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土田 他 告されている事例もあり ), 上流の山腹崩壊や流下時の発 火だけで十分に説明できるかは疑問がある 土砂災害に関連して発生するにおいについてはこれまでほとんど研究されていないが, 筆者らは土砂災害が発生する際の地下水位の挙動と関連づけて以下の仮説を立てた 仮説 : 強いにおいが地盤内の間隙に

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地盤内のにおい強度と斜面崩壊時のにおい発生に関する一考察

土田孝

1

,由利厚樹

2

,加納誠二

3

,中藪恭介

4

,矢葺健太郎

5

,花岡尚

6

,川端昇一

6 1 広島大学大学院工学研究院 2 中国電力株式会社 3 呉工業高等専門学校 4 復建調査設計株式会社 5 広島大学工学部 6 広島大学大学院工学研究科

概 要

広島県内9 箇所のまさ土斜面でにおいセンサを用いて地盤内のにおいの強さを調べた結果,最大 1000 のに おい強度を観測した。においの強さは地盤による相違が大きく,土の強熱減量が大きいほどにおい強度は 大きかった。底部ににおい発生源を置き降雨を一次元的に浸透させる模型実験を行った結果,地下水面が 上昇し表層部に近づいたときに地表面のにおい強度が急増することを確認した。実験結果は,深い層に強 いにおいが存在する地盤において,豪雨時に地盤内のにおいを含む空気が地下水位の発生と上昇によって 地表面に押し上げられにおいが発生する可能性を示している。 キーワード:におい,自然斜面,まさ土,土砂災害,地下水 1. は じ め に 土砂災害が発生する際にはいくつかの前兆現象がある ことが知られている。国土交通省の懇談会が2006 年にと りまとめた「土砂災害警戒避難に関わる土砂災害前兆情報 の活用のあり方について」によると,土砂災害の前兆現象 は表1 のようにまとめられている1)。これらの前兆現象は, 実際に住民の避難の判断材料に用いられて,被災を免れた 事例があり,国土交通省や各自治体でも雨量情報に加えて これら前兆現象を警戒・避難の行動に活用するように呼び かけている2)1 に示された前兆現象の中で,「視覚」,「聴覚」で把 握できる転石や地鳴り,岩盤からの湧水,川のにごりなど は,それぞれ豪雨によって斜面の崩壊あるいは地盤内のす べり破壊が始まったこと,地盤内の地下水位の上昇,流域 での大量の降雨など,前兆現象と土砂災害発生の理由を比 較的容易に結びつけることができる。一方,「嗅覚」とし て「腐った土のにおいがする」が,土石流の前兆としてあ げられている。土石流だけでなく,斜面崩壊発生箇所から 避難した住民の証言からも,崩壊前に異臭を感じたという 報告がある。においについては「土臭いにおい」,「きな臭 いにおい」などと報告されている。においの発生原因とし ては,土石流の場合は上流で山腹崩壊が発生して地盤内の においが放出されること,土砂が流下する際の転石や倒木 の摩擦による発火等によると考えられているが,「土臭い におい」が発災の3 時間以上前などから発生していたと報 表1 土砂災害と前兆現象の種類1) 五 感 移動 主体 土石流 崖崩れ 地すべり 視 覚 山 斜面 がけ ・渓流付近の斜面 が崩れ出す ・落石が生じる ・がけに割れ目が見 える. ・崖からパラパラ小 石が落ちる. ・斜面がはらみだす ・地面にひび割れ ができる ・地面の一部が 落ち込んだり盛 り上がったりす る 水 ・川の水が異常 に濁る ・雨が降り続いて いるのに水位が 下がる ・土砂の流出 ・表面流が生じる ・がけから水が噴 出する ・湧水が濁りだす ・沢や井戸の水が 濁る ・斜面から水が噴 き出す ・池や沼の水かさ が急減する 樹 木 ・濁水に流木が 混じりだす ・樹木が傾く ・樹木が傾く そ の 他 ・渓流内の火花 - ・家や擁壁に亀 裂が入る ・擁壁や電柱が 傾く 聴覚 ・地鳴り ・山鳴り ・転石のぶつか り合う音 ・樹木の根が切れ る音がする ・樹木が揺れる音 がする ・地鳴りがする ・樹気の根が切 れる音がする 嗅覚 ・腐った土のにおいが する - -

地盤内のにおい強度と斜面崩壊時のにおい発生に関する一考察

土田 孝

1

,由利 厚樹

2

,加納 誠二

3

,中藪 恭介

4

矢葺健太郎

5

,花岡 尚

6

,川端 昇一

6 1 広島大学大学院工学研究院 2 中国電力株式会社 3 呉工業高等専門学校 4 復建調査設計株式会社 5 広島大学工学部 6 広島大学大学院工学研究科 原稿受理日:2012 年 7 月 12 日,採用決定日:2013 年 3 月 21 日

