカ ン

ワ ッ ト ・パ ク ナ ー

や ワ ッ ト ・ラチ ャ シ ッ タ ラム の

布 薩堂

に入 る と正

仏像

の後の 壁 面 に は, タ イで 製

さ れ た 「 界 経

トライ ブー ミ カ タ ー

の 世 界が

かれてい る。 「

」 は, 異

が あるが, は じめ は ス コ ー リ ターイ に よ っ て 書か れ た とさ れ る。 し か し最 古の 完 全な写 本が 発 見 され た の は,

1778

年 に僧マ ハ ー ュ ア イ に よっ て 書 写 され た もの で あ る。 そ して ラーマ

1

1787 年

マ ハ ー ー ン に よっ て

写さ れ た写

も 残 っ て い る。 こ れ らは い ずれ も クメ ー

文 字

か れ た タ イ る。

lvarsson

, 

1995

, 

p

58

 

そ して これ らの

書 写本

を も とに して

1912 年

にタ イ

芸術局

か ら 『トライ プー ム ・プラ ル ア ン 』 が 出版 され て い る。

lvarsson

1995

, 

p

59

, 澤 井,

2000

, 

p

21

その 後 重 版を重ね, 解 説 書が 製 作 さ れ て お り,

1985

年に は, タイ語 と 英 語 の タ イ訳 版

TRAIBHuMIKArHA

AsEAN

会に よっ て 出 版 さ れ て い る。 その 中に は, 「 価 値 あ る あ る 。 最 初の タイ王 国 が光を 見 た 時

で あ る, ス コ ー タイ 期か らの 文 学

品で あ る。 ス コ ー タ イ期は, 人々 に

和 を そ して 国家に安 全 を も た ら す よ うに願わ れ た時 代で あ っ た。 そ れ

, 国家の人々 に, 道

平和

に 励む心 とお だ や か な共 存を も とめ さ せ, そ

(15)

ア ユ タヤー期 後 期か らバ ン コ ク期 初 期に書か れ た絵入 り折 本 紙写本の 解 読      

87

して人 々 が

善悪

い て 良い い を も とめ る よ う な 共 通 の考 え を 生 み

すた め の

が な さ れた。 そ して 一

般 的

られ

家の 中を平 和に する最も よい 道 具で ある。 『 イ プ ー ・プ ラ ル ア ン 』 即 ち

Traibhumikatha

は, 仏 教 本 とし て よ い 意 味に於い て こ の 機 能を果た して い る とい こ とが 意 味 されて い 。 そ れ は, 善悪 業へ の 信や善 と平 和へ の信 と に基づ く

え を強 化す る こ とによっ て, 人々の 生

治のため の基

政 治, そ して 民 族

文化

へ の

影響

けて き た

文学作

品 とみな さ れて い る。 」 と

られ , 国 民に とっ て道

平 和, 共

, よい 行為の

基盤

に な る仏

で あ り, しか も そ れは国民

治の ため の よい 道 具 にな っ てい る と説 明 し て い る。

 

そ の に も 「三 界 経」 につ い て は色々 に論ぜ られ て きて お り, タ イ の 社 会,芸 術 文 学へ 影 響語 ら れ 。 「界 経 」 は, 宗 教 本で あ り なが ら, こ れ を もとに して 近 代タ イ国 家の 国の 安 全 と

平和

つ 政 治

えの 重 要な要 素 に なっ て い る。   ア ユ タ ヤ

1767

に ビル マ に よっ て滅亡 さ れて タ ク シ ン 王 が トン ブ リー に

い た トン ブリー 王

1782

まで

い たが , な かなか 内戦が お さ ま らず 落 ち

か な い 時 代 で あ っ た。 [

Syamananda

1971

, 二 村 訳,

1971

pp

1653

172] 1782

に ラーマ

1

世が今の チ ャ ク リー王朝 をバ ン コ ク に築い て

安 定

し た国

形成

す るの に 『三界 経』 の力 を政 治の 上で 借 り よ う と して 寺 院の 壁 画 に神々 の世 界, 人 間の 世 界, 地 獄 の 世 界 を描 い た の か も しれ な い し か し, この 壁 画に は, 神々 の 世

