0 100 200 300 400 500 600 サ ウ ジ ア ラ ビ ア ロ シ ア 米 国 中 国 カ ナ ダ イ ラ ン U A E イ ラ ク ク ウ ェー ト メ キ シ コ ベ ネ ズ エ ラ (百万トン) 50 60 70 80 90 100 110 13/12 14/3 14/6 14/9 (年/月) 情報提供資料 2014年12月29日
原油価格下落の影響について
出所:ブルームバーグおよびBPが提供するデータを基にみず ほ投信投資顧問が作成。 ※上記グラフは、将来におけるWTI原油先物価格の推移および 主な産油国の原油産出量を示唆、保証するものではありませ ん。 【WTI原油先物価格の推移】 (2013年12月31日~2014年12月26日:日次) (米ドル/バレル) 【主な産油国の原油産出量】 (2013年)1.原油価格の動向と今後の見通し
夏場以降、原油価格は下落を続けています。11月下 旬からはさらに一段安となり、足元ではWTI原油先物 で 1 バ レ ル = 50 米 ド ル 台 で の 推 移 と な っ て い ま す (12月26日現在)。 2014年6月頃までは、シェール革命による米国で の原油増産などの供給増加要因があったものの、①経 済制裁を受けるイランからの原油輸出が抑制されてい たこと、②武装勢力と政府の紛争が続くリビア産原油 の供給が大幅に減っていたこと、③ウクライナ、イラ ク情勢が緊迫化したこと等を背景に、原油価格は高値 圏で推移していました。 しかしながら、その後は地政学リスクがやや後退す る中、①国際通貨基金(IMF)による世界経済見通し の下方修正、②米エネルギー情報局(EIA)および国 際エネルギー機関(IEA)による原油需要見通しの下 方修正等を背景に原油価格は下げに転じ、さらには③ 11 月 27 日 に 開 催 さ れ た 世 界 石 油 輸 出 国 機 構 (OPEC)総会での減産見送りを受けて、急落する展 開となりました。 今後についても、世界の原油需給は供給過剰の状態 が続くとみられることから、OPECによる減産が行わ れない限り、原油価格の低迷は当面の間継続する可能 性が高いと思われます。 原油価格の大幅な下落に伴い、12月の金融市場は世界的に値動きの荒い展開となった。 原油市況の悪化は、原油の純輸入国にとっては交易条件の改善や購買力の向上等を通じて景気の押し 上げ要因となるため、多くの先進国の金融市場は徐々に落ち着きを取り戻すと見込む。ただし、ロシ アなど一部の産油国には深刻な影響を与えており、注視する必要がある。 米国については、原油のネット輸入国であるため、経済全体にはプラスの影響を与えると見込まれる。 ただし、原油の低価格が長引いた場合、シェールオイルの開発・生産活動が減少する可能性があるこ とから、エネルギー関連など一部の業種には注意が必要である。そのため、米国株式やハイイールド 債券への投資に際しては、従来以上に銘柄選別が重要となろう。※最終ページの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」をご覧ください。 2/7 【主な金融市場の動き】 (2014年12月1日~2014年12月26日) 出所:ブルームバーグおよびBofAメリルリンチ(使用許諾済)が提供するデータを基にみずほ投信投資顧問が作成。 ※米国ハイイールド債券はBofAメリルリンチ・US・キャッシュ・ペイ・ハイイールド・インデックスを使用。 ※上記は、将来における各市場データの推移を示唆、保証するものではありません。 為替 (a)(b)間の 騰落率 直近値 (12月26日) 米ドル(対円) 121.46 ( 12/5 ) 116.41 ( 12/16 ) -4.16% 120.37 ユーロ(対米ドル) 1.25 ( 12/1 ) 1.22 ( 12/23 ) -2.39% 1.22 豪ドル(対米ドル) 0.85 ( 12/1 ) 0.81 ( 12/23 ) -4.56% 0.81 ブラジルレアル(対米ドル) 2.55 ( 12/3 ) 2.74 ( 12/16 ) -6.71% 2.67 ロシアルーブル(対米ドル) 51.18 ( 12/1 ) 68.47 ( 12/16 ) -25.25% 53.51 12月上旬の高値(a) 12月の安値(b) 債券利回り (a)(b)間の 変動幅((b)-(a)) 直近値 (12月26日) 日本10年国債 0.31% ( 12/25 ) 0.44% ( 12/4 ) 0.13% 0.33% 米国10年国債 2.06% ( 12/16 ) 2.31% ( 12/5 ) 0.25% 2.25% ドイツ10年国債 0.59% ( 12/24 ) 0.78% ( 12/5 ) 0.19% 0.59% 米国ハイイールド債券 6.62% ( 12/1 ) 7.37% ( 12/16 ) 0.76% 6.85% 12月の最低値(a) 12月の最高値(b) *ドイツDAX指数は12月23日の終値。 