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340 告されている事例もあり1),上流の山腹崩壊や流下時の発 火だけで十分に説明できるかは疑問がある。土砂災害に関 連して発生するにおいについてはこれまでほとんど研究 されていないが,筆者らは土砂災害が発生する際の地下水 位の挙動と関連づけて以下の仮説を立てた。 仮説1:強いにおいが地盤内の間隙に分布している。 仮説2:降雨の浸透により地盤内に地下水位が形成され, 地下水位の上昇にともなってにおいを持つ間隙空気が 押し上げられて大気ににおいが放出される。したがっ て,においの発生は地盤内の地下水位の顕著な上昇を 示し,このため斜面崩壊の前兆となる。 本研究は,地盤内のにおいの現地観測と室内模型実験を 実施して上記の仮説の可能性について検討を行うことを 目的とした。 2. 崩壊履歴を有する斜面における地盤内のにお いの測定と分布 2.1 観測方法 自然斜面において地盤内のにおいの有無を調査した。観 測場所は,広島大学構内のががら山観測地である。図1 に 調査実施箇所の状況を示すが,観測地の右側の渓流は1999 年に崩壊している。その後2002 年より,斜面にテンシオ メータと土中水分計,雨量計を設置し継続的に観測を行っ ている3)4)5)。また,観測地付近では軽量動的コーン貫入試 験による深度と貫入抵抗値の関係,降雨前後の貫入抵抗値 の変化が報告されている 6)7)8)9)10)。本観測地内で,におい センサを用いて地盤内のにおいの深度方向と平面方向の においの分布を測定した。 においを測定する機器としては,新コスモス電機株式会 社のにおいセンサ XP-329ⅢR を用いた。においは単一臭 気であれば,その濃度をppm や ppb,%といった単位で表 せるが,通常は色々なにおい物質が混ざり合った複合体で 存在するため,濃度の単位で表示することができない。こ のため,環境省が定める嗅覚測定法における臭気濃度や臭 気指数も,「臭いが感じられなくなった希釈倍数」という においの強さの度合いを示している。XP-329ⅢR は,白金 線コイル上に金属酸化物を直径約 0.4mm の玉状に塗布し た後焼結させた構造であり,金属酸化物半導体の表面にに おい分子が吸着すると半導体の電気伝導度が上昇し抵抗 値が低下する変化を取り出し数値化している。したがって 指示値は無単位であり,本研究では本センサで計測した値 をにおい強度と呼びそのまま用いている。なお,測定にあ たっては標準ガス(二酸化炭素)でセンサの洗浄を行って ゼロ点を設定し,その後に計測を行った。 XP-329ⅢR で測定したにおい強度がおおよそどれぐら いのにおいを表しているのか把握するため,本機を用いて 様々な対象物のにおい測定を行った結果を表2 に示す。表 のように,においが比較的弱い革靴,口臭,コーヒーで 50~160,においが強いとされる代表的な食品である納豆, キムチ,醤油がそれぞれ450, 850,990 となっており,本 センサで 100 以上の相対数値を示す場合はほぼ個人差が 無くにおいが認識されると考えられる。 においの測定は軽量動的コーン貫入試験機による貫入 孔を活用して行った。筆者らは自然まさ土地盤における風 観測地 図1 におい測定の実施場所2 測定サンプル 対象物 におい強度 対象物 におい強度 トイレ 50 紅茶 170~340 革靴 50~64 納豆 450 口臭 30~100 キムチ 850 コーヒー 160 醤油 990 ロッド コーン ハンマー 中央演算装置 巻取り式テープ ヘッド データロガー ケーブル 図2 軽量動的コーン貫入試験装置 アルミパイプ 軽量動的コーン貫入 試験の貫入孔 ニオイセンサ テフロンチューブ 図3 軽量動的コーン貫入試験の貫入孔を用いた 地盤内のにおい強度の測定方法