心 と して

の 天界

法の 図が あ るの で , ア ビダンマ

法を

称讃

して い るこ とが分か る。 しか もこ の時 代に描 か れ てい る

両脇

の壁

に は,

層に も合 掌 して仏 乃至経 を

え る神々

集の

姿

か れて い て , そ れ がき な

徴 と なっ てい る。 こ れ は 「ー プ チ ュ ム ヌム

々 の参 集

」 と呼ば れて い る もの で あ る。 こ こ で は天 界 説 法が 尊 ば れ て い るこ とが知 られ る。

 

それで は, ア ユ タヤ ー時代 , 『

』 は どの よ うな地 位に

か れて い た の だ ろ うか。 ア ユ タ ヤ ー は ビル マ に よっ て 町中が 焼か れ て灰 に帰 して し

(16)

 

88

      パ ーリ学 仏 教 文 化 学 まっ た の で,

本 来書

写 され てい た 『

トライ ブー ミ カ タ ー

の写

等も焼 失 し て しまっ たの か もしれ ない が, アユ タ ヤ ー期 後 期ボ ロ マ コ ー ト王 時代に描か れ た と さ れ る, ペ トブ リ ー 室寺 院 ・コ ーケ オ ス ッ タ ラ ム の

も,

』 の 世 界が描か れ てい る こ とが分か る。 「天界の 神々 」 「三 十三 天 の 帝 釈天 の

の 上 に い る仏 陀

即ち 母 をは じめ とす る 天 人達へ の

法 図)

天と

帝釈 天

「チ ュ ー ダーマ ニ

「日月

か れて い る。 (堂 内に

1743

年 作の 記 述あ り。 )た だ , こ こ に は, 「ー プ チ ュ ム ヌ ム と呼ばれ る神々参 集の壁 画は み られ ない が , や は りペ トブ リ ー 寺 院ワ ッ ト・ ヤ ーイァ ン ナ ラム の 布 薩 堂に は 「テープチ ュ ム ヌ ム 」 が描 かれて い る。 また ア ユ タ ヤ ー

本 紙

の 中に は, 多 くの

合, ア ビ ダ ン マ

され て い る。

っ て アユ タ ヤ ー 期にお い て も天 界で の

法 が重

さ れて い た こ とが

え ら れ る。

 

なぜこ の よ うに ア ビダ ン マ が 重

さ れ て き た か とい う と, ア ビダ ン マ が , 天 か ら地 獄 に至る全ての 生

わ れ るも とに なる こ とを

え よ うとする

典で ある と, 当 時の タ イ の 上座 仏教で は考 えて い た よ うに思 わ れ る。

4

Bodleian

 

Library

所 蔵 「

仏伝 図

入 り仏典

写 本」 解 読

       

Ginsburg

, 

pp

66

67]

1 参

 

写 図

両脇

, 太

クメール 文 字パ ー リ

語 (

中央

入 り仏 典 折   本

 

紙 写 本, 二 葉

1

セ ッ ト

40

葉 綴 りの 内の

2

セ ッ ト。   長さ

665cm

こ の 写 本 は, 前 述 の よ うに, 仏 伝 の う ち の ガ ン ダに よ るマ ン ゴ ー

施 図 , 双 神 変, 於三 十三 天 説 法, 仏 従三 十三 天 降 下 の 四 場 面 が描 か れ て い る。 こ れ は , 明 らか に 『

句 経

』 の 「双

物 語

」 に合 致す る場 面 で あ る。 折 本 紙写 本 の 中央 の

典 に は, 大 体 ア ビ ダン マ か 仏 の 功 徳 を 示 す mah5buddhag   av 鄲 鋤

a

写 さ れ て い る の で あ る が, こ こ で は,

(17)