【本資料で使用している指数について】 ・日経平均株価に関する著作権並びに「日経」および日経平均株価の表示に対する知的財産権その他一切の権利は、すべて日本経済新聞社に 帰属します。 ・BofAメリルリンチは同社の配信するインデックスデータを現状有姿のものとして提供し、関連データを含めて、その適合性、品質、正確性、 適時性、完全性を保証せず、またその使用においていかなる責任も負いません。またみずほ投信投資顧問(株)およびそのサービスや商品 について、推奨、後援、保証するものではありません。 ・シティ米国ハイイールド市場インデックスは、Citigroup Index LLCの知的財産であり、指数の算出、数値の公表、利用など同指数に関す るすべての権利は、Citigroup Index LLCが有しています。 株価指数 (a)(b)間の 騰落率 直近値 (12月26日*) 日経平均株価(円) 17,935.64 ( 12/8 ) 16,755.32 ( 12/16 ) -6.58% 17818.96 NYダウ工業株30種平均(米ドル) 17,958.79 ( 12/5 ) 17,068.87 ( 12/16 ) -4.96% 18053.71 ドイツDAX指数 10,087.12 ( 12/5 ) 9,334.01 ( 12/15 ) -7.47% 9922.11 ロシアRTS指数 958.33 ( 12/1 ) 629.15 ( 12/16 ) -34.35% 828.57 ブラジルボベスパ指数 52,320.48 ( 12/3 ) 47,007.51 ( 12/16 ) -10.15% 50144.63 12月上旬の高値(a) 12月の安値(b)
2.世界経済への影響について
◆12月の金融市場の動向 原油価格が大幅に下落したことに伴い、12月の世界の金融市場は大きく混乱し、荒い値動きとなりました。 12月中旬にかけて、株式市場や米国ハイイールド債券市場は下落し、為替も対米ドルで下落する通貨が多くあ りました。 その後は、原油価格の落ち着きと共に、史上最高値を更新したNYダウのように12月中旬にかけての下落を 取り戻した市場もあれば、ロシアの株式や為替市場のように依然として戻りが鈍い市場もあり、まちまちの展 開となっています。178 4,189 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 1997年末 2014年11月末 (億米ドル) 【ロシアルーブルと政策金利の推移】 (2013年12月31日~2014年12月26日:日次)
出所:ブルームバーグ、IMF 『World Economic Outlook Database, October 2014』、UNCTADおよび Datastreamが提供するデータを基にみずほ投信投資 顧問が作成。 ※上記グラフは、将来における主要国の原油貿易収支等を示 唆、保証するものではありません。 【ロシアの外貨準備の推移】 (1997年末、2014年11月末) 【主要国の原油貿易収支】 (2013年) (名目GDP比、%) -20 -10 0 10 20 30 40 50 U A E サ ウ ジ ア ラ ビ ア イ ラ ク ベ ネ ズ エ ラ ロ シ ア カ ナ ダ 豪 州 米 国 ド イ ツ 中 国 日 本 シ ン ガ ポー ル 10 20 30 40 50 60 70 80 4 6 8 10 12 14 16 18 13/12 14/3 14/6 14/9 14/12 ロシアルーブル(対米ドル):右軸 ロシア政策金利:左軸 (%) (ルーブル) (年/月) ◆世界経済への影響 原油市況の悪化は、原油の輸出国にとってはマイナス 要因となります。一方で、原油の輸入国にとっては交易 条件の改善や購買力の向上などを通じて、景気の押し上 げ要因となります。また、エネルギー資源を輸入に依存 するアジア新興国にとっても、原油価格の下落は補助金※ 抑制による財政健全化につながることなどもあり、プラ スの影響が見込まれます。そのため、原油価格の下落は、 世界経済全体でみればプラスに寄与すると見込まれます。 ※補助金:アジア新興国の多くは、依然として国民に占める低所得 者層の割合が高いため、補助金によってエネルギー価格を低水準 に抑える政策がとられています。 ◆ロシアの状況 原油価格の下落により、一部の産油国にとっては大き な影響が生じています。例えば、世界有数の産油国であ り、かつ原油輸出への依存が大きいロシアは、深刻な危 機に直面しています。 通貨ルーブルは、1米ドル=68ルーブルの直近安値を つけた12月16日時点で、11月末から26.3%下落し、年 初来では51.9%下落しました。 