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341 3 化層の厚さと強度定数を軽量動的コーン貫入試験機の貫 入抵抗値を用いて推定する方法を提案している 7)8)。軽量 動的コーン貫入試験の概略を図2 に示すが,ハンマーでヘ ッドを打撃するとヘッドに設置されている加速度計が衝 突の加速度を計測し,この加速度と巻取り式テープから得 られた貫入量を用いて中央演算装置で貫入抵抗値 qdが計 算され,貫入量d とともにデータロガーに表示・記録され るものである。ロッドを継ぎ足すことにより調査可能深度 は最大 10m であるが,広島県の自然斜面では風化層厚が 最大でも 5~6m 程度であるので,筆者らは斜面の風化層 の強度評価に用いてきた。貫入試験の後に,ロッドを引き 上げ,残った貫入孔を用いてにおいの計測を行った。 地盤内の気体の調査方法は,環境省が定めた土壌汚染対 策法施行規則において,「土壌ガス調査に係る採取及び測 定の方法」として規定されている11)。この方法を参考に, 本研究では図 3 に示すような方法で地盤中のにおいを測 定した。図のように,においセンサ XP-329ⅢR に接続さ れたテフロンチューブをアルミパイプに通し,軽量動的コ ーン貫入試験の貫入孔に真っ直ぐ挿入した。なお,テフロ ンチューブはテフロンがにおいを吸着しにくい材質であ るため用いている。におい強度はフレックサンプラーに入 れた二酸化炭素をゼロ点として測定し,ある深度のにおい 強度を測定した後は,においセンサ XP-329ⅢR 内のにお い物質を除くため値が落ち着くまでセンサを空回しした。 また測定は1 秒間隔で行い,測定値がピークに達した後に 落ち着くまで継続して記録した。 図4 はにおい強度が高い 2 箇所の地点におけるにおい強 度と経過時間の関係を示している。図のように,におい強 度はピーク値をとった後低下し,100 秒程度時間が経過す るとほぼ一定値に収束する。計測ではピーク時のにおい強 度とにおい強度が安定しほぼ一定となるときの値の 2 つ を測定値とした。 図5 はががら山で計測したにおい強度 のピーク値と安定後の値との関係である。図のように収束 値は平均的にピーク値の69%であった。以下,本論文では におい強度の最大値を用いて整理する。 2.2 ががら山における観測結果 ががら山の 7 箇所において深度方向に軽量動的コーン 貫 入 試 験 を 行 い , 深 さ と に お い の 関 係 を 測 定 し た 。 Athapaththu らは,ががら山における貫入抵抗値 qdと深度 の関係が図6 に示す 6 つのパターンに分類できるとし,表 層土の風化の程度と関連づけて考察している9)10)。図6 に おいて,パターンa,b,c は qdが深さとともに増加して基 盤(花崗岩層,qd15MP 以上まで急増する層)に至って おり,深さ方向の貫入抵抗値の増加勾配が小さいほど風化 が進んでいると考えられる。一方,パターンd, e では,未 風化の花崗岩層の上にqd1Mpa である緩いまさ土層が堆 積しており,上部の斜面が崩壊して移動し堆積した崖錐層 であると推定される。なお,崩壊して堆積した層の qdが 1Mpa になることは,最近のまさ土斜面の崩壊事例の調査 からも確認されている12)。パターンf は未風化の花崗岩層 が露出している場合である。以上のパターンを考慮し,計 測されたにおいと深度の関係について考察する。 図7 は 7 箇所における深度と貫入抵抗値および計測され たにおい強度との関係である。地点 A は表層から風化層 が比較的厚く堆積している箇所で,図6 におけるパターン a に相当する。図のように表層の約 1.8m でにおい強度 250 ~350 が観測された。地点 B は,表層に貫入抵抗値が 1Mpa 以下の崖錐層とみられる緩いまさ土層が堆積しており,パ ターンd の地盤である。図のように崖錐層の範囲ではにお 0 100 200 300 400 500 600 0 50 100 150 200 250 300 350 400 に おい強 度 経過時間(s) ががら山 深度40cm 0 100 200 300 400 500 600 0 50 100 150 200 250 300 350 400 にお い 強度 経過時間(s) ががら山 深度100cm 図4 におい強度と経過時間の関係 安定後の値= 0.69×(ピーク値) 0 200 400 600 800 0 200 400 600 800 1000 に お い 強度の安定後 の 値 におい強度のピーク値 広島大学ががら山 斜面観測地 図5 におい強度のピーク値と安定後の値の関係 0 1 2 3 4 5 6 0 5 10 15 深度 (m ) 貫入抵抗値, qd (MPa) a-3 c-1 c-5 d-1 パターンb 調査地点No. 0 1 2 3 4 5 6 0 5 10 15 深度 (m ) 貫入抵抗値, qd (MPa) c-9 d-8 d-9 d-10 パターンe 調査地点No. 0 1 2 3 4 5 6 0 5 10 15 深度 (m ) 貫入抵抗値, qd(MPa) c-2 d-2 d-7 e-3 パターンa 0 1 2 3 4 5 6 0 5 10 15 深度 (m) . 貫入抵抗値, qd (MPa) c-10 c-11 d-11 a-5 パターンd 調査地点No. 0 1 2 3 4 5 6 0 5 10 15 深度 (m ) 貫入抵抗値, qd(MPa) b-5 b-6 b-8 b-11 c-8 パターンc 調査地点No. 0 1 2 3 4 5 6 0 5 10 15 深度 (m ) 貫入抵抗値, qd (MPa) a-8 b-9 e-9 パターンf 調査地点No. 調査地点No. 図6 貫入抵抗値と深度のパターン

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342 い強度が200 以下であるが,風化層から基盤層になるとと もににおい強度が急増した。 地点C,地点 D はいずれも表層から 1.5m の厚さで崖錐 層が堆積しその下が風化層で,それぞれ深度 2.1m,1.4m で基盤層に達している。また地点E は崖錐層が基盤層の上 に堆積しているとみられ,パターンe に相当する。それぞ れのにおい強度をみると,地点 C ではいずれの深さでも 60~85 であり,崖錐層とその下の風化層で大きな変化が みられなかった。地点D では,崖錐層のにおい強度が 100 以下であるが,風化層に入ると350 程度に増加した。地点 E では崖錐層のにおい強度が測定されているが 60~80 と 小さく(平均は67)ほぼ一定であった。 地点F と地点 G は,表層の崖錐層が薄く,その下に比 較的厚い風化層があるためパターンb とパターン e の中間 的な構成となっている。地点F では,におい強度は崖錐層 では100 以下であり,風化層では深度とともに増加してお り地点B と同様の傾向を示した。一方,地点 G では,表 層の崖錐層において下部の風化層と同様な強いにおいが 存在し,この点が地点B~F と異なっていた。 次に,パターンd である地点 B 付近で,平面方向のにお い分布を測定した。平面方向の測定は,50cm 間隔で 2× 2m メッシュを作成し,樹木のために計測できなかった 6 点を除く全19 点において深度 1m のにおい強度を測定し た。図8 にその結果を示すが,2×2m の狭い範囲内におい てもにおい強度は109~962 の範囲で不規則に分布してい 0 100 200 300 400 500 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 0 5 10 15 におい強度 深度 (m) 貫入抵抗値 qd (MPa) qd におい強度 ががら山 地点A 0 200 400 600 800 1000 0 0.5 1 1.5 2 0 5 10 15 におい強度 深度 (c m ) 貫入抵抗値 qd (MPa) qd におい強度 ががら山 地点B 0 100 200 300 400 500 0 0.5 1 1.5 2 2.5 0 5 10 15 におい強度 深 度 (m ) 貫入抵抗値 (MPa) qd(MPa) におい強度 ががら山 地点C 0 200 400 600 800 1000 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 0 5 10 15 におい強度 深度 (m ) 貫入抵抗値qd(MPa) qd におい強度 ががら山地点F (a) 地点 A (b) 地点 B (c) 地点 C (d) 地点 D 0 100 200 300 400 500 0 0.5 1 1.5 2 2.5 0 5 10 15 におい強度 深 度 (m ) 貫入抵抗値qd (MPa) qd におい強度 ががら山 地点E 0 200 400 600 800 1000 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 0 5 10 15 におい強度 深度 (m ) 貫入抵抗値qd(MPa) qd におい強度 ががら山地点F 0 200 400 600 800 1000 1200 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 0 5 10 15 20 におい強度 深 度 (m) 貫入抵抗値qd(MPa) qd におい強度 ががら山 地点G (e) 地点 E (f) 地点 F (g) 地点 G 図7 ががら山観測地の 7 地点における深度と貫入抵抗値 qd,および測定したにおい強度 図8 ががら山におけるにおい強度の平面分布 0 200 400 600 800 1000 1200 0.1 1 10 100 におい強度 貫入抵抗値 (MPa) ががら山A ががら山B ががら山C ががら山D ががら山E ががら山F ががら山G 平面分布 図9 貫入抵抗値 qdとにおい強度の関係(ががら山)