ア ユ タ ヤー期 後 期 バ ン コ 期 初 期に書かれた絵入 り折本 紙 写 本の解 読

89

説 法の 文が書

さ れ てい る。 この

が 非

しい

書 写

で あ る。

1

)上段二

央 仏 典

   

mah 且

buddhagu

a

と無 常 偈 裏

 

imin

互caimin 亘cak 諏ape

 

nasobhagava

  bu

ddho  

/ /

iminacaiminaca

k5)

rane   na sobhagav 蚕tibhagav且    sahassasise ]

pi

cepPoso   sisesisesatt   11姑

ha

/mu :

klchemukkhesattaCm

jivha

 

jivakappocamahiddhiko

 

1nassakoticava

pe

  

nassesa 卑sa忙

hu

o 

gu

panti 

 

  

braly

ah

buddhagum

idmtthit 亘

  

! anicc5vatasaUlthdra   up 窃

daveyyadhammano

  u

PajitvanarujintatevupPassamosulckho

 

 

1

く〜

1

 

buddhaguqarp

 

dha

皿 magupam  samghagui arp

Filliozat

, 

EFEO

 

PALI

 

40

 

Face

 

B

に よ る と,

imin

亘 ca 

imina

 ca 

k

訌rapena  so 

bhagav

buddho

imin

巨ca 

imin

五ca 

k

ra りena  so

bhagav

ti

 

bhagava

 ti/sahassasise  sise 

pi

 cediso  sise sise satamukkha /mukkhe mukkhe  satajivhfi  

jivakapo

 ca  mahiddhiko /na  sakkoti  vanetUm  nisesam  satthuno

gu

聊an 

ti

brah

ahabuddhagupmavarpi

tana nitthita とあ 無常 偈

 

DN

. 

Vol

. 

2

, 

p

157

anicc 五 vata  samkhfir 医 upP 亘

da

−vaya −

dha

皿 mino

upPajj  

itva

 nirujjhanti  

tesarp

 vilpasamo  sukho

諸 行 無 常   是生 滅 法  生滅 滅已  寂 滅 為 楽

右 図

   

園丁ガ ン ダが

陀に マ ン ゴ ー を

左図

   舎衛

城のガ ン ダの マ ン ゴー

の も とで行わ れ た

の 双神 変

2

下 段二

葉 (

パ ー リ か け 部 分未 解 読 部 分

(18)

  90      パ ーリ学仏 教 文化学

.三天

tavatimsasuralaye

に ての abhidhammapitaka

論 説

す る

言 葉 ) 裏

1

 

namotassabhagavato

 

ara

ha

tosam (m )且sarnbuddhassa

 

1

 

vanditv 巨siras 且

buddha

 

sasadhammatauttamam   unhissavij  aya皿 巨ma

satAnam  satanarp 巨

yuva

Jh

跏 a 

1

 

pavakkh

巨micavarama η

4a

sa mbuddhenavadesitalp

 

 

戀灘鸚讖購驪灘蠶覊饑

鑾藤

爨鑼鑞戀

1

鞴  

 

ekasmiipsamayen 亘

tho

 

tAvatirpsesuralaye

 

1

 

  

  

  

  

  

  

  

  

 

  

  

pa

ησukambalan 且make

  

/ /

 

 

 

ViharitvEpidesemi

 

abhidhammakathavararp

 

/ /

 

sat

t)

appa :

karapanama

 

dhammasahginiadita

 

1

 

1

  siramEya

palnukkh

且nal

 

dev

巨napt

 

F欝 鵬

緇』い

 

tt/・”ti/

  

1devapu

t

t

)o

 tad

翫eko

 

namenasu  

patitthito

 