通貨ルーブルが大幅に下落したことから、ロシア中央 銀行は、12月11日および16日に政策金利を合計7.5% 引き上げ17.0%としました。政府や中央銀行の対策等に より、一時の安値水準からは戻りをみせているものの、 不安定な状態が続いています。 また、ウクライナの問題をめぐり、欧米諸国から経済 制裁を受けていることも相俟って、経済状況も悪化して いるとみられます。実際に、プーチン大統領は、ロシア 経済が低迷を脱却するまでに最悪で「2年程度かかる」と 発言しています。 ロシアの外貨準備は相応にあり、1998年のような財 政危機に見舞われる可能性は乏しいと見込まれるものの、 ①原油価格の低迷が当面の間続くとみられること、②ウ クライナ問題などを巡る欧米諸国との政治的な対立が続 く限り経済状況の改善は望みにくいことなどから、ロシ ア市場が落ち着くには今しばらく時間がかかる可能性が 高く、注視する必要があります。
※最終ページの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」をご覧ください。 直接採掘費用 生産税 操業費用 探鉱・開発費用 総計 米国 9.85 4.90 14.75 29.45 44.20 陸上 - - - 24.61 -洋上 - - - 64.53 -米国外 7.51 3.36 10.87 18.93 29.80 カナダ 11.90 0.43 12.33 28.08 40.41 欧州 8.69 3.02 11.71 61.98 73.69 旧ソ連 6.84 2.18 9.02 10.55 19.57 アフリカ 7.27 4.12 11.39 32.82 44.21 中東 5.53 6.31 11.84 5.17 17.01 その他東側諸国 6.21 4.27 10.48 12.57 23.05 その他西側諸国 4.32 2.49 6.81 27.60 34.41 世界計 8.62 4.08 12.70 24.10 36.80 (注)操業費用は08年、探鉱・開発費用は06~08年 0.0 1.5 3.0 4.5 6.0 7.5 9.0 0 20 40 60 80 100 120 09/1 10/1 11/1 12/1 13/1 14/1 原油(WTI)価格:左軸 天然ガス(HH)価格:右軸 (米ドル/百万BTU) (米ドル/バレル) 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 65 70 75 80 85 90 95 100 105 13/12 14/3 14/6 14/9 消費者信頼感指数(月次):左軸 ガソリン価格(日次):右軸 4/7 【消費者信頼感指数※とガソリン価格の推移】 (2013年12月31日~2014年12月26日) (年/月) ※消費者信頼感指数は2014年11月まで。 【原油価格と天然ガス価格の推移】 (2009年1月末~2014年12月末:月次) 出所:ブルームバーグおよび米エネルギー省が提供するデータを基に みずほ投信投資顧問が作成。 ※上記グラフは、将来における消費者信頼感指数とガソリン価格の推 移等を示唆、保証するものではありません。 (年/月) 【主要な米国石油会社の地域別石油・ 天然ガス操業費用、探鉱・開発費用】 (米ドル/バレル) ◆米国の状況 米国は原油の消費国と産出国の両面をあわせ持って おり、原油価格の下落は、経済に対してプラス、マイ ナス双方の影響があります。 近年、シェール革命によって産油国としての立場を 強めてきてはいるものの、石油収支は赤字で純輸入国 であるため、原油価格の下落は貿易収支の改善につな がります。 また、原油安に伴うガソリン価格の低下は、個人の 可処分所得の増大につながるため、個人消費の拡大に 寄与することが期待されます。とりわけ、生活に車が 不可欠な米国では、ガソリン価格下落の影響は大きく、 消費への大きなプラス効果が見込まれます。 上記の理由等により、原油価格の下落は、米国経済 全体にとってプラスの影響の方が大きいと考えられま す。 しかしながら、原油価格の下落は石油開発業者には マイナスに作用します。1バレル=60米ドル以下の水 準は、新規の開発が難しくなる水準であるため、原油 低迷が続いた場合、今後シェールオイルの開発・生産 活動が減退する可能性があります。そのため、エネル ギー関連などの一部の業種には、マイナスの影響を与 えることが見込まれます。 ただし、石油・ガス開発関連投資(機器・構築物) がGDPに占める割合は、全体で1%程度であり、米国 の設備投資に与えるマイナスの影響は限定的なものに とどまると見込まれます。 また、シェール革命の核心的な部分であるガス開発 に関しては、国内需給に左右されること等から、原油 価格の下落で行方が注目されるシェールオイルの生産 に対する懸念※はあっても、シェール革命全体に与える 影響は、想定ほど大きなものとはならない可能性があ ります。 ※開発や生産コストの高い地域でシェールオイル開発を行う中 小企業の経営は、原油価格の低下に脆弱であると見込まれま す。そのため、資金調達先への悪影響が及ぶ可能性があり、 注意が必要と考えられます。 (米ドル/ガロン)