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343 5 る。 図9 は図 7 の 7 地点および図 8 の平面分布の調査結果に おいて計測した貫入抵抗値 qdとにおい強度の相関を示し たものである。図のように qdとにおい強度の間には明瞭 な相関が見られなかった。今回調べた範囲では,地点間の 相違が大きく,さらに検討が必要と考えられる。 以上の調査より,自然斜面の地盤内に一定の強度のにお いが分布していることがわかった。西尾 13),木村ら 14)に よると,土のにおいは,土壌に生息している微生物である 放線菌のうち,ストレプトミセス属という種が作り出す揮 発物質によるものと言われている。これら以外にも,実際 はカビ類など土壌に生息する様々な微生物によって多様 なにおい物質が作られており,地盤内のにおいはそれらの 複合体であると思われる15)16)。ただし,地盤内に分布する においについて,土壌内のどの微生物が作り出すどの種類 のにおい物質によるものかを特定することは現段階では 困難である。 以上,崩壊履歴がある広島大学内のががら山において地 盤内のにおいを測定した結果,地盤内ににおい強度最大 1047 のにおいが存在することが明らかになった。ただし, におい強度は地点による相違が大きく特に崖錐層ではに おい強度が100 以下である場合が多かった。 3. 地盤の諸条件とにおい強度との関連性 ががら山におけるにおいの調査の結果,地盤内には人 間の嗅覚で十分認知できる強さのにおいが存在している ことがわかった。そこで,東広島市,広島市,呉市,安芸 高田市の8 箇所の自然斜面の深度 30cm,50cm において地 盤中のにおい強度を計測した。次ににおい強度計測地点の 試料を直接採取し,においに関連すると思われる諸定数を 計測し,におい強度との関連性を検討した。なお,測定深 度を30cm,50cm は土の特性とにおいを関連づけるため試 料採取が容易な深度として選択したものである。図10 に 調査地点の地図を示す。 3.1 におい強度の測定結果と関連測定項目 図11 は各地点の測定結果である。におい強度は各地点3 回の測定を行った。図のように今回測定した範囲では 三宅川の地盤においてもっとも大きなにおい強度 657 を 観測した。一方,呉市休山,呉市鈍田川,佐伯区荒谷川で はにおいを全く観測しなかった。また,深度方向には2 点 しか測定していないが,全体としてにおい強度は深さ方向 に一定かあるいは増加している。図12 は今回測定した地 盤内のにおい強度のヒストグラムである。図のように,に おい強度が大きくなるほどその頻度が減少する分布とな った。 地盤内のにおいが微生物の生命活動によって生成され たならば,土中の微生物の活動とにおいの間には何らかの 関連性が見出されるはずである。そこで調査では,土中の 微生物の分布に関与すると思われる項目として,pH,含 水比,細粒分含有率,強熱減量を測定し,それらとにおい 強度との関連性を検討した。 C F A D E G H B 20km •A 東広島市(助実) •B 呉市(安浦) •C 呉市(野呂山) •D 呉市(休山) •E 呉市(鈍田川) •F 安芸高田市(向原) •G 広島市(三宅川) •H 広島市(荒谷川) 図10 地盤内のにおいの調査地点 0 10 20 30 40 50 60 0 100 200 300 400 500 600 700 深度 (cm) におい強度の最大値 A: 助実 B: 安浦 C: 野呂山 F: 向原 G:三宅川 *D:休山、E:鈍田川、H:荒谷川は におい強度0 図11 各地点で測定したにおい強度の最大値 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 600 650 700 度数 におい強度 N=53 図12 今回測定した地盤内のにおいのヒストグラム s = 82 (Ii-2.3) 0 100 200 300 400 500 600 0 1 2 3 4 5 6 7 に おい強 度 s 強熱減量 Ii (%) 平均 標準偏差 図13 におい強度と強熱減量の関係