試 解 読

namo  tassa 

bhagavato

 arahato  samm 再sambuddhassa / vanditva  sirasa  

buddha

sadhammatauttamam  uphissavijaya 珥 n盈ma  satanam  sat百nalp

pavakkh

巨mi  ca  vara sambuddhena  vadesitarp /

鑾糶鑾韈谿鑼覊

灘韈灘

1

覊鑼驥韈鍵爨鑾灘難難

/ ekasmi  samaye  natho  

tavatiipse

 sur五

laye

あ る時 師は,三十三天の 住 まい で )

p

巨richatakamUlamhi

  

parpdukambalan5make

 

/ viharitv 巨

pi

 

desemi

hidha

  ak 曲 帥 ar sa

pak

anama 曲 ammas 山

gini

dit

sir  …

(珊 瑚 樹の 下の 黄 金石座 とい う名の所 に止 まっ て ,法 集 を は じ め とす る七

とい う,

素晴

ら しい ア ビダン マ の

き ま す。

pamukkhiina

dev

蚕nalp

devaputto

 

tada

 eko namena  supatitthiko 左図    三十三 天 に お け る母の ため の 法 , エ ー ラワ ン 上 の 仏 陀 及 び梵

 

  

  

  

 

天, 帝 釈 天 等

1

p

ichatakam

lamhi

(19)

アユ タ ヤー期後期 か らバ ン コ 期 初 期書 か れ た 絵 入 り折 本 紙 写 本の 解 読    91 右 図  仏 従三

三天降 下。

5

. ま

 

り折 本 紙 」 の 中央 に書か れて い る, クメール 文 字パ ー リ

表記

び ク メ ール 文 字タ イ語 表 記の仏 典の

くは, ア ビダン マ 七論で あるが, そ

の他に mahabuddhaguqavapm  ana  sahassaneyya ,

無常偈

な ど が

か れ てい る。

 

こ れ らの 写本 は, 死 者 供 養, あ るい は法 要の 施 本 と し て 作 製 された もの で

あ る か ら, こ こ に

か れ て い る

仏典

は, 死

の 安 寧や救い の ため に大 変重要

な経 典で ある と当 時の タ イの 人々 が

えてい た とみ な さ れ る。

 

mah 巨

buddhag

ava ana は仏 功 徳の説明 で あ り,無 常 偈 は仏 教 教理 の 真 髄 で ある か ら仏 教信仰に

重要

な仏 典で あるこ とはわか る が, ア ビダン マ 七

が どうし て重 視され たの か とい う事が問題 に な る。 こ れ は, 『句 経 註 』 の 双 神 変

語の 中に, 天 界 説 法 との 関 連で, 天, 人 間, 動 物, 地獄

鬼 等の衆 生の 救い の 源 泉 になるの が ア ビ ダン マ 七 論で あ る と述べ られ い る こ とが, タ イの 仏 教 信 仰に深 く浸 透 した為 と考 え られ るこ とを示した。 また こ の 『

句経註

』 の 天

界説

法の

は, タ イで

ら れた 『界 経 』 と も深い 関係の ある 事 も示 し た。

 

仏 伝の描か れ てい る折 本

で, 天 界説 法, 従三 十三 天 降下が描か れて い る

分の

仏典

に は, こ の 話を

明 するパ ー リ

の こ とばが

か れて い る事を写本

読の とし て選んで したが, アユ

期後期

か らバ ン コ 期 初 期に か けて の タ イ の 仏 教で は天 界 説 法,仏の 三十三 天 降下を非 常に重

してい る とい う点 これ は重 要,

貴重 な写 本

で ある事が わ か っ た。 た だ し, 『

経 註 』 の 中の 言

に 相 応す る もの はみ られ る が, 全て の 言 葉が 対 応 して は い ない らか の 仏 典か ら引用 さ れて い るパ ー リ文で あ ると思わ れ るが , こ の

に な るパ ー リ

つ い て は

今後研

究を

けて

検討

して い き た い と願っ て い る。

参照

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