85 90 95 100 105 110 13/12 14/3 14/6 14/9 公益セクター ヘルスケアセクター エネルギーセクター ハイイールド債市場 (年/月) ※2013年12月末=100として指数化 【米国ハイイールド債券の 対米国国債スプレッド*の推移】 (2013年12月31日~2014年12月26日:日次) 【米国ハイイールド債券市場の動向】 (2013年12月31日~2014年12月26日:日次) 【デフォルト率の推移】 (2009年11月~2014年11月:月次) 出所:ブルームバーグ、BofAメリルリンチ(使用許諾済)およびJPモルガンが提供するデータを基にみずほ投信投資顧問が作成。 ※米国ハイイールド債券市場の動向はシティ米国ハイイールド市場インデックス、対米国国債スプレッドはBofAメリルリンチ・US ・キャッ シュ・ペイ・ハイイールド・コンストレインド・インデックスを使用。 ※上記グラフは、将来における米国ハイイールド債券市場の各種データを示唆、保証するものではありません。 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 13/12 14/3 14/6 14/9 (%) (年/月) *対米国国債スプレッドはOAS(オプション・アジャステッ ド・スプレッド)。満期償還前に繰上償還があり得る債券 が繰上償還する場合を考慮した、米国国債との利回り格差。
3.米国のハイイールド債券市場に与える影響
と今後の見通し
◆足元の動向 米国ハイイールド債券市場は、原油価格の下落を受け て、エネルギーセクターが主導する形で大きく値を下 げました。 米国ハイイールド債券市場におけるエネルギー関連 銘柄の比率は15%程度であり、比較的大きなウェイト を占めています。そのため、原油価格の下落に伴い、 エネルギー関連企業の業績が悪化するとの懸念が高 まったこと等から、エネルギー関連銘柄の価格が下落 し、それが同市場全体のパフォーマンス悪化につなが りました。 対米国国債スプレッド*は、11月末の4.6%から12 月16日には5.6%に拡大しましたが、足元は原油価格 の落ち着きと共に縮小に転じ、5.0%を割り込む水準と なっています。 ◆今後の見通し 米連邦公開市場委員会(FOMC)は、2014年10月 に資産購入プログラム(QE3)の終了を決定しました が、引き続き相当な期間、低金利政策を維持するとし ています。また、原油価格の下落は、米国のインフレ 圧力の低下につながることから、米国の利上げペース を緩やかなものにする方向に作用すると考えられます。 低金利環境が継続することは、米国のハイイールド債 券市場にとってプラスに寄与すると考えます。 また、原油価格の下落は、企業業績の増加や消費の 拡大に寄与し、米国経済にプラスの影響を与えると見 込みます。良好な米国の経済環境や企業業績を背景に、 総じてみれば発行体企業の信用状態が改善していくと 考えられることから、対米国国債スプレッドの縮小余 地があると考えています。 しかしながら、原油価格次第ではエネルギー関連業 種の利回り格差は一段と拡大する可能性があり、従来 以上に業種や銘柄の選別が重要になってくると思われ ます。 0 2 4 6 8 10 12 09/11 10/11 11/11 12/11 13/11 14/11 デフォルト率 平均 (%) (年/月) ※発行体数ベース※最終ページの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」をご覧ください。 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 09/12 10/12 11/12 12/12 13/12 (前期比年率、%) (年/月) 15,500 16,000 16,500 17,000 17,500 18,000 18,500 14,000 15,000 16,000 17,000 18,000 19,000 20,000 9/30 10/31 11/30 日経平均株価:左軸 NYダウ:右軸 (円) (米ドル) (月/日) 6/7 出所:IMFおよびブルームバーグが提供するデータを基にみずほ投 信投資顧問が作成。 ※上記は、将来における主な産油国の均衡原油価格、米国実質GDP および日米の株価の推移を示唆、保証するものではありません。