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3446 強熱減量,含水比および細粒分含有率は深度30cm から 採取した試料を 400~600 グラム試験に用い,pH は深度 30cm および 50cm で測定した。土の pH の測定には土壌水 分計と土壌酸度計を使用した。におい計測地付近に蒸留水 4 リットルを撒き,30 分放置した後,計測地の地盤を掘削 し,深度30cm,深度 50cm において,土壌水分計と土壌酸 度計を挿入してpH を読み取った。蒸留水を撒いた理由は, 測定する土壌が乾燥していると正確な測定ができないた めである。 3.2 観測結果と考察 図13 はにおい強度 s と強熱減量 Iiの関係であり,それぞ れの地点においてにおい強度の平均値と標準偏差を示し ている。図のように両者には比較的良好な相関が見られ, 平均値から回帰直線を求めると,次式が得られた。 ) 3 . 2 ( 82⋅ − = Ii s (1) 強熱減量は土中の有機物量と強い相関性があるとされて おり17),地盤内の有機物とそれを分解する細菌類の存在が においの原因となっていると考えると,両者の相関は理解 できる。 地盤内の放線菌の多くは中性域を好み,pH 5.0~9.0 で生 育し,生育に適するpH は 7.0 前後であるとされているこ と14)16),糸状菌バイオマスがpH と負の相関にあるとされ ていること18)から,においとpH にも関連が予測される。14 はにおい強度と pH の関係を示しているが,図のよ うに今回調べた地盤ではpH は 6.9 から 7.4 の狭い範囲に あり,におい強度との明瞭な関係はみられなかった。ただ し,pH が 7.0 付近ではにおい強度が高い傾向がみられ, これは細菌類が好むpH と関連している可能性がある。15 と図 16 はそれぞれ含水比,細粒分含有率とにおい 強度の関係である。図をみるとにおい強度は地盤中の含水 比との相関は見られない。また,細粒分含有率についても 相関は小さく,においの強さに直接関連する性質ではない と考えられる。 以上の結果をまとめると,1.で示した「強いにおいが地 盤内の間隙に分布している」という仮説1はほぼ検証でき たと考えられる。地盤中のにおい強度は地点による相違が 大きいが,においの発生は地盤内の細菌類の活動に関連が あると考えられ,それらと結びつく強熱減量およびpH と 関連がみられた。なお,上流部に立地する畜産施設などに 由来する地下水のにおいなど,人為的な要因によっても地 盤のにおいは影響を受けると考えられる。今回調査を実施 した箇所は上流および周辺において畜産業や農業が行わ れていない自然斜面であるが,今後人為的な要因を含めて 地盤内のにおいの発生原因についてさらに検討する必要 があると考えられる。 4. 一次元降雨浸透実験によるにおい発生に関す る検討 1.で述べた仮説 2 は,降雨によって地盤中に雨水が浸透 して基盤から地下水が形成され,地下水の上昇にともなっ ての間隙内の空気が上部に押し出され地表に放出される というものである。そこで,この点を検討するため,室内 模型実験を行った。 降雨時の地盤に雨水が浸透し,地下水位を形成して飽和 が進行する過程は,図17 のようであると考えられる3)4)19)。 まず,乾燥した地盤に降雨があると,降雨が地盤内に浸 透し始め,上層から順にある値 θhまで体積含水率が上昇 していく(過程1)。その後,体積含水率θhをほぼ一定に 保った不飽和帯が下層に向かって浸透していく。この降雨 0 50 100 150 200 250 300 350 400 6.8 6.9 7.0 7.1 7.2 7.3 7.4 7.5 7.6 ニオ イ強 度 地盤内のpH 図14 におい強度と pH の関係 0 100 200 300 400 500 600 0 5 10 15 20 25 30 ニ オ イ強 度 含水比 (%) 図15 におい強度と含水比の関係 0 100 200 300 400 500 600 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ニ オイ強 度 細粒分含有率 (%) 図16 におい強度と細粒分含有率の関係 不透水層 不透水層 不透水層 不透水層 高 含 水 比 帯 過程1 過程2 過程3 過程4 図17 降雨の浸透と地下水位の形成の過程

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345 7 浸透によって,降雨前よりも含水比が高まった不飽和帯を, 本研究では高含水比帯と呼ぶことにする。広島大学構内の ががら山の自然斜面で2002 年より実施している地盤内の 含水比とサクションの長期観測結果によると高含水比帯 の飽和度は70~80%である3)4)5)。なお,由利ら20)は,高含 水比帯における含水比が,地盤の透水係数が降雨強度とつ り合う透水係数になるときの含水比であるとしている。過 程2 では降雨の継続とともに高含水比帯が降下する。高含 水比帯が基盤の不透水層に到達すると地盤は飽和して地 下水が形成され(過程 3),その後下層から上層に向かっ て地下水位は徐々に上昇する(過程 4)。間隙内にある空 気は,降雨が地表から浸透し高含水比帯が形成されるとき に一部が水と置き換わるが,高含水比帯が基盤に達して地 下水位が形成され,下部から順次飽和する。 以上のように考察すると,過程4 の地下水上昇過程にお いて間隙内に残っている空気は水と置き換わり,地下水位 の上昇とともに地表に放出されると考えられる。そこで, 一次元土層を用い,土層の下部ににおいの発生源を置いて, 降雨を与えた時の表層でのにおいの発生を調べた。 4.1 実験方法 降雨の浸透による地盤内の飽和度の上昇と地下水位の 形成・上昇とにおいの発生の関連を調べるため,一次元模 型実験を行った。実験には土壌内の水分を測定する機器と してプロファイル土壌水分計を設置し,においセンサによ って地表面のにおいを測定した。においの発生源として, 芳香剤と活性汚泥により発酵させた米ぬかの 2 つを使用 した場合について実験を行った。なお,本実験では降雨時 の間隙中の空気の動きによって地盤内のにおいが地表か ら放出されることの確認が目的であるので,本実験で試用 した芳香剤と活性汚泥のにおい成分は地盤内のにおい成 分と直接関係していない。 図18 は実験装置の概要である。図のように,アクリル パイプの底ににおい物質を 3cm 敷き詰め,その上に豊浦 砂を97cm 締固めて層厚 100 cm の土層を作成した。土層の 上部から降雨強度 20mm/h の雨を噴霧装置によって与え, 地盤内の水分量を多点式土壌水分計で測定した。におい強 度は,地表面上 2cm の位置に設置したにおいセンサで測 定し,降雨による雨水の浸透と地下水位の形成・上昇に伴 うにおいの変化を実験的に検討した。なお,降雨を与えて いる間に模型土層下端は非排水とした。 表層土は間隙比が 0.80 になるように調整した豊浦砂を 用いた。豊浦砂は密度2.675g/cm3,定水位透水試験で測定 した透水係数1.02×10-2cm/s である。プロファイル土壌水 分計は,鉛直方向に埋め込み土壌断面の所定の深さの土壌 水分量を測定するものである。降雨発生装置は空気圧と水 圧を調節してノズルから細かい水滴を噴出するもので,所 定の降雨強度になるよう調節し用いた。 4.2 実験結果と考察 図19 は,においを発生させる物質として芳香剤を用い た実験結果である。地盤内に設置する前に芳香剤から2cm の距離で測定したにおい強度は868 であった。19 に示すように,降雨開始とともに 20 分後に深度 10cm で飽和度が約 48%の高含水比帯が形成され,徐々に 降下して,深度20cm,30cm,50cm が順次高含水比帯に含 まれていく様子が計測されている。130 分後に高含水比帯 が模型土槽の底部(深度 90cm)に達すると底部の飽和度 20cm 20cm 20cm 20cm 17cm 3cm 2cm コック ニオイ センサ プロファイル 式土壌水分計 活性汚 泥とぬか の混合 プロファイル式 土壌水分計 ニオイ センサ 米ぬか コック 20cm 20cm 20cm 20cm 17cm 3cm 2cm 降雨装置 図18 一次元降雨浸透実験に用いた模型土層 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 0 20 40 60 80 100 0 120 240 360 480 600 720 840 ニオ イ 強度 飽和度 Sr (% ) 降雨開始からの経過時間(min) 地表面の ニオイ強度 飽和度 (深度90cm) 飽和度 (50cm) 飽和度 (30cm) 飽和度 (20cm) 飽和度 (10cm) 飽和度 (深度10cm) 30cm 50cm 20cm 図19 降雨開始からの時間と地盤内の飽和度および地表面で 測定したにおい強度(芳香剤)の関係 0 50 100 150 200 250 300 350 400 0 20 40 60 80 100 0 120 240 360 480 600 720 ニオ イ強 度 飽和度 Sr (% ) 降雨開始からの経過時間 (min) 飽和度 (20cm) 飽和度 (30cm) 飽和度 (深度10cm) 地表面の ニオイ強度 図20 降雨開始からの時間と地盤内の飽和度および地表面で 測定したにおい強度(発酵した米ぬか)の関係 芳香剤または発酵 させた米ぬか

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346 が急速に増加し,240 分後にほぼ飽和に達した。深度 90cm の飽和度は他の深度と異なり,高含水比帯の飽和度(含水 比)でいったん落ち着く傾向が見られないが,これは位置 が底部に近いため,高含水比帯が底部に達して直ちに地下 水位が形成され連続的に含水比が上昇したためであると 考えられる。その後,地下水位が上昇し,420 分後には深50cm,510 分で深度 30cm,550 分後に深度 20cm,610 分後に深度 10cm に達している。この間,におい強度は, 降雨開始直後に30 から 0 に低下したがその後は全く変化 せず,ほぼ地下水位が表層に達したと思われる時点で急激 に増加した。降雨開始直後ににおい強度が低下した原因と しては,降雨により空気中のにおい成分が減少したことが 考えられる。 このように,地下水位が表層に達するまでにおいの発生 が検知されず,表層に達したと同時ににおい強度が急増し た原因としては,芳香剤によるにおいが模型地盤内の間隙 空気中に十分拡がっていないこと,降雨によって間隙水に 溶出した芳香剤のにおい成分が押し上げられた地下水と ともに表層に達して検知されたことが考えられる。本実験 では「地下水位が形成され,その上昇よりにおいを持つ間 隙空気が押し上げられて大気ににおいが放出」という仮説 2 を検証できなかった。 次に,におい物質として活性汚泥により発酵させた米ぬ かを用いたときの実験結果を図20 に示す。地盤内に設置 する前に2cm の距離で測定した米ぬかのにおい強度は 631 であった。土壌水分計の深度50cm および 90cm の測定点 が故障していたためデータが欠損しており分かりにくい が,図20 をみると,まず降雨開始 30 分頃から深度 10cm, 20cm,30cm と上層部から順に飽和度約 50%の高含水比層 を形成している。図 19 と同様に,高含水比層下降時にお いては層内の含水比はほぼ一定に保たれている。高含水比 帯が土層底面まで到達すると地下水が形成され飽和度 100%に近い層が下方から上昇して,520 分で深度 30cm, 550 分で深度 20cm,600 分で深度 10cm まで地下水位が到 達した。この間,におい強度は実験開始前で172 であった が降雨開始後ほとんど変化せず,600 分(10 時間)経過す る直前に300 まで急上昇した。20 より地表面のにおい強度が急増したのは地下水面 が地表面から20cm と 10cm の間にあるときであったと推 定された。本実験では,地下水位が地表面に達する前に地 表面でのにおい強度の増加が観測されており,におい発生 物質の近傍にあったにおいを含む空気が地下水により押 し上げられたと考えられる。芳香剤の実験では,芳香剤の におい強度 868 に対して地表面で観測した最大におい強 度は138 であったが,におい強度 631 の活性汚泥を用いた 実験では地表面のにおい強度は300 に達した。このことか らも,両者のにおい成分の地盤の間隙中への拡散特性が大 きく異なっていると推定され,実験結果の違いとなった可 能性がある。 本実験の結果は,「降雨の浸透により地盤内に地下水位 が形成され,地下水面の上昇よりにおいを持つ間隙空気が 押し上げられて大気に地盤内のにおいが放出される」とい う仮説 2 による機構でにおいが発生する可能性を示して いると考えられる。しかし,図19 で示した実験結果のよ うに,地下水位がほぼ地表面に達するまでにおいが発生し ないケースもあり,においの種類や降雨前の地盤内のにお い分布,におい物質の拡散特性など,どのような条件の下 で地下水の挙動とにおいの発生が関連づけられるかを,今 後解明する必要がある。 5. 結論 本研究では,土砂災害の発生前ににおいが発生するとさ れる現象のメカニズムを,以下の仮説を立てて検討した。 仮説1:強いにおいが地盤内の間隙に分布している。 仮説2:降雨の浸透により地盤内に地下水位が形成され, 地下水位の上昇にともなってにおいを持つ間隙空気が 押し上げられて大気ににおいが放出される。 主な結論をまとめると以下のようになる。 1) 崩壊履歴を有する広島大学ががら山斜面において地盤 内のにおいを調査したところ,多くの地点で個人差無 くにおいが認識されると考えられる 100 以上のにおい 強度を観測した。表層の崖錐層でにおい強度が小さく, 風化したまさ土層ではにおい強度が大きい傾向があっ たが,崖錐層でもにおい強度が大きい場合や,風化層 でもにおい強度が小さい場合もあり,地点による違い が大きかった。 2) 東広島市,広島市,呉市,安芸高田市の 8 箇所のまさ 土斜面で地盤内のにおいを調べたところ,4 箇所で平均 100 以上のにおい強度を観測し,2 箇所では 100 以下, さらに2 箇所では全くにおいを観測しなかった。以上 より,「強いにおいが地盤内の間隙に分布している」と いう仮説 1 は,すべての地盤に当てはまらないが概ね 妥当といえる。 3) におい強度と採取した土の強熱減量には強い相関があ り,強熱減量の値が大きいほどにおい強度は大きかっ た。強熱減量はほぼ土中の有機物量と等しいとされて おり,地盤内の有機物とそれを分解する細菌類の存在 がにおいの原因になっていると考えられる。 4) 地盤内の pHの値が小さく酸性に近づくほどにおい強度 が大きい傾向がある。細粒分含有率とにおい強度の関 連性は見られなかった。 5) 1m の高さの室内土層を用いて,底部ににおい発生源を 置き降雨を浸透させる模型実験を行った。この結果,地 下水面が上昇し表層部に近づいたときに地表面のにお い強度が急増するケースがあった。本実験結果は,「降 雨の浸透により地盤内に地下水位が形成され,その上昇 よりにおいを持つ間隙空気が押し上げられて大気に地 盤内のにおいが放出される」という仮説2 による機構で においが発生する可能性を示していると考えられる。た だし,地下水位がほぼ地表面に達するまでにおいが発生 しないケースもあり,においの種類や降雨前の地盤内の

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347 9 におい分布,におい物質の拡散特性など,どのような条 件の下で地下水の挙動とにおいの発生が関連づけられ るかを,今後解明する必要がある。また,一般に地表面 近くまで地下水位が上昇すると斜面安定に関する安全 率は大きく低下する。したがって,地表面でのにおいの 発生が地下水位の上昇と関連づけられるとすると,斜面 崩壊の危険度が高まったことと結びついてくる。土砂災 害の危険予知や避難の判断ににおいを用いる観点から, においの発生と土砂災害の関連についても今後さらに 検討することが必要である。 参 考 文 献 1) 土砂災害警戒避難に関わる土砂災害前兆情報検討委員会:土 砂災害警戒避難に関わる土砂災害前兆情報の活用のあり方に ついて,国土交通省砂防部,http://www.mlit.go.jp/river/ sabo/ kondankai/ zencho/060331_s1.pdf, 2006 年 3 月. 2) たとえば長崎県砂防課ホームページ http://www.pref. nagasaki.jp /sabo/webpages /zentyou. html など

3) Thi Ha,佐々木康,森脇武夫,加納誠二:自然まさ土斜面に おける土中水分およびサクションの現地観測,土と基礎, Vol.51,No.11,pp.38-40, 2003. 4) Thi Ha,佐々木康,土田孝,柳田三徳:自然斜面における雨 水浸透・流出の原位置観測の事例紹介,地下水技術,Vol.49, No.4,pp.11-20,2007. 5) Thi Ha,土田孝,加納誠二:原位置観測による森林斜面にお ける雨水浸透・流出メカニズムおよび森林土壌の保水機能の 評価,土木学会河川技術論文集,Vol.14,pp.199-204,2008. 6) 土井豆聡之,土田孝,加納誠二,中井真司,竹内次郎:簡易 動的コーン貫入試験と軽量動的コーン貫入試験によるまさ土 斜面の地盤調査,地盤と建設,Vol.25,No.1,pp.17-24,2007. 7) 加納誠二,土田孝,川口将季,小村尚史:細粒分を含む地盤 の簡易な強度定数推定法に関する研究,地盤と建設,Vol.27, pp.73-80,2010.

8) Takashi Tsuchida, Athapaththu A.M.R.G., Seiji Kano, Kazuaki Suga: Estimation of in-situ shear strength parameters of weathered granitic (Masado) slopes using lightweight dynamic cone penetrometer, Soils and Foundations, Vol. 51, No. 3, pp.497-512, 2011.

9) Athapaththu A.M.R.G., Tsuchida, T., Suga, K., Nakai, S and Takeuchi J, Evaluation of in-situ strength variability of Masado slopes, JSCE, Vol.63, No.3, pp.848-861, 2007.

10) Athapaththu AMRG,土田孝,菅和暁:軽量動的コーン貫入試 験によるまさ土斜面地盤の強度評価と自然斜面の危険度評価 への適用,地盤工学会誌,Vol. 55,No.6(593),pp. 27-29,2007. 11) 環境省:土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法を定める件, 公布日平成15 年 03 月 06 日,環境省告示 16 号,http:// www.env. go.jp/hourei/syousai.php?id=06000028. 12) 加納誠二,土田孝,中川翔太,海堀正博,中井真司,来山尚 義 :2009 年に東広島市志和町内地区で発生した土砂災害の 調査について,地盤工学ジャーナル,Vol.6, No.2,pp. 243-259, 2011. 13) 西尾道徳:土壌微生物の基礎知識,農文協,p.47,1989. 14) 木村 真人,丸本卓哉,筒木潔,仁王以智夫,金沢晋二:土 壌生化学,朝倉書店, pp.17-32,1994. 15) 橘隆一,今井基裕:緑化法面における土壌微生物相の変化, 日緑工誌,pp.224-227,2002. 16) 宮下清貴:新・土の微生物学(9) 放線菌の機能と働き,土壌 微生物学会編,pp.50,2003. 17) 地盤工学会:土質試験の方法と解説,第一回改訂版,第 3 編 第6 章強熱減量試験,pp.186-194,2000. 18) 田野,丁訪軍,劉延恵,戸田浩人,生原喜久雄:カルスト地 域の森林土壌の化学性が細菌・糸状菌バイオマスに及ぼす影 響,第118 回日本森林学会大会,J24,2007.

19) Richards,L.A. : Capillary Conduction of Liquids in Porous Mediums,Physics 1,pp318-333,1931.

20) 由利厚樹,加納誠二,土田孝:まさ土の土中水分変動に及ぼ す降雨特性と地盤条件の影響,第45 回地盤工学会研究発表 会発表講演集,pp.165-166,2010.

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348 10

A consideration on intensity of odor in natural slopes and the release of odor

at landslide disasters

Takashi TSUCHIDA

1

Hiroki YURI

2

, Seiji KANO

3

, Kyosuke NAKAYABU

4

, Kentaro YABUKI

5

Takashi HANAOKA

6

Shoichi KAWABATA

6

1 Graduate School of Engineering, Hroshima University 2 Tyugoku Electric Power Co. Ltd.

3 Kure National Colledge of Engineering 4 Fukken Co. Ltd

5 Faculty of Engineering, Hiroshima University

6 Department of Geotechnical Engineering, Hiroshima University

Abstract

The release of strong odor is known as a premonitory phenomenon of landslide disasters. The measurements of oder intensity in ground were carried out at the sites in Mt. Gagara in Hiroshima University and eight natural Masado slopes in Hiroshima Prefecture. At the five sites, the odor intensities were more than 100, and no odor was measured at 2 sites. The intensity of odor in the ground was related to the ignition loss of soil sample, suggesting that the existence of bacteria which resolves organic substance in the soil is a reason of the odor in ground. By the rainfall infiltration test of the model ground where the resource of odor was placed at the bottom, it was found that the rapid increase of odor intensity was observed at the ground surface when the ground water level elevated near the ground surface. The results show the possibility that the air with odor in ground is pushed out to the atmothphere by the elevation of ground water level due to the infiltration of rain.

Key words: odor, natural slope, Masado, landslide disaster, groundwater

A consideration on intensity of odor in natural slopes and the release of odor

at landslide disasters

Takashi TSUCHIDA

1

, Hiroki YURI

2

, Seiji KANO

3

, Kyosuke NAKAYABU

4

, Kentaro YABUKI

5

,

Takashi HANAOKA

6

and Shoichi KAWABATA

6

1 Graduate School of Engineering, Hiroshima University 2 Chugoku Electric Power Co., Ltd.

3 Kure National College of Engineering 4 Fukken Co., Ltd

5 Faculty of Engineering, Hiroshima University

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